JPH10273619A - 塗料用樹脂組成物 - Google Patents

塗料用樹脂組成物

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JPH10273619A
JPH10273619A JP7804597A JP7804597A JPH10273619A JP H10273619 A JPH10273619 A JP H10273619A JP 7804597 A JP7804597 A JP 7804597A JP 7804597 A JP7804597 A JP 7804597A JP H10273619 A JPH10273619 A JP H10273619A
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JP
Japan
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weight
resin composition
viscosity
paint
present
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Application number
JP7804597A
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English (en)
Inventor
Hiroshi Nakamura
浩 中村
Kazuyuki Tate
和幸 舘
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Toyota Central R&D Labs Inc
Original Assignee
Toyota Central R&D Labs Inc
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 低不揮発分濃度域で擬塑性流動を示すと共に
不揮発分の濃度の変動に関わらず粘度をほぼ一定のレベ
ルに保ち得る特性を、水系塗料に付与し得る塗料用樹脂
組成物を提供すること。 【解決手段】 上記課題を解決するための本発明の塗料
用樹脂組成物は、以下の要素:(a).5重量%〜40
重量%の範囲内の量のステロイド環含有エチレン性モノ
マー;(b).3重量%〜15重量%の範囲内の量の酸
性基含有エチレン性モノマー;(c).5重量%〜40
重量%の範囲内の量の水酸基含有エチレン性モノマー;
および(d).残部は前記(a)、(b)および(c)
に記載のモノマーと異なる他の1種または2種以上の共
重合可能なモノマー;が共重合し、数平均分子量が20
00〜30000であることを特徴とする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、樹脂組成物に関
し、詳しくは、水系塗料の基体樹脂として用いられる塗
料用樹脂組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】塗料の粘性を制御することは、高い仕上
がり品質の塗膜を得るために特に重要である。特に水系
塗料(いわゆる、水溶性樹脂塗料、ディスパージョン塗
料、エマルション塗料を包含する。以下同じ。)をスプ
レー塗装する場合、スプレー時には当該塗料の微粒化を
良好に保つために低い粘度(非ニュートン流体における
見かけの粘度。以下同じ。)が要求される一方、塗着後
においては当該塗料のたれ等を防ぐために十分なレベル
の高い粘度が要求される。すなわち、スプレー塗装に用
いられる水系塗料では、低不揮発分濃度において擬塑性
流動(せん断速度およびせん断応力の増大とともに粘度
が低下する流動)を示すことが求められる。さらに、塗
着後の塗料のフロー性(レベリング)を高レベルに維持
するため、このような水系塗料においては塗着後の不揮
発分濃度の上昇に伴う粘度上昇が小さいこと、すなわち
塗料粘度の不揮発分濃度依存性が小さいことが必要であ
る。
【0003】このため、従来、水系塗料の粘性を制御す
る種々の方法が試みられている。例えば、特開昭56ー
157358号公報には塗料の基体樹脂(主成分)とし
てコア・シェルエマルションを用いて塗料の粘度を制御
