JPH10277694A - 膨張調整剤およびこれを添加した鋳型材ならびにこの鋳型の製造方法 - Google Patents

膨張調整剤およびこれを添加した鋳型材ならびにこの鋳型の製造方法

Info

Publication number
JPH10277694A
JPH10277694A JP8855797A JP8855797A JPH10277694A JP H10277694 A JPH10277694 A JP H10277694A JP 8855797 A JP8855797 A JP 8855797A JP 8855797 A JP8855797 A JP 8855797A JP H10277694 A JPH10277694 A JP H10277694A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
calcium
mold
expansion
weight
casting
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Granted
Application number
JP8855797A
Other languages
English (en)
Other versions
JP3943647B2 (ja
Inventor
Mikinori Nishimura
巳貴則 西村
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
J Morita Manufaturing Corp
Original Assignee
J Morita Manufaturing Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by J Morita Manufaturing Corp filed Critical J Morita Manufaturing Corp
Priority to JP8855797A priority Critical patent/JP3943647B2/ja
Publication of JPH10277694A publication Critical patent/JPH10277694A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP3943647B2 publication Critical patent/JP3943647B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Fee Related legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Dental Prosthetics (AREA)
  • Mold Materials And Core Materials (AREA)
  • Compositions Of Oxide Ceramics (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 アルミナとマグネシアとを含む骨材をスピネ
ル反応させるときの膨張量を調整することができる膨張
調整剤を提供すること。 【解決手段】 アルミナとマグネシアとを含む骨材をス
ピネル反応させるときに添加する膨張調整剤であって、
前記膨張調整剤は、カルシウムを含む化合物群から選択
される材料、ホウ酸化合物群から選択される材料および
シリカのうち少なくとも1種または2種以上の材料を含
む膨張調整剤。また、このような膨張調整剤が添加され
た鋳型材。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、アルミナとマグネ
シアを含む骨材をスピネル反応させて鋳造用鋳型を製造
する鋳型材およびこの鋳型の製造方法ならびにスピネル
反応に用いる膨張調整材に関する。
【0002】
【従来の技術】金属、セラミックス、ガラスセラミック
などは、鋳造、粉末冶金、高温圧迫、超塑性加工などに
よって複雑な形状物に造形することができる。しかし、
これらの材料は、造形温度が高いために、常温に冷却さ
れた状態においては、凝固、焼結、相変換、冷却などに
伴う収縮が生じ、目的とする造形物と寸法、形状など点
で誤差を生じることがある。この収縮による誤差を防止
して所望とおりの造形物を得るためには、造形用の鋳型
を幾分大きくして上述した収縮量を補償する必要があ
る。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】この収縮による誤差を
補償するための方法の一つとして、造形物を生成するた
めのワックス自体を凝固収縮する量を加味して幾分大き
く形成する方法がある。しかしながら、この方法では、
鋳造に用いる金属やセラミックの種類毎(換言すると、
材料の熱膨張係数が異なる毎)にワックスの寸法を変え
なければならず、そのためワックスの製作が極めて煩雑
である。
【0004】また、上述した誤差を補償するための他の
方法として、鋳型を焼成によって製作する際に溶湯の鋳
造収縮する量を加味して鋳型を幾分膨張させて製造する
方法が存在する。そして、この方法を利用した1つの方
法として、特開平3−33060号公報に開示された方
法がある。特開平3−33060号公報に開示された方
法では、アルミナとマグネシアとを主骨材とする鋳型材
を用い、この鋳型材のスピネル反応を利用して鋳型を幾
分膨張させている。上述した主骨材を1200℃以下の
焼成温度に加熱すると、アルミナとマグネシアとがスピ
ネル反応を起こし、このスピネル反応の際に熱膨張が発
生する。このように製作した鋳型は、チタンやジルコニ
ウムなどの高温活性金属を鋳造するのに使用することが
できる。この反応によって生じたスピネル構造物の融点
は2150℃であり、骨材成分であるアルミナ(融点:
2050℃)やマグネシア(融点:2820℃)と同様
に、シリカ(融点:1723℃)に比べ耐熱性、耐反応
性に優れている。
【0005】ところが、スピネル反応は、上述したとお
り、1200℃以下の焼成温度において急激に起こる反
応であるので、鋳型を焼成する炉の設定温度の違いによ
り発現する膨張量が異なってくる。したがって、温度分
布が悪い炉においては、同一炉内でも鋳型の一部におい
て膨張量が相違し、鋳型の適合性に違いが生じることに
なる。この適合性の違いを解消するために、この違いを
意図してスピネル反応が完了する温度域以上に焼成温度
を上昇した場合には、逆に焼結反応が起こり始め、鋳型
の収縮が始まる。それ故に、適度な膨張量を得るために
は、鋳型の焼成温度を厳密に管理しなければならない
が、たとえば歯科用の廉価な炉では温度管理を充分正確
に行うことが困難であり、同一炉内においても適合性に
ばらつきが生じるおそれがある。
【0006】本発明の目的は、アルミナとマグネシアと
を含む骨材をスピネル反応させるときの膨張量を調整す
ることができる膨張調整剤を提供することである。本発
明の他の目的は、アルミナとマグネシアとをスピネル反
応させて鋳型を製造するときに適度な膨張量を得ること
ができる鋳型材を提供することである。本発明のさらに
他の目的は、適度な膨張量を得ることができる鋳型の製
