JPH10282304A - 光学薄膜 - Google Patents

光学薄膜

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JPH10282304A
JPH10282304A JP10141790A JP14179098A JPH10282304A JP H10282304 A JPH10282304 A JP H10282304A JP 10141790 A JP10141790 A JP 10141790A JP 14179098 A JP14179098 A JP 14179098A JP H10282304 A JPH10282304 A JP H10282304A
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JP
Japan
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thin film
optical thin
film
substrate
base material
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Application number
JP10141790A
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English (en)
Inventor
Atsushi Abe
淳 阿部
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Nikon Corp
Original Assignee
Nikon Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 容易に光学薄膜を成膜する。 【解決手段】 本発明の光学薄膜は、プラスチック基材
上に該基材を加熱することなくスパッタリングにより形
成されたことを特徴とするフッ化酸化マグネシウム系光
学薄膜である。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、反射防止膜等として用
いられる光学薄膜に関し、特にプラスチックレンズ上へ
の形成に好適な光学薄膜に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来、光学部品の反射防止膜としては、
屈折率が低く、可視域での吸収が少ないMgF2膜が汎
用されている。このMgF2膜は、ガラスからなる光学
部品用の反射防止膜として真空蒸着法により実用化さ
れ、今日までに至っている。しかし、真空蒸着法により
MgF2膜を形成する場合、蒸着時及び蒸着後に高温
(200〜400℃)で加熱しなければ、光学的及び機
械的性能を十分に満足させることはできない。従って、
光学部品がプラスチックからなる場合、熱変形等の理由
から、MgF2膜を形成することは非常に困難である。
このため、現在のところMgF2膜はプラスチックレン
ズ等には実用化されていないのが実情である。
【0003】光学薄膜を常温で形成する試みとしては、
Hollandらが、”L Martinu,H Bi
ederman and L Holland,Vac
uum/vol.35/number 12/p531
〜535/1985”(文献1)の中でスパッタリング
による方法について記載している。Hollandら
は、この文献の中で、「1)スパッタリングガスとして
Arガスを使って作成した膜ではMgF2蒸着膜と同等
の低い屈折率(n=1.38〜1.42)が得られる。
2)スパッタリングで形成したMgF2膜で可視域での
吸収が生じるのは、プラズマ中のF-イオンが基板ホル
ダ側に励起される負のプラズマポテンシャルにより反発
するため、薄膜内に取り込まれるF重量が不足すること
と、プラズマ中での水の解離により励起されたO- イオ
ンとMg+ イオンとの酸化反応により形成されるMgO
による。」と述べている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかし、本発明者らが
上記のHollandらの文献に基づいて、スパッタリ
ングによってMgF2膜を作成したところ、後述の比較
例でデータを示すように、Arガスを用いても低屈折率
の薄膜は得られなかった。また、基板ホルダ側にRFの
バイアスをかけてMgF2膜を作成し、光学特性を検討
したが、基板側のプラズマポテンシャルが負電位である
か否かとということと、薄膜の光学特性の間にHoll
andらが述べているような関係は認められなかった。
【0005】この他、MgF2膜を高温処理せずに作成
する方法としては、IAD法(Ion assiste
d deposition)が考えられる。しかし、こ
のIAD法は、分子容を大きくする(イオン半径の大き
いイオンを導入して配位数を高め、充填率を高くする)
