JPH10273510A - グラフト重合体及びそれを含む熱可塑性樹脂組成物 - Google Patents

グラフト重合体及びそれを含む熱可塑性樹脂組成物

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JPH10273510A
JPH10273510A JP7954397A JP7954397A JPH10273510A JP H10273510 A JPH10273510 A JP H10273510A JP 7954397 A JP7954397 A JP 7954397A JP 7954397 A JP7954397 A JP 7954397A JP H10273510 A JPH10273510 A JP H10273510A
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JP
Japan
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polymer
weight
graft
graft polymer
monomer
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Application number
JP7954397A
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English (en)
Inventor
Masato Honma
雅登 本間
Shinichi Tamura
真一 田村
Shunei Inoue
俊英 井上
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Toray Industries Inc
Original Assignee
Toray Industries Inc
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Publication date
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  • Compositions Of Macromolecular Compounds (AREA)
  • Graft Or Block Polymers (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】ゴム質重合体を高めたグラフト重合体を溶融混
練した熱可塑性樹脂の衝撃性、成形加工性を向上させる
ことである。 【解決手段】グラフト重合体を熱可塑性樹脂と溶融混練
させる際、グラフト成分とマトリックス樹脂との絡み合
いを高めると同時に、グラフト重合体同士の溶融混練時
の融着を抑えるため非グラフト重合体量を規定すること
である。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、グラフト重合体及
びそれを含んでなる耐衝撃性、成形加工性、成形品の表
面外観に優れたゴム強化熱可塑性樹脂組成物に関するも
のである。
【0002】
【従来の技術】アクリロニトリル−ブタジエン−スチレ
ン共重合体(ABS樹脂)は、マトリックス樹脂中にゴ
ム粒子が分散した構造をとっており、このゴム粒子がA
BS樹脂の耐衝撃性を改良している。ただし、ゴム質重
合体とマトリックス樹脂とは相容しないため、ゴム質重
合体にマトリックス樹脂と相溶性のある成分をグラフト
させたゴム粒子(グラフト重合体)とすることが必要で
ある。
【0003】また、一般的にゴム質重合体含量の高いグ
ラフト重合体とマトリックス樹脂とを別途製造し、溶融
混練によりブレンドする手法が生産性、経済性に有効で
あり、ABSの製造ブロセスによく用いられている。
【0004】このゴム強化熱可塑性樹脂は、耐衝撃性、
成形加工性、表面外観に優れることから、家電製品、自
動車用部品、日用雑貨など幅広く使用されている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】ここで、ABS樹脂の
衝撃強度を向上させる手段として、マトリックス樹脂の
分子量を高めることが一般的に知られているが、この手
法ではABS樹脂の流動性が悪化し、成形加工性を著し
く損なうこととなる。
【0006】また、ゴム質重合体の平均粒子径を高める
手法では、光沢性に代表される成形品の表面外観特性を
損なうことが公知である。
【0007】このように、ABS樹脂の特性を維持した
まま、衝撃性と流動性を同時に改良する技術はいまだ不
十分である。特に、生産性向上からグラフト重合体のゴ
ム質重合体の含量を増加させる処方では、相対的な単量
体成分の減少から物性バランスの設計は一層困難であ
る。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明者らは上記課題の
解決を鋭意検討した結果、ゴム質重合体のゴム特性を変
更せずに、衝撃性と流動性を共に高める手段として、グ
ラフト重合体とマトリックス樹脂との溶融状態での混和
性を向上させるとともに、マトリックス樹脂と絡み合う
グラフト成分の密度を高めることが有効であることを見
出した。
【0009】即ち、本発明は、 1.「ジエン系ゴム質重合体45〜85重量部の存在下
に、芳香族ビニル系単量体、シアン化ビニル系単量体及
びこれらと共重合可能な他のビニル系単量体からなる群
より選択された一種以上の単量体15〜55重量部を重
合してなるグラフト重合体であって、該グラフト重合体
が非グラフト重合体を少なくとも5重量%含み、かつグ
ラフト重合体に対するゴム質重合体の重量割合x(重量
%)と下記式(I)により定義される絡合指数Deと
が、x/De関係図において、下記式(II)、(III
)、(IV)式で結ばれる直線の範囲内にあることをも
