JPH10286708A - 微細孔加工方法及びこれに用いる加工装置 - Google Patents
微細孔加工方法及びこれに用いる加工装置Info
- Publication number
- JPH10286708A JPH10286708A JP9388097A JP9388097A JPH10286708A JP H10286708 A JPH10286708 A JP H10286708A JP 9388097 A JP9388097 A JP 9388097A JP 9388097 A JP9388097 A JP 9388097A JP H10286708 A JPH10286708 A JP H10286708A
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- processing
- drill
- head
- cutting
- work
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Pending
Links
Landscapes
- Drilling And Boring (AREA)
Abstract
(57)【要約】
【課題】ワークに対して直径が数十μm程度の微細孔を
加工する際、その加工速度を高めても加工用ドリルが折
れ曲がることがなく、しかも微細孔の加工位置に正確を
期することができると共に、真円度の高い良好な微細孔
を形成することが可能な微細孔加工方法を提供する 【解決手段】加工用ドリル10を所定回転数で回転させ
ると共に、この加工用ドリル10のワークに対する切り
込み方向と平行な方向の低周波振動を該加工用ドリル1
0に対して印加し、この状態で上記加工用ドリル10を
ワークに対して切り込ませるように構成した。
加工する際、その加工速度を高めても加工用ドリルが折
れ曲がることがなく、しかも微細孔の加工位置に正確を
期することができると共に、真円度の高い良好な微細孔
を形成することが可能な微細孔加工方法を提供する 【解決手段】加工用ドリル10を所定回転数で回転させ
ると共に、この加工用ドリル10のワークに対する切り
込み方向と平行な方向の低周波振動を該加工用ドリル1
0に対して印加し、この状態で上記加工用ドリル10を
ワークに対して切り込ませるように構成した。
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、金属又はセラミッ
クス等から形成されたワークに対して、直径数十μm程
度の微細孔を穿設するための加工方法及びこれに用いる
加工装置に関する。
クス等から形成されたワークに対して、直径数十μm程
度の微細孔を穿設するための加工方法及びこれに用いる
加工装置に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、ステンレス等の金属材料やセラミ
ックス等の非金属材料からなるワークの穴あけ加工には
ボール盤を用いるのが一般的である。かかるボール盤
は、加工用ドリルが装着されると共に該加工用ドリルを
所定の回転数で回転させる加工ヘッドと、この加工ヘッ
ドを上記加工用ドリルの回転軸方向へ昇降させ、かかる
加工用ドリルをワークに対して所定の送り量で切り込ま
せる送り手段とから構成されており、上記加工用ドリル
の直径、材質、回転数、送り速度等を適宜選定すること
により、種々のワークに対して所望の径及び深さの穴あ
け加工を行うことが可能となっている。
ックス等の非金属材料からなるワークの穴あけ加工には
ボール盤を用いるのが一般的である。かかるボール盤
は、加工用ドリルが装着されると共に該加工用ドリルを
所定の回転数で回転させる加工ヘッドと、この加工ヘッ
ドを上記加工用ドリルの回転軸方向へ昇降させ、かかる
加工用ドリルをワークに対して所定の送り量で切り込ま
せる送り手段とから構成されており、上記加工用ドリル
の直径、材質、回転数、送り速度等を適宜選定すること
により、種々のワークに対して所望の径及び深さの穴あ
け加工を行うことが可能となっている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかし、ワークに対し
て数十μmの微細孔を穿設する場合、当然のことながら
加工用ドリルの径もこれに対応して細くならざるを得な
いので、ワークに対する加工用ドリルの切れ味に対して
その送り速度が早過ぎる場合には、加工用ドリルの先端
がワークに突き当たった際に該加工用ドリルが撓んでし
まい、微細孔の加工位置にずれが生じてしまう他、加工
用ドリルそのものが折れ易いといった不都合があった。
また、このように加工用ドリルがワークに対して切り込
む当初に該加工用ドリルが撓んでしまうことから、穿設
した微細孔の縁に亀裂や欠けが生じてしまったり、かか
る微細孔の真円度が悪化してしまうといった問題点もあ
った。
て数十μmの微細孔を穿設する場合、当然のことながら
加工用ドリルの径もこれに対応して細くならざるを得な
いので、ワークに対する加工用ドリルの切れ味に対して
その送り速度が早過ぎる場合には、加工用ドリルの先端
がワークに突き当たった際に該加工用ドリルが撓んでし
まい、微細孔の加工位置にずれが生じてしまう他、加工
用ドリルそのものが折れ易いといった不都合があった。
また、このように加工用ドリルがワークに対して切り込
む当初に該加工用ドリルが撓んでしまうことから、穿設
した微細孔の縁に亀裂や欠けが生じてしまったり、かか
る微細孔の真円度が悪化してしまうといった問題点もあ
った。
【0004】このような問題点を解消するためにはワー
クに対する加工用ドリルの送り速度を極端に遅くすれば
良いと考えられるが、それでは微細孔の加工時間が長引
く結果となり、生産効率が犠牲とならざるを得ない。
クに対する加工用ドリルの送り速度を極端に遅くすれば
良いと考えられるが、それでは微細孔の加工時間が長引
く結果となり、生産効率が犠牲とならざるを得ない。
【0005】既存のボール盤では加工用ドリルの回転を
空気軸受で支承し、その回転精度を極めて高精度に保持
すると共に高速回転を可能とすることで加工用ドリルの
切れ味を高め、それによって微細孔の加工を可能として
いるが、それでも直径100μm(0.1mm)以上の
微細孔の加工しかすることができず、しかも加工速度が
遅いといった不都合があった。
空気軸受で支承し、その回転精度を極めて高精度に保持