造方法を提供することである。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明者は、鋭意研究の
結果、アルミナとマグネシアとを含む骨材をスピネル反
応させる際に、特定の材料を膨張調整剤として用いるこ
とによって、スピネル反応時の膨張量を調整することが
できることを見出した。また、本発明者は、鋭意研究の
結果、アルミナとマグネシアとを含む骨材をスピネル反
応させて鋳造用鋳型を製造する際に、特定の材料を膨張
調整剤として用いることによって、鋳型の膨張量を調整
することができることを見出した。すなわち、本発明
は、アルミナとマグネシアとを含む骨材をスピネル反応
させるときに添加する膨張調整剤であって、カルシウム
を含む化合物群から選択される材料、ホウ酸化合物群か
ら選択される材料およびシリカのうち少なくとも1種ま
たは2種以上の材料を含むことを特徴とする膨張調整剤
である。本発明に従えば、膨張調整剤として、カルシウ
ムを含む化合物から選択される材料、ホウ酸化合物群か
ら選択される材料およびシリカのうち少なくとも1種ま
たは2種以上の材料を用いることによって、スピネル反
応後の金属の鋳造収縮を補償するに充分な膨張量を得る
ことができ、またその膨張調整剤の添加量をコントロー
ルすることによって、所望の膨張量を得ることができ
る。
【0008】また本発明は、前記カルシウムを含む化合
物群の材料は、オクタン酸カルシウム、ギ酸カルシウ
ム、吉草酸カルシウム、クエン酸カルシウム、グルコン
酸カルシウム、安息香酸カルシウム、コハク酸カルシウ
ム、酢酸カルシウム、サリチル酸カルシウム、シュウ酸
カルシウム、フマル酸カルシウム、プロピオン酸カルシ
ウム、マレイン酸カルシウム、マロン酸カルシウム、水
酸化カルシウム、硫酸カルシウム、炭酸カルシウム、リ
ン酸カルシウム、けい酸カルシウム、フッ化カルシウ
ム、塩化カルシウム、臭化カルシウム、チタン酸カルシ
ウム、ドロマロイ、ガーネット、灰長石、ディオプサイ
ド、ゲーレナイト、アルミナセメント、カルシアおよび
マグネシアセメントから選択される1種または2種以上
の材料であることを特徴とする。本発明に従えば、カル
シウムを含む化合物群の材料として上述したものから選
択される1種または2種の材料を好都合に用いることが
でき、これによって、金属の鋳造収縮を補償するに充分
な膨張量を得ることができる。
【0009】また本発明は、前記カルシウムを含む化合
物群の材料の添加量が、アルミナとマグネシアとの合計
重量に対し、カルシウム元素としての重量換算で0.1
〜25%であることを特徴とする。本発明に従えば、カ
ルシウムを含む化合物群の材料の添加量が、アルミナと
マグネシアとの合計重量に対し、カルシウム元素として
の重量換算で0.1〜25%であるので、スピネル反応
の際に鋳造収縮を補償するに充分な膨張量を得ることが
できる。
【0010】また本発明は、前記ホウ酸化合物群の材料
は、一般式nAl23・mB23で表されるホウ酸アル
ミニウム、ホウ砂およびホウ酸カルシウムから選択され
る1種または2種以上の材料であることを特徴とする。
本発明に従えば、ホウ酸化合物群の材料として上述した
ものから選択される1種または2種以上の材料を好都合
に用いることができ、これによって、金属の鋳造収縮を
補償するに充分な膨張量を得ることができる。
【0011】また本発明は、前記ホウ酸化合物群の材料
の添加量が、アルミナとマグネシアとの合計重量に対
し、ホウ酸としての重量換算で0.5〜18%であるこ
とを特徴とする。本発明に従えば、ホウ酸化合物群の材
料の添加量が、アルミナとマグネシアとの合計重量に対
し、ホウ酸としての重量換算で0.5〜18%であるの
で、スピネル反応の際に鋳造収縮を補償するに充分な膨
張量を得ることができる。
【0012】また本発明は、前記シリカは、粒径が1.
0μm以下で、結晶構造がアモルファス構造であり、そ
してその添加量が、アルミナとマグネシアとの合計重量
に対し重量換算で1〜15%であることを特徴とする。
本発明に従えば、シリカの添加量がアルミナとマグネシ
アとの合計重量に対し重量換算で1〜15%であるの
で、スピネル反応の際に鋳造収縮を補償するに充分な膨
張量を得ることができる。また、シリカの粒径が1.0
μm以下であるので、特に好適に骨材と充分均一に混合
することができる。
【0013】また本発明は、スピネル反応するアルミナ
とマグネシアとを含む骨材と、この骨材を結合するため
の結合剤と、鋳造時の膨張量を調整するための膨張調整
剤とを含み、前記膨張調整剤は、カルシウムを含む化合
物群から選択される材料、ホウ酸化合物群から選択され
る材料およびシリカのうち少なくとも1種または2種以
上の材料を含むことを特徴とする鋳造用鋳型材である。
本発明に従えば、鋳型材は、アルミナおよびマグネシア
を骨材として膨張調整剤を含んでいるので、この鋳型材
により製造した鋳型は耐熱性に優れ、チタン、ジルコニ
アなどの高温活性金属の鋳造に適したものとなる。ま
た、鋳型材の膨張調整剤として、カルシウムを含む化合
物から選択される材料、ホウ酸化合物群から選択される
材料およびシリカのうち少なくとも1種または2種以上
の材料を用いるので、金属の鋳造収縮を補償するに充分
な膨張量を得ることができ、またその膨張調整剤の添加
量をコントロールすることによって、鋳型を所望のとお
り膨張させることができる。
【0014】また本発明は、前記骨材は、ジルコニア、
ジルコン、ムライト、スピネルおよび結晶性シリカから
選択される1種または2種以上の材料からなる補助骨材
を含んでいることを特徴とする。本発明に従えば、上述
した材料の1種または2種以上の材料を補助骨材として
好都合に用いることができる。
【0015】また本発明は、前記結合剤は、リン酸アン
モニウム、リン酸アルミニウム、ジルコニアゾル、アル
ミナゾル、コロイダルシリカ、塩基性乳酸アルミニウ
ム、エチルシリケートおよび酢酸マグネシウムから選択
される1種または2種以上の材料を含んでいることを特
徴とする。本発明に従えば、上述した材料の1種または
2種以上の材料を結合剤として好都合に用いることがで
きる。
【0016】また本発明は、前記骨材は、重量換算で6
0〜98.9%含まれ、前記結合剤は、重量換算で1〜
30%含まれていることを特徴とする。本発明に従え
ば、骨材は重量換算で60〜98.9%含まれ、結合剤
は重量換算で1〜30%含んでいるので、スピネル反応
が所望の通り起こり、スピネル構造物が生成される。
【0017】また本発明は、鋳型の焼成温度を下げるた
めの添加剤をさらに含んでおり、この添加剤がフッ化リ
チウム、フッ化アルミニウム、フッ化バリウム、塩化ナ
トリウム、塩化リチウム、臭化リチウムおよび酸化ホウ
素から選択される1種または2種以上であることを特徴
とする。本発明に従えば、鋳型材は添加剤を含んでいる
ので、鋳型を焼成する際の焼成温度を下げることができ
る。
【0018】さらに本発明は、アルミナとマグネシアと
を含む骨材と、この骨材を結合するための結合剤と、鋳
造時の膨張量を調整するための膨張調整剤とを混合して
鋳型材を生成し、前記鋳型材を生成するに際して、前記
膨張調整剤として、カルシウムを含む化合物群から選択
される材料、ホウ酸化合物群から選択される材料および
シリカのうち少なくとも1種または2種以上の材料を用
い、前記鋳型材をスピネル反応させて鋳型を製造するこ
