JPH0123565B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 （発明の対象、産業上の利用分野） 本発明は、手袋の分野に使用される。

更に具体的には合成樹脂またはゴム製手袋の分
野に使用される。

本発明は、合成樹脂またはゴム製手袋の手袋体
の表面に導電性繊維が表面に現われた微粒子を付
着させて静電気災害防止対策を図つた手袋及びそ
の製造方法に関する。

（従来技術とその問題点） 従来の合成樹脂またはゴム製手袋は、電気絶縁
抵抗が高いが、反面摩擦や接触により帯電しやす
い。

又、石油化学工場や有機薬品工場などではパイ
プラインの中を石油等の原料が送られる際にパイ
プラインと石油との間で静電気が発生している。
このため石油化学工場や有機薬品工場などでは合
成樹脂またはゴム手袋と工場設備との間で、帯電
している静電気が火花放電を起こして粉塵爆発や
溶剤引火などの大災害をおこしている。

この対策として従来は、手袋表面に帯電防止剤
等を塗布して帯電防止を行つていたが、洗浄や摩
擦等で帯電防止剤が剥離して帯電防止機能を失い
やすかつた。

（本発明が解決しようとする問題点） 本発明が解決しようとする問題点は、導電性繊
維を合成樹脂またはゴム製手袋の表面に強固に植
設付着させて静電気災害防止対策を図ろうとする
ものである。

（問題点を解決するための手段） 上記問題点を解決するために講じた本発明の技
術的手段は次のとうりである。

静電気対策手袋については (イ) 繊維製手袋基材の表面に、又は繊維製手袋基
材を用いることなく、導電体の粉状物または／
および粒状物を分散した合成樹脂またはゴムの
樹脂層を形成すること。

(ロ) この樹脂層に、導電性繊維の短繊維と導電体
の粉状物または／および粒状物を混合して粉砕
し導電性短繊維が表面に現われた微粒子を付着
すること、 である。

また、静電気対策手袋の製造方法については (イ) 手袋型に繊維製手袋基材を装着し、又は繊維
製手袋基材を装着することなく直接に、導電体
の粉状物または／および粒状物を分散させた合
成樹脂溶液またはゴムラテツクス溶液に浸漬し
て手袋基材の表面に又は手袋型の表面に樹脂層
を形成すること、 (ロ) この樹脂層が未だ粘着性を有するゲル状のと
きに、導電性短繊維と導電体の粉状物または／
および粒状物を合成樹脂溶液またはゴムラテツ
クスに均一に分散させて熔融固化または固化さ
せた後これを粉砕して導電性短繊維が表面に現
われた微粒子を付着させること、 (ハ) その後熔融定着または加熱定着させることで
ある。

本発明を、図面を参照しながら説明する。

本発明では、繊維製手袋基材１を使用するもの
と繊維製手袋基材１を使用せず、樹脂単体のもの
の両方を含むが、以下、繊維製手袋基材１を使用
するものについて説明する。

なお、樹脂単体のものは繊維製手袋基材１を有
さないだけで、その他は繊維製手袋基材１を使用
するものと同じである。

本発明における繊維製手袋基材１には、スフ、
化学繊維、綿等の吸湿の良好な織布または編布が
上げられる。

なお、織布または編布に後述する導電性繊維３
を織り込んだもの（例えば、綿糸12本に１本の割
合で導電性繊維３を織り込んだメリヤス編布）は
帯電防止の効果を上げる点からは好ましいもので
ある。

手袋基材１の表面に、合成樹脂溶液またはゴム
ラテツクスに良導電性のカーボンブラツクや銅、
アルミニウム等の金属の粉状物２を５〜30部混入
して均一に分散した溶液を付着させ樹脂層３を形
成する。

この樹脂層３に、導電性繊維４の短繊維と導電
体の粉状物または／および粒状物２を混合して粉
砕し導電性繊維４が表面に現われた微粒子５を付
着する。

導電性繊維４には、アクリル系繊維に染色手法
用いて金属銅を吸着させ半導体加工したもの（サ
ンダーロンSS−Ｎ 日本蚕毛染色株式会社 商
標名）（特願昭53−124398、特開昭55−51873）が
あげられるが、アクリル系繊維に限定されるもの
ではなく、他の合成樹脂、天然繊維でも導電加工
によりコロナ放電性を有すれば支障ないのは言う
までもない。

サンダーロンSS−Ｎは、比抵抗は5.85×10^-2
Ω・cmで各種の試験の結果コロナ放電で電荷を消
失させることが認められている。

導電性繊維４は、繊維長が0.3mm〜5.0mmの短繊
維に切断する。

なお、導電性繊維４に、繊維長が0.3mm〜1.0mm
の短繊維に切断したスフ等の他の繊維を配合して
もよい。

この導電性繊維４を、ポリウレタンや塩化ビニ
ル等の合成樹脂溶液またはゴムラテツクス１００
部に対して５〜30部の割合で混合し、均一に分散
させ、さらに、上記混合物に５〜30部のカーボン
ブラツクや銅アルミニウム等の良導電性の金属粉
を混入して均一に分散させた後、熔融固化または
固化させて導電性繊維４と粉状物２とを含有した
塊状物を得る。