すると共に高速回転を可能とすることで加工用ドリルの
切れ味を高め、それによって微細孔の加工を可能として
いるが、それでも直径100μm(0.1mm)以上の
微細孔の加工しかすることができず、しかも加工速度が
遅いといった不都合があった。
【0006】従って、それ以下の径の微細孔を加工する
場合には放電加工機やレーザ加工機が用いられていた
が、これら放電加工機やレーザ加工機は高価であり、微
細孔1個当たりの加工コストが嵩んでしまう他、微細孔
それ自体の形状も歪なものとなり易いといった問題点が
あった。
場合には放電加工機やレーザ加工機が用いられていた
が、これら放電加工機やレーザ加工機は高価であり、微
細孔1個当たりの加工コストが嵩んでしまう他、微細孔
それ自体の形状も歪なものとなり易いといった問題点が
あった。
【0007】本発明はこのような問題点に鑑みなされた
ものであり、その目的とするところは、ワークに対して
直径が数十μm程度の微細孔を加工する際、その加工速
度を高めても加工用ドリルが折れ曲がることがなく、し
かも微細孔の加工位置に正確を期することができると共
に、真円度の高い良好な微細孔を形成することが可能な
微細孔加工方法を提供することにある。
ものであり、その目的とするところは、ワークに対して
直径が数十μm程度の微細孔を加工する際、その加工速
度を高めても加工用ドリルが折れ曲がることがなく、し
かも微細孔の加工位置に正確を期することができると共
に、真円度の高い良好な微細孔を形成することが可能な
微細孔加工方法を提供することにある。
【0008】また、本発明の他の目的は、このような微
細孔加工方法を実施することが可能な加工装置を提供す
ることにある。
細孔加工方法を実施することが可能な加工装置を提供す
ることにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に、本発明の微細孔加工方法は、加工用ドリルを所定回
転数で回転させると共に、この加工用ドリルのワークに
対する切り込み方向と平行な方向の低周波振動を該加工
用ドリルに対して印加し、この状態で上記加工用ドリル
をワークに対して切り込ませることを特徴とするもので
ある。
に、本発明の微細孔加工方法は、加工用ドリルを所定回
転数で回転させると共に、この加工用ドリルのワークに
対する切り込み方向と平行な方向の低周波振動を該加工
用ドリルに対して印加し、この状態で上記加工用ドリル
をワークに対して切り込ませることを特徴とするもので
ある。
【0010】このような技術的手段によれば、所定の回
転数で回転する加工用ドリルに対して低周波振動を印加
することで、かかる加工用ドリルのワークに対する切れ
味が向上することから、切り込み速度を高めても上記加
工用ドリルが折れ曲がるといったトラブルが発生するこ
とがなく、微細孔の加工位置の誤差も数μm程度に抑え
ることができる。しかも、穿設した微細孔の縁に亀裂や
欠けが生じることもなく、真円度の高い微細孔を形成す
ることができる。
転数で回転する加工用ドリルに対して低周波振動を印加
することで、かかる加工用ドリルのワークに対する切れ
味が向上することから、切り込み速度を高めても上記加
工用ドリルが折れ曲がるといったトラブルが発生するこ
とがなく、微細孔の加工位置の誤差も数μm程度に抑え
ることができる。しかも、穿設した微細孔の縁に亀裂や
欠けが生じることもなく、真円度の高い微細孔を形成す
ることができる。
【0011】また、加工用ドリルに低周波振動を印加す
ると、かかる加工用ドリルが潜り込んだ微細孔からの切
削粉の排出が促進されることから、加工用ドリルの切れ
味の低下を抑えることができ、この点においても加工用
ドリルを破損させることなくワークに対する切り込み速
度を向上させることができる。
ると、かかる加工用ドリルが潜り込んだ微細孔からの切
削粉の排出が促進されることから、加工用ドリルの切れ
味の低下を抑えることができ、この点においても加工用
ドリルを破損させることなくワークに対する切り込み速
度を向上させることができる。
【0012】更に、微細孔の加工精度の一層向上と加工
速度の一層の高速化を図るといった観点からすれば、上
記加工用ドリルがワークに対して所定量潜り込む度毎に
加工用ドリルをワークから一旦引き抜き、かかる動作を
繰り返すことによって所望の深さの微細孔をワークに対
して穿設するのが好ましい。
速度の一層の高速化を図るといった観点からすれば、上
記加工用ドリルがワークに対して所定量潜り込む度毎に
加工用ドリルをワークから一旦引き抜き、かかる動作を
繰り返すことによって所望の深さの微細孔をワークに対
して穿設するのが好ましい。
【0013】このように加工途中でワークから一旦加工
用ドリルを引き抜くと、切削粉の微細孔からの排出が更
に促進されると共に、加工用ドリルに印加された低周波
振動の作用によって該加工用ドリルに付着した切削粉が
払い落とされるので、加工用ドリルの切れ味の低下をよ
り一層抑えることができ、更なる加工精度の向上及び加
工速度の高速化を図ることができる。また、加工用ドリ
ルに低周波振動が印加されていると、一旦引き抜かれた
加工用ドリルを再度ワークに潜り込ませる際にこれを円
滑に行うことができ、加工した微細孔の縁に亀裂や欠け
が生じるのを防止して、真円度の高い綺麗な微細孔を形
成することができる。
用ドリルを引き抜くと、切削粉の微細孔からの排出が更
に促進されると共に、加工用ドリルに印加された低周波
振動の作用によって該加工用ドリルに付着した切削粉が
払い落とされるので、加工用ドリルの切れ味の低下をよ
り一層抑えることができ、更なる加工精度の向上及び加
工速度の高速化を図ることができる。また、加工用ドリ
ルに低周波振動が印加されていると、一旦引き抜かれた
加工用ドリルを再度ワークに潜り込ませる際にこれを円
滑に行うことができ、加工した微細孔の縁に亀裂や欠け
が生じるのを防止して、真円度の高い綺麗な微細孔を形
成することができる。
【0014】一方、この加工方法を実施するための微細
孔加工装置は、加工用ドリルが装着されると共に該加工
用ドリルを所定の回転数で回転させる加工ヘッドと、こ
の加工ヘッドをワークに対して昇降自在に支持するヘッ
ド案内手段と、上記加工ヘッドに対して所定の送り量を
与える送り手段と、上記ヘッド案内手段によって支持さ
れた加工ヘッドに対し、かかる昇降方向と平行な方向の
