JPH10276741A - 鮮度保持剤、これを用いた鮮度保持シート及び鮮度保持容器、並びに鮮度保持方法 - Google Patents

鮮度保持剤、これを用いた鮮度保持シート及び鮮度保持容器、並びに鮮度保持方法

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JPH10276741A
JPH10276741A JP9818497A JP9818497A JPH10276741A JP H10276741 A JPH10276741 A JP H10276741A JP 9818497 A JP9818497 A JP 9818497A JP 9818497 A JP9818497 A JP 9818497A JP H10276741 A JPH10276741 A JP H10276741A
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sheet
retaining
porous
cement
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Masaharu Shinoda
正治 篠田
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EREGANTO KK
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 有害なガス成分を除去できると同時に、滲出
液に作用して微生物の増殖を阻止することができ、食肉
はもちろんのこと、青果物に対しても適用できる鮮度保
持剤を提供する。 【解決手段】 セメントの水和反応によって生じる硬化
物と、樹脂又は/及びゴムの水性高分子物質と、石質系
粉体又は/及び炭素系粉体とを含んで構成される。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本願発明は、鮮度保持剤、こ
れを用いた鮮度保持シート及び鮮度保持容器、並びに鮮
度保持方法に関する。詳しくは、セメントの水和反応硬
化物と、水性高分子物質と、粉体とを配合して構成さ
れ、食肉、青果物等の生鮮食料品等に好適な鮮度保持剤
に関する。
【0002】
【従来の技術】食肉、魚介類、青果物等の生鮮食料品の
鮮度を保持するために種々の鮮度保持剤が開発されてい
る。
【0003】食肉や魚介類の鮮度保持において最も大き
な問題は腐敗の進行である。腐敗は、微生物の増殖によ
る変質現象である。したがって、微生物の増殖を阻止す
ることにより腐敗を防止し、あるいは遅らせることがで
きる。食肉については、微生物の増殖を確実に阻止でき
る冷凍によって鮮度を保持する方法が主流となってい
る。
【0004】一方、青果物における鮮度保持は、なお生
きているものの鮮度を保持する点で、上記食肉等におけ
る鮮度保持と異なる。すなわち、青果物は収穫後も、酸
素を吸収して炭酸ガスを排出する呼吸を継続しており、
この生理現象を一定の条件下で持続させなければならな
い。したがって、食肉のような凍結状態での流通は原則
として不可能であり、低温によって障害の出るものも多
い。
【0005】青果物に対する鮮度保持剤として、青果物
から発生するエチレンガスを吸収して成熟を遅らせるも
の、水分の放出量を調節して食品の適正水分量を維持す
るもの、雰囲気の酸素濃度を減少させて呼吸作用及び微
生物の増殖を抑制するもの、過剰の二酸化炭素を吸収し
て障害の発生を防止するもの等が提供されている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】食肉、魚介類におい
て、冷凍により鮮度を保持する方法は、組織を傷めるこ
とが多く、食味を低下させてしまうことも多い。このた
め、冷凍加工しない冷蔵状態で流通が行われることも多
くなっている。常温あるいは冷蔵保存で問題となるの
は、食肉自体に付着した微生物による腐敗の進行ととも
に、食肉から出た肉汁(滲出液)が容器等に付着してい
る腐敗菌の温床となり、異臭等を発生させて食味等を低
下させることである。
【0007】上記問題を解決するために、滲出液を吸収
するシート等が提供されているとともに、脱酸素剤等を
用いて菌の増殖を防止する手法が採られることが多い。
ところが、脱酸素剤を用いて容器中の酸素濃度を低下さ
せても嫌気性菌に対しては効力が低く、特に滲出液中の
細菌等に対しては充分な増殖阻止効果を発揮していると
はいえない。また、滲出液を吸収したシートに抗菌性を
持たせたものもあるが、広範囲の抗菌スペクトルを有
し、安全性の高い抗菌剤はほとんどない。このため、滲
出液を鮮度保持対象物から隔離することにより鮮度を保
持する場合がほとんどである。
【0008】一方、青果物の鮮度保持を行うために、活
性炭、ゼオライト等を用いてエチレンガス、あるいは炭
酸ガスを吸収する鮮度保持剤や、脱酸素剤を用いた鮮度
保持剤が提供されている。ところが、これら従来の鮮度
保持剤は、ガスの初期吸収能力が高いため、水蒸気等の
有用な成分まで吸収してしまい、包装容器内の環境を急
激に変化させることが多い。このため、乾燥しやすく、
食味を犠牲にすることも多い。
【0009】また、活性炭、ゼオライト等は基本的に粉
体であり、それ自体を所望の形態に成形するのは困難で
あり、通気性のある袋等に充填したものが多い。したが
って、形状等が限定されて適用できる対象物が限定され
ることも多く、また、製造コスト等が高くつく。
