JPH10273802A - 静電気障害防止服及び静電気障害防止方法 - Google Patents

静電気障害防止服及び静電気障害防止方法

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JPH10273802A
JPH10273802A JP9091359A JP9135997A JPH10273802A JP H10273802 A JPH10273802 A JP H10273802A JP 9091359 A JP9091359 A JP 9091359A JP 9135997 A JP9135997 A JP 9135997A JP H10273802 A JPH10273802 A JP H10273802A
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JP
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conductive
clothes
cloth
dust
organic material
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Application number
JP9091359A
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English (en)
Inventor
Toru Inoue
亨 井上
Kazumasa Fukuda
一正 福田
Jiyun Shiyouji
盾 庄子
Yuzuru Iwai
讓 岩井
Nobutaka Nishio
信孝 西尾
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TDK Corp
Original Assignee
TDK Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 電子部品等の製品をESD故障及びESD破
壊から効果的に保護することができる静電気障害防止服
及び静電気障害防止方法を提供する。 【解決手段】 静電気障害防止機能を有する作業服の少
なくとも一部に導電性生地が被着されている。これによ
り、人体の静電気が外部に電磁気的に影響を及ぼさぬよ
うシールドされ、その結果、電子部品等の製品をESD
故障及びESD破壊から効果的に保護することができ
る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、人体の静電気に起
因する静電気障害を防止するための静電気障害防止服及
び静電気障害防止方法に関する。
【0002】
【従来の技術】半導体ICに代表される電子回路や、磁
気抵抗(MR)ヘッドに代表される記録デバイスの高密
度化、高集積化に伴って、それら電子部品の静電気や電
磁波に対する耐久性が問題となってきている。静電気に
よって生じる電子部品の故障、即ち、「静電気放電(E
SD)故障」と呼ばれる現象について、以下簡単に説明
する。
【0003】「ESD故障」は、静電気放電(Elec
tro−Static Discharge)が原因と
なって電子部品に発生する故障等の障害をいう。静電気
は人体を含むすべての物質の表面で電子が静止している
状態をいうが、その発生原因は2種類の物体間の接触と
開離における電荷の移動にある。人間の何らかの動作に
よって、人体の表面にも静電気が生ずる。その際の静電
電位は、周辺の湿度によって上下するが、たとえばカー
ペットの上を歩くという簡単な動作は、相対湿度10%
の雰囲気において約35000Vという高い静電電位を
人体に生じせしめる。また、床がビニールの場合でも同
じ雰囲気で約12000Vの静電電位が生ずる。
【0004】ここで、帯電していない精密電子部品等の
製品が、帯電した導電性又は絶縁性の物体に非接触で隣
接したと仮定する。この時、電子部品には帯電物の電界
によって誘導電界が生じ、正負どちらかの極性において
分極される。帯電した作業者が不用意にこの素子に触れ
た場合、素子の帯電は作業者の体を経由して、非制御な
状態で開放される。
【0005】このように静電気が非制御において開放さ
