JP2993860B2 - 亜鉛系被覆鋼及び無被覆鋼用防錆組成物並びに防錆処理方法 - Google Patents

亜鉛系被覆鋼及び無被覆鋼用防錆組成物並びに防錆処理方法

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、亜鉛系被覆鋼及び無被
覆鋼用防錆組成物に関し、更に詳しくは、亜鉛系被覆鋼
及び無被覆鋼の一次防錆処理又は塗装前処理に使用され
る非クロメート系の塗布型防錆組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】鋼表面に亜鉛を含む金属をメッキ又は溶
射により被覆した亜鉛系被覆鋼、及び、上記被覆を施さ
ない無被覆鋼の一次防錆処理又は塗装前処理には、従来
からクロムイオンを含有するクロメート系処理剤が広く
用いられている。上記クロメート系処理剤としては、例
えば、特開平5−279867号公報には、クロムイオ
ン(Cr6+、Cr3+)と水分散性樹脂からなる塗布型ク
ロメート系処理剤が開示されている。しかし、上記クロ
メート系処理剤は、有毒なクロムイオンを含有している
ため、無公害化するための排水処理のコストアップ、作
業環境における人体への悪影響等の問題があり、また、
処理剤により形成されるクロメート被膜を含む製品から
のクロム溶出による環境汚染等のおそれもある。
【0003】上記欠点を解決する方法として、クロムを
含有しない防錆処理剤又は防錆処理方法の開発が考えら
れる。このようなものとして、特公平5−37234号
公報には、硫化水素ガス又は硫化水素ガスを溶解させた
水溶液と亜鉛メッキ鋼板又は無被覆鋼板とを接触させ、
その後塗装する防錆処理方法が開示されている。特公平
5−38790号公報には、マンガン、鉄、ニッケル、
コバルト等の金属硫化物であって、特定の範囲の溶解度
積を有するものを含有する防錆用被覆組成物が開示され
ている。また、特公平5−76552号公報には、硫化
水素と反応しうる金属表面に塗装膜を形成後、硫化水素
を含有する水溶液又は硫化水素を含有する水蒸気を塗装
金属と接触させて、塗装膜下面に金属硫化物を生成させ
る防錆処理方法が開示されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかし、硫化水素ガス
又は硫化水素ガスを溶解させた水溶液を用いて塗装下地
の防錆処理を行う方法は、硫化物層を形成させるに際し
て、直接硫化水素ガスと金属表面とを接触させるので、
有害な硫化水素ガスが環境中に漏れやすく工業的な利用
は困難であった。また、金属硫化物を含有する防錆用被
覆組成物は、金属表面に塗布して使用されるが、塗布後
相当期間が経過して塗膜中に水分が浸入したときか又は
腐食したときに、組成物中に含有される金属硫化物が一
部溶解して金属表面に硫化物層を形成するものであるた
め、塗膜形成時に積極的に硫化物層を形成させる方法に
比べ、防錆力、耐剥離性に劣っていた。更に、硫化水素
を含有する水溶液又は硫化水素を含有する水蒸気を接触
させて塗装金属の防錆処理を行う方法は、作業中に硫化
水素ガスが発生しやすく、作業環境における人体への悪
影響等の問題があった。
【0005】本発明は、上記状況に鑑みてなされたもの
であり、クロメート系処理剤と同等以上の優れた防錆力
を有し、耐剥離性に優れた非クロメート系の塗装型防錆
組成物であって、特に亜鉛系被覆鋼及び無被覆鋼に好適
に用い得るものを提供すること、並びに、それを用いた
工業的に容易に利用可能な防錆処理方法を提供すること
を目的とするものである。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明の要旨は、亜鉛系
被覆鋼及び無被覆鋼用防錆組成物を、水性樹脂1〜80
重量部及び水99〜20重量部からなる溶液に、硫化物
イオンを0.1〜10000ppm含有させ、pHを7
以上とするところにある。以下に本発明を詳述する。
【0007】本発明においては、水性樹脂及び水からな
る溶液に硫化物イオンを含有させる。水性樹脂は、塗膜