とを特徴とする鋳型の製造方法である。本発明に従え
ば、アルミナおよびマグネシアを骨材として膨張調整剤
を含んだ鋳型材を生成し、この鋳型材をスピネル反応さ
せ鋳型を製造しているので、製造された鋳型は耐熱性に
優れ、チタン、ジルコニアなどの高温活性金属の鋳造に
適したものとなる。また、鋳型材の膨張調整剤として、
カルシウムを含む化合物から選択される材料、ホウ酸化
合物群から選択される材料およびシリカのうち少なくと
も1種または2種以上の材料を用いるので、金属の鋳造
収縮を補償するに充分な膨張量を得ることができ、また
その膨張調整剤の添加量をコントロールすることによっ
て、鋳型を所望のとおり膨張させることができる。
【0019】
【発明の実施の形態】以下、添付図面を参照してさらに
詳述する。まず、図1および図2を参照して鋳型の製造
方法を説明する。この実施形態では、鋳型は、それ自体
周知のロストワックス法によって製作される。すなわ
ち、図1に示すように、所定形状の疑似金型支持歯2の
周面および上面に、鋳造物の形状に対応した形状のワッ
クス4の層を形成する。このワックス4は、図2に示す
とおりに、鋳造枠体6内に設置される。鋳造枠体6は、
鋳造台8と鋳造リング10とを有し、鋳造台8の上面外
周部に鋳造リング10が着脱自在に装着される。鋳造台
8および鋳造リング10は、上面が開放された円筒状の
鋳造空間12を規定する。鋳造台8は、弾性変形可能な
ゴム材料から形成するのが好ましく、その中央部には円
錐状に上方に延びる中間突部8aが設けられ、さらに中
間突部8aの先端部に円筒状に細長く延びる支持突部8
bが設けられ、支持突部8bの先端面にワックス4が図
1に示す状態とは上下を逆にした状態で載置される。鋳
造リング10は金属材料から形成され、この鋳造リング
10の内周面には、セラミックウール14が付設され
る。セラミックウール14は、焼成時の径方向の膨張を
吸収する作用を有する。
【0020】次いで、鋳造枠体6の鋳造空間12に鋳型
材の混和物を充填して自然硬化させる。鋳型材の混和物
は、後述する鋳型材を適量、たとえば鋳型材100gに
対し、10ccから25cc、好ましくは15ccの水
で混和することによって生成され、この混和物が、ワッ
クス4が収容された鋳造空間12内に充填される。混和
物の水が10cc未満であれば混和しにくく、25cc
を超えると割れが生じやすくなる。なお、後述する結合
剤や膨張調整剤のうち、水溶性のものについて、予め水
溶液にしておき、これを混和に使用する場合は、より好
適に混和の均一化を行え、特に上記水溶性のもののう
ち、酢酸マグネシウムなどの潮解性のものについては、
水溶液にしておくことが保存に至便である。
【0021】上記混和物が自然硬化した後、鋳造リング
10から鋳造台8が取外される。しかる後、所定の焼成
条件、焼成温度をたとえば900℃付近の温度に維持
し、焼成時間をたとえば10分間から90分間、好まし
くは30分間行ってワックス4を消失させ、これによっ
て図3に示す鋳型16が製作される。焼成時間が10分
未満では焼成ムラが生じやすく、90分を超えると時間
・電力等の浪費となる。このように製作した鋳型16
は、ワックス4の形状に対応する第1の鋳型空洞18
(後述する造形物の形状に対応している)と、鋳型台8
の中間突部8aおよび支持突部8bの形状に対応する第
2の鋳型空洞20とを有し、第2の鋳型空洞20が第1
の鋳型空洞18まで延びている。
【0022】鋳型材としては、アルミナ(Al3
とマグネシア(MgO)とを含む骨材と、この骨材を結
合するための結合剤と、鋳造時の膨張量を調整するため
の膨張調整剤と含むものを用いる。アルミナとマグネシ
アとを含む骨材を用いて鋳型16を製作し、この鋳型1
6を1200℃以下の焼成温度に加熱すると、アルミナ
とマグネシアとがスピネル反応、すなわち、 Al23+MgO→MgAl24 を起こしてスピネル構造物が生成され、このスピネル反
応によって所定の膨張量が得られる。このスピネル反応
を行う際に、骨材としてジルコニア(ZrO2)、ジル
コン(ZrSiO4)、ムライト(3Al23・2Si
2)、スピネル(MgAl24)および結晶性シリカ
(SiO2)から選択される1種または2種以上の材料
からなる補助骨材を含んでいるものが望ましく、特に補
助骨材としてジルコニアまたはスピネルを好都合に用い
ることができ、このような補助骨材を含んでいる場合に
は、上述したスピネル反応を所望のとおりに行うことが
できる。
【0023】また、結合剤としてリン酸アンモニウム
(例:NH42PO4)、リン酸アルミニウム(例:A
l(H2PO43)、ジルコニアゾル、アルミナゾル、
コロイダルシリカ、塩基性乳酸アルミニウム(Al23
と乳酸を含むもの)、エチルシリケート(Si(OC2
54)、および酢酸マグネシウム(例:Mg(CH3
COO)24H2O)から選択される1種または2種以上
の材料を含んでいるのが望ましく、特に酢酸マグネシウ
ムを好都合に用いることができる。このような結合剤を
用いることによって、アルミナとマグネシアを含む骨材
を適量の水で混和して鋳型の混和物を所要のとおりに自
然硬化させることができる。そして、鋳型材として、骨
材(補助骨材を用いた場合には補助骨材を含めた骨材)
を重量換算で60〜98.9%含み、結合剤を重量換算
で1〜30%含むものを用いるのが望ましい。結合剤の
量が重量換算で1%より少ない場合には、鋳型材として
の結合力が得られず、バリ、クラックなどが発生しやす
くなる。一方、結合剤の量が重量換算で30%を越える
場合には、鋳型材に含まれる骨材の量が少なくなり、ス
ピネル反応によって生成されるスピネル構造物の量が少
なくなる。
【0024】さらに、膨張調整剤としては、カルシウム
を含む化合物群から選択される材料、ホウ酸化合物群か
ら選択される材料およびシリカ(SiO2)のうち少な
くとも1種または2種以上の材料を含むのが望ましい。
このような膨張調整剤を鋳型材に含めることによって、
金属の鋳造収縮を補償するに充分な膨張量を得ることが
でき、またその膨張調整剤の添加量をコントロールする
ことによって、所望の膨張量を得ることができる。
【0025】膨張調整剤としてのカルシウムを含む化合
物群の材料は、オクタン酸カルシウム(例:[CH
3(CH26COO]2Ca)、ギ酸カルシウム(例:C
a(HCOO)2)、吉草酸カルシウム(例:[CH
3(CH23COO]2Ca)、クエン酸カルシウム
(例:Ca3(C6572・4H2O)、グルコン酸カ
ルシウム(例:Ca[HOCH2(CHOH)4COO]
2・H2O)、安息香酸カルシウム(例:Ca(C65
OO)2・3H2O)、コハク酸カルシウム(例:Ca
[CH2COO]2・3H2O)、酢酸カルシウム(例:
Ca(CH3COO)2・H2O)、サリチル酸カルシウ
ム(例:Ca(HOC64COO)2・2H2O)、シュ
ウ酸カルシウム(例:Ca(COO)2・H2O)、フマ
ル酸カルシウム(例:Ca[CHCOO]2・3H
2O)、プロピオン酸カルシウム(例:[CH3CH2
OO]2Ca)、マレイン酸カルシウム(例:Ca[C
HCOO]2・H2O)、マロン酸カルシウム(例:CH
2[COO]2Ca・4H2O)、水酸化カルシウム
(例:Ca(OH)2)、硫酸カルシウム(例:nCa
SO4・mH2O)、炭酸カルシウム(例:CaC
3)、リン酸カルシウム(例:xCaO・yP25
