JPH10279704A - ポリエステル樹脂含有シート及びこれを用いてなる積層板 - Google Patents

ポリエステル樹脂含有シート及びこれを用いてなる積層板

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JPH10279704A
JPH10279704A JP9084257A JP8425797A JPH10279704A JP H10279704 A JPH10279704 A JP H10279704A JP 9084257 A JP9084257 A JP 9084257A JP 8425797 A JP8425797 A JP 8425797A JP H10279704 A JPH10279704 A JP H10279704A
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sheet
polyester resin
laminate
weight
resin
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JP9084257A
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Inventor
Makoto Oshita
誠 尾下
Takeshi Teramura
猛 寺村
Yoshiaki Yonetani
義明 米谷
Yasuki Nakayama
泰樹 中山
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Unitika Ltd
Original Assignee
Unitika Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 帯電防止性が良好で、しかも表面平滑性や切
削加工性や各種の機械的特性等に優れたポリエステル樹
脂含有シート及びこれを用いた積層板を提供する。 【解決手段】 熱可塑性ポリエステル樹脂100重量部
に対して、繊維状強化材5〜40重量部と、粒状無機化
合物5〜50重量部と、帯電防止剤1〜5重量部とを配
合する。得られた樹脂組成物を押出し成形してシートを
形成する。あるいは、前記シートを複数枚重ねて熱圧延
し、積層板を形成する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、熱可塑性ポリエス
テル樹脂をマトリックスとし、帯電防止特性が良好で、
かつ表面平滑性や切削加工性や各種の機械的特性等に優
れたポリエステル樹脂含有シート及びこれを用いた積層
板に関する。
【0002】
【従来の技術】近年の電子部品、中でも特にIC関連の
部品などは、静電気によるホコリの付着や汚れ等の影響
に敏感なものが多い。従って、このような電子部品の製
造工程において使用される治具類や搬送用パレット等の
材料には、静電気を防止する帯電防止性が要求されてい
る。
【0003】このような要求を満たすものとして、従来
より熱硬化性樹脂や熱可塑性樹脂を主成分とする樹脂組
成物が多く用いられている。熱硬化性樹脂を用いたもの
としては、例えば、ガラスクロスにエポキシ樹脂を含浸
させたものや、紙あるいは布にフェノール樹脂を含浸さ
せたもの等が挙げられる。熱硬化性樹脂は、機械的特性
や耐熱性等に優れ、寸法変化率が小さいという利点を有
するが、表面抵抗値が1010Ω以下程度の、治具類や搬
送用パレット等の材料に好適に使用できる程度の帯電防
止性を有するものではなかった。また熱硬化性樹脂は、
固くて脆いという欠点を有し、そのため切削加工中に粉
塵が多量に発生したり、また長期間の使用中には加工品
の端面が材料劣化によって粉状に欠落したりして、製品
に悪影響を与えるという問題があった。
【0004】一方、塩化ビニル樹脂、ナイロン樹脂、ポ
リエステル樹脂に代表される熱可塑性樹脂を用いたもの
は、切削加工性は良いが、一般に機械的特性や耐熱性に
劣るものが多く、電子部品の製造工程等において使用さ
れる治具類や搬送用パレット等の材料として好適に使用
できるものではなかった。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明は前記問題点を
解決し、帯電防止性が良好で、かつ表面平滑性や切削加
工性や各種の機械的特性等に優れ、電子部品の製造工程