れる状態をESDという。ESDは火災、生産障害、電
子測定機器の誤動作などの原因となることが知られてい
る。特に電子部品生産現場で深刻な問題となるのは、E
SDによるデバイスの破壊である。即ちデバイスを媒体
として静電気が開放される際に、静電気電荷と接地間に
生ずる電位差によってデバイス回路やMRヘッドに生ず
る負荷によって素子が破壊されることが問題となる。
【0006】現在広く用いられる各種電子デバイスが、
ESDに対してどの程度の耐久性を有しているか、多く
の研究を通じて明らかにされている。たとえば単純なト
ランジスタでは300〜2500Vの静電電位で、保護
回路を設けたCMOSの場合50〜1000V、MOS
−FETで10〜100V、MRヘッドにおいてはわず
か5〜10Vの電位で破壊されることが知られている。
【0007】磁気媒体からの磁気情報再生に用いられる
MRヘッドにおいては、ESDによって、静電気と接地
との間の静電電位分の電位差が発生する。この時、MR
ヘッドを通して接地側に流れる電流は、MR抵抗により
素子を加熱し、この熱によってMR素子を溶融破壊す
る。このことから推測出来るように、ESD破壊は素子
の小型化による抵抗の増大が大きな原因である。しか
も、今後電子デバイスの分野は素子の小型化がより促進
されると予測されており、素子のESD破壊の問題は真
剣に検討される必要がある。
【0008】ESD対策としては、作業現場全体に対し
て湿度管理を行ない作業者の帯電を出来るだけ抑える、
又は作業机や床に導電性のマットを設けて静電気の除去
を促す等の方法が一般にとられている。後者は作業者の
身体部分に蓄積される高電位の静電気を効率よく除去す
る試みの一つである。例えば、栗林及び勝山(特開昭5
5−133799号公報)は、導電性を有する履き物を
用いた静電気除去方法を提案している。
【0009】同様な試みとして、作業者の衣類に導電性
の繊維を使用するか混合する方法、導電性粉体を生地若
しくは生地繊維に混合させる方法、又は生地に対して導
電性のコーティングを施すなどの方法がとられている。
例えば電子部品の製造工程では、ダスト対策として作業
の多くがクリーンルーム内で行われており、上述のごと
くESD対策の施された無塵服を、湿度管理を行った
り、導電性マットを用いる等して設備的なESD対策を
施したクリーンルームで使用することによりESD対策
がなされている。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上述し
たような従来のESD対策によると、無塵服と人体との
間に蓄積される静電気を効率よく除去することができな
い場合がある。実際に、現在使用されている静電対策無
塵服によると、作業開始直後にESD破壊が多く発生す
ることが報告されている。これは無塵服と人体との間に
蓄積される静電気が原因と考えられる。即ち、無塵服と
内部の衣類との間に蓄積された電荷は、導電マット等の
環境的影響によって、特に静電気の原因となる動作にさ
らされない限りは徐々に作業者の体から漏洩してゆく。
作業開始前、即ち、静電対策環境に作業者が入る以前に
電荷が蓄積されて、それが徐々に漏洩してゆく。従来よ
り、作業者の身体の静電圧がある程度の数値に下がるま
で作業は開始しないという対策が講じられているが、実
際には電荷漏洩が非常に遅いために、有効対策とはなら
ない。
【0011】電荷漏洩を促進する方法として、アースバ
ンド又はリストバンドと称される製品を用いることがあ
る。これは、問題となる作業の多くが部品のハンドリン
グに関するものであることから、作業者の手首を接地電
位に接続して静電気を逃そうというものである。しかし
ながら、リストバンドを装着した作業者の静電圧を測定
してみると、未装着時の約1/2程度の減少量でしかな
く、これも十分な対策となっていない。
【0012】従って本発明は、従来技術の上述した問題
点を解消するものであり、本発明の目的は、電子部品等
の製品をESD故障及びESD破壊から効果的に保護す
ることができる静電気障害防止服及び静電気障害防止方
法を提供することにある。
【0013】
【課題を解決するための手段】本発明によれば、静電気
障害防止機能を有する作業服であって、この作業服の少
なくとも一部に導電性生地が被着されている静電気障害
防止服が提供される。