zH2O)、けい酸カルシウム(例:CaSiO3)、フ
ッ化カルシウム(例:CaF2)、塩化カルシウム
(例:CaCl2・nH2O)、臭化カルシウム(例:C
aBr2・2H2O)、チタン酸カルシウム(CaO・T
iO2)、ドロマイト(MgCO3・CaCO3)、ガー
ネット(3CaO・Al23・3SiO2)、灰長石
(CaO・Al23・2SiO2)、ディオプサイド
(CaO・MgO・2SiO2)、ゲーレナイト(2C
aO・Al23・SiO2)、アルミナセメント(Al2
3とCaOを主成分とするもの)、カルシア(Ca
O)およびマグネシアセメント(MgOを主成分としC
aOを含むもの)から選択される1種または2種以上の
材料であるのが望ましく、これらから選択される材料を
用いることによって、金属の鋳造収縮を補償するに充分
な膨張量を得ることができる。カルシウムを含む化合物
群から選択される材料として、特に、酢酸カルシウムま
たは炭酸カルシウムを好都合に用いることができ、酢酸
カルシウムは粉末状のものと液体状のものの双方を用い
ることができる。また、炭酸カルシウムは粉末状ものも
を用いるのがよい。
【0026】このカルシウムを含む化合物群の材料の添
加量は、アルミナとマグネシアとの合計重量に対し、カ
ルシウム元素としての重量換算で0.1〜25%である
のが望ましい。上記材料の添加量が重量換算で0.1%
より少ない場合には、膨張調整剤としの効果が現れず、
一方上記材料の添加量が重量換算で25%を越える場合
には、骨材のスピネル反応によってスピネル生成物が充
分に生成されず、鋳型16の膨張不足となって適合性が
悪くなる。
【0027】膨張調整剤としてのホウ酸化合物群の材料
は、一般式nAl23・mB23で表されるホウ酸アル
ミニウム、ホウ砂(Na247)およびホウ酸カルシ
ウム(CaB47)から選択される1種または2種以上
の材料であるのが望ましく、これらから選択される材料
を用いることによって、金属の鋳造収縮を補償するに充
分な膨張量を得ることができる。ホウ酸化合物群から選
択される材料として、特に、(9Al23・2B23
で表されるホウ酸アルミニウムを好都合に用いることが
できる。
【0028】ホウ酸化合物群の材料の添加量は、アルミ
ナとマグネシアとの合計重量に対し、ホウ酸としての重
量換算で0.5〜18%であるのが望ましい。上記材料
の添加量が重量換算で0.5%より少ない場合には、膨
張調整剤としの効果が現れず、一方上記材料の添加量が
重量換算で18%を越える場合には、骨材のスピネル反
応によってスピネル生成物が充分に生成されず、鋳型1
6の膨張不足となって適合性が悪くなる。
【0029】また、膨張調整剤として使用するシリカ
は、粒径が1.0μm以下で、結晶構造がアモルファス
構造であるのが望ましく、また添加量は、アルミナとマ
グネシアとの合計重量に対し重量換算で1〜15%であ
るのが望ましい。シリカの粒径が1.0μm以下である
場合には、特に好適に骨材と充分に均一に混合すること
ができる。また、シリカの添加量が重量換算で1%より
少ない場合には、調整剤としての効果が得られず、一方
シリカの添加量が重量換算で15%を越える場合には、
骨材のスピネル反応によってスピネル生成物が充分に生
成されず、鋳型16の膨張不足となって適合性が悪くな
る。
【0030】このような鋳造用鋳型材として、骨材とし
てのアルミナおよびマグネシアと、補助骨材としてのジ
ルコニアと、膨張調整剤としての酢酸カルシウムおよび
ホウ酸アルミニウムと、結合剤としての酢酸マグネシウ
ムとの組合せのものを好都合に用いることができる。
【0031】鋳型材には、添加剤として、フッ化リチウ
ム(LiF)、フッ化アルミニウム(AlF3)、フッ
化バリウム(BaF2)、塩化ナトリウム(NaC
l)、塩化リチウム(LiCl)、臭化リチウム(Li
Br)および酸化ホウ素(B23)から選択される1種
または2種以上であるのが望ましく、このような添加剤
を鋳型材に添加することによって焼成温度を下げること
ができる。
【0032】鋳型材に添加される膨張調整剤は、次のと
おりのメカニズムによってスピネル反応における膨張量
を調整する。膨張調整剤が含まれていない場合には、上
述した反応式のスピネル反応は、1200℃以下の焼成
温度において起こり、アルミナとマグネシアの各1モル
から1モルのスピネルが生成され、生成されたスピネル
の比重が小さくなることによって膨張が生じる。このス
ピネル反応は、本来、アルミナまたはマグネシアのいず
れか一方が消失するまで継続して行われ、スピネル反応
の終了と同時に焼結収縮が起こる。ところが、鋳型材に
膨張調整剤としての酢酸カルシウムが含まれている場合
には、上記スピネル反応が、酢酸カルシウム中のカルシ
ウムの存在により途中で停止し、上述した焼結収縮も緩
和され、これによって、スピネル反応により所定の膨張
量を得ることができる。そして、鋳型材に添加する膨張
調整剤としての酢酸カルシウムの配合量を調整すること
によって、スピネル反応をコントロールし、スピネル生
成物の量を調整することができ、所望の膨張量の鋳造体
としての鋳型を製作することができる。
【0033】膨張調整剤としての他の材料も酢酸カルシ
ウムと同様の作用をもたらすので、酢酸カルシウムに代
えて、またはこれとともに用いることができる。なお、
膨張調整剤の添加量が過少である場合には、膨張調整剤
としての効果が充分に発揮されず、所望の膨張量を得る
ことができなくなる。一方、膨張調整剤の添加量が過多
である場合には、スピネル反応が起こり難くなったり、
耐熱性が劣化したりする。それ故に、膨張調整剤は、上
述したとおり、その材料に適した量を添加する必要があ
る。
【0034】上述のとおりにして製作した鋳型16は、
耐熱性に優れているので、チタン、ジルコニアなどの高
温活性金属の鋳造に適している。そして、この鋳型を用
いて製作された鋳造物は、歯科治療における義歯に好都
合に用いることができる。
【0035】図4は、アーク溶解式の真空溶解鋳造装置
の一実施形態を示しており、上述したとおりにして製作
した鋳型16は、この鋳造装置に適用して鋳造物を形成
することができる。図4を参照して、この鋳造装置32
は、ハウジング本体34を有し、このハウジング本体3
4内の空間は仕切壁36によって溶解室38と鋳造室4
0とに仕切られている。溶融および鋳造時には、溶解室
38および鋳造室40は真空状態に保持される。鋳造室
40には、支持テーブル42が設けられ、この支持テー
ブル42上に、図1〜図3に示すとおりにして製作され
た鋳型16(図3)が載置される。仕切壁36には、通
湯口43を有するブッシュ44が装着され、このブッシ
ュ44の通湯口43を通して鋳型16の第1および第2
の鋳型空洞18,20に溶融金属が注入される。溶解室
38には、傾動可能なルツボ45が配設されている。こ
のルツボ45には、鋳造する金属、たとえば純チタンま
たはチタンを主成分とする合金のインゴット46が収容
される。ルツボ45の上方には、アーク発生装置48の
アーク発生電極50が設けられている。アーク発生電極
50には高圧電圧が印加され、アーク発生電極50から
ルツボ45に収容されたインゴット46に向けてアーク
放電が行われ、これによってルツボ45内のインゴット
46が溶解される。また、溶融室38の内面には反射板
