JP3097379B2 - 効果付与装置 - Google Patents

効果付与装置

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JP3097379B2
JP3097379B2 JP05066066A JP6606693A JP3097379B2 JP 3097379 B2 JP3097379 B2 JP 3097379B2 JP 05066066 A JP05066066 A JP 05066066A JP 6606693 A JP6606693 A JP 6606693A JP 3097379 B2 JP3097379 B2 JP 3097379B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は、楽音信号に音楽的な
効果を付与する効果付与装置に関し、特に、遅延時間変
調(フランジャー)と移相量変調(フェーザー)の組み
合わせによる新しい効果を楽音信号に付与することがで
きる効果付与装置に関する。
【0002】
【従来の技術】従来より、楽音信号に音楽的な効果を付
与する効果付与装置として、遅延時間変調を用いたいわ
ゆるフランジャーと移相量変調を用いたいわゆるフェー
ザーが知られている。
【0003】図9は、フランジャーの構成例を示す。こ
のフランジャーは、加算器91、遅延(ディレイ)回路
92、乗算器94、変調器95、および混合器(ミキ
サ)96を備えている。
【0004】入力楽音信号(以下、「元音」という)
は、加算器91に入力し、加算器91の出力は遅延回路
92に入力する。遅延回路92は、元音を所定時間だけ
遅延して出力する。遅延回路92の出力は、乗算器94
で所定の定数(フィードバック係数)と乗算され、加算
器91へとフィードバックされる。加算器91は、元音
と乗算器94の乗算結果を加算して出力する。混合器9
6は、元音と遅延回路92からの出力信号とのバランス
を調整して加算し、加算結果(効果が付与された楽音信
号)を出力する。
【0005】遅延回路92の遅延時間は、変調器95か
ら出力される変調信号に応じて変調される。遅延回路9
2は、アナログ回路で構成する場合はBBD(Buck
etBrigade Device)などを、ディジタ
ル回路で構成する場合はシフトレジスタやRAM(リー
ドオンリメモリ)などを、用いればよい。
【0006】図10(a)は、元音の周波数fと遅延回
路92の遅延による位相遅れφとの関係を示すグラフ1
01を示す。同図において、横軸は元音の周波数f(た
だし、対数(log)目盛りで表記してあるものとす
る)、縦軸は位相遅れφを示す。遅延回路92の遅延時
間をDとすると、φ=2π・D・fとなり、位相遅れφ
は元音の周波数fに比例する。
【0007】図10(a)において、元音の周波数f=
(1/D)のとき、すなわち遅延回路92の遅延時間D
が元音の周期に一致したときは、位相遅れφ=2πとな
る。同様に、元音の周波数f=(2/D)のときは位相
遅れφ=4π、元音の周波数f=(4/D)のときは位
相遅れφ=8π、…というようになる。
【0008】図10(b)は、上記のように位相が遅れ
た遅延回路92からの出力と元音とを混合器96で混合
した結果の周波数特性を示す。横軸は元音の周波数f
(対数軸)、縦軸は出力の振幅レベルを示す。
【0009】この混合結果の周波数特性においては、遅
延回路92の遅延による位相遅れφが2nπ(n=0,
1,2,3,…)となる位置が山(ピーク)となる。し
たがって、図10(b)の実線のグラフ102に示すよ
うに、周波数fが(1/D),(2/D),(4/D)
などになる位置にピークが出現している。また、遅延回
路92の遅延による位相遅れφが(2n+1)π(n=
0,1,2,3,…)となる位置が谷(ノッチ)とな
る。したがって、図10(b)の実線のグラフ102に
示すように、周波数fが(1/2D),(3/2D)な
どになる位置にノッチが出現している。
【0010】図9の回路では、遅延回路92の出力を、
乗算器94を介して加算器91にフィードバックしてい