する方法が記載されており、また、特開昭63−111
976号公報には水溶性アクリル樹脂と樹脂粒子とから
成る樹脂組成物を使用することで塗料の粘性を制御する
方法が提案されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上述の
粘性制御方法等に基づいて作製された樹脂組成物では、
塗着後の塗料のレベリングを良好に保つことが困難であ
った。すなわち、従来の樹脂組成物を基体樹脂として用
いた水系塗料は、低不揮発分濃度域では擬塑性流動を示
し得るものの、当該樹脂組成物の不揮発分濃度の上昇に
伴って当該塗料の粘度が単調に増加する傾向が強い。こ
のため、塗着後の当該塗料のレベリングが不十分になり
がちであり、良好な仕上がり品質の塗膜が得られ難かっ
た。さらに、自動車ボディーのような大型の被塗物を塗
装する場合、塗装時に濃度分布が生じ易く、塗着後の当
該塗料のレベリングが不均一になりがちであり、良好な
仕上がり品質の塗膜が得られ難かった。
【0005】本発明は、上記従来の問題点を解決するも
のであり、その目的とするところは、塗料用の樹脂組成
物であって、水系塗料に用いられた場合に、当該塗料に
以下の特性: i).低不揮発分濃度域で擬塑性流動を示す;および ii).不揮発分濃度の上昇に関わらず当該塗料の粘度
(粘性)をほぼ一定のレベルに保ち得る濃度範囲を有す
る;を付与し得る塗料用樹脂組成物を提供することであ
る。従って、本発明の他の目的は、そのような塗料用樹
脂組成物を含有する水系塗料を提供することである。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明者は塗料の基体樹
脂に用い得る樹脂組成物を鋭意検討した結果、水中で相
互に会合し易くなる基(疎水基(原子団))を含有する
疎水性モノマーを適当量の親水性モノマーと共重合して
成る樹脂組成物であって、当該樹脂組成物を分散させて
得た水分散液に当該樹脂組成物が低濃度である状態にお
いても擬塑性流動を発現させると共に当該樹脂組成物の
濃度上昇に関わらず粘度(粘性)をほぼ一定のレベルに
保持させることができる樹脂組成物を創出し、本発明を
完成するに至った。
【0007】すなわち、本発明は、以下の要素: (a)5重量%〜40重量%の範囲内の量のステロイド
環含有エチレン性モノマー; (b)3重量%〜15重量%の範囲内の量の酸性基含有
エチレン性モノマー; (c)5重量%〜40重量%の範囲内の量の水酸基含有
エチレン性モノマー;および (d)残部は前記(a)、(b)および(c)に記載の
モノマーと異なる他の1種または2種以上の共重合可能
なモノマー;が共重合して成る、数平均分子量が200
0〜30000である塗料用樹脂組成物(以下「本発明
の樹脂組成物」という。)を提供する。なお、ここで
「ステロイド環」とは、いわゆるペルヒドロシクロペン
タフェナントレン骨格またはこれに密接に関連した構造
の部分を指す用語であり、典型的には、3個の六員環と
1個の五員環とから成る縮合多環式炭化水素基(ステロ
イド核)として知られる環構造部をいう。
【0008】本発明の樹脂組成物は、疎水性モノマーで
あって水分量の上昇に伴って会合を生じ易くなる疎水基
としてステロイド環を含有することを特徴とするエチレ
ン性モノマーが、親水性モノマーである上記酸性基含有
エチレン性モノマーおよび水酸基含有エチレン性モノマ
ー、ならびに他の共重合可能なモノマーと共重合するこ
とによって得られる樹脂組成物である。このため、本発
明の樹脂組成物を含む水分散液において、本発明の樹脂
組成物が比較的低濃度で存在する場合には、溶媒である
水分含量が多いことに基づく疎水性相互作用によって上
記ステロイド環相互でいわゆる会合が生じ、結果、当該
水分散液は擬塑性流動を示し得る。その一方、蒸発等に
よって当該水分散液の水分含量が減少した場合(すなわ
ち不揮発分(本発明の樹脂組成物を含む)の濃度が上昇
した場合)においては、上記疎水性相互作用が弱まり、
当該ステロイド環相互における会合は減少する。このこ
とによって、当該水分散液の濃度上昇に伴う粘度上昇を
抑制することができる。
【0009】すなわち、本発明の樹脂組成物によれば、
例えば基体樹脂として水系塗料に適用された場合におい
