JPH10284614A - 半導体集積回路装置及びその製造方法 - Google Patents

半導体集積回路装置及びその製造方法

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JPH10284614A
JPH10284614A JP9083526A JP8352697A JPH10284614A JP H10284614 A JPH10284614 A JP H10284614A JP 9083526 A JP9083526 A JP 9083526A JP 8352697 A JP8352697 A JP 8352697A JP H10284614 A JPH10284614 A JP H10284614A
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JP
Japan
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crystal silicon
type single
layer
conductivity
integrated circuit
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Application number
JP9083526A
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English (en)
Inventor
Katsuya Oda
克矢 小田
Toru Masuda
徹 増田
Eiji Oue
栄司 大植
Katsuyoshi Washio
勝由 鷲尾
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Hitachi Ltd
Original Assignee
Hitachi Ltd
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 同一半導体チップ上に遮断周波数および耐圧
の異なる各バイポーラトランジスタを形成した半導体集
積回路装置及びその製造方法を提供する。 【解決手段】 真性ベース層10,10’の厚さが異な
るバイポーラトランジスタを同一半導体基板1上に形成
する。このベース層の厚さは、ベース・コレクタ分離絶
縁膜4の開口部に埋め込んだ低濃度コレクタ層3から素
子分離絶縁膜7,7’までの距離と、素子分離絶縁膜を
埋め込む溝の幅とを設計することにより、同時に作製で
きる。 【効果】 バイポーラトランジスタを用いた回路の高性
能化が可能となる。耐圧を補うために用いていたダイオ
ードが不要となるため、ダイオード追加による寄生容量
の増加を防止でき、回路の高速動作が可能となる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は半導体集積回路装置
及びその製造方法に係り、特に単結晶シリコン・ゲルマ
ニウム層もしくは単結晶シリコン層を真性ベース層とし
て用いたバイポーラトランジスタからなる半導体集積回
路装置及びその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、この種の単結晶シリコン・ゲルマ
ニウム層を真性ベース層として用いたバイポーラトラン
ジスタからなる半導体集積回路装置として、図2に示す
断面構造を有するものが知られている。例えば、199
2年 IEDM テクニカルダイジェストの第397頁
〜第400頁(IEDM 92, Technical Digest, pp.397-40
0)に記載されている。
【0003】図2において、参照符号21はシリコン基
板を示し、このシリコン基板21上にコレクタとなる高
濃度n型シリコン層22および低濃度n型シリコン層2
3を形成する。トランジスタの活性領域以外の部分にコ
レクタ・ベース分離絶縁膜24を形成し、各トランジス
タ間にドライエッチングした溝の内壁に絶縁膜25を形
成した後、溝の中にさらに絶縁膜26を埋め込むことに
よって素子分離絶縁領域とする。コレクタ・ベース分離
絶縁膜24上にベース引き出し電極となる多結晶シリコ
ン層27を形成し、低濃度n型シリコン層23上に真性
ベースとなるp型シリコン・ゲルマニウム層28をエピ
タキシャル成長する。エミッタ・ベース分離絶縁膜29
を形成し、エミッタ開口部をエッチング除去する。エミ
ッタ電極となる高濃度n型多結晶シリコン層30を堆積
した後、アニールによって単結晶シリコン・ゲルマニウ
ム層28内へn型ドーパントを拡散させることによって
エミッタ領域31を形成する。コレクタ部分を開口し、
コレクタ引き出し電極となる高濃度n型多結晶シリコン
32を形成した後、絶縁物33を形成する。絶縁物33
の電極取り出し部分に開口部を設けた後、エミッタ電極
34、ベース電極35、コレクタ電極36をそれぞれ形
成する。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】前述した単結晶シリコ
ン・ゲルマニウムをベース層に用いたバイポーラトラン
ジスタからなる従来の半導体集積回路装置では、各トラ
ンジスタの真性ベース層の厚さが等しくなるために、半
導体集積回路装置を形成したときにすべてのトランジス
タの特性がプロセスばらつきの範囲内で等しくなる。一
方、半導体集積回路装置に用いるトランジスタは、その
回路構成により高速性が求められるトランジスタと、耐
圧が求められるトランジスタに分けられる。しかし、ト
ランジスタの遮断周波数と耐圧はトレードオフの関係に
あるため、遮断周波数を上げるためにベース層を薄くし
たトランジスタで回路を構成すると耐圧が足りなくな
り、逆に耐圧を上げるためにベース層を厚くしたトラン
ジスタで回路を構成すると回路の高速動作ができないと
いう問題がある。
【0005】また、ベース層を薄くして遮断周波数を上
げたトランジスタを用いている半導体集積回路装置で
は、耐圧を上げるためにコレクタ側にダイオードを形成
する必要がある。このため高耐圧が必要なトランジスタ
の寄生容量が実効的に増加し、半導体集積回路装置の動
作が低下してしまうという問題がある。
【0006】そこで、本発明の目的は、単結晶シリコン
・ゲルマニウム層もしくは単結晶シリコン層をベース層
として用いたバイポーラトランジスタからなる半導体集
積回路装置において、遮断周波数および耐圧を各バイポ