低周波振動を与える振動発生手段とを備えたことを特徴
とするものである。
孔加工装置は、加工用ドリルが装着されると共に該加工
用ドリルを所定の回転数で回転させる加工ヘッドと、こ
の加工ヘッドをワークに対して昇降自在に支持するヘッ
ド案内手段と、上記加工ヘッドに対して所定の送り量を
与える送り手段と、上記ヘッド案内手段によって支持さ
れた加工ヘッドに対し、かかる昇降方向と平行な方向の
低周波振動を与える振動発生手段とを備えたことを特徴
とするものである。
【0015】本発明の加工方法を実施するに当たり、上
記加工用ドリルに振動を与える手段としては、公知の超
音波加工装置の如く圧電素子等を用いて加工用ドリルに
直接振動を伝達することも可能ではあるが、それでは加
工用ドリルの回転を支承している軸受にも直接振動が伝
播することとなり、かかる軸受の寿命が著しく低下して
しまう懸念がある。
記加工用ドリルに振動を与える手段としては、公知の超
音波加工装置の如く圧電素子等を用いて加工用ドリルに
直接振動を伝達することも可能ではあるが、それでは加
工用ドリルの回転を支承している軸受にも直接振動が伝
播することとなり、かかる軸受の寿命が著しく低下して
しまう懸念がある。
【0016】しかしながら、この微細孔加工装置によれ
ば、加工用ドリルを回転自在に保持した加工ヘッドは上
記ヘッド案内手段によってその動きを昇降方向のみに拘
束されており、振動発生手段が加工ヘッドに対して振動
を与えても、かかる加工ヘッドはその昇降方向へのみ無
理なく振動することから、加工用ドリルの回転を支承す
べく加工ヘッドに内蔵された軸受の寿命を延命化するこ
とができる。
ば、加工用ドリルを回転自在に保持した加工ヘッドは上
記ヘッド案内手段によってその動きを昇降方向のみに拘
束されており、振動発生手段が加工ヘッドに対して振動
を与えても、かかる加工ヘッドはその昇降方向へのみ無
理なく振動することから、加工用ドリルの回転を支承す
べく加工ヘッドに内蔵された軸受の寿命を延命化するこ
とができる。
【0017】また、この装置では加工ヘッドをその昇降
方向へ振動させることから、この加工ヘッドは可及的に
軽く構成するのが好ましく、かかる観点からすれば、加
工用ドリルに回転を与えるモータやその回転を支承する
軸受はエアタービンモータや空気軸受とするのが好まし
い。
方向へ振動させることから、この加工ヘッドは可及的に
軽く構成するのが好ましく、かかる観点からすれば、加
工用ドリルに回転を与えるモータやその回転を支承する
軸受はエアタービンモータや空気軸受とするのが好まし
い。
【0018】更に、上記加工方法においては加工ヘッド
に与える低周波振動の周波数を高く設定した方が加工用
ドリルのワークに対する切れ味は良好なものになるが、
加工ヘッドそれ自体はある程度の重量を有するものなの
で、振動発生手段を動作させた際の装置全体のガタつき
を防止するという観点からすれば、かかる低周波振動の
周波数は200Hz以下であることが好ましい。また、
低周波振動の振幅が余りに大きいと、やはり装置全体が
ガタつく他、加工用ドリルの先端がワークに当接した際
に該加工用ドリルが折れ曲がるといった不都合があるの
で、かかる振幅は5μm以下であることが好ましい。
に与える低周波振動の周波数を高く設定した方が加工用
ドリルのワークに対する切れ味は良好なものになるが、
加工ヘッドそれ自体はある程度の重量を有するものなの
で、振動発生手段を動作させた際の装置全体のガタつき
を防止するという観点からすれば、かかる低周波振動の
周波数は200Hz以下であることが好ましい。また、
低周波振動の振幅が余りに大きいと、やはり装置全体が
ガタつく他、加工用ドリルの先端がワークに当接した際
に該加工用ドリルが折れ曲がるといった不都合があるの
で、かかる振幅は5μm以下であることが好ましい。
【0019】
【発明の実施の形態】以下、添付図面に基づいて本発明
の微細孔加工方法及びこれに用いる加工装置を詳細に説
明する。図1は本発明方法を実施可能な微細孔加工装置
の一例を示すものである。同図において、符号1は加工
用ドリル10が装着された加工ヘッド、符号2はワーク
取付台3に対して上記加工ヘッド1を昇降自在に支持す
る装置コラムであり、かかる装置コラム2の内部には加
工ヘッド1を所定の送り量で昇降させるヘッド送り機構
4と、該加工ヘッド1に対して小刻みな上下振動を与え
る振動発生機構5とが内蔵されている。
の微細孔加工方法及びこれに用いる加工装置を詳細に説
明する。図1は本発明方法を実施可能な微細孔加工装置
の一例を示すものである。同図において、符号1は加工
用ドリル10が装着された加工ヘッド、符号2はワーク
取付台3に対して上記加工ヘッド1を昇降自在に支持す
る装置コラムであり、かかる装置コラム2の内部には加
工ヘッド1を所定の送り量で昇降させるヘッド送り機構
4と、該加工ヘッド1に対して小刻みな上下振動を与え
る振動発生機構5とが内蔵されている。
【0020】先ず、上記加工ヘッド1は上記加工用ドリ
ル10を回転自在に支承するためのスピンドルを備えて
おり、かかる加工用ドリルはコレットチャック11を介
してスピンドル主軸に固定されている。また、この加工
ヘッド1のハウジング12内にはスピンドル主軸と同軸
上にサーボモータが設けられており、かかるサーボモー
タによって上記加工用ドリル10に所定の回転数が与え
られるようになっている。
ル10を回転自在に支承するためのスピンドルを備えて
おり、かかる加工用ドリルはコレットチャック11を介
してスピンドル主軸に固定されている。また、この加工
ヘッド1のハウジング12内にはスピンドル主軸と同軸
上にサーボモータが設けられており、かかるサーボモー
タによって上記加工用ドリル10に所定の回転数が与え
られるようになっている。
【0021】また、このように構成された加工ヘッド1
はスライドヘッド20に固定され、スライド軸受21を
介して上記装置コラム2に支承されている。このスライ
ド軸受21は、加工ヘッド1の昇降方向に沿って装置コ
ラム2に固定された固定レール21aと、この固定レー
ル21aに沿って自在に移動可能なスライダ21bとか
ら構成されており、かかるスライダ21bに対して上記
スライドヘッド20が固定されている。尚、このスライ
ド軸受けとしては、リニアボールベアリングやエアスラ
イド軸受を用いることができる。
はスライドヘッド20に固定され、スライド軸受21を