等において使用される治具類や搬送用パレット等の材料
として好適に使用できるポリエステル樹脂含有シートと
これを積層して一体化させた積層板を提供するものであ
る。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、前記課題
を解決するために鋭意研究を重ねた結果、本発明に至っ
たものである。すなわち本発明は、熱可塑性ポリエステ
ル樹脂100重量部に対して、繊維状強化材5〜40重
量部と、粒状無機化合物5〜50重量部と、帯電防止剤
1〜5重量部とを配合した樹脂組成物を押出し成形して
なるポリエステル樹脂含有シートと、それを積層して一
体化した積層板とを要旨とするものである。
【0007】このように本発明によれば、熱可塑性樹脂
をマトリックスとしたポリエステル樹脂含有シートおよ
び積層板とすることで、加工性のよいシートおよび積層
板とすることができる。また、熱可塑性ポリエステル樹
脂100重量部に対して、繊維状強化材5〜40重量部
を配合することで、樹脂組成物に優れた機械的特性や耐
熱性が付与される。なお、熱可塑性ポリエステル樹脂に
繊維状強化材を単に配合しただけでは、繊維状強化材が
配向して成形品の表面にうねりや反りが生じることにな
るが、本発明においては、粒状無機化合物5〜50重量
部をさらに配合することで、繊維状強化材の配向性が緩
和され、さらに表面平滑性が得られる。そして、帯電防
止剤1〜5重量部をさらに配合することで、樹脂組成物
に帯電防止特性が付与される。従って、帯電防止特性を
有し、機械的特性や耐熱性等に優れ、しかも加工性がよ
く丈夫なポリエステル樹脂含有シートおよび積層板を得
ることができる。
【0008】このようなポリエステル樹脂含有シートお
よび積層板は、切削加工性が良くしかも帯電が少ないた
め、電子部品へのほこり等の付着の防止特性や帯電防止
性が求められる工場内での生産用治具や、IC関連用の
治具などに使用することができ、IC製造時などで必要
とされるウエハーケース等としての帯電防止性を満たす
ことができる。さらに積層板においては、シートよりも
一層強力が増すため大型の治具等にも好適に使用でき
る。
【0009】
【発明の実施の形態】本発明のポリエステル樹脂含有シ
ートおよび積層板を構成する樹脂組成物の主成分となる
熱可塑性ポリエステル樹脂は、結晶性のものであり、例
えばポリエチレンテレフタレート(以下「PET」と称
す。)、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナ
フタレート、ポリブチレンナフタレート、ポリシクロヘ
キシレンジメチレンテレフタレート等が挙げられるが、
中でも特にPETが好適に使用できる。また、本発明で
機械的強力の向上を目的として用いられる繊維状強化材
には、耐熱性を有し、弾性率、強度、弾性回復率等の力
学特性に優れたものが用いられ、このような繊維状強化
材としては、例えば、短繊維やウィスカーやフィブリド
等の繊維状の配合材が用いられる。このようなものとし
ては例えば、ガラス繊維、炭素繊維、炭化ケイ素繊維、
チタン酸カリウムウィスカー等の無機繊維、アラミド繊
維等の有機繊維等を挙げることができる。中でも力学特
性や経済性等を総合的に考慮するとガラス繊維が特に好
ましい。
【0010】また、繊維状強化材の直径及び長さについ
ては特に制限されないが、繊維長が長すぎるとマトリッ
クス樹脂であるポリエステル樹脂や他の配合物と均一に
混合、分散させることが難しく、逆に繊維長が短すぎる
と、強化材としての効果が不十分となるため、通常は、
繊維長が0.1〜10mmの範囲にあるものを使用する。
中でも、繊維状強化材がガラス繊維である場合には、繊
維直径が3〜20μmで繊維長が0.1〜7mmであるも
のが好ましく、繊維直径が9〜15μmで繊維長が0.
3〜5mmのものが特に好ましい。
【0011】繊維状強化材の配合量は、機械的特性や表
面平滑性等のバランスの点から、ポリエステル樹脂10
0重量部に対して5〜40重量部とすることが必要であ
る。配合量が40重量部を超えると、繊維状強化材の異
方性が顕著になって、表面平滑性が悪くなり、配合量が
5重量部未満では、機械的特性に優れたシートや積層板
が得られなくなる。
【0012】また必要に応じ、マトリックス樹脂である
ポリエステル樹脂との界面接着力を向上させ、補強効果
を向上させる目的で、種々の化合物で処理した繊維状強
