JP3547935B2 - 薄膜ヘッドとその製造方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、誘導型磁気ヘッド、磁気抵抗効果型磁気ヘッド(MRヘッド)、誘導型ヘッド部とMR素子部とを有するMR誘導型複合ヘッド等の各種薄膜磁気ヘッドと、その製造方法とに関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、磁気記録における高密度化が進められている。これに伴ない、ハードディスク用のヘッドとして、磁極として軟磁性薄膜を用いる薄膜磁気ヘッドや、記録を誘導型ヘッドで行い、磁気抵抗効果を利用して再生を行うMRヘッドの開発が盛んに進められている。
【0003】
MRヘッドは、磁性材料を用いた読み取りセンサ部の抵抗変化により外部磁気信号を読み出すものである。MRヘッドでは再生出力が記録媒体に対する相対速度に依存しないことから、線記録密度の高い磁気記録においても高い出力が得られるという特長がある。MRヘッドでは、分解能を上げ、良好な高周波特性を得るために、通常、磁気抵抗効果膜(MR膜)を一対の磁気シールド膜で挟む構成(シールド型MRヘッド)とされる。この場合、MRヘッドは再生用ヘッドであるため、通常、記録を行うための誘導型ヘッド部をMRヘッド部と一体化したMR誘導型複合ヘッドが用いられている。
【0004】
ところで、薄膜ヘッドは通常、記録媒体上に空気のベアリング作用で浮上させ、CSS(Contact Start Stop)方式を採用するものが多く、高速回転する磁気ディスク上に、通常0.2〜2.0μm 程度の微少浮上量で保持されている。このため、ヘッドクラッシュやCSS摩耗に耐えるための表面強度、耐摩耗性が問題になる。耐摩耗性を向上させる試みも種々なされているが、例えば特開平4−276367号公報に記載されているように、磁気ヘッドスライダのレール上に保護皮膜を設けるといった手法が知られている。しかし、前記保護皮膜は厚さ250オングストローム以下のシリコンからなり、強度的に不十分である。また、磁性薄膜ヘッドを構成するアルミナと炭化チタンの焼結体基板、アルミナ絶縁層、パーマロイ、センダスト、窒化鉄等の軟磁性体薄膜などの構造体にこのようなシリコン皮膜を設けた場合、薄膜ヘッドと保護皮膜との密着性ないし接着性が不十分であるため、剥離が生じたり、耐摩耗性が十分に得られないといった問題を生じていた。
【0005】
耐摩耗性を改善するための保護層として、TiN、TiCN、ダイヤモンド状カーボン薄膜(DLC)等が知られている。しかし、これらを薄膜磁気ヘッドに使用しても耐久性の点で不十分である。
【0006】
また、例えば特許第2571957号公報には酸化物表面に、アモルファスシリコン、アモルファスシリコンカーバイトのバッファ層を設け、さらにその上に炭素または炭素を主成分とする皮膜を設ける点について記載されている。しかし、このようにバッファ層を設けた保護層を薄膜ヘッドに適用しても、耐久性の点で未だ不十分である。また、保護皮膜を設ける工程の他バッファ層製膜工程が必要となり、製造時間や製造コストが増加すると共に、膜厚が厚くなってしまうため、低コスト化、量産性、記録密度の増大に対する要請がますます大きくなるハードディスク用磁気ヘッド分野において極めて不利である。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、薄膜ヘッドの構成部材に対する密着力が強く、耐久性に優れた薄膜ヘッドとその製造方法を提供することである。
【0008】
また他の目的は、さらなる薄膜化が可能で、製造工程が少なく、しかも安価な薄膜ヘッドとその製造方法を提供することである。
【0009】
【課題を解決するための手段】
