JPH10286696A - 溶接スラグ除去装置 - Google Patents

溶接スラグ除去装置

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JPH10286696A
JPH10286696A JP9603697A JP9603697A JPH10286696A JP H10286696 A JPH10286696 A JP H10286696A JP 9603697 A JP9603697 A JP 9603697A JP 9603697 A JP9603697 A JP 9603697A JP H10286696 A JPH10286696 A JP H10286696A
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welding
groove
circular groove
rotary table
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 平面視円状で開先深さが深く開先幅の狭い円
状深溝狭開先のサブマージアーク溶接においてもスラグ
を自動的、かつ確実に除去できる溶接スラグ除去装置を
実現すること。 【解決手段】 平面視円状の開先部のサブマージアーク
溶接時に生じるスラグを自動的に除去する溶接スラグ除
去装置であって、円状開先部Gの半径方向の中心位置を
中心としてこの円状開先部の周りを回転可能な回転テー
ブル42を有し、この回転テーブル42上に、円状開先
部Gに形成される溶接ビードによるスラグを剥離し破砕
するスラグ破砕装置12,21と、このスラグ破砕装置
によって剥離し破砕されたスラグを吸引し、開先外へ排
出するスラグ吸引装置29とを設けるたことを特徴とす
る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、平面視円状の開
先部のサブマージアーク溶接時に生じるスラグを除去す
る溶接スラグ除去装置に関し、開先深さが深く開先幅の
狭い円状深溝狭開先の溶接においてもスラグを自動的、
かつ確実に除去しうるようにした溶接スラグ除去装置に
関するものである。
【0002】
【従来の技術】周知のように、サブマージアーク溶接で
は、開先部の被溶接面に予め散布された粉状のフラック
スの中へ溶接用ワイヤを送り込み、フラックスに覆われ
た状態で溶接用ワイヤ先端と被溶接面との間にアークを
発生させて溶接ビードを形成する溶接法であることか
ら、フラックスが熱で溶けてガラス状のスラグが生成
し、溶接ビード表面にこれを覆うようにスラグが固着す
るので、溶接ビードを形成するごとに、スラグを除去す
る必要がある。このサブマージアーク溶接は、ガスシー
ルドメタルアーク溶接に比べて太径の溶接用ワイヤに大
電流の通電が可能で溶着速度が大きいことから、厚板の
溶接、例えば板厚50〜400mm程度の厚肉大形の圧
力容器の製作時の溶接にも広く採用されている。
【0003】この厚肉大形の圧力容器の製作において、
円筒状の胴体に胴体ノズルを溶接する場合には、いわゆ
るセットインタイプとして胴体に胴体ノズルを差し込
み、平面視円状で底部アール付きのU形断面の円状深溝
狭開先(図9参照)を形成した後、下向姿勢で前記開先
部のサブマージアーク溶接による多層溶接を行ってい
る。従来、このような平面視円状で開先深さが深く開先
幅の狭い円状深溝狭開先の溶接でのスラグの除去作業
は、作業者による手作業が一般的であった。すなわち、
作業者が、長尺のタガネ又はエアーチッパを上方から狭
隘な開先内に入れて、スラグを打撃して剥離・破砕し、
空気吸引源に接続されたスラグ吸引ノズルを破砕された
スラグに目掛けて狭隘な開先内へ差し入れ、破砕された
スラグをこのノズルにて吸引して開先外へ排出するよう
にしていた。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら前記従来
の手作業によるスラグ除去では、平面視円状の開先部、
特に円状深溝狭開先の場合、開先部が深く狭隘なため、
開先内のスラグの様子が非常に見にくいこと、長尺のタ
ガネ,エアーチッパやスラグ吸引ノズルによるスラグ除
去操作がやりにくいこと、さらに開先部が開先上方以外
