JPH10292110A - 層状ポリマー構造物 - Google Patents

層状ポリマー構造物

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JPH10292110A
JPH10292110A JP9325422A JP32542297A JPH10292110A JP H10292110 A JPH10292110 A JP H10292110A JP 9325422 A JP9325422 A JP 9325422A JP 32542297 A JP32542297 A JP 32542297A JP H10292110 A JPH10292110 A JP H10292110A
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JP
Japan
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group
fluorine
block polymer
polymer
substrate
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Withdrawn
Application number
JP9325422A
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English (en)
Inventor
Nobutaka Shimamura
信孝 嶋村
Kazuo Shiraki
一夫 白木
Hideo Takeuchi
秀夫 竹内
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Fujifilm Wako Pure Chemical Corp
Original Assignee
Wako Pure Chemical Industries Ltd
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Publication date
Application filed by Wako Pure Chemical Industries Ltd filed Critical Wako Pure Chemical Industries Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 例えば熱可塑性樹脂,熱硬化性樹脂,金属,
ガラス,紙等の基材に、撥水性,耐候性,耐薬品性及び
耐汚染性等を付与し得る基材の改質方法、並びに撥水
性、耐候性、耐薬品性、耐汚染性及び接着性等に優れ、
表面層と基材層とが強固に接着して成る新規な層状構造
物の提供。 【解決手段】 フッ素含有マクロアゾ化合物及び/又は
フッ素含有ブロックポリマーで処理することを特徴とす
る、基材の改質方法、及び該改質方法を用いて得られる
層状構造物。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、例えば熱可塑性樹脂,
熱硬化性樹脂,金属,ガラス,紙等の基材に、撥水性,
耐候性,耐薬品性及び耐汚染性等を付与し得る基材の改
質方法、並びに撥水性,耐候性,耐薬品性,耐汚染性及
び接着性等に優れた新規な層状構造物に関する。
【0002】
【従来の技術】塩化ビニル樹脂、メタクリル樹脂、ポリ
スチレン、ポリカーボネート、AS樹脂、ポリアセター
ル、ポリエステル、ナイロン樹脂等の合成樹脂は、一般
に強度、耐水性等に優れた性質を示し、成形材料等に広
く使用されている。なかでも塩化ビニル樹脂、メタクリ
ル樹脂、ポリスチレン、ポリカーボネート、ポリエステ
ル、AS樹脂等は、光透過性に優れ、シートやガラス代
用の板として数多く使用されている。しかしながら、こ
れら汎用の樹脂は一般に対水接触角が小さい。そのた
め、例えば塩化ビニル樹脂やポリカーボネート等を用い
てビニールハウスシートを製造した場合、水蒸気が内部
に結露し、光透過率の低下を生じる。また、大気汚染や
静電気等のためにシート表面が汚れやすい。しかも、こ
の汚れを落とすために、シート表面を洗浄すると表面に
傷がつき、また、透明性が低下するという問題点を有し
ている。
【0003】このような問題点を解決するために、樹脂
に撥水性を付与させる方法が開発された(特開昭63-945
03号公報、特開昭63-6045号公報、特開平7-102210号公
報、特開平7-41582号公報等)。特開昭63-94503号公報
及び特開昭63-6045号公報には、塩化ビニル樹脂にポリ
シロキサンを添加する方法、或いは塩化ビニル樹脂にシ
リコーンをスプレーする方法が記載されている。しかし
ながら、塩化ビニル樹脂にポリシロキサンを添加する方
法では、相溶性のない塩化ビニル樹脂とポリシロキサン
を混合する必要があり、そのため、ポリシロキサンが樹
脂表面に浮きだし、耐候性及び耐薬品性の低下の原因と
なっている。また、塩化ビニル樹脂にシリコーンをスプ
レーする方法では、耐薬品性及び耐候性がむしろ低下す
るという問題点を有している。
【0004】一方、特開平7-102210号公報には、塩化ビ
ニル系のブロックポリマーを塩化ビニル樹脂にコートす
る方法が、また、特開平7-41582号公報には、ポリオル
ガノシルセスキオキサンマクロモノマーとポリジアルキ
ルシロキサンマクロモノマー及びビニルモノマーとの3
元共重合体をコートした後、3次元硬化する方法が記載
されている。
【0005】特開平7-102210号公報に記載の方法は、塩
化ビニル系のブロックポリマーを塩化ビニル樹脂のよう
な同種の樹脂にコートする処理方法であるが、該ブロッ
クポリマーの合成には毒性が強く、常温で気体の塩化ビ
ニルを用いているため圧力容器が必要であるという問題
点を有している。また、特開平7-41582号公報に記載の
方法は、コーティング後に3次元化反応が必要であり、
また反応性のあるポリオルガノシルセスキオキサンマク
ロモノマーを用いるため表面処理用の樹脂を合成する際
に3次元硬化を生じさせないように、合成する際に細心
の注意を払う必要がある等の問題点を有している。
【0006】また、不飽和ポリエステル樹脂は人工大理
石やボタン、化粧板等に使われている。更に一般にFR
Pと呼ばれている強化プラスチックとして利用価値が大
きい。FRPはガラス繊維等に不飽和ポリエステルを含
浸し硬化することによって得られるものである。FRP
は機械的強度が強く、大型の成型物の加工が可能な事か
ら広く一般的に使用されている。例えば、建築材料とし
て波板や水道用パイプ、住宅材料として浴槽や浄化槽、
船舶、自動車、航空機部品等が挙げられる。しかしなが
ら耐薬品性、耐塩性が十分ではなく、吸水性を持つ等の
問題点を有している。例えば、浴槽やタンクなどに使っ
た場合は水垢など汚れがつきやすく耐汚染性にも問題を
有しており、洗顔化粧台やテーブルトップ等の外観が問
われるものは金型の仕上げなどによって製品の光沢を改
善しなければならない等の問題を有しており、成型時に
金型に離型剤を塗布しなければならずSMC(シートモ
ルディングコンパウンド)でも離型性フィルム等の内部
離型材などの必要性がある等の問題点を有していた。
【0007】更に、ポリエチレンテレフタレート(PE
T)等のポリエステルは、機械特性、耐熱性、透明性等
に優れた性質を示し、合成繊維、剥離フィルム、電気・
電子部品、磁気テープ、包装用フィルム、繊維、自動車
材料、容器材料等として広く用いられている。しかしな
がら、このようなポリエステルは、撥水性、耐摩耗性、
或いは耐薬品性(特にアルカリ性物質に対して)等が必
ずしも優れていないという問題点を有しており、これら
問題点の解決が望まれている状況にある。
【0008】また、フッ素系ポリマーは撥水性を有する
ことが知られているが、一般に、フッ素系ポリマーは溶
剤への溶解性が悪いため、該フッ素系ポリマーを種々の
基材にコートする場合は、焼結や熱融着等の方法で行わ
れている。しかしながら、これらの方法は、コートする
ポリマーを微粒子に調製しなければならず、更に、ポリ
マーや基材の加熱、加圧等が必要であるため、操作が極
めて煩雑であり、簡便な方法とは到底言い難い。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、上記した如
き状況に鑑みなされたもので、例えば熱可塑性樹脂,熱
硬化性樹脂,金属,ガラス,紙等の基材に、撥水性,耐
候性,耐薬品性及び耐汚染性等を付与し得る基材の改質
方法、並びに撥水性、耐候性、耐薬品性、耐汚染性及び
接着性等に優れ、表面層と基材層とが強固に接着して成
る新規な層状構造物を提供することを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】本発明は下記の構成から
成る。 「(1)フッ素含有マクロアゾ化合物及び/又はフッ素
含有ブロックポリマーで処理することを特徴とする、基
材の改質方法。
【0011】(2)(i)フッ素含有ブロックポリマー
層、(ii)該ブロックポリマーを溶解する溶媒に可溶の
ポリマー基材層、及び(iii)これら両層の中間に存在
する該ブロックポリマーと該ポリマー基材の相容層、と
が一体化されてなる層状ポリマー構造物。
【0012】(3)フッ素含有ブロックポリマーを溶媒
に溶解した溶液で該溶媒可溶のポリマー基材を処理する
ことを特徴とする(2)に記載の構造物の製造方法。
【0013】(4)フッ素含有ブロックポリマーを溶媒
に溶解した溶液で該溶媒可溶のポリマー基材を処理する
ことを特徴とするポリマーの改質方法。
【0014】(5)表面層に含フッ素成分が存在して成
る不飽和ポリエステル樹脂硬化物。
【0015】(6)不飽和ポリエステル樹脂を、その硬
化完了前に、フッ素含有マクロアゾ化合物及び/又はフ
ッ素含有ブロックポリマーで処理することを特徴とす
る、表面層に含フッ素成分が存在して成る不飽和ポリエ
ステル樹脂硬化物の製造方法。
【0016】(7)不飽和ポリエステル樹脂と、フッ素
含有マクロアゾ化合物及び/又はフッ素含有ブロックポ
リマーとの混合物を硬化させることを特徴とする、表面
層に含フッ素成分が存在して成る不飽和ポリエステル樹
脂硬化物の製造方法。
【0017】(8)フッ素含有マクロアゾ化合物及び/
又はフッ素含有ブロックポリマーを含有する、不飽和ポ
リエステル樹脂組成物。
【0018】(9)フッ素含有ブロックポリマーを含ん
で成る被覆用組成物。
【0019】(10)(9)に記載の組成物を含んで成る
被覆用材料。
【0020】(11)(10)に記載の被覆用材料で処理す
ることを特徴とする、基材の改質方法。
【0021】(12)フッ素含有ブロックポリマーと相容
し且つ極性基を有するポリマー、及び必要に応じて更に
塩を含んで成る組成物で基材を前処理し、次いで該基材
をフッ素含有ブロックポリマーを含んで成る組成物で処
理することを特徴とする、基材の改質方法。
【0022】(13)(i)基材表面に形成されたフッ素
含有ブロックポリマー層、及び(ii)該ブロックポリマ
ーを溶解する溶媒に不溶の基材、とが一体化されてなる
層状構造物。
【0023】(14)(i)基材表面に形成されたフッ素
含有ブロックポリマー層、(ii)該ブロックポリマーを
溶解する溶媒に不溶の基材、及び(iii)これらの中間
に存在する該ブロックポリマーと相容し且つ極性基を有
するポリマー層、とが一体化されてなる層状構造物。
【0024】(15)(i)フッ素含有ブロックポリマ
ー、及び(ii)要すれば塩を含んで成る、フッ素含有ブ
ロックポリマーと相容し且つ極性基を有するポリマー、
とを組み合わせて成る該フッ素含有ブロックポリマーを
基材に被覆するための組成物。」
【0025】即ち、本発明者らは、例えば塩化ビニル樹
脂に於ける水蒸気が表面に結露することにより光透過率
が低下するという問題点、また、大気汚染や静電気等の
ためにシート表面が汚れやすいという問題点、更に、同
種のポリマーから成るポリマー構造物を用いた場合に生
じる耐候性及び耐薬品性の低下という問題点等を解決す
るために鋭意研究を重ねた結果、本発明の改質方法或い
は層状構造物等を用いることにより、上記課題を全て解