ーラトランジスタごとに設計することが可能な半導体集
積回路装置とその製造方法を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】前述した課題を解決する
ために、本発明に係る半導体集積回路装置は、シリコン
基板、例えば、図1で言えば、シリコン基板1と、該シ
リコン基板に設けられた高濃度第1導電型単結晶シリコ
ン層すなわち高濃度n型単結晶シリコン層2と、該第1
導電型単結晶シリコン層上に設けられた開口部を有する
絶縁膜すなわちコレクタ・ベース分離絶縁膜4と、前記
開口部に埋め込んだ低濃度第1導電型単結晶シリコン層
すなわち低濃度n型単結晶シリコン層3と、該低濃度第
1導電型単結晶シリコン層上に設けられた第1導電型と
反対導電型の第2導電型単結晶シリコン・ゲルマニウム
層すなわちp型シリコン・ゲルマニウム層10、10’
と、前記絶縁膜上に第2導電型単結晶シリコン・ゲルマ
ニウム層と接して設けられた第2導電型多結晶シリコン
・ゲルマニウム層すなわちp型多結晶シリコン・ゲルマ
ニウム層9、9’と、前記シリコン基板の前記開口部以
外の部分に設けられた素子分離絶縁領域とからなり、該
素子分離絶縁領域の幅すなわち溝の幅Wおよび前記開口
部からの距離すなわち低濃度n型単結晶シリコン層3か
ら溝までの距離Dによって前記第2導電型単結晶シリコ
ン層の厚さが異なるバイポーラトランジスタを有するこ
とを特徴とするものである。
【0008】この場合、前記第2導電型単結晶シリコン
・ゲルマニウム層の代わりに第2導電型単結晶シリコン
層を設けてもよい。そして更に、前記第2導電型多結晶
シリコン・ゲルマニウム層の代わりに第2導電型多結晶
シリコン層としてもよい。
【0009】また、前述した半導体集積回路装置におい
て、前記シリコン基板に形成された素子分離絶縁領域の
幅Wは、少なくとも0.1μmとすれば好適である。
【0010】そして、本発明に係る半導体集積回路装置
の製造方法は、シリコン基板に高濃度第1導電型単結晶
シリコン層、例えば、図3で言えば、シリコン基板1に
高濃度n型単結晶シリコン層3を形成する工程と、該高
濃度第1導電型単結晶シリコン層上に開口部を有する絶
縁膜すなわちコレクタ・ベース分離絶縁膜4を形成する
工程と、前記開口部に低濃度第1導電型単結晶シリコン
層すなわち低濃度n型単結晶シリコン層3を埋め込む工
程と、前記開口部に第1導電型と反対導電型の第2導電
型単結晶シリコン・ゲルマニウム層すなわちp型単結晶
シリコン・ゲルマニウム層10、10’を形成すると共
に前記絶縁膜上に第2導電型単結晶シリコン・ゲルマニ
ウム層と接して第2導電型多結晶シリコン・ゲルマニウ
ム層すなわちp型多結晶シリコン・ゲルマニウム層9、
9’を形成するエピタキシャル成長工程と、前記シリコ
ン基板の前記開口部以外の部分に、幅W及び前記開口部
からの距離Dが異なる素子分離絶縁領域を形成する工程
とからなり、前記エピタキシャル成長工程が、低濃度第
1導電型単結晶シリコン層およびシリコン基板に設けら
れた素子分離絶縁領域を加熱することにより、第2導電
型単結晶シリコン・ゲルマニウム層をエピタキシャル成
長することを特徴とする半導体集積回路装置の製造方
法。
【0011】また、前記半導体集積回路装置の製造方法
において、前記エピタキシャル成長工程の第2導電型単
結晶シリコン・ゲルマニウム層及び第2導電型多結晶シ
リコン・ゲルマニウム層の代わりに、第2導電型単結晶
シリコン層及び第2導電型多結晶シリコン層をエピタキ
シャル成長してもよい。
【0012】
【発明の実施の形態】本発明に係る半導体集積回路装置
の好適な実施の形態は、例えば、図1に示すように、シ
リコン基板1と、このシリコン基板に設けられた高濃度
のn型単結晶シリコン層2と、この高濃度のn型単結晶
シリコン層2上に設けられた開口部を有するベース・コ
レクタ分離絶縁膜4と、前記開口部に埋め込んだ低濃度
のn型単結晶シリコン層3と、この低濃度のn型単結晶
シリコン層3上に設けられたp型の単結晶シリコン・ゲ
ルマニウム層10、10’と、ベース・コレクタ分離絶
縁膜4上にこのp型の単結晶シリコン・ゲルマニウム層
と接して設けられたp型の多結晶シリコン・ゲルマニウ
ム層9、9’と、シリコン基板1中の前記開口部以外の
部分に設けられた素子分離絶縁領域とから少なくとも構
成され、この素子分離絶縁領域の幅Wおよび開口部から
の距離Dによって真性ベースとなるp型単結晶シリコン
・ゲルマニウム層の厚さが異なるバイポーラトランジス
タを有する半導体集積回路装置である。
【0013】このような同一半導体チップ上で真性ベー
ス層の厚さの異なるバイポーラトランジスタ、すなわ
ち、耐圧BVCEOは低いが遮断周波数fTが高いバイポー
ラトランジスタと、遮断周波数fTは低いが耐圧BVCEO
が高いバイポーラトランジスタといった特性の異なるバ
イポーラトランジスタを使用できる。従って、高速性を
求められるトランジスタと、耐圧が求められるトランジ
スタが混在する回路構成に対して、それぞれに最適な特
性を有するバイポーラトランジスタを用いることによ
り、回路の高速化や高性能化を図った半導体集積回路装
置を実現することができる。
【0014】
【実施例】次に、本発明に係る半導体集積回路装置及び
その製造方法の更に具体的な実施例につき、添付図面を
参照しながら以下詳細に説明する。
【0015】<実施例1>図1は、本発明に係る半導体
集積回路装置の一実施例を示す断面構造である。図1に
おいて、参照符号1はシリコン基板を示し、このシリコ
ン基板1上にコレクタとなる高濃度n型シリコン層2お
よび低濃度n型シリコン層3を形成する。トランジスタ
の活性領域以外の部分にコレクタ・ベース分離絶縁膜4
を形成し、各トランジスタ間にドライエッチングによっ
て溝を形成する。このとき、バイポーラトランジスタ回
路中の耐圧が必要なトランジスタの周辺に形成する素子
分離絶縁領域は、回路中の遮断周波数の高いトランジス
タの周辺の素子分離絶縁領域よりも幅を大きく、且つ、
コレクタ・ベース分離絶縁膜4の開口部からの距離を近
くする。溝の内壁に絶縁膜7、7’を形成した後、溝の
中にさらに絶縁膜8、8’を埋め込むことによって素子
分離領域を形成する。コレクタ・ベース分離絶縁膜4上
にベース引き出し電極となる多結晶シリコン層9、9’
を形成し、コレクタ・ベース分離絶縁膜4の開口部にあ
る低濃度n型シリコン層3上のみに真性ベースとなるp