て、当該塗料に以下の特性: (1).希釈等によって塗料中の不揮発分濃度がある程度低
くなった状態においては擬塑性流動を示す;および (2).塗装時(乾燥工程を含む)の塗膜内で起こり得る不
揮発分濃度の変動(典型的には上昇)に関わらず粘度
(粘性)をほぼ一定のレベルに保つ;を付与することが
できる。
【0010】従って、本発明によれば、低不揮発分濃度
域で擬塑性流動を示す水系塗料であって、本発明の樹脂
組成物を基体樹脂として含み、塗装時の塗膜内における
不揮発分濃度の変動(典型的には上昇)に抗して塗膜中
の粘度を一定のレベルに保持し得ることを特徴とする水
系塗料を提供することができる。
【0011】
【発明の実施の形態】本発明は、典型的には以下のよう
に実施され得る。
【0012】本発明の樹脂組成物に用いられる上記
(a)で記したステロイド環含有エチレン性モノマー
は、上述のとおり、本発明の樹脂組成物を含む水系塗料
等に、低濃度領域においては擬塑性流動を示すと共に上
記不揮発分濃度の上昇に関わらず当該塗料の粘度をほぼ
一定に保ち得る特性を付与するための疎水性モノマー成
分である。上記ステロイド環を疎水性部分として含むよ
うなステロールとカルボン酸とのエステル等が上記ステ
ロイド環含有エチレン性モノマーとして本発明の樹脂組
成物に適用され得る。アクリル酸ベースのものが好まし
い。特に好適な上記エチレン性モノマーは、これらに限
定されないが、例えば、アクリル酸コレステロール、ア
クリル酸シトステロール、アクリル酸エルゴステロー
ル、アクリル酸デオキシコール酸ナトリウム、あるいは
アクリル酸コール酸ナトリウムである。
【0013】本発明の樹脂組成物に用いられる上記
(b)で記した酸性基含有エチレン性モノマーは、本発
明の樹脂組成物を水性溶媒に分散(水溶性樹脂の分子状
分散を含む。以下同じ。)させるのに寄与し得る親水性
部分を本発明の樹脂組成物に形成するためのモノマー成
分である。従って、本発明の樹脂組成物に上記親水性部
分を形成し得る酸性基含有エチレン性モノマーであれば
特に限定されないが、例えば、カルボキシル基あるいは
スルホン酸基を酸性基として含有するエチレン性モノマ
ーが、本発明の実施のための上記モノマー成分として好
適である。例えば、カルボキシル基含有エチレン性モノ
マーとしては(メタ)アクリル酸誘導体あるいはスチレ
ン誘導体が好適である。(メタ)アクリル酸誘導体とし
てはアクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、あるいは
マレイン酸が特に好適であり、他方、スチレン誘導体と
しては3-ビニルサリチル酸、あるいは3-ビニルアセチル
サリチル酸が特に好適である。また、スルホン酸基含有
エチレン性モノマーとしては種々のものが使用し得る
が、p-ビニルベンゼンスルホン酸、あるいは2-アクリル
アミドプロパンスルホン酸が特に好ましい。
【0014】本発明の樹脂組成物に用いられる上記
(c)で記した水酸基含有エチレン性モノマーは、本発
明の樹脂組成物を水性溶媒に分散させるのに寄与し得る
と共に塗料中の架橋剤成分等と架橋し得る官能基を本発
明の樹脂組成物に形成するためのモノマー成分である。
従って、本発明の樹脂組成物に上記水酸基を形成し得る
水酸基含有エチレン性モノマーであれば特に限定され
ず、種々の水酸基含有エチレン性モノマーが使用し得る
が、例えば、アクリル酸2-ヒドロキシエチル、アクリル
酸2-ヒドロキシプロピル、メタクリル酸2-ヒドロキシエ
チル、あるいはメタクリル酸2-ヒドロキシプロピルが特
に好ましい。
【0015】また、本発明の樹脂組成物に用いられる上
記(d)で記した上記(a)、(b)および(c)に記
載のモノマーと異なる他の1種または2種以上の共重合
可能なモノマーは、本発明の樹脂組成物を基体樹脂とす
る塗料における親水−疎水バランスを保持させつつ塗膜
の性能向上をさらに図るためのモノマー成分である。従
って、本発明の樹脂組成物に用いられた上記(a)、
(b)および(c)に記載のモノマー成分の特性を損な
わない共重合可能なモノマーであれば特に限定されない
が、例えば、スチレン、α−メチルスチレン、アクリル
酸エステル(典型的には、アクリル酸メチル、アクリル