が閉じられている凹状空間部であるため、開先内から破
砕されたスラグを掻きだす(直線状継手などでは可能)
ことができないこと等から、スラグ除去に時間がかかっ
ていた。このため、多層溶接(例えば開先深さ300m
mでは1層2パスにて70層程度)では各層ごとに溶接
を止め、スラグ除去作業を終了してから次層のサブマー
ジアーク溶接を行うようにしており、このために初層か
ら最終層までの連続溶接ができず、溶接能率が悪く、ま
た、各層ごとにおける溶接開始部分で溶け込み不良等の
溶接欠陥が発生し易いという不具合があった。また、手
作業のため作業者に多大な負担を強いていた。
【0005】そこでこの発明の目的は、平面視円状で開
先深さが深く開先幅の狭い円状深溝狭開先のサブマージ
アーク溶接においてもスラグを自動的、かつ確実に除去
することができる溶接スラグ除去装置を提供することに
ある。
【0006】
【課題を解決するための手段】本願の請求項1の溶接ス
ラグ除去装置は、平面視円状の開先部のサブマージアー
ク溶接時に生じるスラグを自動的に除去する溶接スラグ
除去装置であって、前記円状開先部の半径方向の中心位
置を中心としてこの円状開先部の周りを回転可能な回転
テーブルを有し、この回転テーブル上に、前記円状開先
部に形成される溶接ビードによるスラグを剥離し破砕す
るスラグ破砕装置と、このスラグ破砕装置によって剥離
し破砕されたスラグを吸引し、開先外へ排出するスラグ
吸引装置とを設けたことを特徴とするものである。
【0007】請求項2の溶接スラグ除去装置は、請求項
1の溶接スラグ除去装置において、前記スラグ破砕装置
が、開先深さ方向に延びる棒状体の先端部にスラグへ上
方より垂直に衝突させるハンマーヘッドを取り付けたハ
ンマーを繰り返し重力落下させて、スラグを剥離し破砕
する複数のスラグ破砕機を有した構成としたものであ
り、また請求項3の溶接スラグ除去装置は、請求項1又
は2の溶接スラグ除去装置において、前記スラグ吸引装
置を、スラグ吸引ノズルと、このスラグ吸引ノズルの下
流側からスラグ吸引ノズル口へ向けてエアーを吹きつけ
るエアーブローノズルとを有した構成としたものであ
る。
【0008】また、請求項4の溶接スラグ除去装置は、
請求項1〜3のいずれか1項の溶接スラグ除去装置にお
いて、回転テーブルのスラグ破砕装置上流側位置に、開
先深さ方向に延びる棒状体の先端部に剥離したスラグの
上方への浮き上がりを阻止するスラグ押え片が取り付け
られたスラグ押えを設けたことを特徴とするものであ
る。
【0009】この発明による溶接スラグ除去装置では、
平面視円状の開先部の周りを回転可能な回転テーブルを
有し、この回転テーブルにおける、溶接トーチ,フラッ
クス散布ノズル,フラックス回収ノズル等を備えた溶接
機構の下流側位置に、溶接機構より順にスラグ破砕装置
とスラグ吸引装置とを設けており、回転テーブルを回転
させながら溶接を行いつつ、スラグ破砕装置によって溶
接ビード表面のスラグを剥離し破砕し、この破砕された
スラグをスラグ吸引装置で吸引し、開先外へ排出するこ
とにより、深くて狭い円状深溝狭開先のサブマージアー
ク溶接においてもスラグを自動的、かつ確実に除去する
ことができる。
【0010】前記スラグ破砕装置は、棒状体の先端部に
ハンマーヘッドを持つハンマーを繰り返して自重による
重力落下させる複数のスラグ破砕機を有した構成のもの
がよい。このスラグ破砕機は、深くて狭い開先にも小ス
ペースで出入りしうる前記ハンマーを繰り返し重力落下
させるようにしたものであって、モータによる回転運動
をハンマーの上下運動に変えるという簡単な構造でスラ
グを剥離し破砕することができ、また、ハンマー重量,
ハンマー落下高さ,単位時間当たりの落下回数などが必
要に応じて容易に変更できる。さらにまた、複数のスラ
グ破砕機を、例えば1次破砕用、2次破砕用などとして
円状開先部に沿うように回転テーブル上に順に設けるこ
とによって、スラグを確実に除去することができる。
【0011】また前記スラグ吸引装置は、スラグ吸引ノ
ズルとエアーブローノズルとを有した構成のものがよ
い。このスラグ吸引装置では、スラグ吸引ノズルの下流
側からエアーブローノズルによってスラグ吸引ノズル口
へ向けてエアーを吹きつけるようにしたものであるか