【0014】作業服の少なくとも一部に導電性生地を被
着することによって、人体の静電気が外部に電磁気的に
影響を及ぼさぬよう封じ込めている、即ちシールドして
いる。その結果、電子部品等の製品をESD故障及びE
SD破壊から効果的に保護することができる。
【0015】導電性生地が被着されている作業服の少な
くとも一部が、この作業服の袖部の少なくとも一部であ
ることが好ましく、その場合、袖部の少なくとも一部
が、手首から肘までの袖部であることがより好ましい。
【0016】袖部の少なくとも一部に被着されている導
電性生地が、筒状に加工されていることがさらに好まし
い。
【0017】導電性生地が被着されている作業服の少な
くとも一部が、この作業服の身頃の少なくとも一部を含
むことも好ましい。
【0018】被着されている導電性生地が、作業服の表
又は裏に被着されているかもしれない。
【0019】導電性生地が、導電性有機材料による繊維
体であることが好ましい。その場合、導電性有機材料に
よる繊維体が、例えばポリエステル等の有機材料による
繊維母材の表面に金属を蒸着した複合繊維を用いた繊維
体であるかもしれない。
【0020】導電性生地が、例えばポリエステル等の有
機材料による繊維体表面に導電性低抵抗金属の層を被着
した生地であるか、又は例えばポリエステル等の有機材
料による繊維と導電性低抵抗金属からなる細線とを織り
込んだ繊維体であることも好ましい。
【0021】導電性生地が、無塵紙又は高分子シートの
表面に、導電性低抵抗金属の層を被着した生地であるこ
とも好ましい。
【0022】本発明の実施態様においては、導電性低抵
抗金属が、Ni又はAlである。
【0023】作業服が導電性を有する作業服であり、上
述の導電性生地が、この導電性を有する作業服と導通さ
れていることも好ましい。この場合、導電性生地が、導
電性を有する作業服表面に設けられている金属製のボタ
ン又は金属製のホック等の導電性の接続部品に電気的に
接続され固定されているかもしれない。
【0024】導電性を有する作業服が、接地されている
ことも好ましい。
【0025】本発明によれば、さらに、以上述べた静電
気障害防止服を着用し、人体を電磁気的にシールドする
静電気障害防止方法が提供される。
【0026】
【発明の実施の形態】以下図面を用いて本発明の実施形
態を詳細に説明する。
【0027】図1は本発明の一実施形態として、クリー
ンルーム用の静電気障害防止服を作業者が着用した状態
を概略的に表わす図である。同図において、10及び1
1はポリマー繊維に対してポリマーに炭素粒子を練り込
んだ導電糸を5mm間隔で織り込んで多少の導電性が付
与された繊維体(例えば株式会社ガードナー製の生地G
K311AG)により縫製されたそれぞれ無塵服及び無
塵帽、12は導電性を有する無塵靴を示している。
【0028】この無塵帽11は、電気的導通性を有する
金属製ホック又は金属製ボタン13によって、無塵服1
0に機械的に固定されておりかつ電気的に導通せしめら
れている。無塵靴12も、電気的導通性を有する金属製
ホック又は金属製ボタン14によって、無塵服10に機
械的に固定されておりかつ電気的に導通せしめられてい
る。
【0029】本実施形態では、導電性無塵服10の袖の
部分には、導電性のより良好な導電性生地による筒状の
静電シールド袖カバー15が、この無塵服10の袖部の
一部、即ちこの例では手首から肘までの袖部を覆うよう
に装着されている。
【0030】導電性の無塵服10に加えて、作業者の
腕、即ち露出した手首から無塵服の袖に覆われた腕の部
分を、電気抵抗の低い導電性生地による静電シールド袖
カバー15によって覆うことが非常に有効であること
が、本発明者によって見出されている。
【0031】本発明者が電磁波障害への多様な対策を長
年に渡って研究した結果、電磁波対策は、電磁波を速
やかに接地電位に逃がす、電磁波が部品に影響を及ぼ
さぬよう封じ込める(即ちシールドする)という2種類
に分類できることが分かった。これをESD対策に当て
はめると、従来技術におけるESD対策は、に相当す
る。本発明者は、この研究を通じて、の手法を適切な
材料及び適切な部位へ運用することによってと組み合
わせることが、大変有効なESD対策となることを見出
した。本明細書ではこの導電性生地をその運用上の機能
