JPH10291014A - 冷間タンデム圧延における形状の制御方法 - Google Patents

冷間タンデム圧延における形状の制御方法

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JPH10291014A
JPH10291014A JP9113616A JP11361697A JPH10291014A JP H10291014 A JPH10291014 A JP H10291014A JP 9113616 A JP9113616 A JP 9113616A JP 11361697 A JP11361697 A JP 11361697A JP H10291014 A JPH10291014 A JP H10291014A
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rolling stand
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JP9113616A
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Atsushi Aizawa
敦 相沢
Kenji Hara
健治 原
Kazunari Nakamoto
一成 中本
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Nippon Steel Nisshin Co Ltd
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Nisshin Steel Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 予めキャンバの生じている金属帯であっても
板破断すること無くキャンバを小さくでき、形状,歩留
に優れた冷間圧延を行う。 【解決手段】 第1〜(n−1)圧延機では、最終の第n
圧延機出側のキャンバ曲率を連続測定し、第(n−1)圧
延機出側のキャンバ曲率ρ(n-1)を表す式における各圧
延機の左右圧延荷重差dPiを、圧延機出側張力Tiを変形
抵抗値の上限値Ti(max)以下とするdPiに制限して前記
キャンバ曲率ρ(n-1)を目標値とし得る値に演算・選定
したdPiに制御し、最終の第n圧延機では、その圧延機
出側で伸び率分布を連続測定し、ワークロールのベンダ
力差等の非対称形状制御項群の制御量及びワークロール
の平均ベンダ力等の対称形状制御項群の制御量を補正し
たときの伸び率分布の非対称成分及び対称成分を表わす
所定の式により伸び率分布を零とする前記制御量の補正
量を演算し、この補正量だけ補正しながら圧延する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、予めキャンバの生
じている金属帯であっても、板破断すること無くキャン
バを小さくして且つ所望の形状に歩留の優れた冷間圧延
を行うことのできる冷間タンデム圧延における形状の制
御方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】一般に金属帯を圧延する際には、圧延
機,金属帯又はこれら両者について作業側と駆動側(以
下、この両側を総称して「左右」と言うことがある)に
例えば圧延機における左右の圧延荷重差等や金属帯にお
けるウェッジ等の種々の非対称が生じており、このよう
な非対称に起因して圧延された金属帯の左右両側縁でそ
れぞれ通板方向への伸びに差が生じることによってキャ
ンバが発生する。冷間圧延において前記した如きキャン
バが発生すると、製品価値が低下し歩留低下の原因とな
るばかりでなく、通板する金属帯の蛇行により絞り込み
等の圧延トラブルの原因ともなる。キャンバを抑制する
ためにはウェッジ率(金属帯の左右両側縁の板厚比)を
一定とすることによって金属帯の左右両側縁の伸びの差
の発生を防止すれば良く、そのためにウェッジ率を一定
とすることのできる条件、即ち左右の圧延荷重に所定量
の差を生じるように調整することにより圧延を行ってい
た。
【0003】しかしながら、圧延すべき金属帯に予めキ
ャンバが生じている場合には、前記した如くウェッジ率
を一定とすることのできる左右圧延荷重差に調整して圧
延すると、金属帯の左右両側縁の伸びの差が抑制されて
金属帯に予め生じていたキャンバが残存するのであり、
特に、形状矯正のために低圧下率で再び冷間圧延を行う
場合には、キャンバ曲率がそのまま残存するため、前記
した如く歩留低下と共に圧延トラブルが発生するという
欠点があった。
【0004】このような圧延前から予めキャンバが生じ
ている金属帯を、キャンバの小さな状態に圧延する方法
が特公平5−21648号公報に開示されている。この
方法は、少なくとも二つの最終圧延パスを除く任意の第
iパス通過後の金属帯のウェッジ率とキャンバ曲率とを
推定又は実測により求めて、ウェッジ率を横軸としキャ
ンバ曲率を縦軸とする座標において、前記第iパス通過
後のウェッジ率とキャンバ曲率とを表す点を求めて後、
ウェッジ率の変化に対するキャンバ曲率の変化を示す関
係式に基づき、ウェッジ率が変化しないときの第(i+
1)パス通過後のキャンバ曲率を表す点を求めると共
に、この点を通る所定の傾きの第1直線と、この第1直
線と横軸との交点を通る所定の傾きの第2直線と、原点
を通る所定の傾きの第3直線とを求め、第2直線と第3
直線との交点から縦軸と平行な線と第1直線との交点を
求め、この交点でもって少なくとも第(i+2)パス以降
のウェッジ率及びキャンバ曲率を零とするための第(i
+1)パス通過後の目標のウェッジ率及びキャンバ曲率
を推定し、この目標ウェッジ率から第(i+1)パス以降
における圧延機の作業側と駆動側との圧下位置差の修正
量を求め、この圧下位置差の修正量に応じて前記両側の
圧下位置を設定し、第(i+1)パス以降の圧延を行う方
法である。ここで、前記ウェッジ率ρiの変化に対する
キャンバ曲率φiの変化を示す関係式とは、下記の式で
表される。 ρi−ρ(i-1)/λi2=ξ(ri)[φi−φ(i-1)] 但し、λi:伸び率であって第iパス通過前後の平均板
厚の比[(h(i-1)/hi] ξ(ri):キャンバ変化係数で圧下率riの関数
【0005】この方法を実施すると、キャンバ曲率を修
正するために第(i+1)パスを行う圧延スタンドでウェ
ッジ率を変更するので、この圧延スタンドで圧延された
金属帯の左右両側縁における通板方向への伸びに差が生
じて金属帯に予め生じているキャンバ曲率が修正される
のである。
【0006】しかしながら、特公平5−21648号公
報に開示されている前記方法を実施すると、上記した如
く第iパス後のウェッジ率及びキャンバ曲率から圧下位
置差の修正量が一義的に決定されるので、或る圧延スタ
ンドのみで前記圧下位置差の修正量が大きくなる場合が
あり、その結果ウェッジ率の変更量が非常に大きい場合
に板破断を生じることがあるという欠点があった。即
ち、ウェッジ率が変更されると上記した如く左右両側縁
の伸びに差が生じるので、この伸びの差に起因して伸び
の小さい側縁側の張力が大きくなるため、このウェッジ
率の変更量が大きいとその圧延スタンドで生じる左右の
伸びの差が大きくなり、伸びの小さい側の張力が大きく
なるために板破断を生じることがあるという欠点があっ
たのである。これは、この方法が張力変化を考慮してい
ないからである。
【0007】更に、最終パスでは、例えば6重圧延機に
より冷間圧延する場合には、図4に示す如くワークロー
ル2aの操作側と駆動側とのベンダ力Wb,Wb',中間
ロール2bの操作側と駆動側とのベンダ力Ib,Ib',
バックアップロール2cの操作側と駆動側とにかかる圧延
荷重P,P',上下中間ロール2bのシフト位置δ,δ'に
それぞれ差をつける手段(以下、このような手段を非対
称形状制御手段と言う)により、ワークロール2aのたわ