52が配設されている。さらに、溶融室38はチューブ
54を介してボンベ56に接続されている。ボンベ56
には不活性ガスが収容されており、溶解、鋳造時には、
ボンベ56内の不活性ガスが溶融室38に送給される。
【0036】この鋳造装置においては、ルツボ45内に
鋳造する金属インゴット46が収容され、アーク発生電
極50からのアーク放電によって金属インゴット46が
溶解される。金属インゴット46の溶解後、ルツボ45
を傾動させて溶解金属が鋳型16の第1および第2の鋳
造空洞18,20に注入され、注入した溶解金属が冷却
固化することによって、これら鋳造空洞18,20の形
状に対応する鋳造物が得られる。なお、図4は真空溶解
鋳造装置の例であるが、これに限定されず、遠心鋳造装
置など他の形態の鋳造装置を用いてもよい。
【0037】実施例1 実施例1として、表1に示す組成を有する鋳型材(骨材
として重量換算で35%のマグネシアおよび重量換算で
25%のアルミナと、補助骨材として重量換算で18%
のジルコニアと、膨張調整剤として重量換算で5%の酢
酸カルシウムと、結合材として重量換算で15%の酢酸
マグネシウムと、添加剤として重量換算で2%のフッ化
リチウムとからなる鋳型材)を用いて図1〜図3に示す
方法で鋳型を製作した。鋳型を焼成する時の温度は90
0℃であり、また焼成時間は50分であった。そして、
この製作した鋳型を図4に示すアーク溶解式鋳造装置
(株式会社モリタ製作所から製品名:サイクラークII
として市販されている鋳造装置)に取付け、この鋳造装
置を用いて溶解させたチタンの溶湯を鋳型に注湯して鋳
造体を製造した。この鋳造時の鋳型温度は600℃であ
った。
【0038】鋳造後に鋳型から取出した直後の鋳造体の
外観を目視で観察し、その観察結果を表1における鋳肌
状態の欄に示す。鋳肌状態の欄では、鋳造体に鋳型材の
付着がないものを「良好」と、鋳型材の付着が幾分ある
ものを「やや悪い」と、また鋳型材の付着が多いものを
「悪い」と示す。また、鋳造後に鋳型を目視で観察し、
鋳型に割れが発生しているか否かを調べた結果を表1に
おける鋳型割れの欄に示す。鋳型割れの欄では、鋳型の
割れが存在しないものを「無し」と、鋳型の割れが幾分
存在するものを「僅か有り」と、また鋳型の割れが顕著
に存在するものを「有り」と示す。この実施例1では、
鋳肌には鋳型材の付着はなく、また鋳型の割れも存在し
ていなかった。
【0039】さらに、鋳造物(通常クラウンと呼ばれ
る)の適合性を調べるために、図5に示すとおり、製作
した鋳造物102を、ワックス4を形成した元の疑似金
型支持歯2に被せ、このときに生じた隙間d(支持歯2
の基台2aの上面と鋳造物102の下端との隙間)を測
定し、その測定結果を表1における金型との隙間の欄に
示す。金型との隙間の欄における数字は、上記隙間の寸
法であり、「過膨張」とあるのは、膨張が大きくて鋳造
物102を支持歯2に被せたときにある程度ガタが存在
することを示す。実施例1では、この間隙dが0.05
〜0.10であり、適合性も良好であった。適合性は、
上記間隙dの値が小さいと適合性が良好となり、上記間
隙dが大きくなると適合性が悪くなる。
【0040】
【表1】
【0041】実施例2および3 実施例2および3では、組成が異なる鋳型材(補助骨材
と膨張調整材の混合比を変えたもの)を用いる点を除い
て実施例1と実質上同一条件にて鋳造物を製作した。そ
して、、製作した鋳造物の鋳肌状態、鋳型の割れ、およ
び適合性について調べ、それらの結果を表1に示す。実
施例2では、骨材として重量換算で35%のマグネシア
および重量換算で25%のアルミナと、補助骨材として
重量換算で23%のジルコニアと、膨張調整剤として重
量換算で10%の酢酸カルシウムと、結合材として重量
換算で15%の酢酸マグネシウムと、添加剤として重量
換算で2%のフッ化リチウムとからなる鋳型材を用い、
また実施例3では、骨材として重量換算で35%のマグ
ネシアおよび重量換算で25%のアルミナと、補助骨材
として重量換算で8%のジルコニアと、膨張調整剤とし
て重量換算で15%の酢酸カルシウムと、結合材として
重量換算で15%の酢酸マグネシウムと、添加剤として
重量換算で2%のフッ化リチウムとからなる鋳型材を用
いた。
【0042】実施例1〜3の結果から、スピネル反応す
るアルミナとマグネシアとの含有量が同一である場合で
も、膨張調整剤としての酢酸カルシウムの添加量が異な
れば適合性に差が生じることが確認できた。この結果か
ら、酢酸カルシウムの添加量を調整することによって、
膨張量を調整することができることが理解されるであろ
う。
【0043】膨張調整剤としての酢酸カルシウムの添加
量を調整することによって膨張量が変化することを確認
するために、実施例1〜3において、スピネル反応前後
の温度と鋳型の膨張率との関係を調べ、その結果を図6
に示す。鋳型の熱膨張率の変化は、(株)リガクから製
品名:TAS−100として市販されている熱膨張測定
装置を用いて測定した。図6から理解されるとおり、膨
張調整剤としての酢酸カルシウムの添加量が重量換算で
5%と少ないと熱膨張率が大きく、その添加量が重量換
算で10%、重量換算で15%と増えると熱膨張率が小
さくなった。この結果から、膨張調整剤としての酢酸カ
ルシウムの添加量を調整することによって鋳型の膨張量
を調整することができることが確認できた。
【0044】実施例4〜9 実施例4では、焼成温度が異なる点を除いて実施例1と
実質上同一条件にて鋳造物を製作した。実施例4におけ
る焼成温度は、実施例1より50℃低い850℃であっ
た。実施例5および6では、鋳型材の組成および鋳造時
の鋳型温度が異なる点を除いて実施例1と実質上同一条
件にて鋳造物を製作した。実施例5における鋳型材は、
骨材として重量換算で40%のマグネシアおよび重量換
算で20%のアルミナと、補助骨材として重量換算で2
6%のスピネルと、膨張調整剤として重量換算で7%の
炭酸カルシウムと、結合材として重量換算で5%の塩基
性乳酸アルミニウムと、添加剤として重量換算で2%の
フッ化リチウムとからなるものであり、鋳造時の鋳型温
度は400℃であった。また。実施例6における鋳型材
は、骨材として重量換算で30%のマグネシアおよび重
量換算で25%のアルミナと、補助骨材として重量換算
で34%のスピネルと、膨張調整剤として重量換算で4
%の酢酸カルシウムと、結合材として重量換算で5%の
リン酸アンモニウムと、添加剤として重量換算で2%の
フッ化リチウムとからなるものであり、鋳造時の鋳型温
度は100℃であった。実施例7および8では、鋳型材
の組成が異なる点を除いて実施例1と実質上同一条件に
て鋳造物を製作した。実施例7における鋳型材は、骨材
として重量換算で35%のマグネシアおよび重量換算で
25%のアルミナと、補助骨材として重量換算で18%
のジルコニアと、膨張調整剤として重量換算で3%のほ
う酸アルミニウムと、結合材として重量換算で17%の
酢酸マグネシウムと、添加剤として重量換算で2%のフ
ッ化リチウムとからなるものであり、また。実施例8に
おける鋳型材は、骨材として重量換算で35%のマグネ
シアおよび重量換算で25%のアルミナと、補助骨材と
して重量換算で18%のジルコニアと、膨張調整剤とし
て重量換算で5%のシリカと、結合材として重量換算で
15%の酢酸マグネシウムと、添加剤として重量換算で
