JPH10287783A - 塩化ビニル系重合体組成物及びその製造方法 - Google Patents

塩化ビニル系重合体組成物及びその製造方法

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JPH10287783A
JPH10287783A JP9737197A JP9737197A JPH10287783A JP H10287783 A JPH10287783 A JP H10287783A JP 9737197 A JP9737197 A JP 9737197A JP 9737197 A JP9737197 A JP 9737197A JP H10287783 A JPH10287783 A JP H10287783A
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vinyl chloride
weight
compound
chloride polymer
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JP9737197A
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Masahisa Enomoto
真久 榎本
Yasuji Sakai
靖嗣 坂井
Hiroshi Minamide
博 南出
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TAIYO ENBI KK
Original Assignee
TAIYO ENBI KK
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 ゲル化性、熱安定性に優れ、且つ、ガラス転
移温度が高く、成形加工時に、成形機を汚染することな
く、ゲル化をより均一に促進させることができ、耐熱
性、色相、機械特性の優れた高品質な成形品を得ること
ができる塩化ビニル系重合体組成物を提供する。 【解決手段】 塩化ビニル系重合体100重量部に対
し、 (A)フェノール系化合物または該フェノール化合物と
イオウ系化合物(A’)を0.001〜0.5重量部 (B)滑剤0.01〜4.0重量部 (C)メルカプト系有機錫安定剤0.1〜1.5重量部
含有する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、高いガラス転移温
度を有し、ゲル化性、熱安定性に優れた塩化ビニル系重
合体組成物に関する。更に詳細には、成形加工時に均一
なゲル化促進が可能で、成形品の耐熱性、色相、機械特
性が優れた塩化ビニル系重合体組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】塩化ビニル系重合体は、優れた物理的、
機械的性質などを有しているため、多方面の分野にわた
り使用されている。
【0003】しかし、塩化ビニル系重合体は、その分子
鎖の構造上、熱分解し易いため、成形加工時の熱分解を
抑制する為、鉛系安定剤、有機錫安定剤など各種安定剤
を配合して、押出成形、射出成形、カレンダー成形等幅
広い用途に使用されている。
【0004】従来、塩化ビニル樹脂は比較的低温で且つ
低剪断下で加工する方法が一般的であったが、近年、押
出成形、射出成形等の用途において、成形品使用時の耐
久性、機械特性など品質を向上させる為、例えば、より
高温、高剪断条件等により、樹脂を混練させ、十分にゲ
ル化を促進させて加工する要望が強くなり、このような
加工条件に耐える塩化ビニル系樹脂の供給を強く望まれ
ている。
【0005】その中で、有機錫安定剤は安全性が高く、
またゲル化を促進させる効果を有する利点があり好まれ
て使用されているが、熱安定性の改良効果が不十分であ
る為、十分にゲル化を促進させる上記の要求を満たす
と、成形品の色相を悪化させる問題が生じやすくなる欠
点を有している。
【0006】特開昭49−45142号公報には、ジア
ルキル錫マレートを含有する塩化ビニル系樹脂組成物
に、フェノール系化合物およびジアルキルチオジプロピ
オネート化合物を添加することにより熱による成形体の
色相の悪化を改良する方法が開示されている。この方法
は、従来の比較的低温で且つ低剪断下で加工する方法で
は効果が認められるが、近年の、例えばより高温、高剪
断条件等により樹脂を混練させ、十分にゲル化を促進さ
せて加工する場合には熱安定性改良効果が十分なので、
低温で低剪断下での混練を余儀なくされ、機械特性を向
上させる上記の要求を満たすことは困難であった。
【0007】一方、有機錫安定剤を従来実施されている
添加量よりも多くの使用した場合、熱安定性は改善さ
れ、より高温、高剪断の条件下での成形により色相も良
好で、ゲル化も促進され、機械特性も良好な成形品を得
ることも可能であるが、得られる塩化ビニル系重合体組
成物のガラス転移温度が低下し、成形品の熱変形温度が
低下して耐熱性が悪化し、また成形時にプレートアウト
による汚染も生じて好ましくない。また有機錫安定剤
は、他の安定剤と比べ比較的高価であるので、コスト増
加等の問題を生じる。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】上記問題点に鑑み、本
発明は、成形加工時のゲル化性に優れ、且つ、耐熱性、
色相が改良され、高い耐久性、機械特性を有する成形品
を経済的に得ることができる塩化ビニル系重合体組成物
を提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記目的
を達成するために鋭意検討を行った結果、本発明を完成
するに至った。
【0010】すなわち、本発明は以下の発明から構成さ
れる。
【0011】 塩化ビニル単量体または塩化ビニルを
