JPH1027668A - チップ型静電気保護素子及びその製造法 - Google Patents

チップ型静電気保護素子及びその製造法

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JPH1027668A
JPH1027668A JP17877496A JP17877496A JPH1027668A JP H1027668 A JPH1027668 A JP H1027668A JP 17877496 A JP17877496 A JP 17877496A JP 17877496 A JP17877496 A JP 17877496A JP H1027668 A JPH1027668 A JP H1027668A
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JP
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copper foil
discharge gap
gap
chip
type electrostatic
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JP17877496A
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English (en)
Inventor
Masashi Isono
雅司 磯野
Koji Nishimura
厚司 西村
義之 ▲つる▼
Yoshiyuki Tsuru
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Showa Denko Materials Co Ltd
Original Assignee
Hitachi Chemical Co Ltd
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    • HELECTRICITY
    • H05ELECTRIC TECHNIQUES NOT OTHERWISE PROVIDED FOR
    • H05KPRINTED CIRCUITS; CASINGS OR CONSTRUCTIONAL DETAILS OF ELECTRIC APPARATUS; MANUFACTURE OF ASSEMBLAGES OF ELECTRICAL COMPONENTS
    • H05K1/00Printed circuits
    • H05K1/02Details
    • H05K1/0213Electrical arrangements not otherwise provided for
    • H05K1/0254High voltage adaptations; Electrical insulation details; Overvoltage or electrostatic discharge protection ; Arrangements for regulating voltages or for using plural voltages

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Abstract

(57)【要約】 (修正有) 【課題】精度に優れ、小型化、低コスト化の可能なチッ
プ型静電気保護素子とその製造法を提供する。 【解決手段】銅箔130が、放電ギャップの空隙1の穴
縁部に臨む放電ギャップの電極151と、チップ型静電
気保護素子の一方の電極端子201に接続される接続ラ
ンド141とを形成するように加工され、他方の面の銅
箔130の、放電ギャップの空隙1の内側に露出した部
分が放電ギャップの電極152を形成し、かつ他方の面
の銅箔130が、チップ型静電気保護素子の他方の電極
端子202に接続される接続ランド142を形成するよ
うに加工され、放電ギャップの電極151及び152
が、保護されるように、絶縁基材120と外層銅箔11
1とで覆われ、その端部でめっき190によって外層銅
箔111と接続ランド141及び142とが接続され、
それぞれが独立するように、外層銅箔111が加工さ
れ、それぞれ電極端子201及び202を構成する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、放電ギャップを有
する有機樹脂製チップ型静電気保護素子とその製造法に
関する。
【0002】
【従来の技術】静電気保護素子は、電子機器の静電気保
護に使用されるものであり、通常は静電気から保護する
ICやLSI素子と並列につなぎ、通常の状態(静電気
パルスのない時)では、絶縁状態であり回路に影響を及