酸エチル、アクリル酸n-プロピル、アクリル酸n-ブチ
ル、アクリル酸イソブチル、アクリル酸t-ブチル、アク
リル酸n-ヘキシル、アクリル酸2-エチルヘキシル、アク
リル酸デシル、アクリル酸ドデシル、アクリル酸オクタ
デシル、アクリル酸シクロヘキシル)、あるいはメタク
リル酸エステル(典型的には、メタクリル酸メチル、メ
タクリル酸エチル、メタクリル酸n-プロピル、メタクリ
ル酸n-ブチル、メタクリル酸イソブチル、メタクリル酸
t-ブチル、メタクリル酸n-ヘキシル、メタクリル酸2-エ
チルヘキシル、メタクリル酸デシル、メタクリル酸ドデ
シル、メタクリル酸オクタデシル、メタクリル酸シクロ
ヘキシル)が特に好適に用いられる。
【0016】本発明の樹脂組成物は、水系塗料の基体樹
脂として好ましく、特にいわゆる水溶性樹脂塗料に好適
に適用され得る。次に、水系塗料(典型的には水溶性樹
脂塗料)の基体樹脂として好適に用いられる本発明の樹
脂組成物を製造するにあたっての上記各モノマーの使用
量を説明する。上記(a)に記したステロイド環含有エ
チレン性モノマーの使用量は、用いるモノマー原料全体
の5〜40重量%とするのがよく、5〜30重量%とす
ることが好ましい。一方、このモノマーの使用量が5重
量%よりも少なすぎる場合は、樹脂の疎水性が低くなり
すぎ、結果、適用された水系塗料等における低濃度域で
擬塑性流動を示し得ない。また、このモノマーの使用量
が40重量%より多すぎる場合は、疎水性が必要以上に
高くなるため水分散性すなわち水系塗料における本樹脂
組成物の凝集、沈殿を防止するという観点から望ましく
ない。
【0017】また、上記(b)に記した酸性基含有エチ
レン性モノマーの使用量は、用いるモノマー原料全体の
3〜15重量%とするのがよく、5〜10重量%とする
ことが好ましい。一方、このモノマーの使用量が3重量
%よりも少なすぎる場合は、疎水性が高くなりすぎるた
め上記水分散性の観点から望ましくない。また、このモ
ノマーの使用量が15重量%より多すぎる場合は親水性
が必要以上に高くなるため塗膜の耐水性の観点から望ま
しくない。
【0018】さらにまた、上記(c)に記した水酸基含
有エチレン性モノマーの使用量は、用いるモノマー原料
全体の5〜40重量%とするのがよく、10〜30重量
%とすることが好ましい。一方、このモノマーの使用量
が5重量%よりも少なすぎる場合は塗膜の硬化性の観点
から望ましくない。また、このモノマーの使用量が40
重量%より多すぎる場合は親水性が必要以上に高くなる
ため塗膜の耐水性の観点から望ましくない。また、特に
限定するものではないが、上記(b)に記した酸性基含
有エチレン性モノマーの使用量と上記(c)に記した水
酸基含有エチレン性モノマーの使用量との合計使用量
が、用いるモノマー原料全体の15〜40重量%とする
のがよく、20〜30重量%とすることが好ましい。
【0019】なお、上記(d)に記した共重合可能なモ
ノマーの使用量は、上記(a)、(b)および(c)に
記した各モノマーの使用量が上記重量%の範囲内となる
ように設定される。すなわち、各モノマーの全使用量
(100重量%)から上記(a)、(b)および(c)
に記した各モノマーの使用量を除いた残部が上記(d)
に記した共重合可能なモノマーの使用量(重量%)とな
る。本モノマーの使用量は、上記(a)、(b)および
(c)に記した各モノマー成分間の親水−疎水バランス
を保持する観点から設定される。
【0020】本発明の樹脂組成物は、親水性溶媒の存在
下、上記各モノマーを反応容器中で混合し、アゾ化合
物、有機過酸化物等の重合開始剤を用い、およそ50〜
150℃の温度で3〜15時間程度の重合反応を行うこ
とによって好適に製造することができる。
【0021】上記親水性溶媒としては種々のものが使用
し得るが、メチルアルコール、エチルアルコール、n-プ
ロピルアルコール、イソプロピルアルコール、n-ブチル
アルコール、イソブチルアルコール、エチレングリコー
ルモノエチルエーテル、エチレングリコールモノメチル
エーテル、あるいはエチレングリコールモノn-ブチルエ
ーテルが好適である。一方、重合開始剤では、例えば、
アゾ化合物としては2,2'- アゾビスイソブチロニトリ
ル、2,2'- アゾビス(2,4'-ジメチルバレロニトリル) 、
