JPH10274164A - マイクロポンプ - Google Patents

マイクロポンプ

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JPH10274164A
JPH10274164A JP9081672A JP8167297A JPH10274164A JP H10274164 A JPH10274164 A JP H10274164A JP 9081672 A JP9081672 A JP 9081672A JP 8167297 A JP8167297 A JP 8167297A JP H10274164 A JPH10274164 A JP H10274164A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 シリコン基板上にマイクロマシニング技術を
用いて、双方向送液が可能でかつ耐背圧性の高い能動的
バルブを有し、かつ圧電素子とシリコンダイアフラムの
ユニモルフ構造によって薄型化が可能であるマイクロポ
ンプの実現を図ることにある。 【解決手段】 薄膜プロセスによってシリコン基板上に
つくられた弁の開閉をおこなう吐出側、吸入側の二つの
ダイアフラムと、同じくシリコン基板上につくられた流
体を押し出す働きをする一つのダイアフラムと、流体が
通過する貫通穴を有しシリコン基板に接合されるガラス
基板から構成され、各ダイアフラムに貼り付ける圧電素
子を片持ち梁状、または分割して片持ち梁状に取り付け
ることによって、より大きな変位を得ることのできるユ
ニモルフアクチュエータを実現し、能動的なバルブを有
した双方向送液が可能な薄型マイクロポンプを実現す
る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は微小量な液体の高精
度な送液と、同時に装置自体の小型化が不可欠である医
療分野や分析分野などにおけるマイクロポンプおよびマ
イクロバルブの構造および製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】従来の医療分野、分析分野等での応用が
なされているマイクロポンプとして、例えば特開平5−
164052号広報に記載されているものがある。この
発明は図2に示すようにケーシリング26の内部に、端
面に液体吸引吐出部材21が接着されている固定された
積層型圧電アクチュエータと端面に弁23が接着されて
いる二つの積層型圧電アクチュエータ22から構成され
ており、3つのアクチュエータの駆動によって流路管口
24とポンプ室25を介して送液を実現する構造となっ
ている。
【0003】また、特開平5−1669号広報に記載さ
れているマイクロポンプの場合、図3に示すようにシリ
コン基板31上の酸化膜の犠牲層上に金属またはポリシ
リコンの薄膜32を形成し、さらにエッチングによって
犠牲層を除去することにより金属またはポリシリコンの
逆止弁を構成し、ガラス33上に設けた圧電素子34に
よりポンプを構成することを特徴としている。
【0004】また、特開平5−263763号広報に記
載される考案の場合、図4に示すようにポンプ室41の
上下に2個のポンプ駆動用のバイモルフ型圧電素子42
が取り付けられており、吸入口および吐出口には弁体4
3およびバイモルフ型圧電素子44からなる流量制御弁
45が取り付けられており、ポンプ用圧電素子42と流
体制御弁用圧電素子44を同一のコントローラ46で駆
動制御可能な構成となっている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】従来の薄膜プロセスの
技術を用いてウェハの加工をおこなう場合、精度の高い
加工が可能であること、一枚のウェハから多くのサンプ
ルを得ることができるといった利点から、マイクロポン
プの分野においても数多く応用されてきた。図2に示す
ような積層型圧電素子をアクチュエータとして用いるこ
とによって能動的なバルブを製作した例の場合、積層型
圧電素子がある程度の厚みを有しているために薄型化が
不可能であるという問題があった。また、図3に示すよ
うな2つの逆止弁を有したマイクロポンプにおいては、
受動的な逆止弁を用いることにより逆流を防止し送液を
実現しているものの、その構造上、一方向にしか送液が
実現できないという問題点を有していた。また、図4に
示すような、圧電素子のバイモルフ型アクチュエータを
用いて能動的なバルブを実現している場合、構造上、流
路内にアクチュエータが存在することになるため、バイ