ぼさないが、静電気パルスが印加されるときにだけ保護
素子が導通状態になり、ICやLSIなどの素子を静電
気破壊から保護するものである。
【0003】従来静電気からICやLSIなどを保護す
る素子には、バリスタ、ツェナダイオード、放電ギャッ
プ素子などがあり、用途により使い分けられている。バ
リスタやツェナダイオードの場合、漏れ電流が大きいこ
と、またツェナダイオードの場合、極性をもつため単一
では正電荷もしくは負電荷のいずれかにしか用いること
ができず、正負の両方に適用するためには2個のツェナ
ダイオードを対応させる必要があり、コスト高になるこ
となどの問題があった。
【0004】これらに対して放電型素子は、漏れ電流が
小さく原理的にも簡単であり、故障もしにくいという長
所もある。また、放電電圧は放電ギャップの調整や更に
放電ギャップを封止構造とする場合、ガスの圧力、ガス
の種類を変えることなどによって決められる。
【0005】実際に市販されている素子としては、円柱
状のセラミック表面に導体被膜を形成し、レーザ等によ
ってその被膜に放電ギャップを設け、これをガラス封管
したものがあり、例えばダイヤサージプロテクタ(三菱
マテリアル株式会社製、商品名)等が知られている。
【0006】また、配線板上に直接放電ギャップを配線
形成する方法としては、特開平2─223182号公
報、特開平3─89588号公報、特開平3─2610
86号公報、特開平4─22086号公報、特開平5─
67851号公報、並びに特開平7─312471号公
報等により知られている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】市販されているガラス
封管型の放電ギャップ型素子は特性に極めて優れている
ものの、その形態の複雑なことから小型の表面実装用素
子(以下、チップという)サイズ、例えば1〜2mm
幅、2〜4mm長、1〜2mm厚というサイズにするこ
とは困難であり、また構成材料の種類も多くコストを下
げることも困難であると予想される。
【0008】一方、特開平2─223182号公報、特
開平3─89588号公報、特開平3─261086号
公報、特開平4─22086号公報、特開平5─678
51号公報、並びに特開平7─312471号公報等に
記載されているのは、基本的には基板上に放電ギャップ
を形成する方法であるが、通常の方法では形成できる放
電ギャップのギャップ間距離は150μm以上であり、
またその形成精度も±20〜30μm程度である。実際
に、特開平2─223182号公報では放電ギャップの
距離が数mm、特開平3─89588号公報では放電ギ
ャップの距離が4mm、特開平3─261086号公報
では放電ギャップの距離が0.5mm、特開平5─67
851号公報では放電ギャップの距離が0.15mm
が、例示されている。これらの値の放電ギャップでは放
電電圧が高く、保護効果に限界があり静電気に敏感なI
CやLSIの保護には適さない。
【0009】すなわち、平行電極間の放電電圧とギャッ
プの関係が「静電気ハンドブック」221頁(電気学会
編、昭和63年6月20日オーム社発行)の式から作図
した図2に示すように、前記従来の技術で作成できる最
小のギャップの距離0.15mmにおいては、平行電極
間の放電電圧は1.3kV程度に達する。
【0010】突起型電極にした場合には、1〜2割程度
放電電圧が低下するものの、電源電圧が低いICやLS
I等の保護には用いることができず、またギャップの形
成精度が低い。
【0011】また前記の公報には、いずれも使用環境か
らの放電ギャップ部分の保護等が示されていないが、こ
の保護がなければ環境中の湿度やガスのため導体表面の
汚染等により放電電圧の変化が起こることが予想され
る。
【0012】そこで、放電ギャップ部分を保護のために
直接通常のレジスト類により被覆してしまうと、放電ギ
ャップ部分にレジスト類が充填されてしまい、放電電圧
の大幅な上昇が起こり実用的でない。また、仮にレジス
ト類を充填した状態で静電気保護が得られるような極め
て微小なギャップが形成できたとしても(レジスト類が
充填された場合、ギャップ間隔が1〜2μm以下にしな
いと保護効果の得られる放電電圧とならず、実際的では
ない)このような状態で放電が起こると、放電ギャップ
に充填されたレジスト類に微少な劣化が起こり、絶縁抵
抗の低下、場合によっては導通が起こるという課題があ
る。
【0013】本発明は、精度に優れ、小型化、低コスト
化の可能なチップ型静電気保護素子とその製造法を提供
することを目的とする。
【0014】
【課題を解決するための手段】本発明のチップ型静電気
保護素子は、絶縁基材110の両面に銅箔130を貼り
合わせた銅張積層板の、一方の銅箔130と絶縁基材1
10に放電ギャップの空隙1が形成され、その一方の面