あるいはジメチル2,2'- アゾビスイソブチレイトが好適
であり、他方、有機過酸化物としてはベンゾイルパーオ
キサイド、t-ブチルパーオキシベンゾエイト、t-ブチル
パーオキシイソブチレート、t-ブチルパーオキシ2-エチ
ルヘキサノエイト、あるいはクメンヒドロパーオキサイ
ドが好適である。
【0022】而して、上記重合反応によって得られる共
重合体の数平均分子量としては、2000〜30000
であることがよく、好ましくは3000〜20000で
ある。一方、得られる数平均分子量が2000より小さ
すぎる場合は、得られた樹脂組成物を含む塗料が低濃度
域で所望の擬塑性流動を示さないことがあり、作業性お
よび硬化性の観点からも望ましくない。他方、数平均分
子量が30000より大きすぎる場合には、従来の塗料
同様、当該樹脂組成物を含む水分散液において、当該樹
脂組成物の濃度上昇に伴って当該水分散液の粘度が単調
に増加しがちとなるため望ましくない。
【0023】次に、本発明の一実施形態として、本発明
の樹脂組成物を基体樹脂として適用した水系塗料の特性
について説明する。上述した好適な材料および重合条件
に基づいて製造された本発明の樹脂組成物を基体樹脂と
して含む水溶性塗料では、当該塗料の一般的な使用条件
に適合するように、本発明の樹脂組成物の酸性基の少な
くとも一部を塩基で中和し、本塗料の不揮発分濃度がほ
ぼ25〜50重量%の範囲となるように水で適宜希釈し
た場合、せん断速度10-1-1における粘度は、不揮発
分濃度の変動に関わらずほぼ1〜1000Pa・sの範
囲内に維持され得る。なお、上記塩基としては種々のも
のが使用され得るが、例えばジメチルエタノールアミ
ン、ジエチルエタノールアミン、トリエチルアミン等の
アミン、あるいは、アンモニア、水酸化ナトリウム、水
酸化カリウム等の無機塩基が好適である。
【0024】一般的に水系塗料においては、粘度が1P
a・sより小さい場合には、その低粘性によって塗装時
に塗料がたれやすく、他方、粘度が1000Pa・sよ
り高くなった場合には、その高粘性によってレベリング
性が悪くなりがちである。すなわち、水系塗料は、一般
的な使用状況下において、およそ1〜1000Pa・s
の範囲の粘度(せん断速度10-1-1)を維持すること
が作業性および仕上がり性の観点から好ましく、また、
このことによって塗膜内における塗料の流動を均一化す
ることができる。従って、本発明の樹脂組成物を基体樹
脂に適用することによって、通常の不揮発分濃度範囲内
において擬塑性流動を示して塗料がたれ難く、かつ、塗
膜面においては上記不揮発分濃度分布の発生に関わらず
塗膜のレベリング性を良好に保つことのできる水系塗料
が調製され得る。
【0025】本発明の樹脂組成物は種々の形態および/
または用途の水系塗料に用いられ得る。例えば、本発明
の樹脂組成物と共に必要に応じてアルキド樹脂、ポリエ
ステル樹脂、エポキシ樹脂、セルロースアセテート、お
よびアクリル樹脂などを配合することができる。また、
通常の一般的な硬化剤、例えばメラミン樹脂(メチルエ
ーテル化メラミン樹脂、ブチルエーテル化メラミン樹脂
等)あるいはイソシアネートプレポリマー(テトラメチ
レンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネー
ト、イソホロンジイソシアネート等)を配合することに
よって、硬化性水系塗料が調製され得る。また、本発明
の樹脂組成物を基体樹脂とする水系塗料には、上述の各
ポリマー成分の特性を損なわない限り、従来から用いら
れている種々の顔料や塗膜形成助要素等を配合すること
ができる。例えば、顔料としてアルミニウムペースト、
酸化チタン、カーボンブラック、マイカ、キナクリドン
等を単独または適宜組み合わせて配合し得る。このほ
か、表面調整剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、硬化触媒
(ドデシルベンゼンスルホン酸、パラトルエンスルホン
酸、ナフタレンスルホン酸等)を用途に応じ、適宜組み
合わせて配合し得る。
【0026】
【実施例】以下の実施例において、本発明の樹脂組成物
をさらに詳細に説明するが、これらはなんら本発明を限
