JP3774301B2 - ボイラ - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、ボイラの炉壁の外周を水平な帯状に囲う燃焼空気用の風箱およびその支持装置並びに保持部材に関する。
【0002】
【従来の技術】
図6は従来のボイラの構成を示す側面一部断面図である。図で、1はボイラの炉壁で、吊り棒2を介して十分な強度を持つ鉄骨構造物3に支持されている。4は燃焼空気用の風箱(以下、風箱という。)で、炉壁1の外周を水平な帯状に囲い、風箱支持装置30により炉壁1に支持されている。6は風道で、図示しない送風装置に接続されている。7はバーナで、炉壁1の側面に複数が配置されている。8a、8bは伝熱器である。
【0003】
以上の構成において、風道6から風箱4に空気を送り込み、バーナ7で図示しない燃料を燃焼させ、炉壁1および伝熱器8a、8bにより点線で示す高温の燃焼ガスおよび空気から熱を取り出し、低温になった燃焼ガスおよび空気を出口9から炉外に排出する。
【0004】
次に、図7〜12により風箱4と風箱支持装置30についてさらに説明する。図7は風箱4の鳥瞰図、図8は図7におけるA部の拡大図、図9は図8におけるB部を斜め下から見上げた図、図10は図7におけるC−C断面図(図6におけるD部拡大図)、図11は図9のE−E断面図、図12は図9のF−F断面図である。なお、図9において縫目状の短線を付した個所は溶接個所である。
【0005】
これらの図において、11は断面が略長方形の枠体で、垂直方向の複数のポスト12とポスト12に組合せた4段の水平トラス13a〜13d(以下、図示の如何にかかわらず、位置を明確にするために後述の部材を含めて、上から1段目に配置される部材に添字aを、2、3、4段目に配置される部材にそれぞれ添字b、c、dを付して位置を表示する。)とを組合せた外側の面と、平板状のサポートプレート14a〜14dの炉壁1に対向する各面で形成される内側の面とを備えている。サポートプレート14a〜14dは炉壁1の幅と略同じ長さで、ポスト12に対向する位置に配置された平板状の連結金具15a〜15dを介してサポートプレート14a〜14dと平行の水平トラス梁16a〜16dに接続されている。なお、クリップ34、35とサポートプレート14a〜14dの背面(以下、炉壁に対向する側の面を表面と呼び、連結金具15a〜15d側の面を背面と呼ぶ。)との間には当接しない程度の隙間Gが設けられている。水平トラス梁16a〜16dと水平トラス13a〜13dは多数の梁17により結合されている。18は斜梁で、連結金具15bとポスト12とを結合している。なお、ポスト12、水平トラス13a〜13d、水平トラス梁16a〜16d、梁17および斜梁18はL形・H形・管などの構造用鋼材により形成されている。19は鋼製のカバーで、枠体11の内側の面を除く3面に配置され、炉壁1との接点は図示しない耐熱性のある弾性部材によりシールされ、炉壁1とカバー19とで囲まれる空間を外気から遮断している。
【0006】
30bは複数の板状の風箱支持装置で、上側の端面31bがそれぞれ同一面を形成するようにして炉壁1を構成する炉壁管32に溶接されている。なお、風箱支持装置30bは連結金具15bを中心とする幅Wにだけ配置されており、炉壁1の全幅にわたり配置されているわけではない。端面31bはサポートプレート14bの底面に当接し、風箱4は風箱支持装置30bにより炉壁1に支持されている。33は隣接する炉壁管32を接続するシールバーで、炉壁管32と共に炉壁1を構成している。なお、炉壁1の表面は完全な平面ではなく凸凹あるいは倒れがあり、サポートプレート14a〜14dはボイラの一辺の幅とほぼ同一の長さの1個の平板で形成されているため、炉壁管32とサポートプレート14a〜14dとが接触する個所もある。
【0007】
34はL字形のクリップで、内面34hを端面31bと同一面に、また内面34vをサポートプレート14bの背面と僅かな隙間gが開くようにして炉壁管32に溶接されている。35はL字形のクリップで、内面35hがサポートプレート14bの上面と隙間を開けて、また内面35vがサポートプレート14bの背面に隙間gの隙間が開くようにして炉壁管32に溶接されている。なお、クリップ34,35は炉壁1の全周にわたり、略等間隔に配置されている。
【0008】