みや傾きを変え、金属帯Sの操作側と駆動側との伸び率
を等しくして、片伸びを生じないように圧延する形状制
御が行われる。従って、この最終パスにおいてもキャン
バ制御を行う場合には前記形状制御と干渉し、所望の断
面形状を得られないことがあるという欠点があった。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、上記従来技
術の欠点を解消し、予めキャンバの生じている金属帯で
あっても、板破断すること無くキャンバを小さくし且つ
所望の形状に歩留の優れた冷間圧延を行うことのできる
冷間タンデム圧延における形状の制御方法を提供するこ
とを課題とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、かかる課
題を解決すべく鋭意検討した結果、予めキャンバの生じ
ている金属帯をキャンバの小さな状態にタンデム圧延す
るためには、キャンバ曲率と比例関係にあるウェッジ率
を変更すれば良く、このウェッジ率は各圧延スタンドの
左右圧延荷重差と比例関係にあり、更にこの左右圧延荷
重差を補正したときの補正量と圧延スタンドの出側の張
力の変化量とが比例関係にあることに着目すると共に、
左右圧延荷重差を補正したときの張力が金属帯の変形抵
抗値を超えることがなければ金属帯に板破断を生じるこ
と無くキャンバを抑制することができることに着目し
た。更に、最終の圧延スタンドでの圧延は、所望の形状
を得るために左右圧延荷重差dPn,ワークロールの左右
ベンダ力差dWb,中間ロールの左右ベンダ力差dIb,上
下中間ロールのシフト位置差dδの非対称形状制御項や
ワークロールの平均ベンダ力,中間ロールの平均ベンダ
力,中間ロールの平均シフト位置の対称形状制御項を制
御する形状制御を行うのであるが、この形状制御を行う
最終の圧延スタンドではキャンバを小さくするためのキ
ャンバ制御を行うこと無くウェッジ率が一定となる形状
制御を行えば良いことに着目した。
【0010】そして、複数の圧延スタンドが配設されて
おり最終の圧延スタンドでウェッジ率を一定として形状
制御のみを行うタンデム圧延設備で金属帯を冷間圧延す
るに際し、第1圧延スタンドから最終の圧延スタンドの
上流側に隣接する第(n−1)圧延スタンドの圧延につい
ては、第(n−1)圧延スタンドの出側のキャンバ曲率ρ
(n-1)1に相当する最終の圧延スタンドの出側のキャンバ
曲率を連続的に検出し、各圧延スタンドにおいて設定さ
れていた左右圧延荷重差dPiを補正量Δ(dPi)だけ補正
して圧延したときの最終の圧延スタンドの出側のキャン
バ曲率ρ(n-1)を表す下記の式
【0011】
【数4】
【0012】ここで、bi:各圧延スタンドにおける圧
下率,板厚等の圧延条件によって定まる影響係数 ζi:第i圧延スタンド通過後の平均板厚hiと第(n−
1)圧延スタンド通過後の平均板厚h(n-1)との比hi/
h(n-1)で表される第(i+1)〜(n−1)圧延スタンド
の総伸び率 における各圧延スタンドの前記補正量Δ(dPi)を、各圧
延スタンドの設定されていた左右圧延荷重差dPiを補正
量Δ(dPi)だけ補正したときの各圧延スタンドの出側に
おける伸び率の小さい側の端縁近傍の張力Tiの変化量Δ
Tiを表す下記の式 ΔTi=d1i・Δ(dPi) ここで、d1i:左右圧延荷重差dPiのみを変えて圧延し
たときの左右圧延荷重差dPiと張力Tiとの関係における
傾きを示す影響係数 より求められる補正量Δ(dPi)であって、変化量ΔTiだ
け変化させた張力(Ti+ΔTi)が変形抵抗値である上限値
Ti(max)以下となる補正量Δ(dPi)に制限して、上記式
で表される第(n−1)圧延スタンドの出側のキャンバ曲
率ρ(n-1)を目標値とするための各圧延スタンドの補正
量Δ(dPi)を選定し、これらの補正量Δ(dPi)だけ各圧
延スタンドの設定されていた左右圧延荷重差dPiを常時
補正しながら圧延し、
【0013】また、最終の圧延スタンドの圧延について
は、最終の圧延スタンドの出側で金属帯の伸び率分布を
連続的に検出し、板中央より操作側及び駆動側のそれぞ
れ等距離にある両側の板側端部及び両側のクォータ部の
伸び率に関し、最終の圧延スタンドの操作側と駆動側と
の左右圧延荷重差dPn,ワークロールの左右ベンダ力差
dWb,中間ロールの左右ベンダ力差dIb,上下中間ロー
ルのシフト位置差dδから成る非対称形状制御項群のう
ち二つの制御量W1,W2を補正量ΔW1,ΔW2だけ補正
して圧延したときに、最終の圧延スタンドの出側の金属
帯の伸び率分布における非対称成分である板側端部同士
間の伸び率差Δεe及びクォータ部同士間の伸び率差Δ
εqを表す下記の式 Δεe=Δεe1+e・ΔW1+f・ΔW2 Δεq=Δεq1+g・ΔW1+k・ΔW2 但し、Δεe1:最終の圧延スタンドの出側で検出された
板側端部同士間の伸び率差 Δεq1:最終の圧延スタンドの出側で検出されたクォー
タ部同士間の伸び率差 e:W1とΔεeとが示す線形関係におけるW1に対する
Δεeの傾きを示す影響係数 f:W2とΔεeとが示す線形関係におけるW2に対する
Δεeの傾きを示す影響係数 g:W1とΔεqとが示す線形関係におけるW1に対する
Δεqの傾きを示す影響係数 k:W2とΔεqとが示す線形関係におけるW2に対する
Δεqの傾きを示す影響係数 及び、操作側と駆動側とのワークロールの平均ベンダ力
dWb',中間ロールの平均ベンダ力dIb',中間ロールの
平均シフト位置dδ'から成る対称形状制御項群のうち
二つの制御量W1',W2'を補正量ΔW1',ΔW2'だけ補
正して圧延したときに、最終の圧延スタンドの出側の金
属帯の伸び率分布における対称成分である板幅中央の伸
び率と両側端部の平均伸び率との差Δεe'及び板幅中央
の伸び率とクォータ部の平均伸び率との差Δεq'を表す
下記の式、 Δεe'=Δεe1'+e'・ΔW1'+f'・ΔW2' Δεq'=Δεq1'+g'・ΔW1'+k'・ΔW2' 但し、Δεe1':最終の圧延スタンドの出側で検出され
た板幅中央の伸び率と両側端部の平均伸び率との差 Δεq1':最終の圧延スタンドの出側で検出された板幅
中央の伸び率とクォータ部の平均伸び率との差 e':W1'とΔεe'とが示す線形関係におけるW1'に対
するΔεe'の傾きを示す影響係数 f':W2'とΔεe'とが示す線形関係におけるW2'に対
するΔεe'の傾きを示す影響係数 g':W1'とΔεq'とが示す線形関係におけるW1'に対
するΔεq'の傾きを示す影響係数 k':W2'とΔεq'とが示す線形関係におけるW2'に対
するΔεq'の傾きを示す影響係数 における、伸び率差のそれぞれ非対称成分Δεe,Δεq
及び対称成分Δεe',Δεq'を零するように前記非対称
形状制御項群の制御量W1,W2の補正量ΔW1,ΔW2
び対称形状制御項群の制御量W1',W2'の補正量Δ
1',ΔW2'を求めて、この補正量ΔW1,ΔW2だけ及
び補正量ΔW1',ΔW2'だけそれぞれ補正しながら圧延
すれば良いことを究明して本発明を完成したのである。
【0014】即ち、このようにして第1圧延スタンドか
ら第(n−1)圧延スタンドまでの圧延でキャンバ制御を
行い、また最終の圧延スタンドではウェッジ率が変化す
ることの無い一定な状態に圧延して形状制御を行えば、
上記課題を解決することができることを究明して本発明
を完成したのである。
【0015】また、第1〜(n−1)圧延スタンドの各圧
延スタンドの左右圧延荷重差dPiを初期設定するに際
し、先ず圧延すべき金属帯のキャンバ曲率ρ0を予め検
出し、各圧延スタンドにおける左右圧延荷重差dPiを設
定して圧延したときの第(n−1)圧延スタンドの出側の
キャンバ曲率ρ(n-1)を表す下記の式
【0016】
【数5】
【0017】ここで、bi:各圧延スタンドにおける圧
下率,板厚等の圧延条件によって定まる影響係数 ζ0:圧延すべき金属帯の平均板厚h0と第(n−1)圧延
スタンド通過後の平均板厚h(n-1)との比h0/h(n-1)
