JPH10289419A - 薄膜ヘッドとその製造方法 - Google Patents

薄膜ヘッドとその製造方法

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JPH10289419A
JPH10289419A JP11196997A JP11196997A JPH10289419A JP H10289419 A JPH10289419 A JP H10289419A JP 11196997 A JP11196997 A JP 11196997A JP 11196997 A JP11196997 A JP 11196997A JP H10289419 A JPH10289419 A JP H10289419A
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淳弘 津吉
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康浩 松場
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 薄膜ヘッドの構成部材に対する密着力が強
く、耐久性に優れ、さらなる薄膜化が可能であり、製造
工程が少なく、しかも安価な薄膜ヘッドとその製造方法
を提供する 【解決手段】 少なくとも記録媒体との対向表面に保護
膜を有し、この保護膜が、Si,CおよびHをそれぞ
れ、Siを3〜9 at%、Cを61〜81at%、Hを1
6〜30at%、含有する薄膜ヘッドとした。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、誘導型磁気ヘッ
ド、磁気抵抗効果型磁気ヘッド(MRヘッド)、誘導型
ヘッド部とMR素子部とを有するMR誘導型複合ヘッド
等の各種薄膜磁気ヘッドと、その製造方法とに関する。
【0002】
【従来の技術】近年、磁気記録における高密度化が進め
られている。これに伴ない、ハードディスク用のヘッド
として、磁極として軟磁性薄膜を用いる薄膜磁気ヘッド
や、記録を誘導型ヘッドで行い、磁気抵抗効果を利用し
て再生を行うMRヘッドの開発が盛んに進められてい
る。
【0003】MRヘッドは、磁性材料を用いた読み取り
センサ部の抵抗変化により外部磁気信号を読み出すもの
である。MRヘッドでは再生出力が記録媒体に対する相
対速度に依存しないことから、線記録密度の高い磁気記
録においても高い出力が得られるという特長がある。M
Rヘッドでは、分解能を上げ、良好な高周波特性を得る
ために、通常、磁気抵抗効果膜(MR膜)を一対の磁気
シールド膜で挟む構成(シールド型MRヘッド)とされ
る。この場合、MRヘッドは再生用ヘッドであるため、
通常、記録を行うための誘導型ヘッド部をMRヘッド部
と一体化したMR誘導型複合ヘッドが用いられている。
【0004】ところで、薄膜ヘッドは通常、記録媒体上
に空気のベアリング作用で浮上させ、CSS(Contact
Start Stop)方式を採用するものが多く、高速回転する
磁気ディスク上に、通常0.2〜2.0μm 程度の微少
浮上量で保持されている。このため、ヘッドクラッシュ
やCSS摩耗に耐えるための表面強度、耐摩耗性が問題
になる。耐摩耗性を向上させる試みも種々なされている
が、例えば特開平4−276367号公報に記載されて
いるように、磁気ヘッドスライダのレール上に保護皮膜
を設けるといった手法が知られている。しかし、前記保
護皮膜は厚さ250オングストローム以下のシリコンか
らなり、強度的に不十分である。また、磁性薄膜ヘッド
を構成するアルミナと炭化チタンの焼結体基板、アルミ
ナ絶縁層、パーマロイ、センダスト、窒化鉄等の軟磁性
体薄膜などの構造体にこのようなシリコン皮膜を設けた
場合、薄膜ヘッドと保護皮膜との密着性ないし接着性が
不十分であるため、剥離が生じたり、耐摩耗性が十分に
得られないといった問題を生じていた。
【0005】耐摩耗性を改善するための保護層として、
TiN、TiCN、ダイヤモンド状カーボン薄膜(DL
C)等が知られている。しかし、これらを薄膜磁気ヘッ
ドに使用しても耐久性の点で不十分である。
【0006】また、例えば特許第2571957号公報
には酸化物表面に、アモルファスシリコン、アモルファ
スシリコンカーバイトのバッファ層を設け、さらにその
