JPH10288214A - セルフロッキング剤組成物及びそれを用いたセルフロッキングねじ部材 - Google Patents

セルフロッキング剤組成物及びそれを用いたセルフロッキングねじ部材

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JPH10288214A
JPH10288214A JP13023897A JP13023897A JPH10288214A JP H10288214 A JPH10288214 A JP H10288214A JP 13023897 A JP13023897 A JP 13023897A JP 13023897 A JP13023897 A JP 13023897A JP H10288214 A JPH10288214 A JP H10288214A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 ポリアミド及びまたはコポリアミド粉末をボ
ルトなどのねじ部材に適用する際に作業環境や人体に対
する悪影響が少ないセルフロッキング剤組成物を調整す
ること、またそれを使用したセルフロッキングねじ部材
が従来のセルフロッキングと同等以上の性能を有するこ
と。 【解決手段】 ポリアミド粉末及びまたはコポリアミド
粉末と、イソシアネート化合物とを界面活性剤を用いて
水溶媒中に分散し、ディスパージョン化した水性セルフ
ロッキング剤組成物を調整することにより、また、前記
水性セルフロッキング剤組成物をねじ部材のねじ面の少
なくとも一部に塗布し、加熱融着させたセルフロッキン
グねじ部材により前記課題を解決した。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、鉄等の金属材料に
て作られる金属ねじ部材のねじ面にポリアミドまたはコ
ポリアミドの樹脂層を形成したセルフロッキングねじ部
材及びそれに用いる水性セルフロッキング剤組成物に関
する。詳しくは、ねじ部材の被着ねじ面に前記樹脂を融
着させることにより、ねじ部材の緩み止め(セルフロッ
ク)を行い、また前記ねじ部材にアジャスト機能、シー
リング機能等を持たせることのできるセルフロッキング
ねじ部材及びそれに用いられる水性セルフロッキング剤
組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】従来よりねじ部材の緩み防止策として、
ねじ面に可塑性物質等を装着あるいは融着させることが
既に広く行われている。例えば、本出願人等は既に特公
平4−20093号に見られるようにポリアミド粉末ま
たはコポリアミド粉末及びエポキシ樹脂を有機溶媒中に
分散させたセルフロッキング剤組成物を提案している。
また、特公平5−70005号では、ポリアミドまたは
コポリアミドとエポキシ樹脂及びイソシアネートを含む
セルフロッキング剤を加熱されたねじ部材のねじ面に融
着させることによりセルフロッキングねじ部材を得るこ
とが提案されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】前述の特公平4−20
093号に記載される発明のセルフロッキング剤は、有
機溶媒を使用しているため、このセルフロッキング剤を
ねじ等に塗布する際に溶媒が揮散し、作業環境の悪化及
び局所排気設備の設置によるコストアップ等の問題があ
った。
【0004】また、特公平5−70005号に記載され
る発明では、粉体状のセルフロッキング剤をねじ等に付
着させる際に、ねじ自体を加熱する必要があり、設備が
大がかりとなるといった問題点があった。また、ねじ自
体予め加熱しないためにはやはり溶剤の使用やプライマ
ー等の前処理が必要となり作業工程が複雑になってい
た。
【0005】そこで、本発明の第一の目的とするところ
は、ねじ部材にポリアミド粉末またはコポリアミド粉末
をねじ面に塗布または装着する際に、プライマー処理や