モルフ型アクチュエータ自身をシリコンゴム等でモール
ディングする必要があるという問題点を有していた。ま
た、シリコンダイアフラムに圧電素子を貼り付けること
によってユニモルフアクチュエータを実現し、これによ
ってポンピングおよびバルブの開閉をおこなう場合、流
体とアクチュエータが直接触れることはないものの十分
な変位を得ることができないという問題点を有してい
た。
【0006】そこで本発明では、シリコン基板上のダイ
アフラムに、変位を十分に得ることの可能なユニモルフ
アクチュエータを用いることによって、薄型化および双
方向送液が可能で吐出効率の高いマイクロポンプを実現
することを課題とする。
【0007】
【課題を解決する手段】本発明では、シリコン基板上に
薄膜プロセスによって形成されたシリコンダイアフラム
に対して圧電素子を貼りつける際に、圧電素子を単純に
ダイアフラムの中心部分に貼りつけるだけでなく、ダイ
アフラムの一辺に片持ち梁状に固定する、もしくは分割
してからダイアフラムに片持ち梁状に固定することによ
って、より多くのダイアフラム変位が得られるように
し、明確な能動的バルブの開閉およびポンプ部の拍動を
実現することによって、双方向送液および薄型化を可能
とする。
【0008】
【発明の実施の形態】本発明におけるマイクロポンプの
構造を図1に示す。二つのバルブダイアフラムと一つの
ポンプダイアフラムはシリコン基板1にエッチングによ
って形成され、各ダイアフラムに圧電素子3を貼り付け
ることによってユニモルフ式のアクチュエータを構成し
ている。シリコン基板1は流路として用いられる貫通穴
の形成されたガラス基板2と接合されており、バルブ部
ダイアフラムの剛性により、ポリイミドによって形成さ
れたパッキン4が貫通穴の存在するガラス基板2に押し
付けられ、通常時においてバルブが閉の状態を実現する
ことができる(図5)。また、このバルブ部ダイアフラ
ムに圧電素子を片持ち梁状に貼りつける、または圧電素
子を複数に分割したものを片持ち梁状に貼りつけること
によって、より多くのダイアフラム変位を得られるよう
な構造とし、明確なバルブ開閉が実現できるような構造
とした。また、ポンプ部ダイアフラムに取り付ける圧電
素子に対しても同様の方法を適用し、ポンプ部における
吐出が多くなるような構造を実現した。
【0009】実施例1 まず図6(a)のようなシリコン基板1に対して、図6(b)
のように熱酸化によって0.3μmの酸化膜5を形成す
る。これに対して片方の面にレジストを塗布、パターニ
ング後にレジストをマスクとして図6(c)のようにバッ
ファフッ酸によるウェットエッチングをおこない、酸化
膜5の一部を除去する。次にレジストを全面的に剥離し
た後に、残された熱酸化膜をマスクとし図6(d)のよう
にTMAHによってシリコン基板1のウェットエッチングを
おこない、その後図6(e)のように酸化膜5をバッファ
フッ酸によって全面剥離する。このエッチングされた酸
化膜のパターンがマイクロポンプの各ダイアフラムおよ
び流路の形状となるが、バルブ部ダイアフラムには接合
面と同じ高さの弁座をエッチングせずに残しておく。
【0010】次に図6(f)のように再び熱酸化によって
全面に厚さ3μmの酸化膜5を形成し、裏面にレジスト
塗布をおこない、両面アライナを用いてバルブ部および
ポンプ部のダイアフラムが表面と同じ位置になるよう
に、裏面に対してパターニングをおこなう。このレジス
トをマスクとしてバッファフッ酸によって酸化膜5のエ
ッチングをおこない(図6(g))、レジストの全面剥離
後、図6(h)に示すように水酸化カリウム溶液によって
シリコン基板1のエッチングをおこなう。エッチング終
了後に図6(i)のように酸化膜5をバッファフッ酸によ
って全面的に剥離するが、この水酸化カリウム水溶液に
よるエッチング深さを調節することによって各ダイアフ
ラムの厚みを任意に決定することが可能となる。
【0011】続いてこのようにシリコン基板1に形成さ
れたバルブ部ダイアフラムの弁座に対し、ポリイミドに
よるパッキン4の形成をおこなう。シリコン基板1の表
面にポリイミドを全面塗布した後にパターニングをおこ
ない、バルブ部ダイアフラムの弁座部にポリイミドによ
るパッキン4を形成する(図6(j))。このようにして
バルブのパッキン部がシリコン接合面より突出した構造
が実現されることになる。
【0012】次にこのシリコン基板1に対するガラス基
板2の接合をおこなうが、ガラス基板には予めエキシマ
レーザによって直径600μmの貫通穴が形成されてお
り、その位置はシリコン基板1の各パッキンと一致して