このような目的は、下記(1)〜(10)のいずれかの構成により達成される。
(1) 少なくとも記録媒体との対向表面に保護膜を有し、この保護膜が、Si,CおよびHをそれぞれ、
Siを、 3〜9 at%、
Cを、61〜81at%、
Hを、16〜30at%、
含有する薄膜ヘッド。
(2) 前記対向表面に、酸化物基材、酸化物絶縁層および軟磁性金属層の端面が存在する上記(1)の薄膜ヘッド。
(3) 誘導型ヘッド部を有するか、誘導型ヘッド部とMR素子部とを有する上記(1)または(2)の薄膜ヘッド。
(4) 薄膜ヘッドに負のバイアス電圧を印加し、
Si,CおよびHをそれぞれ、
Siを、 3〜9 at%、
Cを、61〜81at%、
Hを、16〜30at%、
含有する保護膜を、少なくとも記録媒体との対向表面に気相成膜する薄膜ヘッドの製造方法。
(5) 前記バイアス電圧は、印加したDC電源または印加した高周波電力により発生したセルフバイアスによって印加される上記(4)の薄膜ヘッドの製造方法。
(6) 前記保護膜をプラズマCVD法により形成する上記(4)または(5)の薄膜ヘッドの製造方法。
(7) 前記保護膜をイオン化蒸着法により形成する上記(4)または(5)の薄膜ヘッドの製造方法。
(8) 前記保護膜をスパッタ法により形成する上記(4)または(5)の薄膜ヘッドの製造方法。
(9) 前記対向表面が、酸化物基材、酸化物絶縁層、層間薄膜、軟磁性金属層を有する上記(4)〜(8)のいずれかの薄膜ヘッドの製造方法。
(10)誘導型ヘッド部を有するか、誘導型ヘッド部とMR素子部とを有する上記(4)〜(9)のいずれかの薄膜ヘッドの製造方法。
【0010】
【作用】
本発明では、薄膜ヘッドの少なくとも記録媒体対向面、すなわち浮上面または摺動する面に所定の組成比のSi+C+Hを含有する保護膜を形成する。この保護膜は薄膜磁気ヘッドにDCバイアス電圧、あるいはセルフバイアスを印加し、プラズマCVD法、イオン化蒸着法、スパッタ法などで形成することができる。
【0011】
このようにして形成された保護膜は、TiN,TiCNを用いたものに比べ耐久性、耐磨耗性に優れ、また、ダイヤモンド状薄膜(DLC)、あるいはこれにバッファ層を介したものに比較してアルミナ、パーマロイ、センダスト等の薄膜ヘッド構成部材に対する密着力が高く、耐久性が向上し、薄膜ヘッド自体の寿命を延ばす。また、中間層やバッファ層を設ける必要がないため、保護膜全体の厚みが薄くなり、コストダウンと生産効率の向上を図ることができ、保護膜のさらなる薄膜化を可能とし、記録密度の向上を図ることができる。
【0012】
【発明の実施の形態】
以下、本発明にかかる薄膜ヘッドの具体的構成について詳細に説明する。
【0013】
本発明の薄膜ヘッドは、少なくとも記録媒体対向面に保護膜を有するものである。この保護膜は、Si,CおよびHをそれぞれ、
Siを、 3〜9 at%、
Cを、61〜81at%、
Hを、16〜30at%、
含有する。また、好ましくは
Siを、 3〜8 at%、
Cを、68〜81at%、
Hを、16〜24at%、
である。このうち、特に好ましくは、
Siを、 3〜8 at%、
Cを、70〜79at%、
Hを、18〜22at%、
である。
【0014】
Siが3at%未満であると、密着力が弱くなり、耐久性が低下する。Siが9at%を超えると、膜硬度が弱く不十分であり、高温高湿下での耐久性が低下する。Hが16at%未満であると、内部応力が大きくなりすぎ、膜が破壊しやすく、耐久性が低下する。Hが30at%を超えると、膜の硬度が不足し、耐久性が低下する。
【0015】
保護膜の組成は、保護膜内における厚さ方向のいずれの部分でも同一、または上記範囲内の組成であることが好ましく、保護膜の上面(薄膜ヘッドと反対側の面)から少なくとも厚さ1/3の部分と、2/3の部分の厚さの組成が同一、または上記範囲内であることが好ましい。
