JPH10281441A - 高温ガス配管とボイラ - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】 組立作業が容易にでき、また、耐震性の有る
ライナを有し、かつ配管内を挿通する高温ガスによる熱
膨張が有っても配管内部に破損が生じない高温ガス配管
および該高温ガス配管を用いるボイラを提供すること。 【解決手段】 外管３の内側に配置される外管３と同一
軸芯を有する内管に相当するライナ５ｂは、支持部材５
の基部５ａを折り曲げて構成し、外管３とライナ５は支
持部材７、８の両端で接続固定される。外管３とライナ
５ｂと支持部材５、７、８の間には断熱材１０が充填さ
れており、これが一つのユニットとして外管組立体２を
構成する。この組立体２を外管３の両端部を接続するこ
とにより高温ガス配管１とする。全ての支持部材５、
７、８には配管の径方向の熱変形吸収部５ｃ、７ａ、８
ａを設け、また、ライナ５ｂの配管１の管軸方向の両端
部近傍でそれぞれ支持部材７、８により支持し、さらに
複数の外管組立体２同士を組み付け固定した状態で、隣
接するライナ５ｂ間に配管１の管軸方向および径方向に
クリアランス△、δを設ける。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は、高温ガス配管に係
わり、特に配管内を挿通する高温ガスによる熱膨張によ
り、破損が生じない高温ガス配管に関わる。

【０００２】

【従来の技術】従来の例えば電力用発電プラントの加圧
流動層ボイラに使用される高温ガス配管を図２および図
３に示す。高温ガス配管２１は一つのユニットとして構
成される外管組立体２２の端部同士を接合して構成され
る。そして各外管組立体２２は外管２３とその内壁面に
それぞれ溶接などで固定された高温ガス配管２１の径方
向に平面が向けられた円盤状の支持部材２５、外管２３
内側に配置される断熱材２６を支持する二つの支持部材
２７、２８及び前記支持部材２５には変位吸収プレート
３０を介して支持される高温ガス配管２１の内管に相当
する部材となるライナ３１から構成され、ライナ３１と
外管２３とを組み立てた状態で、両者により形成する間
隙部（Ａ）、（Ｂ）、（Ｃ）に断熱材２６が配置され
る。

【０００３】ライナ３１は支持部材２５に変位吸収プレ
ート３０を介して接続されているが、その断面形状が略
Ｌ字状であり、その基部３１ａは図３の拡大図に示すよ
うに支持部材２５の平面と並行した方向の平面を持って
いて、変位吸収プレート３０と共に支持部材２５に固定
される。

【０００４】上記構造体からなる外管組立体２２は次の
様に組み立てられる。すなわち、外管２３に支持部材２
５、支持部材２７及び支持部材２８を溶接などで接続固
定し、外管２３と支持部材２５との間及び外管２３と支
持部材２７の間にそれぞれ形成される間隙部（Ａ）、
（Ｂ）の領域に断熱材２６を充填した状態でライナ３１
を支持部材２５に変位吸収プレート３０を介して接続す
る。次に外管２３の支持部材２８とライナ３０との間の
間隙部（Ｃ）に断熱材２６を充填した状態で当該外管組
立体２２の外管２３の端部と隣接する別の外管組立体２
２の外管２３の端部と当接させた状態で、該当接部を溶
接等で固定する。

【０００５】こうして複数の外管組立体２２の端部同士
を溶接などで接続して、高温ガス配管２１が構成される
が、ライナ３１の基部３１ａには、ライナ３１の伸びる
管軸方向と反対側の管軸方向に伸びるリブ３１ｂが設け
られていて、これと隣接する別の外管組立体２２のライ
ナ３１との間で高温ガス配管２１の径方向クリアランス
δを形成している。また、隣接するライナ３１同士の高
温ガス配管２１の管軸方向に所定のクリアランス△を設
けられる。