【0010】一方、粉体を所望の形状に成形するには樹
脂等の結合剤を必要とする。ところが、樹脂等の結合剤
が活性炭等の粒子表面に存在する細孔を覆ってしまうと
吸着性能が低下する。したがって、各粒子を隙間を開け
た状態で接合しなければならない。このため、成形が困
難であるとともに、成形体の強度が低い。また、寸法精
度の高い成形体を構成するのも困難である。
【0011】また、活性炭等はそれ自体は弾性がほとん
どない。このため、変形可能な成形品を形成するのは困
難である。従来から、粒状の活性炭等を複層シートの中
間部に保持したシート状脱臭剤等が提供されているが、
製造コストが増加するとともに鮮度保持剤としての効果
を十分に発揮させることはできない。
【0012】さらにまた、近年、核家族化によって一つ
の種類の食品の販売単位が減少しており、青果物を分割
して販売することも多い。このような場合、成熟を遅ら
せると同時に、発生した滲出液や結露中の微生物の増殖
を阻止する必要も生じる。ところが、従来の青果物用の
鮮度保持剤は、エチレンガス、酸素濃度等の雰囲気ガス
をコントロールするものが多く、ガス吸着能力及び滲出
液吸収能力の両方を兼ね備えるものはない。
【0013】本願発明は、上述の事情のもとで考え出さ
れたものであって、上記従来の問題を解決し、包装容器
内の環境を急激に変化させることなく鮮度低下の原因と
なる有害なガス成分を除去できると同時に、滲出液に作
用して微生物の増殖を阻止することができ、食肉はもち
ろんのこと、青果物に対しても適用できる鮮度保持剤、
これを用いた鮮度保持シート及び鮮度保持容器、並びに
鮮度保持方法を提供することをその課題とする。
【0014】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するた
め、本願発明では、次の技術的手段を講じている。
【0015】本願の請求項1に記載した発明は、セメン
トの水和反応によって生じる硬化物と、樹脂又は/及び
ゴムの水性高分子物質と、石質系粉体又は/及び炭素系
粉体とを含む鮮度保持剤に関するものである。
【0016】セメントは、石灰石等を焼成したクリンカ
を混合粉砕して形成された微粉体の集合物である。通
常、セメントは、無機質の接合剤として用いられてお
り、水と混合すると化合し(水和反応)、水和物を生成
して硬化する。
【0017】水和反応が進行するにつれて、セメントク
リンカ粒子の間隙は水和物で充填されるとともに、水が
存在した部位に空隙が生じる。また、水和反応によって
形成されるゲル構造内部にも微細な空隙が生じ、多孔質
の硬化体が生成される。
【0018】しかも、上記の空隙は、原料微粉の相互間
の空隙細孔と、水和反応によって生成した多成分系の非
常に複雑な水和物間の細孔との凝集体であり、その細孔
構造は比較的大きな空隙細孔から微細なゲル細孔まで、
様々な大きさ及び形態の空隙から構成される。このた
め、この空隙に種々のガス体を吸着することができるの
である。
【0019】たとえば、セメントの水和反応硬化物はゲ
ル構造をもち、ゲル構造特有の大きな比表面積と微細な
細孔を有している。たとえば、N2 の吸着法によれば1
0〜100平方メートル/g、X線散乱法によれば70
0平方メートル/gもの表面積があるとされている。す
なわち、活性炭に匹敵する比表面積を備える。
【0020】セメントとして、水硬性セメント、気硬性
セメント、特殊セメント等の種々のものがある。本願発
明では、特定のセメントに限定されることはないが、取
り扱い易さ、耐熱性、耐水性、耐候性がよく、また安価
に入手できる水硬性セメントを採用するのが好ましい。
水硬性セメントとして、普通ポルトランドセメント、白
色ポルトランドセメント等を採用することができる。
【0021】また、セメント類似物、たとえば、水を添
加することにより硬化する鉱滓等を採用することもでき
る。
【0022】上記セメントに樹脂又は/及びゴムの水性
高分子物質を配合することにより、、硬化途中及び硬化
後の物理的及び化学的特性を大きく変化させることがで
きる。
【0023】従来からセメント硬化物にガス吸着能力が
あることは知られていたが、セメント及びこれに配合さ
れる粉体(骨材)のみでは、多孔質シート等に塗着した
り、多孔質体に含浸させることは困難であった。また、
柔軟性がないため、使用範囲、目的が限られていた。
【0024】上記セメントに樹脂又は/及びゴムの水性
高分子物質を配合することにより、混練未硬化状態での
流動性が増大して、塗着作業性や、多孔質体への含浸作
業性が大幅に向上する。また、硬化後には、曲げ強度、
引張強度等が増加するとともに、耐水性、乾燥収縮性等
が大幅に向上する。さらに、高分子成分の作用によっ
て、セメントでは考えられない接着性を得ることができ
るとともに、柔軟性、弾性等を付与できる。このため、
他の基材に容易に塗着、含浸等させることが可能にな
り、鮮度保持剤としての使用範囲が大幅に広がる。ま
た、多孔質シート等に含浸させて外気に接触する面積を
大きくすることにより、吸着能力自体を大幅に向上させ
ることができる。
【0025】さらに、高分子物質の配合量を調節するこ
とにより、鮮度保持剤内部にいたる空気連行性を調節す
ることができる。すなわち、高分子物質の配合量を増加
させると、セメント水和物間の空隙が高分子物質で満た
されるため空気連行性が低下して初期的な吸着能力が低
下する一方、持続性が向上する。逆に、高分子物質の配
合量を減少させると空隙量が多くなり、持続力は低下す