で表される第1〜(n−1)圧延スタンドの総伸び率 ζi:第i圧延スタンド通過後の平均板厚hiと第(n−
1)圧延スタンド通過後の平均板厚h(n-1)との比hi/
h(n-1)で表される第(i+1)〜(n−1)圧延スタンド
の総伸び率 における各圧延スタンドの左右圧延荷重差dPiを、その
ときの圧延スタンドの出側における伸び率の小さい側の
端縁近傍の張力Tiを表す下記の式 Ti=d1i・dPi+d2i ここで、d1i:左右圧延荷重差dPiのみを変えて圧延し
たときの左右圧延荷重差dPiと張力Tiとの関係における
傾きを示す影響係数 d2i:影響係数d1iのときに定められる影響係数 より求められる張力Tiが変形抵抗値である上限値Ti(ma
x)以下となるように、上記式で表される第(n−1)圧延
スタンドの出側のキャンバ曲率ρ(n-1)を目標値とする
ための各圧延スタンドの左右圧延荷重差dPiに選定して
初期設定すれば、圧延開始当初からキャンバ曲率の小さ
な状態に板破断を生じさせること無く圧延することがで
きることも究明したのである。
【0018】更に、第1〜(n−1)圧延スタンドの各圧
延スタンドの設定されていた左右圧延荷重差dPiを補正
量Δ(dPi)だけ補正したときの圧延スタンドの出側にお
ける伸び率の小さい側の端縁近傍の張力Tiの変化量ΔTi
を、変形抵抗値である上限値Ti(max)に対する各圧延ス
タンドの出側の張力(Ti+ΔTi)の比に基づく評価関数J
1を表す下記の式
【0019】
【数6】
【0020】における評価関数J1が最小値となる、各
圧延スタンドの張力Tiの変化量ΔTiに選定すると、各圧
延スタンド通過後の金属帯の張力の増加を小さくするこ
とができ板破断を生じるような張力の増加を確実に防止
することができることも究明したのである。
【0021】
【発明の実施の形態】以下、図面により本発明に係る冷
間タンデム圧延における形状の制御方法について詳細に
説明する。図1は本発明方法を実施するための制御機構
の1例の構成を簡略に示す説明図、図2は左右圧延荷重
差のみを変化させて圧延された金属帯のキャンバ曲率の
変化量と左右圧延荷重差との関係を示す図、図3は左右
圧延荷重差のみを変化させて圧延された金属帯の伸びの
小さな側縁近傍の張力と左右圧延荷重差との関係を示す
図、図4は最終の圧延スタンドの圧延状況を示す説明
図、図5〜図8はそれぞれ非対称形状制御項と伸び率差
Δεe,Δεqのそれぞれとの線形関係を示す説明図、図
9〜図11はそれぞれ対称形状制御項と伸び率差Δε
e',Δεq'のそれぞれとの線形関係を示す説明図であ
る。
【0022】本発明方法を実施するためには、先ず図1
に示す如く複数の圧延スタンド2がタンデムに配設され
ているタンデム圧延設備1の少なくとも最も下流側に配
設されている最終の圧延スタンド2の出側に、この最終
の圧延スタンド2で圧延された金属帯Sのキャンバ曲率
を連続的に検出せしめるキャンバ検出器3を設置すると
共に、最終の圧延スタンド2の出側に圧延された金属帯
Sの伸び率を検出する形状検出器4を設置する。前者の
キャンバ検出器3としては、板幅計やイメージセンサー
等を使用することができ、また後者の形状検出器4とし
ては、金属帯の各部分の張力を測定して形状を検出し伸
び率分布を得る検出器等を使用することができる。
【0023】また、タンデム圧延設備1には、圧延条
件,キャンバ検出器3により検出されたキャンバ曲率,
形状検出器4により検出された伸び率分布等の情報を入
力される上位コンピュータ5が設けられており、この上
位コンピュータ5からの情報を受けて第1圧延スタンド
2から最終の第n圧延スタンド2の上流側に隣接する第
(n−1)圧延スタンド2までにおける所定の左右圧延荷
重差dPiと、最終の第n圧延スタンド2における操作側
と駆動側との左右圧延荷重差dPn,ワークロールの左右
ベンダ力差dWb,中間ロールの左右ベンダ力差dIb,上
下中間ロールのシフト位置差dδから成る非対称形状制
御項群の二つの制御量W1,W2の補正量ΔW1,ΔW2
び操作側と駆動側とのワークロールの平均ベンダ力dW
b',中間ロールの平均ベンダ力dIb',中間ロールの平
均シフト位置dδ'から成る対称形状制御項群の二つの
制御量W1,W2の補正量ΔW1,ΔW2とを演算せしめる
プロセスコンピュータ6が設けられている。
【0024】更に第1圧延スタンド2〜第(n−1)圧延
スタンド2について、前記プロセスコンピュータ6で演
算せしめられた左右圧延荷重差dPiを受けて第1圧延ス
タンド2〜第(n−1)圧延スタンド2の各圧延スタンド
2の左右圧延荷重差を制御せしめる左右圧延荷重差制御
装置7が設けられていると共に、プロセスコンピュータ
6で演算せしめられた前記補正量ΔW1,ΔW2及び補正
量ΔW1',ΔW2'を受けて最終の圧延スタンド2の非対
称形状制御項の制御量W1,W2及び対称形状制御項の制
御量W1',W2'を制御せしめる形状制御装置8が設けら
れている。
【0025】本発明方法は、第1圧延スタンド2〜第
(n−1)圧延スタンド2までの圧延について、第(n−
1)圧延スタンド2の出側のキャンバ曲率ρ(n-1)1に相
当する最終の第n圧延スタンド2で圧延された金属帯S
のキャンバ曲率ρ(n-1)1を連続的に検出し、この検出し
たキャンバ曲率ρ(n-1)1を受けて既に設定されていた各
圧延スタンド2における左右圧延荷重差dPiを各圧延ス
タンド2の出側の張力Tiが変形抵抗値である上限値Ti(m
ax)以下とすることができるように且つ第(n−1)圧延
スタンド2通過後のキャンバ曲率ρ(n-1)を目標値とす
ることのできるように所定の補正量Δ(dPi)だけ常時補
正しながら圧延する。そして、最終の第n圧延スタンド
2の圧延について、最終の第n圧延スタンド2の出側の
伸び率分布を連続的に検出せしめ、この検出された伸び
率分布を受けて最終の第n圧延スタンド2における非対
称形状制御項群の二つの制御量W1,W2の補正量Δ
1,ΔW2及び対称形状制御項群の二つの制御量W1',
2'の補正量ΔW1',ΔW2'を、ウェッジ率が最終の第
n圧延スタンド2の前後で変わること無く一定とし得る
値に常時補正しながら圧延する方法である。
【0026】以下に、第1圧延スタンド〜第(n−1)圧
延スタンドまでの圧延について各圧延スタンド2におけ
る設定されていた左右圧延荷重差dPiの補正すべき所定
の補正量Δ(dPi)を演算する手段、及び最終の第n圧延
スタンドの圧延について最終の圧延スタンドにおける非
対称形状制御項群の制御量W1,W2の補正量ΔW1,Δ
2及び対称形状制御項群の制御量W1',W2'の補正量
ΔW1',ΔW2'を演算する手段について具体的に説明す
る。
【0027】前者の手段については、先ず第i圧延スタ
ンド2の通過前後のキャンバ曲率の変化量と左右圧延荷
重差との関係を求める。図2は金属帯Sを左右圧延荷重
差のみを変化させて圧延したときのキャンバ曲率の変化
量を示しており、キャンバ曲率の変化量と左右圧延荷重
差とは比例関係にある。即ち、第i圧延スタンド2の通
過後と第(i−1)圧延スタンド2による第(i−1)圧延
スタンド2の通過後との金属帯Sのウェッジ率φi,φ
(i-1)とキャンバ曲率ρi,ρ(i-1)との関係は、下記の
式(1)で表される。 ρi−ρ(i-1)/λi2=ξi[φi−φ(i-1)] (1) ここで、λi:伸び率であって、第i圧延スタンド2の
通過前後の平均板厚の比[h(i-1)/hi]]で表される ξi:圧下率,板厚等の圧延条件の関数で表される 式(1)から、ウェッジ率の変化量[φi−φ(i-1)]と伸
び率の分だけ小さくなることを考慮したキャンバ曲率の
変化量[ρi−ρ(i-1)/λi2]とは比例関係にあること
が判る。
【0028】また、第i圧延スタンド2のウェッジ率の
変化量[φi−φ(i-1)]と左右圧延荷重差dPiとの関係
は、下記の式(2)で表される。 φi−φ(i-1)=ai・dPi (2) ここで、ai:圧下率,板厚等圧延条件の関数で表され