の銅箔130が、前記放電ギャップの空隙1の穴縁部に
臨む放電ギャップの電極151と、チップ型静電気保護
素子の一方の電極端子201に接続される接続ランド1
41とを形成するように加工され、他方の面の銅箔13
0の、放電ギャップの空隙1の内側に露出した部分が放
電ギャップの電極152を形成し、かつ他方の面の銅箔
130が、チップ型静電気保護素子の他方の電極端子2
02に接続される接続ランド142を形成するように加
工され、放電ギャップの電極151が、保護されるよう
に、絶縁基材120と外層銅箔111とで覆われ、その
端部でめっき190によって外層銅箔111と接続ラン
ド141及び142とが接続され、それぞれの接続ラン
ド141及び142が独立するように、外層銅箔111
が加工され、それぞれ電極端子201及び202を構成
していることを特徴とする
【0015】このようなチップ型静電気保護素子は、 a.絶縁基材110の両面に銅箔130を張り合わせた
両面銅張積層板の一方の面の銅箔130の、放電ギャッ
プの空隙1を形成する予定の箇所のみを選択的にエッチ
ング除去する工程、 b.前記銅箔130の除去された箇所から露出した、前
記銅張積層板の絶縁基材110を、裏面の銅箔130が
露出するまで除去して、放電ギャップの空隙1を形成す
る工程、 c.両面銅張積層板の、放電ギャップの空隙1を形成す
る予定の箇所のみを選択的にエッチング除去された面
の、銅箔130を、前記放電ギャップの空隙1の穴縁部
に臨む放電ギャップの電極151と、チップ型静電気保
護素子の一方の電極端子201に接続される接続ランド
141とを形成するように、不要の銅箔部分を選択的に
エッチング除去する工程、 d.前記両面銅張積層板の他方の面の銅箔130を、放
電ギャップの空隙1の内側に露出した部分が放電ギャッ
プの電極152を形成し、かつ、チップ型静電気保護素
子の他方の電極端子202に接続される接続ランド14
2を形成するように、不要の銅箔部分を選択的にエッチ
ング除去する工程、 e.前記両面銅張積板の少なくとも一方の面に、絶縁基
材120と外層銅箔111とを絶縁基材120が前記両
面銅張積層板に接するように重ね、加熱加圧して積層接
着する工程、 f.前記積層接着物の、接続ランド141及び接続ラン
ド142に該当する位置に、端面接続用の穴180をあ
ける工程、 g.前記積層接着物全面にめっき190を行ない、端面
接続用の穴180の内壁を導体化する工程、 h.外層銅箔111の不要な箇所をエッチング除去し、
電極端子201、202を形成する工程、 i.端面接続用の穴180を基準として切断することに
よって、個々のチップ型静電気保護素子に切り分ける工
程、から製造することができる。
【0016】
【発明の実施の形態】本発明の構造において、一対の静
電気保護素子用配線層の放電ギャップの最短距離が、静
電気パルス等が印加された時の放電ギャップとなり、こ
の距離が極めて重要であり、1〜150μmの範囲であ
ることが好ましい。その範囲中では通常の電子素子の保
護には5〜60μmが好ましい。また静電気により敏感
なICやLSIの保護のためには1〜30μmとするこ
とが好ましい。60μmを超えると必要とする保護電圧
が高くなり、電子部品が放電破壊することがある。しか
し、特に大きなパルス電圧部分だけを除去すればよいと
いう用途では放電ギャップの距離を150μm程度まで
大きくすることができる。なおこの距離を1μm未満に
すると距離の精度の管理が難しく、また製造も困難であ
る。
【0017】本発明に用いる、放電ギャップの空隙1を
形成する絶縁基材110には、難燃性が高く、放電によ
って劣化しにくい材料であることが好ましい。難燃性の
指標としては、酸素指数と分解温度があり、酸素指数は
21以上であり、かつ分解温度は300℃以上の有機樹
脂が望ましく、更には酸素指数が90以上であり、かつ
分解温度が500℃以上の有機樹脂が望ましい。
【0018】これらのことから、放電ギャップの空隙1
を形成する絶縁基材110には、フッ素系樹脂、あるい
はポリイミド系樹脂を用いることが特に望ましく、その
形状は、空隙の形成の容易さから、ガラスクロス等の強
化材を含まない樹脂フィルムが望ましい。
【0019】このフッ素系樹脂には、ポリテトラフルオ
ロエチレンやテトラフルオロエチレン/ヘキサフルオロ
プロピレン共重合体、テトラフルオロエチレン/エチレ
ン共重合体、テトラフルオロエチレン/パーフルオロア
ルコキシエチレン共重合体のような共重合体、フッ素系
樹脂を他の有機樹脂で変性した変性樹脂等が使用可能で
ある。
【0020】またポリイミド系樹脂の場合、可溶性のポ
リイミドであり、また両面に銅箔が張り付けてあるフィ
ルム状の材料であれば好適に使用することができる。具
体的には、MCF5500I(日立化成工業株式会社
製、商品名)、NEX255R(三井東圧化学株式会社