2%のフッ化リチウムとからなるものであった。さら
に、実施例9では、鋳型材の組成および焼成温度が異な
る点を除いて実施例1と実質上同一条件にて鋳造物を製
作した。実施例9における鋳型材は、骨材として重量換
算で35%のマグネシアおよび重量換算で25%のアル
ミナと、補助骨材として重量換算で18%のジルコニア
と、膨張調整剤として重量換算で5%の酢酸カルシウム
および重量換算で5%のほう酸アルミニウムと、結合材
として重量換算で10%の酢酸マグネシウムと、添加剤
として重量換算で2%のフッ化リチウムとからなるもの
であり、鋳造時の鋳型温度は880℃であった。
【0045】これら実施例4〜9において製作した鋳造
物の鋳肌状態、鋳型の割れ、および適合性について調
べ、それらの結果を表1に示す。表1から、実施例4〜
9においても適合性が良好であった。なお、実施例6で
は、鋳型と溶融金属との反応を少なくし滑沢な鋳肌を得
るために、鋳造時の鋳型温度を100℃に設定したが、
100℃以下の温度でも鋳造可能である。
【0046】比較例1〜4 比較のために、比較例1〜4の実験を行った。比較例1
〜3では、それぞれ、実施例1,4,6の鋳型材の混合
比と略同様の配分となるように膨張調整材を添加しない
で調整したものを用いた点を除いて実施例1,4,6と
実質上同一の条件(表1参照)で鋳造物を製作した。そ
して、製作した鋳造物の鋳肌状態、鋳型の割れ、および
適合性について調べ、それらの結果も表1に示す。比較
例1〜3の結果から、膨張調整材を添加しない場合に
は、鋳造物に鋳型材が付着したり、鋳型割れが発生した
り、過膨張となったりし、比較例2を除いて所望の鋳造
物を得ることができなかった。
【0047】また、比較例4では、実施例8の鋳型材と
シリカの混合比を変えた点を除いて実施例8と実質上同
一の条件で鋳造物を製作した。そして、その結果も表1
に示す。比較例4の結果から、膨張調整剤としてのシリ
カの量が過剰になると収縮が大きくなって適合性が悪く
なった。
【0048】なお、実施例1,4と比較例1,2とを対
比することによって理解される如く、実施例1,4にお
ける金型の隙間の差と、比較例1,2における金型の隙
間の差とを比較した場合、実施例1,4における上記隙
間の差が、比較例1,2における上記差よりも小さく、
このことより、カルシウムの添加によって焼成温度の影
響を緩和されることが確認された。
【0049】なお、実施例1〜9および比較例1〜4は
すべてフッ化リチウムを添加剤として添加した例であ
り、この添加剤の働きによりスピネル反応の開始温度を
1200℃から900℃付近に下げることが可能であ
る。また、他の添加剤によって焼成温度を様々にした場
合でもフッ化リチウムと同様に膨張調整剤の効果を得る
ことができる。
【0050】
【発明の効果】本発明の請求項1の膨張調整剤によれ
ば、膨張調整剤として、カルシウムを含む化合物から選
択される材料、ホウ酸化合物群から選択される材料およ
びシリカのうち少なくとも1種または2種以上の材料を
用いることによって、スピネル反応後の金属の鋳造収縮
を補償するに充分な膨張量を得ることができ、またその
膨張調整剤の添加量をコントロールすることによって、
所望の膨張量を得ることができる。
【0051】また本発明の請求項2の膨張調整剤によれ
ば、カルシウムを含む化合物群の特定材料を好都合に用
いることができ、これによって、金属の鋳造収縮を補償
するに充分な膨張量を得ることができる。
【0052】また本発明の請求項3の膨張調整剤によれ
ば、カルシウムを含む化合物群の材料の添加量が、アル
ミナとマグネシアとの合計重量に対し、カルシウム元素
としての重量換算で0.1〜25%であるので、スピネ
ル反応の際に鋳造収縮を補償するに充分な膨張量を得る
ことができる。
【0053】また本発明の請求項4の膨張調整剤によれ
ば、ホウ酸化合物群の特定材料を好都合に用いることが
でき、これによって、金属の鋳造収縮を補償するに充分
な膨張量を得ることができる。
【0054】また本発明の請求項5の膨張調整剤によれ
ば、ホウ酸化合物群の材料の添加量が、アルミナとマグ
ネシアとの合計重量に対し、ホウ酸としての重量換算で
0.5〜18%であるので、スピネル反応の際に鋳造収
縮を補償するに充分な膨張量を得ることができる。
【0055】また本発明の請求項6の膨張調整剤によれ
ば、シリカの添加量がアルミナとマグネシアとの合計重
量に対し重量換算で1〜15%であるので、スピネル反
応の際に鋳造収縮を補償するに充分な膨張量を得ること
ができる。また、シリカの粒径が1.0μm以下である
ので、骨材と充分均一に混合することができる。
【0056】また本発明の請求項7の鋳型材によれば、
鋳型材は、アルミナおよびマグネシアを骨材として膨張
調整剤を含んでいるので、この鋳型材により製造した鋳
型は耐熱性に優れ、チタン、ジルコニアなどの高温活性
金属の鋳造に適したものとなる。また、鋳型材の膨張調
整剤として、カルシウムを含む化合物から選択される材
料、ホウ酸化合物群から選択される材料およびシリカの
うち少なくとも1種または2種以上の材料を用いるの
で、スピネル反応後の金属の鋳造収縮を補償するに充分
な膨張量を得ることができ、またその膨張調整剤の添加
量をコントロールすることによって、鋳型を所望のとお
り膨張させることができる。
【0057】また本発明の請求項8の鋳型材によれば、
骨材に補助骨材を含めることができる。
【0058】また本発明の請求項9の鋳型材によれば、
特定材料を結合剤として好都合に用いることができる。
【0059】また本発明の請求項10の鋳型材によれ
ば、骨材は重量換算で60〜98.9%含まれ、結合剤
は重量換算で1〜30%含んでいるので、スピネル反応
が所望の通り起こり、スピネル構造物が生成される。
【0060】さらに本発明の請求項11の鋳型材によれ
ば、鋳型材は添加剤を含んでいるので、鋳型を焼成する
際の焼成温度を下げることができる。
【0061】さらに本発明の請求項12の鋳型の製造方
法によれば、アルミナおよびマグネシアを骨材として膨
張調整剤を含んだ鋳型材を生成し、この鋳型材をスピネ
ル反応させ鋳型を製造しているので、製造された鋳型は
耐熱性に優れ、チタン、ジルコニアなどの高温活性金属
の鋳造に適したものとなる。また、鋳型材の膨張調整剤
として、カルシウムを含む化合物から選択される材料、
ホウ酸化合物群から選択される材料およびシリカのうち
少なくとも1種または2種以上の材料を用いるので、ス
ピネル反応後の金属の鋳造収縮を補償するに充分な膨張
量を得ることができ、またその膨張調整剤の添加量をコ
ントロールすることによって、鋳型を所望のとおり膨張
させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】支持歯にワックスを形成した状態を簡略的に示
す断面図である。
【図2】鋳造枠体にワックスを収容した状態を簡略的に
示す断面図である。
【図3】製作した鋳型を簡略的に示す断面図である。
【図4】真空溶解鋳造装置の一例を簡略的に示す断面図
である。
【図5】鋳造体の適合性を調べるための方法を説明する
ための簡略図である。
【図6】温度変化に対する鋳型の膨張率の変化率の変化
を示す図である。
【符号の説明】
2 疑似金型支持歯 4 ワックス 6 鋳造枠体 16 鋳型 32 真空溶解鋳造装置 102 鋳造物