から「静電シールド生地」とも称している。
【0032】本実施形態において使用される静電シール
ド生地は、柔軟な布状の生地であり、かつ材料の表面及
び厚さ方向への電気伝導が抵抗値にして104 Ω以下に
おいて確保される材料による生地である。より詳しく言
えば、電気抵抗が10.0Ω/cm2 以下、好ましくは
4.0Ω/cm2 以下の材料による生地である。このよ
うな条件を満足する材料であれば、さまざまな種類のも
のを用いることができる。
【0033】静電シールド生地としては、導電性有機
材料によって縫織された有機繊維体が最も好ましく、そ
の他に、PET(ポリエチレンテレフタレート)等の
有機繊維体の表面に、銅(Cu)、ニッケル(Ni)若
しくはアルミニウム(Al)等の電気伝導性に優れた金
属材料を蒸着、メッキ若しくは接着等のさまざまな方法
によって固着した繊維体、金属細線等の導電性繊維を
織り込んで導電性を与えた繊維体、又は、例えばアル
ミフォイルとして知られるアルミ箔等の金属箔を貼り付
けたり、金属粉体をそのままかペースト状態として塗布
した布、ゴム若しくはフィルム等で構成可能である。静
電シールド生地として要求されるその他の性能として、
使用時及び必要なクリーニング時又はその後において
も、金属材料又は有機繊維に起因するダストの発生が少
ないことが重要である。
【0034】の導電性有機材料によって縫織された有
機繊維体として、PET等の有機繊維母材表面に金属を
蒸着した繊維を用いた複合繊維生地、例えば、PET繊
維の回りにNi金属薄膜を蒸着して得た複合繊維を縫製
したものが最適である。この複合繊維生地は、約2.5
〜4.0Ω/cm2 の電気抵抗を有する。
【0035】こののような複合材料にも多くの種類が
存在するが、既に述べた必要条件を満足するならば多様
な繊維種、金属材料を選択する事が出来る。例えば、N
iの代りにCu薄膜を用いることが可能であるし、それ
らの複合薄膜を用いることも可能である。ただし留意点
として、繊維の密度に相当する「目付」(単位はg/m
3 )に関する条件がある。目付は繊維の金属メッキ面同
士の接触面積の目安、言い換えれば生地の電気抵抗の目
安となる。目付が低下することによって電気抵抗は高く
なり、電磁波シールド能が低下する。一方、目付の増加
に伴って電気抵抗が低下し、電磁波シールド能の向上を
図ることが出来るが、生地のコストは大きく増加し、柔
軟性も低下する。適切な目付の値は70〜150g/m
3 、好ましくは90〜110g/m3 である。
【0036】上述したように本実施形態では、作業者の
部品ハンドリングに対応して、静電シールド生地を筒状
に加工し作業者の静電シールド袖カバー15としてい
る。静電シールド袖カバー15の筒状両端にはゴム等の
伸縮性のあるひも素材を取り付け、作業者の腕へ締め付
け固定する。作業者はこの静電シールド袖カバー15
を、手首から肘にかけて装着する。
【0037】このように、静電シールド生地による静電
シールド袖カバー15を導電性無塵服と併用することに
よって、導電性無塵服10により静電荷の除去を行いつ
つ、静電シールド袖カバー15により残留静電荷を閉じ
込めてESD障害の発生を抑えている。本実施形態のよ
うに静電シールド袖カバー15を袖の外側に装着する代
わりに、同様の静電シールド生地を袖の内側に被着して
もよいことは明らかである。
【0038】図2は本発明の他の実施形態として、クリ
ーンルーム用の静電気障害防止服を作業者が着用した状
態を概略的に表わす図である。同図において、20及び
21はポリマー繊維に対してポリマーに炭素粒子を練り
込んだ導電糸を5mm間隔で織り込んで多少の導電性が
付与された繊維体(例えば株式会社ガードナー製の生地
GK311AG)により縫製されたそれぞれ無塵服及び
無塵帽、22は導電性を有する無塵靴を示している。
【0039】この無塵帽21は、電気的導通性を有する
金属製ホック又は金属製ボタン23によって、無塵服2
0に機械的に固定されておりかつ電気的に導通せしめら
れている。無塵靴22も、電気的導通性を有する金属製
ホック又は金属製ボタン24によって、無塵服20に機
械的に固定されておりかつ電気的に導通せしめられてい
る。
【0040】本実施形態では、導電性の無塵服20の袖