大がかりな加熱装置を使用することなく有機溶媒を使用
したものと同等以上のセルフロッキング効果を得ること
ができるセルフロッキングねじ部材及びセルフロッキン
グ剤組成物を得ることである。また、第二の目的とする
ところは、前記第一の目的を達成するために使用される
セルフロッキング剤組成物に関するもので、水を溶媒と
することにより作業環境の悪化を引き起こすことなく、
局所排気装置等の設備を必要とせず、なおかつ有機溶媒
を使用したもの以上に塗膜のレベリング性に優れたセル
フロッキング剤を得ることにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】ポリアミド粉末及びまた
はコポリアミド粉末と、イソシアネート化合物とを界面
活性剤を用いて水溶媒中に分散し、ディスパージョン化
した水性セルフロッキング剤組成物を調整することによ
り、また、前記水性セルフロッキング剤組成物をねじ部
材のねじ面の少なくとも一部に塗布し、加熱融着させた
セルフロッキングねじ部材により前記課題を解決した。
【0007】本発明に使用するポリアミドまたはコポリ
アミドとしては、例えば6−ナイロン、6,6−ナイロ
ン、6,10−ナイロン、7−ナイロン、8−ナイロ
ン、9−ナイロン、11−ナイロン、12−ナイロン等
の合成ポリアミドまたはこれらの共重合体を使用するこ
とができる。
【0008】ポリアミドまたはコポリアミドの種類の選
定において考慮すべきことは、融点が分解温度よりも比
較的低くて複雑な熱制御を必要とせず加工しやすいこ
と、溶融時においては塗布加工形状を大きく変えない程
度の粘性を有し、被着体ねじ面への適度の広がりをもっ
て密着すること、吸水率が小さく引き裂きに対する抵抗
力が高く、耐衝撃性に優れていること、硬度及び強度が
高く丈夫で弾力性を有すること、耐薬品性、耐摩耗性に
優れ摩擦係数が小さいことなどであり、これらを総合す
ると11−ナイロン、12−ナイロンまたはこれらの共
重合体が好ましく用いられるが、用途に応じてこれら以
外のものを使用することもできる。
【0009】また、これらポリアミドまたはコポリアミ
ドは粉末で用いられるが、好ましくは粉末の粒径として
10〜500pmの範囲のものが適当で、より好ましく
は15〜300μmである。粉末の粒径が10μm未満
の場合は、融着の際ねじ部の表面ではじきが生じ塗膜が
ムラになってしまい、500μmを越える場合は、液状
樹脂をねじ部材に塗布する際、均一な塗膜形成が困難で
ある。
【0010】次に、本発明では前記のポリアミド粉末ま
たはコポリアミド粉末の持つ優れた特性を活かしなから
ねじ等の被着体のねじ面に効果的に密着させるためにイ
ソシアネート化合物が有効である。このイソシアネート
化合物は、例えばトリレンジイソシアネート(TD
I)、ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)、
トリフェニルメタントリイソシネート(TTI)、イソ
シアネート(HMDI)、水添キシレンジイソシアネー
ト(H6XDI)、イソホロンイソシアネート(IPD
I)等が上げられるが、特にこれらに限定されるもので
はない。
【0011】また、上記イソシアネート類は、常温で極
めて活性が高く不安定であるため、例えば水性セルフロ
ッキング剤組成物として長期保存を行う場合などは、イ
ソシアネート基(R−N=C=O)をマスキングし常温
における活性を低下、もしくは消失させたブロックイソ
シアネート化合物用いることが好ましい。上記のマスキ
ングを行うブロック剤には、フェノール、クレゾール等
のフェノール類、ε−カプロラクタムのラクタム類、メ
チルエチルケトオキシム等のオキシム類などが使用可能
で、これらのブロック剤の選択により解離温度(イソシ
アネート基の再活性化温度)を設定することが可能であ
る。また、これらブロックソシアネート化合物は、界面
活性剤等を用いて水溶媒に対し分散性を有することが好
ましい。これらブロックイソシアネートの具体例として