介して上記装置コラム2に支承されている。このスライ
ド軸受21は、加工ヘッド1の昇降方向に沿って装置コ
ラム2に固定された固定レール21aと、この固定レー
ル21aに沿って自在に移動可能なスライダ21bとか
ら構成されており、かかるスライダ21bに対して上記
スライドヘッド20が固定されている。尚、このスライ
ド軸受けとしては、リニアボールベアリングやエアスラ
イド軸受を用いることができる。
【0022】一方、上記装置コラム2に内蔵されたヘッ
ド送り機構4は、上記加工ヘッドの昇降方向と平行な方
向に配設されたボールねじ装置のねじ軸41と、このね
じ軸に螺合するボールねじナット42と、後述する偏心
カム51に立設された偏心ピン52を介して揺動自在に
配設されたアーム43と、カップリング44を介して上
記ねじ軸に連結されたヘッド送り込みモータ45とから
構成されており、上記アーム43の一端は前述したスラ
イド軸受21のスライダ21bに連結される一方、他端
はカムフォロア(図示せず)を介して上記ボールねじナ
ット42に連結されている。
ド送り機構4は、上記加工ヘッドの昇降方向と平行な方
向に配設されたボールねじ装置のねじ軸41と、このね
じ軸に螺合するボールねじナット42と、後述する偏心
カム51に立設された偏心ピン52を介して揺動自在に
配設されたアーム43と、カップリング44を介して上
記ねじ軸に連結されたヘッド送り込みモータ45とから
構成されており、上記アーム43の一端は前述したスラ
イド軸受21のスライダ21bに連結される一方、他端
はカムフォロア(図示せず)を介して上記ボールねじナ
ット42に連結されている。
【0023】従って、このヘッド送り機構4では上記ヘ
ッド送り込みモータ45を回転させて所定の回転方向及
び回転量を上記ねじ軸41に与えると、このねじ軸41
に螺合するボールねじナット42が該ねじ軸41上を所
定の距離だけ上昇あるいは下降し、一端を該ボールねじ
ナット42に連結したアーム43が上記偏心ピン52を
支点として揺動する。そして、かかるアーム43の他端
にはスライダ21bが連結されていることから、この実
施例の加工装置ではヘッド送り込みモータ45を回転さ
せると加工ヘッド1と共にスライダ21bが装置コラム
2上を上昇あるいは下降し、加工ヘッド1がワーク取付
台3に対して進退することとなる。
ッド送り込みモータ45を回転させて所定の回転方向及
び回転量を上記ねじ軸41に与えると、このねじ軸41
に螺合するボールねじナット42が該ねじ軸41上を所
定の距離だけ上昇あるいは下降し、一端を該ボールねじ
ナット42に連結したアーム43が上記偏心ピン52を
支点として揺動する。そして、かかるアーム43の他端
にはスライダ21bが連結されていることから、この実
施例の加工装置ではヘッド送り込みモータ45を回転さ
せると加工ヘッド1と共にスライダ21bが装置コラム
2上を上昇あるいは下降し、加工ヘッド1がワーク取付
台3に対して進退することとなる。
【0024】このとき、上記加工ヘッド1のワーク取付
台3に対する送り量は上記ボールねじナット42の移動
量に比例することから、この実施例では上記ヘッド送り
込みモータ44の回転方向および回転量を調整すること
により、任意の送り量で加工ヘッド1を進退させること
ができる。
台3に対する送り量は上記ボールねじナット42の移動
量に比例することから、この実施例では上記ヘッド送り
込みモータ44の回転方向および回転量を調整すること
により、任意の送り量で加工ヘッド1を進退させること
ができる。
【0025】次に、上記振動発生機構5は、上記アーム
43に係合する偏心ピン52が立設された偏心カム51
と、この偏心カム51を回転自在に支承する支持台53
と、タイミングベルト56を介して上記偏心カム51を
所定の回転数で回転させるヘッド振動モータ55とから
構成されている。ここで、上記偏心ピン52はアーム4
3に形成されたスリットに対して嵌合しており、偏心カ
ム51の回転にあわせて該スリット46内を自在に移動
し得るようになっている。
43に係合する偏心ピン52が立設された偏心カム51
と、この偏心カム51を回転自在に支承する支持台53
と、タイミングベルト56を介して上記偏心カム51を
所定の回転数で回転させるヘッド振動モータ55とから
構成されている。ここで、上記偏心ピン52はアーム4
3に形成されたスリットに対して嵌合しており、偏心カ
ム51の回転にあわせて該スリット46内を自在に移動
し得るようになっている。
【0026】このような振動発生機構5において、上記
ヘッド振動モータ55を回転させて所定の回転数を偏心
カム51に与えると、上記偏心ピン52が該偏心カム5
1の回転軸の周囲を公転し、かかる偏心ピン52に係合
するアーム43が小刻みに揺動する。このとき、上記ア
ーム43の一端43aはボールねじナット42に連結さ
れており、かかるボールねじナット42はねじ軸41に
よってその上下動が拘束されていることから、アーム4
3は常に上記スライダ21bに連結された他端43bを
揺動させることになる。
ヘッド振動モータ55を回転させて所定の回転数を偏心
カム51に与えると、上記偏心ピン52が該偏心カム5
1の回転軸の周囲を公転し、かかる偏心ピン52に係合
するアーム43が小刻みに揺動する。このとき、上記ア
ーム43の一端43aはボールねじナット42に連結さ
れており、かかるボールねじナット42はねじ軸41に
よってその上下動が拘束されていることから、アーム4
3は常に上記スライダ21bに連結された他端43bを
揺動させることになる。
【0027】従って、上記ヘッド振動モータ55を回転
させると、アーム43はボールねじナット42に連結さ
れた一端を中心として小刻みに揺動し、スライダ21b
に保持された加工ヘッド1には偏心カム51の回転数に
応じた周波数の上下振動が発生する。この際、加工ヘッ
ド1に生じる振動は上記ヘッド振動モータ55の回転数
を調整することで例えば0〜100Hz程度の低周波振
動とすることができる。
させると、アーム43はボールねじナット42に連結さ
れた一端を中心として小刻みに揺動し、スライダ21b
に保持された加工ヘッド1には偏心カム51の回転数に
応じた周波数の上下振動が発生する。この際、加工ヘッ
ド1に生じる振動は上記ヘッド振動モータ55の回転数
を調整することで例えば0〜100Hz程度の低周波振
動とすることができる。