の部分には、導電性のより良好な導電性生地による筒状
の静電シールド袖カバー25が、この無塵服20の袖の
一部、即ちこの例では手首から肘までの袖部を覆うよう
に装着されている。さらに、この静電シールド袖カバー
25は、充分な電気的導通性を有する金属製ホック又は
金属製ボタン26によって無塵服20の袖部に機械的に
固定されておりかつ電気的に導通せしめられている。さ
らにまた、本実施形態では、リストバンド27が手首に
装着されており、このリストバンド27は、接地線28
を介して接地されている。
【0041】導電性の無塵服20及び接地されたリスト
バンド27に加えて、作業者の腕、即ち露出した手首か
ら無塵服20の袖に覆われた腕の部分を、電気抵抗の低
い導電性生地による静電シールド袖カバー25によって
覆うことによって、導電性無塵服20及び接地されたリ
ストバンド27により静電荷の除去を行いつつ、静電シ
ールド袖カバー25により残留静電荷を閉じ込めてES
D障害の発生を抑えている。さらに、この静電シールド
袖カバー25を導電性無塵服20と導通させることによ
って、静電シールド袖カバー25によるシールド能力を
大幅に向上させることができる。
【0042】静電シールド生地である静電シールド袖カ
バー25と導電性無塵服20とを電気的に接続するため
には、本実施形態のように金属製ホック又は金属製ボタ
ン26を用いる他に、例えば、静電シールド袖カバー2
5と無塵服20とを電気ケーブルで接続する、又はどち
らか片方をワニ口クリップのような着脱容易な接点によ
って固定するなどが可能である。しかしながら本実施形
態のように金属製ホック又は金属製ボタン26を用いる
ことによって、作業性を低下させることなく電気伝導性
を高めて静電シールド効率を向上させる事が可能であ
る。ここで用いられる金属製ホック又は金属製ボタン2
6は、十分な電気伝導性を有することが必要であるが、
市販の衣類に用いられるステンレス製のホック又はボタ
ンであれば十分にこの条件を満足する。
【0043】本実施形態におけるその他の構成及び作用
効果は、図1の実施形態における構成及び作用効果と同
様であるため、説明を省略する。
【0044】図3は本発明のさらに他の実施形態とし
て、クリーンルーム用の静電気障害防止服を作業者が着
用した状態を概略的に表わす図である。同図において、
30及び31はポリマー繊維に対してポリマーに炭素粒
子を練り込んだ導電糸を5mm間隔で織り込んで多少の
導電性が付与された繊維体(例えば株式会社ガードナー
製の生地GK311AG)により縫製されたそれぞれ無
塵服及び無塵帽、32は導電性を有する無塵靴を示して
いる。
【0045】この無塵帽31は、電気的導通性を有する
金属製ホック又は金属製ボタン33によって、無塵服3
0に機械的に固定されておりかつ電気的に導通せしめら
れている。無塵靴32も、電気的導通性を有する金属製
ホック又は金属製ボタン34によって、無塵服30に機
械的に固定されておりかつ電気的に導通せしめられてい
る。
【0046】本実施形態では、無塵服30の袖の部分に
は、導電性のより良好な導電性生地による筒状の静電シ
ールド袖カバー35が、この無塵服30の袖の一部、即
ちこの例では手首から肘までの袖部を覆うように装着さ
れており、この静電シールド袖カバー35は、充分な電
気的導通性を有する金属製ホック又は金属製ボタン36
によって無塵服30の袖部に機械的に固定されておりか
つ電気的に導通せしめられている。また、リストバンド
37が手首に装着されており、このリストバンド37
は、接地線38を介して接地されている。さらに、本実
施形態では、無塵服30の前身頃の胸の部分の内側に、
導電性のより良好な導電性生地による、即ち静電シール
ド袖カバー35と同じ生地による、静電シールド身頃地
39が被着されている。
【0047】作業者に対する静電シールド効率をさらに
徹底しようとする場合、静電シールド生地を本実施形態
のように無塵服の前身頃の一部の内側に静電シールド身
頃地39として設けるか、又は外側に静電シールド身頃
地として設けることが有効である。この対策によって、
作業者の上半身の電荷はシールドされ、結果的に作業者
の袖部はより効率よくシールドされる。
【0048】ただし、このような静電シールド身頃地