型シリコン・ゲルマニウム層10、10’をエピタキシ
ャル成長する。エミッタ・ベース分離絶縁膜11を形成
し、エミッタ開口部をエッチング除去する。エミッタ電
極となる高濃度n型多結晶シリコン層12を形成した
後、アニールによって単結晶シリコン・ゲルマニウム層
10、10’内へn型ドーパントを拡散させることによ
ってエミッタ領域13を形成する。コレクタ部分を開口
し、コレクタ引き出し電極となる高濃度n型多結晶シリ
コン14を形成した後、絶縁物15を形成する。絶縁物
15の電極取り出し部分に開口部を設けた後、エミッタ
電極16、ベース電極17、コレクタ電極18をそれぞ
れ形成する。
【0016】図3〜図6に、図1に示した構造を有する
半導体集積回路装置を実現するための素子分離絶縁領域
および真性ベース層の製造方法のフロー図を示す。
【0017】先ず、シリコン基板1上にコレクタ層とな
る高濃度n型単結晶シリコン層2を拡散またはイオン打
ち込み法により形成後、コレクタ・ベース分離絶縁膜4
とその開口部を形成し、開口部に低濃度コレクタ層とな
る低濃度n型単結晶シリコン層3を選択エピタキシャル
成長により形成する(図3参照)。ここで、コレクタ・
ベース分離絶縁膜4としては、例えば熱酸化により形成
したSiO2膜を用いることができる。尚、低濃度n型
単結晶シリコン層3を全面エピタキシャル成長により形
成する場合には、高濃度n型単結晶シリコン層2、低濃
度n型単結晶シリコン層3、コレクタ・ベース分離絶縁
膜4の順で形成すればよい。この場合、低濃度n型単結
晶シリコン層3の低濃度コレクタ層と成る部分を残すよ
うに選択酸化法によりコレクタ・ベース分離絶縁膜4を
形成する。
【0018】次いで、バイポーラトランジスタ回路の中
で、耐圧を上げたい高耐圧トランジスタの周辺に素子分
離絶縁領域となる幅の広い溝5、例えば、コレクタ・エ
ミッタ間の耐圧BVCEOとして7V程度を得たい場合に
は、幅10μm程度の溝5をドライエッチングにより形
成する。これと同時に、遮断周波数fTを上げたい高遮
断周波数トランジスタの周辺には同じく素子分離絶縁領
域となる溝5よりも幅の狭い溝6、例えば、遮断周波数
Tとして120GHz程度を得たい場合には、幅0.
5μm程度、深さ1μm程度の溝6を形成する(図4参
照)。尚、幅の広い溝と狭い溝を同時にドライエッチン
グする場合、幅10μmの溝の深さは、狭い溝の深さよ
りも少し深くなり1μm以上となる。
【0019】次いで、溝5、6の内壁にそれぞれ絶縁膜
7、7’を形成した後、絶縁膜8、8’を埋め込んだ
後、平坦化を行って表面の絶縁膜をエッチング除去する
ことによって低濃度n型単結晶シリコン層3の表面を露
出させる(図5参照)。例えば、絶縁膜7、7’として
は熱酸化により形成したSiO2膜を用いることがで
き、絶縁膜8、8’としては塗布ガラス(SOG)膜、
或いはCVD(Chemical Vapor Deposition)法による
SiO2膜を用いることができる。SOG膜を用いる場
合は、熱処理により平坦化することができ、CVD−S
iO2膜を用いる場合にはエッチバック法により平坦化
することができる。勿論、CMP(Chemical Mechanica
l Polishing)法によって平坦化を行うことも可能であ
る。
【0020】次いで、コレクタ・ベース分離酸化膜4上
にベース引き出し多結晶シリコン層9、9’を、低濃度
n型単結晶シリコン層3上に真性ベースとなるp型単結
晶シリコンゲルマニウム層10、10’を、MBE(Mo
lecular Beam Epitaxy)法あるいはCVD法によりエピ
タキシャル成長する(図6参照)。
【0021】ここで、素子分離絶縁領域の絶縁膜8、
8’を酸化膜(SiO2)とし、p型単結晶シリコン・
ゲルマニウム層10、10’をエピタキシャル成長する
ためにシリコン基板1を575℃に加熱した場合の、低
濃度n型単結晶シリコン層3の温度と低濃度n型単結晶
シリコン層3から溝までの距離D(溝5に対してはd、
溝6に対してはd’に対応する)との関係を、素子分離
絶縁領域となる溝の幅W(溝5に対してはw、溝6に対
してはw’に対応する)をパラメータにして図7に示
す。酸化膜の赤外線の吸収波長や熱伝導率および熱容量
はシリコンとは異なっているために、シリコン基板1を
加熱すると、酸化膜はシリコンよりも高温になり、低濃
度n型単結晶シリコン層3にとって酸化膜8、8’は熱
溜として作用する。従って、素子分離絶縁領域の溝の幅
Wを大きくし、さらに低濃度n型単結晶シリコン層3と
の距離Dを短くすることによって、素子分離絶縁領域
8、8’からの熱伝導により低濃度n型単結晶シリコン
層3の温度が上昇する。例えば、素子分離絶縁領域とな
る溝5の幅wが10μmで低濃度n型単結晶シリコン層
3からの距離dが0.4μmの場合、図7より低濃度n
型単結晶シリコン層3の温度は約595℃となる。図8
に、シリコン・ゲルマニウム層のエピタキシャル成長速
度と成長温度の関係を示す。例えば、p型単結晶シリコ
ン・ゲルマニウム層10としてSi0.9Ge0.1をエピタ
キシャル成長する場合、図8より成長速度は12nm/
minとなることがわかる。一方、同時に形成する溝6
の幅w’を0.5μmとし、溝6と低濃度n型単結晶シ
リコン層3との距離d’を1μmとすると、図7より低
濃度n型単結晶シリコン層3の温度は575℃となり、
このときのSi0.9Ge0.1膜の成長速度は図8から6n
m/minとなることがわかる。従って、例えば4.7
分間エピタキシャル成長を行った場合、高耐圧トランジ
スタでのp型単結晶シリコンゲルマニウム層10の厚さ
は56nmとなり、高遮断周波数トランジスタを形成す
る部分のp型単結晶シリコンゲルマニウム層10’の厚
さは28nmとなる。
【0022】本実施例により、真性ベース層10、1
0’の厚さが違うバイポーラトランジスタを同一半導体
基板上に同時に形成できる。このため、バイポーラトラ
ンジスタ集積回路装置に用いるトランジスタの耐圧およ
び遮断周波数を個別に設計することが可能となり、回路
の高速化・高性能化に有効である。このような構造のバ
イポーラトランジスタのベース不純物濃度NBを1×1
19cm-3としたときの、ベース幅WBと遮断周波数fT
の関係を図16に、ベース幅WBと耐圧BVCEOの関係を
図17に示す。本実施例の場合のバイポーラトランジス
タの耐圧BVCEOと遮断周波数fTは、図16及び図17