る。このようなフィードバックにより、図10(b)の
周波数特性におけるピークが、より強調される。図10
(b)の点線103のグラフは、フィードバック量が大
きいときの周波数特性を示す。周波数fが(1/D),
(2/D),(4/D)などの位置のピークが、より強
調されている。これは、いわゆるコムフィルタと同様の
特性である。
【0011】変調器95により遅延回路92の遅延時間
Dを変調すると、図10(b)の周波数特性は横軸上で
平行移動する。すなわち、図10(b)のグラフは、遅
延時間Dが小さくなると右側へ、遅延時間Dが大きくな
ると左側へ、対数軸である横軸(周波数f軸)上で平行
移動する。これにより、元音の音色変化が生じ、元音に
効果が付与される。
【0012】図11は、フェーザーの構成例を示す。こ
のフェーザーは、加算器111、移相器113、乗算器
114、変調器115、および混合器116を備えてい
る。
【0013】元音は、加算器111に入力し、加算器1
11の出力は移相器113に入力する。移相器113
は、元音の位相を所定量だけシフト(移相)して出力す
る。移相器113の出力は、乗算器114で所定の定数
と乗算され、加算器111へとフィードバックされる。
加算器111は、元音と乗算器114の乗算結果を加算
して出力する。混合器116は、元音と移相器113か
らの出力信号とのバランスを調整して加算し、加算結果
(効果が付与された楽音信号)を出力する。
【0014】移相器113の位相シフト量は、変調器1
15から出力される変調信号に応じて変調される。移相
器113としては、オールパスフィルタがよく用いられ
る。図12は、移相器113として用いられる1次のオ
ールパスフィルタの例である。このような1次のオール
パスフィルタの場合、1段当たり最大πの位相シフト量
しか得られないので、通常は4段あるいは8段というよ
うに多段にカスケード接続して用いる。以下、図11の
移相器113は、図12の1次のオールパスフィルタを
8段カスケード接続したものとして説明する。
【0015】図13(a)は、元音の周波数fと移相器
113による位相遅れφとの関係を示すグラフ131を
示す。同図において、横軸は元音の周波数f(ただし、
対数(log)目盛りで表記してあるものとする)、縦
軸は位相遅れφを示す。
【0016】なお、図12の1次のオールパスフィルタ
において、元音の位相が(π/2)遅れるような周波数
を基準周波数fcと呼ぶこととする。図11の移相器1
13は図12の1次のオールパスフィルタを8段カスケ
ード接続したものであるから、元音の周波数が基準周波
数fcのときは、位相遅れは4πとなる。
【0017】p>0であるpにより1次のオールパスフ
ィルタの伝達関数をT(s)=(s−p)/(s+p)
で表すとき、入力信号の各周波数がp(ラジアン/s)
の位置で位相が(π/2)遅れるから、このpを用いれ
ば基準周波数fcはfc=(p/2π)と表記すること
ができる。
【0018】図13(a)において、元音の周波数f=
fcのとき、すなわち元音の周波数fが移相器113の
基準周波数fcに一致したときは、位相遅れφ=4πと
なる。元音の周波数fが小さくなるにつれて、位相遅れ
φは0に近付く。元音の周波数fが大きくなるにつれ
て、位相遅れφは8πに近付く。
【0019】図13(b)は、上記のように位相が遅れ
た移相器113からの出力と元音とを混合器116で混
合した結果の周波数特性(グラフ132)を示す。横軸
は元音の周波数f(対数軸)、縦軸は出力の振幅レベル
を示す。この図のグラフ132において、移相器113
の遅延による位相遅れφが2π,4π,6πとなる位置
が山(ピーク)となっている。また、移相器113の遅
延による位相遅れφがπ,3π,5π,7πとなる位置
が谷(ノッチ)となっている。
【0020】図11の回路では、移相器113の出力
を、乗算器114を介して加算器111にフィードバッ
クしている。このようなフィードバックにより、図13
(b)の周波数特性におけるピークが、より強調され
る。図13(b)の点線133のグラフは、フィードバ