【０００６】高温ガス配管２１を上記構成とすることに
より、ライナ３１の内部を挿通する高温ガスＧによる配
管２１の管軸方向および径方向の熱膨張を以下のように
吸収している。すなわち、配管２１の管軸方向の熱膨張
によるライナ３１の伸びは管軸方向クリアランス△に吸
収されるよう設定され、径方向クリアランスδは製作公
差により生じるが、ライナ３１を配管２１の管軸方向に
円滑にスライドさせるためにも必要である。一方、配管
２１の径方向の熱膨張によるライナ３１の伸びは変位吸
収プレート３０により吸収しているので、高温ガス配管
２１内を挿通する高温ガスＧによるライナ３１の熱膨張
があっても配管２１内部に破損が生じない。

【０００７】またライナ３１内を挿通する高温ガスＧは
ライナ３１と外管２３との間に配置した断熱材２６によ
り外管２３の外側の外気Ａと熱的に遮断されているた
め、配管２１内の高温ガスＧは外気Ａへの熱放出を最小
限に抑えられる。

【０００８】

【発明が解決しようとする課題】上記従来技術の高温ガ
ス配管２１ではライナ３１は、その基部３１ａの１カ所
で支持部材２５に固定されているだけであるため、支持
部材２５が大型、大重量となり、この固定作業が人手に
余る大変な作業である。また、ライナ３１が前記したよ
うに、方持ち梁となっているため外部からの振動により
変形し易いという問題があった。また、配管２１の径方
向の熱膨張によるライナ３１の伸びは変位吸収プレート
３０により吸収しているので、高温ガス配管２１内を挿
通する高温ガスＧによるライナ３１の熱膨張があっても
配管２１内部に破損が生じないが、変位吸収プレート３
０という部材が必要であると同時にその取り付け作業に
も手間を要することがあった。

【０００９】本発明の課題は上記従来技術の欠点を解消
し、高温ガス配管を構成するライナと外管部組立体との
組立作業が容易にでき、また、耐震性の有るライナを有
し、かつ配管内を挿通する高温ガスによる熱膨張が有っ
ても配管内部に破損が生じない高温ガス配管および該高
温ガス配管を用いるボイラを提供することにある。

【００１０】

【課題を解決するための手段】本発明の上記課題は次の
構成により解決される。すなわち、外管と、該外管の内
側に配置される外管と同一軸芯を有する内管に相当する
ライナと、外管とライナとの間に間隙を設けるために外
管とライナとを両端に接続した２以上の支持部材と、外
管とライナと支持部材の間隙に充填される断熱材とから
構成される外管組立体を一つのユニットとしてこれを外
管の両端部を接続することにより得られる高温ガス配管
であって、全ての支持部材には配管の径方向の熱変形吸
収部を設け、また、ライナの配管の管軸方向の両端部近
傍でそれぞれ支持部材により支持され、さらに複数の外
管組立体同士を組み付け固定した状態で、隣接するライ
ナ間に配管の管軸方向および径方向にクリアランスを形
成した高温ガス配管である。

【００１１】支持部材の熱変形吸収部は、支持部材を波
板状などにしたものであり、この熱変形吸収部はそれぞ
れの高温ガス配管の径方向の平面に設ける例を図１に示
しているが、各支持部材５、７、８の外管２側ないしラ
イナ部５ａ側に片寄った位置のいずれか、またはその双
方に設けることもでき、さらに支持部材５の径方向部分
及び支持部材７、８全体を熱変形吸収用の波板形状にし
ても良い。

【００１２】本発明の外管組立体を接続して得られる高
温ガス配管は、従来使用していた大型、大重量の部材を
用いることなく、配管内に高温ガスを挿通させたきのラ
イナの熱膨張を、隣接するライナ間に配管の管軸方向お
よび径方向にクリアランスおよびライナと外管とを結ぶ
支持部材に設けた熱変形吸収部で吸収させることでき、
高温ガスによる熱膨張による配管の破損のおそれはな
い。