化材を使用することが有効である。繊維状強化材がガラ
ス繊維の場合には、例えばビニルエトキシシラン、γ−
メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、β−(3,
4−エポキシシクロヘキシル)−エチルトリメトキシシ
ラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、
γ−クロロプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプ
ロピルトリメトキシシラン、γ−メルカプトプロピルト
リメトキシシラン等のシラン系処理剤、メタクリレート
クロミッククロリド等のクロム系処理剤で処理したもの
が好ましい。
【0013】本発明で用いる粒状無機化合物は、特に材
料が限定されるものではないが、具体的には、マイカ、
ガラスフレーク、タルク、ワラストナイト、シリカ、炭
酸カルシウム、合成ケイ酸又はその塩、亜鉛華、ハロサ
イトクレー、カオリン、塩基性炭酸マグネシウム、石英
粉、二酸化チタン、硫酸バリウム、硫酸カルシウム、ア
ルミナ等を使用できる。中でも、マイカ、ガラスフレー
クが好ましく、特にマイカが好適に使用できる。
【0014】上記の粒状無機化合物は繊維状強化材の配
向性緩和を目的として用いるものである。すなわち、熱
可塑性樹脂に繊維状強化材を配合しただけでは繊維状強
化材に配向性が生じ、押出し成形に不適であるばかり
か、成形品の表面に繊維の浮きや反りが生じるために、
粒状無機化合物を配合して異方性を緩和するものであ
る。
【0015】このような効果を上げるためには、粒状無
機化合物の平均粒径は1000μm以下のものが好まし
く、1〜600μmの範囲にあるものがより好ましい。
粒状無機化合物の配合量は、機械的特性や表面平滑性等
のバランスの点で、ポリエステル樹脂100重量部に対
して、5〜50重量部とすることが必要である。配合量
が5重量部未満であると表面平滑性に劣るものとなり、
さらにシートを積層して熱圧延したときの積層性にも劣
るものとなる。逆に配合量が50重量部を超えると、シ
ート及び積層板の機械的特性等が低下するので好ましく
ない。
【0016】本発明に用いられる帯電防止剤は、表面抵
抗値や体積抵抗値、あるいは帯電後の減衰時間などの低
減に代表される静電気制御機能をポリエステル樹脂組成
物に付与するものであり、イオン系界面活性剤や非イオ
ン系界面活性剤や両性系界面活性剤等が挙げられる。こ
れらの中でもポリエステル樹脂組成物との相溶性や、帯
電防止効果の発現性や、耐熱性や、長期安定性などを考
慮すると、アニオン系界面活性剤が特に好ましい。
【0017】アニオン系界面活性剤としては、例えば脂
肪酸アミン塩や高級アルコールのリン酸エステル、アル
キルサルフェート系、アルキルアリールサルフェート
系、ソディウムアルカンスルホネート系のものが挙げら
れるが、ソディウムアルカンスルホネート系のアニオン
系界面活性剤が特に好ましく、通常これは住化カラー社
製のナチュラルEPM−7E747(商品名)として市
販されている。
【0018】また、上記の界面活性剤にはペレット成形
性や熱履歴を少なくする等の理由から、ポリエステル樹
脂組成物への配合はシート成形時に行うことが好まし
い。この際には界面活性剤をそのまま添加してもよい
が、取扱いには注意を要し、良好な界面活性剤の分散や
添加を望むためには、予めPET等のポリエステル樹脂
に界面活性剤を20重量%程度含有したペレット状物を
用いることが好ましい。
【0019】本発明に用いられる帯電防止剤の配合量
は、機械的特性や帯電防止性や積層性を考慮すると、ポ
リエステル樹脂100重量部に対して1〜5重量部とす
ることが必要である。配合量が1重量部未満であると十
分な帯電防止効果が得られず、逆に配合量が5重量部を
超えると、シート成形性や機械的特性や積層性に劣るこ
とになる。
【0020】本発明のポリエステル樹脂含有シートおよ
びその積層板は、上記配合物以外に、必要に応じて熱安
定剤、酸化防止剤、光安定剤、滑剤、顔料、可塑剤、架
橋剤、耐衝撃性向上剤、難燃剤、難燃助剤等の各種のプ
ラスチック添加剤を併用することができる。
【0021】特に耐熱性が要求される用途においては、
シートの押出成形時には架橋せず、熱圧延成形時あるい
は熱圧延成形後に、高温熱処理、紫外線照射もしくは電
子線照射等の高エネルギー処理により架橋させることの