上に炭素または炭素を主成分とする皮膜を設ける点につ
いて記載されている。しかし、このようにバッファ層を
設けた保護層を薄膜ヘッドに適用しても、耐久性の点で
未だ不十分である。また、保護皮膜を設ける工程の他バ
ッファ層製膜工程が必要となり、製造時間や製造コスト
が増加すると共に、膜厚が厚くなってしまうため、低コ
スト化、量産性、記録密度の増大に対する要請がますま
す大きくなるハードディスク用磁気ヘッド分野において
極めて不利である。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、薄膜
ヘッドの構成部材に対する密着力が強く、耐久性に優れ
た薄膜ヘッドとその製造方法を提供することである。
【0008】また他の目的は、さらなる薄膜化が可能
で、製造工程が少なく、しかも安価な薄膜ヘッドとその
製造方法を提供することである。
【0009】
【課題を解決するための手段】このような目的は、下記
(1)〜(10)のいずれかの構成により達成される。 (1) 少なくとも記録媒体との対向表面に保護膜を有
し、この保護膜が、Si,CおよびHをそれぞれ、Si
を、 3〜9 at%、Cを、61〜81at%、Hを、1
6〜30at%、含有する薄膜ヘッド。 (2) 前記対向表面に、酸化物基材、酸化物絶縁層お
よび軟磁性金属層の端面が存在する上記(1)の薄膜ヘ
ッド。 (3) 誘導型ヘッド部を有するか、誘導型ヘッド部と
MR素子部とを有する上記(1)または(2)の薄膜ヘ
ッド。 (4) 薄膜ヘッドに負のバイアス電圧を印加し、S
i,CおよびHをそれぞれ、Siを、 3〜9 at%、
Cを、61〜81at%、Hを、16〜30at%、含有す
る保護膜を、少なくとも記録媒体との対向表面に気相成
膜する薄膜ヘッドの製造方法。 (5) 前記バイアス電圧は、印加したDC電源または
印加した高周波電力により発生したセルフバイアスによ
って印加される上記(4)の薄膜ヘッドの製造方法。 (6) 前記保護膜をプラズマCVD法により形成する
上記(4)または(5)の薄膜ヘッドの製造方法。 (7) 前記保護膜をイオン化蒸着法により形成する上
記(4)または(5)の薄膜ヘッドの製造方法。 (8) 前記保護膜をスパッタ法により形成する上記
(4)または(5)の薄膜ヘッドの製造方法。 (9) 前記対向表面が、酸化物基材、酸化物絶縁層、
層間薄膜、軟磁性金属層を有する上記(4)〜(8)の
いずれかの薄膜ヘッドの製造方法。 (10)誘導型ヘッド部を有するか、誘導型ヘッド部と
MR素子部とを有する上記(4)〜(9)のいずれかの
薄膜ヘッドの製造方法。
【0010】
【作用】本発明では、薄膜ヘッドの少なくとも記録媒体
対向面、すなわち浮上面または摺動する面に所定の組成
比のSi+C+Hを含有する保護膜を形成する。この保
護膜は薄膜磁気ヘッドにDCバイアス電圧、あるいはセ
ルフバイアスを印加し、プラズマCVD法、イオン化蒸
着法、スパッタ法などで形成することができる。
【0011】このようにして形成された保護膜は、Ti
N,TiCNを用いたものに比べ耐久性、耐磨耗性に優
れ、また、ダイヤモンド状薄膜(DLC)、あるいはこ
れにバッファ層を介したものに比較してアルミナ、パー
マロイ、センダスト等の薄膜ヘッド構成部材に対する密
着力が高く、耐久性が向上し、薄膜ヘッド自体の寿命を
延ばす。また、中間層やバッファ層を設ける必要がない
ため、保護膜全体の厚みが薄くなり、コストダウンと生
産効率の向上を図ることができ、保護膜のさらなる薄膜
化を可能とし、記録密度の向上を図ることができる。
【0012】
【発明の実施の形態】以下、本発明にかかる薄膜ヘッド
の具体的構成について詳細に説明する。
【0013】本発明の薄膜ヘッドは、少なくとも記録媒
体対向面に保護膜を有するものである。この保護膜は、
Si,CおよびHをそれぞれ、Siを、 3〜9 at
%、Cを、61〜81at%、Hを、16〜30at%、含
有する。また、好ましくはSiを、 3〜8 at%、C
を、68〜81at%、Hを、16〜24at%、である。
このうち、特に好ましくは、Siを、 3〜8 at%、
Cを、70〜79at%、Hを、18〜22at%、であ
る。
【0014】Siが3at%未満であると、密着力が弱く
なり、耐久性が低下する。Siが9at%を超えると、膜