主成分とする塩化ビニル系重合体100重量部に対し、 (A)フェノール系化合物または該フェノール化合物と
イオウ系化合物(A’)を0.001〜0.5重量部 (B)滑剤0.01〜4.0重量部 (C)メルカプト系有機錫安定剤0.1〜1.5重量部
含有することを特徴とする塩化ビニル系重合体組成物。
【0012】 該(A)フェノール系化合物が構造
1(化3)の構造(構造1においてR 1、R2が-H、-CH3
いずれか1つで、R1、R2の両方が-Hではない)を含有す
るフェノール系化合物であることを特徴とする請求項1
記載の塩化ビニル系重合体組成物。
【0013】
【化3】 該(B)滑剤が、分子量1000〜8000のポリ
エチレンワックス、パラフィン、部分的にケン化したモ
ンタン酸エステル化合物、炭素数12〜32の脂肪酸、
炭素数12〜32の1価の脂肪族アルコール、該脂肪酸
と該脂肪族アルコールもしくは多価アルコールの脂肪酸
エステル化合物(但し、HLB(親水・疎水バランス)
が4.0以下である)、該脂肪酸と多塩基性有機酸と該
脂肪族アルコールもしくは多価アルコールの複合エステ
ル化合物、該脂肪酸もしくは炭素数12〜32のアルキ
レンビス脂肪酸のアミド化合物のうち少なくとも1種以
上であることを特徴とするもしくはのいずれか記載
の塩化ビニル系重合体組成物。
【0014】 〜の何れかの組成物で、(A’)
が一般式(2)(化4)で示されるイオウ系化合物であ
り、
【0015】
【化4】 n=12〜32 該(A)フェノール系化合物に対し、その含有重量比率
が(A)成分:(A’)成分=20:80〜100:0
の範囲であることを特徴とする〜のいずれか記載の
塩化ビニル系重合体組成物。
【0016】 塩化ビニル単量体または塩化ビニルを
主成分とするビニル系単量体の混合物を水性媒体中で懸
濁重合する際に、重合中、又は得られた塩化ビニル系重
合体を含有するスラリーに、又は塩化ビニル系重合体を
含有するスラリーを脱水した後の重合体ケーキに、塩化
ビニル系重合体100重量部に対し、該(A)フェノー
ル系化合物または該フェノール化合物とイオウ系化合物
(A’)をを0.001〜0.5重量部及び、該(B)
滑剤0.01〜4.0重量部を添加し、乾燥後得られた
塩化ビニル系重合体粉体に、該(C)メルカプト系有機
錫安定剤0.1〜1.5重量部を添加することを特徴と
する〜のいずれかに記載の塩化ビニル系重合体組成
物を製造する方法。
【0017】
【発明の実施の形態】以下、本発明を詳細に説明する。
【0018】本願発明で使用する塩化ビニル系重合体は
塩化ビニルの単独重合体または塩化ビニルと塩化ビニル
と共重合可能な他の重合性ビニル系との共重合体が挙げ
られる。
【0019】塩化ビニルと共重合可能なビニル系単量体
としては、通常塩化ビニルと共重合することが公知のも
のであれば特に制限なく使用でき、例えば、酢酸ビニル
のようなアルキルビニルエステル、セチルビニルエーテ
ルのようなアルキルビニルエーテル、エチレンまたはプ
ロピレンなどのα−モノオレフィン系単量体、アクリル
酸メチルのようなアクリル酸アルキルエステル、メタク
リル酸メチルのようなメタクリル酸アルキルエステルな
どが挙げられる。
【0020】上記塩化ビニル系重合体の製造法について
は、公知の重合法により製造され、特に制限はない。塩
化ビニル系重合系の懸濁重合は良く知られており、塩化
ビニル単量体または塩化ビニル単量体と他の重合性ビニ
ル単量体とを分散剤、重合開始剤の存在下、水性媒体中
で重合させる。こうして、懸濁重合法により塩化ビニル
系重合体を含むスラリーを得ることができる。 重合に
使用する分散剤としては、公知の懸濁剤、例えばメチル
セルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシ
プロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロ
ースなどの水溶性セルロースエーテル;ケン化度、重合
度の異なる部分けん化ポリビニルアルコール;疎水基、
親水基などが導入された変性部分けん化ポリビニルアル
コール;アクリル酸重合体;水溶性無機塩;ゼラチンな
どの水溶性ポリマー;ソルビタンモノラウレート、ソル
ビタンモノステアレート、グリセリンモノステアレー
ト、エチレンオキサイドプロピレンオキサイドブロック
コポリマーなどの油溶性乳化剤;ポリオキシエチレンソ
ルビタンモノラウレート、ポリオキシエチレングリセリ
ンオレート、ラウリン酸ナトリウムなどの水溶性乳化剤
などを、一種または二種以上の組合せで使用してかまわ
ないが、塩化ビニル系重合体製造時の重合安定性、また
は得られる塩化ビニル系重合体の品質制御の容易さから
水溶性セルロースエーテル、部分けん化ポリビニルアル
コール、油溶性乳化剤、水溶性乳化剤を使用することが
好ましい。
【0021】更に、本願発明で使用する塩化ビニル系重
合体を懸濁重合する際、上記分散剤に加えて、連鎖移動
剤を添加し、その存在下で重合することにより、得られ
る塩化ビニル系重合体のガラス転移温度の低下やゲル化
を遅延させることなく、熱に対する構造安定性が増加
し、該塩化ビニル系重合体組成物により得られる成形品
の色相、熱変形性を損ねることなく、成形時により均一
なゲル化促進が可能となる為、より好ましい。該連鎖移
動剤としては、n−ヘキサン、n−ペンタンなどの飽和
炭化水素系化合物;四塩化炭素、トリクロロエチレン等
のハロゲン化炭化水素系化合物;2−メルカプトエタノ
ール、3−メルカプトエタノール、4−メルカプトエタ
ノール、チオグリセロール、チオプロピレングリコー
ル、チオ酢酸、メチルフェニルスルフィド、エチルフェ
ニルスルフィド、プロピルフェニルスルフィド、ブチル
フェニルスルフィド、ヘキシルフェニルスルフィド、ジ
フェニルスルフィド、2,2’−ジメチルジフェニルス
