JPH10297931A - 複合圧電基板の製造方法 - Google Patents

複合圧電基板の製造方法

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JPH10297931A
JPH10297931A JP10711497A JP10711497A JPH10297931A JP H10297931 A JPH10297931 A JP H10297931A JP 10711497 A JP10711497 A JP 10711497A JP 10711497 A JP10711497 A JP 10711497A JP H10297931 A JPH10297931 A JP H10297931A
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piezoelectric
piezoelectric substrate
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ultraviolet rays
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JP10711497A
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Tetsuo Ootsuchi
哲郎 大土
Akihiko Nanba
昭彦 南波
Masahito Sugimoto
雅人 杉本
Yoshihiro Tomita
佳宏 冨田
Osamu Kawasaki
修 川崎
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Matsushita Electric Industrial Co Ltd
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  • Manufacture, Treatment Of Glass Fibers (AREA)
  • Piezo-Electric Or Mechanical Vibrators, Or Delay Or Filter Circuits (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 接着剤を用いることなく、かつ加熱すること
なく、熱膨張率の異なる基板同士も原子レベルでの接合
を行うことのできる複合圧電基板の製造方法を提供す
る。 【解決手段】 複合圧電基板の製造方法は、第1の基板
である圧電基板と第2の基板との接合予定面に紫外線を
照射する工程と、紫外線を吸収する有機シリコン化合物
を前記基板の接合予定面の少なくとも一方にコーティン
グする工程と、第1の基板を第2の基板に重ね合わせる
工程と、重ね合わせた前記第1および第2の圧電基板の
接合部の有機シリコン化合物皮膜に紫外線を照射する工
程を含み、紫外線により有機シリコン化合物皮膜を分解
して生成したシリコン酸化物層により第1の基板を第2
の基板とを原子レベルで強固に接合する方法である。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、機能素子として、
特に、圧電振動素子に使用され、温度や機械的振動に対
する安定性に優れた複合圧電基板の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】水晶振動子に代表される圧電効果を利用
した振動素子は、各種発振器、共振器や共振型フィルタ
として、無線通信機器に広く利用されている。これらの
素子を形成する圧電基板は、その圧電体結晶が機械的に
弾性表面振動やバルク振動をするため、圧電基板の固定
をパッケージないしはその基板にどう行うかが、その性
能と密接に関連している。バネやねじで機械的に固定す
る方法は、簡便であるが、温度変化や機械的振動に対し
て長期間安定なものを得るのは困難である。従来からエ
ポキシ樹脂など各種の有機系接着剤を用いて固定する方
法も知られているが、これらの接着剤は、やはり耐熱性
が十分ではなく、半田リフローなどを行うと、振動の周
波数が変化したり、またそこからガスが発生して、気密
封止された振動部分に影響を与え、特性を変化させるこ
とがある。
【0003】これらの問題点を解決する一つの方法とし
て、特開平4−283957号公報に、水晶をシリコン
基板上に直接接合する方法が開示されている。この構造
は、熱的および機械的変化に対して極めて安定であると
いった優れた特徴を有している。この製造方法は、接合
する水晶またはガラス基板やシリコン基板の表面を清浄
化したのち、接合予定表面を親水化する処理して重ね合
わせ熱処理を行う方法が採られている。
【0004】また、特開平7−154177号公報に
は、圧電基板と固定基板とを接合する方法として、圧電
基板および基板にバッファ層を設け、波長240nm以
下の紫外線を酸素含有雰囲気中で照射する工程と、圧電
基板と固定基板を重ね合わせ、100℃以上で熱処理す
る工程を含むことが記述されている。酸素雰囲気中の紫
外線の照射により、両基板表面が清浄化されて親水化さ
れ、表面上に水の存在により、OH基が表面に形成さ
れ、重ね合わせ後の加熱処理により両基板の接触面が原
子レベルで接合されるとしている。
【0005】さらに、特開平7−245470号公報
に、電子部品と基板とをその接合面を鏡面仕上げする工