るが初期の吸着量が増加する。このため、初期に高いガ
ス吸着効果や水分吸収効果を発揮できる鮮度保持剤や、
生鮮食料品を密封包装した直後の雰囲気の急激な変化を
生じさせることなく、長期に渡って鮮度保持効果を発揮
しうる鮮度保持剤を形成することが可能となる。
【0026】また、高分子物質の配合割合や種類を選択
することにより、水分浸透性を調節することが可能とな
る。このため、滲出液の吸収特性を調節することもでき
る。
【0027】上記樹脂又は/及びゴムの水性高分子物質
として、アクリル酸アルキルエステル−アクリロニトリ
ル−メタクリル酸共重合体、イソブチレン−無水マレイ
ン酸共重合体、ブタジエン−メタクリル酸共重合体、イ
ソプレン−アクリル酸共重合体、アクリル酸ブチル−ア
クリル酸共重合体或いはアクリル酸2−エチルヘキシル
−メタクリル酸共重合体などのアクリル酸エステル−ア
クリル酸共重合体、アクリル酸ブチル−メタクリル酸共
重合体或いはアクリル酸2−エチルヘキシル−メタクリ
ル酸共重合体などのアクリル酸エステル−メタクリル酸
共重合体、カルボキシルポリイソブチレン、エチレン−
アクリル酸共重合体、エチレン−メタクリル酸共重合
体、ブタジエン−スチレンカルボキシルエラストマー、
ブタジエンアクリロニトリルカルボキシルエラストマ
ー、ブタジエン−メタクリロニトリルカルボキシルエラ
ストマー、ブタジエン−塩化ビニリデンカルボキシルエ
ラストマー、ポリクロロプレンカルボキシルエラストマ
ー、ポリエチレンカルボキシルエラストマー或いはポリ
イソブチレンカルボキシルエラストマーなどのエマルジ
ョン、水溶液又はディスパージョンが挙げられる。
【0028】エマルジョン、水溶液、ディスパーション
等の形態の高分子物質は、セメント粒子との親和性がよ
く、容易に混練することができる。
【0029】また、樹脂又は/ゴムの水性高分子物質と
して、上述したエマルジョン等の液体状のものを採用で
きるのみならず、たとえば、パウダー状の水性高分子物
質を採用することができる。
【0030】たとえば、水を加えることによって、容易
にエマルジョン化する酢酸ビニル・ベオバ共重合樹脂等
を採用することができる。
【0031】本願発明に係る鮮度保持剤においては、セ
メント及び高分子物質に加えて粉体を配合する。適用す
る対象物に応じて粉体を選択することにより、硬化物の
強度、弾性等の物理学的な特性を調節することができる
のみならず、粉体間に形成されるマクロ的な細孔の大き
さを調節して、吸着能力等を調節することが可能とな
る。さらに、機能を備える粉体を採用することにより、
さらに有効な鮮度保持剤を構成することができる。
【0032】粉体として、上記セメントの水和反応生成
物及び水性高分子物質によって接合可能なものであれ
ば、種々の粉体を採用できる。特に、吸着能力のある粉
体を採用することにより、鮮度保持剤としての性能をさ
らに高めることができる。
【0033】セメントに配合する粉体として種々の粉体
を採用することができるが、請求項2に記載した発明の
ように、炭酸カルシウムを主成分とする石質系粉体、二
酸化ケイ素を主成分とする石質系粉体、活性炭からなる
粉体から選ばれた1又は2以上のものを配合することが
できる。
【0034】炭酸カルシウムを主成分とする石質系粉体
は、石灰石、大理石等の鉱物を粉砕して得ることができ
る。二酸化ケイ素を主成分とする石質系粉体は、石英と
して産出されるものが多く、ケイ砂等を粉砕することに
よって得られる。
【0035】上記の炭酸カルシウムを主成分とする石質
系粉体、二酸化ケイ素を主成分とする石質系粉体は、自
然に産する岩石等を粉砕して得られるものが多く、ゼオ
ライトほどではないが、表面に多数の微細孔を有してお
り、吸着性能を備える。
【0036】一方、活性炭は、上述したように、大部分
が炭素から構成されており、表面が多孔質で高い吸着性
能を有する。
【0037】上記粉体の大きさは特に限定されることは
ないが、本願の請求項5に記載した発明のように、平均
粒度が1μm〜300μm程度のものを採用するのが好
ましい。
【0038】粉体の平均粒度が1μm以下であると、セ
メント水和物等と同程度の粒度となり、脱臭に有効な多
孔質構造を形成することができない。また、強度等が低
下する。一方、300μm以上のものを配合すると、成
形性、接着性、多孔質体に対する含浸性等が低下する。
【0039】上記粉体として、2種以上の平均粒度の粉
体を配合したものを採用することができ、その平均粒度
の比を5〜10とするのが好ましい。
【0040】平均粒度の比を5〜10に設定することに
より、粉体を水和硬化物中に均一に、かつ多量に配合す
ることが可能となる。このため、マクロ的な連行空隙を
均一に、かつ多量に生じさせることが可能となる。ま
た、各粉体間に充填される、セメント水和物及び高分子
物質の層が薄くなり、吸着効率を向上させることができ
る。
【0041】すなわち、粉体の充填割合を、配合される
粉体の粒度で調節することにより、鮮度保持剤の空隙細
孔の大きさ及び生成量を調節することが可能となる。こ
のため、短時間に大きな吸着性能を発揮できる鮮度保持
剤を構成したり、長期間に渡って吸着性能を発揮できる
鮮度保持剤を構成することができる。
【0042】上記各成分の配合割合は、請求項3に記載
した発明のように、セメントの水和反応硬化物5重量%
〜50重量%、樹脂又は/及びゴムの水性高分子物質5
重量%〜50重量%、粉体30〜60重量%とを含むよ
うに構成するのが望ましい。
【0043】セメント水和反応によって生じる硬化物が