は、武田薬品工業(株)社製の商品名プロミネートシリ
ーズ等が上げられる。また、若干の溶剤の使用が問題と
ならない場合は、MEK等の有機溶剤を含有する日本ポ
リウレタン工業(株)製水系ブロックイソシアネート
(BI−3、14、15、17、20)等の使用も可能
である。
【0012】尚、前記したポリアミド粉またはコポリア
ミド粉とイソシアネート化合物との混合比は、重量比で
前者100重量部に対して後者0.5〜10重量部であ
ることが好ましい。イソシアネート化合物が0.5重量
部より少ないとポリアミド粉またはコポリアミド粉の被
着体のねじ面への融着時の密着性を高めることができ
ず、また、10重量部を越えると融着時に発泡等を生
じ、塗膜の外観および性能の低下を生じる恐れがある。
【0013】本発明は、前記したポリアミド粉末または
コポリアミド粉末を水に分散して使用する際に、これら
を効率よく分散させるために界面活性剤を使用する。本
発明に使用される界面活性剤の種類については、前記ポ
リアミド粉またはコポリアミド粉の被着体のねじ面への
融着に際し悪影響を及ぼすものでなければ良いが、好ま
しくは非イオン系の界面活性剤が、更に好ましくはポリ
オキシエチレン型の非イオン系界面活性剤が適当であ
る。イオン系界面活性剤は水溶液のpHの変化に影響さ
れ易く、ポリアミド粉末またはコポリアミド粉末融着時
に着色、変色を生じやすい。
【0014】前記界面活性剤の種類を具体的に上げる
と、例えば第一工業製薬(株)社製の商品名ノイゲンシ
リーズ等が好ましく上げられる。また、界面活性剤の添
加量は前記したポリアミド粉末またはコポリアミド粉末
100重量部に対して0.1〜5重量部が適当である。
0.1重量部未満であると界面活性剤としての効果が小
さく、また、5重量部より多く添加しても効果が顕著で
なくなり経済的に不利になるばかりか、ねじ部材のねじ
面へのポリアミド粉またはコポリアミド粉の融着時の密
着性を低下させる恐れが生じる。
【0015】次に、前述した各成分を使用して本発明の
水性セルフロッキング剤組成物を調整する方法について
一例を上げて詳述する。 1.蒸留水700重量部に対して界面活性剤を3重量部
と必要に応じて消泡剤を3重量部添加し、撹拌を行い溶
解する。 2.前記溶液にポリアミド粉またはコポリアミド粉を6
00重量部添加し、撹拌して分散する。 3.前記分散液に対してブロックイソシアネート水分散
液(ブロックイソシアネート化合物25%含有)120
重量部を添加、撹拌する。 4.必要に応じて、色剤及び防錆剤を添加する。
【0016】尚、防錆剤は後で詳述する水性セルフロッ
キング剤組成物をねじ部材のねじ面に塗布する際に、被
着体金属の表面が一時的に水性組成物に晒される場合が
あるため、その表面に腐食が発生するのを防ぐために用
いられる。この防錆剤として、例えばアンモニア等を用
いた場合には、水性セルフロッキング剤塗布後の乾燥工
程の時に、アニモニアの揮発により作業環境を悪化した
りするため、また、その他の防錆剤を用いた場合でも塗
膜に悪影響を与える恐れがあるため、その選定は慎重に
行う必要がある。そのような中でもトリエタノールアミ
ンを用いた場合は、無臭で乾燥後に塗膜内に残った場合
でもイソシアネート化合物と反応し、性能等に悪影響を
与えることがないため好適に使用できる。
【0017】このようにして、得られた水性セルフロッ
キング剤組成物をねじ部材のねじ面の少なくとも一部に
塗布し、水を揮発させて乾燥させた後加熱融着させれ
ば、被着体にプライマー処理したもと同等の接着界面が
形成され、被着体(ねじ面)にポリアミドまたはコポリ
アミドが強固に接着し、セルフロッキングねじ部材が得
られる。
【0018】尚、被着体のねじ面の前処理としては水系
洗浄剤や石油系溶剤等による脱脂洗浄を行うことが好ま
しい。また、被着体のねじ部材の材質としては、鉄、
銅、真鍮、ステンレス等の他、クロム、亜鉛、クロメー
ト、ニッケルメッキ処理等されている金属その他のもの