る 即ち、ウェッジ率の変化量[φi−φ(i-1)]と左右圧延
荷重差dPiとは、比例関係にあることが判る。
【0029】上記式(1)及び(2)より、伸び率の分だけ
小さくなることを考慮したキャンバ曲率の変化量[ρi
−ρ(i-1)/λi2]と左右圧延荷重差dPiとの関係は、
下記の式(3)で表される。 ρi−ρ(i-1)/λi2=bi・dPi (3) ここで、bi:ξi・aiであって、圧下率,板厚等圧延
条件の関数で表される影響係数 なお、実際のキャンバ制御では、伸び率の分だけ小さく
なることを考慮したキャンバ曲率の変化量[ρi−ρ(i-
1)/λi2]と左右圧延荷重差dPiとの関係における傾き
を示す影響係数biは、製造品種毎に実験又はロールの
弾性変形解析と圧延材の塑性変形解析とを連成させた解
析モデルによるシミュレーションからそれぞれ求められ
る。また式(3)より各圧延スタンド2の既に設定されて
いた左右圧延荷重差dPiを補正量Δ(dPi)だけ補正した
ときには、キャンバ曲率の変化量がbi・Δ(dPi)分だ
け加えた変化量となることは言うまでもない。
【0030】従って、各圧延スタンド2で既に設定され
ていた左右圧延荷重差dPiを補正量Δ(dPi)だけ補正し
たときの第(n−1)圧延スタンド2の出側のキャンバ曲
率ρ(n-1)は、第(n−1)圧延スタンド2の出側のキャ
ンバ曲率ρ(n-1)1に相当する最終の第n圧延スタンド2
で圧延された金属帯Sのキャンバ曲率ρ(n-1)1に、式
(3)より第1〜(n−2)圧延スタンドにおいて前記補正
量Δ(dPi)だけ補正したことによる伸び率の分だけ小さ
くなることを考慮されたキャンバ曲率の変化量の和と第
(n−1)圧延スタンド2でのキャンバ曲率の変化量とを
加えた値となり、下記の式(4)で表される。ここで、第
(n−1)圧延スタンド2の出側のキャンバ曲率ρ(n-1)1
は、後述する如く最終の第n圧延スタンド2での圧延が
ウェッジ率が変化すること無く一定となるように圧延す
るために第(n−1)圧延スタンド2の出側のキャンバ曲
率と最終の第n圧延スタンド2の出側のキャンバ曲率と
がほぼ等しいので、式(1)より最終の第n圧延スタンド
2で圧延された金属帯Sのキャンバ曲率ρn1から、次式
で表される。 ρ(n-1)1=λn2・ρn1
【0031】
【数7】
【0032】ここで、ζi:第i圧延スタンド2の通過
後の平均板厚hiと第(n−1)圧延スタンド2の通過後
の平均板厚h(n-1)との比hi/h(n-1)で表される第(i
+1)圧延スタンド2〜第(n−1)圧延スタンド2の総
伸び率 この伸び率ζiは、各圧延スタンド2の圧下率から求め
られる。
【0033】そして、式(4)で表されるキャンバ曲率ρ
(n-1)が目標値となるように、各圧延スタンド2におけ
る既に設定されていた左右圧延荷重差dPiを補正量Δ
(dPi)の分だけ常時補正するのであるが、このとき左右
圧延荷重差が補正されたことによって各圧延スタンド2
を通過した金属帯Sの左右の伸び率も変化するので、そ
の結果張力Tiも変化するのである。従って、板破断する
こと無く圧延するためには、既に設定されていた左右圧
延荷重差dPiを補正量Δ(dPi)だけ補正したときに変化
量ΔTiだけ変化した張力(Ti+ΔTi)が、変形抵抗値であ
る上限値Ti(max)以下であることが必要である。ここ
で、張力Tiとは、左右の張力を比較した場合伸び率の小
さい側の張力が伸び率の大きい側の張力より大きいの
で、大きな張力である伸び率の小さい側の張力を指して
いる。
【0034】そこで、左右圧延荷重差dPiと前記張力Ti
との関係を求める。図3は金属帯Sを左右圧延荷重差d
Piのみを変化させて圧延したときの金属帯Sの伸びの小
さな側縁近傍の張力Tiと左右圧延荷重差dPiとの関係を
示しており、金属帯Sの張力Tiと左右圧延荷重差dPiと
は比例関係にある。
【0035】即ち、金属帯Sの張力Tiと左右圧延荷重差
dPiとは図3に示す如く比例関係にあるので、各圧延ス
タンド2における左右圧延荷重差dPiに対する各圧延ス
タンド2の出側における伸び率の小さい側の端縁近傍の
張力Tiは、下記の式(5)で表される。 Ti=d1i・dPi+d2i (5) ここで、d1i:左右圧延荷重差dPiのみを変えて圧延し
たときの左右圧延荷重差dPiと張力Tiとの関係における
傾きを示す影響係数 d2i:影響係数d1iのときに定められる影響係数 式(5)におけるd1i,d2iは、実験又はロールの弾性変
形解析と圧延材の塑性変形解析とを連成させた解析モデ
ルによるシミュレーションにより、それぞれ予め求めら
れる。
【0036】また、式(5)より各圧延スタンド2で設定
されていた左右圧延荷重差dPiを補正量Δ(dPi)だけ補
正したときの各圧延スタンド2の出側における伸び率の
小さい側の端縁近傍の張力Tiの変化量ΔTiは、下記の式
(6)で表される。 ΔTi=d1i・Δ(dPi) (6)
【0037】上記式(5)における圧延スタンド2の出側
における伸び率の小さい側の端縁近傍の張力Tiは、変形
抵抗値である上限値Ti(max)以下であることが必要であ
り、従って上記式(6)における変化量ΔTiだけ変化した
ときの張力(Ti+ΔTi)が変形抵抗値である上限値Ti(ma
x)以下であることが必要であることは言うまでもない。
【0038】かかる左右圧延荷重差dPiと圧延スタンド
2の通過後の金属帯Sの張力Tiとの関係から、左右圧延
荷重差dPiの補正量Δ(dPi)を、この補正量Δ(dPi)に
起因して変化量ΔTiだけ変化する張力(Ti+ΔTi)が変形
抵抗値である上限値Ti(max)以下となる補正量Δ(dPi)
として、上述した式(4)における第(n−1)圧延スタン
ド2の出側のキャンバ曲率ρ(n-1)を目標値とし得る左
右圧延荷重差dPiの補正量Δ(dPi)を任意に組み合わせ
て選定する。即ち、上述した式(4)で表される第(n−
1)圧延スタンド2の出側のキャンバ曲率ρ(n-1)を目標
キャンバ曲率とするための各圧延スタンド2の左右圧延
荷重差dPiの補正量Δ(dPi)は一義的に決定されるもの
ではなく、種々の組み合わせから選定される。
【0039】各圧延スタンド2の左右圧延荷重差dPiの
補正量Δ(dPi)を、種々の組み合わせから選定するに際
し、第1〜(n−1)圧延スタンドまでについて、圧延後
の金属帯Sの伸び率の小さな側の張力の前記上限値Ti(m
ax)に対する左右圧延荷重差dPiを補正量Δ(dPi)だけ
補正したときの張力(Ti+ΔTi)の比、(Ti+ΔTi)/Ti(m
ax)を自乗した値の和、即ち下記の式(7)で表される評
価関数J1の値が最小となる組み合わせを算出すること
が、各圧延スタンド2の通過後の金属帯Sの張力の増加
を小さくすることができて好ましい。
【0040】
【数8】
【0041】また、第1〜(n−1)圧延スタンドまでに
ついてのキャンバの制御は、圧延開始時から行うことが
歩留良く圧延作業を行うことができて好ましいので、以
下に各第1〜(n−1)圧延スタンドの左右圧延荷重差d
Piを金属帯Sを通板する前の初期設定について説明す
る。
【0042】各圧延スタンド2の左右圧延荷重差dPiを
初期設定するには、先ず圧延すべき金属帯Sのキャンバ
曲率ρ0をキャンバ検出器3で予め検出する。各圧延ス
タンド2における左右圧延荷重差dPiを設定して圧延さ
れたときの第(n−1)圧延スタンド2の出側のキャンバ
曲率ρ(n-1)は、予め検出された圧延すべき金属帯Sの
キャンバ曲率ρ0の第1〜(n−1)圧延スタンドまでの
伸び率の分だけ小さくなることを考慮したキャンバ曲率
ρ0/ζ0 2に、上述した式(3)より第1〜(n−2)圧延
スタンドにおいて左右圧延荷重差dPiを設定したことに
よる伸び率の分だけ小さくなることを考慮したキャンバ
曲率の変化量(bi・dPi)/ζi2の和と第(n−1)圧延
スタンド2でのキャンバ曲率の変化量とを加えた値で予
測でき、下記の式(8)で表される。