決し得ることを見出し本発明に到達した。
【0026】本発明で用いられるフッ素含有ブロックポ
リマーとしては、含フッ素ユニットがポリマー鎖の途中
に存在するものでも末端に存在するものでも良い。
【0027】含フッ素ユニットとしては、例えば下記一
般式[2a]で示されるもの、或いは下記一般式[1
a]又は[3a]で示されるもの等が挙げられる。
【0028】
【化1】
【0029】(式中、R1は低級アルキル基を表し、R2
は低級アルキル基又はシアノ基を表し、A1は酸素原子
及び/又は芳香環を介していても良い低級アルキレン基
を表し、Z1はエステル結合又はアミド結合を表し、T1
は−CONH−又は結合手を表し、Qは含フッ素セグメ
ントを表し、Rf1は含フッ素アルキル基を表す。)
【0030】
【化2】
【0031】(式中、R3は低級アルキル基を表し、R4
は低級アルキル基又はシアノ基を表し、A2は酸素原子
及び/又は芳香環を介していても良い低級アルキレン基
を表し、Z2はエステル結合又はアミド結合を表し、T2
は−CONH−又は結合手を表し、Q’は含フッ素セグ
メントを表す。)
【0032】
【化3】
【0033】(式中、R5は低級アルキル基を表し、R6
は低級アルキル基又はシアノ基を表し、A3は低級アル
キレン基を表し、Z3はエステル結合又はアミド結合を
表し、W1は二価の炭化水素基又は結合手を表し、Rf2
はフッ素原子又は含フッ素炭化水素基を表す。但し、W
1が結合手のときRf2は含フッ素炭化水素基を表す。)
【0034】本発明で用いられるフッ素含有ブロックポ
リマーを構成する含フッ素ユニット以外のモノマー単位
としては、例えば一般式[4a]
【0035】
【化4】
【0036】[式中、R7は水素原子,低級アルキル基
又はハロゲン原子を表し、R8は水素原子,低級アルキ
ル基,ハロゲン原子,カルボキシル基,アルキルオキシ
カルボニル基又はホルミル基を表し、R9は水素原子,
低級アルキル基,カルボキシル基,アルキルオキシカル
ボニル基又はハロゲン原子を表し、R10は二重結合を有
していても良いアルキレン基又は結合手を表し、R11
水素原子,アルキル基,ハロアルキル基,置換基を有し
ていても良いアリール基,脂肪族ヘテロ環基,芳香族ヘ
テロ環基,ハロゲン原子,アルキルオキシカルボニル
基,アラルキルオキシカルボニル基,ヒドロキシアルキ
ルオキシカルボニル基,アリールオキシカルボニル基,
アシルオキシ基,シアノ基,カルボキシル基,ホルミル
基,アミノ基,スルホン酸基,カルバモイル基又はヒド
ロキシル基を表す。尚、R8とR11とで結合して−CO
−O−CO−又は−CO−NR12−CO−基(R12は水
素原子,低級アルキル基又はフェニル基を表す。)を形
成していても良い。]で示されるもの等が挙げられる。
【0037】本発明で用いられる上記フッ素含有ブロッ
クポリマーは、フッ素含有マクロアゾ化合物をマクロア
ゾ開始剤として用いて各種モノマー類を重合反応させる
ことにより得ることができる。
【0038】フッ素含有マクロアゾ化合物としては、例
えば下記一般式[2]で示される繰り返し単位を有する
化合物や、下記一般式[1]或いは[3]で示される化
合物等が挙げられる。
【0039】
【化5】
【0040】(式中、R1,R2,A1,Z1,T1,Rf1
及びQは前記と同じ。)
【0041】
【化6】
【0042】(式中、R3,R4,A2,Z2,T2及び
Q’は前記と同じ。)
【0043】
【化7】
【0044】(式中、R5,R6,A3,Z3,W1及びR
2は前記と同じ。)
【0045】また、上記した如きフッ素含有マクロアゾ
化合物をマクロアゾ開始剤として用いて重合反応させる
モノマーとしては、例えば一般式[4]
【0046】
【化8】
【0047】(R7〜R11は前記と同じ。)で示される
もの等が挙げられる。
【0048】上記式中、R1〜R6で示される低級アルキ
ル基としては、直鎖状でも分枝状でも或いは環状でも良
く、例えば炭素数1〜6のアルキル基が挙げられ、具体
的にはメチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロ
ピル基、n-ブチル基、イソブチル基、tert-ブチル基、
sec-ブチル基、n-ペンチル基、イソペンチル基、ネオ
ペンチル基、tert-ペンチル基、3,3-ジメチルブチル
基、1,1-ジメチルブチル基、1-メチルペンチル基、n-
ヘキシル基、イソヘキシル基,シクロプロピル基,シク
ロペンチル基,シクロヘキシル基等が挙げられる。Z1
〜Z3で示されるエステル結合としては、−COO−又
は−OCO−が挙げられ、また、アミド結合としては、
−CONH−又は−NHCO−が挙げられる。
【0049】A1及びA2で示される酸素原子及び/又は
芳香環を介していても良いアルキレン基としては、直鎖
状でも分枝状でも或いは環状でも良く、例えば炭素数1
〜10のアルキレン基が挙げられ、また、酸素原子を介
していても良い場合には、該アルキレン基の末端または
鎖中の任意の位置に−O−基を1個以上、好ましくは1
〜5個、より好ましくは1〜3個有しているものが挙げ
られ、更にまた、芳香環を介していても良い場合には、
該アルキレン基の末端または鎖中の任意の位置に例えば
フェニレン基、ジフェニレン基等の芳香環を有している
ものが挙げられ、具体的にはメチレン基、エチレン基、
プロピレン基、ブチレン基、2-メチルプロピレン基、ペ
ンチレン基、2,2-ジメチルプロピレン基、2-エチルプロ
ピレン基、ヘキシレン基、シクロプロピレン基、シクロ
ペンチレン基、シクロヘキシレン基、-CH2-C6H4-基、o-
キシレン-α,α'-ジイル基、-O-CH2-基、-O-CH2CH2-
基、-CH2-O-CH2-基、-CH2CH2-O-CH2-基、-CH2CH2-O-CH2
CH2-基、-CH2CH2-O-CH2CH2-O-CH2CH2-基、-CH2-O-C6H4-
基等が挙げられる。
【0050】また、Q及びQ’で示される含フッ素セグ
メントとしては、例えば一般式[5]
【0051】
【化9】
【0052】[式中、Q1及びQ4は夫々独立してアルキ
レン基を表し、Q2及びQ3は夫々独立して含フッ素アル
キレン基を表し、Q5はアルキレン基又は含フッ素アル
キレン基を表し、p及びsは夫々独立して0又は自然数
(好ましくは1〜2,000の自然数)を表し、q及びrは
夫々独立して自然数(好ましくは1〜2,000の自然数)
を表す。]で示される含フッ素オキシアルキレン基が挙
げられる。
【0053】一般式[5]に於いて、Q1,Q4及びQ5
で示されるアルキレン基としては、直鎖状でも分枝状で
も或いは環状でも良く、例えば炭素数1〜10のアルキ
レン基が挙げられ、具体的にはメチレン基、エチレン
基、プロピレン基、ブチレン基、2-メチルプロピレン
基、ペンチレン基、2,2-ジメチルプロピレン基、2-エチ
ルプロピレン基、ヘキシレン基、ヘプチレン基、オクチ
レン基、2-エチルヘキシレン基、ノニレン基、デシレン
基、シクロプロピレン基、シクロペンチレン基、シクロ
ヘキシレン基等が挙げられ、好ましくは炭素数1〜6の
低級アルキレン基が挙げられる。Q2,Q3及びQ5で示
される含フッ素アルキレン基としては、前記アルキレン
基の水素原子の少なくとも1個がフッ素化されたものを
いい、全ての水素原子がフッ素化されているものを含
む。これら含フッ素アルキレン基としては前記アルキレ
ン基の水素原子がフッ素化された、例えばフルオロメチ
レン基、フルオロエチレン基、フルオロプロレン基、フ
ルオロブチレン基、フルオロペンチレン基、フルオロヘ
キシレン基、ジフルオロメチレン基、ジフルオロエチレ
ン基、ジフルオロプロレン基、トリフルオロプロピレン
基、フルオロシクロヘキシレン基、トリフルオロエチレ
ン基、ペンタフルオロエチレン基、パーフルオロプロピ
レン基、パーフルオロ-2,2-ジメチルプロピレン基、パ
ーフルオロ-2-エチルプロピレン基、パーフルオロヘキ
シレン基、パーフルオロシクロプロピレン基、パーフル
オロシクロペンチレン基、パーフルオロシクロヘキシレ
ン基等が挙げられる。これら含フッ素アルキレン基の好
ましい例としては、炭素数1〜6のパーフルオロアルキ
レン基が挙げられる。
【0054】また、含フッ素セグメントの分子量として
は、通常100〜50,000、好ましくは500〜25,000、より好
ましくは1,000〜10,000の範囲から適宜選択される。
【0055】一般式[1]及び[1a]に於いて、Rf
1で示される含フッ素アルキル基のアルキル基として
は、直鎖状でも分枝状でも或いは環状でも良く、例えば
炭素数1〜20のアルキル基が挙げられ、具体的にはメ
チル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、
n-ブチル基、イソブチル基、tert-ブチル基、sec-ブチ
ル基、n-ペンチル基、イソペンチル基、ネオペンチル
基、tert-ペンチル基、3,3-ジメチルブチル基、1,1-ジ
メチルブチル基、1-メチルペンチル基、n-ヘキシル
基、イソヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル
基、デシル基、ウンデシル基、ドデシル基、ヘキサデシ
ル基、オクタデシル基、シクロプロピル基、シクロペン
チル基、シクロヘキシル基、2-シクロヘキシルエチル
基等が挙げられ、含フッ素アルキル基としては、前記ア
ルキル基の水素原子がフッ素化された、例えばフルオロ
メチル基、フルオロエチル基、フルオロプロピル基、フ
ルオロブチル基、フルオロペンチル基、フルオロヘキシ
ル基、フルオロヘプチル基、フルオロオクチル基、フル
オロノニル基、フルオロデシル基、ジフルオロメチル
基、ジフルオロエチル基、フルオロシクロヘキシル基、
トリフルオロメチル基、2-パーフルオロオクチルエチル
基、2,2,2-トリフルオロエチル基、ペンタフルオロエチ
ル基、3,3,4,4,4-ペンタフルオロブチル基、パーフルオ
ロ-n-プロピル基、パーフルオロイソプロピル基、パー
フルオロ-n-ブチル基、パーフルオロイソブチル基、パ
ーフルオロ-tert-ブチル基、パーフルオロ-sec-ブチル
基、パーフルオロペンチル基、パーフルオロイソペンチ
ル基、パーフルオロ-tert-ペンチル基、パーフルオロ-
n-ヘキシル基、パーフルオロイソヘキシル基、パーフ
ルオロヘプチル基、パーフルオロオクチル基、パーフル
オロノニル基、パーフルオロデシル基、パーフルオロド
デシル基、パーフルオロオクタデシル基、パーフルオロ
シクロプロピル基、パーフルオロシクロペンチル基、パ
ーフルオロシクロヘキシル基等が挙げられる。これら含
フッ素アルキル基の好ましい例としては、炭素数1〜8
のパーフルオロアルキル基が挙げられる。
【0056】一般式[3]及び[3a]に於いて、A3
で示される低級アルキレン基としては、直鎖状でも分枝
状でも良く、例えば炭素数1〜6のアルキレン基が挙げ
られ、具体的にはメチレン基、エチレン基、プロピレン
基、ブチレン基、2-メチルプロピレン基、ペンチレン
基、2,2-ジメチルプロピレン基、2-エチルプロピレン
基、ヘキシレン基等が挙げられる。W1で示される二価
の炭化水素基としては、例えばアルキレン基、二価の芳
香族基等が挙げられる。該アルキレン基としては、直鎖
状でも分枝状でも或いは環状でも良く、また、酸素原子
及び/又は芳香環を有していても良く、例えば炭素数1
〜10のアルキレン基が挙げられ、また、酸素原子を介
していても良い場合には、該アルキレン基の末端または
鎖中の任意の位置に−O−基を1個以上、好ましくは1
〜5個、より好ましくは1〜3個有しているものが挙げ
られ、更にまた、芳香環を介していても良い場合には、
該アルキレン基の末端または鎖中の任意の位置に例えば
フェニレン基、ジフェニレン基等の芳香環を有している
ものが挙げられ、具体的にはメチレン基、エチレン基、
プロピレン基、ブチレン基、2-メチルプロピレン基、ペ
ンチレン基、2,2-ジメチルプロピレン基、2-エチルプロ
ピレン基、ヘキシレン基、シクロプロピレン基、シクロ
ペンチレン基、シクロヘキシレン基、-O-CH2-基、-O-CH
2CH2-基、-CH2-O-CH2-基、-CH2CH2-O-CH2-基、-CH2CH2-