5重量%以下であると、水和反応によって生成される硬
化物割合が少なくなり、微細な空隙を備える多孔質硬化
体を形成することができない。一方、50重量%以上配
合すると、水和反応によって生成される硬化物の割合が
大きくなりすぎて、成形性が低下し、また硬化物の弾性
等が低下してひび割れ等を生じやすい。
【0044】樹脂又は/及びゴムの水性高分子物質が5
重量%以下になると、弾性が低下して、成形性、弾性、
接着性等が低下する。一方、50重量%以上配合する
と、硬化体のほとんどの表面を高分子物質が覆ってしま
うため、吸着性能が低下して脱臭効果を発揮できなくな
る。
【0045】粉体の配合割合が30重量%以下である
と、必然的にセメント硬化物及び高分子物質の配合割合
が大きくなり、マクロ的な空隙が小さくなって空気連行
性が低下し、吸着性能が低下する。一方、60重量%以
上配合すると、セメント硬化物の配合割合が低下して加
工性、硬化後の弾性、強度等が低下する。
【0046】本願の請求項4に記載した発明は、上述し
た配合に加えて、水酸化カルシウムを10重量%〜30
重量%添加したことを特徴とする。
【0047】たとえば、セメントの水和反応直後には、
硬化物中に20%程度の水酸化カルシウムが存在する。
この水酸化カルシウムは、空気中の二酸化炭素と化合
し、炭酸カルシウムに変化してゆく。この現象は、セメ
ント硬化体の中性化と呼ばれ、鉄筋コンクリート構造物
の劣化現象として知られている。
【0048】ところが、上記中性化によって生成される
炭酸カルシウムは、セメント水和物の多孔質構造中に生
成されるととももに多孔質構造を生成して、新たな吸着
面を形成する。このため、水酸化カルシウムを添加して
水和反応硬化物中に保持させ、二酸化炭素を吸収させて
炭酸カルシウムを継続的に生成させるとともに、生成し
た炭酸カルシウムによって、ガス吸着能力を長期に渡っ
て持続させることが可能となる。
【0049】したがって、本願の請求項13に記載した
発明のように、セメントの水和反応及び樹脂の硬化反応
によって生成された多孔質硬化物中に保持される水酸化
カルシウムによって二酸化炭素を吸収するとともに、こ
の水酸化カルシウムと二酸化炭素との反応によって生成
される多孔質炭酸カルシウムに、他の発生ガスを吸着さ
せて、鮮度保持効果を長期間持続させることができる。
【0050】しかも、セメント硬化物に含有される水酸
化カルシウム、及び上記添加した水酸化カルシウムは強
塩基であり、種々の微生物に対して抗菌効果をもつ。
【0051】図1に、微生物の成育度と水分のpHとの
関係を示す。この図に示すように、ほとんどの微生物は
酸性側で増殖し、pHが10を超えると、増殖すること
ができなくなる。
【0052】本願発明に係る鮮度保持剤の表面に接触し
た水分のpHは、9〜11に高められる。このため、鮮
度保持剤中に吸収された水分中ではほとんどの微生物は
増殖することはできず、あるいは死滅する。したがっ
て、鮮度を低下させるガスを吸着することにより鮮度を
保持できるのみならず、滲出液に作用して抗菌効果を発
揮し、微生物の増殖を阻止することによっても鮮度を保
持できるのでるある。
【0053】しかも、本願発明に係る鮮度保持剤を構成
する物質は、親水性が高く、水分を吸着によりあるいは
含浸によって保持できる。このため、鮮度保持対象物と
とともに密封すると、鮮度保持剤が、雰囲気中の水蒸気
を吸着しあるいは放出して、密封容器内の湿度を調節す
る機能を備える。このため、青果物等を包装する場合の
結露を防止して、容器内面等における微生物の増殖を阻
止できるとともに、青果物に必要な湿度を供給すること
かできる。したがって、青果物に対して大きな鮮度保持
効果を発揮することができる。
【0054】本願の請求項6に記載した発明は、鮮度保
持剤に配合される水性高分子物質として、熱可塑性の水
性高分子物質を採用したものである。
【0055】熱可塑性高分子物質とは、加熱すると軟化
し、冷却すると硬化する線状の高分子構造を備える物質
をいう。たとえば、ポリスチレン等のスチレン系、アク
リル酸アルキルエステル−アクリロニトリル−メタクリ
ル酸共重合体等のアクリル系、ポリ塩化ビニル等の塩化
ビニル系等の高分子物質は熱可塑性である。
【0056】これら熱可塑性の高分子物質を選択するこ
とにより、本願の請求項11に記載した発明において、
鮮度保持剤を含浸硬化させた多孔質体を、熱プレス等に
よって型成形し、所望の形状の鮮度保持容器を形成する
ことが可能となる。
【0057】本願の請求項7に記載した発明は、上記請
求項1から請求項6のいずれかに記載した鮮度保持剤の
未硬化スラリーを多孔質体に含浸させて硬化させてなる
鮮度保持シートに関する。
【0058】本願の鮮度保持剤のみを塊状に硬化させる
ことによっても、鮮度保持効果を期待することができる
が、外気に対する大きな接触面を持つように形成するこ
とにより、鮮度保持効果を格段に高めることができる。
【0059】特に、本願の発明に係る鮮度保持剤は、セ
メント及び水性高分子物質を含むため接着性及び流動性
が高い。このため、不織布、紙等の多孔質シート状物質
に容易に含浸させることができる。
【0060】しかも、未硬化スラリー状態での水分量を
多く配合することにより、硬化する際の収縮量が大きく
なる。この作用を利用してり、多孔質体の細孔に応じた
空隙が形成された鮮度保持シートを形成することができ
る。すなわち、空隙内に充填されたスラリーが乾燥硬化
する際の収縮によって、多孔質体の各空隙内に空間が形