【0043】
【数9】
【0044】ここで、ζ0:圧延すべき金属帯の平均板
厚h0と第(n−1)圧延スタンド通過後の平均板厚h(n-
1)との比h0/h(n-1)で表される第1〜(n−1)圧延ス
タンドの総伸び率 この伸び率ζ0は、各圧延スタンド2の圧下率から求め
られる。
【0045】そして、式(8)で表されるキャンバ曲率ρ
(n-1)がその目標値となるように、各圧延スタンド2に
おける左右圧延荷重差dPiを種々の組み合わせの中から
選定して設定するのであるが、この場合においても金属
帯Sが板破断すること無く圧延できるように伸び率の小
さい側の端縁近傍の出側の張力Tiが変形抵抗値である上
限値Ti(max)以下とすることのできる左右圧延荷重差dP
iに設定する。金属帯Sの伸び率の小さい側の端縁近傍
の出側の張力Tiと左右圧延荷重差dPiとの関係は上記式
(5)で表されるから、この式(5)の張力Tiが変形抵抗値
である上限値Ti(max)以下とすることのできる左右圧延
荷重差dPiに設定する。
【0046】各圧延スタンド2の左右圧延荷重差dPiを
種々の組み合わせから選定するに際し、第1〜(n−1)
圧延スタンドについて、圧延後の金属帯Sの伸び率の小
さな側の張力の前記上限値Ti(max)に対する左右圧延荷
重差dPiに設定したときの張力Tiの比[Ti/Ti(max)]を
自乗した値の和、即ち下記の式(9)で表される評価関数
2の値が最小となる組み合わせを算出することが、各
圧延スタンド2の通過後の金属帯Sの張力を均すことが
できて好ましい。
【0047】
【数10】
【0048】次に、前記した後者の手段、即ち最終の第
n圧延スタンドにおける、操作側と駆動側との左右圧延
荷重差dPn,ワークロールの左右ベンダ力差dWb,中間
ロールの左右ベンダ力差dIb,上下中間ロールのシフト
位置差dδから成る非対称形状制御項群の任意に選んだ
二つの制御量W1,W2の補正量ΔW1,ΔW2、及び操作
側と駆動側とのワークロールの平均ベンダ力dWb',中
間ロールの平均ベンダ力dIb',中間ロールの平均シフ
ト位置dδ'から成る対称形状制御項群の任意に選んだ
二つの制御量W1',W2'の補正量ΔW1',ΔW2'を演算
する手段について説明する。ここで、非対称形状制御項
群の制御量及び対称形状制御項群の制御量をそれぞれ任
意に選んだ二つの制御項としての制御量としているの
は、非対称形状制御項及び対称形状制御項の上記した如
く多数ある総ての制御項を制御するのは煩雑となり、ま
た一つの制御項だけでは目標とする伸び率に制御できな
いことがあるからであり、一つの制御項で目標とする伸
び率に制御できる場合には各制御量W1,W2の補正量Δ
1,ΔW2及び制御量W1',W2'の補正量ΔW1',ΔW
2'のうちの一つの制御量W1又はW2の補正量ΔW1又は
ΔW2及び制御量W1'又はW2'の補正量ΔW1'又はΔ
2'を零とすれば良い。
【0049】多くの圧延条件で検討した結果、上記した
非対称形状制御項のいずれもその制御量W1,W2が、金
属帯の伸び率分布における上記した非対称成分Δεe,
Δεqとの間に線形関係が成り立ち、また上記した対称
形状制御項のいずれもその制御量W1',W2'が、金属帯
の伸び率分布における対称成分Δεe',Δεq'との間に
線形関係が成り立つことが判明した。
【0050】先ず、非対称形状制御項の制御量W1,W2
と、金属帯の伸び率分布における非対称成分Δεe,Δ
εqとの間の線形関係についての各例は、ワークロール
の左右ベンダ力差dWbとの関係は図5に、中間ロールの
左右ベンダ力差dIbとの関係は図6に、最終の第n圧延
スタンド2における操作側と駆動側との左右圧延荷重差
dPnとの関係は図7に、上下中間ロールのシフト位置差
dδとの関係は図8に、それぞれ示す如くである。
【0051】非対称形状制御項群の中から任意に選んだ
二つの制御項としての制御量W1,W2のそれぞれと伸び
率差Δεe及びΔεqのぞれぞれとの間に成立する線形関
係において、制御量W1に対するΔεeの傾きを示す係数
をeと、制御量W2に対する伸び率差Δεeの傾きを示す
係数をfと、制御量W1に対する伸び率差Δεqの傾きを
示す係数をgと、制御量W2に対する伸び率差Δεqの傾
きを示す係数をkとする。上記した係数e〜kは、圧延
荷重,板厚等の圧延条件の関数で表される。
【0052】従って、圧延スタンドを通板した金属帯の
伸び率分布におけるそれぞれ前記非対称成分Δεe,Δ
εqは下記の式(10),(11)でそれぞれ表される。 Δεe=e・W1+f・W2+m (10) Δεq=g・W1+k・W2+r (11) 但し、m,rは定数項である。
【0053】上記式(10),(11)において、非対称形
状制御手段の制御量W1,W2を補正量ΔW1,ΔW2だけ
補正したときの伸び率差の非対称成分Δεe,Δεqは、
圧延スタンド出側の伸び率分布の非対称成分Δεe1,Δ
εq1を検出することによってそれぞれ下記の式(12),
(13)で表される。
【0054】 Δεe=Δεe1+e・ΔW1+f・ΔW2 (12) Δεq=Δεq1+g・ΔW1+k・ΔW2 (13)
【0055】また、対称形状制御項の制御量W1',W2'
と、金属帯の伸び率分布における対称成分Δεe',Δε
q'との間の線形関係についての各例は、操作側と駆動側
とのワークロールの平均ベンダ力dWb'との関係は図9
に、中間ロールの平均ベンダ力dIb'との関係は図10
に、中間ロールの平均シフト位置dδ'との関係は図1
1に、それぞれ示す如くである。
【0056】対称形状制御項群の中から任意に選んだ二
つの制御項としての制御量W1',制御量W2'のそれぞれ
と伸び率差Δεe'及びΔεq'のぞれぞれとの間に成立す
る線形関係において、制御量W1'に対する伸び率差Δε
e'の傾きを示す係数をe'と、制御量W2'に対する伸び
率差Δεe'の傾きを示す係数をf'と、制御量W1'に対
する伸び率差Δεq'の傾きを示す係数をg'とし、制御
量W2'に対する伸び率差Δεq'の傾きを示す係数をk'
とする。前記した係数e'〜k'は、圧延荷重,板厚等の
圧延条件の関数で表される。
【0057】従って、圧延スタンドを通板した金属帯の
伸び率分布におけるそれぞれ前記対称成分Δεe',Δε
q'は下記の式(14),(15)で表される。 Δεe'=e'・W1'+f'・W2'+m' (14) Δεq'=g'・W1'+k'・W2'+r' (15) 但し、m',r'は定数項である。
【0058】前記式(14),(15)において、対称形状
制御手段の制御量W1',W2'の補正量ΔW1',ΔW2'だ
け補正したときの伸び率差の対称成分Δεe',Δεq'
は、圧延スタンド出側の伸び率分布の対称成分Δεe'1
及びΔεq'1を検出することによって、それぞれ下記の
式(16),(17)で表される。 Δεe'=Δεe'1+e'・ΔW1'+f'・ΔW2' (16) Δεq'=Δεq'1+g'・ΔW1'+k'・ΔW2' (17)
【0059】前記各式(12),(13),(16)及び(1
7)で表される伸び率差の非対称成分Δεe,Δεq及び
対称成分Δεe',Δεq'のそれぞれを零とし得る、即ち
最終の圧延スタンド通過前後でウェッジ率が変わること
無く一定とすることのできる、前記非対称形状制御項群
の二つの制御量W1,W2の補正量ΔW1,ΔW2及び対称
形状制御項群の二つの制御量W1',W2'の補正量Δ
1',ΔW2'を演算する。
【0060】そして、最終の圧延スタンドの非対称形状
制御項群の制御量W1,W2を前記の如く演算された補正
量ΔW1,ΔW2だけ補正する制御と対称形状制御項群の
制御量W1',W2'を前記の如く演算された補正量Δ
1',ΔW2'だけ補正する制御とを組み合わせて圧延す
る。
【0061】
【実施例】
実施例1 板厚1.25mm,板幅1220mmの金属板を、4機の6重圧延ス
タンドをタンデムに配設されたタンデム圧延設備に通板
して、第1〜4圧延スタンドでの圧下率をそれぞれ1.