【００１３】また、従来技術の大型、大重量のライナが
１カ所で固定されたライナの片持ち梁であったのに対し
て、本発明のライナとして一つの支持部材（図１では支
持部材５）がライナと一体的に形成されたものを用いる
と、ライナーの一方の端部側だけを支持部材で溶接など
による接続を行うだけで、外部からの振動に対する弱さ
と言った問題を解消する事ができ、従来技術のものに比
べて強度が高くなる。前記高温ガス配管を熱風などの高
温ガス流路用に用いるこた加圧流動層ボイラなどのボイ
ラに適用することができる。

【００１４】

【発明の実施の形態】以下本発明の第１の実施の形態を
図１を用いて説明する。本発明の第１の実施の形態とし
て図１に示す高温ガス配管１は前記した従来例と同様、
外管組立体２が１つのユニットとして構成されており、
複数の組立体２の外管３の端部同士を溶接等により接合
固定し、この接合を繰り返して長い一本の高温ガス配管
１を形成している。

【００１５】各外管組立体２は外管３とその内壁面にそ
れぞれ溶接などで固定された配管１の径方向に伸びる基
部５ａと高温ガス配管１の内管に相当するライナとなる
ライナ部５ｂとを有する支持部材５と同じく高温ガス配
管１の径方向に伸びる二つの支持部材７、８及び前記支
持部材５のライナ部５ｂと外管３とを組み立てた状態
で、外管３とライナ部５ｂ及び支持部材５、７、８によ
りそれぞれ形成される間隙部（Ａ）、（Ｂ）、（Ｃ）に
配置される断熱材１０とから構成される。上記支持部材
５のライナ部５ｂの内壁面には支持部材７、８の配管１
の径方向内側の端部とが溶接などにより固定されてい
る。

【００１６】図１に示す支持部材５、７、８の特徴はそ
の配管１の径方向に伸びる部分にそれぞれ波板状の熱変
形吸収部５ｃ、７ａ、８ａが設けられていることであ
る。上記構成からなる外管組立体２は下記のように組み
立てられる。すなわち、外管３の内壁面に支持部材７と
支持部材８の配管１の径方向外側の端部を溶接し、支持
部材５と支持部材７で囲まれる領域（Ａ）及び支持部材
７と支持部材８で囲まれる領域（Ｂ）にそれぞれ断熱材
１０を充填した状態で、支持部材５を所定位置に組み付
け、外管３の内壁面と支持部材５の基部５ａ側の端部及
び支持部材５のライナ部５ｂの壁面と支持部材８の配管
１の径方向内側の端部を溶接などでそれぞれ固定接続
し、次いで、外管３の管軸方向端部を隣接する外管組立
体２の外管３の管軸方向端部と溶接などにより接続固定
する。以下上記した接合を繰り返し、高温ガス配管１を
構成する。

【００１７】支持部材５は、その断面形状が略Ｌ字状で
あり、その配管１の径方向に伸びる基部５ａにはライナ
部５ｂの配管１の管軸方向と反対側の配管１の管軸方向
に伸びるリブ５ｄが設けられいて、これと隣接する別の
外管組立体２の支持部材５のライナ部５ｂとの間で高温
ガス配管１の径方向クリアランスδを形成している。ま
た、隣接するライナ部５ｂ同士の高温ガス配管１の管軸
方向に所定のクリアランス△を設けられる。

【００１８】図１に示す支持部材５の配管１の径方向部
及び支持部材７、８の中央部に各々熱変形吸収部５ｃ、
７ａ、８ａを配置している。該熱変形吸収部５ｃ、７
ａ、８ａはそれぞれの配管の径方向の平面に設ける例を
図１に示しているが、各支持部材５、７、８の外管２側
ないしライナ部５ａ側に片寄った位置のいずれか、また
はその双方に設けることもでき、さらに支持部材５の径
方向部分及び支持部材７、８全体を熱変形吸収用の波板
形状にしても良い。