ック量が大きいときの周波数特性を示す。ピークが、よ
り強調されていることが分かる。
【0021】変調器115により移相器113の基準周
波数を変調する(実際には、オールパスフィルタのパラ
メータを変調して基準周波数fcを変える)と、図13
(b)の周波数特性は横軸上で平行移動する。すなわ
ち、図13(b)のグラフは、基準周波数fcが小さく
なると左側へ、基準周波数fcが大きくなると右側へ、
対数軸である横軸(周波数f軸)上で平行移動する。
【0022】
【発明が解決しようとする課題】ところで、上述したよ
うな図9のフランジャーの場合、図10(b)で説明し
たように、周波数特性におけるピークは調和倍音列とな
る。したがって、ある音名の音だけが強調されやすい。
これは、フィードバック量を多くした場合、特に顕著と
なる。
【0023】また、図10(b)の周波数特性におい
て、低い周波数帯域にまでノッチを位置させるために
は、遅延回路92の遅延時間Dを長くすることが必要で
ある。しかし、遅延時間Dを長くすると、高い周波数帯
域でノッチが多くなり過ぎることとなり、特にフィード
バックを大きくした場合にはインパルス応答が長くなり
耳障りな音となりやすい。
【0024】結局、遅延時間Dが短めのフランジャーで
は、低い周波数での音色変化(効果付与)は余り得られ
ないこととなる。
【0025】一方、上述したような図11のフェーザー
の場合、図13(b)から分かるように、移相器(オー
ルパスフィルタ)113の基準周波数fcを低くすれ
ば、低い周波数帯域にまでノッチを持ってくることがで
き、低い周波数での音色変化を容易に得ることができ
る。しかし、ノッチの数を多くするには、多段のオール
パスフィルタを必要とするため、遅延時間を変えるだけ
で済むフランジャーに比べて高価になってしまう。ま
た、高い周波数帯域では、十分なノッチの数が得られな
いので、フランジャーほどの強烈な効果は得られない。
【0026】この発明は、上述の従来例における問題点
に鑑み、特定の音名が強調されることなく均質な効果付
与を実現でき、また低い周波数帯域から高い周波数帯域
にわたって十分な変調感で効果を付与することができる
効果付与装置を提供することを目的とする。
【0027】
【課題を解決するための手段】この目的を達成するた
め、請求項1に係る発明は、入力楽音信号に対して信号
遅延を行なうことによって高い周波数帯域における変調
効果を上記入力楽音信号に付与するとともに、その位相
をシフトすることによってピーク周波数を非調和倍音へ
ずらすと同時に低い周波数帯域における変調効果を付与
する遅延・移相手段と、上記遅延・移相手段を含むルー
プ回路と、上記ループ回路を循環する信号上記入力楽
音信号とを混合して出力する混合手段と、上記遅延・移
相手段における遅延時間を制御するとともに位相シフト
量を制御する制御手段とを備えたことを特徴とする。
求項2に係る発明は、入力楽音信号に対して信号遅延を
行なうことによって高い周波数帯域における変調効果を
上記入力楽音信号に付与するとともに、その位相をシフ
トすることによってピーク周波数を非調和倍音へずらす
と同時に低い周波数帯域における変調効果を付与する遅
延・移相手段と、上記遅延・移相手段を含むループ回路
と、上記ループ回路を循環する信号と上記入力楽音信号
とを混合して出力する混合手段と、上記ループ回路中に
配置され該ループ回路を循環する信号の位相を反転する
位相反転手段とを備えたことを特徴とする。
【0028】上記遅延・移相手段は、入力楽音信号の遅
延およびその位相のシフト(移相)を実行するものであ
れば、どのようなものでもよい。例えば、遅延回路と移
相器(オールパスフィルタなど)とを直列接続したもの
でよい。入力楽音信号の遅延および移相は、例えば1つ
の変調器から出力される変調信号に応じて行なうとよ
い。
【0029】
【作用】入力楽音信号を遅延させるとともにその位相を
シフトさせるので、ピーク周波数を調和倍音列からずら
すことができる。また、遅延時間変調と位相量変調とを
組み合わせることにより、低い周波数域から高い周波数
域までの範囲で十分な変調感を得ることができる。