定するものではない。まず、実験例において上記(a)
に記したステロイド環含有エチレン性モノマーとして好
適なモノマーの合成例を示す。続いて、実施例1および
実施例2において本発明の樹脂組成物として好適な塗料
用樹脂組成物の合成例を示す。併せて比較例1〜比較例
3として、本発明の樹脂組成物とほぼ同等の数平均分子
量を有する従来の樹脂組成物の合成例を示す。
【0027】<実験例>攪拌機および冷却管を備えた反
応容器内を窒素ガス置換した後、当該容器内にテトラヒ
ドロフランを400重量部、およびコレステロールを3
9重量部ほど仕込み、これにトリエチルアミンを10重
量部ほど添加した。さらに、これらにアクリル酸クロラ
イドを最終的に9重量部となるように5時間かけて添加
した。その後12時間攪拌を継続した。こうして得られ
た分散液からトリエチルアミンの塩酸塩を濾過した後、
さらに真空乾燥によって溶媒を除去し、アクリル酸コレ
ステロールモノマーを得た。
【0028】<実施例1>攪拌機、温度調節器、および
冷却管を備えた反応容器内にエチレングリコールモノブ
チルエーテルを286重量部ほど仕込み、温度を120
℃に保った。ここに、アクリル酸21重量部(6重量
%)、アクリル酸2-ヒドロキシエチル69重量部(20
重量%)、上記実験例で得たアクリル酸コレステロール
66重量部(19重量%)、アクリル酸エチル194重
量部(55重量%)およびアゾビスイソブチロニトリル
6.9重量部からなるモノマー溶液を5時間かけて添加
した。その後1時間攪拌を継続した結果、不揮発分56
重量%、数平均分子量4500の樹脂組成物を得た。
【0029】<実施例2>攪拌機、温度調節器、および
冷却管を備えた反応容器内にエチレングリコールモノブ
チルエーテルを286重量部ほど仕込み、温度を120
℃に保った。ここに、メタクリル酸23重量部(7重量
%)、メタクリル酸2-ヒドロキシエチル70重量部(2
0重量%)、上記実験例で得たアクリル酸コレステロー
ル59重量部(17重量%)、メタクリル酸エチル19
8重量部(56重量%)およびアゾビスイソブチロニト
リル6.9重量部からなるモノマー溶液を5時間かけて
添加した。その後1時間攪拌を継続した結果、不揮発分
55重量%、数平均分子量4800の樹脂組成物を得
た。
【0030】<比較例1>上記実施例1および実施例2
と同様に、攪拌機、温度調節器、および冷却管を備えた
反応容器内にエチレングリコールモノブチルエーテルを
286重量部ほど仕込み、温度を120℃に保った。こ
こに、メタクリル酸23重量部(7重量%)、メタクリ
ル酸2-ヒドロキシエチル70重量部(20重量%)、メ
タクリル酸エチル257重量部(73重量%)およびア
ゾビスイソブチロニトリル6.9重量部からなるモノマ
ー溶液を5時間かけて添加した。その後1時間攪拌を継
続した結果、不揮発分58重量%、数平均分子量520
0の樹脂組成物を得た。
【0031】<比較例2>上記実施例1および実施例2
と同様に、攪拌機、温度調節器、および冷却管を備えた
反応容器内にエチレングリコールモノブチルエーテルを
286重量部ほど仕込み、温度を120℃に保った。こ
こに、アクリル酸21重量部(6重量%)、アクリル酸
2-ヒドロキシエチル69重量部(20重量%)、上記実
験例で得たアクリル酸コレステロール10重量部(3重
量%)、アクリル酸エチル250重量部(71重量%)
およびアゾビスイソブチロニトリル56重量部からなる
モノマー溶液を5時間かけて添加した。その後1時間攪
拌を継続した結果、不揮発分55重量%、数平均分子量
5400の樹脂組成物を得た。
【0032】<比較例3>上記実施例1および実施例2
と同様に、攪拌機、温度調節器、および冷却管を備えた
反応容器内にエチレングリコールモノブチルエーテルを
286重量部ほど仕込み、温度を120℃に保った。こ
こに、アクリル酸21重量部(6重量%)、アクリル酸
2-ヒドロキシエチル69重量部(20重量%)、上記実
験例で得たアクリル酸コレステロール185重量部(5
3重量%)、アクリル酸エチル75重量部(21重量
%)およびアゾビスイソブチロニトリル56重量部から
なるモノマー溶液を5時間かけて添加した。その後1時
間攪拌を継続した結果、不揮発分57重量%、数平均分
子量6400の樹脂組成物を得た。