程と、接合面を清浄化する工程と、電子部品と基板を密
着する工程と、接合部に紫外線を照射する工程と、を含
む製造方法が開示されており、接合面にバッファ層を用
いてもよいこと、紫外線照射時に加熱することも記され
ている。この方法によれば、接合面が鏡面研磨されて、
清浄化することにより、表面にOH基が形成され、両面
を密着することにより仮接合され、紫外線を照射するこ
とにより、OH基が破壊され原子レベルの接合が形成さ
れるとしている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、基板表
面を清浄化したのち、接合予定表面を親水化処理し、重
ね合わせ後さらに熱処理を行う従来の方法では、親水化
した後、加熱処理しなければ、基板表面での原子レベル
の接合は得られない。たとえば、水晶基板同士を接合さ
せるためには550℃程度の高温に維持する必要がある
が、このような高温状態では基板の特性が劣化するおそ
れがあった。すなわち、水晶基板同士の場合、水晶の相
転移点が573℃であるので、この相転移点に近づく
と、水晶の特性が劣化する。また、異種材料の場合、た
とえば、水晶基板とシリコン基板の場合、300℃程度
でも熱膨張率差(熱収縮率差)に起因する熱応力が生
じ、シリコン基板そのものが破壊されるおそれがあっ
た。
【0007】また、従来法で、基板に波長240nm以
下の紫外線を酸素含有雰囲気中で照射する工程を利用す
ることにより、基板の清浄化は行いやすいく、紫外線を
酸素含有雰囲気で照射しない場合より、熱処理温度を低
くすることができたが、しかしながら、強い接合を得る
ためには、低温ではあるが熱処理を欠かすことができな
かった。特に、異種基板を接合する場合は、低温加熱で
あっても熱膨張率差(熱収縮率差)に起因する熱応力が
生じ、基板に熱歪みが残留するなどの影響があった。特
に、圧電基板がニオブ酸リチウムやタンタル酸リチウム
などの場合、焦電効果のため加熱によって基板表面に電
荷が生じ、基板が破損しやすくなった。また、紫外線照
射したのち、表面にOH基を形成するため、再度さらに
水浸して乾燥するなどの別個の工程が必要であった。
【0008】また、上述のように、電子部品と基板をそ
の接合面を鏡面仕上げし、接合面を清浄化し、電子部品
と基板を密着して、接合部に紫外線を照射する従来方法
では、紫外線を照射して清浄化したことにより生じた表
面のOH基が切れて低温でも原子レベルの接合が行うこ
とができたが、基板が機械的振動を伴うような使用形態
の製品である場合には、加熱を行わない接合では、十分
な接合強度が得ることができず、製品に充分に高い信頼
性を付与することができなかった。さらに、紫外線を照
射する前に、かなり高精度の鏡面仕上げ工程と、表面に
OH基が形成されるような清浄化工程を経なければなら
なかった。また、接合する基板が、親水化されにくい基
板の場合、たとえば樹脂や金属とは接合され難くかっ
た。このためにバッファ層として、酸化珪素膜などを用
いる場合には、同様に、酸化珪素膜自体の親水化処理が
必要であり、紫外線照射だけでは接合強度が弱かった。
このような酸化珪素膜は、通常のスパッタや蒸着などで
形成されているため、基板によれば密着性に問題があっ
た。
【0009】以上のように従来の方法によれば、低温で
あっても加熱を行わなければ十分な接合強度を得ること
ができないという問題があり、従って、樹脂基板などの
耐熱性の低い基板へ接合できないという課題が残されて
いた。また、ニオブ酸リチウム、タンタル酸リチウムな
ど焦電性の大きい基板には、接合しにくいという問題も
あった。さらに、従来の方法によれば、いずれかの工程
で清浄化により親水化処理を行わなければならず、清浄
化には、高純度の純水やクリーン設備を必要とし、ま
た、親水化されにくい基板やバッファ層との密着性の低
い基板には接合が困難であるという清浄化に伴う問題も
あった。
【0010】本発明は、上記課題に鑑みて、圧電基板と
第2の基板との接合に際して、基板を加熱することなく
室温処理だけで強固に接合でき、また、親水化処理など
の工程を経ることなく原子レベルの接合を十分な強度を
もって行うことができる複合圧電基板の製造方法を提供
することを目的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】本発明の複合圧電基板の
製造方法は、第1の基板としての圧電基板と、第2の基
板との接合面に紫外線を吸収する有機シリコン化合物皮
膜を介して面接し、その後に、紫外線を照射して有機シ
リコン化合物皮膜が分解して成るシリコン酸化物層が強
度の接合力を有することを利用して、非加熱的に常温で
の処理で両基板を強固に接合させるものである。
【0012】本発明の方法は、さらに、有機シリコン化
合物の皮膜形成の前に、両基板の接合面のいずれか予め
紫外線照射により表面活性化することを含み、これによ
り有機シリコン化合物皮膜の圧電基板表面に対する安定
性を確保すると共に、シリコン酸化物層による両基板の
長期に強固な接合力を確保するものである。
【0013】即ち、本発明の製造方法は、第1の基板と
しての圧電基板と第2の基板との接合予定面に、紫外線
を照射する工程と、紫外線を吸収する有機シリコン化合
物を該基板の接合予定面の少なくとも一方にコーティン
グする工程と、該第1の圧電基板と前記第2の基板とを
重ね合わせる工程と、重ね合わせた前記第1および第2
の基板の間の有機シリコン化合物皮膜に紫外線を照射す