は、あくまで作業者の運動効率等の環境を阻害しないよ
うに構成する必要がある。例えば、精密電子部品の取り
扱い現場では、着座作業が集中する場合が多く、このよ
うな場合、作業服の身頃の内側又は外側に静電シールド
袖カバー35と同じ生地を縫い付けることは、運動性と
いう面においてさほど障害とはならない。しかしなが
ら、無塵服の通気性が阻害されること、即ち作業者が無
塵服内部の湿度の増大にさらされることが予想される。
作業性を確保し、かつ高い効果を得るには、静電シール
ド生地に通気性に富んだ生地を使用すること等が有効で
ある。具体的には、身頃地として設ける導電性生地をC
uやAl等の低電気抵抗の金属メッシュを使用すること
が考えられる。これにより、無塵服内部の湿度を気にす
ることなく、内部の静電気対策を行なうことが可能とな
る。ただしその場合も、無塵服内部に金属メッシュが設
けられることによる動作自由度の低下は避けられない。
このように、予想される作業者の動作、姿勢等によって
適用可能な導電性対策を講じるのが好ましい。
【0049】導電性の無塵服30及び接地されたリスト
バンド37に加えて、作業者の腕、即ち露出した手首か
ら導電性無塵服30の袖に覆われた腕の部分を、この導
電性無塵服30と導通せしめられた電気抵抗の低い導電
性生地による静電シールド袖カバー35によって覆い、
さらに、無塵服30の胸部分を静電シールド身頃地39
で覆うことによって、導電性無塵服30及び接地された
リストバンド37により静電荷の除去を行いつつ、静電
シールド袖カバー35及び静電シールド身頃地39によ
り残留静電荷を閉じ込めてESD障害の発生を効果的に
抑えている。
【0050】本実施形態におけるその他の構成及び作用
効果は、図2の実施形態における構成及び作用効果と同
様であるため、説明を省略する。
【0051】
【実施例】以下、本発明の具体的な実施例を従来技術と
比較して説明する。
【0052】実施例1 この実施例において、被験者が装着した静電障害防止具
を具体的に説明する。この時、被験者は無塵服、無塵帽
及び導電靴の三点からなる無塵作業服即ち無塵服を着用
した。この無塵服及び無塵帽は、ポリマー繊維に対して
ポリマーに炭素粒子を練り込んだ導電糸を5mm間隔で
織り込んで多少の導電性が付与された繊維体(例えば株
式会社ガードナー製の生地GK311AG)により縫製
されている。被験者はこれらに加えて、前述した実施形
態におけるものと同様の静電シールド袖カバーを装着し
た。また、測定条件に応じて、接地されているリストバ
ンドを左手首に装着し静電荷の漏洩を試みた。
【0053】この状態で、被験者は以下の条件による静
電荷の帯電と及び帯電圧の測定を試みた。 ポリウレタンフォームを用いて服の表面を5回摩擦
し、胸、腹及び腕にかけて摩擦から5秒後の帯電圧を測
定した。帯電圧の測定には、Ion Systems社
製のElectronic Charger MODE
L 775pvsを使用した。 この実験は、導電性の床上で行い、接地されているリ
ストバンドが有り無しの各条件について測定した。 無塵服内の着衣条件は、(衣服条件1)綿製の肌着及
び作業服ズボンを用いた場合、(衣服条件2)アクリル
製長袖シャツを着用した場合の2つの条件について測定
した。 測定時の室温は24℃、湿度は38%とした。
【0054】実施例2 この実施例においては、実施例1で用いた静電障害防止
具に加えて、さらに、静電シールド袖カバーと同じ静電
シールド生地による静電シールド身頃地を無塵服内側の
胸の部分に縫い付けた。その他の帯電及び帯電圧測定条
件は実施例1の場合と同様である。
【0055】従来技術による比較例1 この従来技術による比較例においては、静電シールド生
地等を用いた静電シールド対策を全く施さない場合の、
作業者の静電気の状態を評価した。ただしこの比較例で
は、微弱な導電性の無塵服を用いている。帯電及び測定
の条件は、実施例1の場合と同様である。
【0056】従来技術による比較例2 この比較例においては、比較例1に加えて、微弱な導電
性の無塵服各部を金属ホックで接続して導通させてい
る。即ち、この比較例は、実施例1から静電シールド袖
カバーを除去したものであり、それ以外の実験条件は全
て実施例1の場合に準ずる。
【0057】以上の実施例1、実施例2、比較例1及び