【0016】
その他、上記主成分の他S、B、P等の元素の少なくとも1種を全体の3wt%以下、さらにOを1at%以下含有していても良い。また、このような保護膜はアモルファス状態にあり、その膜厚は1〜50nm、特に2〜20nmが好ましい。膜厚が1nm未満の場合には本発明の効果が低くなり、膜厚が50nmを超えると記録媒体とのギャップが増加し、特性が劣化してくる。通常、この保護膜のビッカース硬さはHv=600〜4000程度、波長632.8nmでの屈折率は1.5〜2.8程度である。
【0017】
次に、本発明の薄膜ヘッドについて説明する。
【0018】
図1は、本発明の薄膜ヘッドの構成例を示した、断面概略構成図である。図示例の薄膜ヘッドは、本発明の保護膜1と、保護層2、上部磁極層3、ギャップ4、下部磁極層5、絶縁層6、上部シールド層7、MR素子8、下部シールド9、下地層10、基体11、コイル12、絶縁層13とを有する。
【0019】
図示例の薄膜ヘッドは再生用のMRヘッド部と記録用の誘導型ヘッド部とを有する、いわゆるMR誘導型複合ヘッドである。ここで、記録用の誘導型ヘッド部は、上部磁極層3と下部磁極層5、およびこれらに挟まれたギャップ4とコイル12により構成される。MRヘッド部は上部シールド層7と下部シールド層9、およびこれらに挟まれた絶縁層13とMR素子8により構成されている。そして、図示例では誘導型ヘッド部がいわゆるトレーリング側であり、MRヘッド部がリーディング側である。
【0020】
そして、通常保護層2はアルミナ等の非磁性材が、上部および下部磁極層3,5はパーマアロイ等の軟磁性材料が、上部および下部シールド層7,9はパーマアロイ、センダスト、窒化鉄等の軟磁性材料が、下地層10にはアルミナ等の非磁性材料が使用される。
【0021】
MR素子には、パーマロイやNi−Co合金の他、磁気抵抗効果を有する各種材料等を用いることができる。これらの中には熱処理温度を低くできるものもあり、MR素子膜を多層構成とする場合に特に好適である。多層構成のMR膜としては、例えば、スピンバルブ型の人工格子多層膜(NiFe/Cu/NiFe/FeMn、Co/Cu/Co/FeMn等)、反強磁性人工格子多層膜(NiFe/Ag、Co/Ag等)などが挙げられる。
【0022】
MR素子に接続されるリードには、TaやW等、MR膜に拡散しない材料を用いることが好ましい。絶縁層6,13には、Al 、SiO 等の各種セラミックスなど、通常の絶縁材料を用いることができる。また、アルティック(アルミナと炭化チタンの焼結体)等から構成される基体11は、通常、磁気ヘッドのスライダに固定されるが、基体11自体をスライダとして用いてもよい。
【0023】
そして、これらの構造物が積層された薄膜ヘッド素体の少なくとも走行面または摺動する面、つまり磁気記録媒体(磁気ディスク)と対向する面(図では左側の紙面と垂直な面)に本発明の保護膜1が形成される。なお、保護膜1は薄膜ヘッド素体の少なくとも走行面または摺動する面に設けられていればよく、薄膜ヘッドの他の部分に保護膜を設ける必要はないが、保護膜の製膜方法、薄膜ヘッドの製造方法等の条件により他の部分に保護膜が付着したり、薄膜ヘッド全体の強度を向上させる等の点から他の部分に保護膜を設けることを妨げるものではない。
【0024】
各部の寸法も特に限定されず、組み合わされる磁気記録媒体の構成などに応じて適宜決定すればよいが、通常、シールド層7,9は厚さ1〜5μm 、幅30〜200μm 、MR素子(磁気抵抗効果膜)8は厚さ5〜60nm、幅1〜10μm 、シールド層7,9とMR素子8との距離は0.03〜1.0μm 、誘導型ヘッド部の磁極層3,5は厚さ1〜5μm 、幅0.5〜10μm 、トレーリング側のシールド層7と誘導型ヘッド部の下部磁極5との距離は0.2〜5μm である。