ルフィド、4,4’−ジメチルジフェニルスルフィド、
4,4’−ジエチルジフェニルスルフィド、4,4’−
ジクロロジフェニルスルフィド、4,4’−ジヒドロキ
シジフェニルスルフィド等のメルカプト基及び/又は芳
香族基を有し、且つヒドロキシル基及び/又はカルボキ
シル基を有するイオウ系化合物等が挙げられ、1種又は
2種以上添加しても構わない。
【0022】この中で、該連鎖移動剤の添加量がより少
量で、得られる塩化ビニル系重合体の熱に対する構造安
定性が増加し、該塩化ビニル系重合体組成物の成形時に
より均一なゲル化促進が可能となる為、2−メルカプト
エタノール、3−メルカプトエタノール、4−メルカプ
トエタノール、チオグリセロール、チオプロピレングリ
コール、チオ酢酸、メチルフェニルスルフィド、エチル
フェニルスルフィド、プロピルフェニルスルフィド、ブ
チルフェニルスルフィド、ヘキシルフェニルスルフィ
ド、ジフェニルスルフィド、2,2’−ジメチルジフェ
ニルスルフィド、4,4’−ジメチルジフェニルスルフ
ィド、4,4’−ジエチルジフェニルスルフィド、4,
4’−ジクロロジフェニルスルフィド、4,4’−ジヒ
ドロキシジフェニルスルフィド等のメルカプト基及び/
又は芳香族基を有し、且つヒドロキシル基及び/又はカ
ルボキシル基を有するイオウ系化合物が、より好まし
く、更に好ましくは、2−メルカプトエタノールであ
る。
【0023】該連鎖移動剤の添加量としては、該塩化ビ
ニル系単量体100重量部に対し、0.001〜0.1
重量部が好ましく、更に、0.003〜0.05重量部
であると、該塩化ビニル系重合体の重合時に重合遅延を
起こすことなく、該塩化ビニル系重合体の熱安定性を高
めることができるのでより好ましい。
【0024】該連鎖移動剤の添加時期としては、特に制
限なく、懸濁重合初期から重合終了時まで添加可能であ
り、分割して添加してもよく、連続的に添加してもよ
く、又、直接添加してもよく、例えば、エタノール、酢
酸エチル等の溶媒に溶かした溶液、水または有機溶媒の
分散液又は乳化液で添加してもよい。
【0025】本願発明では、上記該塩化ビニル系重合体
に、(A)フェノール系化合物または該フェノール化合
物とイオウ系化合物(A’)及び(B)滑剤及び、
(C)メルカプト系有機錫安定剤が添加される。
【0026】本願発明で使用される(A)フェノール系
化合物としては通常樹脂の酸化防止剤として使用される
ものであれば特に制限なく使用でき、例えば4,4’−
イソプロピリデン−ビスフェノール;4,4’−ブチリ
デン−ビス−(3−メチル−6−t−ブチルフェノー
ル);1,1,3−トリス−(2−メチル−4−ヒドロ
キシ−5−t−ブチルフェニル)ブタン;トリエチレン
グリコール−ビス−[3−(3−t−ブチル−5−メチ
ル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート];3,
9−ビス[1,1−ジメチル−2−{B−(3−t−ブ
チル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロピオ
ニロキシ}エチル]−2,4,8,10−テトラオキサ
スピロ[5,5]ウンデカン;トリス(4−t−ブチル
−2,6−ジメチル−3−ヒドロキシベンジル)イソシ
アヌレート;2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェ
ノール;n−オクタデシル−3−(3’,5’−ジ−t
−ブチル−4’ヒドロキシフェニル)プロピオネート;
1,3,5−トリメチル−2,4,6−トリス−(3,
5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)ベンゼ
ン;1,6−ヘキサンジオール−ビス[3−(3,5−
ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネ
ート];2,2−チオ−ジエチレンビス[3−(3,5
−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオ
ネート]などがあり、1種又は2種以上添加される。
【0027】この中で(A)フェノール系化合物が構造
1(化5)の構造(構造1においてR1、R2が-H、-CH3
いずれか1つで、R1、R2の両方が-Hではない)を含有す
るフェノール系化合物が当該樹脂組成物により得られる
成形品の熱変形性や色相を損ねることなく、成形時のゲ
ル化をより均一に促進させることが可能なので、より好
ましい。
【0028】
【化5】 上記フェノール系化合物としては、例えば、4,4’−
ブチリデン−ビス−(3−メチル−6−t−ブチルフェ
ノール);1,1,3−トリス−(2−メチル−4−ヒ
ドロキシ−5−t−ブチルフェニル)ブタン;トリエチ
レングリコール−ビス−[3−(3−t−ブチル−5−
メチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート];
3,9−ビス[1,1−ジメチル−2−{B−(3−t
−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロ
ピオニロキシ}エチル]−2,4,8,10−テトラオ
キサスピロ[5,5]ウンデカン;トリス(4−t−ブ
チル−2,6−ジメチル−3−ヒドロキシベンジルイソ
シアヌレートなどがあり、更に好ましくは、トリエチレ
ングリコール−ビス−[3−(3−t−ブチル−5−メ
チル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、
4,4’−ブチリデン−ビス−(3−メチル−6−t−
ブチルフェノール)である。
【0029】該(A)フェノール系化合物の添加量とし
ては、該塩化ビニル系重合体100重量部に対して0.