ら、万一にもスラグ吸引ノズル位置を通過した破砕スラ
グがあっても、この残された破砕スラグはスラグ吸引ノ
ズルへ吹き戻されてこの吸引ノズルで吸引されるので、
スラグをより確実に除去することができる。
【0012】また、回転テーブルのスラグ破砕装置上流
側位置にスラグ押えを設けたものがよい。溶接条件によ
っては、生成したスラグが開先長手方向に沿って帯状に
一部自然剥離し、この帯状に剥離した部分が溶接ビード
上方へ浮き上がって折れ曲がり、2重,3重に重なるよ
うになる。帯状に剥離したスラグが重なると、細かく破
砕し難く、スラグ吸引ノズルで吸引し難くなる。そこで
スラグ押えを設けることにより、帯状に自然剥離したス
ラグが折り重なることがなく、スラグをより確実に除去
することができる。
【0013】
【発明の実施の形態】以下、この発明の実施の形態につ
いて図面を参照しながら説明する。図1はこの発明に係
る溶接スラグ除去装置を備えた、圧力容器の胴体に胴体
ノズルをサブマージアーク溶接(SAW)する胴体ノズ
ルSAW装置の概略構成図である。
【0014】図1において、61は鋼製圧力容器の円筒
状の胴体、62は胴体ノズルであり、胴体61に胴体ノ
ズル62を差し込み、平面視円状でこの例では底部アー
ル付きのU形断面の深溝狭開先を形成し、胴体ノズルS
AW装置により、下向姿勢で前記円状開先部Gを多層溶
接するようにしている(図9参照)。64はターニング
ロール、65は予熱用バーナである。
【0015】この例では、対象となる胴体61の寸法範
囲は、板厚tが100〜400mm,内径Dが3500
〜7000mmであり、円状開先部Gの開先径dは50
0〜1000mmである。なお、後述の回転テーブル4
2の大きさを変更することで、開先径が1000〜15
00mmのものにも適用できる。また、図9に示すこの
例での開先部Gの開先深さは300mm、開先底部の開
先幅は20mm、開先上端の開先幅は30mmであり、
初層は1層1パス、第2層から最終層までの各層は1層
2パス、仕上げ余盛層は3パスという約70層程度の多
層溶接を行うものである。
【0016】胴体ノズルSAW装置は、昇降および進退
可能なマニプレータブーム63の先端部に回転可能に取
り付けられ、その軸芯線が胴体ノズル62の軸芯線(円
状開先部Gの半径方向の中心)に一致するように胴体ノ
ズル62に対して位置決めされる円筒状の回転軸体41
と、この回転軸体41に固着されてこれと一体的に回転
する回転テーブル42と、回転テーブル42上に搭載し
て設けられた後述する溶接機構43と、同じく回転テー
ブル42上に設けられた後述する溶接スラグ除去装置1
1と、使用後のフラックスをフラックス吸引用ホースを
介して回収するフラックス回収機51と、溶接電源52
と、スラグ除去装置11で除去したスラグを吸引し収納
するスラグ回収機53とを備えて構成されている。な
お、前記の回転テーブル42は溶接スラグ除去装置11
の構成要素ともなるものである。
【0017】図2は図1の胴体ノズルSAW装置の要部
平面図、図3は図2に示す胴体ノズルSAW装置の矢視
A−A正面図、図4は図2に示す胴体ノズルSAW装置
の矢視B正面図、図5はこの発明に係るスラグ破砕機の
要部斜視図、図6はこの発明に係る1次破砕用ハンマー
のハンマーヘッドの構造説明図、図7はこの発明に係る
2次破砕用ハンマーのハンマーヘッドの構造説明図、図
8はこの発明の溶接スラグ除去装置を説明するための模
式的な側面図である。なお、図2は円状開先部Gの開先
径dが500mmの場合のものである。
【0018】図2に示すように、回転テーブル42は、
全体として平面視ドーナツ状(円環状)をなし、一方端
が回転軸体41外周面に固着され他端が半径方向へ延び
る4本の支持板により支持固定されて、回転軸体41と
一体的に回転するようになっており、溶接オペレータが
乗る床面部分には格子状をなすエキスパンドメタル部材
が用いられている。この回転テーブル42上に溶接機構
43と溶接スラグ除去装置11とが設けられている。
【0019】すなわち、44は回転テーブル42上に設
けられた溶接用2軸スライダである。この溶接用2軸ス
ライダ44は、溶接トーチ45,フラックス散布ノズル
46,フラックスホッパ47,ワイヤリールに巻かれた