O-CH2CH2-基、-CH2CH2-O-CH2CH2-O-CH2CH2-基、-CH2-O-
C6H4-基等が挙げられる。二価の芳香族基としては、例
えばフェニレン基、ジフェニレン基、-CH2-C6H4-基、o-
キシレン-α,α'-ジイル基、p-キシレン-α,α'-ジイル
基等が挙げられる。
【0057】また、Rf2で示される含フッ素炭化水素
基としては、炭化水素基の水素原子の少なくとも1個が
フッ素原子で置換されたものをいい、全ての水素原子が
フッ素原子で置換されているものを含む。これら含フッ
素炭化水素基としては、例えば含フッ素アルキル基、含
フッ素アリール基等が挙げられる。
【0058】含フッ素アルキル基のアルキル基として
は、直鎖状でも分枝状でも或いは環状でも良く、例えば
炭素数1〜20のアルキル基が挙げられ、具体的にはメ
チル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、
n-ブチル基、イソブチル基、tert-ブチル基、sec-ブチ
ル基、n-ペンチル基、イソペンチル基、ネオペンチル
基、tert-ペンチル基、3,3-ジメチルブチル基、1,1-ジ
メチルブチル基、1-メチルペンチル基、n-ヘキシル
基、イソヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル
基、デシル基、ウンデシル基、ドデシル基、ヘキサデシ
ル基、オクタデシル基、シクロプロピル基、シクロペン
チル基、シクロヘキシル基、2-シクロヘキシルエチル
基等が挙げられ、含フッ素アルキル基としては、前記ア
ルキル基の水素原子がフッ素化された、例えばフルオロ
メチル基、フルオロエチル基、フルオロプロピル基、フ
ルオロブチル基、フルオロペンチル基、フルオロヘキシ
ル基、フルオロヘプチル基、フルオロオクチル基、フル
オロノニル基、フルオロデシル基、ジフルオロメチル
基、ジフルオロエチル基、フルオロシクロヘキシル基、
トリフルオロメチル基、2-パーフルオロオクチルエチル
基、2,2,2-トリフルオロエチル基、ペンタフルオロエチ
ル基、3,3,4,4,4-ペンタフルオロブチル基、パーフルオ
ロ-n-プロピル基、パーフルオロイソプロピル基、パー
フルオロ-n-ブチル基、パーフルオロイソブチル基、パ
ーフルオロ-tert-ブチル基、パーフルオロ-sec-ブチル
基、パーフルオロペンチル基、パーフルオロイソペンチ
ル基、パーフルオロ-tert-ペンチル基、パーフルオロ-
n-ヘキシル基、パーフルオロイソヘキシル基、パーフ
ルオロヘプチル基、パーフルオロオクチル基、パーフル
オロノニル基、パーフルオロデシル基、パーフルオロド
デシル基、パーフルオロオクタデシル基、パーフルオロ
シクロプロピル基、パーフルオロシクロペンチル基、パ
ーフルオロシクロヘキシル基等が挙げられる。
【0059】含フッ素アリール基としては、例えば炭素
数6〜30のアリール基が挙げられ、具体的には4-フル
オロフェニル基、パーフルオロフェニル基、4'-フルオ
ロジフェニル基、4-(パーフルオロフェニル)フェニル
基、パーフルオロジフェニル基、4-(トリフルオロメチ
ル)フェニル基、4-(ペンタフルオロエチル)フェニル
基、4-(パーフルオロプロピル)フェニル基、4-(パーフ
ルオロブチル)フェニル基、4-(パーフルオロペンチル)
フェニル基、4-(パーフルオロヘキシル)フェニル基、4-
(パーフルオロヘプチル)フェニル基、4-(パーフルオロ
オクチル)フェニル基、4-(パーフルオロノニル)フェニ
ル基、4-(パーフルオロデシル)フェニル基等が挙げられ
る。
【0060】これら含フッ素炭化水素基の好ましい例と
しては、炭素数1〜10のパーフルオロアルキル基が挙
げられる。
【0061】一般式[4]及び[4a]に於いて、
7,R8,R9及びR11で示されるハロゲン原子として
は、フッ素、塩素、臭素、沃素等が挙げられる。R7
8及びR9で示される低級アルキル基としては、直鎖状
でも分枝状でも良く、例えば炭素数1〜6のアルキル基
が挙げられ、具体的にはメチル基、エチル基、n-プロ
ピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、イソブチル
基、tert-ブチル基、sec-ブチル基、n-ペンチル基、イ
ソペンチル基、ネオペンチル基、tert-ペンチル基、3,3
-ジメチルブチル基、1,1-ジメチルブチル基、1-メチル
ペンチル基、n-ヘキシル基、イソヘキシル基等が挙げ
られる。R8,R9及びR11で示されるアルキルオキシカ
ルボニル基としては、直鎖状でも分枝状でも良く、ま
た、二重結合を有していても良く、例えば炭素数2〜1
9のアルキルオキシカルボニル基が挙げられ、具体的に
はメチルオキシカルボニル基、エチルオキシカルボニル
基、プロピルオキシカルボニル基、ブチルオキシカルボ
ニル基、ペンチルオキシカルボニル基、ヘキシルオキシ
カルボニル基、ヘプチルオキシカルボニル基、オクチル
オキシカルボニル基、ドデシルオキシカルボニル基、オ
クタデシルオキシカルボニル基、エテニルオキシカルボ
ニル基、プロペニルオキシカルボニル基、ブテニルオキ
シカルボニル基、tert-ブチルオキシカルボニル基、2-
エチルヘキシルオキシカルボニル基等が挙げられる。R
11で示されるアルキル基としては、直鎖状でも分枝状で
も或いは環状でも良く、例えば炭素数1〜20のアルキ
ル基が挙げられ、具体的にはメチル基、エチル基、n-
プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、イソブチ
ル基、tert-ブチル基、sec-ブチル基、n-ペンチル基、
イソペンチル基、ネオペンチル基、tert-ペンチル基、
3,3-ジメチルブチル基、1,1-ジメチルブチル基、1-メチ
ルペンチル基、n-ヘキシル基、イソヘキシル基、ヘプ
チル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ウンデシル
基、ドデシル基、ヘキサデシル基、オクタデシル基、2-
エチルヘキシル基、シクロプロピル基、シクロペンチル
基、シクロヘキシル基等が挙げられる。ハロアルキル基
としては、例えば上記アルキル基がハロゲン化(例えば
フッ素化、塩素化、臭素化、沃素化等。)された炭素数
1〜20のハロアルキル基が挙げられ、具体的にはクロ
ロメチル基、ブロモメチル基、トリフルオロメチル基、
2-クロロエチル基、3-クロロプロピル基、3-ブロモプロ
ピル基、3,3,3-トリフルオロプロピル基、2-パーフルオ
ロオクチルエチル基、パーフルオロオクチル基、1-クロ
ロデシル基、1-クロロオクタデシル基等が挙げられる。
置換基を有していても良いアリール基のアリール基とし
ては、例えば炭素数6〜20のアリール基が挙げられ、
具体的にはフェニル基、トリル基、キシリル基、ナフチ
ル基、アントリル基、4-エチルフェニル基、4-ビニルフ
ェニル基等が挙げられ、また、該置換基としては、例え
ばアルコキシ基(例えばメトキシ基,エトキシ基,プロ
ポキシ基,ブトキシ基,ペンチルオキシ基,ヘキシルオ
キシ基等の炭素数1〜6のアルコキシ基)、ハロゲン原
子(例えばフッ素,塩素,臭素,沃素等)、アミノ基等
が挙げられ、置換基を有するアリール基の具体例として
は、4-メトキシフェニル基、4-クロロフェニル基、4-ア
ミノフェニル基等が挙げられる。脂肪族ヘテロ環基とし
ては、例えば5員又は6員の脂肪族ヘテロ環基が好まし
く、異性原子として1〜3個の例えば窒素原子、酸素原
子、硫黄原子等のヘテロ原子を含んでいるものが挙げら
れ、その具体例としては、例えばピロリジル-2-オン
基、ピペリジノ基、ピペラジニル基、モルホリノ基等が
挙げられる。芳香族ヘテロ環基としては、例えば5員又
は6員の芳香族ヘテロ環基が好ましく、異性原子として
1〜3個の例えば窒素原子、酸素原子、硫黄原子等のヘ
テロ原子を含んでいるものが挙げられ、その具体例とし
ては、例えばピリジル基、イミダゾリル基、チアゾリル
基、フラニル基、ピラニル基等が挙げられる。アラルキ
ルオキシカルボニル基としては、例えば炭素数8〜20
のアラルキルオキシカルボニル基が挙げられ、具体的に
はベンジルオキシカルボニル基、フェネチルオキシカル
ボニル基等が挙げられる。アシルオキシ基としては、カ
ルボン酸由来の例えば炭素数2〜18のアシルオキシ基
が挙げられ、具体的にはアセチルオキシ基、プロピオニ
ルオキシ基、ブチリルオキシ基、ペンタノイルオキシ
基、ヘキサノイルオキシ基、ヘプタノイルオキシ基、オ
クタノイルオキシ基、ラウロイルオキシ基、ステアロイ
ルオキシ基、ベンゾイルオキシ基等が挙げられる。ヒド
ロキシアルキルオキシカルボニル基としては、上記した
如きアルキルオキシカルボニル基の水素原子がヒドロキ
シル基に置換された炭素数2〜19のヒドロキシアルキ
ルオキシカルボニル基が挙げられ、具体的にはヒドロキ
シメチルオキシカルボニル基、ヒドロキシエチルオキシ
カルボニル基、ヒドロキシプロピルオキシカルボニル
基、ヒドロキシブチルオキシカルボニル基、ヒドロキシ
ペンチルオキシカルボニル基、ヒドロキシヘキシルオキ
シカルボニル基、ヒドロキシヘプチルオキシカルボニル
基、ヒドロキシオクチルオキシカルボニル基、ヒドロキ
シドデシルオキシカルボニル基、ヒドロキシオクタデシ
ルオキシカルボニル基等が挙げられる。アリールオキシ
カルボニル基としては、例えば炭素数7〜20のアリー
ルオキシカルボニル基が挙げられ、具体的にはフェニル
オキシカルボニル基、ナフチルオキシカルボニル基等が
挙げられる。R10で示される二重結合を有していても良
いアルキレン基としては、直鎖状でも分枝状でも良く、
例えば炭素数1〜10のアルキレン基が挙げられ、ま
た、二重結合を有している場合としては、該アルキレン
基の末端または鎖中の任意の位置に二重結合を1個以
上、好ましくは1〜5個、より好ましくは1〜3個有し
ているものが挙げられ、具体的にはメチレン基、エチレ
ン基、プロピレン基、ブチレン基、2-メチルプロピレン
基、ペンチレン基、2,2-ジメチルプロピレン基、2-エチ
ルプロピレン基、ヘキシレン基、ヘプチレン基、オクチ
レン基、2-エチルヘキシレン基、ノニレン基、デシレン
基、エテニレン基、プロペニレン基、ブテニレン基、ペ
ンテニレン基、ヘキセニレン基、ブタジエニレン基等が
挙げられる。
【0062】一般式[4a]に於ける、−CO−NR12
−CO−基に於いて、R12で示される低級アルキル基と
しては、直鎖状でも分枝状でも或いは環状でも良く、例
えば炭素数1〜6のアルキル基が挙げられ、具体的には
メチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル
基、n-ブチル基、イソブチル基、tert-ブチル基、sec-
ブチル基、n-ペンチル基、イソペンチル基、ネオペン
チル基、tert-ペンチル基、3,3-ジメチルブチル基、1,1
-ジメチルブチル基、1-メチルペンチル基、n-ヘキシル
基、イソヘキシル基,シクロプロピル基,シクロペンチ
ル基,シクロヘキシル基等が挙げられる。
【0063】本発明に係るフッ素含有ブロックポリマー
を製造する際に用いられる上記一般式[4]で示される
モノマーとしては、例えばビニル系モノマー,ジエン系
モノマー等が挙げられる。
【0064】ビニル系モノマーの具体例としては、例え
ばスチレン,4-メチルスチレン,4-エチルスチレン,4-
メトキシスチレン,ジビニルベンゼン等の炭素数8〜20
のα-エチレン性芳香族炭化水素類、例えばギ酸ビニ
ル,酢酸ビニル,プロピオン酸ビニル,酢酸イソプロペ
ニル等の炭素数3〜20のビニルエステル類、例えば塩化
ビニル,塩化ビニリデン,フッ化ビニリデン,テトラフ
ルオロエチレン,テトラクロロエチレン等の炭素数2〜
20の含ハロゲンビニル化合物類、例えばアクリル酸,メ
タクリル酸,イタコン酸,マレイン酸,フマル酸,クロ
トン酸,シトラコン酸,メサコン酸,ビニル酢酸,アリ
ル酢酸,ビニル安息香酸等の炭素数3〜20のエチレン性
カルボン酸類(これら酸類は、例えばナトリウム,カリ
ウム等のアルカリ金属塩やアンモニウム塩等、塩の形に
なっているものや、或いは無水物となっているものでも
良い。)、例えばメタクリル酸メチル,メタクリル酸エ