より、高耐圧バイポーラトランジスタの耐圧BVCEO
よび遮断周波数fTは、それぞれ6Vおよび33GHz
程度、高遮断周波数トランジスタの耐圧BVCEOおよび
遮断周波数fTは、それぞれ3Vおよび120GHz程
度となることがわかる。
【0023】<実施例2>図9に、本発明に係る半導体
集積回路装置を適用する回路の一実施例を示す。図9に
示した回路は、光伝送システムや大型計算機などに用い
られる論理回路である。図9において、参照符号V1、
V2、V3は、この論理回路を構成しているバイポーラ
トランジスタを駆動するための電圧を与える端子であ
り、Vin1、Vin2は入力端子、Voutは出力端
子である。IQ1、IQ2は定電流源であり、R1、R
2は抵抗である。バイポーラトランジスタQ1、Q2、
Q3は論理回路を構成するバイポーラトランジスタであ
る。例えば、図9に示した回路を40Gbit/s光伝
送用のデジタル回路のドライバとして用いる場合、トラ
ンジスタQ1、Q2は遮断周波数fTとして100GH
z程度の高速動作が要求されるが、耐圧BVCEOとして
は2V程度あればよい。一方、トランジスタQ3は、電
圧の変化が大きいため耐圧BVCEOとして4V以上が要
求されるが、遮断周波数fTとしては60GHz以上あ
ればよい。従って、図16と図17よりトランジスタQ
1、Q2のベース幅として20nm、トランジスタQ3
のベース幅として38nmが必要である。真性ベース層
の厚さとベース幅WBがほぼ等しいとすれば(尚、ベー
ス幅WBは実際には真性ベース層の厚さからエミッタ層
を引いた分であるが、ここでは説明を簡単にするために
ほぼ等しいとした)、実施例1と同様に溝5の幅wが1
0μmで低濃度n型単結晶シリコン層3からの距離dが
1μmの場合、高耐圧トランジスタQ3の真性ベース層
10の厚さとして38nmを得るためには、例えば、真
性ベース層としてSi0.9Ge0.1組成のp型単結晶シリ
コン・ゲルマニウム層をエピタキシャル成長する場合、
図8より成長速度は11.4nm/minであるから、
シリコン基板温度575℃にて3.3分間の成長を行え
ばい。この時、高遮断周波数トランジスタQ1、Q2の
真性ベース層の厚さは20nm程度となる。
【0024】このように、トランジスタQ1、Q2のベ
ース層を薄く、トランジスタQ3のベース層を厚くして
それぞれに要求される耐圧及び遮断周波数特性を満足し
たバイポーラトランジスタを同一チップ上で形成して回
路を構成できるので、単一の厚さのベース層を有する従
来のトランジスタで構成した場合に比べてドライバ回路
の性能が向上する。
【0025】<実施例3>図10に、本発明に係る半導
体集積回路装置を適用する回路の別の実施例を示す。図
10に示した回路は、光伝送システムに用いられる前置
増幅回路である。周知のとおり、光伝送システムは、数
十Gbit/sの高速伝送が必要であり、その前置増幅
回路は特に高速動作が要求されるものである。従って、
この増幅回路に本発明による半導体集積回路装置を採用
することにより、増幅回路全体での性能を著しく向上す
ることができる。
【0026】図10において、参照符号300は単一の
半導体基板上に形成された前置増幅回路を構成する半導
体集積回路装置を示し、この半導体集積回路装置300
は40Gbit/s光伝送用の受信器に使用される。半
導体集積回路装置300には、光伝送ケーブルを通して
送信されてくる光信号を受ける受光素子であるフォトダ
イオードPDと、電源ラインと接地ラインとの間に接続
され、交流成分をショートするためのディカップリング
容量303とが、外付けされる。
【0027】半導体集積回路装置300内のバイポーラ
トランジスタQ1及びQ2は、増幅回路を構成するバイ
ポーラトランジスタであり、前述した実施例1の構造を
有する素子が適用される。バイポーラトランジスタQ1
は、バイポーラトランジスタQ2よりも電圧振幅が大き
くなるために、耐圧を高くする必要がある。例えば、ト
ランジスタQ2は耐圧BVCEOとして4V、遮断周波数
Tとして60GHz程度が要求され、トランジスタQ
1は遮断周波数fTとして100GHz程度が要求され
るが、耐圧BVCEOは2V程度と低くてもよい。
【0028】従って、図16と図17よりトランジスタ
Q1のベース幅として20nm、トランジスタQ2のベ
ース幅として38nmが必要である。真性ベース層の厚
さとベース幅WBがほぼ等しいとすれば、実施例2と同
様に溝5の幅wが10μmで低濃度n型単結晶シリコン
層3からの距離dが1μmの場合、高耐圧トランジスタ
Q2の真性ベース層10の厚さとして38nm得るため
には、例えば、真性ベース層としてSi0.9Ge0.1組成
のp型単結晶シリコン・ゲルマニウム層をエピタキシャ
ル成長する場合、図8より成長速度は11.4nm/m
inであるから、シリコン基板温度575℃にて3.3
分間の成長を行えばよい。この時、高遮断周波数トラン
ジスタQ1の真性ベース層の厚さは20nm程度とな
る。このように、トランジスタQ2のベース層をトラン
ジスタQ1のベース層よりも厚くすることによって、従
来のような同じ厚さの真性ベース層でトランジスタQ
1、Q2を構成するよりも半導体集積回路装置300の
高性能化を図ることができる。
【0029】半導体集積回路装置300内のダイオード
D1はレベルシフト用ダイオードであり、バイポーラト
ランジスタを利用し、そのベース・コレクタ間を短絡し
て形成することも可能であり、また、必要に応じて複数
個のダイオードを直列接続して適用することも可能であ
る。参照符号R1、R2、R3は、それぞれ抵抗であ
る。また、OUTは出力端子であり、必要に応じてトラ
ンジスタQ2のエミッタとの間に出力用バッファ回路が
挿入される。
【0030】本実施例では、光伝送ケーブルを伝送した
光信号がフォトダイオードPDにより電気信号に変換さ
れ、その信号が半導体集積回路装置300の入力端子I
Nを介し、増幅用トランジスタQ1及びQ2により増幅
されて出力端子OUTから出力されるよう動作するもの
である。
【0031】前記実施例1と同様に製造することによ
り、異なる耐圧及び異なる周波数特性のトランジスタを
同一チップ上に有する半導体集積回路装置を形成でき、
単一の厚さのベース層を有する従来のトランジスタで構
成した場合に比べて性能の向上した40GHz以上の帯
域を有する前置増幅器を実現することができる。
【0032】ここで、図10に示した前置増幅器が集積