6,1.5,1.4,1.3%にして、最終の圧延スタンド通過後
の板厚が1.18mmとなる冷間タンデム圧延を行った。
【0062】このとき、最終の圧延スタンドである第4
圧延スタンドの出側における金属帯のキャンバ曲率をキ
ャンバ検出器によりまた伸び率分布を形状検出器により
連続的に検出し、各圧延スタンドのロールの弾性変形,
圧延すべき金属帯の塑性変形等を考慮した前述した式
(4)における影響係数bi,同じく前述した式(5)にお
ける影響係数d1i及びd2i,圧下率,金属帯の変形抵
抗値である張力の上限値Ti(max)等の圧延条件を入力さ
れている上位コンピュータに前記検出したキャンバ曲率
を入力した。
【0063】そして、プロセスコンピュータにより、第
1〜3圧延スタンドについて、上位コンピュータの情報
を受けて前述した式(4),(5)及び(6)に基づいて、先
ず式(5)により各圧延スタンド出側の金属帯の張力Tiを
算出すると共に、左右圧延荷重差dPiの補正量Δ(dPi)
を仮定して式(6)により前記張力Tiの変化量ΔTiを算出
し、左右圧延荷重差dPiを補正したときの張力(Ti+ΔT
i)を算出し、この張力(Ti+ΔTi)が前記張力の上限値Ti
(max)を超える場合には、前記左右圧延荷重差dPiの補
正量Δ(dPi)を小さく仮定し直す作業を各圧延スタンド
について行って式(4)の第3圧延スタンドの出側のキャ
ンバ曲率ρ3を算出し、このキャンバ曲率ρ3が目標値の
零になるまで各圧延スタンドについて前記左右圧延荷重
差dPiの補正量Δ(dPi)を修正し、更にこの補正量Δ
(dPi)より前述した式(7)で表される評価関数J1の値
が最小となる組み合わせとなるまで左右圧延荷重差dPi
の補正量Δ(dPi)を修正しながら繰返し演算した。ここ
で、前記金属帯の張力Ti及びその上限値Ti(max)は、延
びの小さい側の板端から10mmの位置での張力としてい
る。このようにして演算された各圧延スタンドにおける
左右圧延荷重差dPiの補正量Δ(dPi)だけ左右圧延荷重
差制御装置により補正して圧延した。
【0064】また最終の圧延スタンドについて、非対称
形状制御項群の制御量W1,W2としてワークロールの左
右ベンダ力差dWbと中間ロールの左右ベンダ力差dIbと
の二つの制御項を、また対称形状制御項群の制御量
1',W2'としてワークロールの平均ベンダ力dWb'と
中間ロールの平均ベンダ力dIb'との二つの制御項をそ
れぞれ使用して、プロセスコンピュータにより、上位コ
ンピュータの情報を受けて最終の圧延スタンド通過前後
のウェッジ率が一定と成るように、前述した式(12),
(13)に基づいて、伸び率分布の非対称成分Δεe,Δ
εqを零と置いて非対称形状制御項群の制御量W1,W2
の補正量ΔW1,ΔW2を演算し、また前述した式(1
6),(17)に基づいて伸び率分布の対称成分Δεe',
Δεq'を零と置いて称形状制御項群の制御量W1',W2'
の補正量ΔW1',ΔW2'をそれぞれ演算し、この演算さ
れた補正量ΔW1,ΔW2だけ非対称形状制御項群の制御
量W1,W2を補正すると共に、補正量ΔW1',ΔW2'だ
け対称形状制御項群の制御量W1',W2'を補正して圧延
を行った。
【0065】その結果、1.08×10-6mm-1のキャンバ曲率
が生じていた圧延すべき金属帯を、板破断を発生させる
こと無く0.04×10-6mm-1の小さなキャンバ曲率の状態に
圧延することができた。更に、このときの最大急峻度
(板幅方向における急峻度の最大値)は0.36%であり、
優れた形状制御を行うことができた。
【0066】実施例2 各第1〜3圧延スタンドの左右圧延荷重差dPiを圧延開
始時から以下の如く初期設定した以外は、実施例1と同
様に圧延した。先ず、圧延すべき金属帯のキャンバ曲率
ρ0を予め検出し、各圧延スタンドのロールの弾性変
形,圧延すべき金属帯の塑性変形等を考慮された前述し
た式(8)における影響係数bi,同じく前述した式(5)
における影響係数d1i及びd2i,圧下率,金属帯の変
形抵抗値である張力の上限値Ti(max)等の圧延条件を入
力されている上位コンピュータに前記検出したキャンバ
曲率ρ0を入力した。
【0067】そして、プロセスコンピュータにより、上
位コンピュータの情報を受けて前述した式(5)及び(8)
に基づいて、先ず各圧延スタンドの左右圧延荷重差dPi
を仮定して式(5)により各圧延スタンド出側の金属帯の
張力Tiを算出すると共に、この算出した張力Tiが前記張
力の上限値Ti(max)を超える場合には前記左右圧延荷重
差dPiを小さく仮定し直す作業を各圧延スタンドについ
て行って、式(8)の第3圧延スタンドの出側のキャンバ
曲率ρ3を算出し、このキャンバ曲率ρ3が目標値の零に
なるまで各圧延スタンドについて前記左右圧延荷重差d
Piを修正し、更にこの左右圧延荷重差dPiに基づいて算
出される張力Tiにより前述した式(9)で表される評価関
数J2の値が最小となる組み合わせとなるまで前記左右
圧延荷重差dPiを修正しながら繰返し演算した。ここ
で、前記金属帯の張力Ti及びその上限値Ti(max)は、延
びの小さい側の板端から10mmの位置での張力としてい
る。このようにして演算された各圧延スタンドにおける
左右圧延荷重差dPiを左右圧延荷重差制御装置により初
期設定して圧延を開始した。
【0068】その結果、前記した如く初期設定されて圧
延された金属帯は、圧延前に生じていた1.20×10-6mm-1
のキャンバ曲率を0.04×10-6mm-1の小さなキャンバ曲率
の状態に板破断が発生すること無く圧延することがで
き、その後実施例1と同様に圧延を行った結果、更に0.