【0028】また、この実施例の振動発生機構5では低
周波振動の振幅を自在に調整すべく、上記支持台53を
スライド軸受54上に立設し、かかる支持台53が偏心
カム51と共に水平方向へ自在に移動し得るように構成
すると共に、この支持台53にはねじ軸60を螺合さ
せ、該ねじ軸60を振幅調整モータ61で回転させるこ
とで、偏心カム51のアーム43に対する係合位置を該
アーム43の長手方向に沿って移動できるように構成し
た。
周波振動の振幅を自在に調整すべく、上記支持台53を
スライド軸受54上に立設し、かかる支持台53が偏心
カム51と共に水平方向へ自在に移動し得るように構成
すると共に、この支持台53にはねじ軸60を螺合さ
せ、該ねじ軸60を振幅調整モータ61で回転させるこ
とで、偏心カム51のアーム43に対する係合位置を該
アーム43の長手方向に沿って移動できるように構成し
た。
【0029】このように偏心カム51のアーム43に対
する係合位置を該アーム43の長手方向に沿って変更す
ると、ボールねじナット42に連結されたアーム43の
端部と該アーム43に差し込まれている偏心ピン52と
の距離が変化することとなるので、ヘッド振動モータ5
5の回転によって生じるアーム43の揺動幅が変化する
ことになる。従って、上記振幅調整モータ61を回転さ
せて上記支持台53の立設位置を適宜変更することによ
り、上記加工ヘッド1に生じる低周波振動の振幅を例え
ば0.1μm〜5μmの範囲で自在に調整することがで
きる。
する係合位置を該アーム43の長手方向に沿って変更す
ると、ボールねじナット42に連結されたアーム43の
端部と該アーム43に差し込まれている偏心ピン52と
の距離が変化することとなるので、ヘッド振動モータ5
5の回転によって生じるアーム43の揺動幅が変化する
ことになる。従って、上記振幅調整モータ61を回転さ
せて上記支持台53の立設位置を適宜変更することによ
り、上記加工ヘッド1に生じる低周波振動の振幅を例え
ば0.1μm〜5μmの範囲で自在に調整することがで
きる。
【0030】図2は、本実施例の加工装置によって行わ
れる微細孔加工の一例を、加工ヘッド1のストローク量
と時間との関係から示した工程図である。加工の開始に
当たり、先ずはヘッド振動モータ55を回転させて加工
ヘッド1に低周波振動を与え、この状態でヘッド送り込
みモータ45を高速で回転させて加工ヘッド1を加工ス
タート位置(送り量0mm)に設定する。加工ヘッド1
が加工スタート位置に到達したならば、ヘッド送り込み
モータ45を極低速で回転させて加工ヘッド1を降下さ
せ、ワークに対する加工用ドリル10の切り込みを開始
する。
れる微細孔加工の一例を、加工ヘッド1のストローク量
と時間との関係から示した工程図である。加工の開始に
当たり、先ずはヘッド振動モータ55を回転させて加工
ヘッド1に低周波振動を与え、この状態でヘッド送り込
みモータ45を高速で回転させて加工ヘッド1を加工ス
タート位置(送り量0mm)に設定する。加工ヘッド1
が加工スタート位置に到達したならば、ヘッド送り込み
モータ45を極低速で回転させて加工ヘッド1を降下さ
せ、ワークに対する加工用ドリル10の切り込みを開始
する。
【0031】切り込みの開始当初(図2では0.5se
c)に加工ヘッド1を極めて低速で送るのは、加工位置
に正確を期すためであり、かかる時間が経過した後は加
工ヘッド1の送り速度を若干向上させて加工を続行す
る。このような加工ヘッド1の送り速度の制御はセラミ
ックス等の難削材の微細孔加工に適しており、ワークが
ステンレス材(SUS)等のように比較的軟らかく削り
易いものである場合は、切り込み開始当初から均一な送
り速度で加工を行うことができる。
c)に加工ヘッド1を極めて低速で送るのは、加工位置
に正確を期すためであり、かかる時間が経過した後は加
工ヘッド1の送り速度を若干向上させて加工を続行す
る。このような加工ヘッド1の送り速度の制御はセラミ
ックス等の難削材の微細孔加工に適しており、ワークが
ステンレス材(SUS)等のように比較的軟らかく削り
易いものである場合は、切り込み開始当初から均一な送
り速度で加工を行うことができる。
【0032】この後、加工用ドリル10がワークに対し
て一定量(図2では0.01mm)だけ切り込んだなら
ば、ヘッド振動モータ55の回転はそのままに、ヘッド
送り込みモータ45を高速で逆転させて加工用ヘッド1
を上昇させ、加工用ドリル10の先端を一時的にワーク
から引き抜いた後、すぐさまヘッド送り込みモータ45
を高速で正転させて、加工用ドリル1を元の加工位置に
まで再度送り込む。このように加工用ドリル10を高速
でワークから引き抜くと、かかる引き抜きに伴って切削
粉が加工中の微細孔から排出される一方、加工ヘッド1
に印加されている低周波振動によって加工用ドリル10
に付着した切削粉も払い落とされるので、加工速度の著
しい向上を図ることが可能となる。
て一定量(図2では0.01mm)だけ切り込んだなら
ば、ヘッド振動モータ55の回転はそのままに、ヘッド
送り込みモータ45を高速で逆転させて加工用ヘッド1
を上昇させ、加工用ドリル10の先端を一時的にワーク
から引き抜いた後、すぐさまヘッド送り込みモータ45
を高速で正転させて、加工用ドリル1を元の加工位置に
まで再度送り込む。このように加工用ドリル10を高速
でワークから引き抜くと、かかる引き抜きに伴って切削
粉が加工中の微細孔から排出される一方、加工ヘッド1
に印加されている低周波振動によって加工用ドリル10
に付着した切削粉も払い落とされるので、加工速度の著
しい向上を図ることが可能となる。
【0033】そして、このような加工用ドリル10の一
時的な引き抜き動作は、加工用ドリルがワークに対して
所定量だけ切り込む度毎に繰り返し行われ、加工用ドリ
ル10の先端が加工終了位置にまで到達したならば、ヘ
ッド送り込みモータ45を高速で逆転させて加工用ドリ
ル10をワークから引き抜き、微細孔の加工は終了す
る。
時的な引き抜き動作は、加工用ドリルがワークに対して
所定量だけ切り込む度毎に繰り返し行われ、加工用ドリ
ル10の先端が加工終了位置にまで到達したならば、ヘ
ッド送り込みモータ45を高速で逆転させて加工用ドリ
ル10をワークから引き抜き、微細孔の加工は終了す
る。
【0034】次に、本発明における加工方法の効果を確
認するために、本願発明者が上記加工装置を用いて実際