できる後架橋型の架橋剤を配合させることが極めて有効
であり、本発明におけるポリエステル樹脂含有シートに
対しては、例えばトリアリルイソシアヌレート、トリア
リルシアヌレート等のアリル基を有する架橋剤が好まし
く用いられる。
【0022】本発明のポリエステル樹脂含有シートは、
上述の熱可塑性ポリエステル樹脂と、繊維状強化材と、
粒状無機化合物と、帯電防止剤と、必要に応じて配合し
た各種の添加剤とを押出し機により混練してペレットを
作製し、このペレットをTダイを備えた押出しシート成
形装置により、シートを得ることができる。この際、シ
ートの厚みは0.1〜2mmの範囲であるものがシート
成形性やシートの表面平滑性の点で好ましく、0.2〜
1.5mmの範囲にあるものが特に好ましい。
【0023】また、本発明においては、上述のようにし
て得られたポリエステル樹脂含有シートを複数枚重ねて
熱圧延することにより一体化した積層板とすることがで
きる。
【0024】熱圧延には熱プレス成形機を用いる。その
プレス条件としての加熱温度は熱可塑性ポリエステル樹
脂のガラス転移点より高くする必要があるため、この加
熱温度は100〜260℃の範囲とする。また昇温速度
は速いほど積層しやすくなる傾向にあるので、3〜20
℃/minの範囲とする。より好ましくは加熱温度12
0〜200℃、昇温速度5〜10℃/minの範囲であ
る。また、プレス時の押圧力は15〜100kg/cm
2 、好ましくは30〜80kg/cm2 の範囲であ
る。押圧の保持時間は、通常3〜20minで、好まし
くは5〜15minである。
【0025】本発明のポリエステル樹脂含有シートは、
特有の組成により、熱圧延による積層加工性に優れ、接
着性のよい積層板を得ることができる。このような積層
板は、帯電性防止性に優れ、しかも機械的強力に優れて
いるため電子部品の製造工程の周辺で使われる部品や治
具類、あるいは搬送用パレットなどの材料として好適に
使用できる。
【0026】さらに本発明のポリエステル樹脂含有シー
トは、上記した積層板の他にも、真空成形や圧縮成形な
どの方法により各種の電子部品や工業部品、家電製品な
どにも利用することができる。
【0027】
【実施例】次に、実施例に基づき本発明を具体的に説明
するが、本発明はこれらの実施例のみに限定されるもの
ではない。なお、実施例における各種物性値の測定は、
以下の方法により実施した。
【0028】(1)極限粘度:フェノールとテトラクロ
ロエタンとの等重量混合物を溶媒として、温度20℃で
測定した。 (2)ペレット成形性:ポリエステル樹脂組成物の混練
物をストランド状に押出し、冷却後、切断してペレット
化する際の状況によって次の3段階で評価した。
【0029】 ○:ストランド切れが全く発生しない △:ストランド切れが一部発生するがペレット化は可能 ×:ストランド切れが多発し、ペレット化が不能 (3)シート成形性:シートを押出成形する際の状況に
よって次の3段階で評価した。
【0030】 ○:シート切れが全く発生しない △:シート切れが一部発生するがシート化は可能 ×:シート切れが多発し、シート化が不能 (4)表面平滑性:熱圧延シートの表面粗さを、表面粗
さ計(ミツトヨ社製、サーフテスト201)で測定し、
最大高さRmax の数値を指標として次の3段階で評価し
た。
【0031】 ○:Rmax が30μm未満 △:Rmax が30μm以上60μm未満 ×:Rmax が60μm以上 (5)表面抵抗値(Ω):帯電防止特性の指標となるも
のであり、ASTM−D257に記載の方法に準じて、
熱圧延シート及び積層板切削加工面の表面抵抗値を測定
した。本発明では、表面抵抗値が1010Ω以下のものを
帯電防止性を有するものとする。 (6)曲げ強度(MPa):ASTM−D790に記載
の方法に準じて測定し、熱圧延シートの縦方向および横
方向の曲げ強度をそれぞれを測定した。 (7)曲げ弾性率(MPa):ASTM−D790に記
載の方法に準じて測定し、熱圧延シートの縦方向および
横方向の曲げ弾性率をそれぞれを測定した。 (8)積層性:積層板を構成する各シート間の接着状況
を次の3段階で評価した。
【0032】 ○:層間剥離が全く発生しない △:層間剥離が端部で発生 ×:層間剥離が全面で発生し、熱圧延による積層が不能 (9)切削加工性:超硬チップを有した刃物を用いて積
層板をフライス加工し、切削加工面の表面粗さを表面粗