方法であるため、得られたMgF2膜の屈折率は蒸着膜
に比べて高くなってしまう。
【0006】更に、IAD法でMgF2膜を作成する場
合、機械的性能を上げるためには、かなり高いイオン電
流密度を必要とするため、イオン損傷による膜の内部応
力の変化に対する影響が大きく、光学特性の経時的安定
性に問題点がある。また、プラスチックレンズ用の低屈
折率膜としては、二酸化ケイ素(SiO2)が用いられ
ることがあるが、SiO2の屈折率はn=1.47程度
と高く、反射率が高くなってしまう。
【0007】本発明は、かかる点に鑑みてなされたもの
であり、蒸着法によるMgF2膜と同等以上の光学特性
及び機械特性を有し、かつ、高温処理が不要で、プラス
チックレンズ等にも支障なく用いることのできる新規な
光学薄膜(新規物質)を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明は「プラスチック
基材上に該基材を加熱することなくスパッタリングによ
り形成されたことを特徴とするフッ化酸化マグネシウム
系光学薄膜プラスチック基材上に該基材を加熱すること
なくスパッタリングにより形成されたことを特徴とする
フッ化マグネシウム系光学薄膜」を提供する。このよう
な複合無機化合物で構成することによって、上記の課題
を達成している。
【0009】また、本発明の光学薄膜の光学特性の経時
安定性を向上させるためには、無機化合物中のSi濃度
を3〜10wt%とすると良い。この際の各元素の好ま
しい原子比の範囲は次のようである。 F/Mg=(1.3/1)〜(1.6/1) O/Mg=(0.4/1)〜(0.7/1) Si/Mg=(0.1/1)〜(0.3/1) Siを添加する場合、MgF2とSiをプラズマ中で反
応させる方法、具体的にはスパッタリング等によって作
成することができる。スパッタリングの条件は、求める
光学的特性等に応じて適宜設定されるものであるが、例
えば、MgF2とSiをターゲットとし、スパッタリン
グガスとしてArとO2を用いて、バックグランド圧力
を1.1×10-3Pa程度、スパッタリンガス圧6×1
-1Pa程度とすると良い。
【0010】
【作用】本発明の光学薄膜の屈折率は低く、低くなる理
由としては、薄膜を構成する無機化合物の分子屈折の変
化が考えられる。本発明では、屈折率が低く、低くなる
方法として、分子屈折を変化させるため(結合角を小さ
くする)、スパッタリング中の酸素イオンによる分子容
の変化を抑制でき、IAD法による膜のように屈折率が
高くならず(酸素イオンが取り込まれて分子容が大きく
なると屈折率が高くなる)、MgF2蒸着膜と同等の屈
折率を得ることができる。
【0011】次に、本発明の光学薄膜の光学特性の経時
安定性について述べる。光学薄膜を反射防止膜等として
用いるにあたって、屈折率を低い一定の値に保つ必要が
ある場合、薄膜中のSi濃度を調整することで屈折率の
経時変化を抑えることができる。本発明者らの検討結果
によれば、薄膜中のSi濃度が低い場合、Si濃度が高
すぎる場合に比べてSiOX の割合が低下してSi−F
2結合の割合が高くなる。従って、屈折率の経時安定性
を向上させたい場合には、Si濃度を3〜10wt%程
度とすることが好ましい。この理由は、Si濃度が低い
場合、より結合エネルギーの高いSi−Fの結合が促進
されることにより、Siのダングリングボンドの不動態
化が行なわれるものと推測される。
【0012】
【実施例】
[実施例1]図1は、本実施例で用いたスパッタ装置
(日電アネルバ株式会社製SPF−530H)の構成を
示す概略図である。本実施例では、MgF2ターゲット
(6inch)1上にSiウエハ(3inch)2を1
枚設置し、真空室3にアルゴン4及び酸素5を40SC
CMと20SCCMそれぞれ導入し真空室内の圧力を6
×10-1Paになるようバリアブルオリフィス6にてク
ライオンポンプ7の排気速度を調整した。またガス導入
前のバックグランドの圧力は、1.1×10-3Paとし
た。MgF2 ターゲット1にはパワー500WのRF
(高周波)をかけ、基板8にフッ化マグネシウム系薄膜
を付着させた。スパッタリング中は基板8の加熱は行わ
なかった。
【0013】上記のようにして、得られたフッ化酸化マ
グネシウム系膜の屈折率はn=1.40〜1.41,吸
収係数はα=2〜3×105(m-1)(波長λ=400
nm)であり、光学薄膜として十分な光学特性を有する
ものであった。 [実施例2]図2は実施例1の応用例を示すスパッタ装
置の概略図である。本実施例では、MgF2 ターゲット
1とSiターゲット2を別々のホルダーに載置し、Mg
2ターゲット1にはRF電源を接続し、Siターゲッ
ト2にはDC電源を接続した。図2のようなスパッタ装
置を用い、MgF2ターゲット1とSiターゲット2に
それぞれRF,DC電圧を印加して、実施例1と同様の
条件でフッ化酸化マグネシウム系光学薄膜を作成した。
【0014】このようにして得られたフッ化酸化マグネ
