JPH10295298A - クロレラ入食品 - Google Patents

クロレラ入食品

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JPH10295298A
JPH10295298A JP9106887A JP10688797A JPH10295298A JP H10295298 A JPH10295298 A JP H10295298A JP 9106887 A JP9106887 A JP 9106887A JP 10688797 A JP10688797 A JP 10688797A JP H10295298 A JPH10295298 A JP H10295298A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 舌触りが良く、食感、食味、保存性に優れた
クロレラ入食品の提供を目的とする。 【解決手段】 穀物粉と、培養水中に、クロレラの若藻
細胞がその細胞膜の形状を保持しかつ活性状態で含有さ
れているクロレラ培養液とを、混捏した生地より製造さ
れたことを特徴とする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、麺類や餃子の皮
等のように、穀物粉を混捏した生地から製造され、クロ
レラが配合されたクロレラ入食品に関する。
【0002】
【従来の技術】クロレラは、広く淡水に自生し体内に葉
緑体をもつ単細胞緑藻類であって、高等植物の100倍
以上の光合成能力があり、蛋白質に富む他、脂肪、炭水
化物、ビタミン類、核酸などの栄養素を多く含んでい
る。また、繁殖速度が極めて早く人工培養も可能である
ため、そのまま健康食品として利用する他、栄養強化を
目的として各種食品に添加して広く利用されている。
【0003】また、クロレラには、食品のこしを強くし
たり味をまろやかにして旨味を増す整味作用や、腐敗し
にくくする作用があるため、うどんや中華麺等の各種麺
類の製造においては、栄養価の点からだけでなく、食
感、食味、保存性等を改善するためにも用いられている
(特開昭49−118848号、特開平4−4854号
等)。これらの麺類において、クロレラはいずれも乾燥
粉末として配合されている。乾燥粉末は、長期保存が効
き嵩も低く保管性に優れているため、工場生産の麺製造
にも適用しやすいという利点がある。
【0004】また一般に、前記クロレラの乾燥粉末は次
のような方法で製造されている。
【0005】(1) 水槽に、培養基を含む培養水と別途培
養した種クロレラを入れ、撹拌しながらクロレラの細胞
を培養する。このとき、クロレラの繁殖状況により適宜
大きな水槽に移し変える。
【0006】(2) 約1ケ月間培養して、クロレラ細胞濃
度が十分になったとき、培養液を遠心分離器にかけて濃
縮し、さらに濃縮液を水で洗浄する。遠心分離と水洗浄
を反復して行うことにより、不純物や細菌類を除去す
る。
【0007】(3) 濃縮液を加熱処理して、殺菌および脱
臭を行う。
【0008】(4) 熱風中に濃縮液を霧状に噴射して瞬間
的に粉末化する。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、前述の
クロレラ入麺類では、クロレラを乾燥粉末として麺生地
に練り込んで使用するため、麺のなめらかさが不十分で
舌触りが悪いという問題点があった。また、嗜好の多様
化によりさらにこしが強く旨味のある麺、あるいは衛生
上や流通の利便性の観点から、保存性の良い麺が望まれ
ている。
【0010】ところで、麺生地に練り込んだクロレラ粉
末が舌触りを悪くしているということは、麺生地にクロ
レラ粉末が完全に溶解していないということである。前
述した乾燥粉末の製造方法を勘案すると、クロレラの細
胞膜は1ケ月という長期培養によって厚膜化し、さらに
加熱乾燥により凝縮されて非常に固くなっていると考え
られる。このような細胞膜は、不溶性で麺生地になじみ
にくいため、麺の舌触りを悪化させているのも当然の結
果と言える。また、固い細胞膜は舌触りを悪化させてい
るだけでなく、食べても消化されにくくクロレラ本来の
優れた栄養価が十分に活用されていないと推測される。
また、麺生地へのなじみが悪いため、食感、食味、保存
性等の向上効果も十分に活用されていないと推測され
る。
【0011】この発明は、このような技術背景に鑑み、
舌触りが良く、食感、食味、保存性に優れたクロレラ入
食品の提供を目的とする。
【0012】
【課題を解決するための手段】この発明のクロレラ入り
食品は、前記目的を達成するために、穀物粉と、培養水