【0033】<実施例3> (各樹脂組成物の水分散性及びそれらの水分散液の粘性
の評価) 上記各実施例において得られた本発明の樹脂組成物を水
に分散した場合の水分散性及び当該水分散液の粘性を、
上記各比較例において得られた従来の樹脂組成物を水に
分散した場合の水分散性及び当該水分散液の粘性と比較
した。
【0034】上記実施例1および実施例2において得ら
れた本発明の樹脂組成物および上記比較例1〜3におい
て得られた従来の樹脂組成物を各々単独に含む水分散液
を調製し、ジメチルエタノールアミンで酸価に対して等
量中和した。さらに、得られた各分散液を水で希釈し、
樹脂組成物濃度が20重量%である水分散液を各々調製
した。次いで、得られた各分散液の水分散性および粘性
を評価した。なお、水分散性の評価については、濃度2
0重量%の各分散液を調製後に静置し、沈殿の有無を目
視によって確認することで行った。そして、水分散性が
良好なものについては、次いで、回転型粘度計によって
各水分散液の粘度のせん断速度依存性を測定し、各分散
液がその粘性挙動として擬塑性流動を示すかニュートン
流動を示すかを判別した。結果を表1に示す。
【0035】
【表1】
【0036】表1から明らかなように、本発明の樹脂組
成物を20重量%含む各分散液では静置後も全く沈殿が
認められず、当該水分散液の分散性はいずれも良好であ
った(表1中の○)。また、これら水分散液はせん断速
度の増大とともに見かけの粘度が低下する典型的な擬塑
性流動を示した。一方、上記各比較例で得られた樹脂組
成物を20重量%含むように水に分散させた液について
は、比較例1および比較例2のいずれかで得られた樹脂
組成物を含むものでは分散性に問題がなかったものの比
較例3で得られた樹脂組成物を含む液では明確な沈殿物
が認められ、分散性は不良であった(表1中の×)。ま
た、比較例1および比較例2のいずれかで得られた樹脂
組成物を含む各水分散液の粘性挙動はニュートン流動を
示すものであり、本発明の樹脂組成物を含む上記各水分
散液におけるような擬塑性流動を示し得なかった。
【0037】次に、各樹脂組成物の濃度がほぼ20重量
%、25重量%、30重量%、40重量%および50重
量%である水分散液を各々調製した。そして、せん断速
度10-1-1における粘度を測定し、各樹脂組成物を含
む水分散液の濃度変動に伴う粘度変化を測定した。結果
を図1に示す。図1中の黒三角印、黒丸印、黒菱形印お
よび黒四角印は、各々、実施例1、実施例2、比較例1
および比較例2の樹脂組成物を含む水分散液の上記各濃
度(重量%;横軸)における粘度(Pa・s;縦軸)の
変動を示したものである。本図から明らかなように、実
施例1および実施例2のいずれかで得られた本発明の樹
脂組成物を含む各水分散液では、20〜25重量%程度
の比較的低濃度域においては垂直面の塗装時にもたれ難
い良好なレベルの粘度を確保することができる一方、3
0〜50重量%程度の比較的高濃度域においても塗面の
良好なレベリングを維持し得るレベルの粘度が維持され
ている。すなわち、本発明の樹脂組成物を含む水分散液
によれば、上記濃度範囲内において当該樹脂組成物濃度
の変動に関わらず当該分散液の粘度(粘性)をほぼ一定
のレベルに保つことができる。
【0038】これに対して、上記比較例1および比較例
2のいずれかで得られた樹脂組成物を含む水分散液にお
いては、20〜25重量%程度の比較的低濃度域におい
ては垂直面の塗装時に要求されるレベルの粘度を確保す
ることができないことに加え、樹脂組成物濃度が上昇す
るに伴い、その粘度が単調に増加する傾向が認められ
た。このことは、上記各比較例で得られるような従来の
樹脂組成物を含む水分散液では、含有する樹脂組成物濃
度の変動に応じて当該分散液の粘性の変動が著しいこ
と、および実際に塗料として使用し得る有用濃度範囲が
極めて狭いことを示すものである。
【0039】<実施例4> (塗装性の評価)次に、上記実施例3において使用し
た、樹脂組成物濃度20重量%の各水分散液に橋かけ剤
として三井東圧化学株式会社製品「サイメル303(商
標)」(メトキシメチロールメラミン)を適量添加し均
一混合することによって、上記各水分散液を塗料化し
た。得られた各塗料を用いて以下のように塗装性の評価