【0030】
【実施例】以下、図面を用いて、この発明の実施例を説
明する。
【0031】図1は、この発明の第1の実施例に係る効
果付与装置のブロック構成を示す。この図の装置は、加
算器11、遅延回路12、移相器13、乗算器14、変
調器15、および混合器16を備えている。
【0032】元音は、加算器11に入力し、加算器11
の出力は遅延回路12に入力する。遅延回路12は、元
音を所定時間だけ遅延して出力する。遅延回路12の出
力は、移相器13に入力する。移相器13は、入力信号
の位相を所定量だけシフトして出力する。移相器13の
出力は、乗算器14で所定の定数と乗算され、加算器1
1へとフィードバックされる。
【0033】加算器11は、元音と乗算器14の乗算結
果を加算して出力する。混合器16は、元音と移相器1
3からの出力信号とのバランスを調整して加算し、加算
結果(効果が付与された楽音信号)を出力する。
【0034】遅延回路12の遅延時間および移相器13
の位相シフト量は、変調器15から出力される変調信号
に応じて変調される。遅延回路12は、図9の遅延回路
92と同様のものでよい。移相器13は、通常は図11
の移相器113と同様に1次のオールパスフィルタ(A
PF)を1段から数段カスケード接続したものを用いれ
ばよい。その他、高次のオールパスフィルタやバルクオ
ールパスフィルタ(バルクAPF)などを用いてもよ
い。図2は、移相器113として用いられるのバルクA
PFの例である。
【0035】以下、図1の遅延回路12は、図9の遅延
回路92と同様のもので、図10(a)の位相遅れを有
するものであるとする。また、図1の移相器13は、1
次のオールパスフィルタを1段備えたものであるとす
る。
【0036】図3は、元音の周波数fと遅延回路12お
よび移相器13による位相遅れφとの関係を示すグラフ
である。この図において、横軸は元音の周波数f(ただ
し、対数(log)目盛りで表記してあるものとす
る)、縦軸は位相遅れφを示す。遅延回路12の遅延時
間をDとすると、遅延回路12による位相遅れφは、点
線31のグラフになる。これは、図10(a)のグラフ
101と同じグラフである。
【0037】図3の点線32のグラフは、元音の周波数
fと移相器13による位相遅れφとの関係を示す。移相
器13は、1次のオールパスフィルタ1段であるから、
位相遅れは0〜πである。
【0038】なお、移相器13の基準周波数fcは、f
c=(1/D)であるものとする。したがって、グラフ
32では、元音の周波数f=(1/D)のとき、すなわ
ち元音の周波数fが移相器13の基準周波数fc=(1
/D)に一致したとき、位相遅れφ=(π/2)となっ
ている。元音の周波数fが小さくなるにつれて、位相遅
れφは0に近付く。元音の周波数fが大きくなるにつれ
て、位相遅れφはπに近付く。
【0039】図3の実線33は、遅延回路12による遅
延および移相器13による移相の結果である移相器13
からの出力の位相遅延量を示すグラフである。このグラ
フ33は、点線のグラフ31およびグラフ32を加算し
て得られる。
【0040】図4は、遅延回路12および移相器13で
遅延された出力と元音とを混合器16で混合した結果の
周波数特性を示す。まず、点線のグラフ41は、遅延回
路12のみが設けられ移相器13がなかったとした場合
に、遅延出力と元音とを混合器16で混合した結果の周
波数特性を示す。これは、図10(b)のグラフ102
と同じものである。
【0041】図4の実線のグラフ42は、図1の装置に
おいて遅延回路12および移相器13で遅延された出力
と元音とを混合器16で混合した結果の周波数特性を示
すグラフである。上述したように図3では、移相遅れの
グラフ33をグラフ31(遅延回路による位相遅れ)お
よびグラフ32(移相器による位相遅れ)を加算して得
ている。これに伴い、図4のグラフ42は、遅延回路1
2のみの場合のグラフ41を周波数が低い側へシフトし
たものとなっている。このずれは、移相器13における
移相に伴うものである。
【0042】結果として、グラフ42では、ピークの位