03×10-6mm-1と小さなキャンバ曲率の状態に圧延するこ
とができ、圧延開始当初からキャンバ曲率の小さな状態
に圧延することができた。更に、このときの最大急峻度
は0.41%であり、優れた形状制御を行うことができた。
【0069】
【発明の効果】以上に詳述した如く、本発明に係る冷間
タンデム圧延における形状の制御方法は、各第1〜(n
−1)圧延スタンドの左右圧延荷重差を補正したときの
第(n−1)圧延スタンドの出側のキャンバ曲率が、各圧
延スタンドにおける左右圧延荷重差と圧延スタンド通過
前後のキャンバ曲率の変化量とが比例関係にあることを
利用して、第(n−1)圧延スタンドのキャンバ曲率に相
当する最終の第n圧延スタンドの出側のキャンバ曲率を
連続的に検出し、この検出されたキャンバ曲率に、各第
1〜(n−2)圧延スタンドにおける左右圧延荷重差を補
正したことによる伸び率の分だけ小さくなることを考慮
されたキャンバ曲率の変化量の和と、第(n−1)圧延ス
タンドでのキャンバ曲率の変化量とを加えた値として補
正後の第(n−1)圧延スタンドの出側のキャンバ曲率を
予測し、このキャンバ曲率を目標値とすることのできる
左右圧延荷重差として、左右圧延荷重差と伸び率が小さ
く大きな張力を生じる側の張力とが比例関係にあること
を利用して、左右圧延荷重差を補正したときの張力が変
形抵抗値である上限値以下とすることのできる左右圧延
荷重差の補正量を演算して各圧延スタンドの左右圧延荷
重差を常時補正しながら圧延するので、予めキャンバが
生じている金属帯であっても、第(n−1)圧延スタンド
の出側のキャンバ曲率を目標のキャンバ曲率に略一致す
る小さなキャンバ曲率の状態に破断を生じること無く圧
延することができ、また最終の第n圧延スタンドについ
ては最終の圧延スタンドの出側の伸び率分布を検出し、
伸び率差Δεe,Δεq,Δεe'及びΔεq'のそれぞれと
非対称形状制御項dWb,dIb,dPn及びdδ等及び対称
形状制御項dWb',dIb'及びdδ'のそれぞれとが線形
関係にあることを利用して、これら非対称形状制御項の
うちの二つと対称形状制御項のうちの二つとについてそ
の制御量を合理的に導いた制御式により、ウェッジ率が
変わること無く一定とすることのできる制御量の補正量
を演算し、この演算した補正量だけ前記非対称形状制御
項及び対称形状制御項のそれぞれ制御量を常時補正しな
がら圧延するので、第(n−1)圧延スタンドまでに小さ
なキャンバ曲率の状態に圧延された金属帯を最終の第n
圧延スタンドでこのキャンバ曲率を維持しながら形状制
御を行うことができ、通板する金属帯の蛇行による絞り
込みが発生すること無く品質に優れた状態に圧延するこ
とができると共に歩留の向上を図ることができる。
【0070】更に、圧延すべき金属帯のキャンバ曲率を
検出しておき、第1〜(n−1)圧延スタンドについて、
この検出されたキャンバ曲率に、各第1〜(n−2)圧延
スタンドにおける左右圧延荷重差を設定したことによる
伸び率の分だけ小さくなることを考慮されたキャンバ曲
率の変化量の和と第(n−1)圧延スタンドでのキャンバ
曲率の変化量とを加えた値として補正後の第(n−1)圧
延スタンドの出側のキャンバ曲率を予測し、このキャン
バ曲率を目標値とすることのできる左右圧延荷重差とし
て、左右圧延荷重差と伸び率が小さく大きな張力を生じ
る側の張力とが比例関係にあることを利用して、左右圧
延荷重差を補正したときの張力が変形抵抗値である上限
値以下とすることのできる左右圧延荷重差を演算して各
圧延スタンドの左右圧延荷重差を設定して圧延すれば、
圧延開始時からキャンバ曲率の小さな状態に圧延するこ
とができ、歩留の向上をより図ることができると共に通
板する金属帯の蛇行による絞り込みを防止することがで
きる。
【0071】また、各第1〜(n−1)圧延スタンドの左
右圧延荷重差の補正量を演算するに際し、第1〜(n−
1)圧延スタンドまでについて、圧延後の金属帯の伸び
率の小さな側の張力の上限値Ti(max)に対する、左右圧
延荷重差を補正量Δ(dPi)だけ補正したときの張力(Ti
+ΔTi)の比(Ti+ΔTi)/Ti(max)を自乗した値の和で表
される評価関数J1が最小となる組み合わせの補正量Δ
(dPi)とすれば、各圧延スタンド通過後の金属帯の張力
の増加を小さくすることができる。
【0072】このように種々の効果を奏する本発明に係
る冷間タンデム圧延における形状の制御方法は、その工
業的価値の非常に大きなものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は本発明方法を実施するための制御機構の
1例の構成を簡略に示す説明図である。
【図2】左右圧延荷重差のみを変化させて圧延された金
属帯のキャンバ曲率の変化量と左右圧延荷重差との関係
を示す図である。
【図3】左右圧延荷重差のみを変化させて圧延された金
属帯の伸びの小さな側縁近傍の張力と左右圧延荷重差と
の関係を示す図である。
【図4】最終の圧延スタンドの圧延状況を示す説明図で
ある。
【図5】非対称制御項dWbと伸び率差Δεe,Δεqのそ
れぞれとの線形関係を示す説明図である。
【図6】非対称制御項dIbと伸び率差Δεe,Δεqのそ
れぞれとの線形関係を示す説明図である。
【図7】非対称制御項dPnと伸び率差Δεe,Δεqのそ
れぞれとの線形関係を示す説明図である。
【図8】非対称制御項dδと伸び率差Δεe,Δεqのそ
れぞれとの線形関係を示す説明図である。
【図9】対称制御項dWb'と伸び率差Δεe',Δεq'の
それぞれとの線形関係を示す説明図である。
【図10】対称制御項dIb'と伸び率差Δεe',Δεq'
のそれぞれとの線形関係を示す説明図である。
【図11】非対称制御項dδ'と伸び率差Δεe',Δε
q'のそれぞれとの線形関係を示す説明図である。
【符号の説明】
1 タンデム圧延設備 2 圧延スタンド 2a ワークロール 2b 中間ロール 2c バックアップロール 3 キャンバ検出器 4 形状検出器 5 上位コンピュータ 6 プロセスコンピュータ 7 左右圧延荷重差制御装置 8 形状制御装置 S 金属帯 Wb ワークロールの操作側のベンダ力 Wb' ワークロールの駆動側のベンダ力 Ib 中間ロールの操作側のベンダ力 Ib' 中間ロールの駆動側のベンダ力 P バックアップロールの操作側のベンダ力 P' バックアップロールの駆動側のベンダ力 δ 上中間ロールのシフト位置 δ' 下中間ロールのシフト位置

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 複数の圧延スタンドが配設されており最
    終の圧延スタンドでウェッジ率を一定として形状制御の
    みを行うタンデム圧延設備で金属帯を冷間圧延するに際
    し、第1圧延スタンドから最終の圧延スタンドの上流側
    に隣接する第(n−1)圧延スタンドの圧延については、 第(n−1)圧延スタンドの出側のキャンバ曲率ρ(n-1)1
    に相当する最終の圧延スタンドの出側のキャンバ曲率を
    連続的に検出し、各圧延スタンドにおいて設定されてい
    た左右圧延荷重差dPiを補正量Δ(dPi)だけ補正して圧
    延したときの第(n−1)圧延スタンドの出側のキャンバ
    曲率ρ(n-1)を表す下記の式 【数1】 ここで、bi:各圧延スタンドにおける圧下率,板厚等
    の圧延条件によって定まる影響係数 ζi:第i圧延スタンド通過後の平均板厚hiと第(n−
    1)圧延スタンド通過後の平均板厚h(n-1)との比hi/
    h(n-1)で表される第(i+1)〜(n−1)圧延スタンド
    の総伸び率 における各圧延スタンドの前記補正量Δ(dPi)を、各圧