シウム系膜の屈折率はn=1.40〜1.41,吸収係
数はα=2〜3×105 (m-1)(波長λ=400n
m)であり、光学薄膜として十分な光学特性を有するも
のであった。 [試験例]各種光学薄膜の機械的性能を検討した結果を
以下に示す。試料としては、基板は全て青板ガラスを用
い、基板を270℃にして蒸着法でMgF2 膜を形成し
たもの、常温でMgF2蒸着膜を形成したもの、スパッ
タリングにより本発明の光学薄膜を形成したものを用意
した。密着性については、4〜5kg/cm2でのセロ
ハンテープテストによる引き剥がしテストを行ない、耐
溶剤性については、薄膜表面をシルボン紙にアセトンを
しみこませて十数回強く拭いた。また、耐擦傷性につい
ては、#0000のスチールウールを使って荷重800
gをかけ、往復50回/30秒こすることを行なった。
これらの試験の結果は次のようになった。
【0015】
【表1】
【0016】表1から分かるように、基板(青板ガラ
ス)を270℃に加熱し、この加熱された基板上に蒸着
によりフッ化マグネシウム系光学薄膜を形成した従来の
ものは、テープテスト、耐溶剤性、耐擦傷性の試験の結
果、各性能で優れた性能を有している。しかし、基板を
加熱することなく常温での蒸着により成膜したMgF2
薄膜は、基板を加熱して蒸着を行うことにより成膜され
た従来のMgF2薄膜に比べて各性能とも劣ったもので
あり、基板を加熱せずに蒸着する方法では、優れた性能
を有するフッ化酸化マグネシウム系光学薄膜は得られな
いことが分かる。従って、従来では基板上に優れた性能
を有するフッ化酸化マグネシウム系光学薄膜を成膜する
ためには、基板を加熱しなければ成膜できなかったこと
が分かる。よって、加熱されることにより変形などを生
じる恐れの有る基板には、従来、フッ化酸化マグネシウ
ム系光学薄膜を形成するはできなかった。
【0017】これに比べて、基板を加熱することなくス
パッタリング法により形成した本発明のフッ化酸化マグ
ネシウム系光学薄膜は、基板を加熱して形成する従来の
方法で形成された光学薄膜と同等の性能を有する光学薄
膜が基板を加熱することなく成膜できた。
【0018】
【発明の効果】従来、熱に弱い基材上にフッ化酸化マグ
ネシウム系光学薄膜を形成することは困難であったが、
本発明のフッ化酸化マグネシウム系光学薄膜は、基板を
加熱することなく成膜可能なので、熱に弱い基材上にも
成膜可能である。特に熱に弱いプラスチック基材を用い
る場合に有効である。そして、フッ化酸化マグネシウム
系光学薄膜を有する熱変形の生じていない光学物品を製
造することができるようになった。
【0019】また、フッ化酸化マグネシウム系光学薄膜
を有する光学物品を製造する場合に基材の制限が少なく
なり、効率よくフッ化酸化マグネシウム系光学薄膜を成
膜することができる。また本発明によるフッ化酸化マグ
ネシウム系光学薄膜は、MgF2蒸着膜と同等の低屈折
率で、可視域での吸収がほとんどなく、かつ、常温で作
成できるため、プラスチックレンズ等耐熱性の低い光学
部品の反射防止膜や保護膜等として好適に用いることが
できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】は、本発明の実施例で使用したスパッタリング
装置の概略図である。
【図2】は、本発明の実施例で使用したスパッタリング
装置の変形例を示す概略図である。
【符号の説明】
1・・・MgF2ターゲット 2・・・Siウエハ 3・・・真空室 4・・・アルゴンガス 5・・・酸素ガス 6・・・バリアブルオリフィス 7・・・クライオンポンプ 8・・・基板 9・・・マスフローコントロール

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 プラスチック基材上に該基材を加熱する
    ことなくスパッタリングにより形成されたことを特徴と
    するフッ化酸化マグネシウム系光学薄膜。
JP10141790A 1998-05-22 1998-05-22 光学薄膜 Pending JPH10282304A (ja)

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Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2015501001A (ja) * 2011-05-31 2015-01-08 コーニング インコーポレイテッド 赤外光反射防止膜用耐久MgO−MgF2複合膜

Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2015501001A (ja) * 2011-05-31 2015-01-08 コーニング インコーポレイテッド 赤外光反射防止膜用耐久MgO−MgF2複合膜
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