001〜0.5重量部好ましくは0.003〜0.1重
量部、より好ましくは0.008〜0.1重量部であ
る。
【0030】該(A)フェノール系化合物の添加量の合
計量が0.001重量部未満では、当該塩化ビニル系重
合体組成物の高温、高剪断下での混練時の熱安定性の改
良効果が乏しく、成形時に均一にゲル化を促進させるこ
とができず好ましくない。又、該(A)フェノール系化
合物の添加量が0.5重量部を超えると、該塩化ビニル
系樹脂組成物のゲル化促進に伴い、加工機の金型やロー
ル表面等へのプレートアウトによる汚染が発生しやすく
なり好ましくない。
【0031】更に、該フェノール系化合物と、(A’)
一般式(2)(化6)で示されるイオウ系化合物と
【0032】
【化6】 (但し、n=12〜32)を併用することにより、該樹
脂組成物により得られる成形品の色相、熱変形性を損ね
ることなく、成形時に更に均一なゲル化が可能となりよ
り好ましい。
【0033】該イオウ系化合物としては、例えば、ジラ
ウリル−3,3’−チオジプロピオネート;ジミスチル
−3,3’−チオジプロピオネート;ジステアリル−
3,3’−チオジプロピオネートなどがあり、1種又は
2種以上添加されてもかまわない。その中で、ジステア
リル−3,3’−チオジプロピオネートは、更に当該樹
脂組成物の熱安定性を向上させ、該樹脂組成物の成形時
により均一なゲル化促進が可能となり、より好ましい。
【0034】該(A’)イオウ系化合物の添加量として
は、該(A)フェノール系化合物に対し、その添加重量
比率が、(A)成分:(A’)成分=20:80〜10
0:0の範囲で、且つ該(A)フェノール系化合物との
合計量が、該塩化ビニル系重合体100重量部に対し
て、0.001〜0.5重量部であることが好ましく、
更に、(A)成分:(A’)成分=40:60〜90:
10の範囲で、且つ該(A)フェノール系化合物との合
計量が、0.008〜0.1重量部の範囲であると、該
(A)フェノール系化合物と該(A’)イオウ系化合物
との相乗作用による熱安定性改良効果が著しくみられよ
り好ましい。
【0035】本願発明で使用される(B)滑剤として
は、一般に公知のものでよい。例えば、パラフィン、ポ
リエチレンワックス、塩素化炭化水素、フルオロカーボ
ンなどの炭化水素系滑剤;ラウリン酸、ステアリン酸、
ベヘニン酸などの高級脂肪酸、又はヒドロキシステアリ
ン酸などのオキシ脂肪酸等の脂肪酸系滑剤;ステアリル
アミド、ラウリルアミド、オレイルアミドなどの脂肪族
アミド化合物又はメチレンビスステアロアミド、エチレ
ンビスステアロアミドなどのアルキレンビス脂肪族アミ
ド等の脂肪族アミド系滑剤;ステアリルステアレート、
ブチルステアレートなどの脂肪酸1価アルコールエステ
ル化合物又は、グリセリントリステアレート、ソルビタ
ントリステアレート、ペンタエリスリトールテトラステ
アレート、ジペンタエリスリトールヘキサステアレー
ト、ポリグリセリンポリリシノレート、硬化ヒマシ油な
どの脂肪酸多価アルコールエステル化合物又は、ジペン
タエリスリトールのアジピン酸・ステアリン酸エステル
などの1価脂肪酸及び多塩基性有機酸と多価アルコール
の複合エステル化合物等の脂肪酸アルコールエステル系
滑剤;ステアリルアルコール、ラウリルアルコール、パ
ルミチルアルコールなどの脂肪族アルコール系滑剤;部
分ケン化モンタン酸エステルなどのモンタン酸系滑剤;
アクリル系滑剤などであり、これら滑剤のうち、少なく
とも1種以上を添加する。これら滑剤の添加により、当
該塩化ビニル系重合体組成物の成形加工時におけるゲル
化時の成形加工機への負荷の低減及び、溶融流動性の改
善のみならず、得られる成形品の色相を損ねることな
く、より高温、高剪断下での混練が可能となり、成形時
により均一にゲル化を促進させることができ好ましい。
【0036】その中で好ましくは、分子量1000〜8
000のポリエチレンワックス、パラフィン、部分的に
ケン化したモンタン酸エステル化合物、ラウリン酸、パ
ルミチン酸、ヘプタデカン酸、ステアリン酸、オレイン
酸、アラキン酸、ベヘニン酸等炭素数12〜32の脂肪
酸、ステアリルアルコール、ベヘニルアルコール、パル
ミチルアルコールなどの炭素数12〜32の1価の脂肪
族アルコール、該脂肪酸と該1価の脂肪族アルコールも
しくは多価アルコールの脂肪酸アルコールエステル化合
物(但し、下式(数1)で示されるHLB(親水・疎水
バランス)が4.0以下のもの)
【0037】
【数1】HLB=20(MH/M) MH:親水基部分の分子量 M:脂肪酸エステル化合
物の分子量 該脂肪酸と多塩基性有機酸と該1価の脂肪族アルコール
もしくは多価アルコールの複合エステル化合物、該脂肪
酸もしくはメチレンビスステアリン酸、エチレンビスス
テアリン酸などの炭素数12〜32のアルキレンビス脂
肪酸のアミド化合物で、これらの化合物であると、該塩
化ビニル重合体組成物のガラス転移温度の低下抑制効果
がより大きく、且つ、上記該(A)フェノール系化合物
との相乗作用による更なる熱安定性の改善がみられ、該
樹脂組成物から得られる成形品の熱変形性や色相を損ね
ることなく、成形時により均一にゲル化を促進すること
ができ、より好ましい。
【0038】上記の分子量1000〜8000のポリエ
チレンワックスとしては、カルボン酸や空気等で酸化も
しくは酸変性していてもかまわない。また、上記の該脂
肪酸と該1価の脂肪族アルコールもしくは多価アルコー
ルの脂肪酸エステル化合物で上式(数1)で示されるH
LB(親水・疎水バランス)が4.0以下であるものと
しては、例えば、多価アルコールとして、エチレングリ
コール、プロピレングリコール、グリセリン、ペンタエ
リスリトール、ソルビトール、マンニトール、テトラグ
リセリン、ヘキサグリセリン、デカグリセリン及びこれ