を行った。すなわち、上記得られた各塗料を乾燥時の塗
膜厚が20μmとなるように中塗り鋼板にエアスプレー
塗装した。そして、スプレー塗装後に各塗料の安定性
(吹き付けの均一性)、および塗装性として吹き付けら
れた塗料のたれにくさおよびレベリング性を調べた。さ
らに、塗装に供した鋼板に乾燥器で140℃、30分間
の焼付け処理を行い、塗装面の外観(光沢および肌合い
の程度)を評価した。評価結果の概要を表2に示す。
【0040】
【表2】
【0041】表2から明らかなように、実施例1および
実施例2のいずれかで得られた本発明の樹脂組成物を含
む塗料については、塗料安定性、塗装性(たれにくさ、
レベリング性)、焼付け処理後の塗装面の外観(肌)の
いずれも良好であった(表2中の○)。このことは、本
発明の樹脂組成物を含む塗料では、スプレー塗装時には
塗料安定性に寄与する擬塑性流動を示すと共に、塗装時
の不揮発分濃度の変動(上昇)に関わらず、当該塗料の
粘度をほぼ一定のレベルに保ち得ることを示すものであ
る。すなわち、本発明の樹脂組成物を含む塗料では、粘
度の変動が小さいため、たれにくさと良好なレベリング
性とを両立させることができる。その結果、光沢や肌等
の質感に優れる塗膜表面を形成することができる。これ
に対して、比較例1および比較例2のいずれかで得られ
た従来の樹脂組成物を含む各塗料については塗料安定性
こそ概ね良好である(表2中の○。)が、塗装面からの
たれを生じ、良好なレベリング性も得られなかった(表
2中の×)。従って、これら塗料においては、焼付け処
理後の塗装面の外観(肌)も不良であった(表2中の
×)。
【0042】
【発明の効果】本発明によれば、低不揮発分濃度域で擬
塑性流動を示すと共に、所定の濃度領域において不揮発
分濃度の変動(典型的には上昇)に関わらず粘度(粘
性)をほぼ一定のレベルに保ち得る特性を、水系塗料に
付与し得る塗料用樹脂組成物を提供することができる。
すなわち、本発明の樹脂組成物を基体樹脂として含む水
系塗料は、低不揮発分濃度域で擬塑性流動を示すと共に
塗装時の塗膜内における不揮発分濃度の変動(典型的に
は上昇)あるいは不揮発分濃度分布に抗して塗膜中の粘
度(粘性)をほぼ一定のレベルに保つことができるた
め、たれにくさと良好なレベリング性とを両立させるこ
とができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】水分散液中の樹脂組成物濃度(重量%)の変動
に伴う当該水分散液の粘度の変動を示したグラフであ
る。

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 以下の要素: (a)5重量%〜40重量%の範囲内の量のステロイド
    環含有エチレン性モノマー; (b)3重量%〜15重量%の範囲内の量の酸性基含有
    エチレン性モノマー; (c)5重量%〜40重量%の範囲内の量の水酸基含有
    エチレン性モノマー;および (d)残部は前記(a)、(b)および(c)に記載の
    モノマーと異なる他の1種または2種以上の共重合可能
    なモノマー;が共重合して成る、数平均分子量が200
    0〜30000である塗料用樹脂組成物。
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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2017145350A (ja) * 2016-02-19 2017-08-24 東洋インキScホールディングス株式会社 顔料分散体、および積層体
JP2018016701A (ja) * 2016-07-27 2018-02-01 東洋インキScホールディングス株式会社 粘着剤組成物、および粘着シート

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JP2017145350A (ja) * 2016-02-19 2017-08-24 東洋インキScホールディングス株式会社 顔料分散体、および積層体
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