チル,メタクリル酸プロピル,メタクリル酸ブチル,メ
タクリル酸2-エチルヘキシル,メタクリル酸ラウリル,
メタクリル酸ステアリル,メタクリル酸ビニル,メタク
リル酸アリル,メタクリル酸フェニル,メタクリル酸ベ
ンジル,アクリル酸メチル,アクリル酸エチル,アクリ
ル酸ブチル,アクリル酸2-エチルヘキシル,アクリル酸
ラウリル,アクリル酸ステアリル,アクリル酸ビニル,
イタコン酸ジメチル,イタコン酸ジエチル,マレイン酸
ジメチル,マレイン酸ジエチル,フマル酸ジメチル,フ
マル酸ジエチル,クロトン酸メチル,クロトン酸エチ
ル,クロトン酸ビニル,シトラコン酸ジメチル,シトラ
コン酸ジエチル,メサコン酸ジメチル,メサコン酸ジエ
チル,3-ブテン酸メチル,メタクリル酸2-ヒドロキシエ
チル,メタクリル酸3-ヒドロキシプロピル,メタクリル
酸2-ヒドロキシプロピル,アクリル酸2-ヒドロキシエチ
ル,アクリル酸3-ヒドロキシプロピル,アクリル酸2-ヒ
ドロキシプロピル等の炭素数4〜20のエチレン性カルボ
ン酸エステル類、例えばアクリロニトリル,メタクリロ
ニトリル,シアン化アリル等の炭素数3〜20の含シアノ
ビニル化合物類、例えばアクリルアミド,メタクリルア
ミド等の炭素数3〜20のビニル系アミド化合物類、例え
ばアクロレイン,クロトンアルデヒド等の炭素数3〜20
のエチレン性アルデヒド類、例えばビニルスルホン酸,
4-ビニルベンゼンスルホン酸等の炭素数2〜20のビニル
スルホン酸類(これら酸類は、例えばナトリウム,カリ
ウム等のアルカリ金属塩等、塩の形になっているもので
も良い。)、例えばビニルアミン,アリルアミン等の炭
素数2〜20のビニル系脂肪族アミン類、例えばビニルア
ニリン等の炭素数8〜20のビニル系芳香族アミン類、例
えばN-ビニルピロリドン,ビニルピペリジン等の炭素
数5〜20のビニル系脂肪族ヘテロ環状アミン類、例えば
ビニルピリジン,1-ビニルイミダゾール等の炭素数5〜
20のビニル系芳香族ヘテロ環状アミン類、例えばアリル
アルコール,クロチルアルコール等の炭素数3〜20のエ
チレン性アルコール類、例えば4-ビニルフェノール等の
炭素数8〜20のエチレン性フェノール類、例えば無水マ
レイン酸,マレイミド,N-メチルマレイミド,N-エチ
ルマレイミド,N-ブチルマレイミド,N-tert-ブチル
マレイミド,N-シクロヘキシルマレイミド,N-フェニ
ルマレイミド等の炭素数4〜15のマレイン酸誘導体類等
が挙げられる。
【0065】また、ジエン系モノマーの具体例として
は、例えばブタジエン,イソプレン等の炭素数4〜20の
ジエン系化合物類等が挙げられる。
【0066】これらモノマーは、夫々単独で用いても、
二種以上適宜組み合わせて用いても良い。
【0067】本発明に係るフッ素含有ブロックポリマー
の分子量は、特に限定されるものではないが、分子量が
小さ過ぎるとコーティング面の強度の減少やべたつき等
を生じるため、数平均分子量として、通常3千以上、好
ましくは5千〜200万、より好ましくは1万〜150万のも
のが挙げられる。
【0068】本発明に係る、フッ素含有ブロックポリマ
ーを製造する際に用いられるフッ素含有マクロアゾ化合
物としては、例えば前記一般式[2]で示される繰り返
し単位を有する化合物や、前記一般式[1]或いは
[3]で示される化合物等が挙げられるが、一般式
[2]で示される繰り返し単位を有する化合物を用いた
場合のその重合度nとしては、通常2以上、好ましくは
2〜100、より好ましくは2〜50のものが挙げられる。
【0069】本発明に係るフッ素含有ブロックポリマー
に於けるフッ素含有マクロアゾ化合物由来の含フッ素ユ
ニットの構成率としては、特に限定されるものではない
が、通常1〜99重量%、好ましくは5〜95重量%、より
好ましくは10〜90重量%の範囲から適宜選択される。
【0070】また、モノマー単位の構成率としては、少
なすぎると相対的にフッ素含量が増加するために相容層
の形成が行われず、接着力が低下し、且つ、経済性も悪
くなり、また多すぎるとフッ素含量が減少するために撥
水性が悪くなることから、通常99〜1重量%、好ましく
は95〜5重量%、より好ましくは90〜10重量%の範囲か
ら適宜選択される。
【0071】本発明に係る、フッ素含有マクロアゾ化合
物をマクロアゾ開始剤として用いてフッ素含有ブロック
ポリマーを製造するには、例えば下記の如くして行えば
良い。即ち、上記フッ素含有マクロアゾ化合物と上記モ
ノマーとを、適当な溶媒中或いは無溶媒で、要すれば不
活性ガス雰囲気下で常法に従って重合反応を行えば良
い。
【0072】反応後の後処理等はこの分野に於いて通常
行われる後処理法に準じて行えばよく、得られた本発明
に係るフッ素含有ブロックポリマーは精製及び/又は単
離することなく、そのまま次の操作に付してもよく(即
ち、未反応のモノマー等が共存している状態であっても
よい)、また、一旦抽出、再結晶等の任意の操作で精製
及び/又は単離した後、次の操作に付してもよい。
【0073】尚、重合反応を行う際に、必要に応じて連
鎖移動剤(例えばラウリルメルカプタン、オクチルメル
カプタン、ブチルメルカプタン、2-メルカプトエタノー
ル、チオグリコール酸ブチル等。)を添加し、分子量の
調節を行っても良い。
【0074】上記重合反応の方法としては、例えば懸濁
重合、溶液重合、バルク重合又は乳化重合等が挙げられ
る。この際フッ素含有マクロアゾ化合物と通常のラジカ
ル重合開始剤(例えばアゾビスイソブチロニトリル,2,
2'-アゾビスイソ酪酸ジメチル等)を併用しても良い。
【0075】フッ素含有マクロアゾ化合物及びモノマー
の重合反応時の濃度としては、特に限定されないが、両
者の合計が通常5〜100重量%(無溶媒)、好ましくは1
0〜100重量%(無溶媒)の範囲となるよう適宜選択され
る。
【0076】重合反応を有機溶媒存在下で行う場合に用
いられる有機溶媒としては、例えばトルエン,キシレ
ン,ベンゼン,シクロヘキサン,n-ヘキサン,n-オク
タン等の炭化水素類、例えば塩化メチレン,クロロホル
ム,四塩化炭素,ジクロロエタン,トリクロロエチレ
ン,α,α,α-トリフルオロトルエン,1,2-ビス(トリフ
ルオロメチル)ベンゼン,1,3-ビス(トリフルオロメチ
ル)ベンゼン,1,4-ビス(トリフルオロメチル)ベンゼン
等のハロゲン化炭化水素類、例えば酢酸メチル,酢酸エ
チル,酢酸n-ブチル,プロピオン酸メチル等のエステ
ル類、例えばフルオロ酢酸,トリフルオロ酢酸,無水ト
リフルオロ酢酸等のカルボン酸類、例えばアセトン,メ
チルエチルケトン,メチルイソブチルケトン,シクロヘ
キサノン等のケトン類、例えばテトラヒドロフラン,ジ
オキサン等の環状エーテル類、例えばメタノール,エタ
ノール,n-プロパノール,イソプロパノール,n-ブタ
ノール,イソブタノール,tert-ブタノール等のアルコ
ール類、アセトニトリル、N-メチルピロリドン、N,N-
ジメチルホルムアミド、N,N-ジメチルアセトアミド、ジ
メチルスルホキシド等が挙げられる。これらは夫々単独
で用いても、二種以上適宜組み合わせて用いても良い。
【0077】重合反応を不活性ガス雰囲気下で行う場合
に用いられる、不活性ガスとしては、例えば窒素ガス、
アルゴンガス等が挙げられる。
【0078】重合温度は特に限定されないが、低すぎる
とアゾ基の分解が少ないため重合の進行が遅くなり、高
すぎるとアゾ基の分解が多くなりすぎ重合の制御が困難
となるため通常20〜150℃、好ましくは40〜120℃の範囲
から適宜選択される。
【0079】反応時間としては、反応温度や反応させる
フッ素含有マクロアゾ化合物及びモノマーの種類、或い
は濃度等の反応条件により異なるが、通常2〜24時間の
範囲から適宜選択される。
【0080】尚、フッ素含有マクロアゾ化合物は、例え
ば特願平9-151563号,特願平9-151564号,特願平8-8477
7号等に記載の製造法に従って製造したものを用いれば
よい。
【0081】かくして得られた本発明に係るフッ素含有
ブロックポリマーは、高分子化合物は一般に複雑な構造
を有するため一義的にこれを表すことは困難であるが、
敢えてこれを構造式で表すと、例えば下記一般式[6]
或いは[7]で示される構造等をとるものと考えられ
る。
【0082】
【化10】
【0083】
【化11】
【0084】[上記式中、Uは含フッ素ユニットを表
し、Vはモノマー単位を表し、a及びcは自然数を表
し、bは2以上の整数を表し、d及びeは夫々独立し
て、0又は1を表す。但し、dが0のときeは1を表
し、eが0のときdは1を表す。尚、{}内はランダム
構造であり、例えばグラフト型,ブロック型等の共重合
体等種々の構造を含む。]
【0085】このようにして得られたフッ素含有ブロッ
クポリマーは、分子内にフッ素セグメントを有すること
から撥水性,撥油性,耐熱性,耐候性,耐薬品性,防汚
塵性,耐汚染性,相容性及び接着性等に優れた効果を有
するため、該ブロックポリマーで熱可塑性樹脂等の基材
を処理することにより、これら基材に前記した如き性質
を付与することができる。
【0086】本発明に於いては、例えばこのようして製
造された上記した如きフッ素含有ブロックポリマーを溶
媒に溶解した溶液で該溶媒可溶のポリマー基材を処理す
ることにより、前記のフッ素含有ブロックポリマー層、
該ブロックポリマーを溶解する溶媒に可溶なポリマー基
材層、及びこれら両層の中間に存在する該ブロックポリ
マーと該ポリマー基材との相容層、とが一体化されてな
る層状のポリマー構造物を得ることができる。
【0087】本発明に係る、フッ素含有ブロックポリマ
ーを溶解する溶媒に可溶のポリマー基材としては、該ブ
ロックポリマーを溶解する溶媒に可溶であって、通常こ
の分野で基材として用いられるポリマーであれば特に限
定されないが、例えばスチレン、アクリロニトリル等の
エチレン系モノマー類、例えばブタジエン、イソプレン
等のジエン系モノマー類、例えば塩化ビニル、塩化ビニ
リデン等の含ハロゲンビニル化合物類、例えばメタクリ
ル酸メチル、メタクリル酸エチル等のメタクリル酸エス
テル類、例えばアクリル酸メチル、アクリル酸エチル等
のエチレン性カルボン酸エステル類等のモノマー類を重
合させて得られるホモポリマー或いはコポリマーが挙げ
られる。具体的には塩化ビニル樹脂、メタクリル樹脂、
ポリスチレン、ポリカーボネート、ポリ塩化ビニリデ
ン、AS樹脂等の熱可塑性樹脂等が挙げられ、その形状
としては、例えばシート状,板状,フィルム状,棒状,
糸状或いは布状等の形状のものが挙げられる。
【0088】本発明に係る、フッ素含有ブロックポリマ
ーを溶解する溶媒としては、例えばベンゼン、トルエ
ン、キシレン、スチレン等の芳香族炭化水素類、例えば
アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケト
ン、シクロヘキサノン等のケトン類、例えばジエチルエ
ーテル、ジイソプロピルエーテル、テトラヒドロフラ
ン、ジオキサン、ジメトキシエタン等のエーテル類、例
えばメタノール、エタノール、n-プロパノール、イソ
プロパノール、n-ブタノール、sec-ブタノール、イソ
ブタノール、tert-ブタノール等の低級アルコール類、
例えば酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル、プロピオ
ン酸メチル等のエステル類、例えば塩化メチレン,クロ
ロホルム,四塩化炭素,ジクロロエタン,トリクロロエ
チレン,α,α,α-トリフルオロトルエン,1,2-ビス(ト
リフルオロメチル)ベンゼン,1,3-ビス(トリフルオロメ
チル)ベンゼン,1,4-ビス(トリフルオロメチル)ベンゼ
ン等のハロゲン化炭化水素類、例えばフルオロ酢酸,ト
リフルオロ酢酸,無水トリフルオロ酢酸等のカルボン酸
類等が挙げられる。これらは夫々単独で用いても、二種
以上適宜組み合わせて用いても良い。
【0089】本発明の層状ポリマー構造物の製造方法に
於いて、フッ素含有ブロックポリマーを溶媒に溶解した
溶液で該溶媒可溶のポリマー基材を処理する方法として
は、例えば、該ブロックポリマーを上記した如き該ブロ
ックポリマーを溶解し得る適当な溶媒に溶解し、上記し
た如き該溶媒に可溶なポリマー基材を種々の方法によっ