に行った微細孔加工の結果について記載する。先ずは、
本発明方法における微細孔の加工速度が従来よりも高速
であることを確認するため、加工ヘッドに低周波振動を
印加した場合と印加しなかった場合の双方について、同
一の加工速度でワークに微細孔を形成してみた。被削材
となるワークは板厚0.2mmのステンレス材であり、
前述の加工装置の加工ヘッドに直径0.005mmの超
硬ドリルを装着して、主軸回転数2万rpmで微細孔を
貫通形成した。また、加工ヘッドの送り速度は0.01
mm/secとし、かかる加工ヘッドに印加する低周波
振動は周波数25Hz、振幅1μmとした。
認するために、本願発明者が上記加工装置を用いて実際
に行った微細孔加工の結果について記載する。先ずは、
本発明方法における微細孔の加工速度が従来よりも高速
であることを確認するため、加工ヘッドに低周波振動を
印加した場合と印加しなかった場合の双方について、同
一の加工速度でワークに微細孔を形成してみた。被削材
となるワークは板厚0.2mmのステンレス材であり、
前述の加工装置の加工ヘッドに直径0.005mmの超
硬ドリルを装着して、主軸回転数2万rpmで微細孔を
貫通形成した。また、加工ヘッドの送り速度は0.01
mm/secとし、かかる加工ヘッドに印加する低周波
振動は周波数25Hz、振幅1μmとした。
【0035】その結果、低周波振動を印加した本発明方
法では微細孔を貫通形成することができたが、低周波振
動を印加しない場合には加工用ドリルがワークと当接し
た直後に折れ曲がってしまった。また、低周波振動を印
加しない場合には、加工速度を0.005mm/sec
とすれば、加工用ドリルを折り曲げることなく微細孔を
貫通形成することができた。これにより、本発明方法に
よる微細孔の加工速度が従来方法に比較して如何に高速
であるかが確認された。
法では微細孔を貫通形成することができたが、低周波振
動を印加しない場合には加工用ドリルがワークと当接し
た直後に折れ曲がってしまった。また、低周波振動を印
加しない場合には、加工速度を0.005mm/sec
とすれば、加工用ドリルを折り曲げることなく微細孔を
貫通形成することができた。これにより、本発明方法に
よる微細孔の加工速度が従来方法に比較して如何に高速
であるかが確認された。
【0036】次に、本発明方法によって形成した微細孔
の形状の良否を確認するため、ワークに数個の微細孔を
穿設し、かかる微細孔の真円度を測定すると共に倍率約
120倍で微細孔の開口部を撮影して、微細孔の縁に亀
裂や欠けが生じているか否かを確認した。被削材となる
ワークは板厚0.2mmの工具鋼SK3であり、前述の
加工装置の加工ヘッドに直径0.05mmの超硬ドリル
を装着して、主軸回転数2万rpmで数個の微細孔を貫
通形成した。また、加工ヘッドの1回の送り量は0.0
1mm、送り速度は0.01mm/secとすると共
に、加工ヘッドに印加する低周波振動は周波数25H
z、振幅1μmとし、図2に示す加工方法と同一の加工
方法でワークに貫通孔を形成した。以下の表1に真円度
の測定結果を示す。
の形状の良否を確認するため、ワークに数個の微細孔を
穿設し、かかる微細孔の真円度を測定すると共に倍率約
120倍で微細孔の開口部を撮影して、微細孔の縁に亀
裂や欠けが生じているか否かを確認した。被削材となる
ワークは板厚0.2mmの工具鋼SK3であり、前述の
加工装置の加工ヘッドに直径0.05mmの超硬ドリル
を装着して、主軸回転数2万rpmで数個の微細孔を貫
通形成した。また、加工ヘッドの1回の送り量は0.0
1mm、送り速度は0.01mm/secとすると共
に、加工ヘッドに印加する低周波振動は周波数25H
z、振幅1μmとし、図2に示す加工方法と同一の加工
方法でワークに貫通孔を形成した。以下の表1に真円度
の測定結果を示す。
【0037】
【表1】
【0038】この測定結果から明らかなように、穿設し
た直径50μm(0.05mm)の微細孔に関し、直径
の誤差はいずれも数μmであり、真円度も2μmの範囲
内に収まった。また、撮影した微細孔の形状を確認した
ところ、亀裂や欠けは認められず、綺麗な円形をなして
いた。これにより、本発明方法における加工用ドリルの
切れ味が如何に優れているかを確認することができた。
た直径50μm(0.05mm)の微細孔に関し、直径
の誤差はいずれも数μmであり、真円度も2μmの範囲
内に収まった。また、撮影した微細孔の形状を確認した
ところ、亀裂や欠けは認められず、綺麗な円形をなして
いた。これにより、本発明方法における加工用ドリルの
切れ味が如何に優れているかを確認することができた。
【0039】また、ワーク上における微細孔の加工位置
精度を確認するため、図3に示すようにワークに対して
1mm間隔で微細孔を加工し、X方向における微細孔の
間隔d1 とY方向における位置ずれ量d2 を測定した。
ワークは市販のXYテーブルに固定し、X方向に1mm
ピッチで送りながら微細孔の穿設を行った。また、被削
材となるワークは板厚0.2mmのマシナブルセラミッ
クス(商品名:ホトベール)であり、前述の加工装置の
加工ヘッドにやはり直径0.01mmの超硬ドリルを装
着して、主軸回転数3万rpmで数個の微細孔を貫通形
成した。また、加工ヘッドの1回の送り量は0.01m
m、送り速度は0.01mm/secとすると共に、加
工ヘッドに印加する低周波振動は周波数25Hz、振幅
1μmとし、図2に示す加工方法と同一の加工方法でワ
ークに貫通孔を形成した。以下の表2に測定結果を示
す。
精度を確認するため、図3に示すようにワークに対して
1mm間隔で微細孔を加工し、X方向における微細孔の
間隔d1 とY方向における位置ずれ量d2 を測定した。
ワークは市販のXYテーブルに固定し、X方向に1mm
ピッチで送りながら微細孔の穿設を行った。また、被削
材となるワークは板厚0.2mmのマシナブルセラミッ
クス(商品名:ホトベール)であり、前述の加工装置の
加工ヘッドにやはり直径0.01mmの超硬ドリルを装
着して、主軸回転数3万rpmで数個の微細孔を貫通形
成した。また、加工ヘッドの1回の送り量は0.01m
m、送り速度は0.01mm/secとすると共に、加
工ヘッドに印加する低周波振動は周波数25Hz、振幅
1μmとし、図2に示す加工方法と同一の加工方法でワ
ークに貫通孔を形成した。以下の表2に測定結果を示
す。
【0040】
【表2】