を形成して亜鉛又は鉄の硫化物層の耐久性を高め、防錆
力を向上させるので、本発明の亜鉛系被覆鋼及び無被覆
鋼用防錆組成物の構成要件の1つとなる。上記水性樹脂
としては、pH7以上で水に溶解又は分散するものであ
れば特に限定されず、例えば、ポリオレフィン樹脂、ポ
リウレタン樹脂、ポリエステル樹脂、アクリル樹脂、エ
ポキシ樹脂、アルキド樹脂等を挙げることができる。こ
れらのうち、ポリオレフィン樹脂が好ましく、なかで
も、防錆性の点で、カルボン酸変性されたポリエチレン
が特に好ましい。
【0008】上記水性樹脂及び水からなる溶液中の水性
樹脂及び水の配合割合は、水性樹脂1〜80重量部、水
99〜20重量部である。水性樹脂が1重量部未満であ
り、水が99重量部を超えると、防錆組成物塗膜の膜厚
が充分とならず防錆力が不足し、水性樹脂が80重量部
を超え、水が20重量部未満であると、防錆組成物塗膜
の膜厚が大きくなりすぎ、また、含有する硫化物の水へ
の溶解量が少なすぎるので、上記範囲に限定される。好
ましくは水性樹脂10〜40重量部、水90〜60重量
部である。
【0009】上記硫化物イオンは、HS- 又はS2-であ
る。上記硫化物イオンの供給源としては、水性樹脂及び
水からなる溶液中に、0.1ppm以上の硫化物イオン
を溶解させ得る水可溶性硫化物であれば特に限定され
ず、例えば、硫化ナトリウム(Na2 S)、硫化カリウ
ム(K2 S)、硫化アンモニウム((NH4 2 S)、
硫化水素アンモニウム(NH4 HS)、硫化カルシウム
(CaS)、硫化ストロンチウム(SrS)、硫化アル
ミニウム(Al2 3 )、硫化バリウム(BaS)、硫
化ゲルマニウム(GeS)、硫化マンガン(MnS)、
硫化ランタン(La2 3 )等を挙げることができる。
これらのうち、硫化マンガン(MnS)、硫化アンモニ
ウム((NH4 2 S)、硫化水素アンモニウム(NH
4 HS)が好ましい。これらは、単独で使用されてもよ
く、2種以上が併用されてもよい。
【0010】上記硫化物イオンの含有濃度は、水性樹脂
及び水からなる溶液中0.1〜10000ppmであ
る。0.1ppm未満であると、防錆組成物の塗布乾燥
時に亜鉛系被覆鋼表面又は無被覆鋼表面と防錆組成物塗
膜との界面に、均一な亜鉛又は鉄の硫化物層を形成でき
ず、10000ppmを超えると、防錆組成物塗膜中
に、水可溶性物が過剰に残存して透水性が増大しブリス
ター(ふくれ)の発生等による防錆力の低下が生じ、ま
た、硫化物特有の臭気が問題となるので、上記範囲に限
定される。好ましくは1〜1000ppmである。
【0011】本発明の亜鉛系被覆鋼及び無被覆鋼用防錆
組成物の水素イオン濃度は、pH7以上である。pH7
未満であると、含有する硫化物から硫化水素が発生して
悪臭を放ち、また、水に分散した水性樹脂がゲル化する
おそれがあるので、上記範囲に限定される。好ましくは
pH8〜pH12である。pH調整は、例えば、アンモ
ニア水又はその他のアミン系化合物;水酸化リチウム、
水酸化カリウム、水酸化ナトリウム等の金属水酸化物等
を用いて行うことができる。
【0012】本発明においては、上記硫化物イオンに加
えて、更に、難溶性硫化物の粒子を水性樹脂及び水から
なる溶液中に分散させるのが好ましい。難溶性硫化物
は、腐食環境下で防錆組成物塗膜中に水分が浸入した場
合、硫化物イオンを徐々に放出し、被塗物と防錆組成物
塗膜との界面の亜鉛又は鉄の硫化物層を補修するので、
本発明の目的達成をより確実にする。上記難溶性硫化物
としては、水溶液中で硫化物イオンを解離するものであ
れば特に限定されず、例えば、硫化マンガン(Mn
2 )、硫化モリブデン(MoS2 、Mo2 5 、Mo
3 、MoS4 )、硫化鉄(FeS、FeS2 、Fe2
3 )、硫化バナジウム(VS4 、V2 5 、V
2 3 )、硫化ニッケル(NiS)、硫化ランタン(L
2 3 )、硫化アンチモン(Sb2 3 )、硫化ビス
マス(BiS、Bi2 3 )等を挙げることができる。
【0013】上記難溶性硫化物の添加量は、水性樹脂1
00重量部に対して2.5〜200重量部である。2.