硬度が弱く不十分であり、高温高湿下での耐久性が低下
する。Hが16at%未満であると、内部応力が大きくな
りすぎ、膜が破壊しやすく、耐久性が低下する。Hが3
0at%を超えると、膜の硬度が不足し、耐久性が低下す
る。
【0015】保護膜の組成は、保護膜内における厚さ方
向のいずれの部分でも同一、または上記範囲内の組成で
あることが好ましく、保護膜の上面(薄膜ヘッドと反対
側の面)から少なくとも厚さ1/3の部分と、2/3の
部分の厚さの組成が同一、または上記範囲内であること
が好ましい。
【0016】その他、上記主成分の他S、B、P等の元
素の少なくとも1種を全体の3wt%以下、さらにOを
1at%以下含有していても良い。また、このような保護
膜はアモルファス状態にあり、その膜厚は1〜50nm、
特に2〜20nmが好ましい。膜厚が1nm未満の場合には
本発明の効果が低くなり、膜厚が50nmを超えると記録
媒体とのギャップが増加し、特性が劣化してくる。通
常、この保護膜のビッカース硬さはHv=600〜40
00程度、波長632.8nmでの屈折率は1.5〜
2.8程度である。
【0017】次に、本発明の薄膜ヘッドについて説明す
る。
【0018】図1は、本発明の薄膜ヘッドの構成例を示
した、断面概略構成図である。図示例の薄膜ヘッドは、
本発明の保護膜1と、保護層2、上部磁極層3、ギャッ
プ4、下部磁極層5、絶縁層6、上部シールド層7、M
R素子8、下部シールド9、下地層10、基体11、コ
イル12、絶縁層13とを有する。
【0019】図示例の薄膜ヘッドは再生用のMRヘッド
部と記録用の誘導型ヘッド部とを有する、いわゆるMR
誘導型複合ヘッドである。ここで、記録用の誘導型ヘッ
ド部は、上部磁極層3と下部磁極層5、およびこれらに
挟まれたギャップ4とコイル12により構成される。M
Rヘッド部は上部シールド層7と下部シールド層9、お
よびこれらに挟まれた絶縁層13とMR素子8により構
成されている。そして、図示例では誘導型ヘッド部がい
わゆるトレーリング側であり、MRヘッド部がリーディ
ング側である。
【0020】そして、通常保護層2はアルミナ等の非磁
性材が、上部および下部磁極層3,5はパーマアロイ等
の軟磁性材料が、上部および下部シールド層7,9はパ
ーマアロイ、センダスト、窒化鉄等の軟磁性材料が、下
地層10にはアルミナ等の非磁性材料が使用される。
【0021】MR素子には、パーマロイやNi−Co合
金の他、磁気抵抗効果を有する各種材料等を用いること
ができる。これらの中には熱処理温度を低くできるもの
もあり、MR素子膜を多層構成とする場合に特に好適で
ある。多層構成のMR膜としては、例えば、スピンバル
ブ型の人工格子多層膜(NiFe/Cu/NiFe/F
eMn、Co/Cu/Co/FeMn等)、反強磁性人
工格子多層膜(NiFe/Ag、Co/Ag等)などが
挙げられる。
【0022】MR素子に接続されるリードには、Taや
W等、MR膜に拡散しない材料を用いることが好まし
い。絶縁層6,13には、Al23 、SiO2 等の各
種セラミックスなど、通常の絶縁材料を用いることがで
きる。また、アルティック(アルミナと炭化チタンの焼
結体)等から構成される基体11は、通常、磁気ヘッド
のスライダに固定されるが、基体11自体をスライダと
して用いてもよい。
【0023】そして、これらの構造物が積層された薄膜
ヘッド素体の少なくとも走行面または摺動する面、つま
り磁気記録媒体(磁気ディスク)と対向する面(図では
左側の紙面と垂直な面)に本発明の保護膜1が形成され
る。なお、保護膜1は薄膜ヘッド素体の少なくとも走行
面または摺動する面に設けられていればよく、薄膜ヘッ
ドの他の部分に保護膜を設ける必要はないが、保護膜の
製膜方法、薄膜ヘッドの製造方法等の条件により他の部
分に保護膜が付着したり、薄膜ヘッド全体の強度を向上
させる等の点から他の部分に保護膜を設けることを妨げ
るものではない。
【0024】各部の寸法も特に限定されず、組み合わさ
れる磁気記録媒体の構成などに応じて適宜決定すればよ
いが、通常、シールド層7,9は厚さ1〜5μm 、幅3
0〜200μm 、MR素子(磁気抵抗効果膜)8は厚さ
5〜60nm、幅1〜10μm、シールド層7,9とMR
素子8との距離は0.03〜1.0μm 、誘導型ヘッド
部の磁極層3,5は厚さ1〜5μm 、幅0.5〜10μ