さ計(ミツトヨ社製、サーフテスト201)で測定し、
最大高さRmax の数値を指標として次の3段階で評価し
た。なお、フライス加工は刃物回転数1000rpm、
送り速度500mm/minの条件で行った。
【0033】 ○:加工面のRmax が10μm未満で、切削加工端部に
カケが発生しない △:加工面のRmax が10μm以上20μm未満で、切
削加工端部にカケが一部発生する ×:加工面のRmax が20μm以上で、切削加工端部に
カケが多量に発生する
【0034】実施例1 極限粘度0.78のPET100重量部に、繊維状強化
材としての平均直径13μm、平均長さ3mmのガラス繊
維(日本電気硝子社製)25重量部と、粒状無機化合物
としての平均粒径100μmのマイカ(レプコ社製)2
1重量部とを配合した。これを二軸押出機を用いて28
0℃で溶融混練した後、ストランド状に押出し、冷却
後、切断することによりペレットを得た。
【0035】このペレットに、アニオン系界面活性剤を
20重量%含有した帯電防止剤含有ペレット(住化カラ
ー社製 ナチュラルEPM−7E747)を前述のPE
T100重量部に対して10重量部(帯電防止剤として
は2重量部に相当する)均一に混合したものをシート用
原料とした。このシート用原料を用いて、Tダイを備え
た押出シート成形装置で厚み0.84mmのポリエステ
ル樹脂含有シートを作製した。
【0036】また、上記シートの表面平滑性、表面抵抗
値、曲げ強度、及び曲げ弾性率を測定するために熱圧延
シートを作製した。すなわち20段の多段熱プレス成形
機を用い、厚み0.84mmのポリエステル樹脂含有シ
ートを圧力40kg/cm2で常温〜180℃まで昇温速度5
℃/分で加熱し、180℃で15分間保持した後に速や
かに冷却して、厚み0.8mmの熱圧延シートを得た。
この際、プレス板としてマット加工をした厚み3mmの
アルミ合金板を使用した。
【0037】また、上記した厚み0.84mmのポリエ
ステル樹脂含有シートを13枚重ねて、熱圧延シートを
作製したときと同じ条件でプレスし、厚み10mmの積
層板を得た。
【0038】そして、得られた積層板を、縦型フライス
盤で厚みを5mmに切削加工した。得られた樹脂とシート
と積層板の性能等を表1に示す。
【0039】
【表1】
【0040】実施例2〜6 樹脂組成物の配合比を実施例2〜6で表1に示すように
した。そして、それ以外は実施例1と同様にして、樹脂
組成物を作製した。
【0041】得られた樹脂とシートと積層板の性能等を
表1に示す。
【0042】実施例1〜6では、熱可塑性ポリエステル
樹脂と、繊維状強化材と、粒状無機化合物と、帯電防止
剤との配合割合を本発明の範囲としたため、ペレット成
形性やシートの成形性が良く、また、前記シートを熱圧
延したシートは表面平滑性や曲げ強度や曲げ弾性率に優
れたものであった。また、帯電防止剤が配合されている
ため熱圧延したシートは表面抵抗値も小さく帯電防止性
の良いものであった。
【0043】また、シート材を積層して熱圧延した積層
板についても、積層性がよくて層間剥離がなく、切削加
工性も良好な積層板が得られた。また、積層板を加工し
て治具や搬送用パレット等を作製するため、切削加工面
は帯電防止性を必要とするが、表面抵抗値が小さく帯電
防止性のよい積層板が得られた。
【0044】比較例1 帯電防止剤を用いずに樹脂組成物の配合比を表2に示す
ようにした。それ以外は実施例1と同様にしてシートお
よび積層板を作製した。
【0045】得られた樹脂とシートと積層板の性能等を
表2に示す。
【0046】
【表2】
【0047】比較例2 帯電防止剤の配合量を本発明の下限よりも少なくした。
そして、それ以外は実施例1と同様にしてシートおよび
積層板を作製した。
【0048】得られた樹脂とシートと積層板の性能等を
表2に示す。
【0049】比較例3 帯電防止剤の配合量を本発明の上限よりも多くした。そ
して、それ以外は実施例1と同様にしてシートおよび積
層板を作製した。
【0050】得られた樹脂とシートと積層板の性能等を
表2に示す。
【0051】比較例4 粒状無機化合物の配合量を本発明の下限よりも少なくし
た。そして、それ以外は実施例1と同様にしてシートお
よび積層板を作製した。
【0052】得られた樹脂とシートと積層板の性能等を
表2に示す。
【0053】比較例5 粒状無機化合物の配合量を本発明の上限よりも多くし