製、商品名)、アピカル(鐘淵化学工業株式会社製、商
品名)、カプトン(デュポン社製、商品名)などがヒド
ラジン/エチレンジアミン混合溶液に可溶であり使用可
能であるが、上記に限定したものではない。
【0021】放電ギャップの空隙1に、外層銅箔111
を接着するための絶縁基材120が流入するのを防ぐた
めには、低フローの絶縁材料を用いることが好ましい。
このような低フロー絶縁材料には、フッ素系樹脂等の熱
軟化性樹脂材料や高分子量エポキシ重合体を含むエポキ
シ樹脂を用いることができる。このフッ素系樹脂にも、
ポリテトラフルオロエチレンやテトラフルオロエチレン
/ヘキサフルオロプロピレン共重合体、テトラフルオロ
エチレン/エチレン共重合体、テトラフルオロエチレン
/パーフルオロアルコキシエチレン共重合体のような共
重合体、フッ素系樹脂を他の有機樹脂で変性した変性樹
脂等が使用可能である。
【0022】本発明で使用する高分子量エポキシ重合体
を含むエポキシ樹脂は、二官能エポキシ樹脂とハロゲン
化二官能フェノール類の配合当量比をエポキシ基/フェ
ノール水酸基=1/0.9〜1.1とし、触媒の存在
下、加熱して重合させたフィルム形成能を有する分子量
100,000以上の高分子量エポキシ重合体、架橋
剤、多官能エポキシ樹脂を構成成分とする熱硬化性エポ
キシ樹脂を用い、ワニス状の前記熱硬化性エポキシ樹脂
を銅箔の粗化面に塗布し、加熱により半硬化状態にし
て、銅箔上に直接エポキシ樹脂層を形成したり、前記熱
硬化性エポキシ樹脂をフィルム基材上に塗布しフィルム
化した後に、銅箔とラミネートして形成することもでき
る。
【0023】(高分子量エポキシ重合体)フィルム形成
能を有する高分子量エポキシ重合体は、重量平均分子量
が100,000以上であり、二官能エポキシ樹脂とハ
ロゲン化二官能フェノール類を二官能エポキシ樹脂と二
官能フェノール類の配合当量比を、エポキシ基/フェノ
ール性水酸基=1/0.9〜1.1とし、触媒の存在
下、沸点が130℃以上のアミド系またはケトン系溶媒
中、反応固形分濃度50重量%以下で、加熱し重合させ
て得られる。
【0024】二官能エポキシ樹脂は、分子内に二個のエ
ポキシ基をもつ化合物であればどのようなものでもよ
く、例えば、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフ
ェノールF型エポキシ樹脂、ビスフェノールS型エポキ
シ樹脂、脂肪族鎖状エポキシ樹脂などがある。これらの
化合物の分子量はどのようなものでもよい。これらの化
合物は何種類かを併用することができる。また、二官能
エポキシ樹脂以外の成分が不純物として含まれていても
かまわない。
【0025】ハロゲン化二官能フェノール類は、ハロゲ
ン原子が置換し、しかも二個のフェノール性水酸基を持
つ化合物であればどのようなものでもよく、例えば、単
環二官能フェノールであるヒドロキノン、レゾルシノー
ル、カテコール、多環二官能フェノールであるビスフェ
ノールA、ビスフェノールF、ナフタレンジオール類、
ビスフェノール類、およびこれらのアルキル基置換体な
どのハロゲン化物などがある。これらの化合物の分子量
はどのようなものでもよい。これらの化合物は何種類か
を併用することができる。また、ハロゲン化二官能フェ
ノール類以外の成分が不純物として含まれていてもかま
わない。
【0026】触媒は、エポキシ基とフェノール性水酸基
のエーテル反応を促進させるような触媒能を持つ化合物
であればどのようなものでもよく、例えば、アルカリ金
属化合物、アルカリ土類金属化合物、イミダゾール類、
有機りん化合物、第二級アミン、第三級アミン、第四級
アンモニウム塩などがある。中でもアルカリ金属化合物
が最も好ましい触媒であり、アルカリ金属化合物の例と
しては、ナトリウム、リチウム、カリウムの水酸化物、
ハロゲン化物、有機酸塩、アルコラート、フェノラー
ト、水素化物、ホウ水素化物、アミドなどがある。これ
らの触媒は併用することができる。
【0027】反応溶媒としては、アミド系またはケトン
系溶媒が好ましく、アミド系溶媒としては、沸点が13
0℃以上で、原料となるエポキシ樹脂とフェノール類を
溶解すれば、特に制限はないが、例えば、ホルムアミ
ド、N−メチルホルムアミド、N,N−ジメチルホルム
アミド、アセトアミド、N−メチルアセトアミド、N,
N−ジメチルアセトアミド、N,N,N’,N’−テト
ラメチル尿素、2−ピロリドン、N−メチル−2−ピロ
リドン、カルバミド酸エステルなどがある。これらの溶
媒は併用することができる。また、ケトン系溶媒、エー
テル系溶媒などに代表されるその他の溶媒と併用しても
かまわない。また、ケトン系溶媒としては、シクロヘキ
サノン、アセチルアセトン、ジイソブチルケトン、ホロ
ン、イソホロン、メチルシクロヘキサノン、アセトフェ
ノンなどがある。