m 、トレーリング側のシールド層7と誘導型ヘッド部の
下部磁極5との距離は0.2〜5μm である。
【0025】本発明の磁気ヘッドにおいて、MR素子の
線形動作化の方式は特に限定されず、電流バイアス法、
ハードフィルムバイアス法、ソフトフィルムバイアス
法、形状バイアス法などの各種方式から適宜選択するこ
とができる。
【0026】本発明の磁気ヘッドは、通常、薄膜作製と
パターン形成とによって製造される。各膜の形成には、
スパッタ法、真空蒸着法等の気相被着法や、めっき法等
を用いればよい。パターン形成は、選択エッチングや選
択デポジションなどにより行なうことができる。
【0027】本発明の薄膜ヘッドは、上記図示例に限ら
ず他の構造の薄膜ヘッドにも適用可能であり、例えば下
部磁極と上部シールドとを共通のものとしたり、MR素
子を用いない誘導型ヘッドのみの構成でもよい(以下M
R素子を用いたものをMR薄膜ヘッドと、誘導型ヘッド
のみのものを誘導薄膜ヘッドという場合がある)。特に
好ましくはアルミナと炭化チタンの焼結体、アルミナ、
パーマロイ、センダストまたは窒化鉄の1種以上を有す
る複合材を用いた薄膜ヘッドであれば本発明の効果を好
ましく得ることができる。
【0028】本発明の磁気ヘッドは、アーム等の従来公
知のアセンブリーと組み合わせて使用される。
【0029】次に、薄膜ヘッドの製造方法を説明する。
本発明では、保護膜をプラズマCVD法により形成する
ことが好ましい。プラズマCVD法については、例えば
特開平4−41672号等に記載されている。プラズマ
CVD法におけるプラズマは、直流、交流のいずれであ
ってもよいが、交流を用いることが好ましい。交流とし
ては数ヘルツからマイクロ波まで可能である。また、ダ
イヤモンド薄膜技術(総合技術センター発行)などに記
載されているECRプラズマも使用可能である。
【0030】本発明では、プラズマCVD法としてバイ
アス印加プラズマCVD法を用いることが好ましい。バ
イアス印加プラズマCVD法では、薄膜ヘッドに負のバ
イアス電圧を印加する。この方法については、例えば
M.Nakayama et al, Journal of the Ceramic Society o
f Japan Int. Edition Vol 98 607-609 (1990) 等に詳
細に記載されている。また、バイアス電圧を印加せずに
セルフバイアスを利用してもよい。交流電源であるプラ
ズマ電源を装置の電極に接続するとプラズマが発生す
る。このプラズマは電子、イオン、ラジカルを含み、全
体としては中性である。しかし、プラズマ電源の周波数
がオーディオ波(AF)、高周波(RF)、マイクロ波
(MW)になると、イオンと電子の移動度に差が生じる
ため、印加した電極側(通常、アースしない側)に負電
圧状態を生じる。これをセルフバイアス電圧という。上
記のバイアス電圧は、好ましくは−10〜−2000V
であり、より好ましくは−50〜−1000Vである。
【0031】保護膜をプラズマCVD法により形成する
場合、原料ガスには、下記のグループに属する化合物を
使用することが好ましい。すなわち、Si、CおよびH
を含む化合物としては、メチルシラン、ジメチルシラ
ン、トリメチルシラン、テトラメチルシラン、ジエチル
シラン、テトラエチルシラン、テトラブチルシラン、ジ
メチルジエチルシラン、テトラフェニルシラン、メチル
トリフェニルシラン、ジメチルジフェニルシラン、トリ
メチルフェニルシラン、トリメチルシリル−トリメチル
シラン、トリメチルシリルメチル−トリメチルシラン等
がある。これらは併用しても良く、シラン系化合物と炭
化水素を用いても良い。
【0032】この他、C+H源として、CH4 、C2
4 、C2 6 、C3 8 、C6 6等の炭化水素、Si
+H源として、SiH4 等、H源として、H2 等、等を
用いても良い。
【0033】上記原料ガスの流量は原料ガスの種類に応
じて適宜決定すればよい。動作圧力は、通常0.01〜
0.5Torr、投入電力は、通常10W〜5KW程度が好
ましい。
【0034】本発明ではまた、保護膜をイオン化蒸着法
により形成することが好ましい。イオン化蒸着法は、例
えば特開昭58−174507号、特開昭59−174
508号公報等に記載されている。ただし、これらに開