5重量部未満であると、硫化物イオンの供給が少なすぎ
て亜鉛又は鉄の硫化物層を充分補修することができず、
200重量部を超えると、難溶性硫化物の量が過剰とな
り透水性が増大して防錆力が低下するので、上記範囲に
限定される。好ましくは5〜50重量部である。
【0014】本発明においては、上記水性樹脂及び水か
らなる溶液に硫化物イオンを含有させたもの、又は、上
記水性樹脂及び水からなる溶液に硫化物イオン及び難溶
性硫化物の粒子を含有させたものに、更に、りん酸イオ
ンを含有させることがより好ましい。上記りん酸イオン
の供給源としては特に限定されず、例えば、りん酸(H
3 PO4 )、りん酸ナトリウム(Na3 PO4 )、りん
酸一水素ナトリウム(Na2 HPO4 )、りん酸二水素
ナトリウム(NaH2 PO4 )、りん酸カリウム(K3
PO4 )、りん酸一水素カリウム(K2 HPO4 )、り
ん酸二水素カリウム(KH2 PO4 )、りん酸アンモニ
ウム((NH4 3 PO4 )、りん酸一水素アンモニウ
ム((NH4 2 HPO4 )、りん酸二水素アンモニウ
ム((NH4 )H2 PO4 )等を挙げることができ、更
に、りん酸ヒドラジニウム等のりん酸の低分子アミン
塩、りん酸エチル等の比較的低分子のりん酸エステル等
を挙げることができる。これらのうち、りん酸アンモニ
ウム((NH4 3 PO4 )、りん酸一水素アンモニウ
ム((NH4 2 HPO4 )、りん酸二水素アンモニウ
ム((NH4 )H2 PO4 )等の揮発性塩基との塩;り
ん酸ヒドラジニウム等のりん酸の低分子アミン塩が好ま
しい。
【0015】上記りん酸イオンの含有量は、500〜5
000ppmである。りん酸イオンの含有量が500p
pm未満であると、亜鉛系被覆鋼又は無被覆鋼と塗膜と
の界面におけるりん酸亜鉛層又はりん酸鉄層等の形成が
不充分となり、硫化物イオンにより形成される硫化亜鉛
層等の防錆性を補充する効果がなくなる。りん酸イオン
の含有量が5000ppmを超えると塗膜中の電解質量
が増大し塗膜の透水性が増すので、塩水噴霧試験性や耐
水性の低下を引き起こす。また、過剰のりん酸イオンの
添加は、防錆組成物中において、経時的に水性樹脂をゲ
ル化させるので、防錆組成物の貯蔵安定性を悪化させ
る。好ましくは1000〜5000ppmである。
【0016】本発明の亜鉛系被覆鋼及び無被覆鋼用防錆
組成物には、更に、他の成分が配合されていてもよい。
上記他の成分としては、例えば、シリカ粒子、顔料、界
面活性剤等を挙げることができる。また、本発明におい
ては、水性樹脂と難溶性硫化物粒子又は顔料との親和性
の向上、水性樹脂と亜鉛又は鉄の硫化物層若しくはりん
酸塩層との密着性の向上等のために、シランカップリン
グ剤が配合されていてもよい。
【0017】上記シリカ粒子は、防錆力、耐擦傷性、塗
装密着性等の改善剤として用いられる。上記シリカ粒子
としては、ナトリウム等の不純物が少なく、弱アルカリ
系のものであれば特に限定されず、例えば、スノーテッ
クスN(日産化学工業社製)、アデライトAT−20N
(旭電化工業社製)等の市販のシリカゾル;市販のアエ
ロジル粉末シリカ粒子等を挙げることができる。上記シ
リカ粒子の粒径は、10〜20mμが好ましい。
【0018】上記顔料としては、例えば、酸化チタン
(TiO2 )、酸化亜鉛(ZnO)、酸化ジルコニウム
(ZrO)、炭酸カルシウム(CaCO3 )、硫酸バリ
ウム(BaSO4 )、アルミナ(Al2 3 )、カオリ
ンクレー、カーボンブラック、酸化鉄(Fe2 3 、F
3 4 )等の無機顔料;有機顔料等の各種着色顔料等