いる。このガラス基板2をパッキン4と貫通穴の位置が
一致するようにし、450℃、500Vの陽極接合によって接
合を実現する(図6(k))。この時シリコン基板1にお
いて図5に示すように、接合面よりもパッキン4が突出
しているために、接合によってバルブ部ダイアフラムが
変形し、パッキンがガラス基板に押しつけられることに
よって各バルブは通常状態で閉の状態を保つことにな
る。この剛性の値はパッキン4のポリイミドの厚み、ま
たはバルブ部ダイアフラムの厚みによって任意に設定す
ることが可能であり、外圧に対するバルブの強さを自由
に調整することが可能となる。
【0013】最後に圧電素子を裏面からバルブ部ダイア
フラムとポンプ部ダイアフラムに対して貼り付けるわけ
であるが、一般に用いられているユニモルフ振動子の場
合は片持ち梁の構造を適用しているため、圧電素子が平
面方向で収縮する場合に図7において梁が下向きにたわ
み、逆に圧電素子が伸張する場合に図7において梁が上
向きにたわみ、その変位がアクチュエータとして利用さ
れている。
【0014】これに対して圧電素子を単純にダイアフラ
ムの中心に貼り付けた場合、圧電素子の各辺が固定端と
ならないために、単純に片持ち梁と同様な変位を得るこ
とはできない。そのため図8のように、圧電素子が伸張
収縮したとしても、ダイアフラムの圧電素子が貼り付け
られていない部分、つまりダイアフラムの周縁部にひず
みが生じてしまうために、必ずしも十分な変位が得られ
るとは限らない。これに対して、ダイアフラムの全面に
圧電素子を貼り付け、四辺を完全に固定する方法が考え
られるが、実際は均一に固定することは難しく、圧電素
子の収縮伸張によって、圧電素子自身の破損を招く恐れ
もある。
【0015】そこで本実施例では特にバルブ部ダイアフ
ラムに貼り付ける圧電素子を図9に示すようにダイアフ
ラムの一辺に完全に接する形で接着し、さらに圧電素子
とダイアフラムの辺が接する部分には、接着剤などを充
填することによってユニモルフ構造の固定端を実現し、
片持ち梁と同様の効果を得られるようにする。このよう
に、バルブ部ダイアフラムに貼り付ける圧電素子を片持
ち梁状に固定することによって、伸張収縮による圧電素
子の破損の恐れなく、より変位の大きいユニモルフ構造
のダイアフラムを実現することが可能となる。このよう
に圧電素子を貼り付ける方法はポンプ部ダイアフラムに
おける圧電素子に用いても、もちろん有効でありポンプ
部ダイアフラムの拍動量の増加が実現できるようにな
る。また、ここでは圧電素子の一辺のみが固定された例
を示したが、図10のように二辺が固定された形状にし
ても同等の片持ち梁の効果を得ることができる。
【0016】以上のようなユニモルフアクチュエータを
バルブ部およびポンプ部ダイアフラムに用いることによ
って、能動的なバルブの開閉および液体の吐出の効率が
向上し、双方向送液が可能な送液効率の高いマイクロポ
ンプが実現できる。また、圧電素子を用いたユニモルフ
アクチュエータを用いているために、非常に薄型のもの
を製作することが可能となる。
【0017】実施例2 まず、実施例1における図6と同様の工程をたどり、薄
膜プロセスを用いてバルブ部およびポンプ部ダイアフラ
ムをシリコン基板に製作し、ガラス基板との接合をおこ
ない、各ダイアフラムに圧電素子の貼り付けをおこな
う。本実施例ではバルブ部ダイアフラムに貼り付ける圧
電素子を、図11に示すように分割し、四つの三角形と
してダイアフラムの一辺に完全に接する形で接着し、さ
らに圧電素子とダイアフラムの辺が接する部分には、接
着剤などを充填することによってユニモルフ構造の固定
端を実現し、片持ち梁と同様の効果を得られるようにし
た。このようにバルブ部ダイアフラムに貼り付ける圧電
素子を片持ち梁状に固定することによって、圧電素子の
破損の恐れなく、より変位の大きいユニモルフ構造のダ
イアフラムを実現することが可能となる。
【0018】また、本マイクロポンプでは、ガラス基板
との接合面と同じ高さの弁座にパッキンとなるポリイミ
ドを形成することによって、パッキンの厚み分が接合面
よりも突出した構造となっている。そのためシリコン基
板とガラス基板の接合によってバルブ部ダイアフラムに
たわみが生じることになり、バルブに予圧が与えられる
構造となっている。このダイアフラムのたわみのために
圧電素子を貼り付ける部分は完全な平面とはなっておら
ず、ダイアフラム中心部分に一枚の圧電素子を均一に貼
り付けることは困難である。しかし、このような問題に
対しても圧電素子を分割して貼り付ける方法を用いれ