らの多量体などが挙げられ、該アルコールの一分子中の
水酸基の少なくとも2つが脂肪酸とエステル化したもの
であり、飽和、不飽和のいずれでもかまわない。また、
該脂肪酸としては、ラウリン酸、パルミチン酸、ヘプタ
デカン酸ステアリン酸、オレイン酸、アラキン酸、ベヘ
ニン酸等炭素数12〜32の脂肪酸のうち1種または2
種以上を使用する。HLBが4.0以下の該脂肪酸エス
テル化合物としては、例えば、ジペンタエリスリトール
ヘキサステアレート、ステアリルステアレート、グリセ
リントリステアレート、ソルビタントリステアレートな
どがある。また、上記の該脂肪酸と多塩基性有機酸と該
1価の脂肪族アルコールもしくは該多価アルコールの複
合エステル化合物としては、例えば、多塩基性有機酸と
してアジピン酸、マロン酸、マレイン酸、コハク酸、グ
ルタル酸、ピメリン酸、ジチオプロピオン酸、ダイマー
酸、フタル酸等が挙げられ、1種または2種以上を含有
する。なお、該複合エステルについては、多価アルコー
ルの一分子中の水酸基の少なくとも2つが脂肪酸とエス
テル化したものが好ましいが、飽和、不飽和のいずれで
もかまわない。また、該脂肪酸としては、上記脂肪酸の
うち1種または2種以上を使用する。例えば、ジペンタ
エリスリトールのアジピン酸・ステアリン酸複合エステ
ルなどが挙げられる。
【0039】該(B)滑剤の添加量としては、その合計
が該塩化ビニル系重合体100重量部に対して0.01
〜4.0重量部、好ましくは0.02〜3.5重量部、
より好ましくは0.02〜3.5重量部である。
【0040】該(B)滑剤の添加量が0.01重量部未
満では、当該塩化ビニル系重合体組成物の成形加工時の
流動性不良のみならず、上記の該(A)フェノール系化
合物との相乗作用による熱安定性改良効果が乏しくなり
好ましくない。又、該(B)滑剤の添加量が4.0重量
部より多くなると、当該塩化ビニル系重合体組成物の加
工時におけるゲル化不良による成形品の機械特性の低減
や、加工機の金型やロール表面等へのプレートアウトに
よる汚染が発生しやすくなり好ましくない。
【0041】本願発明に使用される(C)メルカプト系
有機錫安定剤としては、一般に公知のものでよい。例え
ば、ジブチル錫βメルカプトプロピオン酸オクチルエス
テル;ジブチル錫ビスチオグリコール酸オクチルエステ
ル;ジブチル錫βメルカプトプロピオネート;ジオクチ
ル錫ビスチオグリコール酸オクチルエステル;モノオク
チル錫トリスチオグリコール酸オクチルエステル;ジメ
チル錫ビスチオグリコール酸オクチルエステル;モノメ
チル錫トリスチオグリコール酸オクチルエステル;モノ
及び/又はジメチル錫メルカプトオレイルエステル化合
物などが挙げられ、これら有機錫安定剤の1種または2
種以上が添加される。これらメルカプト系有機錫安定剤
を添加することにより、上記の該(A)フェノール系化
合物との相乗作用による当該塩化ビニル系重合体組成物
の熱安定性改良効果が向上し、該樹脂組成物により得ら
れる成形品の色相を損ねることなく、成形時により均一
にゲル化を促進させることができ、好ましい。
【0042】その中で、当該塩化ビニル系重合体組成物
の成形加工後の色相改良効果が良好で、且つ当該塩化ビ
ニル系重合体組成物の安全性の改良効果が大きいことよ
り、下式(化7)で示される構造を有する有機錫化合物
を、1種又は2種以上添加することが、より好ましい。
【0043】
【化7】 1:−CH3基又は−C817基 R2:−C817基 R3:−CH3基 R4:−Cn2n-1基 n=12〜32 該(C)メルカプト系有機錫安定剤の添加量としては、
その合計量が、該塩化ビニル系重合体100重量部に対
し0.1〜1.5重量部、好ましくは0.2〜1.0重
量部である。
【0044】該(C)メルカプト系有機錫安定剤の添加
量が0.1重量部未満では、該塩化ビニル系重合体組成
物の熱安定性の改良効果は不十分で、得られる成形品の
色相が悪化し、好ましくない。該(C)メルカプト系有
機錫安定剤の添加量が1.5重量部を超えると、該
(A)フェノール系化合物との相乗作用による該塩化ビ
ニル系重合体組成物の熱安定性の改良効果は高まらず、
むしろ、該塩化ビニル系重合体組成物のガラス転移温度
が低下し、成形品の熱変形性を促進させ、好ましくな
い。
【0045】上記該(A)フェノール系化合物又は該
(A)フェノール系化合物と該(A’)イオウ系化合物
の混合物及び、該(B)滑剤、該(C)メルカプト系錫
安定剤の添加時期としては、上記塩化ビニル系単量体の
懸濁重合初期から重合終了時までの重合系もしくは、塩
化ビニル系単量体の重合スラリーまたは、スラリー脱水
後得られた重合体ケーキまたは、該重合体ケーキを乾燥
した塩化ビニル系重合体粉末のいずれの時期にも、該
(A)フェノール系化合物又は該(A)フェノール系化
合物と該(A’)イオウ系化合物の混合物及び、該
(B)滑剤、該(C)メルカプト系錫安定剤を添加する
ことができ、更に、これら化合物を分割して添加して
も、連続添加しても構わない。
【0046】この内、該(A)フェノール系化合物又は
該(A)フェノール系化合物と該(A’)イオウ系化合
物の混合物、及び該(B)滑剤を、重合系もしくは該ス
ラリー又は、該重合体ケーキに添加した場合、乾燥され
た塩化ビニル系重合体粉末に添加した場合と比べ、該フ
ェノール系化合物や該イオウ系化合物、該滑剤がより均
一に塩化ビニル系重合体粒子に分散するため、乾燥され
た塩化ビニル系重合体粉末に添加した場合よりも、溶融
混練時の熱安定性改良効果がより向上し、より高温、高
剪断下での成形が可能となり、成形品のゲル化性、機械
特性の改良効果も著しくなり、また該(A)フェノール
系化合物や該(B)滑剤、該(A’)イオウ系化合物の
添加量が少量で同様な効果が得られるのでより好まし
い。