中に、クロレラの若藻細胞がその細胞膜の形状を保持し
かつ活性状態で含有されているクロレラ培養液とを、混
捏した生地より製造されたことを特徴とするものであ
る。
【0013】また、前記クロレラ入食品において、前記
クロレラ培養液は、1リットル中に1億個以上のクロレ
ラの若藻細胞を含有することが好ましい。さらに、前記
穀物粉25kgに対し、前記クロレラ培養液3〜25リ
ットルを配合することが好ましい。
【0014】この発明においては、小麦粉、蕎麦粉、米
粉等の各種穀物粉を単独または2種以上を混合した材料
粉を液体で混捏した生地から製造される食品を対象とす
る。具体的には、生地を細く紐状に加工した中華麺、う
どん、そうめん、蕎麦、スパゲティ、ビーフン等の麺
類、生地をシート状に薄く延ばした餃子、焼売、春巻等
の皮等である。
【0015】また、クロレラ源として、従来の乾燥粉末
に代えて、クロレラ培養液を用いる。このクロレラ培養
液は、培養基を含む培養水中でクロレラ細胞を培養して
繁殖させたものであって、細胞を分離することなく培養
水をも含んだ液体である。このような培養液において、
クロレラ細胞は細胞分裂後あまり日数の経過していない
若藻細胞であり、しかも細胞膜がその形状を保持し原形
質を保有している状態、即ち細胞が生きて活性のある状
態のものを使用する必要がある。若藻細胞は、細胞膜が
極めて薄く柔軟であり破れ易いため、消化吸収性に優れ
ている。乾燥粉末の消化率が45%程度であるの対して
クロレラ培養液は80%程度消化吸収される。また、細
胞分裂の際に原形質が細胞外に吐出されるが、培養液に
はこの吐出された原形質も含まれており、クロレラの繁
殖過程で生産される栄養分を余すことなく利用すること
ができる。
【0016】このようなクロレラ培養液は、クロレラ細
胞のみを分離せず培養水をも食するのであるから、培養
基として食用できるものを使用し、清浄な環境で培養す
る必要がある。具体的には、特公昭53−28513号
に記載された「飲用し得るクロレラの培養方法」により
製造された培養液を推奨できる。この方法は、培養基と
して食用酢と醤油を用い、撹拌しながら間欠的に加温す
ることにより短期間に細胞を増殖させるというものであ
る。約5日間で1リットルあたり細胞数約100億個以
上に培養することができ、このような短期間の培養であ
るから、培養初期に生産された細胞でも十分に若く、こ
の発明に示す細胞膜の形状を保持した状態を維持してい
る。また、食用に際しては適宜紫外線等で殺菌を行うこ
とが好ましい。
【0017】前記クロレラ培養液において、1リットル
あたりクロレラ細胞数を1億個以上に増殖させたものが
好ましい。これより細胞数が少なくなると、食品の食
感、食味、保存性等を向上させる効果に乏しくなるから
である。特に10億個以上が好ましい。なお、前記クロ
レラ培養液は、その重量の多くは水分であり、水分を除
去した無水物には、クロレラ細胞の他、細胞分裂に際に
放出した原形質、培養基が含まている。
【0018】また、穀物粉とクロレラ培養液との割合
は、穀物粉25kgに対してクロレラ培養液3〜25リ
ットルが好ましい。この範囲よりも培養液が少ないと食
品の食感、食味、保存性等を向上させる効果に乏しく、
一方、多すぎると前記効果が飽和して経済的に不利であ
る。また、前述したようにクロレラ培養液の大部分は水
分であるから、クロレラ培養液の配合上限値は製造する
食品の生地製造に必要な水分量によって自ずと制限され
るし、かん水、卵等他の配合材料に含まれる水分量によ
っても制限される。クロレラ培養液の最適量の例とし
て、中華麺で7〜11リットル、餃子の皮で6〜10リ
ットルの配合量を挙示できる。なお、クロレラ細胞濃度
の高い培養液を使用する場合は、前記効果を低減させな
い範囲で適宜希釈して使用することも可能である。
【0019】この発明のクロレラ入食品において、クロ
レラ源と使用する培養液は、クロレラが細胞膜の形状を
保持し活性のある若藻細胞として存在しているため、ク
ロレラは穀物粉に対してなじみ易くかつ消化吸収性も良
い。その結果、食品は舌触りがなめらかになり、高い栄
養価が得られる。また、穀物粉になじみ易く活性のある
クロレラ細胞であることに加えて、細胞のみを分離せず
培養水も使用するため、細胞分裂の際に吐出される原形
質も余すことなく食品に配合されることとなり、栄養価
に富み、クロレラ特有の食味、食感、保存性の向上効果
が十分に発揮され、これらの性質が向上する。
【0020】
【実施例】次に、この発明にかかるクロレラ入食品の具
体的実施例について説明する。
【0021】食品例として中華麺を製造した。また、こ