成され、鮮度保持剤を含浸した状態でなおかつ多孔質の
鮮度保持シートを形成できるのである。
【0061】また、本願発明に係る鮮度保持剤を多孔質
シートの一部に保持させることによって、多孔質シート
の吸水性能を低下させることなく、鮮度保持効果を付与
することができる。
【0062】たとえば、不織布等の多孔質シートの内部
あるいは表面の一部に鮮度保持剤を点在させるようにし
て保持させることにより、高い吸水性能を保持したまま
鮮度保持効果を付与できる。
【0063】本願の請求項8に記載した発明は、鮮度保
持剤の未硬化スラリーを、多孔質シートの片面に含浸さ
せて硬化させてなるものである。
【0064】多孔質シートの片面に本願発明に係る鮮度
保持剤を含浸させることにより、多孔質体の水分吸収能
力を活かした鮮度保持シートを構成できる。すなわち、
鮮度保持剤を含浸させていない面を食肉等に接触させる
ようにして配置すると、食肉から滲出する肉汁等を鮮度
保持シート内に吸収することができる。
【0065】しかも、上記鮮度保持シートの内部に吸収
された肉汁等は、他方の側から含浸された本願発明に係
る鮮度保持剤に接触する。このため、肉汁等の滲出液に
本願発明に係る鮮度保持剤の抗菌効果が作用し、肉汁等
における腐敗の進行を阻止できるのである。
【0066】本願の請求項9に記載した発明は、積層さ
れる二枚の多孔質シートの少なくとも一方の対接面に鮮
度保持剤の未硬化スラリーを含浸させるとともに、この
含浸させた鮮度保持剤を介してこれら多孔質シートを接
合して構成される鮮度保持シートに関する。
【0067】本願発明に係る鮮度保持剤は、水性の高分
子物質を配合しているため、多孔質体に容易に含浸させ
ることができるとともに、それ自体が高い接着性能を備
えている。このため、鮮度保持剤の含浸面を利用して他
のシート状部材を積層接着することができる。
【0068】たとえば、船形のボリスチレン容器の底部
に鮮度保持シートを接着したり、二枚の多孔質シートを
鮮度保持剤によって積層接着することができる。二枚の
多孔質シート間に鮮度保持剤を保持させることにより、
鮮度保持剤が鮮度保持対象物や容器に接触することがな
くなり、衛生面で好適である。
【0069】しかも、肉汁等の滲出物は容器の内面を伝
って底部に滞留するため、この部分の滲出液を鮮度保持
シートの底部に対接する面で吸収させることにより、鮮
度保持効果を高めることができる。また、肉汁の滞留が
なくなるため、店頭での見栄えが向上する効果も期待で
きる。
【0070】本願の請求項10に記載した発明は、鮮度
保持剤を保持させた吸水性のある多孔質シートから構成
される吸水層と、この吸水層の片面又は両面に積層さ
れ、水分透過性はあるが水分保持能力のない仕切りシー
トと備えて構成される表面仕切り層とを備える鮮度保持
シートに関する。
【0071】多孔質シートに吸収された肉汁等の滲出液
は、通常の状態では多孔質シートに保持されているが、
吸収量が多くなるとシートの内部から漏れ出て鮮度保持
対象物表面に再度付着することも考えられる。本願発明
は、吸水性ある多孔質シートを吸水層と、水分透過性が
あるが水分保持能力のない仕切りシートからなる表面仕
切り層とを設けることにより上記の問題を解決したもの
である。
【0072】上記表面仕切り層上に液体が滲出しうる鮮
度保持対象物を載置すると、滲出液が上記仕切りを介し
て吸水層に吸収される。このため、多少の衝撃が加わっ
ても滲出液が鮮度保持シートの表面から漏れ出ることは
ない。このため、鮮度保持効果を高めることができる。
【0073】本願の請求項11に記載した発明は、本願
発明に係る鮮度保持シートを利用して鮮度保持容器を形
成したものである。
【0074】従来、発泡ポリスチレン製等の皿状容器が
使用されることが多い。ところが、従来の容器は滲出液
を吸収する能力がなく、別途鮮度保持シート等を敷いた
上に鮮度保持対象物を載置していた。このため、包装作
業に手間取って包装コストが増加するばかりでなく、包
装作業中に微生物によって汚染されやすくなり、衛生上
も好ましくない。
【0075】本願発明に係る鮮度保持容器は、容器それ
自体が吸水性があって滲出液を吸収できるとともに、吸
収した滲出液中での微生物の増殖を阻止でき、しかも、
発生するエチレンガス、二酸化炭素を吸収することがで
きる。このため、食肉、魚介類はもちろんのこと、青果
物に対しても高い鮮度保持効果を期待することができ
る。
【0076】なお、鮮度保持シートから鮮度保持容器を
形成する方法は特に限定されることはなく、プレス成
形、圧空成形、真空成形等種々の方法を採用することが
できる。また、接着剤等を用いて切断片を組み合わせた
り、鮮度保持シートを切り合わせ、あるいは折り合わせ
て形成してもよい。
【0077】本願の請求項12に記載した発明は、鮮度
保持シートの鮮度保持剤含浸層が、鮮度保持容器の保形
層及び/又は防水層を形成しているものである。
【0078】本願発明に係る鮮度保持剤は、それ自体が
硬化して機械的強度を発現するため、多孔質体に含浸さ
せると、多孔質体の強度を増加させるだけでなく、保形
性をもたすことができる。このため、鮮度保持シートを
所望の形状に形成し、容器等として使用することが可能
となる。
【0079】特に、請求項7から請求項10に記載した
発明に係る多孔質シート自体に保形性、あるいは成形性
がなくとも、容器形状に容易に成形することが可能にな
り、従来にない包装容器を形成することができる。すな