以上の構成であるから、風箱4の重量は炉壁管32に溶接された複数の風箱支持装置30bそれぞれに略均等に負担され、特定の風箱支持装置30bおよび炉壁管32に負荷が集中することを防止するようになっている。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
ボイラの運転・停止等の稼働状況に対応して炉壁1とサポートプレート14a〜14dはいずれも熱変形する。ここで、サポートプレート14bに供給される熱は炉壁1からの伝導熱および風箱支持装置30bを介して伝達される炉壁1からの伝導熱であり(なお、サポートプレート14a、c、dに供給される熱は炉壁1からの伝導熱だけである。)、炉壁1の温度変化に比べてはるかに小さいから、固定のサポートプレート14bに対して炉壁1が膨張あるいは収縮することにより移動するとみなしてよい。そこで、炉壁1の移動に伴う影響を前後(サポートプレート14bに接・離する方向)、左右(前後と直角な水平方向)、上下の各方向成分に分類すると以下のようになる。
【0010】
(1)前後方向:
端面31bが移動する際、端面31bとサポートプレート14bの下面との間に発生する前後方向の摩擦力により、風箱支持装置30bを支持する炉壁管32に応力が加わる。
【0011】
(2)左右方向:
端面31bが移動する際、端面31bとサポートプレート14bの下面との間に発生する左右方向の摩擦力により、風箱支持装置30bを支持する炉壁管32に応力が加わる。また、端面31bとサポートプレート14bの接触個所では摩擦力により、風箱支持装置30bを支持する炉壁管32に左右方向の応力が加わる。
【0012】
(3)上下方向:
風箱4の重量は1個の風箱支持装置30bを支持する炉壁管32の剛性に比べて遙かに大きい。このため、n個(ただし、n《Nで、Nは風箱支持装置30bの全個数)の風箱支持装置30bが上方に移動しようとする場合、伸びを0にするような圧縮応力が当該炉壁管32に加わる。なお、この圧縮応力により、端面31bとサポートプレート14bの下面との間の前後および左右方向の摩擦力も大きくなる。
【0013】
通常の運転による温度変化の場合、熱変形により炉壁管32が直ちに損傷することはない。しかし、熱変形が繰返されることにより、風箱支持装置30bを支持する炉壁管32が損傷し、特に端面31bとサポートプレート14bが当初から接触している個所では短時間で炉壁管32の損傷が発生することが分かった。そして、このように炉壁管32が損傷すると、修理に多大な費用と時間が必要となる。
【0014】
本発明の目的は、上記従来技術における課題を解決し、熱変形による炉壁管32の損傷を防止し、保守が容易なボイラの燃焼空気用風箱およびその支持装置並びに保持部材を提供するにある。
【0015】
【課題を解決するための手段】
上記の目的を達成するため、請求項1の発明は、炉壁管と、隣接する炉壁管を接続するシールバーとからなる炉壁と、
断面が略長方形の枠体と、その枠体の前記炉壁に対向する面を除く外面を覆うカバーとを有して前記炉壁に支持される燃焼空気用の風箱を有するボイラにおいて、
表面が前記炉壁に対向するようにして前記枠体内部に固定された帯状のサポートプレートと、前記炉壁に固定されて前記サポートプレートを支持する支持部材とを備え、
その支持部材は、
複数の前記シールバーにわたって表面が前記炉壁管と略同一面となるようにそれぞれ溶接された金具と、
厚さが前記サポートプレートの厚さよりも厚く、端面が前記サポートプレートの底面に当接するようにして前記金具の表面に溶接されたブロックと、
前記サポートプレートの下部と対向してサポートプレートとの間に隙間をもって前記ブロックに溶接されたクリップとを有していることを特徴とする。
【0016】
また、請求項2の発明は、サポートプレートは炉壁の幅方向に渡って複数に分割されて独立しており、各サポートプレートは水平トラス梁に接続されていることを特徴とする。
【0017】
さらに、請求項3の発明は、クリップのサポートプレートと対向する面を円弧状の凸面にしたことを特徴とする。
【0018】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を図示の実施の形態に基づいて説明する。
【0019】