る工程とを含むことを特徴とするものである。
【0014】本発明の製造方法では、加熱過程を不要と
するので、従来の加熱(熱膨張率差)に起因する熱応力
が生じたり、基板に熱歪みが残留することはなく、焦電
効果も生せず、基板表面に電荷が生じたり、基板が破損
することがない。
【0015】また、従来のような、紫外線照射後の表面
にOH基を形成するための清浄化工程や親水化工程も不
要となり、接合する基板が、従来は親水化され難い基板
であっても、例えば、樹脂基板や金属基板であっても、
接合が可能となる。
【0016】本発明においては、第1の基板は、機能素
子の圧電基板であるが、第2の基板は、圧電基板であっ
てもよいし、有機シリコン化合物の紫外線分解により接
合可能な材料であれば他の材料を自由に選択することが
できる。即ち、第2の基板には、圧電材料、圧電材料以
外のセラミック材料、ガラス材料だけでなく、従来接合
困難であった金属、半導体、さらに合成樹脂の基板に対
しても広く適用される。この結果、第2の基板は、圧電
基板とすることにより、第1の圧電基板と一体化して機
能素子の基板とすることもでき、または、第1の圧電基
板を支持ないし固定するための固定基板ないし配線基板
としても広く利用される。
【0017】
【発明の実施の形態】本発明の製造方法を図面を参照し
ながら、以下に説明すると、本発明の製造方法の対象に
なる複合圧電基板は、第1の基板1である圧電基板と、
第2の基板2と、両基板1、2を接合する接合層とから
形成されている。第1の基板1は、圧電振動子として、
両面または片面が振動面に利用されて、通常は電極が配
置され、例えば、弾性表面波振動素子やバルク振動素子
(水晶発振子、セラミック共振子など)などの媒体を構
成するための基板である。第2の基板2は、第1の基板
1を固定する固定基板ないし配線基板であって、後述の
ようにセラミック材料、ガラス材料、金属、半導体、合
成樹脂の基板が広く使用される。
【0018】接合層は、本発明の特徴を成すものである
が、有機シリコン化合物の紫外線照射により分解したア
モルファスの薄いシリコン酸化物層3が利用される。即
ち、本発明では、第1の基板と第2の基板の接合面に紫
外線を吸収してシリコン酸化物に分解する有機シリコン
化合物の皮膜30を形成し、該皮膜を挟んで両基板を面
接し、その後に、紫外線を照射して有機シリコン化合物
を分解させてシリコン酸化物層3、即ち、非晶質シリカ
(α−SiO2 )層に生成させるものであり、このシリ
コン酸化物層3の生成過程での強固な接合力が基板相互
の接合に利用する。
【0019】本発明においては、このような有機シリコ
ン化合物には、例えば、アルキルオキシシランとその誘
導体が使用でき、好ましくは、例えば、テトラメトキシ
シランtetramethylovthosilicate〔(CH3 O)4
i〕、テトラエトキシシランtetraethylovthosilicate
〔(C2 5 O)4 Si〕、が使用され、また、ヘキサ
メチルジシランhexamethyldisilazane(HMDS)
〔(CH3 3 Si−NH−Si(CH3 3 〕等のシ
ラン化合物が利用される。
【0020】以下に、本発明の製造方法を、各工程に従
って示すと、第1の工程では、第1の基板1と第2の基
板2の接合予定面13、23の何れか又は双方には、予
め、紫外線が照射される。紫外線を照射することによ
り、基板2、3の表面層に励起反応が起こり、基板の表
面が活性化される。紫外線の光源には、紫外線ランプ5
としては、Xe2 エキシマランプ(波長172nmの紫
外線)やAr2 又はKr2 エキシマランプ、ArF又は
KrFなどのエキシマレーザでもよく、シンクロン放射
光、アンジュレータ放射光などが使用される。基板の紫
外線照射による表面活性化は、後に有機シリコン化合物
皮膜の紫外線分解による分解したシリコン酸化物層の基
板に対する接合強度を高める効果がある。
【0021】第2の工程は、接合予定面13、23の何
れかに、特に、紫外線照射により活性化した表面に、上
記の有機シリコン化合物をコーティングして、有機シリ
コン化合物皮膜30を形成する。塗着方法は、スピンコ
ータによるコーティングが、皮膜の厚みの制御と皮膜の
平滑さで、特に好ましい。形成された皮膜の厚みは、
0.1〜5μm程度が好ましい。
【0022】上記の基板の紫外線照射による表面活性化
は、有機シリコン化合物の基板表面での皮膜の安定化に
対しても有効であり、例えば、有機シリコン化合物がテ
トラメトキシシラン(以下、TMOSと称する)である
ときには、TMOSは揮発性が高いので、塗布しても通
常、常温では基板に付着せずコーティングはできないの
であるが、本発明の如く、事前の紫外線照射により基板
表面が活性化されているので、TMOSを容易にコーテ
ィングすることができるのである。
【0023】第3の工程は、第1の基板と、第2の基板
とを、当該接合予定面上の有機シリコン化合物皮膜30
を挟んで、面接して重ね合わせる。次の第4の工程は、
重ね合わせた2枚の基板の接合面の有機シリコン化合物
皮膜30に紫外線ランプ5により第1の基板又は第2の
基板を通して紫外線を照射して、有機シリコン化合物皮
膜30をシリコン酸化物にし、両基板を接合する。これ
により、第1の基板と、第2の基板とが強固に接合され
た複合圧電基板が得られる。
【0024】ここで使用される紫外線は、有機シリコン
化合物皮膜に吸収されて分解する波長域が採用さる。有
機シリコン化合物皮膜30がTMOSである場合につい
