JPH10288982A - ディジタルフィルタ及び信号抽出装置 - Google Patents

ディジタルフィルタ及び信号抽出装置

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JPH10288982A
JPH10288982A JP9113454A JP11345497A JPH10288982A JP H10288982 A JPH10288982 A JP H10288982A JP 9113454 A JP9113454 A JP 9113454A JP 11345497 A JP11345497 A JP 11345497A JP H10288982 A JPH10288982 A JP H10288982A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 歌声と伴奏音とが混合された混合波形から歌
声のみを抽出する。 【解決手段】 係数乗算手段4を設けたことにより、周
波数軸上において周波数が高くなるほど、幅が広くなる
くし状特性を有するディジタルフィルタ2は、遅延回路
12に設定される遅延時間によってくし状特性の周波数軸
上のピーク位置が制御可能である。複数種類の信号が混
合した波形信号がディジタルフィルタ2に入力され、ピ
ッチ情報に対応したピッチを有する所望の信号が、前記
混合した波形信号から、このディジタルフィルタ2によ
って抽出される。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、複数の信号が混合
された信号から特定の信号を抽出する信号抽出装置と、
例えばこの信号抽出装置に使用するのに適したディジタ
ルフィルタとに関する。
【0002】
【従来の技術】歌声と伴奏音とが混合された信号から、
例えば歌声のみを抽出することが望まれることがある。
この場合、歌声の基音と、その倍音にピークをそれぞれ
併せたくし型フィルタを使用して、歌声のみを抽出する
ことが考えられる。
【0003】上記のくし型フィルタとしては、例えば特
開平6−4076号公報の図9に従来技術として示され
ているものや、同公報の図1に実施例として示されてい
るものを使用することが考えられる。
【0004】同公報の図1に示されているくし型フィル
タの基本となる構成を、図4(a)に示す。このくし型
フィルタは、2次のディジタルローパスフィルタであっ
て、加算器2、4、6、乗算器8、10、12及び遅延
回路14、16から構成されている。特に、遅延回路1
4、16が、複数サンプリング期間にわたって入力され
た信号を遅延させるものとされている。
【0005】乗算器8、10に供給されている係数B
が、このローパスフィルタのカットオフ周波数を決定す
るパラメータに相当し、くし型フィルタの場合には、通
過帯域幅(くし状特性の幅)W、言い換えれば上限及び
下限の遮断周波数を決定する(図5参照)。乗算器12
に供給されている係数Pは、ローパスフィルタにおいて
Qを設定するパラメータに相当するもので、くし型フィ
ルタの場合、特開平6−4076号公報に記載されてい
るように、この値を変化させることによって通過帯域の
形状を変化させることができる。但し、本件発明には、
直接関係しないので、所定の値に設定されているとし
て、説明を省略する。また、遅延回路14、16の遅延
段数を変更する(即ち、遅延時間を変更する)ことによ
って、図5に示すくし状特性のピークの位置Fp、2F
p・・・が変化する。
【0006】この他、図4(b)に示すように、加算器
18、20、乗算器22、遅延回路24によって構成さ
れる1次のディジタルローパスフィルタにおいて、遅延
回路24が複数サンプリング時間にわたって入力された
信号を遅延させるように遅延段数を選択することによっ
て、図4(a)に示したローパスフィルタと同様な周波
数特性をもつディジタルローパスフィルタとすることも
できる。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】これらのようなディジ
タルフィルタを使用して、歌声と伴奏音とが混合された