て処理すればよい。この際、通常は単離した該ブロック
ポリマーを該溶媒に溶解した溶液が使用に供せられる
が、該ブロックポリマーが可溶な溶媒を用いてブロック
ポリマーの合成反応を行った場合には(共通溶媒)、ブ
ロックポリマーを単離せずにそのままポリマー基材の処
理に用いても良い。
【0090】ポリマー基材を処理する方法としては、例
えばスピンコート、スプレー、ディッピング(浸漬)、
塗布、散布等が挙げられる。
【0091】このような方法でポリマー基材を処理した
結果、該ブロックポリマーの層と該ポリマー基材の層と
の中間に、該ブロックポリマーと該ポリマー基材が混在
する相容層が形成される。その結果、(1)薄膜状のフ
ッ素含有ブロックポリマー層、(2)シート状、板状、
フィルム状,棒状,糸状或いは布状の、該ブロックポリ
マーを溶解する溶媒に可溶のポリマー基材層、及び
(3)これら両層の中間に存在する該ブロックポリマー
と該ポリマー基材の相容層、とが一体化されてなる層状
ポリマー構造物が作製される。尚、該ブロックポリマー
層中には該ポリマー基材の一部が、また、該ポリマー基
材層中には該ブロックポリマーの一部が混在する場合も
ある。
【0092】本発明の方法によりポリマー基材を処理す
る際のフッ素含有ブロックポリマー中のフッ素含有量と
しては、コートする量により変動するため特に限定され
ないが、フッ素含有ブロックポリマー層中のフッ素含有
量が50重量%以上となるような量であることが望まし
い。そのため、該ブロックポリマー中のフッ素含有量と
しては、通常0.5〜90重量%、好ましくは1〜80重量
%、より好ましくは2〜60重量%の範囲から適宜選択さ
れる。尚、フッ素含有量があまり少ないと基材表面に含
フッ素成分の層が形成し難くなり、また、あまり多いと
該ブロックポリマーとポリマー基材との相容層が中間に
出来難くなる可能性がある。
【0093】尚、本発明の層状ポリマー構造物には、必
要に応じてその性質を損なわない範囲で他の成分を添加
しても良い。添加可能な成分としては、増粘剤(例えば
酸化マグネシウム等のアルカリ土類金属酸化物類、例え
ば水酸化カルシウム等のアルカリ土類金属水酸化物類、
例えば炭酸カルシウム等のアルカリ土類金属炭酸塩類
等。)、離型剤(例えばステアリン酸等。)、顔料(例
えば酸化チタン、フタロシアニン系顔料等。)、充填剤
(例えばガラス繊維、カーボン繊維等。)、紫外線吸収
剤(例えば2,2'-ジヒドロキシ-4,4'-ジメトキシベンゾ
フェノン等。)、抗菌・防かび剤(例えば2-(4-チアゾ
リル)-ベンズイミダゾール等。)、滑材(例えば流動パ
ラフィン等。)、色素、染料、酸化防止剤、光安定剤等
が挙げられる。
【0094】このようにして製造された層状ポリマー構
造物は、対水接触角が大きいため水をはじきやすく、撥
水性,撥油性,耐熱性,耐候性,耐薬品性,防汚塵性,
耐汚染性,相容性及び接着性等に優れたフッ素含有ブロ
ックポリマーから成る表面層が、該ブロックポリマーを
溶解する溶媒に可溶のポリマー基材から成る基材層と強
固に接着した構造となっている。そのため、該構造物
は、ガスケット、バルブ、チューブ等の配管材料、人工
血管、人工臓器等の医療材料、シール剤、スポーツ用品
等に広く使用することが可能である。
【0095】本発明は、フッ素含有ブロックポリマーを
溶媒に溶解した溶液で該溶媒可溶のポリマー基材を処理
することにより、該ブロックポリマー層、該ブロックポ
リマーを溶解する溶媒に可溶なポリマー基材層、及びこ
れら両層の中間に存在する該ブロックポリマーと該ポリ
マー基材の相容層、とが一体化されてなる層状のポリマ
ー構造物が作製されるというものであり、例えば塩化ビ
ニル樹脂に於ける水蒸気が表面に結露することにより光
透過率が低下するという問題点、また、大気汚染や静電
気等のためにシート表面が汚れやすいという問題点、更
に、優れた接着性を有するため、同種のポリマー樹脂か
ら成る構造物を用いた場合に生じる耐候性及び耐薬品性
の低下等、従来のポリマー構造物が有していた問題点を
全く有さない層状ポリマー構造物を製造し得るという効
果を奏するものである。また、本発明に係るフッ素含有
ブロックポリマーを溶媒に溶解した溶液で該溶媒可溶の
ポリマー基材を処理すれば、上記した如き問題点を全く
有さない層状ポリマー構造物を得ることができるので、
結果として該ポリマー基材の改質が可能となるという効
果を奏するものである。
【0096】本発明で用いられるフッ素含有ブロックポ
リマー及びフッ素含有マクロアゾ化合物は、上記した如
く分子内にフッ素セグメントを有することから撥水性,
撥油性,耐熱性,耐候性,耐薬品性,防汚塵性,耐汚染
性及び相容性等に優れた効果を有するため、不飽和ポリ
エステルを硬化させる際に添加することにより、前記性
質を有する不飽和ポリエステル樹脂硬化物を製造するこ
とができる。
【0097】本発明の不飽和ポリエステル樹脂硬化物を
製造するには、例えば下記の如くして行えば良い。即
ち、上記した如きフッ素含有ブロックポリマー及び/又
は上記した如きフッ素含有マクロアゾ化合物を不飽和ポ
リエステル樹脂組成物に添加混合し、この混合物を常法
に従って硬化反応に付すか、或いは不飽和ポリエステル
樹脂組成物を常法に従って硬化反応に付すに際して、硬
化が完了する前に、未硬化状態の不飽和ポリエステル樹
脂組成物の表面に上記した如きフッ素含有ブロックポリ
マー及び/又は上記した如きフッ素含有マクロアゾ化合
物を要すれば溶媒に溶解して塗布,散布,スプレー等の
適宜の手段で適用し、硬化反応を継続させることによ
り、表面層に含フッ素成分が存在する不飽和ポリエステ
ル樹脂硬化物を得ることができる。
【0098】適用されるフッ素含有ブロックポリマー及
び/又はフッ素含有マクロアゾ化合物の使用量は、目的
とする性能が十分に得られることが出来且つ硬化反応自
体に多大な影響を与えない範囲で適宜選択される。
【0099】硬化反応後の後処理等はこの分野に於いて
通常行われる後処理法に準じてこれを行うことにより、
目的の不飽和ポリエステル樹脂硬化物を得ることができ
る。
【0100】本発明の不飽和ポリエステル樹脂組成物と
しては、不飽和ポリエステル成分と重合性ビニルモノマ
ー成分とを必須成分として含むものが挙げられる。
【0101】不飽和ポリエステルとしては、不飽和多塩
基酸と多価アルコールとを例えば重縮合反応させること
により得らるものが挙げられる。
【0102】不飽和多塩基酸としては、例えば無水マレ
イン酸、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、シトラコ
ン酸、メサコン酸等の不飽和酸類等が挙げられる。尚、
これら不飽和酸類と共に重合性基を有さないカルボン酸
類を併用しても良い。これらのカルボン酸類としては、
例えばアジピン酸、無水フタル酸、イソフタル酸、テト
ラクロロ無水フタル酸、3,6-エンドジクロロメチレン・
テトラクロロフタル酸、3,6-エンドメチレン・テトラヒ
ドロ無水フタル酸等が挙げられる。
【0103】多価アルコールとしては、例えばエチレン
グリコール、プロピレングリコール、1,3-ブタンジオー
ル、1,4-ブタンジオール、ジエチレングリコール、ジプ
ロピレングリコール、ネオペンチルグリコール、1,6-ヘ
キサンジオール、2,2,4-トリメチル-1,6-ヘキサンジオ
ール、トリエチレングリコール、ビスフェノールAプロ
ピレンオキシド付加物、グリセリン、トリメチロールプ
ロパン等が挙げられる。
【0104】重合性ビニルモノマーとしては、架橋用ビ
ニルモノマーとして用いられるもの(架橋型ポリマーを
製造する場合に通常用いられるビニルモノマー)であれ
ば特に限定されないが、例えばスチレン、ビニルトルエ
ン、ジビニルベンゼン、o-クロロスチレン、ジクロロス
チレン、酢酸ビニル、ジアリルフタレート、ジアリルイ
ソフタレート、ジアリルテレフタレート、トリアリルイ
ソシアヌレート、トリアリルトリメリテート、メタクリ
ル酸メチル、ジアリルベンゼンホスホネート等が挙げら
れる。
【0105】フッ素含有ブロックポリマー及び/又はフ
ッ素含有マクロアゾ化合物を必要に応じて溶解する溶媒
としては特に限定されないが、例えばベンゼン、トルエ
ン、キシレン、スチレン等の芳香族炭化水素類、例えば
アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケト
ン、シクロヘキサノン等のケトン類、例えばジエチルエ
ーテル、ジイソプロピルエーテル、テトラヒドロフラ
ン、ジオキサン、ジメトキシエタン等のエーテル類、例
えばメタノール、エタノール、プロパノール、イソプロ
パノール、ブタノール、sec-ブタノール、tert-ブタノ
ール等の低級アルコール類、例えば酢酸メチル、酢酸エ
チル、酢酸ブチル、プロピオン酸メチル等のエステル
類、例えば塩化メチレン,クロロホルム,四塩化炭素,
ジクロロエタン,トリクロロエチレン,α,α,α-トリ
フルオロトルエン,1,2-ビス(トリフルオロメチル)ベン
ゼン,1,3-ビス(トリフルオロメチル)ベンゼン,1,4-ビ
ス(トリフルオロメチル)ベンゼン等のハロゲン化炭化水
素類、例えばフルオロ酢酸,トリフルオロ酢酸,無水ト
リフルオロ酢酸等のカルボン酸類等が挙げられる。これ
らは夫々単独で用いても、二種以上適宜組み合わせて用
いても良い。
【0106】尚、該不飽和ポリエステル樹脂組成物に
は、硬化触媒、硬化促進剤、更には必要に応じてその性
質を損なわない範囲で他の成分を添加しても良い。添加
可能な成分としては、増粘剤(例えば酸化マグネシウム
等のアルカリ土類金属酸化物類、例えば水酸化カルシウ
ム等のアルカリ土類金属水酸化物類、例えば炭酸カルシ
ウム等のアルカリ土類金属炭酸塩類等。)、離型剤(例
えばステアリン酸等。)、顔料(例えば酸化チタン、フ
タロシアニン系顔料等。)、充填剤(例えばガラス繊
維、カーボン繊維等。)、紫外線吸収剤(例えば2,2'-
ジヒドロキシ-4,4'-ジメトキシベンゾフェノン等。)、
抗菌・防かび剤(例えば2-(4-チアゾリル)-ベンズイミ
ダゾール等。)、滑材(例えば流動パラフィン等。)、
色素、染料、酸化防止剤、光安定剤等が挙げられる。
【0107】上記硬化触媒としては、重合反応を行う際
に重合開始剤として用いられるものであれば特に限定さ
れず何れも使用に供せられるが、例えばメチルエチルケ
トンパーオキシド、過酸化ベンゾイル、シクロヘキサノ
ンパーオキシド、ジ-tert-ブチルパーオキシド、tert-
ブチルパーオキシ-2-エチルヘキサノエート、tert-ブチ
ルパーベンゾエート、クメンヒドロパーオキシド、ジク
ミルパーオキシド、過酸化ラウロイル等の過酸化物類、
例えばアゾビスイソブチロニトリル、2,2'-アゾビス(2-
アミジノプロパン)二塩酸塩、2,2'-アゾビス(4-メトキ
シ-2,4-ジメチルバレロニトリル)、2,2'-アゾビス(2,4-
ジメチルバレロニトリル)、1,1'-アゾビス(シクロヘキ
サン-1-カルボニトリル)、4,4'-アゾビス(4-シアノペン
タン酸)、2,2'-アゾビス[2-(2-イミダゾリン-2-イル)プ
ロパン]二塩酸塩、2,2'-アゾビス[2-メチル-N-(2-ヒド
ロキシエチル)プロピオンアミド]等のアゾ化合物類、例
えば過硫酸カリウム、過硫酸アンモニウム等の過硫酸化
合物類等が挙げられる。
【0108】硬化触媒の使用量としては特に限定される
ものではないが、不飽和ポリエステルに対して通常0.01
〜5重量%、好ましくは0.1〜3重量%の範囲から適宜
選択される。
【0109】硬化促進剤としては、例えばナフテン酸コ
バルト、ジラウリン酸ジブチル錫、ジ酢酸ジブチル錫、
ビス(2-エチルヘキサン)酸ジブチル錫、ジエチル亜鉛、
テトラ(n-ブトキシ)チタン等の有機金属化合物類、例え
ばトリエチルアミン、N,N-ジメチルアニリン、ピペリジ
ン、ピリジン、4-ジメチルアミノピリジン、トリ-n-ブ
チルアミン、4-ピロリジノピリジン等の有機アミン類、
例えば塩化亜鉛、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、
硫酸等の無機促進剤類等が挙げられる。
【0110】硬化促進剤の使用量としては特に限定され
るものではないが、不飽和ポリエステルに対して通常0.