【0025】
本発明の磁気ヘッドにおいて、MR素子の線形動作化の方式は特に限定されず、電流バイアス法、ハードフィルムバイアス法、ソフトフィルムバイアス法、形状バイアス法などの各種方式から適宜選択することができる。
【0026】
本発明の磁気ヘッドは、通常、薄膜作製とパターン形成とによって製造される。各膜の形成には、スパッタ法、真空蒸着法等の気相被着法や、めっき法等を用いればよい。パターン形成は、選択エッチングや選択デポジションなどにより行なうことができる。
【0027】
本発明の薄膜ヘッドは、上記図示例に限らず他の構造の薄膜ヘッドにも適用可能であり、例えば下部磁極と上部シールドとを共通のものとしたり、MR素子を用いない誘導型ヘッドのみの構成でもよい(以下MR素子を用いたものをMR薄膜ヘッドと、誘導型ヘッドのみのものを誘導薄膜ヘッドという場合がある)。特に好ましくはアルミナと炭化チタンの焼結体、アルミナ、パーマロイ、センダストまたは窒化鉄の1種以上を有する複合材を用いた薄膜ヘッドであれば本発明の効果を好ましく得ることができる。
【0028】
本発明の磁気ヘッドは、アーム等の従来公知のアセンブリーと組み合わせて使用される。
【0029】
次に、薄膜ヘッドの製造方法を説明する。
本発明では、保護膜をプラズマCVD法により形成することが好ましい。プラズマCVD法については、例えば特開平4−41672号等に記載されている。プラズマCVD法におけるプラズマは、直流、交流のいずれであってもよいが、交流を用いることが好ましい。交流としては数ヘルツからマイクロ波まで可能である。また、ダイヤモンド薄膜技術(総合技術センター発行)などに記載されているECRプラズマも使用可能である。
【0030】
本発明では、プラズマCVD法としてバイアス印加プラズマCVD法を用いることが好ましい。バイアス印加プラズマCVD法では、薄膜ヘッドに負のバイアス電圧を印加する。この方法については、例えば M.Nakayama et al, Journal of the Ceramic Society of Japan Int. Edition Vol 98 607−609 (1990) 等に詳細に記載されている。また、バイアス電圧を印加せずにセルフバイアスを利用してもよい。交流電源であるプラズマ電源を装置の電極に接続するとプラズマが発生する。このプラズマは電子、イオン、ラジカルを含み、全体としては中性である。しかし、プラズマ電源の周波数がオーディオ波(AF)、高周波(RF)、マイクロ波(MW)になると、イオンと電子の移動度に差が生じるため、印加した電極側(通常、アースしない側)に負電圧状態を生じる。これをセルフバイアス電圧という。上記のバイアス電圧は、好ましくは−10〜−2000Vであり、より好ましくは−50〜−1000Vである。
【0031】
保護膜をプラズマCVD法により形成する場合、原料ガスには、下記のグループに属する化合物を使用することが好ましい。すなわち、Si、CおよびHを含む化合物としては、メチルシラン、ジメチルシラン、トリメチルシラン、テトラメチルシラン、ジエチルシラン、テトラエチルシラン、テトラブチルシラン、ジメチルジエチルシラン、テトラフェニルシラン、メチルトリフェニルシラン、ジメチルジフェニルシラン、トリメチルフェニルシラン、トリメチルシリル−トリメチルシラン、トリメチルシリルメチル−トリメチルシラン等がある。これらは併用しても良く、シラン系化合物と炭化水素を用いても良い。
【0032】
この他、C+H源として、CH、C、C、C、C等の炭化水素、
Si+H源として、SiH等、
H源として、H等、
等を用いても良い。
【0033】
上記原料ガスの流量は原料ガスの種類に応じて適宜決定すればよい。動作圧力は、通常0.01〜0.5Torr、投入電力は、通常10W〜5KW程度が好ましい。