示された方法、装置に限られるものではなく、保護膜の
原料用イオン化ガスの加速が可能であれば他の方式のイ
オン蒸着技術を用いても良い。
【0035】この場合の装置の好ましい例としては、例
えば、実開昭59−174507号に記載されたイオン
直進型またはイオン偏向型のものを用いることができ
る。
【0036】イオン化蒸着法においては、真空容器内を
10-6Torr程度までの高真空とする。この真空容器内に
は交流電源によって加熱されて熱電子を発生するフィラ
メントが設けられ、このフィラメントを取り囲んで対電
極が配置され、フィラメントとの間に電圧Vdを与え
る。また、フィラメント、対電極を取り囲んでイオン化
ガス閉じこめ用の磁界を発生する電磁コイルが配置され
ている。原料ガスはフィラメントからの熱電子と衝突し
て、プラスの熱分解イオンと電子を生じ、このプラスイ
オンはグリッドに印加された負電位Vaにより加速され
る。この、Vd,Vaおよびコイルの磁界を調整するこ
とにより、組成や膜質を変えることができる。本発明で
は、Vd=10〜500V、Va=−10〜−500V
程度が好ましい。前記と同様薄膜ヘッドに加えるバイア
スは負のバイアス電圧を印加する。バイアス電圧は、直
流が好ましい。また、バイアス電圧を印加せずにセルフ
バイアスを利用してもよい。バイアス電圧は、前記同様
好ましくは−10〜−2000Vであり、より好ましく
は−50〜−1000Vである。
【0037】保護膜をイオン化蒸着法により形成する場
合、原料ガスには、プラズマCVD法と同様のものを用
いれば良い。上記原料ガスの流量はその種類に応じて適
宜決定すればよい。動作圧力は、通常0.01〜0.5
Torr程度が好ましい。
【0038】本発明ではまた、保護膜をスパッタ法によ
り形成することが好ましい。すなわち、Ar、Kr等の
スパッタ用のスパッタガスに加えて、H2 、CH4等の
炭化水素、SiH4等のガスを反応性ガスとして導入す
ると共に、C、Si、SiC等をターゲットとしたり、
C、Si、SiCの混成組成をターゲットとしたり、場
合によっては、C、Siを含む2以上のターゲットを用
いても良い。また、ポリマーをターゲットとして用いる
ことも可能である。この様なターゲットを用いて高周波
電力を加え、ターゲットをスパッタし、これを基板上に
載置された薄膜ヘッド上にスパッタ堆積させることによ
り保護膜を形成する。なお、この場合も基板ないし薄膜
ヘッドに加えるバイアスは負のバイアス電圧を印加す
る。バイアス電圧は、直流が好ましい。また、バイアス
電圧を印加せずにセルフバイアスを利用してもよい。上
記のバイアス電圧は、好ましくは−10〜−2000V
であり、より好ましくは−50〜−1000Vである。
高周波スパッタ電力は、通常50W〜2kW程度であ
る。動作圧力は、通常10-5〜10-3Torrが好ましい。
【0039】
【実施例】以下、本発明の具体的実施例を示し、本発明
をさらに詳細に説明する。
【0040】(実施例1)プラズマCVD法 (1) Si、CおよびHを含む化合物の原料ガスとし
て、Si(CH34と、CH4とを、それぞれ流量3SCC
Mと、20SCCMにて導入した。プラズマ発生用の交流と
してRF500Wを加え、動作圧力0.05Torrで、誘
導薄膜ヘッドの走行面または摺動する面に、セルフバイ
アス−400Vにて70オングストローム成膜した。
【0041】(2) Si、CおよびHを含む化合物の
原料ガスとして、Si(CH34と、CH4とをそれぞ
れ流量5SCCMと、25SCCMにて導入した。プラズマ発生
用の交流としてRF500Wを加え、動作圧力0.05
Torrで、誘導薄膜ヘッドの走行面または摺動する面に、
セルフバイアス−400Vにて70オングストローム成
膜した。
【0042】(3) Si、CおよびHを含む化合物の
原料ガスとして、SiH4と、C24とを、それぞれ流
量10SCCMと、40SCCMにて導入した。プラズマ発生用
の交流としてRF500Wを加え、動作圧力0.05To
rrで、誘導薄膜ヘッドの走行面または摺動する面に、セ
ルフバイアス−400Vにて70オングストローム成膜
した。
【0043】(4) Si、CおよびHを含む化合物の
原料ガスとして、Si(CH34と、C24とをそれぞ
れ流量8SCCMと、20SCCMにて導入した。プラズマ発生
用の交流としてRF500Wを加え、動作圧力0.05