【0047】また、該(A)フェノール系化合物又は該
(A)フェノール系化合物と該(A’)イオウ系化合物
の混合物、及び該(B)滑剤の添加方法としては、直接
添加してもよいが、例えば、エタノール、酢酸エチル等
の溶媒に溶かした溶液、水または有機溶媒の分散液又は
乳化液で添加した方が該(A)フェノール系化合物や該
(A’)イオウ系化合物、又は該(B)滑剤が、より均
一に分散し好ましい。又、これら化合物を添加する際、
上記スラリーまたは、脱水後得られたケーキまたは、該
重合体ケーキを乾燥した塩化ビニル系重合体粉末の温度
は特に制限がなく、通常、10〜85℃でよく、攪拌方
法についても通常の攪拌でよい。
【0048】本発明における他の条件、重合器への水性
媒体、仕込み単量体、分散助剤の仕込み方法、仕込み割
合、重合温度などは従来と同様でよい。更に、本発明に
おいては、必要に応じ、pH調整剤、架橋剤、加工助
剤、衝撃改良剤、充填剤、緩衝剤、スケール防止剤、顔
料、光安定剤などを添加してもかまわない。
【0049】なお、本発明では高温、高剪断の条件で加
工する意味は、本発明の処方で塩化ビニル系重合体組成
物を高温および/または高剪断の条件で加工することに
よってゲル化が促進され、耐衝撃性等の機械物性が改良
されるものである。この際のゲル化の程度は実施例に記
載のメチレンクロライドの浸漬試験において白化の程度
で判定され、この白化した表面積の比率が少ないほどゲ
ル化されていることを示し、その比率が50%以下、好
ましくは30%以下、より好ましくは25%以下、特に
好ましくは15%以下であるように加工温度や加工時の
剪断力等の加工条件を選択することが好ましい。
【0050】
【実施例】以下、本発明を実施例によって具体的に説明
するが、本発明はこれに限定されるものではない。
【0051】下記の実施例1〜8及び比較例1〜4で得
られた塩化ビニル重合体組成物について、熱安定性試
験、押出成形品のシャルピー衝撃試験、塩化メチレン浸
漬によるゲル化性試験、ガラス転移温度の各試験、成形
時のプレート汚染試験を行った。その結果を表1、表
2、表3に示す。
【0052】1.熱安定性試験 該塩化ビニル重合体組成物を、プラストグラフ(東洋精
機社製ラボプラストミル)により、ミキサー温度180
℃、ローター回転数40rpmの条件下で溶融混練さ
せ、混練開始から、樹脂が黒化し、ローターのトルクが
上昇し始めるまでの時間を計測した。
【0053】2.成形品のシャルピー衝撃試験、ゲル化
性、色相試験 該塩化ビニル重合体組成物をφ25mm並行2軸押出機
でスクリュー回転数70rpmの条件で平板に成形し
た。その際、成形温度としては、成形体の色相不良を生
じない許容の成形温度に設定し、得られた成形体のシャ
ルピー衝撃試験(ノッチを付けて実施)および得られた
成形体を25℃の塩化メチレンに30分浸漬させ、成形
体の表面積に対して白化した表面積の比率を計測した。
【0054】この白化した表面積の比率が少ないほどゲ
ル化されていることを示し、その比率が50%以下、好
ましくは30%以下、より好ましくは25%以下、特に
好ましくは15%以下であるように加工温度や加工時の
剪断力等の加工条件を選択することが好ましく、この好
ましい範囲では衝撃強度が十分に高い成形体がえられ
る。
【0055】3.ガラス転移温度評価 該塩化ビニル重合体組成物を8インチロールにより、ロ
ール温度170℃で5分間混練し、得られたシートのガ
ラス転移温度を、示差走査熱量計を用いて、昇温速度2
0℃/分の条件で測定した。
【0056】4.成形時のプレート汚染試験 該塩化ビニル重合体組成物を8インチロールにより、ロ
ール温度180℃で10分間混練し、混練後のロール表
面の汚染状態を目視にて評価した。
【0057】実施例1 市販の塩化ビニル重合体粉体(重合度700)100重
量部に対し、トリエチレングリコール−ビス−[3−
(3−t−ブチル−5−メチル−4−ヒドロキシフェニ
ル)プロピオネート]を0.03重量部、ジペンタエリ
スリトールヘキサステアレートを2重量部、ジオクチル
錫ビスチオグリコール酸オクチルエステルを0.5重量
部、攪拌下で添加し、塩化ビニル重合体組成物を得た。
【0058】得られた塩化ビニル重合体組成物は、熱安
定性が良好であり、得られた成形品の衝撃強度が良好
で、塩化メチレンによる白化も少なく、ゲル化が十分に
行われ、また塩化ビニル重合体のガラス転移温度を低下
させることもなく、かつ成形時の加工機への汚染も見ら
れなかった。
【0059】実施例2 実施例1において、トリエチレングリコール−ビス−
[3−(3−t−ブチル−5−メチル−4−ヒドロキシ
フェニル)プロピオネート]の代わりに4,4’−ブチ
リデン−ビス−(3−メチル−6−t−ブチルフェノー
ル)を添加し、ジペンタエリスリトールヘキサステアレ
ートの代わりに平均分子量2000のポリエチレンワッ
クスを添加した以外は、実施例1と同様にして塩化ビニ
ル重合体組成物を得た。
【0060】得られた塩化ビニル重合体組成物は、熱安
定性が良好であり、得られた成形品の衝撃強度が良好
で、塩化メチレンによる白化も少なく、ゲル化が十分に
行われ、また塩化ビニル重合体のガラス転移温度を低下
させることもなく、かつ成形時の加工機への汚染も見ら
れなかった。
【0061】実施例3 実施例1において、トリエチレングリコール−ビス−
[3−(3−t−ブチル−5−メチル−4−ヒドロキシ
フェニル)プロピオネート]を0.03重量部添加する
代わりに4、4’−イソプロピリデン−ビスフェノール
を0.01重量部添加し、ジペンタエリスリトールヘキ
サステアレートの代わりに、ステアリルステアレートを
添加した以外は、実施例1と同様にして塩化ビニル重合
体組成物を得た。
【0062】得られた塩化ビニル重合体組成物は、熱安