状態で送給される溶接ワイヤ48及び溶接用制御盤(図
示省略)などを保持し、これらを上下方向(開先深さ方
向)に動かして多層溶接での各溶接層に対応させて溶接
トーチ45及び散布ノズル46の高さ位置を調節するた
めのモータ駆動式の上下用スライダ44aと、円状開先
部Gの開先径の変更などに対処すべく、上下用スライダ
44a全体を半径方向に動かして溶接トーチ45及びフ
ラックス散布ノズル46を円状開先部Gに対して進退さ
せるためのモータ駆動式の進退用スライダ44bとから
なっている(図3参照)。
【0020】49はフラックス回収ノズル用の2軸スラ
イダで、この2軸スライダ49は、、回転テーブル42
の前記溶接用2軸スライダ44下流側(回転テーブルの
反回転方向側)位置に設けられており、円状開先部G内
に位置させるフラックス回収ノズル50を保持し、これ
を上下方向に動かして回収ノズル50の高さ位置を調節
するためのモータ駆動式の上下用スライダ49aと、上
下用スライダ49a全体を半径方向に動かしてフラック
ス回収ノズル50を円状開先部Gに対して進退させるた
めの手動ハンドル式の進退用スライダ49bとからなっ
ている。フラックス回収ノズル50に接続されたフラッ
クス吸引用ホースFHは筒状の前記回転軸体41内を通
ってフラックス回収機51に接続されている。前記の溶
接用2軸スライダ44,溶接トーチ45,フラックス散
布ノズル46,フラックスホッパ47,溶接ワイヤ4
8,溶接用制御盤(図示省略),2軸スライダ49及び
フラックス回収ノズル50は、サブマージアーク溶接を
行うための溶接機構43を構成している。
【0021】12は1次破砕用スラグ破砕装置である。
このスラグ破砕装置12は、回転テーブル42の前記フ
ラックス回収ノズル用の2軸スライダ49下流側位置に
設けられており、後述する1次破砕用ハンマー16にて
スラグを剥離し破砕するスラグ破砕機13と、モータ駆
動式の上下用スライダ19aによってスラグ破砕機13
を保持しこれを上下方向に動かすことで多層溶接での各
溶接層に対応させてスラグ破砕機13の高さ位置を調節
し、手動ハンドル式の進退用スライダ19bによって上
下用スライダ19a全体を半径方向に動かすことでスラ
グ破砕機13を円状開先部Gに対して進退させる2軸ス
ライダ19とにより構成されている。
【0022】20は上下方向(開先深さ方向)に延びる
棒状体20aの先端部にそり状のスラグ押え片20bを
取り付けてなるスラグ押えであり(図8参照)、このス
ラグ押え20は、後述する前記1次破砕用ハンマー16
の上流側に位置し、前記上下用スライダ19aの昇降ス
ライドベースに連結されたブラケットに取り付けられて
いる。
【0023】21は2次破砕用スラグ破砕装置であり、
そのスラグ破砕機22に備えた破砕用ハンマーのハンマ
ーヘッドの構造が異なる点以外は前記1次破砕用スラグ
破砕装置21と同一構成のものである。すなわち、この
スラグ破砕装置21は、回転テーブル42の前記1次破
砕用スラグ破砕装置12下流側位置に設けられており、
1次破砕用ハンマー16により割られてはいるものの溶
接ビード表面にへばり付いているスラグを後述の2次破
砕用ハンマー25によって確実に剥離し細かく破砕する
スラグ破砕機22と、モータ駆動式の上下用スライダ2
8aによってスラグ破砕機22を保持するとともに破砕
機22の高さ位置を調節し、手動ハンドル式の進退用ス
ライダ28bによって上下用スライダ28a全体を動か
すことでスラグ破砕機22を円状開先部Gに対して進退
させる2軸スライダ28とにより構成されている。
【0024】次に前記2次破砕用スラグ破砕装置21の
スラグ破砕機22について、図2とともに図4、図5及
び図7をも参照しながら説明する。スラグ破砕機22
は、上下用スライダ28aの昇降スライドベースに固定
され、回転軸に回転用突起片23が取り付けられた減速
機付きモータ24と、断面円形で上下方向(開先深さ方
向)に延びる棒状体25aの先端部に焼入れされた鋼よ
りなるハンマーヘッド25bを溶接で取り付けた2次破
砕用ハンマー25と、ハンマー25の基端側の大径部に
取り付けられた上下動用突起片26と、モータ24によ
る回転用突起片23の回転運動をハンマー25の重力落
下式上下運動に変えるべく、落下時のハンマーヘッド2