Torrで、MR薄膜ヘッドの走行面または摺動する面に、
セルフバイアス−400Vにて70オングストローム成
膜した。
【0044】(5) Si、CおよびHを含む化合物の
原料ガスとしてSi(CH34と、C24とを、それぞ
れ流量10SCCMと、30SCCMにて導入した。プラズマ発
生用の交流としてRF500Wを加え、動作圧力0.0
5Torrで、MR薄膜ヘッドの走行面または摺動する面
に、セルフバイアス−400Vにて70オングストロー
ム成膜した。
【0045】(6) Si、CおよびHを含む化合物の
原料ガスとして、Si(CH34と、C24とをそれぞ
れ流量8SCCMと、20SCCMにて導入した。プラズマ発生
用の交流としてRF500Wを加え、動作圧力0.05
Torrで、MR薄膜ヘッドの走行面または摺動する面に、
セルフバイアス−400Vにて70オングストローム成
膜した。
【0046】(7) 比較例として、Si、CおよびH
を含む化合物の原料ガスとして、Si(CH34と、C
4とを、それぞれ流量2SCCMと、30SCCMにて導入し
た。プラズマ発生用の交流としてRF500Wを加え、
動作圧力0.05Torrで、誘導薄膜ヘッドの走行面また
は摺動する面に、セルフバイアス−400Vにて70オ
ングストローム成膜した。
【0047】(8) 比較例として、Si、CおよびH
を含む化合物の原料ガスとして、Si(CH34と、C
4とをそれぞれ流量15SCCMと、10SCCMにて導入し
た。プラズマ発生用の交流としてRF500Wを加え、
動作圧力0.05Torrで、MR薄膜ヘッドの走行面また
は摺動する面に、セルフバイアス−400Vにて70オ
ングストローム成膜した。
【0048】(9) 比較例として、Si、CおよびH
を含む化合物の原料ガスとして、Si(CH34と、C
4とをそれぞれ流量30SCCMと、2SCCMにて導入し
た。プラズマ発生用の交流としてRF1200Wを加
え、動作圧力0.05Torrで、MR薄膜ヘッドの走行面
または摺動する面に、セルフバイアス−1000Vにて
70オングストローム成膜した。
【0049】(10) 比較例として、Si、Cおよび
Hを含む化合物の原料ガスとして、SiH4と、C24
とを、それぞれ流量10SCCMと、70SCCMにて導入し
た。プラズマ発生用の交流としてRF100Wを加え、
動作圧力0.1Torrで、MR薄膜ヘッドの走行面または
摺動する面に、セルフバイアス−50Vにて70オング
ストローム成膜した。
【0050】(11) 比較例として、Si、Cおよび
Hを含む化合物の原料ガスとして、SiH4と、CH4
を、それぞれ流量5SCCMと、10SCCMにて導入した。プ
ラズマ発生用の交流としてRF1000Wを加え、動作
圧力0.03Torrで、MR薄膜ヘッドの走行面または摺
動する面に、セルフバイアス−800Vにて70オング
ストローム成膜した。
【0051】(12)比較例として、原料ガスにCH4
を用い、流量10SCCMにて導入し、プラズマ発生用の交
流としてRF500Wを加え、動作圧力0.05Torr
で、MR薄膜ヘッドの走行面または摺動する面に、セル
フバイアス−500Vにて、DLC膜を35オングスト
ローム製膜した。さらに、続けてSi、CおよびHを含
む化合物の原料ガスとして、Si(CH34と、CH4
とをそれぞれ流量30SCCMと、2SCCMにて導入し、セル
フバイアス−400Vにて35オングストローム成膜し
た。
【0052】このようにして得られた各試料のCSS耐
久回数と耐久摩擦係数を、以下に示す方法で評価し、そ
の結果を表1に示す。また、形成された膜の化学分析に
よって測定された組成も併記した。
【0053】〔CSS耐久回数〕CSS繰り返し試験を
ヘッドが読み取り不能となるまで行い、そのときの回数
を測定した。なお、10万回以下の数値は四捨五入し
た。
【0054】〔耐久摩擦係数〕10×104回のCSS
テスト後の摩擦係数を測定した。
【0055】
【表1】
【0056】表1に示される結果から、CSS耐久回
数、耐久摩擦係数ともに本発明の薄膜ヘッドが優れてい
ることがわかる。
【0057】(実施例2)イオン化蒸着法 実施例1において、成膜方法をイオン化蒸着法に代えて
成膜を行ったところほぼ同様の結果を得た。