定性が良好であり、得られた成形品の衝撃強度が良好
で、塩化メチレンによる白化も少なく、ゲル化が十分に
行われ、また塩化ビニル重合体のガラス転移温度を低下
させることもなく、かつ成形時の加工機への汚染も見ら
れなかった。
【0063】実施例4 実施例1において、トリエチレングリコール−ビス−
[3−(3−t−ブチル−5−メチル−4−ヒドロキシ
フェニル)プロピオネート]を添加する代わりにn−オ
クタデシル−3−(3’,5’−ジ−t−ブチル−4’
−ヒドロキシフェニル)−プロピオネートを添加する以
外は、実施例1と同様にして塩化ビニル重合体組成物を
得た。
【0064】得られた塩化ビニル重合体組成物は、熱安
定性が良好であり、得られた成形品の衝撃強度が良好
で、塩化メチレンによる白化も少なく、ゲル化が十分に
行われ、また塩化ビニル重合体のガラス転移温度を低下
させることもなく、かつ成形時の加工機への汚染も見ら
れなかった。
【0065】実施例5 実施例1において、トリエチレングリコール−ビス[3
−(3−t−ブチル−5−メチル−4−ヒドロキシフェ
ニル)プロピオネート]を0.030重量部添加する代
わりに、トリエチレングリコール−ビス[3−(3−t
−ブチル−5−メチル−4−ヒドロキシフェニル)プロ
ピオネート]を0.020重量部及び、ジステアリル−
3,3’−チオジプロピオネートを0.010重量部添
加し、ジオクチル錫ビスチオグリコール酸オクチルエス
テルを0.5重量部添加する代わりにジメチル錫ビスチ
オグリコール酸オクチルエステル及びモノメチル錫トリ
スチオグリコール酸オクチルエステル混合物を0.7重
量部添加する以外は、実施例1と同様にして塩化ビニル
重合体組成物を得た。
【0066】得られた塩化ビニル重合体組成物は、熱安
定性が良好であり、得られた成形品の衝撃強度が良好
で、塩化メチレンによる白化もより改善され、ゲル化が
より十分に行われ、また塩化ビニル重合体のガラス転移
温度を低下させることもなく、かつ成形時の加工機への
汚染も見られなかった。
【0067】実施例6 ステンレス製重合器に、塩化ビニル単量体100重量
部、脱イオン水150重量部、ケン化度が80モル%、
平均重合度が2600の部分ケン化ポリビニルアルコー
ル0.1重量部、及び2−エチルヘキシルパーオキシジ
カーボネート0.04重量部を仕込み、温度67℃で重
合を行い、重合器内の圧力が重合反応の定常状態におけ
る圧力から2.0kg/cm2G下がったときに、トリ
エチレングリコール−ビス−[3−(3−t−ブチル−
5−メチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネー
ト]を塩化ビニル重合体100重量部に対し0.03重
量部、ジペンタエリスリトールヘキサステアレートを2
重量部添加し、その後、未反応塩化ビニル単量体を回収
し、塩化ビニル重合体スラリーを得た。
【0068】こうして得られた重合体スラリーを、50
℃に保ちながら30分間攪拌し、その後、該スラリーよ
り重合体を分離し、70℃で2時間流動乾燥し、得られ
た塩化ビニル重合体粉体に、塩化ビニル重合体100重
量部に対し、ジオクチル錫ビスチオグリコール酸オクチ
ルエステル0.5重量部を攪拌下で添加し、塩化ビニル
重合体組成物を得た。
【0069】得られた塩化ビニル重合体組成物は、熱安
定性が良好であり、得られた成形品の衝撃強度が良好
で、塩化メチレンによる白化もより少なく、ゲル化がよ
り十分に行われ、また塩化ビニル重合体のガラス転移温
度を低下させることもなく、かつ成形時の加工機への汚
染も見られなかった。
【0070】実施例7 実施例6において、ジペンタエリスリトールヘキサステ
アレートの添加量を2.0重量部から0.02重量部に
変更し、ジオクチル錫ビスチオグリコール酸オクチルエ
ステルの添加量を0.5重量部から1.0重量部に変更
した以外は、実施例6と同様にして塩化ビニル重合体組
成物を得た。
【0071】得られた塩化ビニル重合体組成物は、熱安
定性が良好であり、得られた成形品の衝撃強度が良好
で、塩化メチレンによる白化も少なく、塩化ビニル粉末
に添加する場合と比べ、重合時添加ではより少量の添加
で同等レベルのゲル化が行われ、また塩化ビニル重合体
のガラス転移温度を低下させることもなく、かつ成形時
の加工機への汚染も見られなかった。
【0072】実施例8 実施例6においてトリエチレングリコール−ビス−[3
−(3−t−ブチル−5−メチル−4−ヒドロキシフェ
ニル)プロピオネート]0.03重量部添加する代わり
に、トリエチレングリコール−ビス−[3−(3−t−
ブチル−5−メチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピ
オネート]0.02重量部及びジステアリル−3,3’
−チオジプロピオネート0.01重量部添加する以外
は、実施例6と同様にして塩化ビニル重合体組成物を得
た。
【0073】得られた塩化ビニル重合体組成物は、熱安
定性が良好であり、得られた成形品の衝撃強度や塩化メ
チレンによる白化が顕著に改善され、ゲル化の改善が著
しく行われ、また塩化ビニル重合体のガラス転移温度を
低下させることもなく、かつ成形時の加工機への汚染も
見られなかった。
【0074】比較例1 実施例1において、ジオクチル錫ビスチオグリコール酸
オクチルエステルを0.5重量部添加する代わりに、ジ
ブチル錫ビスブチルマレートを0.7重量部添加する以
外は、実施例1と同様にして塩化ビニル重合体組成物を
得た。
【0075】得られた塩化ビニル重合体組成物の熱安定
性は高温で成形するには十分でないので加工温度を低く
せざるを得ず、そのため成形品の衝撃強度が低く、また
塩化メチレンによる白化も激しく、成形品のゲル化の進
行は不十分であった。