5bの到達点を規制するとともに回転用突起片23によ
って繰り返し押し上げられる上下動用突起片26を上下
動可能に案内する切り欠き部を有し、前記昇降スライド
ベースに連結されたブラケットに固着されたハンマー案
内用円筒体27とにより構成されている。
【0025】なおここで、前述した1次破砕用のスラグ
破砕機13は、ハンマーヘッドの構造が異なる点以外は
前記破砕機22と同一構成であり、回転用突起片14が
取り付けられた減速機付きモータ15と、棒状体16a
の先端部にハンマーヘッド16bを取り付けた1次破砕
用ハンマー16と、ハンマー16の大径部に取り付けら
れた上下動用突起片17と、ハンマー案内用円筒体18
とにより構成されている。
【0026】次に、スラグへ上方より垂直に衝突させる
ハンマーヘッドを取り付けた破砕用ハンマーのハンマー
ヘッドについて説明する。1次破砕用ハンマー16のハ
ンマーヘッド16bは、開先長手方向(溶接方向)に沿
う広い範囲でスラグを剥離し破砕できるように、図6に
示すように先端を二股構造にしてある。一方、この下流
側に配される2次破砕用ハンマー25のハンマーヘッド
25bは、1次破砕用ハンマー16により割られてはい
るものの、溶接ビード表面や開先底部コーナーにへばり
付いているスラグを確実に剥離し細かく破砕するため、
図7に示すように開先幅方向寸法が長く、さらに1次破
砕用のものよりも底面積を小さくして面圧が大きくなる
ようにしてある。なお、破砕用ハンマー16,25の落
下高さ(落下距離)は60〜120mm程度の範囲に設
定し、1分間当たりの落下回数は50〜100回程度の
範囲に設定している。
【0027】前記の1次破砕、2次破砕用の両スラグ破
砕装置12,21は、円状開先部Gに形成される溶接ビ
ードによるスラグを剥離し破砕するスラグ破砕装置を構
成している。
【0028】次に、スラグ破砕装置12,21によって
剥離し破砕されたスラグを吸引し、これを開先外へ排出
するスラグ吸引装置29について、図2とともに図3及
び図8をも参照しながら説明する。このスラグ吸引装置
29は、回転テーブル42のスラグ破砕装置21下流側
位置に設けられており、スラグ吸引ノズル30と、これ
の下流側からスラグ吸引ノズル口へ向けてエアーを吹き
つけるエアーブローノズル31と、両ノズル30,31
を保持し、モータ駆動式の上下用スライダ32aによっ
て両ノズル30,31の高さ位置を調節し、手動ハンド
ル式の進退用スライダ32bによって上下用スライダ3
2a全体を動かすことで両ノズル30,31を円状開先
部Gに対して進退させる2軸スライダ32とにより構成
されている。前記スラグ吸引ノズル30に接続されたス
ラグ吸引用ホースSHは前記回転軸体41内を通ってス
ラグ回収機53に接続されている。また、エアーブロー
ノズル31に接続されたエアー送給用ホースAHは前記
回転軸体41内を通って図示しない空気供給源に接続さ
れている。
【0029】このようにして、回転テーブル42、スラ
グ破砕装置12,21及びスラグ吸引装置29を備えて
なり、図8に示すように、溶接機構を構成するフラック
ス回収ノズル50の下流側位置に、スラグ押え20、1
次破砕用ハンマー16、2次破砕用ハンマー25、スラ
グ吸引ノズル30及びエアーブローノズル31を、開先
長手方向に沿って順に配設した溶接スラグ除去装置11
が構成されている。
【0030】このように構成される前記溶接スラグ除去
装置11では、回転テーブル42を回転させながら溶接
を行いつつ、スラグ破砕機13の1次破砕用ハンマー1
6により開先長手方向に沿うようにしてスラグを剥離し
破砕し、さらにスラグ破砕機22の2次破砕用ハンマー
25により溶接ビード表面にへばり付いているスラグを
剥離し細かく破砕することができ、この破砕されたスラ
グをスラグ吸引ノズル30で吸引し、開先外へ排出する
ことにより、深くて狭い円状深溝狭開先のサブマージア
ーク溶接においてもスラグを自動的、かつ確実に除去す
ることができる。
【0031】また、溶接条件によって生成したスラグが
開先長手方向に沿って帯状に一部自然剥離することがあ
っても、スラグ押え20を設けているので、帯状に自然
剥離したスラグが折り重なることがなくスラグをより確
実に除去することができる。さらに、万一にもスラグ吸