置が調和倍音列からそれぞれずれている。また、ピーク
やノッチは低い周波数側へずれている。このノッチは、
移相器13の基準周波数fcを下げると、より低い周波
数側へずれる。特に、第1番目のノッチ(一番左側)の
周波数は、移相器13の移相量が0〜πであるから、
(1/2D)〜0までの範囲に位置させることができ
る。この帯域は、楽音の基本周波数成分を含むことが多
いから、この帯域におけるノッチ位置の変調は音色変化
に与える効果が非常に大きい。また、高い周波数域で
は、ピークが(1/D)・nから(1/D)・(2n−
1)へずれる。
【0043】通常は、遅延回路12の変調と移相器13
の変調とを組み合わせて用いるとよい。例えば、遅延回
路12による遅延時間が長くなるときに移相器13の基
準周波数を下げる方向で変調すると、全体の遅延量が増
える方向で滑らかに変化する効果を付与できる。
【0044】移相器13は変調せず、固定にしておいて
もよい。そのようにしても、ノッチを低い周波数側へシ
フトする効果はあるから、音色の変化には影響を与え
る。また、移相器13を遅延回路12と逆に変調した場
合(遅延回路12による遅延時間が長くなるときに移相
器13の基準周波数を上げる方向)は、移相器13によ
る効果が少なくなる方向に変調することとなるが、特殊
な効果として有用である。
【0045】次に、この発明の第2の実施例を説明す
る。
【0046】図5は、この発明の第2の実施例に係る効
果付与装置のブロック構成を示す。この図の装置は、加
算器51、遅延回路52、移相器53、乗算器54、変
調器55、混合器56、および位相反転器(インバー
タ)57を備えている。付番51〜56の各部は、図1
の付番11〜16と同様のものであるので、説明を省略
する。移相器53も、図1の移相器13と同様の1次の
オールパスフィルタを1段備えたものであるとする。
【0047】図5の装置と図1の装置との差異は、移相
器53の出力をインバータ57で位相反転していること
である。インバータ57は入力信号を位相反転するが、
これにより入力信号の位相がπだけ遅れると見ることも
できるし、逆に入力信号の位相をπだけ進めたと見るこ
ともできる。以下では、インバータ57により、πだけ
位相が遅れるとして説明する。図3で説明したように、
移相器53(1次のオールパスフィルタ1段)による位
相遅れは0〜πの範囲であるが、この移相器53とイン
バータ57とを組み合わせると、位相遅れはπ〜2πの
範囲となる。
【0048】図6は、第2の実施例における元音の周波
数fと遅延回路52および移相器53とインバータ57
による位相遅れφとの関係を示すグラフである。縦軸と
横軸の意味は、図3と同様である。図6の点線61は、
遅延回路52による位相遅れφを示したグラフで、図3
のグラフ31や図10(a)のグラフ101と同じもの
である。点線62のグラフは、移相器53およびインバ
ータ57による位相遅れφを示す。上述したように、位
相遅れはπ〜2πの範囲にある。グラフ62は、図3の
グラフ32をπだけ下側にずらしたものである。
【0049】なお、第1の実施例と同様に、移相器13
の基準周波数fcは、fc=(1/D)であるものとす
る。
【0050】図6の実線のグラフ63は、遅延回路5
2、移相器53、およびインバータ57による位相遅れ
を示すグラフである。このグラフ63は、点線のグラフ
61およびグラフ62を加算して得られる。
【0051】図7は、遅延回路52、移相器53、およ
びインバータ57で処理された出力と元音とを混合器5
6で混合した結果の周波数特性を示す。まず、点線のグ
ラフ71は、遅延回路52のみが設けられ移相器53と
インバータ57がなかったとした場合に、遅延出力と元
音とを混合した結果の周波数特性を示す。これは、図4
のグラフ41や図10(b)のグラフ102と同じもの
である。
【0052】図7のグラフ72は、図5の装置において
遅延回路52、移相器53、およびインバータ57で処
理された出力と元音とを混合器56で混合した結果の周
波数特性を示すグラフである。上述したように図6で
は、移相遅れを示すグラフ63を、グラフ61(遅延回