わち、本願発明に係る鮮度保持剤を不織布等の多孔質シ
ートに含浸させて熱成形等することにより、多孔質シー
トを所望の形状のトレイ等に成形することができるので
ある。
【0080】一方、本願発明に係る鮮度保持剤は、多孔
質体に対して隙間無く含浸させることにより、防水性を
付与することができる。
【0081】すなわち、上述したように所望の形状に成
形できるばかりでなく、防水効果を付与できるのであ
る。
【0082】したがって、シート状の多孔質体を防水性
のあるトレイ等の容器として使用できるのである。これ
により、食肉等の滲出液が生じる食品を収容しても、包
装容器から肉汁等が漏れ出ることがない包装容器を形成
できる。
【0083】しかも、滲出液を吸収する部位を包装容器
内面に設けることにより、本願の請求項14に記載した
発明のように、吸収した滲出液中の微生物の増殖を、鮮
度保持剤中に配合された水酸化カルシウムによって阻止
することができる。したがって、本願発明に係る包装容
器自体に、滲出液吸収効果及び抗菌効果等を付与して、
高い鮮度保持効果を発揮させることができる。
【0084】
【発明の実施の形態】以下、本願発明に係る発明の実施
の形態を具体的に説明する。
【0085】表1に本願発明に係る鮮度保持剤の配合の
一例を示す。なお、表1に示す配合割合は、各成分の固
形分の配合割合を示す。各成分の粉末ないし液体を混合
するとともに、固体成分の重量に対して約50重量%の
割合で水を添加して以下の作業を行った。
【0086】
【表1】
【0087】第1の実施の形態においては、上記配合の
混合物水性スラリーを形成し、これを画用紙(100グ
ラム/m2 、厚さ約0.3ミリメートル)の片面に、1
平方メートル当り300グラムを吹き付けによって塗着
含浸させて硬化させることにより、鮮度保持シートを形
成した。鮮度保持剤の含浸層は約0.1〜0.2ミリメ
ートルとなり、柔軟性が高く、曲折したり、丸めたりす
ることができる鮮度保持シートを形成した。
【0088】上記鮮度保持シート1の断面構造を、図2
に示す。この図に示すように、画用紙は、不規則形状の
繊維2が複雑に絡み合った多孔質構造を備えている。本
実施の形態に係る鮮度保持シート1は、画用紙の厚さの
約50%の部位まで、鮮度保持剤3が含浸保持されてい
る。
【0089】一方、上記鮮度保持剤3を含浸させていな
い側(上側)は、多数の空隙4を備える繊維の多孔質構
造がそのまま保持されており、吸水性を備えている。
【0090】このため、上記鮮度保持シート1の上面に
食肉等を載置すると、滲出液が上記鮮度保持シート1の
上層に吸収される。一方、上記鮮度保持シート1に吸収
された滲出液は、シート内部で本願発明に係る鮮度保持
剤3に接触し、そのpHが10以上に高められる。この
ため、鮮度保持シート1に吸収された滲出液中で微生物
が増殖することはなく、高い鮮度保持効果を発揮させる
ことができる。
【0091】上記鮮度保持シートの鮮度保持効果を以下
の手法によって評価した。
【0092】鮮度保持効果の評価1
【0093】広口ガラス瓶の底部に鮮度保持シートを敷
設したものとしないものについて、牛肉約50グラムを
それぞれ投入し、牛肉の色及びガラス瓶内の臭いの変化
によって鮮度の低下を判定した。なお、臭いの変化は、
表2の基準にしたがって官能によって行った。また、鮮
度保持シートを敷設した実施例と鮮度保持シートを敷設
しないものをそれぞれ2例ずつ評価した。
【0094】
【表2】
【0095】上記の広口瓶を 約20℃の室温で5日間
放置したものについて、表2の基準に従って評価を行っ
た。なお、なお、評価は、訓練した者5名について行
い、評価の上下2名を除外した平均値を示す。
【0096】表3に臭いの変化についての結果を示す。
【0097】
【表3】
【0098】鮮度保持シートを敷設しないものについて
は、瓶の底部に滞留した滲出液が肉片に接触した部位に
明らかな変色が見られた。また、2日目に瓶内に異臭が
発生していた。
【0099】一方、鮮度保持シートを敷設したものにつ
いては、滲出液(肉汁)が鮮度保持シートに吸収されて
広口瓶の底面に滞留が見られなかった。また、異常な変
色は見られず、異臭は4日目まで検出できなかった。
【0100】上記結果から明らかなように、滲出液を肉
片に接触した状態におくと、腐敗が急速に進行すること
が判る。一方、肉片に対する滲出液の接触を避けるとと
もに、この滲出液の腐敗を防止すると、鮮度を保持でき
ることが判る。
【0101】鮮度保持効果の評価2
【0102】青果物に対する鮮度保持効果を評価するた
めに、広口瓶に胡瓜の断片50グラムを投入した。
【0103】上記と同様に、約20℃の室内で2日間放
置し、色、臭い、柔らかさ(萎びかた)について評価し
た。なお、臭いについての評価は、上記の基準を採用し
た。表4に評価結果を示す。
【0104】
【表4】
【0105】鮮度保持シートを敷設しなかったものにつ
いては、3日目で異臭が発生するとともに黄色みがかっ
て、明らかに萎びた状態になった。
【0106】鮮度保持シートを敷設したものについて
は、三日目でも色はほとんど変化しておらず、表面には
弾力が残っていた。また、5日目まで明らかな異臭は感
知できなかった。
【0107】図3に本願発明に係る第2の実施の形態を
示す。この実施の形態は、表1に記載した配合の鮮度保
持剤を、厚さ約1.5ミリメートル、100グラム/平
方メートルのポリエステル製不織布シート6の片面に含
浸させて硬化させた後、この不織布シート6を熱プレス