引ノズル30位置を通過した破砕スラグがあっても、エ
アーブローノズル31を設けているので、スラグをより
確実に除去することができる。
【0032】
【発明の効果】以上述べたように、この発明による溶接
スラグ除去装置によると、平面視円状で開先深さが深く
開先幅の狭い円状深溝狭開先のサブマージアーク溶接に
おいてもスラグを自動的、かつ確実に除去することがで
き、これにより従来困難であった初層から最終層までの
連続溶接を行うことができ、溶接能率と溶接品質の大幅
な向上に寄与しうる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明に係る溶接スラグ除去装置を備えた、
圧力容器の胴体に胴体ノズルをサブマージアーク溶接す
る胴体ノズルSAW装置の概略構成図である。
【図2】図1の胴体ノズルSAW装置の要部平面図であ
る。
【図3】図2に示す胴体ノズルSAW装置の矢視A−A
正面図である。
【図4】図2に示す胴体ノズルSAW装置の矢視B正面
図である。
【図5】この発明に係るスラグ破砕機の要部斜視図であ
る。
【図6】この発明に係る1次破砕用ハンマーのハンマー
ヘッドの構造説明図である。
【図7】この発明に係る2次破砕用ハンマーのハンマー
ヘッドの構造説明図である。
【図8】この発明の溶接スラグ除去装置を説明するため
の模式的な側面図である。
【図9】円状深溝狭開先を示す断面図である。
【符号の説明】
11…溶接スラグ除去装置 12…1次破砕用スラグ破
砕装置 13…スラグ破砕機 16…1次破砕用ハンマ
ー 16a…棒状体 16b…ハンマーヘッド 19…2軸スライダ 20…スラグ押え 21…2次破
砕用スラグ破砕装置 22…スラグ破砕機 25…2次破砕用ハンマー 25
a…棒状体 25b…ハンマーヘッド 28…2軸スラ
イダ 29…スラグ吸引装置 30…スラグ吸引ノズル
31…エアーブローノズル 32…2軸スライダ 4
1…回転軸体 42…回転テーブル 43…溶接機構
44…溶接用2軸スライダ 45…溶接トーチ 46…
フラックス散布ノズル 49…2軸スライダ 50…フ
ラックス回収ノズル 61…胴体 62…胴体ノズル
63…マニプレータブーム G…円状開先部 FH…フ
ラックス吸引用ホース SH…スラグ吸引用ホース A
H…エアー送給用ホース

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 平面視円状の開先部のサブマージアーク
    溶接時に生じるスラグを自動的に除去する溶接スラグ除
    去装置であって、前記円状開先部の半径方向の中心位置
    を中心としてこの円状開先部の周りを回転可能な回転テ
    ーブルを有し、この回転テーブル上に、前記円状開先部
    に形成される溶接ビードによるスラグを剥離し破砕する
    スラグ破砕装置と、このスラグ破砕装置によって剥離し
    破砕されたスラグを吸引し、開先外へ排出するスラグ吸
    引装置とを設けたことを特徴とする溶接スラグ除去装
    置。
  2. 【請求項2】 前記スラグ破砕装置が、開先深さ方向に
    延びる棒状体の先端部にスラグへ上方より垂直に衝突さ
    せるハンマーヘッドを取り付けたハンマーを繰り返し重
    力落下させて、スラグを剥離し破砕する複数のスラグ破
    砕機を有した構成とされたことを特徴とする請求項1記
    載の溶接スラグ除去装置。
  3. 【請求項3】 前記スラグ吸引装置が、スラグ吸引ノズ
    ルと、このスラグ吸引ノズルの下流側からスラグ吸引ノ
    ズル口へ向けてエアーを吹きつけるエアーブローノズル
    とを有した構成とされたことを特徴とする請求項1又は
    2に記載の溶接スラグ除去装置。
  4. 【請求項4】 前記回転テーブルのスラグ破砕装置上流
    側位置に、開先深さ方向に延びる棒状体の先端部に剥離
    したスラグの上方への浮き上がりを阻止するスラグ押え
    片が取り付けられたスラグ押えを設けたことを特徴とす
    る請求項1〜3のいずれか1項に記載の溶接スラグ除去
    装置。
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