た。そして、それ以外は実施例1と同様にしてシートお
よび積層板を作製した。
【0054】得られた樹脂とシートと積層板の性能等を
表2に示す。
【0055】比較例6 繊維状強化材および粒状無機化合物を配合しなかった。
そして、それ以外は実施例1と同様にしてシートおよび
積層板を作製した。
【0056】得られた樹脂とシートと積層板の性能等を
表2に示す。
【0057】比較例1は、帯電防止剤を用いなかったた
め熱圧延シートの表面抵抗値が高く帯電防止性に劣るも
のであった。また、積層板においても切削加工面の表面
抵抗値が大きく帯電防止性に劣るものであった。
【0058】比較例2は、帯電防止剤の配合量が本発明
の下限よりも少なかったため比較例1と同様に熱圧延シ
ートおよび積層板の帯電防止性に劣るものであった。比
較例3は、帯電防止剤の配合量を本発明の上限よりも多
くしたためシートの成形性にやや劣り、また積層板にお
いては積層性が悪く層間の接着強力の弱いものであっ
た。また、曲げ強度や曲げ弾性率にもやや劣っていた。
【0059】比較例4は、粒状無機化合物の配合量を本
発明の下限よりも少なくしたため、シートの表面平滑性
にやや劣り、曲げ強度や曲げ弾性率にも劣るものであっ
た。比較例5は、粒状無機化合物の配合量を本発明の上
限よりも多くしたため、押出し成形性にやや劣り、シー
トの成形性や熱圧延シート表面の平滑性にもやや劣るも
のであった。また、表面抵抗値も大きく帯電防止性にも
劣るものであった。さらに、積層板は切削加工性にやや
劣り、切削加工面の表面抵抗値も大きく帯電防止性に劣
るものであった。
【0060】比較例6は、繊維状強化材および粒状無機
化合物を配合しなかったため、熱圧延シートの曲げ強度
や曲げ弾性率に劣り、良好な積層性をもつ積層板は作製
できなかった。
【0061】
【発明の効果】本発明によれば、熱可塑性ポリエステル
樹脂に、繊維状強化材と、粒状無機化合物と、帯電防止
剤とを配合することで、機械的強力や表面平滑性に優
れ、しかも帯電防止性も有するポリエステル樹脂含有シ
ートを提供することができる。
【0062】さらに本発明によれば、このようなポリエ
ステル樹脂含有シートを複数枚積層して熱圧延すること
で、帯電防止性を有し、積層性がよく、また切削加工性
のよい積層板を提供することができる。
【0063】このような積層板は、電子部品の製造工程
の周辺で使われる部品や治具類、あるいは搬送用パレッ
トなどの材料として好適に使用できる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 FI // B29K 67:00 105:08 503:04 B29L 7:00 9:00 (72)発明者 中山 泰樹 京都府宇治市宇治樋ノ尻31−3 ユニチカ 株式会社宇治プラスチック工場内

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 熱可塑性ポリエステル樹脂100重量部
    に対して、繊維状強化材5〜40重量部と、粒状無機化
    合物5〜50重量部と、帯電防止剤1〜5重量部とを配
    合した樹脂組成物を押出し成形してなることを特徴とす
    るポリエステル樹脂含有シート。
  2. 【請求項2】 帯電防止剤がアニオン系界面活性剤であ
    ることを特徴とする請求項1記載のポリエステル樹脂含
    有シート。
  3. 【請求項3】 請求項1または2に記載のポリエステル
    樹脂含有シートを複数枚重ね、それを熱圧延して一体化
    したことを特徴とする積層板。
JP9084257A 1997-04-03 1997-04-03 ポリエステル樹脂含有シート及びこれを用いてなる積層板 Pending JPH10279704A (ja)

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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2013134478A (ja) * 2011-12-27 2013-07-08 Tosoh Corp 光学フィルム
WO2019111737A1 (ja) * 2017-12-05 2019-06-13 大塚化学株式会社 複合積層体及びその製造方法

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