01〜5重量%、好ましくは0.1〜3重量%の範囲から適
宜選択される。
【0111】硬化温度としては、用いる不飽和ポリエス
テルの種類や硬化触媒或いは硬化促進剤の種類や濃度に
より異なるが、常温硬化を行う際には通常10〜60℃、好
ましくは20〜50℃の範囲から適宜選択される。中温硬化
を行う際には通常50〜90℃、好ましくは60〜80℃の範囲
から適宜選択される。また、高温硬化を行う際には通常
80℃以上、好ましくは90〜130℃の範囲から適宜選択さ
れる。
【0112】このような硬化方法により不飽和ポリエス
テルを処理する際のフッ素含有ブロックポリマー及び/
又はフッ素含有マクロアゾ化合物中のフッ素含有量とし
ては、添加或いはコートする量により変動するため特に
限定されないが、あまり少ないと基材表面に含フッ素成
分の層が形成し難くなり、フッ素が表面にない部分、即
ち、所謂ピンホールができてしまい、また、あまり多い
と基材との接着が落ちるため、不飽和ポリエステル樹脂
組成物に対して通常0.5〜90重量%、好ましくは1〜80
重量%、より好ましくは2〜60重量%の範囲から適宜選
択される。
【0113】かくして得られた不飽和ポリエステル樹脂
硬化物は、表面層にフッ素含有ブロックポリマー及び/
又はフッ素含有マクロアゾ化合物由来の含フッ素成分を
有することから、撥水性、耐候性、耐溶剤性等に特に優
れているため、例えば人工大理石、ボタン、レジンコン
クリート等や、波板、配管などの建築資材、浴槽、浄化
槽等の住宅資材、船舶、自動車、航空部品等の輸送資
材、その他家庭用品、レジャー用品等に広く使用するこ
とが可能である。
【0114】本発明で用いられるフッ素含有ブロックポ
リマーは、上記した如く分子内にフッ素セグメントを有
することから撥水性,撥油性,耐熱性,耐候性,耐薬品
性,防汚塵性,相容性及び接着性等に優れた効果を有す
るため、該ブロックポリマーでエステル樹脂や熱硬化性
樹脂等の基材を処理することにより、これら基材に前記
した如き性質を付与することができる。
【0115】即ち、上記フッ素含有ブロックポリマー
と、要すれば該ブロックポリマーと相容し且つ極性基を
有するポリマー(以下、単に、「極性基を有するポリマ
ー」と略記することもある。)、及び要すれば塩を含ん
だ被覆用組成物を調製し、この組成物を被覆用材料とし
て用いて基材を処理することにより、該フッ素含有ブロ
ックポリマーから成る表面層と基材層とが要すれば該極
性基を有するポリマーの層を介して強固に接着して成る
層状構造物を得ることができる。尚、これら組成物の調
製に際しては、通常、溶媒に各成分を溶解させることに
よりなされる。
【0116】本発明に於いて、上記した如きフッ素含有
ブロックポリマーを製造する際に、例えばカルボキシル
基,水酸基,アミノ基,スルホン酸基等の極性基を有す
るモノマーを用いて重合反応を行った場合には、該極性
基を有するポリマーは必ずしも用いる必要はない。
【0117】本発明に於いて、必要に応じて用いられる
極性基を有するポリマーとしては、例えばカルボキシル
基,水酸基,アミノ基,スルホン酸基等の極性基を有す
るモノマーから誘導されるものであって、ホモポリマー
でもコポリマーでもよい。該モノマーとしては、例えば
アクリル酸,メタクリル酸,イタコン酸,マレイン酸,
フマル酸,クロトン酸,シトラコン酸,メサコン酸,ビ
ニル酢酸,アリル酢酸,ビニル安息香酸等の炭素数3〜
20のエチレン性カルボン酸類(これら酸類は、例えばナ
トリウム,カリウム等のアルカリ金属塩やアンモニウム
塩等、塩の形になっているものでも良い。)、例えばビ
ニルスルホン酸,4-ビニルベンゼンスルホン酸等の炭素
数2〜20のビニルスルホン酸類(これら酸類は、例えば
ナトリウム,カリウム等のアルカリ金属塩等、塩の形に
なっているものでも良い。)、例えばビニルアミン,ア
リルアミン等の炭素数2〜20のビニル系脂肪族アミン
類、例えばビニルアニリン等の炭素数8〜20のビニル系
芳香族アミン類、例えばアリルアルコール,クロチルア
ルコール等の炭素数3〜20のエチレン性アルコール類、
例えば4-ビニルフェノール等の炭素数8〜20のエチレン
性フェノール類等が挙げられる。
【0118】これら前記した如きモノマーから誘導され
るホモポリマーの具体例としては、ポリビニルフェノー
ル、ポリメタクリル酸、ポリアクリル酸、ポリビニルア
コール、ポリビニルスルホン酸等が挙げられる。
【0119】また、コポリマーとしては、上記した如き
モノマー2種以上或いは上記した如きモノマー1種以上
と重合性モノマーとを共重合させることにより得られる
もの等が挙げられる。その他の重合性モノマーとして
は、例えばスチレン,4-メチルスチレン,4-エチルスチ
レン,ジビニルベンゼン等の炭素数8〜20のα-エチレ
ン性芳香族炭化水素類、例えばギ酸ビニル,酢酸ビニ
ル,プロピオン酸ビニル,酢酸イソプロペニル等の炭素
数3〜20のビニルエステル類、例えば塩化ビニル,塩化
ビニリデン,フッ化ビニリデン,テトラフルオロエチレ
ン,テトラクロロエチレン等の炭素数2〜20の含ハロゲ
ンビニル化合物類、例えばメタクリル酸メチル,メタク
リル酸エチル,メタクリル酸プロピル,メタクリル酸ブ
チル,メタクリル酸2-エチルヘキシル,メタクリル酸ラ
ウリル,メタクリル酸ステアリル,メタクリル酸ビニ
ル,メタクリル酸アリル,メタクリル酸フェニル,メタ
クリル酸ベンジル,アクリル酸メチル,アクリル酸エチ
ル,アクリル酸ブチル,アクリル酸2-エチルヘキシル,
アクリル酸ラウリル,アクリル酸ステアリル,アクリル
酸ビニル,イタコン酸メチル,イタコン酸エチル,マレ
イン酸メチル,マレイン酸エチル,フマル酸メチル,フ
マル酸エチル,クロトン酸メチル,クロトン酸エチル,
シトラコン酸メチル,シトラコン酸エチル,メサコン酸
メチル,メサコン酸エチル,3-ブテン酸メチル等の炭素
数4〜20のエチレン性カルボン酸エステル類、例えばア
クリロニトリル,メタクリロニトリル,シアン化アリル
等の炭素数3〜20の含シアノビニル化合物類、例えばア
クリルアミド,メタクリルアミド等の炭素数3〜20のビ
ニル系アミド化合物類、例えばアクロレイン,クロトン
アルデヒド等の炭素数3〜20のエチレン性アルデヒド
類、例えばN-ビニルピロリドン,ビニルピペリジン等
の炭素数5〜20のビニル系脂肪族ヘテロ環状アミン類、
例えばビニルピリジン,1-ビニルイミダゾール等の炭素
数5〜20のビニル系芳香族ヘテロ環状アミン類、例えば
ブタジエン,イソプレン等の炭素数4〜20のジエン系化
合物類等が挙げられ、これらは夫々単独で用いても、二
種以上適宜組み合わせて用いても良い。
【0120】これら前記した如き重合性モノマーと該極
性基を有するモノマーとを共重合させることにより得ら
れるコポリマーの具体例としては、ポリビニルフェノー
ル−ポリメタクリル酸メチル共重合体、ポリビニルフェ
ノール−ポリメタクリル酸エチル共重合体、ポリビニル
フェノール−ポリメタクリル酸ブチル共重合体、ポリメ
タクリル酸−ポリメタクリル酸メチル共重合体、ポリメ
タクリル酸−ポリメタクリル酸エチル共重合体、ポリメ
タクリル酸−ポリメタクリル酸ブチル共重合体、ポリア
クリル酸−ポリメタクリル酸メチル共重合体、ポリアク
リル酸−ポリメタクリル酸エチル共重合体、ポリアクリ
ル酸−ポリメタクリル酸ブチル共重合体等が挙げられ
る。
【0121】また、これら極性基を有するポリマーは単
独で用いても、二種以上適宜組み合わせて用いても良
い。
【0122】本発明の組成物に於けるフッ素含有ブロッ
クポリマー及び極性基を有するポリマーの使用量として
は、特に限定されないが、目的とする性能が十分に得ら
れることが出来、且つ基材との接着性を損なわない範囲
で適宜選択される。
【0123】上記組成物に於いて、必要に応じて用いら
れる塩としては、無機酸の塩又は有機酸の塩が挙げられ
る。
【0124】無機酸の塩としては、例えば塩化リチウ
ム,塩化ナトリウム,塩化カリウム,臭化ナトリウム,
ヨウ化ナトリウム,炭酸リチウム,炭酸ナトリウム,炭
酸カリウム,炭酸水素ナトリウム,炭酸水素カリウム,
リン酸一ナトリウム,リン酸一カリウム,リン酸三ナト
リウム,リン酸三カリウム,硫酸ナトリウム,硫酸カリ
ウム,硫酸水素ナトリウム,硫酸水素カリウム,硝酸リ
チウム,硝酸ナトリウム,硝酸カリウム等のアルカリ金
属塩類、例えば塩化マグネシウム,塩化カルシウム,リ
ン酸マグネシウム,硝酸マグネシウム等のアルカリ土類
金属塩類、例えば塩化アンモニウム,炭酸アンモニウ
ム,炭酸水素アンモニウム,炭酸水素二アンモニウム,
リン酸二水素アンモニウム,リン酸一アンモニウム,リ
ン酸三アンモニウム,硫酸アンモニウム等のアンモニウ
ム塩類等が挙げられる。
【0125】有機酸の塩としては、例えば酢酸リチウ
ム,酢酸ナトリウム,酢酸カリウム,酢酸マグネシウ
ム,酢酸カルシウム,酢酸亜鉛,酢酸アンモニウム,酢
酸銀(I),酢酸銅(II),酢酸鉛(II)等の酢酸塩類、例え
ばプロピオン酸ナトリウム,プロピオン酸カリウム,プ
ロピオン酸カルシウム等のプロピオン酸塩類、例えばト
リフルオロ酢酸ナトリウム,トリフルオロ酢酸カリウム
等のトリフルオロ酢酸塩類、例えばトリフルオロメタン
スルホン酸ナトリウム,トリフルオロメタンスルホン酸
カリウム等のトリフルオロメタンスルホン酸塩類、例え
ば安息香酸ナトリウム,安息香酸カリウム,安息香酸ア
ンモニウム等の安息香酸塩類、例えばフタル酸ナトリウ
ム,フタル酸カリウム,フタル酸アンモニウム等のフタ
ル酸塩類、例えば乳酸ナトリウム,乳酸カリウム,乳酸
マグネシウム,乳酸バリウム,乳酸アンモニウム等の乳
酸塩類、例えばシュウ酸ナトリウム,シュウ酸カリウ
ム,シュウ酸アンモニウム等のシュウ酸塩類、例えば酒
石酸ナトリウム,酒石酸カリウム,酒石酸ナトリウムカ
リウム,酒石酸アンモニウム等の酒石酸塩類、例えばサ
リチル酸ナトリウム,サリチル酸カリウム等のサリチル
酸塩類、例えばこはく酸ナトリウム,こはく酸カリウ
ム,こはく酸アンモニウム等のこはく酸塩類、例えばア
スコルビン酸ナトリウム,アスコルビン酸カリウム,ア
スコルビン酸-2-リン酸マグネシウム,アスコルビン酸-
2-硫酸ナトリウム等のアスコルビン酸塩類、例えばクエ
ン酸二水素アンモニウム,クエン酸水素二アンモニウ
ム,クエン酸三アンモニウム,クエン酸三リチウム,ク
エン酸三ナトリウム,クエン酸三カリウム,クエン酸二
水素リチウム,クエン酸二水素ナトリウム,クエン酸二
水素カリウム等のクエン酸塩類、例えばベンゼンスルホ
ン酸ナトリウム等のスルホン酸塩類等が挙げられる。
【0126】これら塩は、使用するフッ素含有ブロック
ポリマーを製造する場合に用いられるモノマーや極性基
を有するポリマーの種類等によって適宜選択すればよ
く、夫々単独で用いても、二種以上適宜組み合わせて用
いても良い。尚、上記組成物への該塩の添加は、フッ素
含有ブロックポリマーを混合する前でも後でも良い。
【0127】また、上記組成物に塩を添加する場合のそ
の使用量は、特に限定されないが、あまり多いと塩がポ
リマー表面に析出してくるため、本発明に係るポリマー
の極性基に対して通常0.1〜5モル、好ましくは0.5〜2
モルの範囲から適宜選択される。
【0128】本発明の層状構造物は、極性基を有するポ
リマーを用いる場合には、また、下記に示す被覆方法に
よっても得ることができる。即ち、先ず、極性基を有す
るポリマー及び要すれば塩を溶媒に溶解した溶液で、常
法に従って基材を処理(プレコート)する。次に、得ら
れた(プレコートした)基材に、フッ素含有ブロックポ
リマーを溶媒に溶解した溶液で、該基材を常法に従って
処理することにより、本発明の層状構造物を得ることが
できる。
【0129】尚、フッ素含有ブロックポリマーは、合成