であってもよい。
【0019】次ぎに、本発明のセルフロッキングねじ部
材を製造するときの工程をその各工程毎に詳述する。図
1はセルフロッキングねじ部材を形成する工程例を示す
ブロック図である。ブロック1は、被着体の例えばねじ
部材にセルフロッキング剤を塗布する工程である。ここ
では、例えば実公昭62−23567、同62−235
78、同60−20440、実公平4−27566に開
示されるような塗布装置を用いて塗布することもでき
る。また、本発明のセルフロッキング剤組成物を被着体
のねじ面に塗布または付着させる場合は、被着体自体を
100℃以下であれば加熱してもよい。
【0020】また、本発明のセルフロッキングねじ部材
としては、部材の材質が金属製であってねじ面を有する
ものであればどのようなものでもよく特に限定されな
い。例えば、自動車や機械、建築物等に使用されるの大
型のボルトから、眼鏡や時計、小型の電気機器などに使
用される小型のビスまで、または特殊形状を有する部品
など様々なものに利用できる。
【0021】ブロック2は、被着体のねじ面に水性セル
フロッキング剤が塗布されたねじ部材の乾燥・加熱工程
を示している。乾燥は、室温〜120℃の温度で完全に
水が蒸発するまで行うことが理想である。こうすること
により加熱融着時の樹脂の発泡を防止できる。加熱融着
工程は、180〜300℃の範囲で行い、正確には使用
したポリアミド粉またはコポリアミド粉の種類により、
融解温度及びブロックイソシアネートの解離温度その他
の条件に応じて定める。
【0022】ブロック3は冷却工程である。このような
各工程はそれぞれが独立して設けられてもよいし、例え
ば実公平4−27566に開示されるような塗布装置に
加熱装置や冷却装置を併設して、塗布工程から加熱焼き
付け工程を経て冷却工程までを一度に処理してもよい。
【0023】図2及び図3には、ねじ部材としてボルト
を例にとりセルフロッキングねじ部材の応用例を示し
た。
【0024】図2は、六角ボルト4のねじ部5の一部に
楕円形状のセルフロッキング剤組成物を塗布乾燥後、こ
れを加熱融着することによりねじ部5にナイロン融着部
6を形成させた正面図である。
【0025】図3は、六角穴付きボルト7のねじ部5の
全周に亘って帯状に、セルフロッキング剤組成物を塗布
乾燥後、これを加熱融着することによりねじ部5にポリ
アミドまたはコポリアミド融着部6を形成させたもので
ある。
【0026】図4にセルフロッキング機能の説明図を示
した。これは、ねじ部5にセルフロッキング剤組成物を
施し、ポリアミドまたはコポリアミド融着部6を形成さ
せたボルト8を、母材9の雌ねじにねじ込み板材10を
固定している状態を示す。
【0027】図5は、ねじ部にセルフロッキング剤組成
物を施し、ポリアミドまたはコポリアミド融着部6を形
成させた止めビス11を母材9にねじ込みばね12の力
に抗して、レバー13の位置をビス11の先端で調整位
置決めしている状態を示す。
【0028】図6はシーリング効果の例を示すもので、
容器(例えばオイルパン)14の底面に、ねじ部全周に
帯状のセルフロッキング剤組成物6を施し、ねじ面にポ
リアミドまたはコポリアミドを加熱融着させた六角穴付
きボルト7をねじ込み、オイル等液体のシーリング効果
を果たしている例である。被シール流体は液体に限定さ
れるものではなく空気等気体でも適用できる。図6から
も理解できるように、例えば水道蛇口等のねじ部に常用
されているシールテープを用いることなくセルフロッキ
ングねじ部材を適用することもできる。
【0029】
【発明の実施の形態】以下、この発明の実施例を示す。
表1に示す配合にて実施例1〜7及び比較例1のセルフ
ロッキング剤組成物を調整した。
【0030】
【表1】
【0031】
【実施例1】精製水100重量部、界面活性剤0.5重
量部(ノイゲンET−115 第一工業製薬(株)社
製)、消泡剤0.5重量部(デフォーマー5013 サ
ンノプコ(株)社製)、ブロックイソシアネート20重