路による位相遅れ)およびグラフ62(移相器とインバ
ータによる位相遅れ)を加算して、得ている。これに伴
い、図7のグラフ72は、遅延回路52のみの場合のグ
ラフ71を周波数が低い側へシフトしたものとなってい
る。
【0053】例えば、図7のグラフ71(遅延回路52
のみ)のノッチ73は、グラフ72のノッチ74までず
れている。高い周波数帯域では、ピークやノッチはほと
んど2πずれるので、結果的にはほとんどずれないと見
ることができる。したがって、高い周波数帯域では、従
来のフランジャーと同じ効果が得られる。
【0054】なお、上述したように、インバータ57に
よりπだけ位相が進むと見ることもできるが、その場合
は、高い周波数帯域ではピークやノッチがほとんどずれ
ず、低い周波数帯域ではピークやノッチが高い周波数の
側へずれると見ることとなる。すなわち、図7のグラフ
71のノッチ75が、グラフ72のノッチ74までずれ
たと見ることとなる。
【0055】いずれにしても、この第1番目のノッチ7
4の周波数は、移相器53の基準周波数に応じて、(1
/2D)〜(3/2D)までの範囲に位置させることが
できる。この帯域は、楽音の基本周波数成分を含むこと
が多いから、この帯域におけるノッチ位置の変調は音色
変化に与える効果が非常に大きい。
【0056】また、従来のアナログのフランジャーなど
では直流分(DC)カットのハイパスフィルタ(位相を
進ませる作用を有する)を多用して独特の効果を付与す
るものがあったが、上述したように移相器53とインバ
ータ57により位相を進ませると見ることができるか
ら、図5の装置でもそのようなアナログのフランジャー
と同様の独特の効果を付与することができる。
【0057】なお、第1または第2の実施例において、
移相器は1段のオールパスフィルタを用いたが、1段で
なく多段としてもよい。この場合、段数や極性により周
波数特性のパターンが異なるので、それぞれ特有の効果
を得ることができる。また、オールパスフィルタを主体
とし、遅延回路を補助的に用いるようにしてもよい。
【0058】次に、この発明の第3の実施例を説明す
る。
【0059】第3の実施例は、第1および第2の実施例
を踏まえて、より具体的な構成を明らかにしたものであ
る。図8に、第3の実施例に係る効果付与装置のブロッ
ク構成を示す。
【0060】図8の効果付与装置は、低周波発振器(L
FO)801、ローパスフィルタ(LPF)802、乗
算器803,804、指数変換器805、加算器80
6、乗算器807、加算器808、非線形テーブル80
9、遅延回路810、LPF811、APF812、ハ
イパスフィルタ(HPF)813、乗算器814,81
5,816、および加算器817を備えている。
【0061】LFO801は、付番821に示すような
波形の各サンプル点の振幅値を順次発生する。LFO8
01の出力は、LPF802に入力する。LPF802
は、付番821に示すようなLFO波形のピークなどを
滑らかにするためのものである。
【0062】LPF802の出力は乗算器803に入力
する。乗算器803は、LPF802の出力に深さDE
PTHを乗算する。乗算結果は、指数変換器805によ
り、指数変換され、その結果MODが遅延回路810に
向けて出力される。
【0063】指数関数器805は、付番823に示すよ
うなテーブルを有し、このテーブルに基づいて横軸の入
力に対する縦軸の出力が形成され出力される。これによ
って、付番824に示すような出力が得られる。
【0064】一方、LPF802の出力は、乗算器80
4にも入力する。乗算器804は、LPF802の出力
に振幅調整のための所定値CONを乗算する。乗算結果
は、加算器806に入力する。加算器806は、乗算器
804の出力にオフセットOFを加算し、このオフセッ
ト分だけシフトする。乗算器804および加算器806
によって、加算器806の出力が0〜1の範囲となるよ
うにしている。加算器806の出力は、APF812に
入力する。
【0065】元音は、乗算器807で所定の定数と乗算
され、加算器808に入力する。加算器808の出力