後一旦単離し、これを溶媒に溶解した溶液が使用に供せ
られるが、該ブロックポリマーが可溶な溶媒を用いてブ
ロックポリマーの重合反応を行った場合には、該ブロッ
クポリマーを単離せずにそのまま基材の処理に用いても
良い。
【0130】被覆後の後処理等はこの分野に於いて通常
行われる後処理法に準じてこれを行えばよい。
【0131】本発明の改質方法に於いて、基材を処理す
る方法としては、例えばスピンコート、スプレー、ディ
ッピング(浸漬)、塗布、散布等が挙げられる。
【0132】本発明の改質方法に於いて、フッ素含有ブ
ロックポリマーと、要すれば極性基を有するポリマー、
及び要すれば塩を含んで成る組成物を溶解する溶媒とし
ては、上記した如き基材を溶解しないものであれば特に
限定されないが、例えばベンゼン,トルエン,キシレ
ン,スチレン等の芳香族炭化水素類、例えばアセトン,
メチルエチルケトン,メチルイソブチルケトン,シクロ
ヘキサノン等のケトン類、例えばジエチルエーテル,ジ
イソプロピルエーテル,テトラヒドロフラン,ジオキサ
ン,ジメトキシエタン等のエーテル類、例えばメタノー
ル,エタノール,プロパノール,イソプロパノール,ブ
タノール,sec-ブタノール,tert-ブタノール等の低級
アルコール類、例えば酢酸メチル,酢酸エチル,酢酸ブ
チル,プロピオン酸メチル等のエステル類、例えば塩化
メチレン,クロロホルム,四塩化炭素,ジクロロエタ
ン,トリクロロエチレン,α,α,α-トリフルオロトル
エン,1,2-ビス(トリフルオロメチル)ベンゼン,1,3-ビ
ス(トリフルオロメチル)ベンゼン,1,4-ビス(トリフル
オロメチル)ベンゼン等のハロゲン化炭化水素類、例え
ばアセトン,メチルエチルケトン,メチルイソブチルケ
トン,シクロヘキサノン等のケトン類、例えばフルオロ
酢酸,トリフルオロ酢酸,無水トリフルオロ酢酸等のカ
ルボン酸類、アセトニトリル、N-メチルピロリドン、
N,N-ジメチルホルムアミド、N,N-ジメチルアセトアミ
ド、ジメチルスルホキシド等が挙げられる。これらは夫
々単独で用いても、二種以上適宜組み合わせて用いても
良い。
【0133】該改質方法に於いて、フッ素含有ブロック
ポリマー、要すれば極性基を有するポリマー、及び要す
れば塩を溶媒に溶解する温度としては、該溶媒の種類や
濃度等により異なり、また、溶媒の沸点以下であれば特
に限定されないが、通常0〜100℃、好ましくは室温〜6
0℃の範囲から適宜選択される。
【0134】また、該改質方法に於いて、該被覆用材料
で処理する基材としては、フッ素含有ブロックポリマー
と、要すれば極性基を有するポリマー、及び要すれば塩
を含んで成る組成物を溶解する溶媒に溶解しない材料か
らなるものであればいかなるものでもよく、これら材料
の具体例としては、例えば飽和ポリエステル樹脂等の熱
可塑性樹脂、例えば不飽和ポリエステル樹脂,ポリアミ
ド樹脂,ポリイミド樹脂,ポリウレタン樹脂,メラミン
樹脂,ユリア樹脂等の熱硬化性樹脂硬化物、金属、ガラ
ス、紙等が挙げられ、その形状としては、例えばシート
状,板状,フィルム状,棒状,糸状或いは布状等の形状
のものが挙げられる。
【0135】基材として用いられる飽和ポリエステル樹
脂としては、多塩基酸と多価アルコールとを例えば重縮
合反応させることにより得らるものが挙げられる。
【0136】多塩基酸としては、例えばマロン酸,こは
く酸,グルタル酸,アジピン酸,ピメリン酸,スベリン
酸,アゼライン酸,セバシン酸,ドデカン二酸,フタル
酸,イソフタル酸,テレフタル酸,1,4-ナフタレンジカ
ルボン酸,2,3-ナフタレンジカルボン酸,4,4'-ビフェ
ニルジカルボン酸,トリメリット酸等が挙げられる。
【0137】多価アルコールとしては、例えばエチレン
グリコール、プロピレングリコール、1,3-ブタンジオー
ル、1,4-ブタンジオール、ジエチレングリコール、ジプ
ロピレングリコール、ネオペンチルグリコール、1,6-ヘ
キサンジオール、2,2,4-トリメチル-1,6-ヘキサンジオ
ール、トリエチレングリコール、ビスフェノールAプロ
ピレンオキシド付加物、グリセリン、トリメチロールプ
ロパン等が挙げられる。
【0138】これら多塩基酸と多価アルコールとを例え
ば重縮合反応させることにより得らる飽和ポリエステル
樹脂の具体例としては、例えばポリエチレンテレフタレ
ート(PET),ポリブチレンテレフタレート(PB
T),ポリエチレンナフタレート(PEN),1,4-シク
ロヘキシルジメチレンテレフタレート(PCT)等が挙
げられる。
【0139】基材として用いられる不飽和ポリエステル
樹脂としては、不飽和ポリエステル成分と重合性ビニル
モノマー成分とを必須成分として含むものが挙げられ
る。
【0140】該不飽和ポリエステル成分としては、不飽
和多塩基酸と多価アルコールとを例えば重縮合反応させ
ることにより得らるものが挙げられる。
【0141】これら不飽和多塩基酸及び多価アルコール
の具体例は、先に述べた通りである。
【0142】また、重合性ビニルモノマーの具体例も先
に述べた通りである。
【0143】更に、該不飽和ポリエステル樹脂組成物に
は、硬化触媒、硬化促進剤、更には必要に応じてその性
質を損なわない範囲で他の成分を添加しても良いが、添
加可能な他の成分についても先に述べた通りである。
【0144】また、硬化触媒の具体例及び使用量、硬化
促進剤の具体例及び使用量、硬化温度等も先に述べた通
りである。
【0145】基材として用いられるポリアミド樹脂とし
ては、ラクタム類を重合反応させることにより得らるも
の、アミノカルボン酸類を重縮合反応させることにより
得らるもの或いは二塩基酸とジアミン類とを重縮合反応
させることにより得らるもの等が挙げられる。
【0146】ラクタム類としては、例えば2-ピロリジノ
ン、ε-カプロラクタム、ω-ラウロラクタム等の環状ア
ミド類等が挙げられる。
【0147】アミノカルボン酸類としては、例えばアミ
ノ酢酸,3-アミノプロピオン酸,4-アミノブタン酸,5-
アミノペンタン酸,6-アミノヘキサン酸,8-アミノオク
タン酸,ω-アミノウンデカン酸等が挙げられる。
【0148】二塩基酸としては、例えばマロン酸,こは
く酸,グルタル酸,アジピン酸,ピメリン酸,スベリン
酸,アゼライン酸,セバシン酸,ドデカン二酸,テレフ
タル酸,ナフタレンジカルボン酸等が挙げられる。
【0149】ジアミン類としては、例えばジアミノブタ
ン,ペンタメチレンジアミン,ヘキサメチレンジアミ
ン,トリメチルヘキサメチレンジアミン,パラフェニレ
ンジアミン,メタキシリジンジアミン,1,4-ナフタレン
ジアミン,ベンジジン,オキシジアニリン,ベンゾフェ
ノンジアミン等が挙げられる。
【0150】基材として用いられるポリイミド樹脂とし
ては、一般に、酸無水物と上記した如きジアミン類の重
縮合反応によって得られるものが挙げられる。
【0151】酸無水物としては、例えばピロメリット酸
二無水物,ビフェニルテトラカルボン酸二無水物,ベン
ゾフェノンテトラカルボン酸二無水物等が挙げられる。
【0152】基材として用いられるポリウレタン樹脂と
しては、ポリイソシアネートと活性水素基を有する化合
物を主原料として製造したものが挙げられる。
【0153】ポリイソシアネートとしては、イソシアネ
ート類から誘導されるものが挙げられ、該イソシアネー
ト類の具体例としては、トリレンジイソシアネート,ジ
フェニルメタンジイソシアネート,トリジンジイソシア
ネート,ナフタレンジイソシアネート,ヘキサメチレン
ジイソシアネート,イソホロンジイソシアネート,キシ
リレンジイソシアネート,ジシクロヘキシルメタンジイ
ソシアネート等が挙げられる。
【0154】活性水素基を有する化合物としては、例え
ばポリオール等が挙げられる。
【0155】ポリオールとしては、アルコール類から誘
導されるものが挙げられ、該アルコール類の具体例とし
ては、エチレングリコール、プロピレングリコール、グ
リセリン、トリメチロールプロパン、トリエタノールア
ミン等が挙げられる。
【0156】このような改質方法で、フッ素含有ブロッ
クポリマーと、要すれば該ブロックポリマーと相容し且
つ極性基を有するポリマー、更に要すれば塩を含んで成
る組成物を被覆用材料として用いて基材を処理した結
果、(i)基材表面に形成されたフッ素含有ブロックポ
リマー層、(ii)該ブロックポリマーを溶解する溶媒に
不溶の基材、及び要すれば(iii)これらの中間に存在
する、該ブロックポリマーと相容し且つ極性基を有する
ポリマー層、とが一体化されてなる層状構造物が作製さ
れる。
【0157】尚、本発明の被覆用材料及び層状構造物に
は、必要に応じてその性質を損なわない範囲で他の成分
を添加しても良い。添加可能な成分としては、増粘剤
(例えば酸化マグネシウム等のアルカリ土類金属酸化物
類、例えば水酸化カルシウム等のアルカリ土類金属水酸
化物類、例えば炭酸カルシウム等のアルカリ土類金属炭
酸塩類等。)、離型剤(例えばステアリン酸等。)、顔
料(例えば酸化チタン、フタロシアニン系顔料等。)、
充填剤(例えばガラス繊維、カーボン繊維等。)、紫外
線吸収剤(例えば2,2'-ジヒドロキシ-4,4'-ジメトキシ
ベンゾフェノン等。)、抗菌・防かび剤(例えば2-(4-
チアゾリル)-ベンズイミダゾール等。)、滑材(例えば
流動パラフィン等。)、色素、染料、酸化防止剤、光安
定剤等が挙げられる。
【0158】本発明の改質方法により基材を処理する際
のフッ素含有ブロックポリマー中のフッ素含有量として
は、コートする量により変動するため特に限定されない
が、フッ素含有マクロアゾ化合物とモノマーとのブロッ
クポリマー層中の表面のフッ素含有量が50重量%以上と
なるような量であることが望ましい。そのため、フッ素
含有ブロックポリマー中のフッ素含有量としては、通常
0.5〜90重量%、好ましくは1〜80重量%、より好まし
くは2〜60重量%の範囲から適宜選択される。尚、フッ
素含有量があまり少ないと基材表面に含フッ素成分の層
が形成し難くなり、フッ素が表面にない部分、所謂ピン
ホールができてしまい、また、あまり多いと基材との接
着が落ちる可能性がある。
【0159】このようにして製造された本発明の層状構
造物は、対水接触角が大きいため水をはじきやすく、撥
水性、耐候性、耐溶剤性、防塵性、耐薬品性及び耐汚染
性等に優れ、表面層(被覆層)が基材層と強固に接着し
た構造となっている。そのため、該構造物を例えば、合
成繊維、剥離フィルム、電気・電子部品、磁気テープ、
包装用フィルム、繊維、自動車材料、容器材料等に広く
使用することが可能である。
【0160】以下に合成例、重合例、参考例、実施例、
比較例及び実験例を挙げて本発明を更に詳細に説明する
が、本発明はこれらによって何ら制限されるものではな
い。
【0161】
【実施例】
合成例1. フッ素含有マクロアゾ化合物(以下、MA
Iと略記する。)の合成MF-403(フッ素化ポリオキシア
ルキレン。片末端が水酸基となっているもの。重量平均
分子量:約1450。ガルデン社商品名。) 43.7g、ジシ
クロヘキシルカルボジイミド(以下、DCCと略記す
る。) 13.6g、4-ジメチルアミノピリジン(以下、D
MAPと略記する。) 2.0g及び4,4'-アゾビス(4-シア
ノペンタン酸)[和光純薬工業(株)。商品名:V−50
1。以下、「V−501」という。] 9.3gを1,3-ビス
(トリフルオロメチル)ベンゼン 66ml及び塩化メチレン
30mlの混合溶媒に懸濁し、20〜25℃で8時間攪拌反応さ
せた。一夜放置後、析出した結晶を濾去し、溶媒を減圧
留去した。残渣にメタノール 500mlを加えてフッ素含有
マクロアゾ化合物を沈殿させた。これを分取し、減圧下
で乾燥して目的とするフッ素含有マクロアゾ化合物 22.