【0041】この測定結果から明らかなように、X方向
の間隔は1mmの送り量に対して略6μm以下の誤差と
なり、また、Y方向のずれ量も6μm以下となった。ワ
ーク送りに使用したXYテーブルの移動誤差が±3〜7
μm程度含まれていることを考慮すると、微細孔の加工
位置精度は極めて良好なものとなっている。これによ
り、加工用ドリルのワークに対する送り速度が早い場合
であっても、ワークとの当接によって加工用ドリルが湾
曲していないことが判明し、この点においても本発明方
法による加工用ドリルの切れ味が如何に優れているかが
確認された。
の間隔は1mmの送り量に対して略6μm以下の誤差と
なり、また、Y方向のずれ量も6μm以下となった。ワ
ーク送りに使用したXYテーブルの移動誤差が±3〜7
μm程度含まれていることを考慮すると、微細孔の加工
位置精度は極めて良好なものとなっている。これによ
り、加工用ドリルのワークに対する送り速度が早い場合
であっても、ワークとの当接によって加工用ドリルが湾
曲していないことが判明し、この点においても本発明方
法による加工用ドリルの切れ味が如何に優れているかが
確認された。
【0042】
【発明の効果】以上説明してきたように、本発明の微細
孔加工方法及びその装置によれば、所定の回転数で回転
する加工用ドリルに対して低周波振動を印加すること
で、かかる加工用ドリルのワークに対する切れ味が向上
し、ワークに対して直径が数十μm程度の微細孔を加工
する際にその加工速度を高めても加工用ドリルが折れ曲
がることがなく、しかも微細孔の加工位置に正確を期す
ることができると共に、真円度の高い良好な微細孔を形
成することが可能となる。
孔加工方法及びその装置によれば、所定の回転数で回転
する加工用ドリルに対して低周波振動を印加すること
で、かかる加工用ドリルのワークに対する切れ味が向上
し、ワークに対して直径が数十μm程度の微細孔を加工
する際にその加工速度を高めても加工用ドリルが折れ曲
がることがなく、しかも微細孔の加工位置に正確を期す
ることができると共に、真円度の高い良好な微細孔を形
成することが可能となる。
【図1】 本発明の微細孔加工方法を実施可能な微細孔
加工装置の実施例を示す概略図である。
加工装置の実施例を示す概略図である。
【図2】 本発明の微細孔加工方法における加工用ドリ
ルの送り量と時間との関係を示すグラフである。
ルの送り量と時間との関係を示すグラフである。
【図3】 ワーク上における微細孔の加工位置精度を実
測した方法の概略を示す図である。
測した方法の概略を示す図である。
1…加工ヘッド、2…装置コラム、10…加工用ドリ
ル、41…ねじ軸、42…ボールねじナット、43…ア
ーム、45…ヘッド送り込みモータ、51…偏心カム、
55…ヘッド振動モータ
ル、41…ねじ軸、42…ボールねじナット、43…ア
ーム、45…ヘッド送り込みモータ、51…偏心カム、
55…ヘッド振動モータ
Claims (5)
- 【請求項1】 ワークに対して微細孔を穿設する加工方
法であって、 加工用ドリルを所定回転数で回転させると共に、この加
工用ドリルのワークに対する切り込み方向と平行な方向
の低周波振動を該加工用ドリルに対して印加し、この状
態で上記加工用ドリルをワークに対して切り込ませるこ
とを特徴とする微細孔加工方法。 - 【請求項2】 請求項1記載の微細孔加工方法におい
て、上記加工用ドリルがワークに対して所定量潜り込む
度毎に加工用ドリルをワークから一旦引き抜き、かかる
動作を繰り返すことによって所望の深さの微細孔をワー
クに対して穿設することを特徴とする微細孔加工方法。 - 【請求項3】 請求項1又は2記載のいずれかの微細孔
加工方法に用いる加工装置であって、加工用ドリルが装
着されると共に該加工用ドリルを所定の回転数で回転さ
せる加工ヘッドと、この加工ヘッドをワークに対して昇
降させる送り手段と、この送り手段によって昇降する加
工ヘッドに対し、かかる昇降方向と平行な方向の低周波
振動を与える振動発生手段とを備えたことを特徴とする
微細孔加工装置。 - 【請求項4】 請求項3記載の微細孔加工装置におい
て、上記振動発生手段が加工ヘッドに対して与える低周
波振動は、周波数200Hz以下、振幅5μm以下であ
ることを特徴とする微細孔加工装置。 - 【請求項5】 請求項3又は4記載の微細孔加工装置に
おいて、上記送り手段及び振動発生手段が、上記加工ヘ
ッドを装置コラムに対して昇降自在に支持するヘッド移
動手段と、上記装置コラムに対して加工ヘッドの昇降方
向と平行に配設されるねじ軸と、このねじ軸に螺合する
ナット部材と、偏心カムを支点として揺動自在に支承さ
れ、一端が上記ヘッド移動手段に連結されると共に他端
が上記ナット部材に連結されたアームと、上記ねじ軸を
回転させて上記ナット部材を適宜昇降させ、上記加工ヘ
ッドをワークに対して進退させるヘッド送り込みモータ
と、上記偏心カムを回転させ、該偏心カムに支承された
上記アームをそのナット部材側の端部を支点として揺動
させるヘッド振動モータとから構成されることを特徴と
する微細孔加工装置。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP9388097A JPH10286708A (ja) | 1997-04-11 | 1997-04-11 | 微細孔加工方法及びこれに用いる加工装置 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP9388097A JPH10286708A (ja) | 1997-04-11 | 1997-04-11 | 微細孔加工方法及びこれに用いる加工装置 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH10286708A true JPH10286708A (ja) | 1998-10-27 |
Family
ID=14094800
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP9388097A Pending JPH10286708A (ja) | 1997-04-11 | 1997-04-11 | 微細孔加工方法及びこれに用いる加工装置 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JPH10286708A (ja) |