【0028】重合体の合成条件としては、二官能エポキ
シ樹脂とハロゲン化二官能フェノール類の配合当量比
は、エポキシ基/フェノール性水酸基=1/0.9〜
1.1とされる。重合反応温度は、60〜150℃であ
ることが好ましく、60℃未満であると、高分子量化反
応が著しく遅く、150℃を越えると、副反応が多くな
り直鎖状に高分子量化しない。溶媒を用いた重合反応の
際の固形分濃度は、50重量%以下であればよいが、さ
らには30重量%以下にすることが好ましい。
【0029】このようにすることにより、フィルム形成
能を有する分子量が100,000以上の、いわゆる高
分子量エポキシ重合体が得られる。 (架橋剤)この高分子量エポキシ重合体の架橋剤とし
て、架橋剤の反応性制御が容易でワニスの保存安定性が
確保し易い、イソシアネート類を他の活性水素を持つ化
合物でマスク(ブロック)したマスクイソシアネート類
を用いるのが好ましい。
【0030】イソシアネート類は分子内に2個以上のイ
ソシアネート基を有するものであればどのようなもので
もよく、例えば、フェノール類、オキシム類、アルコー
ル類などのマスク剤でマスクされたヘキサメチレンジイ
ソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、イ
ソホロンジイソシアネート、トリレンジイソシアネート
などが挙げられる。特に、硬化物の耐熱性の向上のため
フェノール類でマスクされたイソホロンジイソシアネー
ト、トリレンジイソシアネートが好ましい。この架橋剤
の量は、高分子量エポキシ重合体のアルコール性水酸基
1.0当量に対し、イソシアネート基が0.1〜1.0
当量にすることが好ましい。
【0031】(多官能エポキシ樹脂)多官能エポキシ樹
脂としては、分子内に2個以上のエポキシ基を持つ化合
物であればどのようなものでもよく、例えば、フェノー
ルノボラック型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型
エポキシ樹脂、レゾール型エポキシ樹脂、ビスフェノー
ル型エポキシ樹脂などのフェノール類のグリシジルエー
テルであるフェノール型エポキシ樹脂や脂環式エポキシ
樹脂、エポキシ化ポリブタジエン、グリシジルエステル
型エポキシ樹脂、グリシジルアミン型エポキシ樹脂、イ
ソシアヌレート型エポキシ樹脂、可撓性エポキシ樹脂な
どであり、エポキシ樹脂ならば何を用いてもかまわない
が、特にフェノール型エポキシ樹脂、または、フェノー
ル型エポキシ樹脂と多官能エポキシ樹脂との混合物が、
耐熱性の向上のために好ましい。この多官能エポキシ樹
脂の量は、高分子量エポキシ重合体100重量部に対
し、20〜100重量部にすることが好ましい。また、
この多官能エポキシ樹脂は、接着成分および成形時の樹
脂流れとして働くため、内層銅箔の厚さやその回路の密
度によって、適正な量に調節することができる。これら
の多官能エポキシ樹脂は、単独でまたは2種類以上混合
して用いてもかまわない。
【0032】(添加剤)さらに、多官能エポキシ樹脂の
硬化剤および硬化促進剤を用いることが好ましい。エポ
キシ樹脂の硬化剤および硬化促進剤としては、ノボラッ
ク型フェノール樹脂、ジシアンジアミド、酸無水物、ア
ミン類、イミダゾール類、フォスフィン類などが挙げら
れる。また、これらを組み合わせて用いてもかまわな
い。さらにシランカップリング剤を添加することは、エ
ポキシ樹脂層の接着力、特に銅箔との接着力を向上させ
るので好ましい。添加するシランカップリング剤として
は、エポキシシラン、アミノシラン、尿素シラン等が好
ましい。
【0033】(塗布)このような組成の混合物を、溶剤
により希釈し、ポリエチレンテレフタレートフィルムの
ようなキャリアフィルムの離型処理を行なった表面や銅
箔表面に塗布する。このときの塗布方法は、ブレードコ
ータ、ロッドコータ、ナイフコータ、リバースロールコ
ータ、リップコータ、ダイコータ等により塗布すること
ができる。また、塗布した後に、130〜150℃、2
〜30分の条件で乾燥し、低フロー絶縁基材となるよう
半硬化状にする。
【0034】本発明の構造においては、放電ギャップの
最短距離が、静電気パルス等が印加された時の放電ギャ
ップとなり、この距離が極めて重要であることは前述し
たとおりである。そこで、本発明の工程bの後に、放電
ギャップの空隙1を形成した両面銅張積層板全面にめっ
き2を行う工程を設けることもでき、放電ギャップの距
離をめっき2の厚さによって調節することができる。こ
のめっき2は、液の安定性がよく、めっき析出速度が1
〜2μm/h程度に制御可能なものであれば、どのよう
なものでも使用できる。市販の無電解めっき液として
は、液の安定性や生産性の点からL─59めっき液(日
立化成工業株式会社製、商品名)が使用できる。このと