Claims (12)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 アルミナとマグネシアとを含む骨材をス
    ピネル反応させるときに添加する膨張調整剤であって、
    カルシウムを含む化合物群から選択される材料、ホウ酸
    化合物群から選択される材料およびシリカのうち少なく
    とも1種または2種以上の材料を含むことを特徴とする
    膨張調整剤。
  2. 【請求項2】 前記カルシウムを含む化合物群の材料
    は、オクタン酸カルシウム、ギ酸カルシウム、吉草酸カ
    ルシウム、クエン酸カルシウム、グルコン酸カルシウ
    ム、安息香酸カルシウム、コハク酸カルシウム、酢酸カ
    ルシウム、サリチル酸カルシウム、シュウ酸カルシウ
    ム、フマル酸カルシウム、プロピオン酸カルシウム、マ
    レイン酸カルシウム、マロン酸カルシウム、水酸化カル
    シウム、硫酸カルシウム、炭酸カルシウム、リン酸カル
    シウム、けい酸カルシウム、フッ化カルシウム、塩化カ
    ルシウム、臭化カルシウム、チタン酸カルシウム、ドロ
    マロイ、ガーネット、灰長石、ディオプサイド、ゲーレ
    ナイト、アルミナセメント、カルシアおよびマグネシア
    セメントから選択される1種または2種以上の材料であ
    ることを特徴とする請求項1記載の膨張調整剤。
  3. 【請求項3】 前記カルシウムを含む化合物群の材料の
    添加量が、アルミナとマグネシアとの合計重量に対し、
    カルシウム元素としての重量換算で0.1〜25%であ
    ることを特徴とする請求項1または2記載の膨張調整
    剤。
  4. 【請求項4】 前記ホウ酸化合物群の材料は、一般式n
    Al23・mB23で表されるホウ酸アルミニウム、ホ
    ウ砂およびホウ酸カルシウムから選択される1種または
    2種以上の材料であることを特徴とする請求項1記載の
    膨張調整剤。
  5. 【請求項5】 前記ホウ酸化合物群の材料の添加量が、
    アルミナとマグネシアとの合計重量に対し、ホウ酸とし
    ての重量換算で0.5〜18%であることを特徴とする
    請求項1または4記載の膨張調整剤。
  6. 【請求項6】 前記シリカは、粒径が1.0μm以下
    で、結晶構造がアモルファス構造であり、そしてその添
    加量が、アルミナとマグネシアとの合計重量に対し重量
    換算で1〜15%であることを特徴とする請求項1記載
    の膨張調整剤。
  7. 【請求項7】 スピネル反応するアルミナとマグネシア
    とを含む骨材と、この骨材を結合するための結合剤と、
    鋳造時の膨張量を調整するための膨張調整剤とを含み、
    前記膨張調整剤は、カルシウムを含む化合物群から選択
    される材料、ホウ酸化合物群から選択される材料および
    シリカのうち少なくとも1種または2種以上の材料を含
    むことを特徴とする鋳造用鋳型材。
  8. 【請求項8】 前記骨材は、ジルコニア、ジルコン、ム
    ライト、スピネルおよび結晶性シリカから選択される1
    種または2種以上の材料からなる補助骨材を含んでいる
    ことを特徴とする請求項7記載の鋳造用鋳型材。
  9. 【請求項9】 前記結合剤は、リン酸アンモニウム、リ
    ン酸アルミニウム、ジルコニアゾル、アルミナゾル、コ
    ロイダルシリカ、塩基性乳酸アルミニウム、エチルシリ
    ケートおよび酢酸マグネシウムから選択される1種また
    は2種以上の材料を含んでいることを特徴とする請求項
    7または8記載の鋳造用鋳型材。
  10. 【請求項10】 前記骨材は、重量換算で60〜98.
    9%含まれ、前記結合剤は、重量換算で1〜30%含ま
    れていることを特徴とする請求項7〜9のいずれかに記
    載の鋳造用鋳型材。
  11. 【請求項11】 鋳型の焼成温度を下げるための添加剤
    をさらに含んでおり、この添加剤がフッ化リチウム、フ
    ッ化アルミニウム、フッ化バリウム、塩化ナトリウム、
    塩化リチウム、臭化リチウムおよび酸化ホウ素から選択
    される1種または2種以上であることを特徴とする請求
    項7〜10のいずれかに記載の鋳型材。
  12. 【請求項12】 アルミナとマグネシアとを含む骨材
    と、この骨材を結合するための結合剤と、鋳造時の膨張
    量を調整するための膨張調整剤とを混合して鋳型材を生
    成し、 前記鋳型材を生成するに際して、前記膨張調整剤とし
    て、カルシウムを含む化合物群から選択される材料、ホ
    ウ酸化合物群から選択される材料およびシリカのうち少
    なくとも1種または2種以上の材料を用い、 前記鋳型材をスピネル反応させて鋳型を製造することを
    特徴とする鋳型の製造方法。
JP8855797A 1997-04-07 1997-04-07 膨張調整剤およびこれを添加した鋳型材ならびにこの鋳型の製造方法 Expired - Fee Related JP3943647B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP8855797A JP3943647B2 (ja) 1997-04-07 1997-04-07 膨張調整剤およびこれを添加した鋳型材ならびにこの鋳型の製造方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP8855797A JP3943647B2 (ja) 1997-04-07 1997-04-07 膨張調整剤およびこれを添加した鋳型材ならびにこの鋳型の製造方法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JPH10277694A true JPH10277694A (ja) 1998-10-20
JP3943647B2 JP3943647B2 (ja) 2007-07-11