て、図2にその吸収スペクトルを示すが、波長約300
nm以下の紫外線を吸収する性質を有する。紫外線ラン
プ5は、波長300nm以下、好ましくは、200nm
の紫外線が使用される。
【0025】有機シリコン化合物皮膜として、例えば、
TMOSを使用して、TMOSの皮膜にに上記波長の紫
外線を照射すると、光化学反応を起こして分解し、TM
OS皮膜はアモルファス状のシリコン酸化物(シリカ)
層(a−SiO2 )となる。図3は、紫外線照射前後で
のTMOS膜の赤外吸収スペクトルの測定結果である
が、紫外線照射前には、吸収スペクトル(図中a曲線)
に、波数2960cm-1、2870cm-1のCーHに関
する吸収ピーク、1195cm-1のC−Oに関する吸収
ピーク、840cm-1のSi−OCH3 に関する吸収ピ
ークが観測されたが、紫外線照射後の吸収スペクトル
(図中b曲線)にはこれらのピークがなく、Si−Oに
関する吸収ピークのみしか観測されない。したがって、
第1および第2の基板は、シリコン酸化物層3をバッフ
ァ層として原子レベルで接合される。
【0026】このようにして、シリコン酸化物層3によ
り接合形成された複合圧電基板9は、接合処理中に高温
に加熱されることがないので、基板1、2は撓みや捻じ
れなどの変形することがなく、基板1、2中に熱歪みが
残ることがなく、第1の基板1の圧電基板の特性を損な
うことがない。また、TMOSなどの有機シリコン化合
物は揮発性を利用して、スパッタや蒸着などで無機の酸
化シリコンなどを成膜した場合に比べて、塗膜を遙かに
薄くすることができるため、界面のバッファ層を極めて
薄くすることができる。本発明の製造方法では、紫外線
照射後のシリコン酸化物層3の厚みは、例えば、10〜
500nm程度にされる(なお、図1及び図4以降の各
図においては、シリコン酸化物層3はその厚みが大きく
誇張されている)。
【0027】また、紫外線による基板表面の励起反応に
より、基板表面が活性化されているため、有機シリコン
化合物皮膜30と基板1、2との付着が分子間力のみで
なく、化学反応をおこすため、接合後のシリコン酸化物
層3と基板表面13、23とは原子レベルでの結合が生
じている。加えて、有機シリコン化合物は、紫外線によ
り光化学反応を起こすため、従来の如くシリコン酸化物
をスパッタリング等の物理的生成法で被着してバッファ
層とした場合より、加熱せず室温においても接合強度が
より強くなることが判っている。すなわち、加熱をせず
室温でも、他の従来法よりも接合力の強い原子レベルの
接合面を有する複合圧電基板を得ることができるのであ
る。
【0028】このような第1の基板に使用される圧電基
板71には、好ましくは、水晶、ニオブ酸リチウム、タ
ンタル酸リチウム、ホウ酸リチウム、ランガサイト等か
ら、その用途により適宜選ばれる。圧電基板には、圧電
セラミックが使用可能あり、これには、PZT、PL
T、PLZTなどがある。
【0029】他方の第2の基板2としては、圧電基板7
1が利用でき、これには、上記第1の圧電基板に使用さ
れる材料が使用可能であり、例えば、水晶、ニオブ酸リ
チウム、ホウ酸リチウム、ランガサイト、圧電セラミッ
クの群から選ぶことができる。第2の基板2の圧電基板
には、第1の基板と同一種類の圧電材料を使用すること
もでき、また、異種の圧電材料を使用することもでき
る。特に、第1の圧電基板が紫外線の透過率の低いもの
である場合には、第2の基板には、紫外線透過率の大き
い圧電材料から選ぶことが好ましい。例えば、第1の圧
電基板1に圧電セラミックが使用される場合には、上記
圧電セラミックは紫外線を透過しないので、第2の基板
には、紫外線に透明な圧電材料が選択される。
【0030】第2の基板には、ガラス基板を利用するこ
ともでき、紫外線の透過率の大きい石英ガラスが好まし
いが、特に限定されずに、他の種類のガラスも使用でき
る。また、第2の基板には、セラミック基板を用いるこ
ともできる。セラミック基板としては、アルミナ基板な
どが好ましく使用される。
【0031】第2の基板に、さらに、金属基板や半導体
基板を使用することができる。有機シリコン化合物を紫
外線分解したアモルファスのシリコン酸化物層は、金属
や半金属に対しても原子レベルの強固な接合力を発現す
るので、金属基板や半導体金属と圧電基板との接合がで
きるのである。
【0032】金属基板としては、銅、燐青銅、黄銅、ア
ルミニウムやその合金、鉄、炭素鋼、ステンレス鋼、ニ
ッケル合金、鉄ーニッケル合金、タンタル、タングステ
ン、チタンなどの基板が利用される。また、半導体基板
には、シリコンが使用され、周期律表 IIIb族〜Vb族
に属する元素の化合物半導体でもよく、例えば、ガリウ
ム砒素、インジウム燐などの半導体が使用される。
【0033】合成樹脂基板には、エポキシ樹脂、アクリ
ル樹脂(特に、メチルメタクリレート樹脂)、液晶ポリ
マ、ジュラコン、フッ素樹脂(テフロンなど)等から成
る基板を用いることができる。
【0034】〔実施の形態1〕まず最初の実施形態につ
いて、本発明の製造方法は、第1の基板1と共に第2の
基板2にも圧電材料を使用して、両基板を接合して、複
合圧電基板を製造する方法に適用される。図1に本発明
の製造方法の工程を、基板断面図で示しており、この図
で、第1の基板1の圧電基板71としてニオブ酸リチウ
ム基板を用い、第2の基板2の圧電基板71としてタン
タル酸リチウム基板を用いた例である。
【0035】先ず、第1の基板1を、表面付着の油脂を