きに析出させるめっき2は、必要とする放電電圧と放電
ギャップの空隙1を形成する材料の厚さから決定され
る。例えば、放電ギャップの空隙を形成する絶縁基材1
10の厚さが10μmであれば、めっきの析出量を0〜
9μmとすれば、放電ギャップの距離は1〜10μmの
間で調整される。めっきの析出量は特に限定しないが、
安定性や生産性の点から0〜30μm、更には0〜10
μmが望ましい。
【0035】放電ギャップの空隙1を形成するために
は、放電ギャップの空隙1となる絶縁基材110の部分
にレーザを照射して、その部分の絶縁基材110を蒸発
発散させることができる。このようなレーザとしては、
一般的に使用されているエキシマレーザや炭酸ガスレー
ザ等を使用することができる。
【0036】また特定の溶液により樹脂を溶解させ放電
ギャップ層の空隙を形成する場合、使用できる溶液とし
ては、ヒドラジン/エチレンジアミン混合溶液、双極性
非プロトン溶媒、例えばN─メチルピロリドン、ジメチ
ルホルムアミド、ジメチルアセトアミドなどの溶媒、あ
るいはこれらとアルカリ溶液との混合溶液等がある。ポ
リイミド樹脂やあるいは他の有機樹脂に対し溶解性のあ
る溶液であれば上記に限定しない。
【0037】レーザの照射により樹脂を除去し、放電ギ
ャップの空隙1を形成する場合は、両面銅張積層板を選
択的にエッチングし、放電ギャップ電極151、15
2、接続ランド141、及び142を形成する工程c及
び工程dは、工程aと同時でもかまわない。しかし、特
定の溶液により樹脂を除去し、放電ギャップの空隙1を
形成する場合は、工程cと工程dを同時に行なうことは
できるが、工程bの後に行うことが望ましい。まためっ
き2を行なう工程の後でもかまわない。また、両面銅張
積層板を選択的にエッチングし、放電ギャップ電極15
1、152、接続ランド141、及び142を形成する
工程c及び工程dは、同時に行なうこともできるが、放
電ギャップの電極152の側に、保護のための絶縁基材
120と外層銅箔を積層しない場合は、工程dを、例え
ば、選択的エッチングにより電極端子201、202を
形成する工程hと同時に行なうこともできる。
【0038】
【実施例】図1(a)に示すように、厚さが18μmの
銅箔130を、絶縁基材110であるテトラフルオロエ
チレン/エチレン共重合体のアフレックスフィルム(旭
硝子株式会社製、商品名)12μmの両面に重ね合わ
せ、プレス条件を温度280℃、時間30分、圧力20
kgf/cm2で熱圧着し、両面銅張積層板を作製し
た。この銅箔130の表面に、エッチングレジストを形
成し、一方の銅箔130の面にのみ放電ギャップの空隙
1を形成する箇所のみを1.2mmの直径の円形に覆う
フォトマスクを重ね、紫外線を露光し、エッチングレジ
ストを形成し、エッチングレジストの覆っていない放電
ギャップの空隙1を形成する箇所の銅箔130をエッチ
ング除去した後、図1(b)に示すように、そのエッチ
ングレジストを除去した。図1(c)に示すように、銅
箔130の覆っていない放電ギャップの空隙1を形成す
る箇所の絶縁基材110を、エキシマレーザを照射し、
反対面の銅箔130を露出させるまで除去した。図1
(d)に示すように、無電解銅めっき液であるL−59
めっき液(日立化成工業株式会社製、商品名)に、液温
70℃、めっき時間0.5時間、3.0時間、4.5時
間の条件で無電解銅めっきを行い、めっき析出量が1、
6、9μmの3種類の基板を作製した(実施例1、2、
3とする。)。この場合、触媒化処理を全く行わないた
め、銅めっきは銅箔表面のみしか析出しなかった。ま
た、放電ギャップの距離は、それぞれ、11μm、6μ
m、3μmであった。この後、一方の銅箔130の表面
には、放電ギャップの空隙1の穴縁部に臨む放電ギャッ
プの電極151と、チップ型静電気保護素子の一方の電
極端子201に接続される接続ランド141とを形成す
る形状に、銅箔130が露出するような、めっきレジス
トを形成し、他方の面の銅箔130には、放電ギャップ
の電極152と、チップ型静電気保護素子の他方の電極
端子202に接続される接続ランド142とを形成する
形状に、他方の面の銅箔130が露出するような、めっ
きレジストを形成し、ホウフッ化スズとホウフッ化鉛を
主成分とする電解はんだめっきを行ない、めっきレジス
トを、アルカリ溶液により除去し、はんだめっきのない
箇所に露出した両面の銅箔130を、銅アミン錯体を主
成分とする、いわゆるアルカリエッチャントによりエッ
チング除去し、はんだめっきを、ホウフッ化水素酸を主
成分とするはんだめっき剥離液により、除去して、図1
(e)に断面を、図1(f)に上面を、そして図1
(g)に下面を示すように、放電ギャップ151、15
2、接続ランド141、及び142を形成した。このパ
ターンは、複数の放電ギャップ電極151及び152