は、非線形テーブル809に入力する。非線形テーブル
809は、付番822に示すような特性のテーブルであ
り、この特性に基づいて横軸の入力に対する縦軸の出力
が形成され出力される。
【0066】後述するように、HPF813の出力は乗
算器814を介して入力側にフィードバックされるが、
このフィードバックにより加算器808の出力がビット
溢れを起こし音が歪む場合がある。そのようなビット溢
れを抑えるために、非線形テーブル809によって、入
力レベルが大きいとき出力レベルを抑えるようにしてい
る。
【0067】非線形テーブル809の出力は、遅延回路
810に入力する。遅延回路810は、元音を所定時間
だけ遅延して出力する。その遅延量は、指数変換器80
5からの出力MODに応じて変調される。出力MOD
は、付番824に示すように、MODの値が大きいとき
に滑らかに変化しMODの値が小さいときに急峻に変化
する。これによって、遅延回路810の周波数特性は、
MODの値が小さく周波数特性が右側へシフトしている
ときは急激に変化(シフト)し、MODの値が大きく周
波数特性が左側へシフトしているときはゆっくりと変化
するので、周波数特性は聴感上リニアに変化することに
なる。遅延回路810の出力は、LPF811に入力す
る。LPF811は、遅延回路810のノッチなどによ
る急激な音色変化を抑えるなどの音色加工用に設けられ
ている。
【0068】LPF811の出力は、APF812に入
力する。APF812は、移相器として作用し、入力信
号の位相を所定量だけシフトして出力する。APF81
2の位相量は、加算器806の出力に基づいて変調され
る。なお、変調用の信号である加算器806の出力が大
きく変化するものであるときは、その加算器806の出
力を対数変換し、その結果を変調用の信号としてAPF
812に入力するようにしてもよい。
【0069】APF812の出力は、HPF813に入
力する。HPF813は、DC成分のカットおよび金属
的な音のカットなどの音色加工用に設けられている。H
PF813の出力は、乗算器814でフィードバック係
数FBと乗算され、加算器808へとフィードバックさ
れる。加算器808は、元音と乗算器814の乗算結果
を加算して出力する。
【0070】HPF813の出力は、乗算器815で所
定の定数WETと乗算され、加算器817に入力する。
また、元音は、乗算器816で所定の定数DRYと乗算
され、加算器817に入力する。乗算器815の出力は
いわゆるウエットと呼ばれ、乗算器816の出力はいわ
ゆるドライと呼ばれる。乗算器815,816は、ウエ
ットとドライとのバランスを調整するために設けられて
いる。加算器817は、乗算器815の出力と乗算器8
16の出力とを加算し、その加算結果(効果が付与され
た楽音信号)を出力する。
【0071】上述した実施例のLFO801の周波数、
DEPTH、CON等の各種係数は図示しない操作子に
よってユーザーが任意に設定するものであるが、予め設
定されていてもよい。
【0072】なお、上述した各実施例の装置は、DSP
(ディジタルシグナルプロセッサ)を用いて実現するこ
ともできる。
【0073】
【発明の効果】以上説明したように、この発明によれ
ば、遅延時間変調と移相量変調とを組み合わせることに
より、以下のような効果を得ることができる。
【0074】周波数特性においてピーク周波数を調和
倍音列からずらすことができるので、特定の音名の音が
強調されることがなく、均質な効果を得ることができ
る。
【0075】従来のフランジャーでは遅延回路の遅延
時間が短い場合には低い周波数帯域においてほとんど変
調感が得られない場合があったが、本発明によれば遅延
とともに移相をも行なうので、十分な変調感を得ること
ができる。
【0076】従来のフェーザーでは高い周波数帯域で
強力な効果を得ることができなかったが、本発明によれ
ば移相とともに遅延を行なっているので、高い周波数帯
域でも従来のフランジャーのような強力な効果を得るこ
とができる。
【0077】遅延回路の遅延時間および移相器の基準