【0058】(実施例3)スパッタ法 実施例1において、成膜方法をイオン化蒸着法に代えて
成膜を行ったところほぼ同様の結果を得た。
【0059】
【発明の効果】以上のように本発明によれば、アルミ
ナ、パーマロイ、センダストまたは窒化鉄等に対する密
着力が強く、耐久性に優れた薄膜ヘッドとその製造方法
を実現でき、また、さらなる薄膜化が可能で、製造工程
が少なく、しかも安価な薄膜ヘッドとその製造方法を実
現できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の薄膜ヘッド(MR薄膜ヘッド)の構成
例を示す、断面概略構成図である。
【符号の説明】
1 保護膜 2 保護層 3 上部磁極層 4 ギャップ 5 下部磁極層 6 絶縁層 7 上部シールド層 8 MR素子 9 下部シールド層 10 下地層 11 基材 12 コイル 13 絶縁層
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 池尾 泉 東京都中央区日本橋一丁目13番1号 ティ ーディーケイ株式会社内

Claims (10)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 少なくとも記録媒体との対向表面に保護
    膜を有し、この保護膜が、Si,CおよびHをそれぞ
    れ、Siを、 3〜9 at%、 Cを、61〜81at%、 Hを、16〜30at%、含有する薄膜ヘッド。
  2. 【請求項2】 前記対向表面に、酸化物基材、酸化物絶
    縁層および軟磁性金属層の端面が存在する請求項1の薄
    膜ヘッド。
  3. 【請求項3】 誘導型ヘッド部を有するか、誘導型ヘッ
    ド部とMR素子部とを有する請求項1または2の薄膜ヘ
    ッド。
  4. 【請求項4】 薄膜ヘッドに負のバイアス電圧を印加
    し、Si,CおよびHをそれぞれ、Siを、 3〜9
    at%、 Cを、61〜81at%、 Hを、16〜30at%、含有する保護膜を、少なくとも
    記録媒体との対向表面に気相成膜する薄膜ヘッドの製造
    方法。
  5. 【請求項5】 前記バイアス電圧は、印加したDC電源
    または印加した高周波電力により発生したセルフバイア
    スによって印加される請求項4の薄膜ヘッドの製造方
    法。
  6. 【請求項6】 前記保護膜をプラズマCVD法により形
    成する請求項4または5の薄膜ヘッドの製造方法。
  7. 【請求項7】 前記保護膜をイオン化蒸着法により形成
    する請求項4または5の薄膜ヘッドの製造方法。
  8. 【請求項8】 前記保護膜をスパッタ法により形成する
    請求項4または5の薄膜ヘッドの製造方法。
  9. 【請求項9】 前記対向表面が、酸化物基材、酸化物絶
    縁層、層間薄膜、軟磁性金属層を有する請求項4〜8の
    いずれかの薄膜ヘッドの製造方法。
  10. 【請求項10】 誘導型ヘッド部を有するか、誘導型ヘ
    ッド部とMR素子部とを有する請求項4〜9のいずれか
    の薄膜ヘッドの製造方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2002031893A (ja) * 2000-07-19 2002-01-31 Utec:Kk 微細加工方法、反射防止膜及びその成膜方法、ハードディスクヘッドの製造方法
US6995948B2 (en) 2002-07-11 2006-02-07 Tdk Corporation Thin-film magnetic head, method for producing the same and magnetic disk device using the same
US7280312B2 (en) 2004-06-16 2007-10-09 Tdk Corporation Method for producing a protective thin film for a magnetic head
CN100349212C (zh) * 2002-07-11 2007-11-14 Tdk股份有限公司 薄膜磁头、其制造方法和带使用薄膜磁头的滑动器的磁盘装置

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