された半導体集積回路装置300を搭載した光伝送シス
テムのフロントエンドモジュールの概略構成図を図11
に示す。図11において、参照符号401は光ファイバ
ー、402は光ファイバーからの出射光をフォトダイオ
ード上に集光するためのレンズ、403は光ファイバー
からの光信号を電気信号に変換するフォトダイオード、
404は図10に示した前置増幅器が形成された半導体
集積回路装置である。また、407はフォトダイオード
403及び前置増幅器404を実装する基板であり、フ
ォトダイオード403及び前置増幅器404等を接続す
る配線405を介して出力端子406に接続されてい
る。さらに、408は金属ケースなどの気密封止パッケ
ージである。図示していないが、基板407上には図1
0に示したコンデンサ303も実装されている。このよ
うに、光伝送用受信器のフロントエンド部を構成するフ
ォトダイオード402及び前置増幅器404を同一のモ
ジュールに構成することにより、信号経路を短くするこ
とができ、ノイズの乗りにくく、寄生のインダクタンス
(L)成分や寄生の容量(C)成分も小さく抑えること
ができる。
【0033】本実施例は、前置増幅器を前記実施例1に
従って製造したバイポーラトランジスタを有する半導体
集積回路装置により構成し、この集積回路チップを光伝
送システムのフロントエンドモジュールに搭載した例で
ある。光ファイバー401から入力した光信号はレンズ
402により集光されフォトダイオ−ド403で電気信
号に変換される。この電気信号は、基板407上の配線
405を通して前置増幅器404で増幅され、出力端子
406から出力される。
【0034】次に、図12及び図13に、図10及び図
11に示した前置増幅器及びフロントエンドモジュール
を利用した光伝送システムのシステム構成図を示す。図
12は、光伝送システムの送信側システム500を示し
ている。図12において、伝送すべき電気信号501
は、多チャンネル入力信号を1つの出力信号に多重化す
る動作を行うマルチプレクサMUXに入力される。マル
チプレクサMUXでは、例えば4:1などに多重化(す
なわち、4入力信号を1出力信号に多重化)し、その出
力信号がドライバ502に伝達される。半導体レーザー
LDは、常時一定の強度の光を出力しており、ドライバ
502により駆動される外部変調器503により、半導
体レーザLD出力光をドライバ502の出力に応じて吸
収あるいは非吸収して変調し、変調した出力光を光ファ
イバー504に伝送するように送信側システム500は
構成されている。
【0035】この送信側システム500のうち、電気信
号501を処理するマルチプレクサMUX、及び外部変
調器503を駆動するドライバ502には、電圧振幅が
大きくなるため耐圧を必要とするトランジスタと、高速
性が要求されるトランジスタとが混在する。例えば、4
0Gbit/s光伝送システムを想定した場合、マルチ
プレクサMUXやドライバ502を構成している耐圧B
CEOとして4V以上が要求される高耐圧バイポーラト
ランジスタは、そのベース層の厚さを、遮断周波数fT
として100GHz以上を要求されている高遮断周波数
バイポーラトランジスタのベース層の厚さよりも厚くす
ることにより、回路の高性能化が可能となる。
【0036】従って、実施例2で述べたように、図16
と図17より高遮断周波数トランジスタのベース幅とし
て20nm、高耐圧トランジスタのベース幅として38
nmが必要である。真性ベース層の厚さとベース幅WB
がほぼ等しいとすれば、実施例1と同様に溝5の幅wが
10μmで低濃度n型単結晶シリコン層3からの距離d
が1μmの場合、高耐圧トランジスタの真性ベース層1
0の厚さとして38nmを得るためには、例えば、真性
ベース層としてSi0.9Ge0.1組成のp型単結晶シリコ
ン・ゲルマニウム層をエピタキシャル成長する場合、図
8より成長速度は11.4nm/minであるから、シ
リコン基板温度575℃にて3.3分間の成長を行えば
い。この時、高遮断周波数トランジスタの真性ベース層
の厚さは20nm程度となる。このように設計すること
により、同一チップ上で耐圧と遮断周波数とがそれぞれ
異なる最適なトランジスタを用いてマルチプレクサMU
Xおよびドライバ502をIC化することができる。
尚、図12に示した送信モジュールは、いわゆる外部変
調型とよばれるものである。これに変えて、半導体レー
ザーLDの発光を直接制御する直接変調型を採用するこ
とも可能であるが、一般的に外部変調型での送信の方が
チャープによるスペクトル発振の広がりがなく、高速、
長距離の伝送に適する。
【0037】次に、光伝送システムの光受信型モジュー
ル510のブロック回路図を図13に示す。図13にお
いて、参照符号520はフロントエンドモジュールを示
し、このフロントエンドモジュール520には、図10
に示した前置増幅器を備える図11のフロントエンドモ
ジュールを適用できる。光ファイバ544を介して伝送
されてきた光信号は、フロントエンドモジュール520
の受光器521により電気信号に変換された後、プリア
ンプ(前置増幅器)522により増幅され、この電気信
号は、更にメインアンプ部530に入力されて増幅され
る。ここで、メインアンプ部530は、光伝送の距離や
製造偏差によるバラツキを避け、出力を一定に保つため
の自動利得調整器(AGC)531と、メインアンプ5
32とから構成され、メインアンプ532の出力はAG
C531に帰還されると共に識別器540及びクロック
抽出部550へ入力される。なお、メインアンプ部は利
得を調整する構成の他、出力振幅を制限するリミットア
ンプを採用した構成とすることもできる。
【0038】識別器540は所定のクロックに同期して
1ビットのアナログ−ディジタル変換を行うよう構成さ
れ、メインアンプ部530の出力をディジタル化し、送
信側で多重化された信号を元の多チャンネルの信号に分
離する分離器(デマルチプレクサ)DMUXに入力され
る。識別器540からの入力信号は、分離器DMUX
で、例えば1:4に分離された後(すなわち、多重化さ
れた1入力信号を4チャンネルの出力信号に分離された
後)、後段のディジタル信号処理回路560に入力さ
れ、所定の処理が行われる。
【0039】クロック抽出部550は、識別器540及
び分離器DMUXの動作タイミングを制御するためのク
ロック信号を、光電変換した電気信号から形成するため