なお、導電体は粉状物に限られず、望むならば
粒状物でも支障はない。

そしてこの塊状物を粒径が0.3〜5.0mm程度に粉
砕して微粒子５を得る。

この粉砕によつて塊状物の表面に現われなつか
つた導電性繊維４は、微粒子５の表面に現われて
コロナ放電を可能にすると共に微粒子５と樹脂層
３との結合材となつて微粒子５を樹脂層３に強固
に付着させる。

そして樹脂層３が、未だ粘着性を有するゲル状
のときに上記微粒子５を静電植毛機あるいは粉末
スプレーガンにて樹脂層３に付着させ、その後加
熱して手袋基材１に樹脂層３および微粒子５を熔
融定着または加熱定着させる。

なお、微粒子５は、通常樹脂層３の全面に渡つ
て付着させるが、コロナ放電が可能であれば樹脂
層３の一部でもよい。

（発明の効果） このように本発明に係る手袋は、導電体の粉状
物または／および粒状物を分散した合成樹脂また
はゴムの樹脂層を形成し、 この樹脂層に、導電性繊維の短繊維と導電体の
粉状物または／および粒状物を混合して粉砕し導
電性短繊維が表面に現われた微粒子を付着したの
でコロナ放電は手袋表面の一部からだけではなく
微粒子表面の導電性繊維の短繊維全部から行なわ
れることとなり、放電効率がよい静電気災害防止
対策手袋が提供できる。

そして、これを着けて作業をすれば静電気の放
電による火花や電激を生じさせない。

従つて、石油化学工場や有機薬品工場など静電
気の放電による引火爆発を生じやすい場所での作
業に好適である。

（実施例） 本発明を、実施例に基き更に詳細に説明する。

陶器製手袋型に綿メリヤス製手袋を装着し、樹
脂液100部に対してカーボンブラツクであるケツ
チエンブラツク20部を分散している樹脂液に浸漬
した後引上げて風乾させる。

一方、樹脂液100部に対して0.3〜1.0mmに切断
したサンダーロン30部とケツチエンブラツク20部
を分散している樹脂液を熔融固化させた後、これ
を2.0mm程度に粉砕して導電性短繊維が表面に現
われた微粒子を得る。

そして樹脂層の表面がゲル状で未だ粘着性を有
するとき粉末スプレーガンにて樹脂層に上記微粒
子を付着させ、その後170℃で20分間熱処理して、
この手袋を手型から抜取り、静電気対策手袋を得
る。

この手袋を静電高圧発生装置（ヴアンデグラフ
VG−150 島津理化器機製）及び静電気測定機
（スタチロン−Ｍ）にて静電気対策確認テストを
した結果、 (イ) 十分な導電性があり、接地効果もある、 (ロ) 除電性があり、電撃や火花放電が発生しな
い、 (ハ) 自己放電性があるため、手袋自体には静電気
が蓄積しにくい、ことが確認された。

樹脂層および微粒子を形成する樹脂液 HX−Ｍ（塩化ビニル樹脂：住友化学工業）
100部 DOP（積水化学） 60部 DBP（協和醗酵） 60部 可塑剤（高分子系：日本ライヒホールド） 10部 安定剤（KR−59A：共同薬品） ３部 顔料（大日精化） ２部 稀釈剤（ソルベツソ＃100：エツソ） 70部 ケツチエンブラツクEC（ライオン油脂） 20部

【図面の簡単な説明】

第１図は、平面図、第２図は第１図のＹ−Ｙ断
面図である。 １：手袋基体、２：粉状物、粒状物、３：樹脂
層、４：導電性繊維、６：微粒子。

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 １ 繊維製手袋基材の表面に、又は繊維製手袋基
   材を用いることなく、導電体の粉状物または／お
   よび粒状物を分散した合成樹脂またはゴムの樹脂
   層を形成し、この樹脂層に、導電性繊維の短繊維
   と導電体の粉状物または／および粒状物を混合し
   て粉砕し導電性短繊維が表面に現われた微粒子を
   付着した静電気対策手袋。 ２ 手袋型に繊維製手袋基材を装着し、又は繊維
   製手袋基材を装着することなく直接に、導電体の
   粉状物または／および粒状物を分散させた合成樹
   脂溶液またはゴムラテツクス溶液に浸漬して手袋
   基材の表面又は手袋型の表面に樹脂層を形成し、 この樹脂層が未だ粘着性を有するゲル状のとき
   に、導電性短繊維と導電体の粉状物または／およ
   び粒状物を合成樹脂溶液またはゴムラテツクスに
   均一に分散させて熔融固化または固化させた後こ
   れを粉砕して導電性短繊維が表面に現われた微粒
   子を付着させ、 その後熔融定着または加熱定着させる静電気対
   策手袋の製造方法。