によって成形して船型容器5を形成したものである。
【0108】表1に記載した配合成分中、高分子物質と
して配合されている塩化ビニル系エマルジョンは熱可塑
樹脂である。このため、不織布シート6を熱プレス等に
よって成形することにより、所望の形状の容器を形成で
きる。
【0109】本実施の形態においては、鮮度保持剤含浸
層7を容器5の外側に配置することにより、この鮮度保
持剤含浸層7に、包装容器5の船型形状を保持する保形
層及び防水層の機能を持たせている。このため、内部に
収容される肉片8から肉汁等が滲出しても、外部に漏れ
出ることはない。
【0110】また、容器5の内面は吸水能力ある吸水層
9を構成しているため、肉汁が一部に滞留することもな
い。しかも、上記吸水層9に吸収された肉汁は、鮮度保
持剤含浸層7に保持される鮮度保持剤に接触させられて
そのpHが高められる。このため、、吸水層9に保持さ
れる肉汁等において微生物が増殖することはない。
【0111】図4に第3の実施の形態に係る鮮度保持シ
ート10の断面構造を模式的に示したものである。
【0112】この図に示す実施の形態は、積層される二
枚の不織布シート11,12の対接面A,Bから鮮度保
持剤3の未硬化スラリーを含浸させて含浸層13,14
を形成するとともに、この含浸層13,14を介してこ
れら不織布シート11,12を積層接合して構成される
鮮度保持シート10である。
【0113】図4に示すように、鮮度保持シート10の
外面(上面及び下面)は通常の不織布と変わらず、ま
た、吸水性もある。本実施の形態に係る鮮度保持シート
10は、鮮度保持対象物が載置される上面のみならず、
包装容器等の底面等に対接する下面においても水分の吸
収能力がある。このため、包装容器の底部に滲出液が滞
留することがなく、滲出液中で微生物が増殖することも
ない。
【0114】また、容器底部で吸収される滲出液が外部
から見えないため、店頭での販売促進効果を期待するこ
ともできる。鮮度保持シートの上面に適当な彩色を施し
て、見栄えを向上させることもできる。
【0115】図5に、本願の第4の実施の形態に係る鮮
度保持シート15の平面図を示す。
【0116】この図に示す鮮度保持シート15は、本願
発明に係る鮮度保持剤3を多孔質シート16の表面ない
し内部にに点在させることによって構成したものであ
る。
【0117】本願発明に係る鮮度保持剤は、シート16
の全面に保持させなくとも充分な鮮度保持効果を発揮で
きる。特に、シート16の多孔質構造をそのまま残し
て、吸水性能をほとんど低下させることなく鮮度保持剤
を保持させてある。
【0118】図6に、上記鮮度保持シート15の断面構
造を模式的に示す。この図に示すように、鮮度保持剤3
が、多孔質シート16の多孔質構造を阻害することなく
繊維17に保持されている。
【0119】上記構成によって、多孔質シートの吸水性
能を阻害することなく、鮮度保持効果、抗菌効果等を付
与することができる。
【0120】図7に、本願の第5の実施の形態に係る鮮
度保持シート18の断面構造を示す。
【0121】この図に示す鮮度保持シート18は、本願
発明に係る鮮度保持剤を保持させるとともに吸水性のあ
る中間層19と、水分透過性はあるが水分保持能力のな
い仕切りシートから構成される表面仕切り層20,21
とを備えて構成される。
【0122】上記中間層19には、たとえば、上述した
第4の実施の形態に係る鮮度保持シートを採用すること
ができる。
【0123】一方、表面仕切り層には、ポリエチレン等
の撥水性のある繊維からなる不織布シートを採用でき
る。
【0124】上記構成を採用することにより、肉片等か
らの滲出液を上記表面仕切り層を介して上記中間層19
に吸収保持させる一方、上記中間層19から上記滲出液
が逆流して漏れ出るのを防止することができる。
【0125】図8に、本願の第6の実施の形態に係る鮮
度保持容器を示す。この図に示す鮮度保持容器22は、
箱型の収容部23と蓋部24とから構成される従来の樹
脂性密封容器を利用したものである。
【0126】図8に示すように、蓋部24の内面に本願
発明に係る鮮度保持剤3を塗着し、あるいは本願発明に
係る鮮度保持シート25を貼着して構成される。
【0127】本願発明は、従来から用いられている密封
容器の蓋部に鮮度保持剤あるいは鮮度保持シートを保持
させることにより、従来の密封容器に高い鮮度保持効果
をもたせたものである。
【0128】しかも、鮮度保持シートを貼着するように
構成することにより、非常に簡単に、かつ安価に鮮度保
持容器を構成できる。
【0129】本願発明は、上述の実施例に限定されるこ
とはない。実施例においては、白色ポルトランドセメン
トを採用したが、普通ポルトランドセメント等他のセメ
ントを採用することもできる。
【0130】また、鮮度保持剤を保持する多孔質体も、
繊維状のものに限定されることはなく、スポンジ状等他
の形態の多孔質体を採用することができる。また、材
質、多孔質の細孔の大きさ等も限定されることはない。
【0131】粉体も実施の形態に限定されることはな
く、活性炭粉末等の粉体を採用することもできる。
【0132】また、配合する水性高分子物質も実施の形
態に限定されることはない。
【図面の簡単な説明】
【図1】水分のpHと微生物の成育度との関係を示す図
である。
【図2】本願発明の第一の実施の形態に係る鮮度保持シ
ートの断面構造を示す図である。
【図3】本願発明の第2の実施の形態に係る鮮度保持容
器の断面図であり、図2に示す鮮度保持シートを型成形