のものである。クロック抽出部550では、まず、メイ
ンアンプ部530の出力を全波整流器551により整流
し、帯域の狭いフィルタ552によりフィルタリングし
てクロック信号となる信号を抽出する。フィルタ552
の出力は、フィルタ出力とアナログ信号の位相をあわせ
るための位相器553を通る。この位相器553は、予
め定められた遅延量に基づきフィルタ出力を遅延させる
ものであり、位相器553の出力信号はリミットアンプ
554を介して識別器540へと送られる。ここで、全
波整流器551及びリミットアンプ554の回路を構成
するバイポーラトランジスタは、電圧振幅が大きいため
に耐圧を高くする必要がある。例えば、40Gbit/
sの伝送システムでは、識別器540、メインアンプ部
530のバイポーラトランジスタの耐圧BVCEOとして
は2V程度が必要であるのに対して、全波整流器551
及びリミットアンプ554のバイポーラトランジスタの
耐圧BVCEOは倍の4V程度が必要となる。このため、
実施例1で説明した製造方法を用いて、全波整流器55
1及びリミットアンプ554の回路を構成しているバイ
ポーラトランジスタのベース層の厚さを、他の回路を構
成しているバイポーラトランジスタのベース層の厚さよ
りも厚くすることによって、同時にこれらの回路を同一
基板上に、従来の高耐圧トランジスタだけで構成するよ
りもチップサイズを小さくして作製することができる。
従って、光受信型モジュール510の低コスト化及び低
消費電力化が可能となる。
【0040】前記実施例2に従って製造したバイポーラ
トランジスタを有する半導体集積回路装置は、遮断周波
数fT、及び最大遮断周波数fmaxが100GHz以上の
超高速で動作可能なため、図12及び図13の回路構成
に適用することにより、1秒当たり40Gビット以上の
信号を超高速で送受信することができる。また、従来こ
のような高速動作が必要な回路は、シリコンバイポーラ
トランジスタに比べて動作速度が速いGaAsトランジ
スタで構成されていたが、本実施例により安価なシリコ
ントランジスタで構成することが可能となるため、シス
テム全体のコストを低減することが可能となる。
【0041】<実施例4>図14に、本発明に係る半導
体集積回路装置を適用するまた別の実施例を示す。図1
4に示した回路は、移動体無線携帯機の構成を示すブロ
ック回路図である。本実施例は、実施例1で述べた構造
のバイポーラトランジスタを有する半導体集積回路装置
の製造方法に従って製造した半導体装置を、低雑音増幅
器603、シンセサイザー606、PLL(Phase Locke
d Loop:フェーズ・ロックド・ループ)611等の移動
体無線携帯機の各ブロックを構成する回路に適用した例
である。
【0042】本実施例では、アンテナ601からの入力
を低雑音増幅器603で増幅し、シンセサイザ606で
合成した周波数により発振器605で発振させ、低雑音
増幅器603からの信号を、発振器605から発振した
信号を用いて、ダウンミキサ604において、より低い
周波数へダウンコンバージョンする。さらに、PLL6
11で生成した発振周波数を発振器610で発振させ、
ダウンミキサ604からの信号を、発振器610から発
振した信号を用いて、復調器609で復調し、より低周
波を扱うベースバンドユニット613において信号処理
を行なう。
【0043】また、ベースバンドユニット613から発
せられた信号は、変調器612で、PLL611で生成
した発振周波数に基づく発振器610からの信号を用い
て変調され、さらに、この変調器612の出力信号はア
ップミキサ608においてシンセサイザ606で構成し
た周波数に基づく発振器605からの信号を用いて高周
波へアップコンバートされる。このアップコンバートさ
れた信号は、電力増幅器607において増幅された後、
アンテナ601より送信される。ここで、スイッチ60
2は、信号の送信・受信を切り換えるスイッチであり、
ベースバンドユニット613から図示しない制御信号を
受けてその送信・受信が制御される。また、ベースバン
ドユニット613には図示しないスピーカ、マイク等が
接続され音声信号の入出力が可能とされている。
【0044】このように動作する移動体無線携帯機の各
回路ブロックのうち、特に低雑音増幅器603、シンセ
サイザー606、PLL611、電力増幅器607に、
実施例1で述べた構造のバイポーラトランジスタを有す
る半導体集積回路装置を適用して、それぞれの回路を構
成すれば好適である。電力増幅器607に用いられてい
るバイポーラトランジスタは、電圧振幅が大きい信号を
処理するために耐圧を高くする必要がある。例えば、耐
圧BVCEOとして4V程度、遮断周波数fTとして15G
Hz程度が必要とされる。これに対して、低雑音増幅器
603、シンセサイザ606、PLL611は、遮断周
波数fTとして30GHz以上の高遮断周波特性が要求
される一方、耐圧BVCEOとしては2V程度でよい。従
って、同一基板上に異なるベース層の厚さを有するトラ
ンジスタを同時に形成できる実施例1で述べた製造方法
を用いて、電力増幅器607を構成しているバイポーラ
トランジスタのベース層の厚さを、低雑音増幅器60
3、シンセサイザ606、PLL611を構成している
バイポーラトランジスタのベース層の厚さよりも厚くす
ればよい。
【0045】要求される耐圧と遮断周波数から、図16
と図17を用いて高遮断周波数トランジスタのベース幅
として40nm、高耐圧トランジスタのベース幅として
50nmが必要である。真性ベース層の厚さとベース幅
Bがほぼ等しいとすれば、実施例1と同様に溝5の幅
wが5μmで低濃度n型単結晶シリコン層3からの距離
dが0.3μmの場合、高耐圧トランジスタの真性ベー
ス層10の厚さとして50nmを得るためには、例え
ば、真性ベース層としてSi0.9Ge0.1組成のp型単結
晶シリコン・ゲルマニウム層をエピタキシャル成長する
場合、溝5の幅wが5μm、距離dが0.3μmの時、
図7よりシリコン基板温度575℃では成長温度が58
8℃となるから、図8より成長速度は10nm/min
である。従って、5分間の成長を行えばよい。この時、
図7より溝6の幅w’が1μm、距離d’が0.5μm
では成長温度が580℃であるから、図8より成長速度
は8nm/minである。従って、高遮断周波数トラン
ジスタの真性ベース層の厚さは、40nmとなる。この
ように設計することにより、同一チップ上で耐圧と遮断