除去するためアセトンにより洗浄したあと、この基板1
に、図1(a)に示すように、紫外線を接合面13に照
射した。紫外線ランプ5としては、波長172nmのX
2 エキシマランプを用いW、紫外線を照射することに
より、基板表面に励起反応により第1の基板の圧電基板
の表面を活性化させた。
【0036】同様に、図1(b)に示すように、第2の
基板2を、油脂などを取り除く洗浄した後、同様に接合
面23に紫外線を紫外線ランプ5により照射した。この
工程により、第2の基板2の圧電基板71を活性化する
ことができた。
【0037】次に、図1(c)に示すように、有機シリ
コン化合物としてテトラメトキシシラン(以下、TMO
S)の有機シリコン化合物皮膜30を第2の基板2の接
合面23にスピンコータを用いてコーティングした。T
MOSは揮発性が高いので、通常室温では基板に付着せ
ず殆どコーティングはできないのであるが、予め紫外線
照射により基板表面が活性化されているので、TMOS
の皮膜30の安定形成が容易であった。
【0038】次に、図1(d)に示すように、有機シリ
コン化合物皮膜30をコーティングした第2の基板2
に、第1の基板の紫外線を照射した面13が有機シリコ
ン化合物皮膜30の上に接するように、第1の圧電基板
1を重ね合わせた。重ね合わせた2枚の基板の接合界面
に、第1の圧電基板の表面側から波長300nm以下の
紫外線ランプ51により紫外線を照射して、有機シリコ
ン化合物皮膜6を分解させ硬化させた。これにより、シ
リコン酸化物層3をバッファ層として形成し、第1およ
び第2の圧電基板1、2を接合して(図1(e))、複
合圧電基板9とした。
【0039】このようにして作成した複合圧電基板9
は、基板中に熱歪みが残ることがなく、圧電基板の特性
を損なうことなく、加熱をせず室温の処理でも、他の方
法よりも接合力の強い原子レベルの接合面を有する複合
圧電基板を得ることができた。
【0040】上述の方法で作成した複合単結晶圧電基板
9は、種々の用途に用いられる。具体的には、例えば、
図4に示す様な圧電振動子91がある。図4において、
図1と同様、第1および第2の基板1、2は、いずれも
単結晶の圧電基板71、71であり、シリコン酸化物層
3により接合されて、その両面に励振用電極6が形成さ
れている。このように複合単結晶圧電基板の両面に対向
電極を設けることにより、単一基板では得られない種々
の特性を有する単結晶圧電振動子が得られる。例えば第
1および第2の基板1、2に温度係数の異なる材料を組
み合わせて、振動子として温度依存性を変えることがで
き、また、電気機械結合係数の大きなものと温度依存性
の小さい基板を組み合わせることにより、電気機械結合
係数がある程度大きくて、温度依存性の比較的小さい振
動子を得ることもできる。
【0041】〔実施の形態2〕次の実施の形態として、
本発明の製造方法は、第2の基板2にガラス基板72を
適用することができる。図5に本発明の製造方法により
得られる複合圧電基板の構造の断面構造を示すが、図5
において、第1の基板1は水晶基板を用い、第2の基板
はガラス基板72とし、両基板の間に有機シリコン化合
物皮膜30を形成して、紫外線照射の光化学反応により
シリコン酸化物層3を生成させて両基板1、2を接合し
た構成の複合単結晶圧電基板9を示している。
【0042】図5のような構造の複合圧電基板の製造方
法の実施例を以下に示す。まず、第1の基板1として、
水晶基板を、その表面の油脂などの有機物をアセトンを
使用して取り除くために洗浄し、表面活性化のためにX
2 エキシマランプ5を用いて紫外線を接合予定面に照
射した。第1の基板の表面が活性化された。同様に、第
2の基板として、ガラス基板72について洗浄と表面の
紫外線照射をおこなった。
【0043】次いで、TMOSからなる有機シリコン化
合物皮膜30を、ガラス基板72の接合予定面にスピン
コータを用いコーティングした。有機シリコン化合物皮
膜30をコーティングしたガラス基板72に、第1の基
板1である水晶基板を重ね合わせ、水晶基板の紫外線を
照射した面が、有機シリコン化合物皮膜30の上に接す
るようにした。
【0044】重ね合わせた2枚の基板の接合面に、ガラ
ス基板72の外側から紫外線ランプ5により紫外線を照
射して、有機シリコン化合物皮膜30をアモルファスシ
リコン酸化物層3とし、シリコン酸化物層3をバッファ
層として水晶基板の表面がガラス基板72と接合され
た。
【0045】ガラス基板としては、紫外線を透過する石
英ガラスが望ましいが、照射時間を長くすれば一般のガ
ラスでも可能である。あるいは、紫外線は、圧電基板側
から照射しても良い。本製造方法で得られた接合界面
は、室温で接着剤を用いずに原子オーダーの接合が得ら
れるため、熱的変化や機械的振動に対して安定な複合単
結晶圧電基板が得られた。
【0046】このような複合基板は、例えば、図6に示
すように、保持構造に優れ、熱的、機械的に安定な圧電
振動子91として用いられる。図6において、第1の基
板1は水晶発振子用の水晶基板であって、その両面に励
振電極6、6を有しており、この第1の基板1は励振電
極6、6部の板厚を残余の部分の板厚よりも小さくする
ための凹部15、15を上下両板面に形成してある。こ
の凹部15、15は、水晶基板71の両板面の各励振部
にエッチング加工を施すことによって形成したものであ
り、この凹部15、15内の両面に導電膜からなる励振
電極6、6が設けられている。
【0047】図6の振動子91では、水晶基板71の両