【0076】比較例2 実施例1において、ジペンタエリスリトールヘキサステ
アレートの添加量を2重量部から0.001重量部に変
更した以外は、実施例1と同様にして塩化ビニル重合体
組成物を得た。
【0077】得られた塩化ビニル重合体組成物の熱安定
性は高温で成形するには十分でないので加工温度を低く
せざるを得ず、そのため成形品の衝撃強度が低く、また
塩化メチレンによる白化も激しく、成形品のゲル化の進
行は不十分であった。
【0078】比較例3 実施例1において、ジペンタエリスリトールヘキサステ
アレートの添加量を2重量部から1重量部に変更し、ジ
オクチル錫ビスチオグリコール酸オクチルエステルの添
加量を0.5重量部から0.05重量部に変更した以外
は、実施例1と同様にして塩化ビニル重合体組成物を得
た。
【0079】得られた塩化ビニル重合体組成物の熱安定
性は高温で成形するには十分でないので加工温度を低く
せざるを得ず、そのため成形品の衝撃強度が低く、また
塩化メチレンによる白化も激しく、成形品のゲル化の進
行は不十分であった。
【0080】比較例4 実施例1において、ジオクチル錫ビスチオグリコール酸
オクチルエステルの添加量を0.5重量部から3重量部
に変更した以外は、実施例1と同様にして塩化ビニル重
合体組成物を得た。
【0081】得られた塩化ビニル重合体組成物は、熱安
定性が良好でかつ成形品の衝撃強度やゲル化性は十分で
あったが、塩化ビニル重合体組成物のガラス転移温度を
大幅に低下させ熱変形しやすくなり、プレートアウトに
よる汚染もみられ好ましくなかった。
【0082】
【表1】
【0083】
【表2】
【0084】
【表3】
【0085】
【発明の効果】以上述べたとおり、本発明の塩化ビニル
系重合体組成物は、ゲル化性、熱安定性に優れ、且つ、
ガラス転移温度が高く、成形加工時に、成形機を汚染す
ることなく、ゲル化をより均一に促進させることが可能
で、耐熱性、色相、機械特性の優れた高品質な成形品を
得ることができる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 FI C08K 5/10 C08K 5/10 5/13 5/13 5/20 5/20 5/58 5/58 //(C08L 27/06 23:04) (C08K 5/00 5:13 5:36)

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 塩化ビニル単量体または塩化ビニルを主
    成分とする塩化ビニル系重合体100重量部に対し、 (A)フェノール系化合物または該フェノール化合物と
    イオウ系化合物(A’)を0.001〜0.5重量部 (B)滑剤0.01〜4.0重量部 (C)メルカプト系有機錫安定剤0.1〜1.5重量部
    含有することを特徴とする塩化ビニル系重合体組成物。
  2. 【請求項2】 該(A)フェノール系化合物が構造1
    (化1)の構造(構造1においてR1、R2が-H、-CH3のい
    ずれか1つで、R1、R2の両方が-Hではない)を含有する
    フェノール系化合物であることを特徴とする請求項1記
    載の塩化ビニル系重合体組成物。 【化1】
  3. 【請求項3】 該(B)滑剤が、分子量1000〜80
    00のポリエチレンワックス、パラフィン、部分的にケ
    ン化したモンタン酸エステル化合物、炭素数12〜32
    の脂肪酸、炭素数12〜32の1価の脂肪族アルコー
    ル、該脂肪酸と該脂肪族アルコールもしくは多価アルコ
    ールの脂肪酸エステル化合物(但し、HLB(親水・疎
    水バランス)が4.0以下である)、該脂肪酸と多塩基
    性有機酸と該脂肪族アルコールもしくは多価アルコール
    の複合エステル化合物、該脂肪酸もしくは炭素数12〜
    32のアルキレンビス脂肪酸のアミド化合物のうち少な
    くとも1種以上であることを特徴とする請求項1もしく
    は請求項2いずれか記載の塩化ビニル系重合体組成物。
  4. 【請求項4】 請求項1〜3の何れかの組成物で、
    (A’)が一般式(2)(化2)で示されるイオウ系化
    合物であり、 【化2】 n=12〜32 該(A)フェノール系化合物に対し、その含有重量比率
    が(A)成分:(A’)成分=20:80〜100:0
    の範囲であることを特徴とする請求項1から3のいずれ
    か記載の塩化ビニル系重合体組成物。
  5. 【請求項5】 塩化ビニル単量体または塩化ビニルを主
    成分とするビニル系単量体の混合物を水性媒体中で懸濁
    重合する際に、重合中、又は得られた塩化ビニル系重合
    体を含有するスラリーに、又は塩化ビニル系重合体を含
    有するスラリーを脱水した後の重合体ケーキに、塩化ビ
    ニル系重合体100重量部に対し、該(A)フェノール
    系化合物または該フェノール化合物とイオウ系化合物
    (A’)をを0.001〜0.5重量部及び、該(B)
    滑剤0.01〜4.0重量部を添加し、乾燥後得られた
    塩化ビニル系重合体粉体に、該(C)メルカプト系有機
    錫安定剤0.1〜1.5重量部を添加することを特徴と
    する請求項1から4のいずれかに記載の塩化ビニル系重
    合体組成物を製造する方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2007510767A (ja) * 2003-11-03 2007-04-26 チバ スペシャルティ ケミカルズ ホールディング インコーポレーテッド ハロゲン含有ポリマーのための安定剤組成物

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