を挙げることができる。上記シランカップリング剤とし
ては、例えば、γ−アミノプロピルトリメトキシシラ
ン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、γ−グリ
シドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−メタクリロ
キシプロピルトリメトキシシラン、N−[2−(ビニル
ベンジルアミノ)エチル]−3−アミノプロピルトリメ
トキシシラン等を挙げることができる。
【0019】水性樹脂の造膜性を向上させ、より均一で
平滑な塗膜を形成するために、溶剤を用いてもよい。上
記溶剤としては、塗料に一般的に用いられるものであれ
ば特に限定されず、例えば、アルコール系、ケトン系、
エステル系、エーテル系のもの等を挙げることができ
る。
【0020】本発明の亜鉛系被覆鋼及び無被覆鋼用防錆
組成物は、亜鉛系被覆鋼、又は、亜鉛系被覆等を施さな
い無被覆鋼の防錆処理に使用することができる。上記防
錆処理は、上記亜鉛系被覆鋼及び無被覆鋼用防錆組成物
を被塗物に塗布し、塗布後に被塗物を熱風で加熱し、乾
燥させる方法であってもよく、予め被塗物を加熱し、そ
の後上記亜鉛系被覆鋼及び無被覆鋼用防錆組成物を熱時
塗布し、乾燥させる方法であってもよい。上記加熱の温
度は、上記いずれの方法であっても、50〜250℃で
ある。50℃未満であると、防錆力が不足し、250℃
を超えると、硫化物が分解して防錆力が不足するので、
上記範囲に限定される。好ましくは70〜100℃であ
る。塗布後に被塗物を熱風で加熱し、乾燥させる場合、
乾燥の時間は、1秒〜5分が好ましい。
【0021】上記防錆処理において、上記亜鉛系被覆鋼
及び無被覆鋼用防錆組成物の塗布膜厚は、乾燥膜厚が
0.1μm以上であることが好ましい。0.1μm未満
であると、防錆力が不足する。乾燥膜厚が厚すぎると、
塗装前処理としては不経済であり、塗装にも不都合であ
るので、より好ましくは0.1〜20μmである。更に
好ましくは0.1〜〜10μmである。上記防錆処理に
おいて、上記亜鉛系被覆鋼及び無被覆鋼用防錆組成物の
塗布方法は特に限定されず、一般に使用されるロールコ
ート、エアスプレー、エアレススプレー、浸漬等の方法
により塗布することができる。
【0022】
【作用】本発明の亜鉛系被覆鋼及び無被覆鋼用防錆組成
物は、塗布することにより被塗物の表面に硫化物層を形
成する。一般に、鉄や亜鉛等の金属の硫化物は安定性が
大きく、例えば、鉄は天然では黄鉄鉱として存在してお
り、亜鉛は90%以上が閃亜鉛鉱として産出される等、
長期にわたって変質することがない。また、溶解度積か
らもわかるとおり、極めて水に溶けにくい。更に、実験
によっても、鉄や亜鉛等の金属の硫化物の安定性は確か
められ、例えば、亜鉛メッキ鋼板表面を硫化処理により
硫化亜鉛に変えたものについて、腐食電流密度を測定す
ると、未処理の場合の10%以下であり、クロメート系
処理剤による腐食抑制効果と同等以上の防錆効果がある
ことが判明した。このため、本発明の亜鉛系被覆鋼及び
無被覆鋼用防錆組成物を亜鉛系被覆鋼又は無被覆鋼に使
用して防錆処理をすると、含有する硫化物イオンの作用
により鉄又は亜鉛の硫化物層が生成し、極めて安定な防
錆層が形成される。また、防錆処理において硫化水素ガ
ス又はその水溶液を使用する必要がなく、安全である。
【0023】本発明の亜鉛系被覆鋼及び無被覆鋼用防錆
組成物は、更に、りん酸イオンを含有することができ
る。りん酸イオンも亜鉛系被覆鋼又は無被覆鋼と反応し
て、水に不溶のりん酸亜鉛、りん酸鉄等のりん酸塩を形