Family

ID=13946178

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP8855797A Expired - Fee Related JP3943647B2 (ja) 1997-04-07 1997-04-07 膨張調整剤およびこれを添加した鋳型材ならびにこの鋳型の製造方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP3943647B2 (ja)

Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2006007319A (ja) * 2004-05-21 2006-01-12 Kao Corp 鋳物砂
CN115093204A (zh) * 2022-06-16 2022-09-23 襄阳聚力新材料科技有限公司 一种熔炼球化剂、孕育剂用中性炉衬材料

Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2006007319A (ja) * 2004-05-21 2006-01-12 Kao Corp 鋳物砂
JP4615370B2 (ja) * 2004-05-21 2011-01-19 花王株式会社 鋳物砂
CN115093204A (zh) * 2022-06-16 2022-09-23 襄阳聚力新材料科技有限公司 一种熔炼球化剂、孕育剂用中性炉衬材料

Also Published As

Publication number Publication date
JP3943647B2 (ja) 2007-07-11

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JPH01202337A (ja) イットリア含有アルミナ基中子
US4025350A (en) Gellable binders
US5057155A (en) Mold forming material
US5310420A (en) Refractory containing investment material and method of making
JPH0140791B2 (ja)
US4201594A (en) Method for making refractory articles
JPH0428455B2 (ja)
JP4094353B2 (ja) 希土類金属含有不定形耐火物と施工体およびこれらで内張りされた窯炉
JPH10277694A (ja) 膨張調整剤およびこれを添加した鋳型材ならびにこの鋳型の製造方法
US5373891A (en) Investment material and mold for dental use and burnout thereof
JP3455169B2 (ja) 歯科用埋没材
US20050103228A1 (en) Casting material for producing casting molds for casting high-melting point materials
JPH08281371A (ja) 鋳型材
JP3009125B2 (ja) 高温活性金属鋳造用鋳型材
JPH1080743A (ja) 歯科用高温活性金属用鋳型材および歯科用高温活性金属の鋳造方法
US4662924A (en) Method for molding calcium phosphate type glass
JPH0692817A (ja) 埋没材材料
JP2648996B2 (ja) 高融点金属鋳造用埋没材
JPH0952169A (ja) 溶鋼容器羽口用耐火物
JP2524678B2 (ja) 耐火造形物
JPH06199575A (ja) アルミナ−スピネル質キャスタブル耐火物
SU1703084A1 (ru) Состав дл изготовлени огнеупорной рубашки при литье зубных протезов по выплавл емым модел м
JPH0692818A (ja) 埋没材組成物
JPH04317461A (ja) 高融点金属鋳造用鋳型材
JPH10120462A (ja) ジルコニア質耐火物

Legal Events

Date Code Title Description
A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20051129

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20060130

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20060307

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20060428

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20070403

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20070406

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20060130

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees