JPH10286691A - ロウまたはハンダ材料およびその製造方法 - Google Patents
ロウまたはハンダ材料およびその製造方法Info
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Abstract
を用いることなく効果的に向上させることができるよう
にしたロウまたはハンダ材料およびその製造方法とす
る。 【解決手段】 ハンダ材料の製造時にハロゲン化合物を
混合し、あるいは成形ハンダ材料の表面への成膜や表面
のハロゲン化処理する。ハンダ材料の製造に際して溶融
ハンダにハロゲン化合物を添加し、あるいは加工された
ハンダ材料の表面にハロゲン化合物の被膜を形成し、ま
た加工されたハンダ材料の表層面をハロゲン化処理によ
りハロゲン化合物層とする。被膜あるいは表面処理は乾
式あるいは湿式のいずれの方法でもよい。
Description
料およびその製造方法に係り、特にリードフレーム等の
接合に用いるのに好適なロウまたはハンダ材料およびそ
の製造方法に関する。
金を加熱溶融させて、母材間の隙間に満たして母材同士
の接合に用いられており、特に複雑で精密な部品の接合
ができること、異種金属の接合ができること、母材への
影響が少ないことなどから、電子機器に広く利用されて
いる。このロウまたはハンダ材料の中で、ハンダは錫と
鉛を主成分としているものが多く、導電性が要求される
電子機器のリードフレーム接合に多用されている。ハン
ダは一般に強度よりも導電性が主体に考えられ、特に母
材に対する濡れ性が高いことが要求されている。
濡れ性は母材表面の酸化被膜が大きな影響を与え、特開
平5−304235号公報にはニッケルメッキされたリ
ードフレームの表面にNiO2被膜が濡れ性を低下させ
る原因であることが提示され、また、特開平7−164
136号公報にはアルミニウムのロウに際しての酸化被
膜によるロウ性の低下が示され、更に特許第25272
78号公報には被ハンダ材料の表面酸化錫がハンダ濡れ
性を低下させることが明示されている。そして、これら
のいずれもがその改善策として母材すなわち被接合部材
の接合表面の改質による手段によって行おうとしてい
る。
処理は既に回路基板に組込まれているリードフレーム等
を対象とするものの、回路そのものやそのパッケージを
改質処理に晒さなければならず、プラズマ処理等の高温
度条件にて行う場合には回路素子の損傷防止対策等の各
種の設備負担が極めて大きくなる欠点があった。
フラックスが用いられているが、電子機器のリード等の
接合のために非腐食系のフラックスを用いた場合でも、
フラックス塗布に伴う周辺機材の汚染などの問題を生じ
てしまう問題がある。
スを塗布しなければならないという工程上の制約があっ
た。
いてハンダ付け等を行う例が見られるが、一般的にはハ
ンダ付けの後に残留フラックスの洗浄を必要となる。ま
た、ハンダ付けの後に残留フラックスの洗浄を行わない
場合もあるが、この場合はハロゲン分が少ないフラック
スを用いてハンダの濡れ性を犠牲にするか、ハンダの濡
れ性を確保するため、ハロゲン分が多いフラックスを用
いて、残留フラックスの中のハロゲン成分に起因するマ
イグレーション発生の危険を犯すことになる。本発明
は、ロウまたはハンダ材料の濡れ性をフラックスを用い
ることなく効果的に向上させることができるようにした
ロウまたはハンダ材料およびその製造方法を提供するこ
とを目的としている。
の観点を転換し、フラックスを用いることなく、接合主
体材料としてのロウまたはハンダ材料そのものに母材と
の濡れ性改善機能を持たせるようにすればよいとの観点
でなされたものである。
材料は、母材接合用のロウまたはハンダ材料の素材に1
0ppm〜10%のハロゲン化合物を分散させて形成し
たことを特徴としている。また、母材接合用のロウまた
はハンダ材料本体の表面にハロゲン化合物をコーティン
グし、あるいは母材接合用のロウまたはハンダ材料本体
の表面をハロゲン化処理をなして表層部をハロゲン化合
物置換層となすように構成してもよい。これらの場合に
おいて、前記ハロゲン化合物はフッ素または塩素化合物
であることが望ましい。
の製造方法は、母材接合用の半加工品としてのロウまた
はハンダ材料本体の表面にハロゲン化合物を溶解塗布し
た後、自然乾燥させてハロゲン化合物を成膜して製造す
るようにし、あるいは母材接合用の半加工品としてのロ
ウまたはハンダ材料本体をスパッタもしくは蒸着装置に
入れ、当該装置内にハロゲンを含むガスを導入しつつ前
記ロウまたはハンダ材料本体の表面にハロゲン化合物の
スパッタ膜もしくは蒸着膜を成膜して製造することがで
きる。
またはハンダ材料本体をハロゲンを含む溶液に浸漬し、
自然乾燥させて前記ロウまたはハンダ材料本体表層部を
ハロゲン化処理して製造し、あるいは母材接合用の半加
工品としてのロウまたはハンダ材料本体を加熱手段内蔵
の密閉容器に入れ、当該容器内にハロゲンを含むガスを
導入しつつ前記加熱手段によりガス分解温度以上でロウ
またはハンダ材料の溶解温度以下の温度条件下において
前記ロウまたはハンダ材料本体表層部のハロゲン化処理
を行って製造するようにすればよい。
ッ素または塩素とすることが望ましい。
添加分散して製造し、あるいは糸状や棒状に成形された
ロウ材料またはハンダ材料の表面部にハロゲン化合物を
コーティングし、または直接ロウ材料またはハンダ材料
の表層部をハロゲン化処理した構成とし、これを用いて
ロウ付けあるいはハンダ付けを加熱下において行うと、
非接合部材の表面に形成されている酸化被膜の酸素とハ
ロゲンとの置換がなされ、例えばハンダメッキされてい
るリードフレームの表層面に形成されている酸化錫(S
nO)がハロゲン化合物(SnFx)に置換される。こ
れによりロウ材料またはハンダ材料の濡れ性が改善され
る。また、このようなハロゲン化合物はロウ材料または
ハンダ材料自体の再酸化が防止されるため、ロウ材料ま
たはハンダ材料の長期保管が可能となる。
詳細に説明する。
際に、ハンダ素材そのものにハロゲン化合物を混入分散
させて成形する場合、またハンダ材料の成形品表面にハ
ロゲン化合物の被膜を形成する方法、あるいはハンダ材
料の成形品に対してその表層部をハロゲン化合物層に改
質する方法、等が考えられる。
物を混入分散させて成形する方法は次のように構成すれ
ばよい。ハンダ材料は一般に錫と鉛を主成分としている
ものが多く使用されているが、母材接合用のロウまたは
ハンダ材料の素材にハロゲン化合物を添加して製造す
る。これはハンダ材料の素材の溶融液中にハロゲン化合
物を添加し分散させて成形し、あるいは適当なバインダ
を用いてクリーム状に形成する。
1に示しているように、ヒータ10で加熱炉12を35
0℃以上に加熱する。ここにハンダ材料14の原料であ
る錫(約60%)と、鉛(約40%)を入れながら、フ
ッ化錫(フッ化第1錫:SnF2(融点210℃))な
どのハロゲン化合物16を添加する。フッ化錫の添加量
は錫+鉛に対して重量比0.5%である。
って融点が変動するため、任意に変更できるようにして
いる。また、この時の雰囲気は、空気中では酸化される
ために、窒素雰囲気とした。真空中でも可能であるが、
その場合は蒸気として蒸発しないように配慮する必要が
ある。
は、加熱を長くするとフッ素が蒸発してしまうため、す
ばやい混合処理および冷却処理が必要である。添加材と
してのハロゲン化合物としては、フッ化鉛、フッ化錫等
の粉体、あるいはフッ酸、塩酸等の液体を用いることが
できる。添加量は、用途あるいはハンダ材の種類、付け
る対象物の材質にもよるが、数10ppmから10%程
度が望ましい。10ppm以下では、ハンダ材料そのも
のにハロゲン化物を分散させるため、実際に寄与する表
面のハロゲン量は非常に少なく、ハンダやロウ付け性を
向上させる能力が得られないからである。また、10%
以上にすると、大量にハロゲンを含ませることとなり、
特にこのハロゲン化塩が水溶性の場合、多湿条件で製品
に腐食が見られる。これにより、製品に結露した水に溶
解したハロゲンイオンの影響で前記水が導電性になり、
ショートやマイグレーションを起こすことと、前記水が
腐食性を持つことにより、製品自体の不良に繋がるおそ
れがあるからである。
は、窒素雰囲気に限らず、不活性ガス雰囲気であればよ
く、アルゴン、ヘリウム等の雰囲気とすることができ
る。
は溶融状態のまま成形装置に供給して、糸ハンダ、棒ハ
ンダ、ボールハンダ形状に作成するのである。また、微
細なボールハンダとしてこれをバインダに混入し、攪拌
混練してクリームハンダとして作成すればよい。
できるClF3等の活性ガスを用いれば添加材を混合す
る必要性は無くなる。更に、例えば、ハンダボールの形
状に成形する際に添加することも可能である。
化合物の被膜を形成する方法としては次のように構成で
きる。これには、フッ化物や塩化物を半田成形品の表面
にメッキ処理、塗布処理により成膜し、あるいはスパッ
タ装置等を用いた乾式によりハロゲン化合物膜を成膜す
る構成とすればよい。これは例えば湿式コーティングを
施す場合、フッ化第1錫等のハロゲン化合物を純水に溶
かした溶液を直接ハンダボール等の成形ハンダの表面に
刷毛で塗り、拭き取りを行うことなく自然乾燥させるよ
うにすればよい。塗布作業工程を数度繰り返して、被膜
をハンダ表面に形成するのである。ハロゲン化合物溶液
は塗布するに十分な流動性を持たせる程度でよく、その
後の乾燥処理が容易に行える程度の50〜90%濃度の
溶液でよいと思われる。あるいは、粉状のフッ化第1錫
をハンダ成形品の表面にまぶして水滴を垂らし、その後
に自然乾燥させるようにしてもよい。
に対して処理を行う場合を説明したが、回路基板等に印
刷されたハンダ表面に同様の処理を行うこともできる。
すなわち、クリームハンダあるいはハンダメッキ等を回
路基板の接合部位に予め塗布あるいは印刷して付着され
ているハンダ表面にフッ化処理を施すことにより、表面
酸化を防止しつつ、いつでも回路基板上への部品のハン
ダがフラックスレスで実施できる。上記の方法以外に、
メッキハンダ材にフッ化カルシウムの粉を分散させた
後、これを回路部品等に塗布、印刷することでもハンダ
の濡れ性改善ができることが予想される。
形成するようにしてもよい。これはハンダ材料本体の表
面にハロゲン化合物のスパッタ膜を成膜することで実現
できる。図2はスパッタ膜を形成するためのスパッタ装
置の構成例を示している。真空チャンバ20内に設けた
回転テーブル22にハンダボール24をセットする。回
転テーブル22の目的は、当該回転テーブル22を回転
させることにより、その上にセットされたハンダボール
24を回転させ、スパッタ膜がハンダボール全面に成膜
されるようにするためである。真空チャンバ20内には
絶縁物26を介してスパッタ電極28、その表面にター
ゲット30を設ける。ターゲットの材質は錫(純度9
9.9%)である。このターゲット30は通常のハンダ
材のように鉛が添加されていてもよく、また他の金属で
も問題がない。但し、ハンダの時の融点、その後の腐食
性、電気伝導性を勘案して決定する必要がある。本発明
者は近年の鉛レスの要求実現に対応して、錫をターゲッ
トに選択している。スパッタ電極28にはインピーダン
スマッチング回路32を介して高周波電源34が具備さ
れる。ターゲット30が金属であるため、直流電源を用
いた直流スパッタでも成膜は可能であるが、本技術が活
性なガスを用いるリアクティブスパッタであることか
ら、再現性、放電安定性等の利点がある高周波放電を選
択している。
て、まず真空排気口36から真空引きを行う。所定の圧
力(通常はスパッタ圧1/10ないし1/1000の圧
力)まで真空排気を行う。本実施例では0.1Paまで
真空排気を行った。その後、ガス導入口38から、アル
ゴン(Ar)を300SCCM、4フッ化炭素(C
F4)を30SCCM流し、スパッタ圧が1Paになる
ようにコントロールした。ここではCF4を用いたが、
フッ素を含むガスならばよく、SF6などを用いてもよ
い。この状態で、回転テーブル22を回転しながら、高
周波電力をターゲット30に印加し、成膜を行う。高周
波印加電力は50Wである。2分で高周波電力をOFF
にして、真空チャンバ36を大気圧に戻してサンプルを
取り出した。
常BGA実装に用いられるもので、実施では外径0.7
4mmの球で、組成は錫62.0〜64.0%、残成分
が鉛からなる球状ハンダであり、千住金属工業株式会社
製のスパークボール(商品名)Sを用いた。
いた例を示しているが、スパッタ以外の方法としては、
蒸着でも可能であることはいうまでもない。もちろん熱
CVDによっても可能である。
層部をハロゲン化合物層に改質する方法は湿式あるいは
乾式により次のように構成できる。まず、湿式による改
質方法は塩酸やフッ酸等のハロゲンを含む溶液に成形さ
れたハンダ材料を浸漬し、表層面部をハロゲン化の表面
処理を施すのである。また、乾式による改質方法は、ハ
ンダ材料それ自体や、予め基板等に印刷されたハンダ
を、ハロゲン原子の活性状態を作り得るハロゲンガス中
に設置し、表面処理によってハンダ表層面部をハロゲン
化合物層に転換するようにすればよい。
ッ化処理装置を示しており、密閉した容器40の中にヒ
ータ42を具備したテーブルが設けてあり、その上に処
理対象のハンダ材料(図示の例ではハンダボール)44
を載置するようにしている。内部を真空にして、ClF
3ガス(5%)+Arを導入し、10000Pa近傍に
戻す。真空にするのは完全な空気との置換を行うためで
ある。また、ClF3をわずかに流しながら、真空ポン
プで排気する。これは加熱したときに容器内の圧力上昇
を防止する目的と、内部のガス濃度の低下、酸素の流入
を防止するためである。収納したハンダボールをヒータ
により100℃程度に加熱する。10分の処理後、Cl
F3のガス流入を停止し、残留ガスの置換を行った後、
ハンダボールを取り出せば、表面処理されたハンダボー
ルが得られる。
料の製造時にハロゲン化合物を混合し、あるいは成形ハ
ンダ材料の表面への成膜や表面のハロゲン化処理によ
り、ハンダ付け時の濡れ性をフラックスレスで向上させ
ることができ、接合性が改善される。この効果は電気材
料以外の部品の接合にも適用することができ、例えば、
金属同士をハンダ材料で接合した構造体を製造すること
の可能性を指摘している。濡れ性の改善効果はロウ材料
にも見出され、例えば銀ロウにおける濡れ性の改善も見
られた。
ハロゲン化合物の混合、成膜、表面処理を一度行うこと
により、ハンダやロウの表面がハロゲン化物で覆われる
ため、すぐにハンダ付け等を行わなずに長い間放置して
も、酸化の防止ができ、大きな効果が得られる。実際の
実験によっても、積極的な水洗を行わなければ、あるい
は加熱工程を通さなければ1ヵ月以上の効果を持続する
ことが確認されている。
処理を早期の段階でハンダ、ロウ材料に行っておくこと
により、表面酸化を防止することができ、このことは通
常のフラックスのようにハンダ付け直前の処理工程が不
要になることを意味し、生産性の大幅な向上をもたらす
ものである。
った実施例を以下に説明する。
する際に、ハンダ材料の混合時にフッ素化合物を添加し
て製造したものである。
0℃以上に加熱する。ここにハンダ材料の原料である錫
(約60%)と、鉛(約40%)を入れながら、フッ化
錫(フッ化第1錫:SnF2(融点210℃))を添加
する。フッ化錫の添加量は錫+鉛に対して重量比0.5
%である。
の形状にしたのち、235℃に加熱して溶融状態とし、
各種金属サンプルをこれに浸してどのようにハンダが付
着するかを評価した。
m長さ×0.5mm厚さの金属片とし、その材質はアル
ミニウム、銅、アルミ、パラジュウムメッキ銅、ハンダ
(錫90%、鉛10%)メッキ銅、銀メッキ銅とした。
これらのサンプルを、レスカ社製ソルダーチェッカ(S
AT−5000)にて評価した。この評価器はサンプル
を溶融ハンダ材の中に浸漬させて、ハンダ材、サンプル
の表面張力を観察し、その濡れ性を計測するものであ
る。この方法では、サンプルが溶融ハンダ材にどのくら
いの力で引き込まれるか(濡れ性が良いことの指標)、
あるいは反対に押し上げられるか(濡れ性が悪いことの
指標)が数値データとして表示される。サンプルの濡れ
がよければハンダ槽内に引き込まれるプラスの値が、逆
に濡れ性が悪ければサンプルを押し戻そうとするマイナ
スの値が計測される。
の中に4mm浸漬させて10秒間停止して濡れの評価を
行った。この結果を、次表に示す。
メッキ、銀メッキ、ハンダメッキの各サンプルに対する
濡れ性が向上している。特に、銀メッキ、ハンダメッキ
の表面に対する効果は、フラックス入りのハンダを用い
た場合と同様である。
主成分とするハンダ材料をボールハンダや糸ハンダ形状
に成形したハンダ材料本体の表面に、あるいは被接合材
料の表面に印刷されたハンダの表面にフッ化物を湿式コ
ーティングにより成膜することを対象としたものであ
る。当該実施例ではハンダボールに適用しており、当該
ハンダボールの表面にフッ化物溶液を塗布してコーティ
ングする構成とし、そのハンダボールを試験片(各種金
属チップ)に載せ、加熱してハンダの流れ(広がり)を
計測した。
50%溶液とし、これをハンダボールの表面に刷毛で塗
り、拭き取りを行うことなく自然乾燥させた。この工程
を数度繰り返して試料を得た。これはフッ化第1錫97
%(粉状)をハンダボール表面にまぶして水滴を垂ら
し、その後に自然乾燥させることでも実現できる。
錫(SnOyFx)を成膜する。試料として用いたハンダ
ボールは、通常BGA実装に用いられるもので、実施で
は外径0.74mmの球で、組成は錫62.0〜64.
0%、残成分が鉛からなる球状ハンダであり、千住金属
工業株式会社製のスパークボール(商品名)Sを用い
た。
の上でハンダボールを加熱して拡散状態を計測した。金
属サンプルは銅、銅表面に錫メッキ、銅表面にパラジュ
ウムメッキ、銅表面に銀メッキ、銅表面にハンダメッキ
を施したものを用いた。
対する濡れ性の改善は見られなかったが、錫メッキ品、
銀メッキ品、およびハンダメッキ品には高い効果が見ら
れた。前者は初期の表面酸化あるいはハンダ作業時の温
度上昇による表面酸化の影響が大きいものと見られる。
主成分とするハンダ材料をボールハンダや糸ハンダ形状
に成形したハンダ材料本体の表面にフッ化物のスパッタ
膜を成膜するようにした。実施例ではハンダボールに適
用しており、当該ハンダボールにフッ化錫のスパッタ膜
を成膜し、そのハンダボールを試験片(各種金属チッ
プ)に載せ、加熱してハンダの流れ(広がり)を計測し
た。
パッタ装置を用い、真空チャンバ内に設けた回転テーブ
ルにハンダボールをセットする。ターゲットの材質は純
度99.9%の錫である。このスパッタ装置を用いて、
まず真空排気口から真空引きを行う。所定の圧力(通常
はスパッタ圧1/10ないし1/1000の圧力)まで
真空排気を行う。本実施例では0.1Paまで真空排気
を行った。その後、ガス導入口から、アルゴン(Ar)
を300SCCM、4フッ化炭素(CF4)を30SC
CM流し、スパッタ圧が1Paになるようにコントロー
ルした。この状態で、回転テーブルを回転しながら、高
周波電力をターゲットに印加し、成膜を行う。高周波印
加電力は50Wである。2分で高周波電力をOFFにし
て、真空チャンバを大気圧に戻してサンプルを取り出し
た。
GA実装に用いられるもので、実施では外径0.74m
mの球で、組成は錫62.0〜64.0%、残成分が鉛
からなる球状ハンダであり、千住金属工業株式会社製の
スパークボール(商品名)Sを用いた。
プル1とし、比較のために成膜していないボールハンダ
材(サンプル2)、ボールハンダ材の表面を逆スパッタ
でクリーニングして酸化膜を除去したサンプル(サンプ
ル3)、通常使用されているフラックスをボールハンダ
に付けた後乾燥したサンプル(サンプル4)を用いて評
価した。
ルを載せ、大気圧(空気中)で加熱して、上記サンプル
の広がりサイズを計測した。その結果を次表に示す。
化膜を除去した試料(サンプル3)の方がハンダの濡れ
性が優れている。
プル1)は更に効果が大きく、フラックスで処理したサ
ンプル4と同等である。
に対して濡れ性が改善されている。
酸化膜のあるサンプルは、それによる原因でハンダの濡
れが悪くなり、酸化膜を除去したものはある程度の改善
が見られる。ただ、ハンダの時に酸化されてしまうため
に、少しの改善効果しか得られない。したがって、窒素
リフロー下においてハンダ作業をなす場合には改善効果
が現れることが予想される。一方、サンプル1、サンプ
ル4は表面がフッ化膜で覆われるために、ハンダの時の
熱による酸化を防止できる。このことで、濡れ性が大幅
に改善されていることが解る。また、フッ化膜で覆われ
たハンダ表面は、そのままの状態で長期保存が可能とな
る利点も得られる。
理しても、被接合材によっては濡れに変化の現れないも
のがある。この理由は相手金属の表面の酸化の度合い、
フッ素の挙動、ハンダ材との接合との問題の可能性があ
る。
ハンダ材表面にフッ化膜を形成すればかなりの濡れ性の
改善が図られることが判明し、フラックス等を用いなく
てもハンダによる接合が可能となるばかりか、上述のよ
うに、ハンダ材そのものの酸化を防止しつつ長期保存が
可能となる有効な手段であることが理解できる。
(35%)に浸漬して表面処理を行った。これはテフロ
ンビーカに塩酸を200cc入れ、液面上10cmの位
置にハンダボールをセットした。サンプルの種類は下表
の通りである。
ールが、被ハンダ材料としての銅、アルミ、銀メッキ
銅、ハンダメッキ銅、パラジュウムメッキ銅の各々の試
料に対して、どの程度の濡れ性を示すかを求めた。この
結果を、次表に示す。
は、パラジュウムメッキ品について大幅な効果が認めら
れる。サンプル1よりサンプル2、更にサンプル3の順
に効果があることが解る。したがって処理時間、濃度が
影響しているためと思われる。洗浄すると効果が薄れる
のは、塩化物が溶解性のため、洗浄に伴って溶け出して
塩化物そのものがなくなり、あるいは塩素が酸素と再置
換したためと思われる。
ボールのサンプルをフッ酸(35%)に浸漬して表面処
理を行った。これはテフロンビーカにフッ酸を200c
c入れ、液面上10cmの位置に各種サンプルハンダボ
ールをセットした。サンプルの種類は表4−1と同様で
ある。
ールが、被ハンダ材料としての銅、アルミ、銀メッキ
銅、ハンダメッキ銅、パラジュウムメッキ銅の各々の試
料に対して、どの程度の濡れ性を示すかを求めた。この
結果を、次表に示す。
キ品、銀メッキ品について効果が認められる。また、パ
ラジウムメッキ品に対しても若干の効果が認められるが
塩酸の場合よりも低いことが解る。
主成分とするハンダ材料、あるいは基板等に印刷された
ハンダ等に対して、その表面部分に乾式によりフッ化処
理を行ったものである。この方法は、少なくともフッ素
を含むガスであって、ClF3等の熱分解によりフッ素
原子の活性な状態を作り得るガスを用いてハンダ表面の
フッ化処理を行うものである。したがって、処理温度は