図1は風箱4の取付け部を示す鳥瞰図で、図8に対応する図である。図2は図1におけるK部を斜め下から見上げた図で、図9に対応する図である。図3は図2におけるL−L断面図、図4は図2のM−M断面図、図5はクリップの外観図である。なお、図2において縫目状の短線を付した個所は溶接個所である。また、図7〜12と同じものまたは同一機能のものは同一符号を付して説明を省略する。40は断面が略コの字形の詰め金具で、従来技術における風箱支持装置30bが溶接されていた高さ方向の位置および幅Wに合わせ、幅W内の総てのシールバー33に表面41bが炉壁管32と同一面を構成するようにして溶接されている。42bはプレートで、長さはWであり、連結金具15bを介して水平トラス梁16bに接続されている。43bはブロックで、長さはWであり、厚さはプレート42bの厚さよりも僅かに厚く、連結金具15bを中心として端面44bがプレート42bの底面に水平に当接するようにして表面41bおよび炉壁管32に溶接されている。
【0020】
ここで上記の構成を従来の構成と比較すると以下の通りである。すなわち、プレート42bは従来技術におけるサポートプレート14bを分割し、1個の幅をWにしてそれぞれの間に隙間を設けた、すなわち隣接するプレート42bは互いに独立した構造になっている。この結果、それぞれのプレート42bを、それぞれが対向する炉壁管32の表面状態(凸凹および倒れ等)に合わせて水平トラス梁16bに接続することが可能になり、炉壁管32との圧着を防止できる。
【0021】
45は棒状のクリップで、ブロック43bに溶接され、プレート42bの背面と対向する面が隙間gを開けて円弧状の凸面に形成されている。46はL字形のクリップで、内面46hがプレート43bの上面と隙間を開けて、また内面46vがプレート42bの背面に隙間gを開けて対向するようにして詰め金具40に溶接されている。
【0022】
なお、図示を省略しているが、上から1、3、4段目も従来の構成部材を上記本発明の2段目の構成部材に置き換えた構成となっている。すなわち、詰め金具40により表面41a、c、dが形成され、プレート42bの上下各段にはプレート42bと同一寸法のプレート42a、c、dが設けられ、それぞれ連結金具15a、c、dを介してそれぞれの内面が対向する炉壁管32の表面と平行になるようにして水平トラス梁16a、c、dに接続されている。風箱4はプレート42bがブロック43bにより炉壁1に支持されている。
【0023】
次に、本実施の形態の動作を説明する。ボイラの運転・停止等の稼働状況に対応して炉壁1とプレート42bは熱変形するが、プレート42bの温度変化は炉壁1の温度変化に比べてはるかに小さい。そこで、従来と同様、炉壁1が膨張あるいは収縮することにより固定のプレート42bに対して移動するとする。また、理解を容易にするために、炉壁管32とシールバー33の幅と剛性は炉壁管32と等しいとする。この場合、炉壁1の移動に伴う影響を前後、左右、上下の各方向成分に分類すると以下のようになる。
【0024】
(1)前後方向:
ブロック43bの長さは従来技術における風箱支持装置30bが配置された幅Wに等しいから、ブロック43bの単位面積当たりに加わる風箱4の重量は1/2になり、端面44bとプレート42bの下面との間の摩擦力も1/2になる。また、ブロック43bを炉壁管32とシールバー33とで支えるから、ブロック43bを支持する炉壁管32の数を従来の約2倍にしたものと等価になる。この結果、前後方向の摩擦力によりブロック43bを支持する炉壁管32に加わる応力は従来の1/4になる。
【0025】
(2)左右方向:
上記前後方向の場合と同様に、左右方向の摩擦力によりブロック43bを支持する炉壁管32に加わる応力は従来の1/4になる。
【0026】
(3)上下方向:
従来の場合と同様に伸びを0にするような圧縮応力がブロック43bに加わるが、ブロック43bを支持する炉壁管32の数を従来の約2倍にしたものと等価であるから、炉壁管32の1本当たりの圧縮応力は従来の1/2になる。
【0027】
本実施の形態では、クリップ45にプレート42bの背面に対向する側の面を円弧状の凸面に形成したから、隙間gが0になってもクリップ45はプレート42bに食い込まず、炉壁1は左右方向に滑らかに移動できる。
【0028】
なお、上記ではブロック43bの1個の長さをWにしたが、短い長さのものをいくつか並べて1個のブロック43bに形成しても良い。また、ブロック43bの厚さをプレート42bの厚さよりも僅かに厚く形成したが、プレート42bの厚さより薄くても良い。さらに、断面が四角のボイラで説明したが、断面が円形のボイラにも適用できる。また、隣合うプレート42a〜dの左右方向の隙間は、プレート42a〜dが熱変形したときに干渉しない程度の小さいものでも良い。