信号から、歌声だけを抽出しようとしても、良好に抽出
することができなかった。その原因は、図5に示すよう
に、従来のくし型フィルタのくし状特性の幅Wが、常に
同じであることにある。即ち、歌声等の音声は、ビブラ
ート等の周波数変調がかかっていると、高次倍音ほどス
ペクトルの広がりが大きくなる。また、音声のピッチ
は、常に一定ではなく、ゆらいでおり、そのゆらぎも高
次倍音ほどスペクトルのひろがりが大きくなる。従っ
て、各くし状特性の幅が、どのくしにおいても一定であ
る従来のくし型フィルタでは、高次倍音を捉えきれなく
なってしまう。
【0008】本発明は、混合信号、例えば歌声と伴奏音
とが混合されたような信号から、特定の信号、例えば歌
声だけを良好に抽出することができる信号抽出装置を提
供することを目的とする。また、このような信号抽出装
置に使用するのに適した、高域ほどくし状特性の幅が広
がった特性のくし型フィルタを構成することができるデ
ィジタルフィルタを提供することを目的とする。そのた
め、周波数特性を持った係数演算を行う係数乗算手段を
備えたディジタルフィルタを提供することも目的とす
る。
【0009】
【課題を解決するための手段】上記の目的を達成するた
めに、請求項1記載の発明によるディジタルフィルタ
は、音声信号にフィルタ係数を乗算する1つまたは複数
の係数乗算手段と、音声信号を遅延する1つまたは複数
の遅延手段を含むディジタルフィルタにおいて、前記係
数乗算手段の少なくとも1つは、これを通過する信号の
周波数軸上の変化に対応して乗算係数が変化した乗算結
果を得るように構成されている。遅延手段は、入力され
た音声信号を遅延させ、その遅延信号を係数乗算手段の
出力と加算することもできるし、或いは係数乗算手段の
出力を遅延させて、係数乗算手段の入力側に帰還しても
よい。また、遅延手段の遅延時間(遅延段数)は、複数
サンプリング時間(複数段数)に設定することができ
る。また、係数乗算手段自体をディジタルフィルタとす
ることもできる。
【0010】請求項1記載のディジタルフィルタによれ
ば、係数乗算手段を通過する信号の周波数が変化する
と、係数乗算手段の乗算係数が変化する。従って、ディ
ジタルフィルタに入力される信号の周波数が変化するに
連れて、このディジタルフィルタの周波数特性も変化す
る。
【0011】請求項2記載の発明のディジタルフィルタ
では、請求項1記載のディジタルフィルタをくし型フィ
ルタとしてあり、前記係数乗算手段は、くし型フィルタ
のくし状特性の幅を決定する係数を乗算するものであっ
て、前記係数乗算手段を通過する信号の周波数軸上の変
化に対して、くし状特性の幅が変化する。
【0012】請求項2記載の発明によれば、くし型のフ
ィルタのくし状特性の幅が、このディジタルフィルタへ
入力される信号の周波数の変化に従って、変化するの
で、入力される信号が、その高次倍音になるに従ってス
ペクトルが変化するものであっても、入力される信号を
良好に抽出することができる。
【0013】請求項3記載の発明による信号抽出装置
は、ピッチ情報を入力するピッチ情報入力手段と、くし
型フィルタ手段を有している。このくし型フィルタ手段
は、周波数軸上において周波数が高くなるほど、幅が広
くなるくし状特性を有し、該くし状特性の周波数軸上の
ピーク位置が制御可能である。このフィルタには、複数
種類の信号が混合した波形信号が入力され、前記ピッチ
情報に従って前記くし状特性の周波数軸上のピーク位置
が制御される。そして、この信号抽出装置は、前記ピッ
チ情報入力手段により入力された前記ピッチ情報に対応
したピッチを有する所望の信号を、前記混合した波形信
号から抽出する。
【0014】請求項3記載の発明による信号抽出装置で
は、ピッチ情報入力手段により入力されるピッチ情報
を、混合信号中の所望の信号に従って変化させると、そ
のときのピッチ情報に従ってくし状特性のピーク位置が
変化する。また、所望の信号の周波数が高い周波数に移
動すると、くし状特性の幅も変化する。従って、複数の
波形の混合波形から、高次倍音になるほどスペクトルが
広がり、かつピッチがゆらいでいる波形を、良好に抽出
することができる。
【0015】請求項4記載の発明による信号抽出装置