ハンダ材料の溶融温度未満であって、ガスの分解温度以
上であることが必要となる。
した容器の中にヒータを具備したテーブルが設けてあ
り、その上に処理対象のハンダボールを載置するように
している。内部を真空にして、ClF3ガス(5%)+
Arを導入し、10000Pa近傍に戻す。真空にする
のは完全な空気との置換を行うためである。また、Cl
F3をわずかに流しながら、真空ポンプで排気する。こ
れは加熱したときに容器内の圧力上昇を防止する目的
と、内部のガス濃度の低下、酸素の流入を防止するため
である。
0℃程度に加熱する。10分の処理後、ClF3のガス
流入を停止し、残留ガスの置換を行った後、サンプルを
取り出す。これを未処理のハンダボールと濡れ性を比較
した。被ハンダ材料としての銅、錫メッキ銅、パラジュ
ウムメッキ銅、銀メッキ銅、ハンダメッキ銅、アルミニ
ウムの各々の試料に対して、どの程度の濡れ性を示すか
を求めた。この結果を、次表に示す。
キ品、ハンダメッキ品に対する濡れ性の改善が認められ
る。銅、アルミニウム等に対して効果が認められないの
は、その材料の表面酸化が原因であると考えられる。
ハンダ素材やロウ素材にハロゲン化合物を予め混合して
ハンダ材料やロウ材料とし、あるいは予め成形されたハ
ンダ材料等の表面に湿式あるいは乾式によりハロゲン化
合物の成膜を施し、同様に湿式あるいは乾式によりハロ
ゲン化表面処理をなすことにより、リードフレーム等を
フラックスレスにより接合することができ、実際の接合
作業時の接合部酸化を同時に防止して濡れ性を改善でき
るとともに、表面酸化を防止しながらハンダ材料等の長
期保存が可能となるという優れた効果が得られる。
Claims (9)
- 【請求項1】 ロウまたはハンダ材料の素材に10pp
m〜10%のハロゲン化合物を分散させて形成されたこ
とを特徴とするロウまたはハンダ材料。 - 【請求項2】 ロウまたはハンダ材料本体の表面にハロ
ゲン化合物をコーティングしたことを特徴とするロウま
たはハンダ材料。 - 【請求項3】 ロウまたはハンダ材料本体の表面をハロ
ゲン化処理をなして表層部をハロゲン化合物置換層とな
したことを特徴とするロウまたはハンダ材料。 - 【請求項4】 前記ハロゲン化合物はフッ素または塩素
化合物であることを特徴とする請求項1または2に記載
のロウまたはハンダ材料。 - 【請求項5】 半加工品としてのロウまたはハンダ材料
本体の表面にハロゲン化合物を溶解塗布した後、自然乾
燥させてハロゲン化合物を成膜して製造することを特徴
とするハンダ材料の製造方法。 - 【請求項6】 半加工品としてのロウまたはハンダ材料
本体をスパッタもしくは蒸着装置に入れ、当該装置内に
ハロゲンを含むガスを導入しつつ前記ロウまたはハンダ
材料本体の表面にハロゲン化合物のスパッタ膜もしくは
蒸着膜を成膜して製造することを特徴とするロウまたは
ハンダ材料の製造方法。 - 【請求項7】 半加工品としてのロウまたはハンダ材料
本体をハロゲンを含む溶液に浸漬し、自然乾燥させて前
記ロウまたはハンダ材料本体表層部をハロゲン化処理し
て製造することを特徴とするハンダ材料の製造方法。 - 【請求項8】 半加工品としてのロウまたはハンダ材料
本体を加熱手段内蔵の密閉容器に入れ、当該容器内にハ
ロゲンを含むガスを導入しつつ前記加熱手段によりガス
分解温度以上でロウまたはハンダ材料の溶解温度以下の
温度条件下において前記ロウまたはハンダ材料本体表層
部のハロゲン化処理を行って製造することを特徴とする
ロウまたはハンダ材料の製造方法。 - 【請求項9】 前記ハロゲンはフッ素または塩素である
ことを特徴とする請求項5ないし8のいずれか1に記載
のロウまたはハンダ材料の製造方法。
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