周波数とがそれぞれ異なる最適なトランジスタを用いて
小さなチップサイズで各回路をIC化することができ
る。従って、本実施例の移動体無線携帯機の高性能化が
可能となり、低コスト化及び低消費電力化が図れる。
【0046】<実施例5>図15に、本発明に係る半導
体集積回路装置を適用する更に別の実施例を示す。図1
5に示した回路は、移動体無線携帯機のPLLのプリス
ケーラに用いるDフリップフロップの回路図である。
【0047】この回路では、入力信号とクロック信号及
び出力信号は高電位と低電位の2状態のみを有する。入
力信号と反転入力信号をそれぞれ端子719と端子72
0に入力し、クロック信号と反転クロック信号をそれぞ
れ端子721と端子722に入力することにより、端子
723と端子724からり出力信号と反転出力信号を得
ることができる。電流源717と718を流れる電流経
路は、クロック信号によりそれぞれトランジスタ709
か710、トランジスタ711か712のいずれかに切
り替わる。さらに、トランジスタ701〜708のオン
オフは、入力信号とクロック信号及び抵抗713、71
4、715及び716を流れる電流によって生じる抵抗
下端の電位により決定される。
【0048】本回路における出力信号は、クロック信号
が低電位から高電位に変化した場合に入力値を出力し、
それ以外の場合、前入力値を保持する。ここで、トラン
ジスタ701〜708は電圧振幅が大きいため、耐圧を
高くする必要がある。例えば、トランジスタ709〜7
12の耐圧BVCEOとしては1.5V程度であればよい
のに対して、トランジスタ701〜708の耐圧BV
CEOとしては2.5V以上が必要とされる。なお、遮断
周波数fTとしては、高耐圧及び低耐圧トランジスタの
両者共、30GHz程度あればよい。従って、これらの
トランジスタ701〜708のベース層の厚さを、トラ
ンジスタ709〜712のベース層の厚さよりも厚くす
ることによって、周波数特性、耐圧を最適値に設計でき
るため回路の高性能化が図れる。この場合、図16と図
17から、高耐圧トランジスタのベース幅として25n
m以上、低耐圧トランジスタのベース幅として15nm
となる。真性ベース層の厚さとベース幅WBがほぼ等し
いとすれば、実施例1と同様に溝5の幅wが5μmで低
濃度n型単結晶シリコン層3からの距離dが0.3μm
の場合、例えば、真性ベース層としてSi0.9Ge0.1
成のp型単結晶シリコン・ゲルマニウム層をエピタキシ
ャル成長するとすると、図7より成長温度は588℃で
あるから、図8より成長速度は10nm/minであ
る。従って、高耐圧トランジスタの真性ベース層10の
厚さとして25nm以上を得るためには、シリコン基板
温度575℃にて2.5分間の成長を行えばい。この
時、溝6の幅w’を0.5μm、距離d’を1μmとす
ると、図7より成長温度は575℃であるから、図8よ
り成長速度は6nm/minである。従って、低耐圧ト
ランジスタの真性ベース層の厚さは、15nm程度が得
られる。
【0049】このように設計することにより、同一基板
上に同時にベース層の厚さの違うトランジスタを作製で
きるため、耐圧の異なる最適な素子サイズのトランジス
タでDフリップフロップを構成できる。
【0050】以上、本発明の好適な実施例について説明
したが、本発明は前記実施例に限定されることなく、本
発明の精神を逸脱しない範囲内において種々の設計変更
をなし得ることは勿論である。例えば、実施例中では真
性ベース層として単結晶シリコン・ゲルマニウム層を用
いた場合について説明したが、単結晶シリコン層を用い
てよいことは言うまでもない。また、簡易的に酸化膜で
充填された素子分離絶縁領域となる溝の幅Wをパラメー
タにして、低濃度コレクタ層の温度と距離Dとの関係を
示したが、熱溜としてはたらく素子分離絶縁領域の容積
をパラメータにしても同様の関係が求められることは勿
論である。
【0051】
【発明の効果】前述した実施例より明らかなように、本
発明によれば、遮断周波数および耐圧の違うトランジス
タを同時に同一半導体基板上に作製することができる。
このため、バイポーラトランジスタを用いた半導体集積
回路の高性能化が可能となる。
【0052】トランジスタの耐圧を補うために必要なダ
イオードの数が低減できることから、従来のダイオード
追加による高耐圧が必要なトランジスタの寄生容量が実
効的に増加してしまい回路動作が低減してしまうという
問題が解消できる。
【0053】また、同一半導体基板上に同時にベース層
の厚さの異なるトランジスタを作製できるため、低消費
電力で高速に動作する各種回路が得られる。これを光伝
送システムの増幅回路および周辺回路に適用することに
より、大容量の信号を超高速で送受信することが可能と
なる。これを移動体無線携帯機に適用することにより、
低コスト、低消費電力な移動体無線携帯機を実現するこ
とができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る半導体集積回路装置の一実施例を
示す断面構造図である。
【図2】従来例の半導体集積回路装置を示す断面構造図
である。
【図3】図1に示した構造の半導体集積回路装置の製造
方法を示す断面構造図である。
【図4】図3に示した次の製造工程を示す断面構造図で
ある。
【図5】図4に示した次の製造工程を示す断面構造図で
ある。
【図6】図5に示した次の製造工程を示す断面構造図で
ある。
【図7】低濃度コレクタ層の温度と素子分離領域の幅お
よび素子分離領域と低濃度コレクタ層との距離の関係を
示す特性線図である。
【図8】Si1-xGexエピタキシャル成長速度のアレニ
ウスプロットによる特性線図である。
【図9】本発明に係る半導体集積回路装置を適用する論
理回路の一実施例を示す回路図である。
【図10】本発明に係る半導体集積回路装置を適用する
前置増幅回路の一実施例を示す回路図である。
【図11】本発明に係る半導体集積回路装置を適用する
光伝送システムのフロントエンドモジュールの概略構成
図である。
【図12】本発明に係る半導体集積回路装置を適用する
光伝送システムの送信側システムを示すブロック回路図
である。
【図13】本発明に係る半導体集積回路装置を適用する
光伝送システムの光受信型モジュールを示すブロック回
路図である。
【図14】本発明に係る半導体集積回路装置を適用する
移動体無線携帯機の構成を示すブロック回路図である。
【図15】本発明に係る半導体集積回路装置を適用する