量部(プロミネートXC−929C 武田薬品工業
(株)社製 ブロックイソシアネート化合物25%含
有)、ナイロン12 100重量部(リルサンパウダー
2002D 日本リルサン社製平均粒径18〜22μ
m)よりセルフロッキング剤を調整した。
【0032】
【実施例2】精製水100重量部、界面活性剤0.5重
量部(ノイゲンET−115 第一工業製薬(株)社
製)、消泡剤0.5重量部(デフォーマー5013 サ
ンノプコ(株)社製)、ブロックイソシアネート20重
量部(プロミネートXC−929C 武田薬品工業
(株)社製 ブロックイソシアネート化合物25%含
有)、ナイロン11 100重量部(リルサンパウダー
D−30 日本リルサン社製平均粒径30μm)よりセ
ルフロッキング剤を調整した。
【0033】
【比較例1】前記実施例2からブロックイソシアネート
を除き、その他は同様に調整を行った。
【0034】
【実施例3】前記実施例2からブロックイシソアネート
を100重量部に増量し、その他は同様に調整を行っ
た。
【0035】
【実施例4】前記実施例2のノニオン系界面活性剤(ノ
イゲンET−115)をカチオン系界面活性剤(花王
(株)社製ベレックスNBペースト)に換え、ナイロン
を分散するのに充分な量である10重量部添加し、その
他は同様に調整を行った。
【0036】
【実施例5】前記実施例2のノニオン系界面活性剤(ノ
イゲンET−115)を10重量部に増量し、その他は
同様に調整した。
【0037】
【実施例6】前記実施例1のポリアミド粉末の粒径を平
均粒径5〜7μmのものに換え、その他は同様の調整を
行った。
【0038】
【実施例7】前記実施例2に防錆剤としてトリエタノー
ルアミンを3部添加し、その他は同様の調整を行った。
【0039】
【セルフロッキング効果の評価試験】実施例1〜7及び
比較例1により得られたセルフロッキング剤をJIS2
級のM10のボルト(ZnCrメッキ)に、ディッピン
グ(浸漬)によりねじ部の全周に帯状にコーティング
し、100℃×10minの乾燥後、次いで220℃×
20minの条件で加熱融着し、自然冷却してセルフロ
ッキングねじ部材を作成し、評価試験を行った。評価試
験は、JASO F 106−87に準じ、n=5で行
い1回目のねじ込みトルク及び1回目から5回目の戻し
トルクを測定しその平均値を示す。また、融着後の外
観、試験後の樹脂の剥がれの有無についても確認する。
その結果を表2に示す。
【0040】
【参考例】また、参考例として実施例1〜7及び比較例
1に用いたのと同様のボルトにプライマー処理を行った
後(エピコート1007/γ−アミノプロピルトリメト
キシシラン/メチルエチルケトン=9/1/90)、
6,6−ナイロンを280℃×20min加熱融着し
て、セルフロッキングねじ部材を作成した。その結果も
表2に併せて示す。
【0041】
【表2】
【0042】
【トリエタノールアミンの防錆剤としての評価】実施例
1〜7及び比較例1で調整したセルフロッキング剤組成
物を、前記セルフロッキング剤の評価試験のJIS2級
のM10のZnCrメッキのボルトを鉄生地に換え、デ
ィッピング(浸漬)によりねじ部の全周に帯状にコーテ
ィングし、24時間室温で乾燥した。
【0043】
【結果】実施例1〜6及び比較例1については錆の発生
が確認されたか、実施例7については錆の発生は確認さ
れなかった。また、乾燥工程中臭いの発生もなかった。
【0044】
【発明の効果】本発明の水性セルフロッキング剤組成物
は、溶媒が水で基本的に有機溶剤を含まないため、有機
溶剤を使用したものに比べてねじ面へ塗布した際のねじ
面へのレベリング性が高く、また環境及び人体に対する
悪影響がほとんどない。さらに、局所排気設備、防爆設
備等の設置を必要としないことから、製造コストを低く
抑えられる。
【0045】また、本発明の水性セルフロッキング剤組
成物は、ポリアミド粉末またはコポリアミド粉末を水溶
媒に分散させディスパージョン化したので、被着体のね