6g(収率 45.2%)を得た。以下これをMAI−1と略
記する。1 H-NMR δppm(CDCl3):1.67(s,3H,CH 3)、
1.72(s,3H,CH 3)、2.35〜2.6(m,8H,N-C-CH 2CH 2-C
O)、3.65〜3.85(m,8H,COO-CH2CH 2O,O-CH 2CF2)、4.27
(brs,4H,COO-CH 2CH2)。 IR:1740cm-1(COO),1240cm-1(-CF2-)。
【0162】合成例2. MAIの合成 フォンブリンE(フッ素化ポリオキシアルキレン。両末
端が水酸基となっているもの。重量平均分子量:約230
0。アウジモント社商品名。) 22.0g、DCC5g、D
MAP 1.2g及びV−501 2.8gを1,3-ビス(トリフ
ルオロメチル)ベンゼン 20ml及び塩化メチレン 30mlの
混合溶媒に懸濁し、20〜25℃で8時間攪拌反応させた。
一夜放置後、析出した結晶を濾去し、濾液をメタノール
500ml中に注いでフッ素含有マクロアゾ化合物を沈降さ
せた。これを分取し、減圧下で乾燥して目的とするフッ
素含有マクロアゾ化合物 20.3g(収率 84.5%)を得
た。以下これをMAI−2と略記する。1 H-NMR δppm((CF3CO)2O):1.67(s,3H,CH
3)、1.77(s,3H,CH 3)、2.35〜2.6(m,8H,N-C-CH 2CH 2-
CO)、3.85(brs,8H,COO-CH2CH 2O,O-CH 2CH2)、4.30(b
rs,4H,COO-CH 2CH2)。 IR:1740cm-1(COO),1209cm-1(-CF2-)。
【0163】合成例3. MAIの合成 2-(パーフルオロオクチル)エタノール 10.1g、DCC
4.4g、DMAP 1.3g及びV−501 3.0gを乾燥ア
セトニトリル 40mlに溶解し、20〜25℃で8時間攪拌反
応させた。一夜放置後、析出した結晶を濾取し、塩化メ
チレン 700mlに溶解させた。不溶物約5gを濾去し、濾
液を減圧下に濃縮乾固した。残渣をメタノールで洗浄し
て、目的とする殆ど白色の結晶のフッ素含有マクロアゾ
化合物 8.3g(収率 70.8%)を得た。以下これをMA
I−3と略記する。 m.p. 76.5℃(dec.)。1 H-NMR δppm(CDCl3):1.69(s,3H,CH 3)、
1.73(s,3H,CH 3)、2.35〜2.6(m,12H,N-C-CH 2CH 2-CO,O
-CH2CH 2)、4.42(t,2H,O-CH 2CH2)。
【0164】重合例1. フッ素含有ブロックポリマー
の合成 合成例2で得られたMAI−2 5.0g、メチルメタク
リレート(以下、MMAと略記する。) 20g及び1,3-
ビス(トリフルオロメチル)ベンゼン 60mlを混合し、窒
素気流中、70℃で5時間重合反応させた。反応終了後、
反応液をメタノール 1L中に注いでフッ素含有ブロッ
クポリマーを析出させた。これを濾取し、乾燥して目的
とする白色塊状のフッ素含有ブロックポリマー 22.8g
(収率 91.1%)を得た。GPCの測定結果から、この
ものの数平均分子量は 59,400、重量平均分子量は 126,
000、また、分散度は 2.12のフッ素含有ブロックポリマ
ーであった。以下これをBP−1という。
【0165】重合例2. フッ素含有ブロックポリマー
の合成 重合例1に於いて、MMAの代わりにスチレンを用いた
以外は重合例1と全く同様にして重合反応を行い、目的
とする微黄色粉状のフッ素含有ブロックポリマー 20.1
g(収率 80.2%)を得た。以下これをBP−2とい
う。
【0166】重合例3. フッ素含有ブロックポリマー
の合成 合成例1で得られたMAI−1 5.0g、MMA 20g及
び1,3-ビス(トリフルオロメチル)ベンゼン 60mlを混合
し、窒素気流中、70℃で5時間重合反応させた。反応終
了後、反応液をメタノール 1L中に注いでフッ素含有
ブロックポリマーを析出させた。これを濾取し、乾燥し
て目的とする微黄色塊状のフッ素含有ブロックポリマー
10.1g(収率 40.6%)を得た。GPCの測定結果か
ら、このものの数平均分子量は 23,800、重量平均分子
量は 36,700、また、分散度は 1.54のフッ素含有ブロッ
クポリマーであった。以下これをBP−3という。
【0167】重合例4. フッ素含有ブロックポリマー
の合成 重合例3於いて、MMAの代わりにスチレンを用いた以
外は重合例3と全く同様にして重合反応を行い、目的と
する微黄色粉状のフッ素含有ブロックポリマー11.8g
(収率 47.1%)を得た。GPCの測定結果から、この
ものの数平均分子量は 15,500、重量平均分子量は 25,9
00、また、分散度は 1.67のフッ素含有ブロックポリマ
ーであった。以下これをBP−4という。
【0168】重合例5. フッ素含有ブロックポリマー
の合成 合成例3で得られたMAI−3 1.0g、MMA 100g
及びトルエン 300mlを混合し、窒素気流中、70℃で5時
間重合反応させた。反応終了後、反応液をメタノール
5L中に注いで晶析させた。析出したポリマーを濾取し
た後、乾燥して目的とする白色塊状のフッ素含有ブロッ
クポリマー 52.8g(収率 52.3%)を得た。GPC測定
結果から、このものの数平均分子量は 85,900、重量平
均分子量は 139,000、また、分散度は 1.62のフッ素含
有ブロックポリマーであった。以下これをBP−5とい
う。
【0169】参考例1.アゾビスイソブチロニトリル
(AIBN) 0.14g、MMA 100g及びトルエン 300m
lを混合し、窒素気流中、70℃で5時間重合反応させ
た。反応終了後、反応液をメタノール 5L中に注いで
ポリマーを析出させた。これを濾取し、乾燥して目的と
する白色塊状のポリメタクリル酸メチル(以下、PMM
Aと略記する。) 43.7g(収率 43.6%)を得た。GP
Cの測定結果から、このものの数平均分子量は 68,00
0、重量平均分子量は 121,000、また、分散度は 1.77で
あった。
【0170】実施例1. BP−1 1gをメチルエチルケトン(以下、MEKと
略記する。) 20mlに溶解した。次に、ポリ塩化ビニル
(以下、PVCと略記する。)シート(10×6cm)上
に、BP−1のMEK溶液 2mlを滴下した後、バーコ
ーターを該シートに水平に動かし、溶液を広げてコーテ
ィングを行った。
【0171】実施例2. BP−1 1gをMEK 20mlに溶解した。次に、得ら
れた溶液にPVCシート(10×6cm)を10秒間浸漬した
後、風乾してコーティングを行った。
【0172】実施例3. BP−2 1gをMEK 20mlに溶解した。次に、PV
Cシート(10×6cm)上に、BP−2のMEK溶液 2m
lを滴下した後、バーコーターを該シートに水平に動か
し、溶液を広げてコーティングを行った。
【0173】実施例4. BP−2 1gをMEK 20mlに溶解した。次に、得ら
れた溶液にPVCシート(10×6cm)を10秒間浸漬した
後、風乾してコーティングを行った。
【0174】実施例5. BP−1 1gをMEK 20mlに溶解した。次に、ポリ
メタクリル酸メチル(以下、PMMAと略記する。)板
(10×6cm)上に、BP−1のMEK溶液 2mlを滴下
した後、バーコーターを該シートに水平に動かし、溶液
を広げてコーティングを行った。
【0175】実施例6. BP−1 1gをMEK 20mlに溶解した。次に、得ら
れた溶液にPMMA板(10×6cm)を10秒間浸漬した
後、風乾してコーティングを行った。
【0176】実施例7. BP−3 1gをMEK 20mlに溶解した。次に、PV
Cシート(10×6cm)上に、BP−3のMEK溶液 2m
lを滴下した後、バーコーターを該シートに水平に動か
し、溶液を広げてコーティングを行った。
【0177】実施例8. BP−3 1gをMEK 20mlに溶解した。次に、得ら
れた溶液にPVCシート(10×6cm)を10秒間浸漬した
後、風乾してコーティングを行った。
【0178】実施例9. BP−4 1gをMEK 20mlに溶解した。次に、PV
Cシート(10×6cm)上に、BP−4のMEK溶液 2m
lを滴下した後、バーコーターを該シートに水平に動か
し、溶液を広げてコーティングを行った。
【0179】実施例10. BP−4 1gをMEK 20mlに溶解した。次に、得ら
れた溶液にPVCシート(10×6cm)を10秒間浸漬した
後、風乾してコーティングを行った。
【0180】実施例11. BP−5 1gをMEK 20mlに溶解した。次に、PV
Cシート(10×6cm)上に、BP−5のMEK溶液 2m
lを滴下した後、バーコーターを該シートに水平に動か
し、溶液を広げてコーティングを行った。
【0181】実施例12. BP−5 1gをMEK 20mlに溶解した。次に、得ら
れた溶液にPVCシート(10×6cm)を10秒間浸漬した
後、風乾してコーティングを行った。
【0182】比較例1.参考例1で得られたPMMA
1gをMEK 20mlに溶解した。次に、PVCシート(1
0×6cm)上に、PMMAのMEK溶液 2mlを滴下した
後、バーコーターを該シートに水平に動かし、溶液を広
げてコーティングを行った。
【0183】比較例2.参考例1で得られたPMMA
1gをMEK 20mlに溶解した。次に、得られた溶液に
PVCシート(10×6cm)を10秒間浸漬した後、風乾し
てコーティングを行った。
【0184】実験例1.実施例1〜12及び比較例1及び
2で得られた試料について、各種評価試験によりその適
性を調べた結果を表1に示す。尚、評価方法は、夫々下
記の通りである。
【0185】[評価試験方法] 1.成膜性試験 各基材表面に均一に成膜されているか否かを目視で評価
した。 評価基準 ○・・・良好に成膜されている ×・・・成膜されていない
【0186】2.透明性試験 コーティング膜が透明であるか否かを目視で評価した。 評価基準 ○・・・膜が透明 △・・・膜に濁りあり ×・・・膜が白濁
【0187】3.接着性試験 JIS K 5400 8.5.2 の碁盤目試験に従い、カッターで1m
m角の切れ込みを入れ、セロテープを貼り付けコーティ
ング膜に密着させた。その後、テープを瞬間的に剥がし
て、コーティング膜のはがれ具合を評価した。 評価基準 ○・・・コーティング膜の剥離無し △・・・コーティング膜の一部が剥離 ×・・・コーティング膜の全面が剥離
【0188】4.撥水性試験 各試料表面(コーティング膜の表面)をFACE CONTACT-A
NGLE METER CA-D[協和界面科学(株)製]を用いて対水
接触角を測定した。
【0189】
【表1】
【0190】以上の結果から、成膜性、透明性及び接着
性については何れの試料も良好な結果を示しているが、
対水接触角においては、比較例1及び2に於けるPMM
Aをコーティングしたフィルムの場合、夫々68゜,71゜
と小さい値であるのに対し、実施例1〜12に於けるフッ
素含有ブロックポリマーをコーティングしたフィルムの
場合は何れも対水接触角がこれよりも明らかに大きな値
(一番小さいもので85゜)となっていることから、本発
明の層状ポリマー構造物は何れも撥水性が高くなってい
ることが判る。
【0191】
【発明の効果】本発明の改質方法により得られた層状ポ
リマー構造物は、例えば塩化ビニル樹脂に於ける水蒸気
が表面に結露することにより光透過率が低下するという
問題点、また、大気汚染や静電気等のためにシート表面
が汚れやすいという問題点、更に、同種のポリマーから
成る構造物を用いた場合に生じる耐候性及び耐薬品性の
低下という問題点等を有さず、接着性に優れ、表面層と
基材層とが強固に接着して成るものである点に顕著な効
果を奏するものである。

Claims (17)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 フッ素含有マクロアゾ化合物及び/又は
    フッ素含有ブロックポリマーで処理することを特徴とす
    る、基材の改質方法。
  2. 【請求項2】 (i)フッ素含有ブロックポリマー層、
    (ii)該ブロックポリマーを溶解する溶媒に可溶のポリ
    マー基材層、及び(iii)これら両層の中間に存在する
    該ブロックポリマーと該ポリマー基材の相容層、とが一
    体化されてなる層状ポリマー構造物。
  3. 【請求項3】 フッ素含有ブロックポリマーを溶媒に溶
    解した溶液で該溶媒可溶のポリマー基材を処理すること
    を特徴とする請求項2に記載の構造物の製造方法。
  4. 【請求項4】 フッ素含有ブロックポリマーを溶媒に溶
    解した溶液で該溶媒可溶のポリマー基材を処理すること
    を特徴とするポリマーの改質方法。
  5. 【請求項5】 表面層に含フッ素成分が存在して成る不
    飽和ポリエステル樹脂硬化物。
  6. 【請求項6】 不飽和ポリエステル樹脂を、その硬化完
    了前に、フッ素含有マクロアゾ化合物及び/又はフッ素
    含有ブロックポリマーで処理することを特徴とする、表
    面層に含フッ素成分が存在して成る不飽和ポリエステル
    樹脂硬化物の製造方法。
  7. 【請求項7】 不飽和ポリエステル樹脂と、フッ素含有
    マクロアゾ化合物及び/又はフッ素含有ブロックポリマ
    ーとの混合物を硬化させることを特徴とする、表面層に
    含フッ素成分が存在して成る不飽和ポリエステル樹脂硬
    化物の製造方法。
  8. 【請求項8】 フッ素含有マクロアゾ化合物及び/又は
    フッ素含有ブロックポリマーを含有する、不飽和ポリエ
    ステル樹脂組成物。
  9. 【請求項9】 フッ素含有ブロックポリマーを含んで成
    る被覆用組成物。
  10. 【請求項10】 更に塩を含んで成る請求項9に記載の
    被覆用組成物。
  11. 【請求項11】 更にフッ素含有ブロックポリマーと相
    容し且つ極性基を有するポリマーを含んで成る請求項9
    又は10に記載の被覆用組成物。
  12. 【請求項12】 請求項9〜11に記載の組成物を含ん
    で成る被覆用材料。
  13. 【請求項13】 請求項12に記載の被覆用材料で処理
    することを特徴とする、基材の改質方法。
  14. 【請求項14】 フッ素含有ブロックポリマーと相容し
    且つ極性基を有するポリマー、及び必要に応じて更に塩
    を含んで成る組成物で基材を前処理し、次いで該基材を
    フッ素含有ブロックポリマーを含んで成る組成物で処理
    することを特徴とする、基材の改質方法。
  15. 【請求項15】 (i)基材表面に形成されたフッ素含
    有ブロックポリマー層、及び(ii)該ブロックポリマー
    を溶解する溶媒に不溶の基材、とが一体化されてなる層
    状構造物。
  16. 【請求項16】 (i)基材表面に形成されたフッ素含
    有ブロックポリマー層、(ii)該ブロックポリマーを溶
    解する溶媒に不溶の基材、及び(iii)これらの中間に
    存在する該ブロックポリマーと相容し且つ極性基を有す
    るポリマー層、とが一体化されてなる層状構造物。
  17. 【請求項17】 (i)フッ素含有ブロックポリマー、
    及び(ii)要すれば塩を含んで成る、フッ素含有ブロッ
    クポリマーと相容し且つ極性基を有するポリマー、とを
    組み合わせて成る該フッ素含有ブロックポリマーを基材
    に被覆するための組成物。
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Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2007153632A (ja) * 2005-11-30 2007-06-21 Matsushita Electric Works Ltd 人工大理石の表面処理方法
JP2007153643A (ja) * 2005-12-01 2007-06-21 Matsushita Electric Works Ltd コーティング剤
JP2010037528A (ja) * 2008-07-09 2010-02-18 Tokyo Ohka Kogyo Co Ltd 化合物、ラジカル重合開始剤、重合体、レジスト組成物、レジストパターン形成方法

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