【0029】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、複数のプレートを炉壁の幅方向に帯状に並べて炉壁の一辺当りのサポートプレートとしたから、総てのプレートの表面とそれぞれが対向する炉壁との圧着を防止することができ、プレートと炉壁との接触に起因する熱変形時の炉壁への負荷を軽減できる。また、風箱を支持する部材を板状とし、風箱の単位面積当たりの荷重を小さくしたから、熱変形に起因するプレートとの摩擦力を小さくでき、炉壁への負荷を軽減することができる。さらに、上記部材を支える面積を増したから、炉壁管1本当たりの負荷を軽減することができる。また、プレートが炉壁から離れる方向に移動することを防止するための棒状の保持部材の表面を円弧状の凸面に形成したから、炉壁の左右方向の移動が滑らかになり、結果として、炉壁管の負荷を軽減することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施の形態に係る風箱4の取付け部を示す鳥瞰図である。
【図2】図1におけるK部を斜め下から見上げた図である。
【図3】図2におけるL−L断面図である。
【図4】図2のM−M断面図である。
【図5】クリップの外観図である。
【図6】従来のボイラの構成を示す側面一部断面図である。
【図7】従来の風箱4の鳥瞰図である。
【図8】図7におけるA部の拡大図である。
【図9】図8におけるB部を斜め下から見上げた図である。
【図10】図7におけるC−C断面図(図6におけるD部拡大図)である。
【図11】図10のE−E断面図である。
【図12】図10のF−F断面図である。
【符号の説明】
1 炉壁
32 炉壁管
33 シールバー
42b プレート
43b ブロック
44b 端面
45,46 クリップ
Claims (3)
- 炉壁管と、隣接する炉壁管を接続するシールバーとからなる炉壁と、
断面が略長方形の枠体と、その枠体の前記炉壁に対向する面を除く外面を覆うカバーとを有して前記炉壁に支持される燃焼空気用の風箱を有するボイラにおいて、
表面が前記炉壁に対向するようにして前記枠体内部に固定された帯状のサポートプレートと、前記炉壁に固定されて前記サポートプレートを支持する支持部材とを備え、
その支持部材は、
複数の前記シールバーにわたって表面が前記炉壁管と略同一面となるようにそれぞれ溶接された金具と、
厚さが前記サポートプレートの厚さよりも厚く、端面が前記サポートプレートの底面に当接するようにして前記金具の表面に溶接されたブロックと、
前記サポートプレートの下部と対向してサポートプレートとの間に隙間をもって前記ブロックに溶接されたクリップとを有していることを特徴とするボイラ。 - 請求項1記載のボイラにおいて、前記サポートプレートは前記炉壁の幅方向に渡って複数に分割されて独立しており、各サポートプレートは水平トラス梁に接続されていることを特徴とするボイラ。
- 請求項1記載のボイラにおいて、前記クリップの前記サポートプレートと対向する面を円弧状の凸面にしたことを特徴とするボイラ。
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JP23130597A JP3774301B2 (ja) | 1997-08-27 | 1997-08-27 | ボイラ |
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---|---|---|---|
JP23130597A JP3774301B2 (ja) | 1997-08-27 | 1997-08-27 | ボイラ |
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JPH1163478A JPH1163478A (ja) | 1999-03-05 |
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- 1997-08-27 JP JP23130597A patent/JP3774301B2/ja not_active Expired - Fee Related
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