面に、第2の基板である2枚のガラス基板72、72を
使用し、これらの2枚のガラス基板は、第1の基板の表
面縁部16、16、即ち、振動子の水晶基板の縁部で接
合して保持するとともに、同時に、第1の基板の水晶基
板の励振電極6、6を有する振動部は、2枚のガラス基
板72、72により密封されており、パッケージをも兼
ねている。
【0048】このような励振部を有する第1の基板1で
ある水晶基板は、実施の形態1で示したように、圧電基
板71の両面の縁部に紫外線を照射して表面活性化させ
たあと、有機シリコン化合物を塗布して有機シリコン化
合物皮膜30を形成し、次いで、水晶基板には、その両
面に第2の基板2、2であるガラス基板72、72を面
接し、ガラス基板側から紫外線を照射する。有機シリコ
ン化合物皮膜30は、アモルファス状のシリコン酸化物
層3になり、シリコン酸化物層3を介してガラス基板7
2、72と両面で直接接合し、これにより、3層の基板
が固定保持されて、圧電振動子91とされている。
【0049】従来の接着剤を用いての固着では、熱的お
よび機械的安定性に問題があり、特に、水晶のように機
械的品質係数が高い圧電基板を用いて圧電振動子を作成
する場合、水分などの影響で振動周波数が変動するため
振動部を気密封止する必要がある。このような場合、パ
ッケージを接着剤等を用いて封止すると、接着剤層に含
有・吸着されている様々な物質が脱離して水晶板に吸着
されやすく、この吸着によって共振周波数が所定値から
シフトする危険がある。さらに、接着剤層から発生した
反応性ガスによって水晶板や励振用電極を腐食させる危
険もある。これに対して、本発明の方法によれば、図6
に示すように直接接合での気密封止を行うので、このよ
うな問題がなく、常温で接合するので、加熱を必要とせ
ず、強い接合力が得られるので、圧電基板とガラス基板
の熱膨張率に差があっても何ら支障がない。図6に示す
直接接合での気密封止は、このように好ましい特性が得
られる。
【0050】〔実施の形態3〕別の実施の形態として、
本発明の製造方法は、第2の基板に半導体基板74を使
用することができる。図7にこの実施形態の複合圧電基
板の構造の断面構造を示す。図7において、第1の基板
1は水晶を用い、接合する一方の第2の基板2には半導
体基板74としてシリコン基板を用い、両者を有機シリ
コン化合物を光化学反応して生成したアモルフアスのシ
リコン酸化物層3により接合したものである。
【0051】図7において、まず、第1の基板1である
水晶基板をその表面の油脂などの有機物を取り除く洗浄
を行い、Xe2 エキシマランプの紫外線を接合予定面に
照射した。同様に、予め表裏に貫通する開口部20を形
成した半導体基板74を洗浄をしたのち紫外線を紫外線
ランプにより照射した。この工程により水晶基板と半導
体基板74の表面を活性化した後、TMOSからなる有
機シリコン化合物皮膜30を半導体基板74の接合予定
面にコーティングして成形した。
【0052】次いで、有機シリコン化合物塗膜30をコ
ーティングした半導体基板74に、水晶基板1を重ね合
わせ、水晶基板の紫外線照射による活性化した面が、有
機シリコン化合物塗膜30の上に接合するようにした。
重ね合わせた2枚の基板の接合界面に、水晶基板71を
通して紫外線ランプ5により紫外線を照射した。有機シ
リコン化合物は光化学反応によりシリコン酸化物層3に
なり、接合された。なお、有機シリコン化合物皮膜30
は圧電基板71、半導体基板72のいずれにコーティン
グしてもよく、また両方の接合面にコーティングしても
よい。本製造方法で得られた接合界面は、室温で接着剤
を用いずに原子オーダーの接合が得られるため、熱的変
化や機械的振動に対してて安定な複合単結晶圧電基板が
得られた。
【0053】このような構成の複合単結晶圧電基板9
は、例えば、図8に示すように、トランジスタなどの電
子素子または電子回路の形成された半導体基板74に圧
電素子を一体化した電子−音響集積回路などへ適用で
き、保持構造に優れ、熱的、機械的に安定な圧電振動子
91として用いられる。
【0054】図8において第1の基板1は、圧電基板7
1として発振素子用の水晶基板であり、励振電極6、6
を有している。第2の基板2である半導体基板74には
開口部20が設けられて、励振部に対する空間を形成
し、且つ開口部20による励振電極6とのリード線の取
り合わせを確保している。半導体基板として用いたシリ
コン結晶は、異方性エッチングなどにより貫通孔を形成
して、開口部20に形成することができ、精密加工性に
富む。
【0055】第1の基板1である励振部を有する水晶基
板は、有機シリコン化合物を光化学反応させたシリコン
酸化物層3を介して半導体基板74と直接接合されて、
保持されている。半導体基板にトランジスタなどの電子
素子または電子回路を形成してある場合には、素子特性
への影響を与えるような加熱を行うことは好ましくない
のであるが、本発明は非加熱的な直接接合を利用するの
で、このような問題がなく、様々な電子素子を形成した
半導体基板に圧電基板を保持できる。
【0056】〔実施の形態4〕別の実施形態は、本発明
の製造方法を、第2の基板2として、金属基板73に適
用するものである。第4の実施例として、図9に本発明
の製造方法により得られる複合圧電基板の構造の断面構
造を示す。図9において、複合圧電基板9は、第1の基
板1はニオブ酸リチウム基板を用い、接合する一方の第
2の基板2は、金属基板73として燐青銅を用い、シリ
コン酸化物層3は有機シリコン化合物を光化学反応させ