【0034】
本発明ではまた、保護膜をイオン化蒸着法により形成することが好ましい。イオン化蒸着法は、例えば特開昭58−174507号、特開昭59−174508号公報等に記載されている。ただし、これらに開示された方法、装置に限られるものではなく、保護膜の原料用イオン化ガスの加速が可能であれば他の方式のイオン蒸着技術を用いても良い。
【0035】
この場合の装置の好ましい例としては、例えば、実開昭59−174507号に記載されたイオン直進型またはイオン偏向型のものを用いることができる。
【0036】
イオン化蒸着法においては、真空容器内を10−6Torr程度までの高真空とする。この真空容器内には交流電源によって加熱されて熱電子を発生するフィラメントが設けられ、このフィラメントを取り囲んで対電極が配置され、フィラメントとの間に電圧Vdを与える。また、フィラメント、対電極を取り囲んでイオン化ガス閉じこめ用の磁界を発生する電磁コイルが配置されている。原料ガスはフィラメントからの熱電子と衝突して、プラスの熱分解イオンと電子を生じ、このプラスイオンはグリッドに印加された負電位Vaにより加速される。この、Vd,Vaおよびコイルの磁界を調整することにより、組成や膜質を変えることができる。本発明では、Vd=10〜500V、Va=−10〜−500V程度が好ましい。前記と同様薄膜ヘッドに加えるバイアスは負のバイアス電圧を印加する。バイアス電圧は、直流が好ましい。また、バイアス電圧を印加せずにセルフバイアスを利用してもよい。バイアス電圧は、前記同様好ましくは−10〜−2000Vであり、より好ましくは−50〜−1000Vである。
【0037】
保護膜をイオン化蒸着法により形成する場合、原料ガスには、プラズマCVD法と同様のものを用いれば良い。上記原料ガスの流量はその種類に応じて適宜決定すればよい。動作圧力は、通常0.01〜0.5Torr程度が好ましい。
【0038】
本発明ではまた、保護膜をスパッタ法により形成することが好ましい。すなわち、Ar、Kr等のスパッタ用のスパッタガスに加えて、H、CH等の炭化水素、SiH等のガスを反応性ガスとして導入すると共に、C、Si、SiC等をターゲットとしたり、C、Si、SiCの混成組成をターゲットとしたり、場合によっては、C、Siを含む2以上のターゲットを用いても良い。また、ポリマーをターゲットとして用いることも可能である。この様なターゲットを用いて高周波電力を加え、ターゲットをスパッタし、これを基板上に載置された薄膜ヘッド上にスパッタ堆積させることにより保護膜を形成する。なお、この場合も基板ないし薄膜ヘッドに加えるバイアスは負のバイアス電圧を印加する。バイアス電圧は、直流が好ましい。また、バイアス電圧を印加せずにセルフバイアスを利用してもよい。上記のバイアス電圧は、好ましくは−10〜−2000Vであり、より好ましくは−50〜−1000Vである。高周波スパッタ電力は、通常50W〜2kW程度である。動作圧力は、通常10−5〜10−3Torrが好ましい。
【0039】
【実施例】
以下、本発明の具体的実施例を示し、本発明をさらに詳細に説明する。
【0040】
(実施例1)プラズマCVD法
(1) Si、CおよびHを含む化合物の原料ガスとして、Si(CHと、CHとを、それぞれ流量3SCCMと、20SCCMにて導入した。プラズマ発生用の交流としてRF500Wを加え、動作圧力0.05Torrで、誘導薄膜ヘッドの走行面または摺動する面に、セルフバイアス−400Vにて70オングストローム成膜した。
【0041】
(2) Si、CおよびHを含む化合物の原料ガスとして、Si(CHと、CHとをそれぞれ流量5SCCMと、25SCCMにて導入した。プラズマ発生用の交流としてRF500Wを加え、動作圧力0.05Torrで、誘導薄膜ヘッドの走行面または摺動する面に、セルフバイアス−400Vにて70オングストローム成膜した。