が、接続ランド141及び142を挾んで、縦方向には
直列となるように配列され、横方向には1列の連続した
配列を平行に整列した形状とした。その両面に、高分子
量エポキシ重合体を含むエポキシ樹脂を用いた樹脂付銅
箔MCF3000E(日立化成工業株式会社製、商品
名)を重ね合わせ、プレス条件を温度170℃、時間9
0分、圧力20kgf/cm2で、加熱加圧して積層接
着した(図1(h)に示す。)。その後、前記積層接着
物の、接続ランド141及び142に該当する位置に、
端面接続用の穴180を開け、15μmの厚さに銅めっ
き190を行い、端面接続用の穴180の内壁を導体化
し、外層銅箔111の不要な箇所をエッチング除去し、
図1(i)にその断面を、図1(j)にその上面を示す
ように、電極端子201及び202を形成し、端面接続
用の穴180を基準として切断することによって、個々
のチップ型静電気保護素子に切り分けた。作製したチッ
プ型静電気保護素子を用いて、放電電圧の測定と、IC
の保護効果の確認を行った。放電電圧については直流電
圧で測定を行った。ICの保護効果については、図3の
回路を用い、パルス発生器ESD8012(三基電子工
業株式会社製、商品名)で、電圧10kV、波形IEC
801─2に規定の静電気パルスを、TTLICである
SN75189AN(テキサスインスルメンツ社製、商
品名)の入力端子に、パルス間隔1秒で10パルス連続
で印加して、その後にICの動作確認を行った。そ結果
を表1に示す。
【0039】
【表1】
【0040】
【発明の効果】以上に説明したように、本発明のチップ
型静電気保護素子はその製造方法も比較的簡単であり、
かつ放電ギャップの精度を高くでき、放電電圧を正確に
コントロールできること、低コストで製造できること、
素子の小型化にも容易に対応できることなどの点におい
て、従来の放電型素子に比べて優れている。
【図面の簡単な説明】
【図1】(a)〜(j)は、本発明の一実施例を説明す
るための各工程における図であり、(a)〜(e)、
(h)及び(i)は断面図であり、(f)と(j)は上
面図であり、(g)は下面図である。
【図2】本発明の従来例を説明するための、平行電極の
ギャップ間距離と火花電圧との関係を示す線図である。
【図3】本発明の実施例に用いた測定方法を説明するた
めのブロック図である。
【符号の説明】
1.放電ギャップの空隙 2.めっき 110,120.絶縁基材 111.外層銅
箔 130.銅箔 141,14
2.接続ランド 151,152.放電ギャップの電極 180.端面接続用の穴 190.めっき 201,202.電極端子

Claims (15)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】絶縁基材110の両面に銅箔130を貼り
    合わせた銅張積層板の、一方の銅箔130と絶縁基材1
    10に放電ギャップの空隙1が形成され、その一方の面
    の銅箔130が、前記放電ギャップの空隙1の穴縁部に
    臨む放電ギャップの電極151と、チップ型静電気保護
    素子の一方の電極端子201に接続される接続ランド1
    41とを形成するように加工され、他方の面の銅箔13
    0の、放電ギャップの空隙1の内側に露出した部分が放
    電ギャップの電極152を形成し、かつ他方の面の銅箔
    130が、チップ型静電気保護素子の他方の電極端子2
    02に接続される接続ランド142を形成するように加
    工され、放電ギャップの電極151が、保護されるよう
    に、絶縁基材120と外層銅箔111とで覆われ、その
    端部でめっき190によって外層銅箔111と接続ラン
    ド141及び142とが接続され、それぞれの接続ラン
    ド141及び142が独立するように、外層銅箔111
    が加工され、それぞれ電極端子201及び202を構成
    していることを特徴とするチップ型静電気保護素子。
  2. 【請求項2】放電ギャップの距離が、両面の銅箔130
    の上に形成されためっき2によって調節されていること
    を特徴とする請求項1に記載のチップ型静電気保護素
    子。
  3. 【請求項3】放電ギャップの距離が、1〜150μmの
    範囲に調節されていることを特徴とする請求項1または
    2に記載のチップ型静電気保護素子。
  4. 【請求項4】絶縁基材110が、難燃性の高い有機樹脂
    であることを特徴とする請求項1〜3のうちいずれかに
    記載のチップ型静電気保護素子。
  5. 【請求項5】絶縁基材110が、フッ素系樹脂とポリイ
    ミド系樹脂から選択された樹脂であることを特徴とする
    請求項1〜4のうちいずれかに記載のチップ型静電気保
    護素子。