比較例2の実験結果が次の表1に示されている。
【0058】
【表1】
【0059】この表から明らかのように、比較例1にお
いては、あらゆる測定条件において各部位に大きな帯電
圧が観測された。具体的数値としては最大490Vの帯
電圧が観測されており、この電圧値ではMRヘッドはも
とより各種精密電子部品のほとんどがなんらかの障害を
被ることとなる。また、比較例2においても、比較例1
に対しては多少優位であるものの、腕の部分にかなりの
帯電圧が見られ、この電圧値では、各種精密電子部品の
ほとんどが、なんらかの障害を被ることとなる。
【0060】これに対して、実施例1では、体部分の帯
電圧はそれほど減少していないが、腕の部分の帯電圧は
0Vとなっており、比較例2と比べると明確であるが静
電シールド袖カバーによる帯電圧低下効果が非常に大き
いことが分かる。従って、この実施例1のように静電シ
ールド袖カバーを設けることにより、作業者はESD耐
電圧の低いMRヘッドを始め各種電子部品をハンドリン
グしても問題が無い。これはこの実施例1の対策が、作
業者がMRヘッドの取り扱い等の作業に従事するため
に、非常に有効な静電障害防止対策であることを示唆し
ている。また、実施例2では、体から腕にかけて帯電圧
が一様に低下している。これは、この対策が実施例1で
得られた効果をさらに高めることを示している。
【0061】以上述べた実施形態は導電性を有する無塵
服に静電シールド生地を被着した例であるが、本発明
は、導電性を有しない無塵服に適用してもよいし、ま
た、無塵服以外の作業服に適用してもよい。
【0062】以上述べた実施形態は全て本発明を例示的
に示すものであって限定的に示すものではなく、本発明
は他の種々の変形態様及び変更態様で実施することがで
きる。従って本発明の範囲は特許請求の範囲及びその均
等範囲によってのみ規定されるものである。
【0063】
【発明の効果】以上詳細に説明したように本発明によれ
ば、静電気障害防止機能を有する作業服の少なくとも一
部に導電性生地が被着されているので、人体の静電気が
外部に電磁気的に影響を及ぼさぬようシールドされてい
る。その結果、電子部品等の製品をESD故障及びES
D破壊から効果的に保護することができる。即ち、精密
電子部品の生産管理環境をより生産性に富んだ状態とす
ることが可能となり、各種電子部品の生産現場における
歩留まり向上において高い将来性を有する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態として、クリーンルーム用
の静電気障害防止服を作業者が着用した状態を概略的に
表わす図である。
【図2】本発明の他の実施形態として、クリーンルーム
用の静電気障害防止服を作業者が着用した状態を概略的
に表わす図である。
【図3】本発明のさらに他の実施形態として、クリーン
ルーム用の静電気障害防止服を作業者が着用した状態を
概略的に表わす図である。
【符号の説明】
10、20、30 無塵服 11、21、31 無塵帽 12、22、32 無塵靴 13、14、23、24、26、33、34、36 金
属製ホック又は金属製ボタン 15、25、35 静電シールド袖カバー 27、37 リストバンド 28、38 接地線 39 静電シールド身頃地
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 FI A41D 31/00 503 A41D 31/00 503P D03D 15/00 101 D03D 15/00 101 H05F 1/00 H05F 1/00 (72)発明者 岩井 讓 東京都中央区日本橋一丁目13番1号ティー ディーケイ株式会社内 (72)発明者 西尾 信孝 東京都中央区日本橋一丁目13番1号ティー ディーケイ株式会社内

Claims (18)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 静電気障害防止機能を有する作業服であ
    って、該作業服の少なくとも一部に導電性生地が被着さ
    れていることを特徴とする静電気障害防止服。
  2. 【請求項2】 前記作業服の少なくとも一部が、該作業
    服の袖部の少なくとも一部であることを特徴とする請求
    項1記載の静電気障害防止服。