周波数などを変調する仕方あるいはそれぞれの変調の組
み合わせを変えることにより、種々の効果を楽音に付与
することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の第1の実施例に係る効果付与装置の
ブロック構成図
【図2】移相器として用いられるのバルクAPFの例を
示すブロック構成図
【図3】元音の周波数と遅延回路および移相器による位
相遅れとの関係を示す図
【図4】遅延回路および移相器で遅延された出力と元音
とを混合した結果の周波数特性を示す図
【図5】この発明の第2の実施例に係る効果付与装置の
ブロック構成図
【図6】第2の実施例における元音の周波数と遅延回路
および移相器による位相遅れとの関係を示す図
【図7】第2の実施例におけるインバータ出力と元音と
を混合した結果の周波数特性を示す図
【図8】この発明の第3の実施例に係る効果付与装置の
ブロック構成図
【図9】従来のフランジャーの構成例を示すブロック図
【図10】従来のフランジャーにおける遅延回路の遅延
による位相遅れおよび遅延回路からの出力と元音とを混
合した結果の周波数特性を示す図
【図11】従来のフェーザーの構成例を示すブロック図
【図12】移相器として用いられる1次のオールパスフ
ィルタの例を示すブロック図
【図13】従来のフェーザーにおける移相器による位相
遅れおよび移相器からの出力と元音とを混合した結果の
周波数特性を示す図
【符号の説明】
11…加算器、12…遅延回路、13…移相器、14…
乗算器、15…変調器、16…混合器、51…加算器、
52…遅延回路、53…移相器、54…乗算器、55…
変調器、56…混合器、57…位相反転器(インバー
タ)、801…低周波発振器(LFO)、802…ロー
パスフィルタ(LPF)、803,804…乗算器、8
05…指数変換器、806…加算器、807…乗算器、
808…加算器、809…非線形テーブル、810…遅
延回路、811…LPF、812…APF、813…ハ
イパスフィルタ(HPF)、814,815,816…
乗算器、817…加算器。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 昭49−91434(JP,A) 特開 昭56−97395(JP,A) 特開 昭62−187392(JP,A) 特開 平1−321486(JP,A) 特開 平4−96000(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) G10H 1/043

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】入力楽音信号に対して信号遅延を行なう
    とによって高い周波数帯域における変調効果を上記入力
    楽音信号に付与するとともに、その位相をシフトするこ
    とによってピーク周波数を非調和倍音へずらすと同時に
    低い周波数帯域における変調効果を付与する遅延・移相
    手段と、上記遅延・移相手段を含むループ回路と、 上記ループ回路を循環する信号上記入力楽音信号とを
    混合して出力する混合手段と、上記 遅延・移相手段における遅延時間を制御するととも
    に位相シフト量を制御する制御手段とを備えたことを特
    徴とする効果付与装置。
  2. 【請求項2】入力楽音信号に対して信号遅延を行なうこ
    とによって高い周波数帯域における変調効果を上記入力
    楽音信号に付与するとともに、その位相をシフトするこ
    とによってピーク周波数を非調和倍音へずらすと同時に
    低い周波数帯域における変調効果を付与する遅延・移相
    手段と、 上記遅延・移相手段を含むループ回路と、 上記ループ回路を循環する信号と上記入力楽音信号とを
    混合して出力する混合手段と、 上記ループ回路中に配置され該ループ回路を循環する信
    号の位相を反転する位相反転手段とを備えたことを特徴
    とする効果付与装置。
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