Cited By (6)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
CN100408238C (zh) * | 2005-08-02 | 2008-08-06 | 太原科技大学 | 低频轴向振动钻削方法及其装置 |
DE112008002220T5 (de) | 2007-08-17 | 2010-08-26 | YANAGISAWA-GIKEN Co., Ltd., Isesaki | Schrägfeinloch-Bearbeitungsverfahren |
CN102717115A (zh) * | 2012-06-14 | 2012-10-10 | 北京航空航天大学 | 一种弱刚度零件高速断续超声振动切削加工方法 |
CN104001958A (zh) * | 2014-05-13 | 2014-08-27 | 哈尔滨东安发动机(集团)有限公司 | 一种深孔变径内腔的加工方法 |
JP2017520414A (ja) * | 2014-05-26 | 2017-07-27 | ノバトール アーベー | ワークピースを加工するための方法、システム、コンピュータプログラム、およびコンピュータプログラム製品 |
JP2021153131A (ja) * | 2020-03-24 | 2021-09-30 | 三菱マテリアル株式会社 | プラズマ処理装置用電極板の製造方法及びプラズマ処理装置用電極板 |
-
1997
- 1997-04-11 JP JP9388097A patent/JPH10286708A/ja active Pending
Cited By (8)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
CN100408238C (zh) * | 2005-08-02 | 2008-08-06 | 太原科技大学 | 低频轴向振动钻削方法及其装置 |
DE112008002220T5 (de) | 2007-08-17 | 2010-08-26 | YANAGISAWA-GIKEN Co., Ltd., Isesaki | Schrägfeinloch-Bearbeitungsverfahren |
CN102717115A (zh) * | 2012-06-14 | 2012-10-10 | 北京航空航天大学 | 一种弱刚度零件高速断续超声振动切削加工方法 |
CN104001958A (zh) * | 2014-05-13 | 2014-08-27 | 哈尔滨东安发动机(集团)有限公司 | 一种深孔变径内腔的加工方法 |
JP2017520414A (ja) * | 2014-05-26 | 2017-07-27 | ノバトール アーベー | ワークピースを加工するための方法、システム、コンピュータプログラム、およびコンピュータプログラム製品 |
US10150166B2 (en) | 2014-05-26 | 2018-12-11 | Novator Ab | Method, system, computer programme and a computer programme product for working of a work piece |
JP2021153131A (ja) * | 2020-03-24 | 2021-09-30 | 三菱マテリアル株式会社 | プラズマ処理装置用電極板の製造方法及びプラズマ処理装置用電極板 |
WO2021192481A1 (ja) * | 2020-03-24 | 2021-09-30 | 三菱マテリアル株式会社 | プラズマ処理装置用電極板の製造方法及びプラズマ処理装置用電極板 |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
WO2003061886A1 (fr) | Machine d'usinage par ultrasons et pointe utilisee pour ledit usinage | |
JP2010131689A (ja) | 細穴放電加工機によるテーパ穴の加工方法および同方法に使用する細穴放電加工機 | |
JP2002540993A (ja) | ダイヤモンドインプリグネイテッドワイヤを利用して、工作物をスライスするロッキング装置および方法 | |
JP2001287119A (ja) | 細穴放電加工方法および細穴放電加工装置 | |
JP2006305661A (ja) | 超音波振動加工装置及び超音波振動加工装置に用いる電着工具の製作方法 | |
JP2008000971A (ja) | サファイア単結晶ブロックの製造方法及び装置 | |
JPH10286708A (ja) | 微細孔加工方法及びこれに用いる加工装置 | |
JP2013176820A (ja) | テーパ孔の放電加工方法および放電加工装置 | |
JP2003311541A (ja) | ワイヤ放電加工機に着脱可能な細穴放電加工装置 | |
JP2010115724A (ja) | 形鋼用穿孔装置 | |
JP3629281B2 (ja) | 超音波穴明け加工方法及びそのための加工装置 | |
CN110560755B (zh) | 一种工件角度调节装置及铣削装置 | |
JPH08155799A (ja) | 超音波微細孔加工装置 | |
JPH1071513A (ja) | 超音波微細孔加工装置 | |
CN114273800A (zh) | 一种适用于不锈钢工件的超快激光打孔方法及系统 | |
JP4140877B2 (ja) | 細穴放電加工装置 | |
JP2003251509A (ja) | 精密加工用治具、加工装置及び精密加工方法 | |
CN113977113B (zh) | 宝石测量头的盲孔加工工艺方法 | |
JP2001150248A (ja) | 細孔の加工方法及び装置 | |
JPH0115453Y2 (ja) | ||
JP2000354914A (ja) | 放電加工機 | |
JP2004160586A (ja) | 部品加工装置及び方法 | |
JP3881987B2 (ja) | ホーニングツール、ホーニング盤およびホーニング加工方法 | |
JP3111423B2 (ja) | 深孔用放電加工装置及び深孔の放電加工方法 | |
JPS6156805A (ja) | 曲面加工方法 |