て形成したものである。
【0057】図9において、まず、第1の基板1として
圧電基板71であるニオブ酸リチウム基板を表面の油脂
などの有機物を取り除く洗浄を行い、次いで、Xe2
キシマランプを用い172nmの紫外線を接合予定面に
照射して圧電基板の表面の活性化をした。同様に、第2
の基板2である金属基板73にも、洗浄と紫外線照射し
て表面活性化した。次いで、TMOSからなる有機シリ
コン化合物皮膜30を金属基板73の接合予定面にスピ
ンコータを用いて形成した。
【0058】有機シリコン化合物塗膜30をコーティン
グした金属基板73に、圧電基板71を重ね合わせた。
圧電基板1の紫外線を照射した面が、有機シリコン化合
物皮膜の上に接するようにした。重ね合わせた2枚の基
板の接合界面に圧電基板1側から紫外線ランプ5により
紫外線を照射した。有機シリコン化合物皮膜30は光化
学反応によりシリコン酸化物層3になり、シリコン酸化
物層3をバッファ層として原子レベルで接合された。
【0059】なお、有機シリコン化合物皮膜は圧電基
板、金属体のいずれにコーティングしてもよく、また両
方の接合面にコーティングしてもよい。
【0060】このような圧電基板と金属基板との組合せ
の複合単結晶圧電基板は、例えば、図10に示すように
第2の基板2である金属基板73の対向する主面に2つ
圧電基板71を第1の基板1、1として接合し、圧電基
板71の主面に電極6、6を形成した、熱的、機械的に
安定で接合部の損失の少ない圧電バイモルフ素子として
構成したものがある。このような構成の圧電バイモルフ
素子は、アクチュエータとして用いることができる。金
属基板は弾性に富むのでアクチュエータとして駆動させ
るには好適である。また、図9の様な構造では、金属基
板73を、圧電基板71の電極として併用することがで
きる利点がある。
【0061】従来のアクチュエータは、圧電基板は、各
種接着剤を用いて保持部に固定するのが普通であるが、
接着剤を用いての固着は、熱的および機械的安定性に問
題がある。また、接着剤は金属体や圧電基板に比べて柔
らかいので、振動駆動力が接着層に吸収され効率が低下
するという問題がある。しかし、本発明の如く、図10
に示す直接接合では、シリコン酸化物層3を介して金属
基板73と直接接合されて、接合が原子レベルで行なわ
れるので、振動駆動力が接着層で損失になることがない
ため、このような問題がなく、効率の高いアクチュエー
タが実現できる。また、金属基板と圧電基板との接合で
は、両者には熱膨張率の差が大きくても、製造工程で、
加熱することがないため、熱歪みの影響を受けることが
ない。
【0062】〔実施の形態5〕別の実施形態は、本発明
の製造方法を、第2の基板として、合成樹脂基板75に
適用するものである。図11には、本発明の製造方法に
より得られる複合圧電基板の構造の実施例の断面構造を
示す。図11において、第1の基板1はニオブ酸リチウ
ムを用い、接合する一方の第2の基板2は樹脂基板74
を用い、シリコン酸化物層3は有機シリコン化合物を光
化学反応して形成したものである。
【0063】図11のような構造の複合圧電基板の製造
方法を説明する。まず、第1の基板の圧電基板71をそ
の表面の油脂などの有機物を取り除くために洗浄し、紫
外線光源としてはXe2 エキシマランプ5を用いて、波
長172nmの紫外線を照射した。同様に、樹脂基板7
4についても、洗浄をし、同様に紫外線照射した。この
工程により、圧電基板71と樹脂基板74との表面を活
性化した。
【0064】次いで、TMOSからなる有機シリコン化
合物皮膜を、第2の基板2の樹脂基板74の接合予定面
にコーティングし、第1の基板1の圧電基板1にその有
機シリコン化合物皮膜3に紫外照射面が接するように第
2の基板2を重ね合わせた。重ね合わせた2枚の基板
1、2の接合界面に、圧電基板1を通して紫外線ランプ
51により紫外線を照射し、有機シリコン化合物皮膜3
0は光化学反応によりシリコン酸化物層3になりバッフ
ァ層として圧電基板71と樹脂基板74とは、強度に接
合された。
【0065】このような構成の複合単結晶圧電基板は、
例えば、図12に示すような、保持構造に優れ、熱的、
機械的に安定な圧電振動子として用いられる。このよう
な構成の複合単結晶圧電基板は、例えば、トランジスタ
などの電子素子または電子回路の形成された樹脂基板7
4に圧電素子を一体にした電子ー音響集積回路などへ適
用することができる。
【0066】図12に示す例の複合圧電基板は、圧電基
板1が水晶基板であって、励振電極6、6を表面に有し
ており、第2の基板2には、樹脂基板74を利用し、励
振電極の背後の位置に開口部20が設けられている。樹
脂基板74には、エポキシ樹脂が使用され、開口部は、
硬化した樹脂基板の機械加工などにより成形される。
【0067】励振部を有する圧電基板1は、有機シリコ
ン化合物を光化学反応させたシリコン酸化物層4を介し
て第2の基板2である樹脂基板74と直接接合されて、
保持されている。樹脂基板は耐熱性が低いため、加熱す
ると変形するなどの問題があり、また、樹脂基板にトラ
ンジスタなどの電子素子または電子回路を実装してある
場合には、素子特性への影響を与えるような加熱を行う
ことは好ましくない。図11に示す直接接合では、この
ような問題がなく、様々な電子素子を実装した樹脂基板
に直接的に圧電基板を配置して接合することができる。
【0068】
【発明の効果】本発明の複合基板製造方法は、2つ以上