成する性質を有するので、硫化物層が未形成である金属
素地の部分を補修して、硫化物イオンによる効果と相乗
的に防錆効果を発揮する。このようなりん酸塩は、中
性、アルカリ性環境下では、硫化物に比べて安定性に劣
るが、酸性環境下では、硫化物よりも安定である。従っ
て、腐食環境下でのアノード部位等の酸性環境下におい
て、被塗物と塗膜との界面に濃化溶出したりん酸イオン
と亜鉛、鉄等の金属とが反応して、安定なりん酸塩層を
形成することによって、防錆効果を更に高めることがで
きる。
【0024】
【実施例】以下に実施例を掲げて本発明をさらに詳しく
説明するが、本発明はこれら実施例にのみ限定されるも
のではない。
【0025】実施例1 水性樹脂としてポリエチレン系樹脂エマルジョン20重
量%を、水80重量%と混合した。水可溶性硫化物とし
て硫化ナトリウム(Na2 S)を用い、濃度2.4pp
m(硫化物イオン濃度として1ppm)となるように上
記混合溶液に溶解し、pH9.0となるように調整して
防錆組成物を得た。得られた防錆組成物を、予め板温が
80℃になるよう加熱した市販の溶融亜鉛メッキ鋼板
(70×150×2.3mm)に、バーコート(#5)
で、乾燥膜厚が4〜5μmとなるように塗布した。
【0026】防錆組成物を塗布し、乾燥した溶融亜鉛メ
ッキ鋼板を、下記項目について評価した。結果を表1に
示した。 (1)塩水噴霧試験(ソルトスプレーテスト。以下「S
ST」という) 5%食塩水を35℃で防錆組成物塗布面に噴霧し、24
時間後の白錆の程度を5点満点で評価した。 (2)耐水試験 室温で水道水に1週間浸漬後、表面の白化の程度を5点
満点で評価した。
【0027】実施例2〜11 表1に示す水可溶性硫化物を、表1に示す濃度で使用
し、表1に示すpHに調整したこと以外は、実施例1と
同様にして防錆組成物を得、塗布、乾燥し、評価した。
結果を表1に示した。
【0028】比較例1 水可溶性硫化物を用いなかったこと以外は、実施例1と
同様にして防錆組成物を得、塗布、乾燥し、評価した。
結果を表1に示した。
【0029】比較例2〜3 水可溶性硫化物として硫化ナトリウム(Na2 S)を、
表1に示す濃度で使用し、表1に示すpHに調整したこ
と以外は、実施例1と同様にして防錆組成物を得、塗
布、乾燥し、評価した。結果を表1に示した。
【0030】比較例4 水可溶性硫化物の代わりに、ストロンチウムクロメート
を樹脂100重量部に対して5.0重量部使用し、表1
に示すpHに調整したこと以外は、実施例1と同様にし
て防錆組成物を得、塗布、乾燥し、評価した。結果を表
1に示した。
【0031】実施例12〜20、比較例5〜6 難溶性硫化物として、表2に示す難溶性硫化物を、表2
に示す添加量で分散させ、表2に示すpHに調整したこ
と以外は、実施例1と同様にして防錆組成物を得、塗
布、乾燥し、評価した。結果を表2に示した。
【0032】実施例21〜25、比較例7、8 表3に示す水可溶性硫化物を、表3に示す濃度で使用
し、難溶性硫化物として、表3に示す難溶性硫化物を、
表3に示す添加量で分散させ、更に、りん酸アンモニウ
ム((NH4 3 PO4 )を、りん酸イオン濃度が表3
に示す濃度になるように添加し、表3に示すpHに調整
したこと以外は、実施例1と同様にして防錆組成物を
得、塗布、乾燥し、評価した。結果を表3に示した。た
だし、SSTは、48時間後の白錆の程度を5点満点で
評価した。
【0033】比較例9 水可溶性硫化物、難溶性硫化物代及びりん酸アンモニウ
ム((NH4 3 PO4 )を使用せず、代わりに、スト
ロンチウムクロメートを樹脂100重量部に対して5.