    延スタンドの設定されていた左右圧延荷重差dPiを補正
    量Δ(dPi)だけ補正したときの各圧延スタンドの出側に
    おける伸び率の小さい側の端縁近傍の張力Tiの変化量Δ
    Tiを表す下記の式 ΔTi=d1i・Δ(dPi) ここで、d1i:左右圧延荷重差dPiのみを変えて圧延し
    たときの左右圧延荷重差dPiと張力Tiとの関係における
    傾きを示す影響係数 より求められる補正量Δ(dPi)であって、変化量ΔTiだ
    け変化させた張力(Ti+ΔTi)が変形抵抗値である上限値
    Ti(max)以下となる補正量Δ(dPi)に制限して、上記式
    で表される第(n−1)圧延スタンドの出側のキャンバ曲
    率ρ(n-1)を目標値とするための各圧延スタンドの補正
    量Δ(dPi)を選定し、これらの補正量Δ(dPi)だけ各圧
    延スタンドの設定されていた左右圧延荷重差dPiを常時
    補正しながら圧延し、 また、最終の圧延スタンドの圧延については、 最終の圧延スタンドの出側で金属帯の伸び率分布を連続
    的に検出し、板中央より操作側及び駆動側のそれぞれ等
    距離にある両側の板側端部及び両側のクォータ部の伸び
    率に関し、 最終の圧延スタンドの操作側と駆動側との左右圧延荷重
    差dPn,ワークロールの左右ベンダ力差dWb,中間ロー
    ルの左右ベンダ力差dIb,上下中間ロールのシフト位置
    差dδから成る非対称形状制御項群のうち二つの制御量
    1,W2を補正量ΔW1,ΔW2だけ補正して圧延したと
    きの最終の圧延スタンドの出側の金属帯の伸び率分布に
    おける非対称成分である板側端部同士間の伸び率差Δε
    e及びクォータ部同士間の伸び率差Δεqを表す下記の式 Δεe=Δεe1+e・ΔW1+f・ΔW2 Δεq=Δεq1+g・ΔW1+k・ΔW2 ここで、Δεe1:最終の圧延スタンドの出側で検出され
    た板側端部同士間の伸び率差 Δεq1:最終の圧延スタンドの出側で検出されたクォー
    タ部同士間の伸び率差 e:W1とΔεeとが示す線形関係におけるW1に対する
    Δεeの傾きを示す影響係数 f:W2とΔεeとが示す線形関係におけるW2に対する
    Δεeの傾きを示す影響係数 g:W1とΔεqとが示す線形関係におけるW1に対する
    Δεqの傾きを示す影響係数 k:W2とΔεqとが示す線形関係におけるW2に対する
    Δεqの傾きを示す影響係数 及び、操作側と駆動側とのワークロールの平均ベンダ力
    dWb',中間ロールの平均ベンダ力dIb',中間ロールの
    平均シフト位置dδ'から成る対称形状制御項群のうち
    二つの制御量W1',W2'を補正量ΔW1',ΔW2'だけ補
    正して圧延したときの最終の圧延スタンドの出側の金属
    帯の伸び率分布における対称成分である板幅中央の伸び
    率と両側端部の平均伸び率との差Δεe'及び板幅中央の
    伸び率とクォータ部の平均伸び率との差Δεq'を表す下
    記の式 Δεe'=Δεe1'+e'・ΔW1'+f'・ΔW2' Δεq'=Δεq1'+g'・ΔW1'+k'・ΔW2' ここで、Δεe1':最終の圧延スタンドの出側で検出さ
    れた板幅中央の伸び率と両側端部の平均伸び率との差 Δεq1':最終の圧延スタンドの出側で検出された板幅
    中央の伸び率とクォータ部の平均伸び率との差 e':W1'とΔεe'とが示す線形関係におけるW1'に対
    するΔεe'の傾きを示す影響係数 f':W2'とΔεe'とが示す線形関係におけるW2'に対
    するΔεe'の傾きを示す影響係数 g':W1'とΔεq'とが示す線形関係におけるW1'に対
    するΔεq'の傾きを示す影響係数 k':W2'とΔεq'とが示す線形関係におけるW2'に対
    するΔεq'の傾きを示す影響係数 における、伸び率差のそれぞれ非対称成分Δεe,Δεq
    及び対称成分Δεe',Δεq'を零とするように前記非対
    称形状制御項群の制御量W1,W2の補正量ΔW1,ΔW2
    及び対称形状制御項群の制御量W1',W2'の補正量ΔW
    1',ΔW2'を求めて、この補正量ΔW1,ΔW2だけ及び
    補正量ΔW1',ΔW2'だけそれぞれ補正しながら圧延す
    ることを特徴とする冷間タンデム圧延における形状の制
    御方法。
  2. 【請求項2】 第1〜(n−1)圧延スタンドの各圧延ス
    タンドの左右圧延荷重差dPiを初期設定するに際し、先
    ず圧延すべき金属帯のキャンバ曲率ρ0を予め検出し、
    各圧延スタンドにおける左右圧延荷重差dPiを設定して
    圧延したときの第(n−1)圧延スタンドの出側のキャン
    バ曲率ρ(n-1)を表す下記の式 【数2】 ここで、bi:各圧延スタンドにおける圧下率,板厚等
    の圧延条件によって定まる影響係数 ζ0:圧延すべき金属帯の平均板厚h0と第(n−1)圧延
    スタンド通過後の平均板厚h(n-1)との比h0/h(n-1)
    で表される第1〜(n−1)圧延スタンドの総伸び率 ζi:第i圧延スタンド通過後の平均板厚hiと第(n−
    1)圧延スタンド通過後の平均板厚h(n-1)との比hi/
    h(n-1)で表される第(i+1)〜(n−1)圧延スタンド
    の総伸び率 における各圧延スタンドの左右圧延荷重差dPiを、その
    ときの圧延スタンドの出側における伸び率の小さい側の
    端縁近傍の張力Tiを表す下記の式 Ti=d1i・dPi+d2i ここで、d1i:左右圧延荷重差dPiのみを変えて圧延し
    たときの左右圧延荷重差dPiと張力Tiとの関係における
    傾きを示す影響係数 d2i:影響係数d1iのときに定められる影響係数 より求められる張力Tiが変形抵抗値である上限値Ti(ma
    x)以下となるように、上記式で表される第(n−1)圧延
    スタンドの出側のキャンバ曲率ρ(n-1)を目標値とする
    ための各圧延スタンドの左右圧延荷重差dPiに選定して
    初期設定する請求項1に記載の冷間タンデム圧延におけ
    る形状の制御方法。
  3. 【請求項3】 第1〜(n−1)圧延スタンドの各圧延ス
    タンドの設定されていた左右圧延荷重差dPiを補正量Δ
    (dPi)だけ補正したときの圧延スタンドの出側における
    伸び率の小さい側の端縁近傍の張力Tiの変化量ΔTiを、
    変形抵抗値である上限値Ti(max)に対する各圧延スタン
    ドの出側の張力(Ti+ΔTi)の比に基づく評価関数J1
    表す下記の式 【数3】 における評価関数J1が最小値となる、各圧延スタンド
    の張力Tiの変化量ΔTiに選定する請求項1又は2に記載
    の冷間タンデム圧延における形状の制御方法。
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Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP4837095B2 (ja) * 2006-06-30 2011-12-14 エービービー エービー ロールギャップを制御する方法と装置
JP2021109185A (ja) * 2020-01-08 2021-08-02 Jfeスチール株式会社 圧延装置の制御方法、圧延装置の制御装置、および鋼板の製造方法
CN116637942A (zh) * 2023-07-24 2023-08-25 东北大学 一种基于轧制参数耦合的轧辊倾斜闭环控制方法

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