の基板の接合面を、有機シリコン化合物皮膜が紫外線を
照射して分解して成るシリコン酸化物層によって、接合
させるものであるから、非加熱的な常温での処理だけで
両基板に強度の接合力を発現させることができ、機械的
振動等に対する信頼性の高い複合基板やこれを利用した
圧電デバイスが得られる。
【0069】本発明の製造方法は、従って、加熱処理を
必要としないので、熱歪みを基板内に残留させることが
なく、熱膨張率の異なる基板同士でも、加熱することが
ないため、変形を伴うこともなく、加熱に伴うデバイス
の破損や寿命低下などを有効に防止できる。また、本製
造方法で得られた接合界面は、室温で接着剤を用いずに
原子レベルの接合が得られるため、接着剤を用いた場合
より熱的、機械的安定性に優れた複合基板を得ることが
できる。
【0070】本発明の製造方法は、有機シリコン化合物
の分解過程でのシリコン酸化物層による原子レベルでの
接合力を利用するので、第2の基板には、金属、半導
体、合成樹脂の基板も利用することができ、これによ
り、金属基板や合成樹脂基板に圧電素子を直接に形成す
ることができ、相接合する2つの基板の選択性の極めて
高い複合圧電基板が得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例の複合圧電基板の製造工程を示
す基板断面図。
【図2】本発明に用いる有機シリコン化合物の光吸収ス
ペクトルを示す図である。
【図3】本発明の有機シリコン化合物(図中a曲線)と
シリコン酸化物(図中b曲線)の赤外吸収スペクトルを
示す図である。
【図4】本発明の実施例に係る複合圧電基板の概念的断
面図である。
【図5】本発明の実施例に係る複合圧電基板の図4同様
図。
【図6】本発明の実施例に係る複合圧電基板を利用した
振動子の断面図。
【図7】本発明の実施例に係る複合圧電基板の図4同様
図。
【図8】本発明の実施例に係る複合圧電基板を利用した
振動子の断面図。
【図9】本発明の実施例に係る複合圧電基板の図4同様
図。
【図10】 本発明の実施例に係る複合圧電基板の図4
同様図。
【図11】本発明の実施例に係る複合圧電基板の図4同
様図。
【図12】 本発明の実施例に係る複合圧電基板を利用
した振動子の断面図。
【符号の説明】
1 第1の基板 2 第2の基板 20 開口部 3 シリコン酸化物層 30 有機シリコン化合物皮膜 5 紫外線ランプ 6 励振電極 71 圧電基板 72 ガラス基板 73 金属基板 74 合成樹脂基板 9 複合圧電基板 91 振動子
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 冨田 佳宏 大阪府門真市大字門真1006番地 松下電器 産業株式会社内 (72)発明者 川崎 修 大阪府門真市大字門真1006番地 松下電器 産業株式会社内

Claims (11)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 第1の基板としての圧電基板と第2の基
    板との接合予定面に紫外線を照射する工程と、紫外線を
    吸収してシリコン酸化物に分解する有機シリコン化合物
    を該第1及び第2の基板の接合予定面の少なくとも一方
    にコーティングする工程と、第1の圧電基板と第2の基
    板とを重ね合わせる工程と、重ね合わせた第1及び第2
    の基板の間の有機シリコン化合物皮膜に紫外線を照射し
    て両基板を接合する工程と、を含むことを特徴する複合
    圧電基板の製造方法。
  2. 【請求項2】 第1の基板が、水晶、ニオブ酸リチウ
    ム、タンタル酸リチウム、ホウ酸リチウム、ランガサイ
    ト、圧電セラミックの群から選ばれた圧電基板であるこ
    とを特徴とする請求項1に記載の複合圧電基板の製造方
    法。
  3. 【請求項3】 有機シリコン化合物が、テトラメトキシ
    シランであることを特徴とする請求項1に記載の複合圧
    電基板の製造方法
  4. 【請求項4】 第2の基板が、圧電基板であることを特
    徴とする請求項1に記載の複合圧電基板の製造方法
  5. 【請求項5】 第2の基板としての圧電基板が、水晶、
    ニオブ酸リチウム、タンタル酸リチウム、ホウ酸リチウ
    ム、ランガサイト、及び圧電セラミックスの群から選ば
    れた圧電基板であることを特徴とする請求項4に記載の
    複合圧電基板の製造方法。
  6. 【請求項6】 第2の基板が、ガラス基板であることを
    特徴とする請求項1に記載の複合圧電基板の製造方法。
  7. 【請求項7】 第2の基板が、セラミック基板であるこ
    とを特徴する請求項1に記載の複合圧電基板の製造方
    法。
  8. 【請求項8】 第2の基板が、半導体基板であることを
    特徴とする請求項1に記載の複合圧電基板の製造方法。
  9. 【請求項9】 半導体基板が、シリコン半導体又は周期
    律表の3族、4族若しくは5族の元素を含む化合物半導
    体から成ることを特徴とする請求項8に記載の複合圧電
    基板の製造方法。
  10. 【請求項10】 第2の基板が、金属基板であることを
    特徴する請求項1に記載の複合圧電基板の製造方法。
  11. 【請求項11】 第2の基板が、樹脂基板であることを
    特徴する請求項1の複合圧電基板の製造方法。
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