は、請求項3記載の信号抽出装置において、前記くし型
フィルタ手段が、入力された信号にフィルタ係数を乗算
する1つまたは複数の係数乗算手段と、前記信号を遅延
する1つまたは複数の遅延手段とを、備えたフィルタ演
算手段と、前記係数演算手段の係数と前記遅延手段の遅
延時間の一方または双方を制御する制御手段とを、備え
ている。前記係数乗算手段は、くし状特性の幅を決定す
る係数を乗算する係数乗算手段を含み、この係数乗算手
段は、周波数軸上で周波数が高くなる程、くし状特性の
幅が広くなる係数乗算演算を行う。制御手段は、前記遅
延時間を制御して、くし状特性のピークの周波数軸上の
位置を制御できる。
【0016】請求項4記載の発明による信号抽出装置で
も、請求項3記載の発明と同様に、混合波形から、高次
倍音になるにつれてスペクトルが変化し、かつピッチが
ゆらいでいる波形のみを、良好に抽出することができ
る。また、係数演算手段への係数と遅延手段の遅延時間
の一方または双方を、制御手段によって制御することが
できるので、入力される混合信号の抽出しようとしてい
る波形のピッチの変化に応じて、遅延手段の遅延時間を
変化させたり、或いは使用者の好みに応じて係数演算手
段への係数を変化させることができる。
【0017】
【発明の実施の形態】本実施の形態の信号抽出装置は、
図1(a)に示すように、フィルタ演算手段、例えばデ
ィジタルフィルタ2を有している。このディジタルフィ
ルタ2は、基本的には図4(b)に示したディジタルフ
ィルタの乗算器22を係数乗算手段4に置換したもので
ある。
【0018】即ち、このディジタルフィルタ2は、加算
器6を有し、この加算器6の第1の加算入力側には、入
力信号が供給されている。この加算器6の出力側が係数
乗算手段4に接続されている。この係数乗算手段4の出
力側は加算器8の加算入力側に接続されている。この加
算器8の出力側が、出力端子10に接続されていると共
に、遅延回路12に接続されている。この遅延回路12
は、複数の遅延段を有し、後述するように、その遅延段
数が可変可能なものである。この遅延回路12の出力
は、加算器6の第2の加算入力側と、加算器8の減算入
力側とに帰還されている。
【0019】このディジタルフィルタ2は、係数乗算手
段4を通常の乗算器と見なすと、図4(b)に示したく
し型ディジタルフィルタと同様に機能する。従って、係
数乗算手段4に供給される係数Bによって各くし状特性
の幅(通過帯域の幅)が決まり、遅延回路12の遅延段
数、即ち遅延時間を調整することによって、各くし状特
性の周波数軸上のピーク位置が決定されている。
【0020】この係数乗算手段4は、図1(b)に示す
ように構成されている。即ち、係数乗算手段4には、加
算器6の出力が入力され、該出力には、乗算器14によ
って係数1/2Bが乗算される。加算器6の出力は、遅
延回路16によって1サンプリング期間遅延され、乗算
器18によって係数−1/2Bが乗算される。これら乗
算器14、18の出力は加算器20によって加算され、
加算器8に供給される。係数1/2B、−1/2Bは、
後述するフィルタ係数供給手段28から供給される係数
Bに、乗算器22によって係数1/2を、乗算器24に
よって係数−1/2を乗算することによって得ている。
【0021】この係数乗算手段4自体も、ディジタルハ
イパスフィルタとして構成されており、その周波数特性
は、例えば図2(b)に示すように周波数が高くなる程
ゲインが大きくなる。従って、この係数乗算手段は、入
力信号の周波数が増加するに従って係数が増加する乗算
器として機能する。図4(b)に関連して説明したよう
に、乗算器22に供給される係数によって各くし状特性
の幅が決定されているので、入力信号の周波数の増加に
従って増加する乗算器として機能する係数乗算手段4を
使用することによって、ディジタルフィルタ2のくし状
周波数特性の幅は、図2(a)に示すように入力信号の
周波数が高くなるに従って広くなる。
【0022】遅延回路12は、その遅延時間を任意に設
定可能なもので、その遅延時間は、制御手段、例えば遅
延時間設定手段26によって設定される。この遅延時間
設定手段26には、例えばディジタルフィルタ2に供給