の発明の比較例として従来より製造されている乾燥クロ
レラ入食品を製造した。
【0022】実施例において、クロレラ培養液として、
市販品の液状生クロレラ(商品名「クロレラ100」、
有限会社生クロレラフーズ製)を使用した。このクロレ
ラ培養液は、前述の特公昭53−28513号に記載さ
れた方法にもとづき製造され、さらに紫外線殺菌を施し
たものである。このクロレラ培養液中には、1リットル
あたり約114億個のクロレラ細胞が含有され、成分分
析値は表1に示すとおりである。また食品の衛生基準に
おいて、総フェオホルバイドを検出せず、清涼飲料水の
成分規格(混濁、沈殿物、ひ素、鉛、カドミウム、ス
ズ、大腸菌群)の各項目に合格したものである。
【0023】
【表1】
【0024】また、比較例では、クロレラ乾燥粉末とし
て、市販品(商品名「サンクロレラ」、サンクロレラ社
製)を用いた。
【0025】(麺の製造)実施例において、小麦粉25
kg、前記クロレラ培養水7.5リットル、かん水2リ
ットルを配合し、常法により混捏して麺生地を製造し
た。この麺生地を圧延機にかけて麺帯を作り、さらに線
状に切り出して、中華麺とした。
【0026】また、比較例においては、前記クロレラ培
養水に代えてに7.5gのクロレラ乾燥粉末と水7.5
リットルを使用し、その他の配合品、製麺工程は実施例
と同じ方法により中華麺を製造した。
【0027】これらの中華麺について、外観、保存性、
食感、食味の各項目について次の方法で比較した。
【0028】(外観)製麺直後に目視観察したところ、
本発明品は、均一な淡い緑色を呈しているのに対し、比
較例は全体が黒っぽい緑色でところどころに濃い緑の斑
点が認められ、一見してクロレラ乾燥粉末が溶けていな
いことが分かった。
【0029】(保存性)各中華麺を生麺の状態で約9℃
の冷蔵庫内および最高気温約20℃、最低気温約10℃
の室内に置き、麺の保存性について調べた。表2に結果
を示す。
【0030】
【表2】
【0031】(食感、食味)製造から24時間を経過し
た麺を茹で、100人に試食させて官能テストを行っ
た。評価は、こし(歯応え)、舌触り(なめらかさ)、
旨味についてそれぞれ10点満点で採点するものとし
た。点数の平均値を表3に示す。
【0032】
【表3】
【0033】表2および表3の結果から明らかなよう
に、クロレラ培養液を配合した本発明の実施例は、腐敗
しにくく保存性に優れていた。また、食してこしがあ
り、舌触りがなめらかで旨味があり、食味、食感にも優
れたものであった。
【0034】
【発明の効果】以上の次第で、この発明のクロレラ入り
食品は、穀物粉と、培養水中に、クロレラの若藻細胞が
その細胞膜の形状を保持しかつ活性状態で含有されてい
るクロレラ培養液とを混捏することにより製造されてい
るため、舌触りがなめらかになり、クロレラ本来の特有
の高い栄養価が得られるとともに、クロレラ特有の食
味、食感、保存性の向上効果も十分に発揮される。
【0035】また、前記クロレラ培養液として、1リッ
トル中に1億個以上のクロレラの若藻細胞を含有するも
のを使用した場合は、特に前記各効果が顕著である。
【0036】また、前記穀物粉25kgに対し、前記ク
ロレラ培養液3〜25リットルを配合した場合もまた、
特に前記各効果が顕著である。

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 穀物粉と、培養水中に、クロレラの若藻
    細胞がその細胞膜の形状を保持しかつ活性状態で含有さ
    れているクロレラ培養液とを、混捏した生地より製造さ
    れたことを特徴とするクロレラ入食品。
  2. 【請求項2】 前記クロレラ培養液は、1リットル中に
    1億個以上のクロレラの若藻細胞を含有する請求項1に
    記載のクロレラ入食品。
  3. 【請求項3】 前記穀物粉25kgに対し、前記クロレ
    ラ培養液3〜25リットルを配合する請求項1または2
    に記載のクロレラ入食品。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
KR100411632B1 (ko) * 2001-11-24 2003-12-18 인만진 클로렐라를 첨가한 김치 조성물
WO2009020128A1 (ja) * 2007-08-06 2009-02-12 Sun Chlorella Corp. クロレラ抽出物含有物及びその保存安定性向上法

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