  3. 【請求項3】 前記袖部の少なくとも一部が、手首から
    肘までの袖部であることを特徴とする請求項2に記載の
    静電気障害防止服。
  4. 【請求項4】 前記袖部の少なくとも一部に被着されて
    いる導電性生地が、筒状に加工されていることを特徴と
    する請求項2又は3に記載の静電気障害防止服。
  5. 【請求項5】 前記作業服の少なくとも一部が、該作業
    服の身頃の少なくとも一部を含むことを特徴とする請求
    項2から4のいずれか1項に記載の静電気障害防止服。
  6. 【請求項6】 被着されている前記導電性生地が、前記
    作業服の表又は裏に被着されていることを特徴とする請
    求項1から5のいずれか1項に記載の静電気障害防止
    服。
  7. 【請求項7】 前記導電性生地が、導電性有機材料によ
    る繊維体であることを特徴とする請求項1から6のいず
    れか1項に記載の静電気障害防止服。
  8. 【請求項8】 前記導電性有機材料による繊維体が、有
    機材料による繊維母材の表面に金属を蒸着した複合繊維
    を用いた繊維体であることを特徴とする請求項7に記載
    の静電気障害防止服。
  9. 【請求項9】 前記導電性生地が、有機材料による繊維
    体表面に導電性低抵抗金属の層を被着した生地であるこ
    とを特徴とする請求項1から6のいずれか1項に記載の
    静電気障害防止服。
  10. 【請求項10】 前記導電性生地が、有機材料による繊
    維と導電性低抵抗金属からなる細線とを織り込んだ繊維
    体であることを特徴とする請求項1から6のいずれか1
    項に記載の静電気障害防止服。
  11. 【請求項11】 前記有機材料が、ポリエステルである
    ことを特徴とする請求項8から10のいずれか1項に記
    載の静電気障害防止服。
  12. 【請求項12】 前記導電性生地が、無塵紙又は高分子
    シートの表面に、導電性低抵抗金属の層を被着した生地
    であることを特徴とする請求項1から6のいずれか1項
    に記載の静電気障害防止服。
  13. 【請求項13】 前記導電性低抵抗金属が、Ni又はA
    lであることを特徴とする請求項9、10又は12に記
    載の静電気障害防止服。
  14. 【請求項14】 前記作業服が導電性を有する作業服で
    あり、前記導電性生地が、該導電性を有する作業服と導
    通されていることを特徴とする請求項1から13のいず
    れか1項に記載の静電気障害防止服。
  15. 【請求項15】 前記導電性生地が、前記導電性を有す
    る作業服表面に設けられている導電性の接続部品に電気
    的に接続され固定されていることを特徴とする請求項1
    4に記載の静電気障害防止服。
  16. 【請求項16】 前記導電性の接続部品が、金属製のボ
    タン又は金属製のホックであることを特徴とする請求項
    15に記載の静電気障害防止服。
  17. 【請求項17】 前記導電性を有する作業服が、接地さ
    れていることを特徴とする請求項14から16のいずれ
    か1項に記載の静電気障害防止服。
  18. 【請求項18】 請求項1から17のいずれか1項に記
    載の静電気障害防止服を着用し、人体を電磁気的にシー
    ルドすることを特徴とする静電気障害防止方法。
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Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
KR101297449B1 (ko) * 2009-04-02 2013-08-16 이에스디 테크놀로지 컨설팅 & 라이센싱 주식회사 정전기 방전 의류

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KR101297449B1 (ko) * 2009-04-02 2013-08-16 이에스디 테크놀로지 컨설팅 & 라이센싱 주식회사 정전기 방전 의류

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