【００１９】上記のごとく図１に示す高温ガス配管１で
は複数の外管組立体２同士を組み付け固定した状態で、
隣接するライナ部５ｂの間に配管１の管軸方向クリアラ
ンス△および径方向クリアランスδを形成し、また外管
組立体２同士は隣接する外管２同士の接合固定を配管１
の管軸方向の両端２カ所で行い、支持部材５の基部５ａ
の端部は外管２の内壁面に溶接などで接続固定され、支
持部材５のライナ部５ｂの他方の端部に近い、その内壁
面が支持部材８の径方向内側の端部と溶接などで接続固
定されている。また支持部材５のライナ部５ｂと外管２
により形成される間隙（Ａ）、（Ｂ）、（Ｃ）に断熱材
１０を充填し、更に支持部材５の基部５ａと支持部材
７、８に熱変形吸収部５ｃ、７ａ、８ａをそれぞれ設け
ている。

【００２０】そのため支持部材５のライナ部５ｂが高温
ガス配管１の管軸方向および径方向のいずれにも熱膨張
するが、この熱膨張によるライナ部５ａの伸びは従来技
術で説明したのと同様に、隣接するライナ部５ａ間に形
成したクリアランス△、クリアランスδおよび熱変形吸
収部５ｃ、７ａ、８ａに吸収される。

【００２１】また、支持部材５のライナ部５ｂのその高
温ガス配管１の管軸方向端側近傍は支持部材に溶接など
により接続固定されているので、図２に示す従来技術に
比較してライナ部分の組み立て作業が容易になり、さら
に地震等による外部から振動が作用しても容易に振動に
耐えることができ、かつライナ部５ｂが安定的に固定さ
れているので、高温ガス流Ｇによる断熱材の剥離損傷を
防止することもできる。

【００２２】また、ライナ部５ｂの内部を通る高温ガス
Ｇは従来技術で説明した場合と同様に、支持部材５のラ
イナ部５ａと外管２との間に有る断熱材１０により外気
Ａと熱的に遮断される。

【００２３】

【発明の効果】本発明によれば高温ガス配管を構成する
ライナと外管組立体との組立作業が容易にでき、また耐
震性の有るライナを有し、かつ配管内を挿通する高温ガ
スにより熱膨張が生じても配管内部に破損が生じない高
温ガス配管を提供することができるので、高温ガスを外
気と熱的に遮断した状態で、従来技術で発生していたラ
イナの熱膨張により、ライナと外管との接合部で発生し
ていた破断不良を解消できる。

【図面の簡単な説明】

【図１】 本発明の一実施形態の高温ガス配管の一部断
面図である。

【図２】 従来技術の高温ガス配管の断面図である。

【図３】 図２の高温ガス配管の一部拡大図である。

【符号の説明】

１、高温ガス配管 ２、外管組立体 ３、外管 ５、支持部材 ７、８支持部材 １０、断熱材

Claims (4)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 外管と、該外管の内側に配置される外管
   と同一軸芯を有する内管に相当するライナと、外管とラ
   イナとの間に間隙を設けるために外管とライナとを両端
   に接続した２以上の支持部材と、外管とライナと支持部
   材の間隙に充填される断熱材とから構成される外管組立
   体を一つのユニットとしてこれを外管の両端部を接続す
   ることにより得られる高温ガス配管であって、 全ての支持部材には配管の径方向の熱変形吸収部を設
   け、また、ライナの配管の管軸方向の両端部近傍でそれ
   ぞれ支持部材により支持され、さらに複数の外管組立体
   同士を組み付け固定した状態で、隣接するライナ間に配
   管の管軸方向および径方向にクリアランスを形成したこ
   とを特徴とする高温ガス配管。
2. 【請求項２】 支持部材の熱変形吸収部は、支持部材を
   波板状にしたものであることを特徴とする請求項１記載
   の高温ガス配管。
3. 【請求項３】 一つの支持部材は、ライナと一体的に形
   成されたものであることを特徴とする請求項１記載の高
   温ガス配管。
4. 【請求項４】 請求項１記載の高温ガス配管を高温ガス
   流路用に用いることを特徴とするボイラ。