【0042】
(3) Si、CおよびHを含む化合物の原料ガスとして、SiHと、Cとを、それぞれ流量10SCCMと、40SCCMにて導入した。プラズマ発生用の交流としてRF500Wを加え、動作圧力0.05Torrで、誘導薄膜ヘッドの走行面または摺動する面に、セルフバイアス−400Vにて70オングストローム成膜した。
【0043】
(4) Si、CおよびHを含む化合物の原料ガスとして、Si(CHと、Cとをそれぞれ流量8SCCMと、20SCCMにて導入した。プラズマ発生用の交流としてRF500Wを加え、動作圧力0.05Torrで、MR薄膜ヘッドの走行面または摺動する面に、セルフバイアス−400Vにて70オングストローム成膜した。
【0044】
(5) Si、CおよびHを含む化合物の原料ガスとしてSi(CHと、Cとを、それぞれ流量10SCCMと、30SCCMにて導入した。プラズマ発生用の交流としてRF500Wを加え、動作圧力0.05Torrで、MR薄膜ヘッドの走行面または摺動する面に、セルフバイアス−400Vにて70オングストローム成膜した。
【0045】
(6) Si、CおよびHを含む化合物の原料ガスとして、Si(CHと、Cとをそれぞれ流量8SCCMと、20SCCMにて導入した。プラズマ発生用の交流としてRF500Wを加え、動作圧力0.05Torrで、MR薄膜ヘッドの走行面または摺動する面に、セルフバイアス−400Vにて70オングストローム成膜した。
【0046】
(7) 比較例として、Si、CおよびHを含む化合物の原料ガスとして、Si(CHと、CHとを、それぞれ流量2SCCMと、30SCCMにて導入した。プラズマ発生用の交流としてRF500Wを加え、動作圧力0.05Torrで、誘導薄膜ヘッドの走行面または摺動する面に、セルフバイアス−400Vにて70オングストローム成膜した。
【0047】
(8) 比較例として、Si、CおよびHを含む化合物の原料ガスとして、Si(CHと、CHとをそれぞれ流量15SCCMと、10SCCMにて導入した。プラズマ発生用の交流としてRF500Wを加え、動作圧力0.05Torrで、MR薄膜ヘッドの走行面または摺動する面に、セルフバイアス−400Vにて70オングストローム成膜した。
【0048】
(9) 比較例として、Si、CおよびHを含む化合物の原料ガスとして、Si(CHと、CHとをそれぞれ流量30SCCMと、2SCCMにて導入した。プラズマ発生用の交流としてRF1200Wを加え、動作圧力0.05Torrで、MR薄膜ヘッドの走行面または摺動する面に、セルフバイアス−1000Vにて70オングストローム成膜した。
【0049】
(10) 比較例として、Si、CおよびHを含む化合物の原料ガスとして、SiHと、Cとを、それぞれ流量10SCCMと、70SCCMにて導入した。プラズマ発生用の交流としてRF100Wを加え、動作圧力0.1Torrで、MR薄膜ヘッドの走行面または摺動する面に、セルフバイアス−50Vにて70オングストローム成膜した。
【0050】
(11) 比較例として、Si、CおよびHを含む化合物の原料ガスとして、SiHと、CHとを、それぞれ流量5SCCMと、10SCCMにて導入した。プラズマ発生用の交流としてRF1000Wを加え、動作圧力0.03Torrで、MR薄膜ヘッドの走行面または摺動する面に、セルフバイアス−800Vにて70オングストローム成膜した。
【0051】