して形成した包装容器の断面を示す図である。
【図4】本願発明に係る第3の実施の形態に係る鮮度保
持シートの断面図であり、積層される二枚の多孔質シー
トの対接面に含浸保持させた鮮度保持剤を介して接合し
て形成される鮮度保持シートの断面を示す図である。
【図5】本願発明の第4の実施の形態に係る鮮度保持シ
ートの表面を模式的に示す平面図である。
【図6】図5に示す鮮度保持シートの断面構造を模式的
に示す断面図である。
【図7】本願発明の第5の実施の形態に係る鮮度保持シ
ートの断面構造を模式的に示す断面図である。
【図8】本願発明の第6の実施の形態に係る鮮度保持容
器の断面図である。
【符号の説明】
1 鮮度保持シート 2 繊維 3 鮮度保持剤 4 空隙 5 鮮度保持容器 6 不織布シート(多孔質体) 7 保形防水層 10 鮮度保持シート 11 不織布シート(多孔質体) 12 不織布シート(多孔質体) 13 鮮度保持剤含浸層 14 鮮度保持剤含浸層 15 鮮度保持シート 18 鮮度保持シート 19 中間層 20 表面仕切り層 21 表面仕切り層 22 鮮度保持容器

Claims (14)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 セメントの水和反応硬化物と、樹脂又は
    /及びゴムの水性高分子物質と、石質系粉体又は/及び
    炭素系粉体とを含む鮮度保持剤。
  2. 【請求項2】 粉体が、炭酸カルシウムを主成分とする
    石質系粉体、二酸化ケイ素を主成分とする石質系粉体、
    活性炭粉体の中から選ばれた1又は2以上のものを配合
    して構成される、請求項1に記載の鮮度保持剤。
  3. 【請求項3】 セメントの水和反応硬化物5重量%〜5
    0重量%と、樹脂又は/及びゴムの水性高分子物質5重
    量%〜50重量%と、石質系粉体又は/及び炭素系粉体
    30重量%〜60重量%とを含む鮮度保持剤。
  4. 【請求項4】 水酸化カルシウム粉体を10重量%〜3
    0重量%添加したことを特徴とする、請求項1から請求
    項3のいずれかに記載の鮮度保持剤。
  5. 【請求項5】 粉体の平均粒度が1μm〜300μmで
    ある請求項1から請求項4のいずれかに記載の鮮度保持
    剤用組成物。
  6. 【請求項6】 鮮度保持剤を構成する樹脂又は/及びゴ
    ムの水性高分子物質が熱可塑性高分子物質である、請求
    項1から請求項5のいずれかに記載の鮮度保持剤。
  7. 【請求項7】 上記請求項1から請求項6のいずれかに
    記載した鮮度保持剤の未硬化スラリーを多孔質体の一部
    又は全部に含浸させて硬化させてなる、鮮度保持シー
    ト。
  8. 【請求項8】 請求項1から請求項6のいずれかに記載
    した鮮度保持剤の未硬化スラリーを、多孔質シートの片
    面に含浸させて硬化させてなる、鮮度保持シート。
  9. 【請求項9】 積層される二枚の多孔質シートの少なく
    とも一方の対接面に鮮度保持剤の未硬化スラリーを含浸
    させるとともに、この含浸させた鮮度保持剤を介してこ
    れら多孔質シートを接合して構成される、鮮度保持シー
    ト。
  10. 【請求項10】 請求項1から請求項6のいずれかに記
    載した鮮度保持剤を保持させた吸水性のある多孔質シー
    トから構成される吸水層と、この吸水層の片面又は両面
    に積層され、水分透過性はあるが水分保持能力のない仕
    切りシートからなる表面仕切り層とを備える、鮮度保持
    シート。
  11. 【請求項11】 請求項7から請求項10のいずれかに
    記載した鮮度保持シートを成形してなる、鮮度保持容
    器。
  12. 【請求項12】 鮮度保持シートの鮮度保持剤含浸層
    が、鮮度保持容器の保形層及び/又は防水層を形成して
    いる、請求項11に記載した鮮度保持容器。
  13. 【請求項13】 セメントの水和反応及び樹脂の硬化反
    応によって生成された多孔質硬化物中に保持された水酸
    化カルシウムによって二酸化炭素を吸収するとともに、
    この水酸化カルシウムと二酸化炭素との反応によって生
    成される多孔質炭酸カルシウムに鮮度保持対象から発生
    したガスを吸着させる、鮮度保持方法。
  14. 【請求項14】 セメントの水和反応硬化物を含む鮮度
    保持剤を含浸保持させた多孔質体に、鮮度保持対象物か
    らの滲出液を吸収させるとともに、この吸収した滲出液
    中の微生物の増殖を、鮮度保持剤中に配合されたアルカ
    リ性物質によって阻止する、鮮度保持方法。
JP9818497A 1997-03-31 1997-03-31 鮮度保持剤、これを用いた鮮度保持シート及び鮮度保持容器、並びに鮮度保持方法 Pending JPH10276741A (ja)

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* Cited by examiner, † Cited by third party
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CN108455053A (zh) * 2018-02-09 2018-08-28 刘东华 一种草莓专用抑菌保鲜袋及其保鲜方法

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