される信号のピッチ情報が入力され、このピッチ情報に
応じて、遅延時間設定手段26は、遅延時間を遅延回路
12に設定する。
【0023】遅延回路12は、基本的には、サンプリン
グ周期で順次シフトするシフトレジスタのような、サン
プリング周期の整数倍の遅延時間だけ、この遅延回路1
2に供給された信号を遅延させるものである。さらに、
第n番目のサンプリングデータと第n+1番目のサンプ
リングデータとによって、その間のサンプリングデータ
を補間演算により算出する補間演算手段を備えており、
ピッチ情報に応じてサンプリング周期よりも細かい分解
能で遅延時間を設定することができる。
【0024】係数乗算手段4の係数Bは、制御手段、例
えばフィルタ係数供給手段28によって係数乗算手段4
に供給される。フィルタ係数供給手段28は、例えば操
作子30の操作に応じて、フィルタ係数Bの値を変更で
きる。
【0025】このディジタルフィルタ2の前段には、ノ
ッチフィルタ32が設けられている。このノッチフィル
タ32では、乗算器34によって入力信号に所定の係数
が乗算される。入力信号は、複数サンプリング時間遅延
させる遅延回路36によって遅延させられる。この遅延
回路36の出力には、乗算器38によって所定の係数が
乗算される。乗算器34、38の出力が、加算器40に
よって加算される。このノッチフィルタ32は、図2
(a)に示すディジタルフィルタ2の周波数特性の谷間
を充分に減衰させるために設けられている。
【0026】この信号抽出装置では、操作子30を操作
して、適切なフィルタ係数Bを設定し、例えば入力信号
として歌声と伴奏音との混合信号を入力し、遅延時間設
定信号に歌声のピッチ情報を入力すると、歌声が周波数
変調のかかったものであって、その高次倍音程スペクト
ルの広がりが大きくなっても、ディジタルフィルタ2の
くし状特性の幅が、高域になるほど広がり、かつ歌声の
ピッチが揺らいでも、それにつれて各くし状特性のピー
ク周波数が、変更されるので、歌声のみを良好に抽出す
ることができる。
【0027】なお、例えばCDのようにピッチ情報を有
していない信号から、ピッチ情報を得る場合には、例え
ば次のようにすればよい。歌声と伴奏音とが混合されて
いるCDの出力を、この信号抽出装置の使用者が聞きな
がら、ピッチが変化するごとに、ピッチ情報を手動で遅
延時間設定手段26に供給する。この場合、リアルタイ
ムに歌声のピッチ変動に対応して、ピッチ情報を変化さ
せることは困難である。
【0028】そこで、CDの出力を、パーソナルコンピ
ュータのようなコンピュータのメモリに一旦記憶させ、
これを再生したものを聞きながら、ピッチ情報を手動で
変化させ、このピッチ情報の変化を演奏の再生と同期し
て記憶する。このようにして記憶したピッチ情報の変化
を演奏と同期して再生し、これに基づいてピッチ情報を
遅延時間設定手段26に供給して、このように遅延時間
が設定された状態で行われた信号抽出の結果を、再びメ
モリに記憶する。記憶された信号抽出結果を再び再生
し、ピッチ情報が適切に設定されているか否かを確認す
る。ピッチ情報が適切に設定されていない箇所に関して
は、記憶したピッチ情報を手動で変更する。このような
作業を何度も繰り返す。
【0029】或いは、歌声と伴奏音の演奏を聞きなが
ら、使用者が歌い、使用者の歌声をピッチ検出装置によ
って検出し、その検出結果を遅延時間設定手段26に供
給する。最初は、このようにしてピッチ情報を得て、こ
れを演奏の再生と同期して記憶し、さらに、この記憶ピ
ッチ情報による遅延時間の制御と上述したのと同様な手
動処理とを併用して、記憶ピッチ情報を補正するように
すれば、より正確なピッチ情報を得ることができる。
【0030】図3(a)、(b)に第2の実施の形態を
示す。この実施の形態では、ディジタルフィルタが、2
次のディジタルローパスフィルタに構成されている。即
ち、加算器6aの加算入力には、ノッチフィルタ32か
ら信号が供給され、この加算器6aの出力は、係数乗算
手段4aに供給されている。この係数乗算手段4aの出
力は、加算器8aの第1の加算入力に供給されている。
この加算器8aの出力は、遅延回路12aに供給されて
いる。この遅延回路12aの出力は、加算器8aの第2
の加算入力に供給されている。遅延回路12aの出力
は、さらに乗算器50によって係数Pが乗算され、この
乗算器50の出力が加算器6aの第1の減算入力に供給
されている。
【0031】遅延回路12aの出力は、さらに係数乗算
手段4bに入力され、この係数乗算手段4bの出力は、
加算器8bの第1の加算入力に供給されている。この加
算器8bの出力は、このディジタルフィルタ2aの出力
とされると共に、遅延回路12bによって遅延され、加
算器8bの第2の加算入力に供給され、さらに加算器6
aの第2の減算入力にも供給されている。
【0032】遅延回路12a、12bは、第1の実施の
形態におけるディジタルフィルタ2の遅延回路12と同
様に、複数サンプリング時間に遅延時間が設定可能であ
り、その遅延時間は、遅延時間設定手段26によって設
定される。遅延時間設定手段26は、これに入力された
ピッチ情報に基づいて遅延時間を決定する。また、遅延
回路12a、12bは、遅延回路12と同様にピッチ情
報に応じてサンプリング周期よりも細かい分解能で遅延
時間を設定することもできる。また、この遅延時間によ
って各くし状特性のピークの周波数が設定される。
【0033】係数乗算手段4a、4bは、図3(b)に
示すように、第1の実施の形態における係数乗算手段4
と同一の構成で、ディジタルハイパスフィルタとして機
能する。但し、乗算器22、24に供給されている係数
が、1/3と−1/3であって、この点のみが異なる。
この値は、第1の実施の形態と同様に1/2と−1/2
とすることも可能であるが、実験的にこの値に定めてい
る。
【0034】係数乗算手段4a、4bに供給されている
係数Bが、第1の実施の形態と同様に、各くし状特性の
幅を決定する。また、乗算器50に供給されている係数
Pは、図4に関連して説明したように、ローパスフィル
タにおいてQを設定するパラメータに相当するもので、
くし型フィルタの場合、特開平6−4076号公報に記
載されているように、この値を変化させることによって
通過帯域の形状を変化させることができる。
【0035】これら係数B、Pは、操作子30の操作に
対応して、フィルタ係数供給手段28aが、それぞれ係
数乗算手段4a、4bに係数Bを、乗算器50に係数P
を、それぞれ供給する。
【0036】この第2の実施の形態においても、第1の
実施の形態と同様に各くし状特性の幅が、周波数が高く
なる程に広くなり、かつピッチ情報の揺らぎに応じて各
くし状特性のピークの周波数が変化する。従って、第1
の実施の形態と同様に、歌声と伴奏音との混合信号か
ら、歌声のみを正確に抽出することができる。
【0037】上記の実施の形態では、ディジタルフィル
タとしてくし型フィルタを使用したが、他のフィルタ、
例えばローパスフィルタやハイパスフィルタを使用する
こともできる。
【0038】
【発明の効果】以上のように、請求項1記載の発明によ
れば、ディジタルフィルタ内の係数乗算手段において使
用される係数が、入力される信号の周波数軸上の変化に
従って変化するので、このディジタルフィルタの周波数
特性は、係数が固定されているディジタルフィルタの周
波数特性とは異なったものとなり、係数固定のディジタ
ルフィルタでは得られないような出力を得ることができ
る。
【0039】請求項2記載の発明によれば、くし型ディ
ジタルフィルタのくし状特性の幅が、このディジタルフ
ィルタへ入力される信号の周波数の変化に従って変化す
るので、入力される信号が、その高次倍音になるに従っ
てスペクトルが変化するものであっても、入力される信
号を良好に抽出することができる。
【0040】請求項3記載の発明によれば、ピッチ情報
入力手段により入力されるピッチ情報を混合信号中の所
望の信号に従って変化させると、そのときのピッチ情報
に従ってくし状特性のピーク位置が変化する。また、所
望の信号の周波数が高い周波数に移動すると、くし状特
性の幅も変化する。従って、複数の波形の混合波形か
ら、高次倍音になるほどスペクトルが広がり、かつピッ
チがゆらいでいる波形を、良好に抽出することができ
る。
【0041】請求項4記載の発明による信号抽出装置で
も、請求項3記載の発明と同様に、混合波形から、高次
倍音になるにつれてスペクトルが変化し、かつピッチが
ゆらいでいる波形のみを、良好に抽出することができ
る。また、係数演算手段への係数と遅延手段の遅延時間
の一方または双方を、制御手段によって制御することが
できるので、入力される混合信号の抽出しようとしてい
る波形のピッチの変化に応じて、遅延手段の遅延時間を
変化させたり、或いは使用者の好みに応じて係数演算手
段への係数を変化させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施の形態による信号抽出装置
のブロック図及び同装置に使用する係数乗算手段のブロ
ック図である。
【図2】同信号抽出装置の周波数特性図及び係数乗算手
段の周波数特性図である。
【図3】本発明の第2の実施の形態による信号抽出装置
のブロック図及び同装置に使用する係数乗算手段のブロ
ック図である。
【図4】従来のディジタルフィルタのブロック図であ
る。
【図5】従来のディジタルフィルタの周波数特性図であ
る。
【符号の説明】
2 ディジタルフィルタ 4 係数乗算手段 12 遅延回路

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 音声信号にフィルタ係数を乗算する1つ
    または複数の係数乗算手段と、音声信号を遅延する1つ
    または複数の遅延手段を含むディジタルフィルタにおい
    て、 前記係数乗算手段の少なくとも1つは、これを通過する
    信号の周波数軸上の変化に対応して乗算係数が変化した
    乗算結果を得るように構成したディジタルフィルタ。
  2. 【請求項2】 請求項1記載のディジタルフィルタは、
    くし型フィルタであり、前記係数乗算手段は、くし型フ
    ィルタのくし状特性の幅を決定する係数を乗算するもの
    であって、前記係数乗算手段を通過する信号の周波数軸
    上の変化に対して、くし状特性の幅が変化することを特
    徴とするディジタルフィルタ。
  3. 【請求項3】 ピッチ情報を入力するピッチ情報入力手
    段と、 周波数軸上において周波数が高くなるほど、幅が広くな
    るくし状特性を有し、該くし状特性の周波数軸上のピー
    ク位置が制御可能であるフィルタ手段であって、複数種
    類の信号が混合した波形信号が入力され、前記ピッチ情
    報に従って前記くし状特性の周波数軸上のピーク位置が
    制御されるくし型フィルタ手段と、を有し、前記ピッチ
    情報入力手段により入力された前記ピッチ情報に対応し
    たピッチを有する所望の信号を、前記混合した波形信号
    から抽出することを特徴とする信号抽出装置。
  4. 【請求項4】 請求項3記載の信号抽出装置において、
    前記くし型フィルタ手段は、 入力された信号にフィルタ係数を乗算する1つまたは複
    数の係数乗算手段と、前記信号を遅延する1つまたは複
    数の遅延手段とを、備えたフィルタ演算手段と、 前記ピッチ情報に従って前記遅延手段の遅延時間を制御
    する制御手段とを、備え、 前記係数乗算手段は、くし状特性の幅を決定する係数を
    乗算する係数乗算手段を含み、この係数乗算手段は、周
    波数軸上で周波数が高くなる程、くし状特性の幅が広く
    なる係数乗算演算を行う構成であり、 前記制御手段は、前記遅延時間を制御して、くし状特性
    のピークの位置を制御する信号抽出装置。
JP11345497A 1997-04-14 1997-04-14 くし型ディジタルフィルタ及び信号抽出装置 Expired - Fee Related JP3877833B2 (ja)

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JP2011180417A (ja) * 2010-03-02 2011-09-15 Mitsubishi Electric Corp 音楽音響信号のピッチ推定装置及び方法

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