(12)比較例として、原料ガスにCHを用い、流量10SCCMにて導入し、プラズマ発生用の交流としてRF500Wを加え、動作圧力0.05Torrで、MR薄膜ヘッドの走行面または摺動する面に、セルフバイアス−500Vにて、DLC膜を35オングストローム製膜した。さらに、続けてSi、CおよびHを含む化合物の原料ガスとして、Si(CHと、CHとをそれぞれ流量30SCCMと、2SCCMにて導入し、セルフバイアス−400Vにて35オングストローム成膜した。
【0052】
このようにして得られた各試料のCSS耐久回数と耐久摩擦係数を、以下に示す方法で評価し、その結果を表1に示す。また、形成された膜の化学分析によって測定された組成も併記した。
【0053】
〔CSS耐久回数〕
CSS繰り返し試験をヘッドが読み取り不能となるまで行い、そのときの回数を測定した。なお、10万回以下の数値は四捨五入した。
【0054】
〔耐久摩擦係数〕
10×10回のCSSテスト後の摩擦係数を測定した。
【0055】
【表1】
Figure 0003547935
【0056】
表1に示される結果から、CSS耐久回数、耐久摩擦係数ともに本発明の薄膜ヘッドが優れていることがわかる。
【0057】
(実施例2)イオン化蒸着法
実施例1において、成膜方法をイオン化蒸着法に代えて成膜を行ったところほぼ同様の結果を得た。
【0058】
(実施例3)スパッタ法
実施例1において、成膜方法をイオン化蒸着法に代えて成膜を行ったところほぼ同様の結果を得た。
【0059】
【発明の効果】
以上のように本発明によれば、アルミナ、パーマロイ、センダストまたは窒化鉄等に対する密着力が強く、耐久性に優れた薄膜ヘッドとその製造方法を実現でき、また、さらなる薄膜化が可能で、製造工程が少なく、しかも安価な薄膜ヘッドとその製造方法を実現できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の薄膜ヘッド(MR薄膜ヘッド)の構成例を示す、断面概略構成図である。
【符号の説明】
1 保護膜
2 保護層
3 上部磁極層
4 ギャップ
5 下部磁極層
6 絶縁層
7 上部シールド層
8 MR素子
9 下部シールド層
10 下地層
11 基材
12 コイル
13 絶縁層

Claims (10)

  1. 少なくとも記録媒体との対向表面に保護膜を有し、この保護膜が、Si,CおよびHをそれぞれ、
    Siを、 3〜9 at%、
    Cを、61〜81at%、
    Hを、16〜30at%、
    含有する薄膜ヘッド。
  2. 前記対向表面に、酸化物基材、酸化物絶縁層および軟磁性金属層の端面が存在する請求項1の薄膜ヘッド。
  3. 誘導型ヘッド部を有するか、誘導型ヘッド部とMR素子部とを有する請求項1または2の薄膜ヘッド。
  4. 薄膜ヘッドに負のバイアス電圧を印加し、
    Si,CおよびHをそれぞれ、
    Siを、 3〜9 at%、
    Cを、61〜81at%、
    Hを、16〜30at%、
    含有する保護膜を、少なくとも記録媒体との対向表面に気相成膜する薄膜ヘッドの製造方法。
  5. 前記バイアス電圧は、印加したDC電源または印加した高周波電力により発生したセルフバイアスによって印加される請求項4の薄膜ヘッドの製造方法。
  6. 前記保護膜をプラズマCVD法により形成する請求項4または5の薄膜ヘッドの製造方法。
  7. 前記保護膜をイオン化蒸着法により形成する請求項4または5の薄膜ヘッドの製造方法。
  8. 前記保護膜をスパッタ法により形成する請求項4または5の薄膜ヘッドの製造方法。
  9. 前記対向表面が、酸化物基材、酸化物絶縁層、層間薄膜、軟磁性金属層を有する請求項4〜8のいずれかの薄膜ヘッドの製造方法。
  10. 誘導型ヘッド部を有するか、誘導型ヘッド部とMR素子部とを有する請求項4〜9のいずれかの薄膜ヘッドの製造方法。
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