ば、圧電素子一枚あたりの接着面積が小さくなるため
に、多少のダイアフラムのたわみに対しても接着が容易
になる。また、四つの圧電素子の自由端がバルブ部ダイ
アフラムの中心に位置しているために、この部分でもっ
とも大きな変位を得ることができる。本マイクロポンプ
のようにダイアフラム中心部に弁座が存在している場
合、この形状はバルブの開閉に関して特に有効であると
言える。
【0019】ここでは圧電素子が四つの三角形に分割さ
れた例を示したが、圧電素子をいくつに、どのような形
状に分割しても同等の効果を得ることができるのはもち
ろんであり、上記の圧電素子の自由端の位置も、圧電素
子の分割を変更することにより任意に決定することが可
能である。また、このように圧電素子を分割して片持ち
梁状に貼り付ける方法はポンプ部ダイアフラムに適用し
ても有効であり、ポンプ部ダイアフラムの拍動の増加が
実現できるようになる。
【0020】以上のようなユニモルフアクチュエータを
バルブ部およびポンプ部ダイアフラムに用いることによ
って、能動的なバルブの開閉および液体の吐出の効率が
向上し、双方向送液が可能な送液効率の高いマイクロポ
ンプが実現できる。また、圧電素子を用いたユニモルフ
アクチュエータを用いているために、非常に薄く小型の
ものを製作することが可能となる。
【0021】
【発明の効果】本発明のマイクロポンプは、シリコンダ
イアフラムと圧電素子のユニモルフ構造を用いているた
めに、非常に薄く製作することが可能であり、小型化が
容易という効果を有している。また圧電素子を片持ち梁
状に固定したり、複数に分割した状態で片持ち梁状に用
いることによって、各ダイアフラムの変位が大きくな
り、ポンプ部ダイアフラムの押し出し量の増大や開閉の
大きい能動的バルブが実現され、双方向送液や吐出性能
の高効率化が可能となった。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のマイクロポンプの構造を示す平面図お
よび断面図である。
【図2】従来のマイクロポンプの構造を示す断面図であ
る。
【図3】従来の他のマイクロポンプの構造を示す断面図
である。
【図4】従来の他のマイクロポンプの構造を示す断面図
である。
【図5】本発明のマイクロポンプのバルブ構造を示す断
面図である。
【図6】本発明のマイクロポンプの製造方法を示す工程
図である。
【図7】本発明のユニモルフアクチュエータの動作を示
す説明図である。
【図8】従来のマイクロポンプのバルブ動作を示す平面
図および断面図である。
【図9】本発明のマイクロポンプのバルブ動作を示す平
面図および断面図である。
【図10】本発明のマイクロポンプのバルブ動作を示す
平面図および断面図である。
【図11】本発明のマイクロポンプのバルブ動作を示す
平面図および断面図である。
【符号の説明】
1 シリコン基板 2 ガラス基板 3 圧電素子 4 パッキン 5 酸化膜 6 充填剤 7 弾性板 21 液体吸引吐出部材 22 積層型圧電アクチュエータ 23 弁 24 流路管口 25 ポンプ室 26 ケーシリング 31 シリコン基板 32 ポリシリコン 33 ガラス基板 34 圧電素子 41 ポンプ室 42 ポンプ用圧電素子 43 弁体 44 流体制御弁用圧電素子 45 流量制御弁 46 コントローラ

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 薄膜プロセスによってシリコン基板上に
    つくられた弁の開閉をおこなう吐出側、吸入側の二つの
    ダイアフラムと、前記シリコン基板上につくられた流体
    を押し出す働きをする一つのダイアフラムと、流体が通
    過する貫通穴を有しシリコン基板に接合されるガラス基
    板と、前記各ダイアフラムに圧電素子を片持ち梁状に取
    り付けたユニモルフアクチュエータから構成されること
    を特徴としたマイクロポンプ。
  2. 【請求項2】 薄膜プロセスによってシリコン基板上に
    つくられた弁の開閉をおこなう吐出側、吸入側の二つの
    ダイアフラムと、前記シリコン基板上につくられた流体
    を押し出す働きをする一つのダイアフラムと、流体が通
    過する貫通穴を有しシリコン基板に接合されるガラス基
    板と、前記各ダイアフラムに圧電素子を複数に分割して
    片持ち梁状に取り付けたユニモルフアクチュエータから
    構成されることを特徴としたマイクロポンプ。
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