  6. 【請求項6】a.絶縁基材110の両面に銅箔130を
    張り合わせた両面銅張積層板の一方の面の銅箔130
    の、放電ギャップの空隙1を形成する予定の箇所のみを
    選択的にエッチング除去する工程、 b.前記銅箔130の除去された箇所から露出した、前
    記銅張積層板の絶縁基材110を、裏面の銅箔130が
    露出するまで除去して、放電ギャップの空隙1を形成す
    る工程、 c.両面銅張積層板の、放電ギャップの空隙1を形成す
    る予定の箇所のみを選択的にエッチング除去された面
    の、銅箔130を、前記放電ギャップの空隙1の穴縁部
    に臨む放電ギャップの電極151と、チップ型静電気保
    護素子の一方の電極端子201に接続される接続ランド
    141とを形成するように、不要の銅箔部分を選択的に
    エッチング除去する工程、 d.前記両面銅張積層板の他方の面の銅箔130を、放
    電ギャップの空隙1の内側に露出した部分が放電ギャッ
    プの電極152を形成し、かつ、チップ型静電気保護素
    子の他方の電極端子202に接続される接続ランド14
    2を形成するように、不要の銅箔部分を選択的にエッチ
    ング除去する工程、 e.前記両面銅張積板の少なくとも一方の面に、絶縁基
    材120と外層銅箔111とを絶縁基材120が前記両
    面銅張積層板に接するように重ね、加熱加圧して積層接
    着する工程、 f.前記積層接着物の、接続ランド141及び接続ラン
    ド142に該当する位置に、端面接続用の穴180をあ
    ける工程、 g.前記積層接着物全面にめっき190を行ない、端面
    接続用の穴180の内壁を導体化する工程、 h.外層銅箔111の不要な箇所をエッチング除去し、
    電極端子201、202 を形成する工程、i.端面接続用の穴180を基準とし
    て切断することによって、個々のチップ型静電気保護素
    子に切り分ける工程、からなることを特徴とするチップ
    型静電気保護素子の製造法。
  7. 【請求項7】工程bの後に、放電ギャップの空隙1を形
    成した両面銅張積層板全面にめっき2を行なう工程を設
    けることを特徴とする請求項6に記載のチップ型静電気
    保護素子の製造法。
  8. 【請求項8】工程cと工程dとを、同時に行なうことを
    特徴とする請求項6または7に記載のチップ型静電気保
    護素子の製造法。
  9. 【請求項9】工程dと工程hとを、同時に行なうことを
    特徴とする請求項6〜8のうちいずれかに記載のチップ
    型静電気保護素子の製造法。
  10. 【請求項10】レーザを照射し、樹脂を除去することに
    より、放電ギャップの空隙1を形成することを特徴とす
    る請求項6〜9のうちいずれかに記載のチップ型静電気
    保護素子の製造法。
  11. 【請求項11】特定の溶液により樹脂を溶解させること
    により、放電ギャップの空隙1を形成することを特徴と
    する請求項6〜9のうちいずれかに記載のチップ型静電
    気保護素子の製造法。
  12. 【請求項12】絶縁基材120が、放電ギャップの空隙
    1内への流れ込みが少ない、低フロー絶縁基材であるこ
    とを特徴とする請求項6から11のうちいずれかに記載
    のチップ型静電気保護素子の製造法。
  13. 【請求項13】低フロー絶縁基材が、熱軟化性樹脂であ
    ることを特徴とする請求項12に記載のチップ型静電気
    保護素子の製造法。
  14. 【請求項14】熱軟化性樹脂基材が、フッ素系樹脂であ
    ることを特徴とする請求項13に記載のチップ型静電気
    保護素子の製造法。
  15. 【請求項15】低フロー絶縁基材が、高分子量エポキシ
    重合体を含むエポキシ樹脂であることを特徴とする請求
    項12に記載のチップ型静電気保護素子の製造法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2010058715A1 (ja) 2008-11-21 2010-05-27 昭和電工株式会社 放電ギャップ充填用樹脂組成物および静電放電保護体
WO2012105515A1 (ja) 2011-02-02 2012-08-09 昭和電工株式会社 放電ギャップ充填用組成物および静電放電保護体
US8519817B2 (en) 2009-06-17 2013-08-27 Showa Denko K.K. Discharge gap filling composition and electrostatic discharge protector
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