移動体無線携帯機のPLLのプリスケーラに用いるDフ
リップフロップの回路図である。
【図16】バイポーラトランジスタのベース幅と遮断周
波数との関係を示す特性線図である。
【図17】バイポーラトランジスタのベース幅と耐圧と
の関係を示す特性線図である。
【符号の説明】 1,21…シリコン基板、 2,22…高濃度n型埋込層、 3,23…低濃度n型コレクタ層(単結晶シリコン)、 4,24…コレクタ・ベース分離絶縁膜、 5,6…素子分離絶縁領域の溝、 7,7’,8,8’,25,26…素子分離絶縁膜、 9,27…ベース引き出し層(p型多結晶シリコンもし
くは多結晶シリコン・ゲルマニウム)、 10,28…真性ベース層(p型単結晶シリコンもしく
は単結晶シリコン・ゲルマニウム)、 11,29…エミッタ・ベース分離絶縁膜、 12,30…エミッタ引き出し層(高濃度n型多結晶シ
リコン)、 13,31…エミッタ領域、 14,32…コレクタ引き出し層(高濃度n型多結晶シ
リコン)、 15,33…絶縁膜、 16,34…エミッタ電極、 17,35…ベース電極、 18,36…コレクタ電極。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 鷲尾 勝由 東京都国分寺市東恋ケ窪一丁目280番地 株式会社日立製作所中央研究所内

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】シリコン基板と、該シリコン基板に設けら
    れた高濃度第1導電型単結晶シリコン層と、該高濃度第
    1導電型単結晶シリコン層上に設けられた開口部を有す
    る絶縁膜と、前記開口部に埋め込んだ低濃度第1導電型
    の単結晶シリコン層と、該低濃度第1導電型の単結晶シ
    リコン層上に設けられた第1導電型と反対導電型の第2
    導電型単結晶シリコン・ゲルマニウム層と、前記絶縁膜
    上に第2導電型単結晶シリコン・ゲルマニウム層と接し
    て設けられた第2導電型多結晶シリコン・ゲルマニウム
    層と、前記シリコン基板中の前記開口部以外の部分に設
    けられた素子分離絶縁領域とからなり、該素子分離絶縁
    領域の幅および前記開口部からの距離によって前記第2
    導電型単結晶シリコン・ゲルマニウム層の厚さが異なる
    バイポーラトランジスタを有することを特徴とする半導
    体集積回路装置。
  2. 【請求項2】前記第2導電型単結晶シリコン・ゲルマニ
    ウム層の代わりに第2導電型単結晶シリコン層を設けて
    成る請求項1記載の半導体集積回路装置。
  3. 【請求項3】前記第2導電型単結晶シリコン・ゲルマニ
    ウム層の代わりに第2導電型単結晶シリコン層を設け、
    前記第2導電型多結晶シリコン・ゲルマニウム層の代わ
    りに第2導電型多結晶シリコン層を設けて成る請求項1
    記載の半導体集積回路装置。
  4. 【請求項4】前記シリコン基板に設けられた素子分離絶
    縁領域の幅が少なくとも0.1μmである請求項1記載
    の半導体集積回路装置。
  5. 【請求項5】シリコン基板に高濃度第1導電型単結晶シ
    リコン層を形成する工程と、 該高濃度第1導電型単結晶シリコン層上に開口部を有す
    る絶縁膜を形成する工程と、 前記開口部に低濃度第1導電型単結晶シリコン層を埋め
    込む工程と、 前記開口部に埋め込んだ低濃度第1導電型単結晶シリコ
    ン層上に第1導電型と反対導電型の第2導電型単結晶シ
    リコン・ゲルマニウム層を形成すると共に前記絶縁膜上
    に第2導電型単結晶シリコン・ゲルマニウム層と接して
    第2導電型多結晶シリコン・ゲルマニウム層を形成する
    エピタキシャル成長工程と、 前記シリコン基板の前記開口部以外の部分に、幅及び前
    記開口部からの距離が異なる素子分離絶縁領域を形成す
    る工程とからなり、 前記エピタキシャル成長工程が、低濃度第1導電型単結
    晶シリコン層およびシリコン基板に設けられた素子分離
    絶縁領域を加熱することにより、第2導電型単結晶シリ
    コン・ゲルマニウム層をエピタキシャル成長することを
    特徴とする半導体集積回路装置の製造方法。
  6. 【請求項6】前記エピタキシャル成長工程において、前
    記第2導電型単結晶シリコン・ゲルマニウム層及び第2
    導電型多結晶シリコン・ゲルマニウム層の代わりに、第
    2導電型単結晶シリコン層及び第2導電型多結晶シリコ
    ン層をエピタキシャル成長する請求項5記載の半導体集
    積回路装置の製造方法。
  7. 【請求項7】光信号を受け電気信号を出力する受光素子
    と、 受光素子からの電気信号を受ける第1の増幅回路と、 前記第1の増幅回路の出力を受ける第2の増幅回路と、 所定のクロック信号に同期して、前記第2の増幅回路の
    出力をディジタル信号に変換する識別器とを有する光受
    信システムであって、 前記第1の増幅回路は、前記受光素子にそのベースが接
    続された第1のバイポーラトランジスタと、該第1のバ
    イポーラトランジスタのコレクタにそのベースが接続さ
    れそのコレクタが前記第2の増幅回路の入力に接続され
    た第2のバイポーラトランジスタとを有し、前記第1又
    は第2のバイポーラトランジスタが請求項1記載の半導
    体集積回路装置により構成されたことを特徴とする光受
    信システム。
  8. 【請求項8】前記第1及び第2のバイポーラトランジス
    タからなる第1の増幅回路は単一の半導体チップ上に形
    成され、前記受光素子と前記半導体チップとは単一の基
    板上に実装されて成る請求項7記載の光受信システム。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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US8003475B2 (en) 2002-10-28 2011-08-23 Infineon Technologies Ag Method for fabricating a transistor structure

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