0重量部使用し、表3に示すpHに調整したこと以外
は、実施例1と同様にして防錆組成物を得、塗布、乾燥
し、評価した。結果を表3に示した。ただし、SST
は、48時間後の白錆の程度を5点満点で評価した。
【0034】
【表1】
【0035】
【表2】
【0036】
【表3】
【0037】
【発明の効果】本発明によれば、上述の構成としたの
で、有害なクロムを使用することがなく、しかも、クロ
メート系処理剤と同等以上の優れた防錆力を有し、耐剥
離性に優れた亜鉛系被覆鋼及び無被覆鋼用防錆組成物を
提供することができる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 FI C09D 5/00 C09D 5/00 // C23C 22/60 C23C 22/60 22/68 22/68 (72)発明者 寺岡 美香 大阪府寝屋川市池田中町19番17号 日本 ペイント株式会社内 (56)参考文献 特開 昭63−66266(JP,A) 特開 平5−140480(JP,A) 特開 平7−145349(JP,A) 特開 平6−93213(JP,A) 特開 昭60−13080(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) C09D 5/08 B05D 7/14 B05D 7/24 C08K 3/30 C08L 101/14 C09D 5/00 C23C 22/60 C23C 22/68

Claims (5)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 水性樹脂1〜80重量部及び水99〜2
    0重量部からなる溶液に、硫化物イオンを0.1〜10
    000ppm含有させてなるpH7以上であることを特
    徴とする亜鉛系被覆鋼及び無被覆鋼用防錆組成物。
  2. 【請求項2】 請求項1記載の亜鉛系被覆鋼及び無被覆
    鋼用防錆組成物に、難溶性の硫化物を水性樹脂100重
    量部に対して2.5〜200重量部分散させてなること
    を特徴とする亜鉛系被覆鋼及び無被覆鋼用防錆組成物。
  3. 【請求項3】 請求項1記載の亜鉛系被覆鋼及び無被覆
    鋼用防錆組成物に、りん酸イオンを500〜5000p
    pm含有させてなることを特徴とする亜鉛系被覆鋼及び
    無被覆鋼用防錆組成物。
  4. 【請求項4】 請求項2記載の亜鉛系被覆鋼及び無被覆
    鋼用防錆組成物に、りん酸イオンを500〜5000p
    pm含有させてなることを特徴とする亜鉛系被覆鋼及び
    無被覆鋼用防錆組成物。
  5. 【請求項5】 請求項1、2、3又は4記載の亜鉛系被
    覆鋼及び無被覆鋼用防錆組成物を亜鉛系被覆鋼又は無被
    覆鋼に塗布し、その後、前記亜鉛系被覆鋼又は無被覆鋼
    を50〜250℃となるように加熱し乾燥するか、又
    は、予め亜鉛系被覆鋼又は無被覆鋼を50〜250℃に
    加熱し、その後、請求項1、2、3又は4記載の亜鉛系
    被覆鋼及び無被覆鋼用防錆組成物を塗布し乾燥すること
    を特徴とする亜鉛系被覆鋼及び無被覆鋼の防錆処理方
    法。
JP7026162A 1994-06-22 1995-01-19 亜鉛系被覆鋼及び無被覆鋼用防錆組成物並びに防錆処理方法 Expired - Fee Related JP2993860B2 (ja)

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