じ面に塗布した際にも比較的早い水溶媒の揮発性すなわ
ち乾燥性を有するため、量産性に優れる。また、水性セ
ルフロッキング剤組成物中に防錆剤を含有する系では被
着体金属表面の腐食を防止でき、加えて、防錆剤として
トリエタノールアミンを選択すると乾燥工程中の悪臭も
防止できる。
【0046】本発明の水性セルフロッキング剤をねじ部
材のねじ面に適用したセルフロッキング部材は、プライ
マー処理したものと比べ同等以上に強固に接着し、セル
フロックまたはシーリング機能を有するポリアミド及び
またはコポリアミド融着部を形成させることができる。
【0047】そして、前記セルフロッキング剤を施して
成るセルフロッキングねじ部材は、セルフロッキング機
能、アジャスト機能、或いはシール機能を有し、自動
車、オートバイ、自転車、車軸、家庭用電気機器、住宅
機器、通信機、建設機器、造船、包装機器、水道部品そ
の他の機械、装置類の各種ねじ部品に幅広く適用でき
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のセルフロッキングねじ部材の製造工程
を示すブロック図である。
【図2】本発明を六角ボルトに応用した例を示す図であ
る。
【図3】本発明を六角穴あきボルトに応用した例を示す
図である。
【図4】本発明のセルフロッキング機能を説明した図で
ある。
【図5】本発明のセルフロッキング部材の用途例を示し
た図である。
【図6】本発明のセルフロッキング部材の用途例を示し
た図である
【符号の説明】
5 ねじ部材のねじ部(ねじ面) 6 ポリアミド及びまたはコポリアミドの融着部

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ポリアミド粉末及びまたはコポリアミド
    粉末と、イソシアネート化合物と、界面活性剤とを水溶
    媒中に分散し、ディスパージョン化したことを特徴とす
    る水性セルフロッキング剤組成物。
  2. 【請求項2】 前記ポリアミド粉末及びまたはコポリア
    ミド粉末の粒径が10〜500μmである請求項1記載
    の水性セルフロッキング剤組成物。
  3. 【請求項3】 前記ポリアミド粉末及びまたはコポリア
    ミド粉末が、11ナイロン、12ナイロンまたはこれら
    の共重合体の、単独または混合物である請求項2記載の
    水性セルフロッキング剤組成物。
  4. 【請求項4】 前記イソシアネート化合物が、分子末端
    のイソシアネート基(R−N=C=O)をフェノール
    類、オキシム類、ε−カプロラクタム等でマスキングし
    たブロックイソシアネート化合物である請求項1記載の
    水性セルフロッキング剤組成物。
  5. 【請求項5】 前記界面活性剤が、非イオン系面活性剤
    である請求項1記載の水性セルフロッキング剤組成物。
  6. 【請求項6】 前記界面活性剤が、ポリオキシエチレン
    型の非イオン系界面活性剤である請求項5記載の水性セ
    ルフロッキング剤組成物。
  7. 【請求項7】 ポリアミド粉末及びまたはコポリアミド
    粉末とイソシアネート化合物と界面活性剤を水溶媒中に
    分散し、ディスパージョン化した水性セルフロッキング
    剤組成物をねじ部材のねじ面の少なくとも一部に塗布
    し、加熱融着させることを特徴とするセルフロッキング
    ねじ部材。
  8. 【請求項8】 粒径10〜500μmのポリアミド粉末
    及びまたはコポリアミド粉末とイソシアネート化合物と
    界面活性剤を水溶媒中に分散し、ディスパージョン化し
    た水性セルフロッキング剤組成物をねじ部材のねじ面の
    少なくとも一部に塗布し、水溶媒を揮発させた後加熱融
    着させる請求項7記載のセルフロッキングねじ部材。
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