のであるグラフト重合体。
【数3】De=G・Pg/M (I) (ここで、Gはグラフト率(%)、Pgは表面グラフト
分率(%)、Mは非グラフト重合体の分子量である。)
【数4】 De=(20−0.2・x)/100 (II) De=(0.875+0.025・x)/100 (III ) x=45 (IV) (ここで、Gはグラフト率(%)、Pgは表面グラフト
分率(%)、Mは非グラフト重合体の分子量であ
る。)」、 2.「前記のグラフト重合体(A)10〜90重量%
と、芳香族ビニル系単量体、シアン化ビニル系単量体及
びこれらと共重合可能な他のビニル系単量体からなる群
より選択された一種以上の単量体を重合してなる重合体
(B)10〜90重量%とを溶融混練してなる熱可塑性
樹脂組成物。」、 3.「グラフトするビニル系単量体が、芳香族ビニル系
単量体50〜99重量%、シアン化ビニル系単量体1〜
50重量%、及びこれらと共重合可能な他のビニル系単
量体0〜50重量%からなることを特徴とする前記いず
れかのグラフト重合体。
【0010】4.「非グラフト重合体の分子量Mが、メ
チルエチルケトン溶媒、30℃における極限粘度から求
められる粘度平均分子量であることを特徴とする前記い
ずれかのグラフト重合体。」 5.「重合体(B)のメチルエチルケトン溶媒、30℃
における極限粘度が0.3〜1dl/gである前記の熱
可塑性樹脂組成物。」 6.「前記いずれかのグラフト重合体(A)と、芳香族
ビニル系単量体、シアン化ビニル系単量体及びこれらと
共重合可能な他のビニル系単量体からなる群より選択さ
れた一種以上の単量体を重合してなる重合体(B)10
〜90重量%とを溶融混練することを特徴とする熱可塑
性樹脂組成物の製造方法。」を提供するものである。
【0011】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態を具体
的に説明する。本発明で重量とは質量を意味する。
【0012】本発明でいうグラフト重合体とは、実際に
グラフトしている共重合体と、グラフトせず、ゴム質重
合体からフリーに存在している重合体との混合物を言
う。本発明で用いられるグラフト重合体に用いられるジ
エン系ゴム質重合体としては、共役ジエンを主成分とし
た重合体または共重合体が好適である。このうち共役ジ
エンの含有量は75重量%以上、特に85重量%以上が
好ましい。具体的には、ポリブタジエン、スチレン−ブ
タジエン共重合体、アクリロニトリル−ブタジエン共重
合体、アクリル酸ブチル−ブタジエン共重合体およびイ
ソプレンゴムなどを使用することができる。
【0013】これらのジエン系ゴム質重合体の平均粒子
径は一般的に0.1〜0.6μmのものを使用すること
ができ、特に0.2〜0.4μmのものが好ましく用い
られる。また、ゲル含有率については、熱可塑性樹脂と
ブレンドしたときの耐衝撃性を考慮して、60重量%以
上が好ましい。ここでゲル含有率とは、ゴム質重合体の
ラテックスを凝固・乾燥した後のトルエン不溶分の重量
分率を示す。
【0014】本発明において、上記ゴム質重合体の存在
下にグラフト重合する単量体は、芳香族ビニル系単量体
およびシアン化ビニル単量体、必要に応じこれらと共重
合可能な他の単量体の混合物である。
【0015】芳香族ビニル系単量体としてはスチレン、
α−メチルスチレン、p−メチルスチレン、ビニルトル
エン、t−ブチルスチレン、o−エチルスチレン、o−
クロロスチレンおよびo,p−ジクロロスチレンなどが
挙げられるが、特にスチレンが好ましく用いられる。こ
れらは1種または2種以上を併用しても良い。
【0016】シアン化ビニル系単量体としては、アクリ
ロニトリル、メタクリロニトリルおよびエタクリロニト
リルなどが挙げられるが、特にアクリロニトリルが好ま
しい。
【0017】また、これらと共重合可能な他の単量体と
しては、不飽和カルボン酸系単量体、不飽和カルボン酸
無水物系単量体、不飽和カルボン酸エステル系単量体、
またはマレイミド系単量体などを用いることができる。
具体的には、(メタ)アクリル酸、無水マレイン酸、
(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチ
ル、(メタ)アクリル酸n−プロピル、(メタ)アクリ
ル酸n−ブチル、(メタ)アクリル酸t−ブチル、(メ
タ)アクリル酸n−ヘキシル、(メタ)アクリル酸クロ
ロメチル、N−メチルマレイミド、N−エチルマレイミ
ド、N−シクロヘキシルマレイミド、N−フェニルマレ
イミドを使用できる。
【0018】ここで、本発明のグラフト重合体はジエン
系ゴム質重合体45〜85重量部、好ましくは55〜7
5重量部に対し、単量体混合物15〜55重量部、好ま
しくは25〜45重量部をグラフト重合することにより
得られる。ゴム質重合体が85重量部を越えるとグラフ
ト率自体の相対的低下により熱可塑性樹脂の衝撃向上効
果が得られなくなる。また、45重量部未満では、樹脂
組成物の製造に際して生産性及び経済性の面で圧倒的に
不利となるため好ましくない。
【0019】ここで、グラフトさせる全単量体に対し、
芳香族ビニル系単量体の割合は50〜99重量%、好ま
しくは60〜90重量%、より好ましくは70〜80重
量%であり、50重量%未満では熱可塑性樹脂中のゴム
質重合体の分散状態が悪化するため好ましくない。
【0020】シアン化ビニル系単量体の割合は全単量体
に対し1〜50重量%、好ましくは10〜40重量%、
より好ましくは20〜30重量%であり、50重量%を
超える場合は熱可塑性樹脂の表面外観が悪化する。
【0021】また、これらと共重合可能な他のビニル系
単量体は50重量%以下で用いれば本発明の目的を達成
させることが可能である。
【0022】グラフト重合体は、乳化グラフト重合によ
り得ることができる。グラフト重合における単量体混合
物、乳化剤、重合開始剤および連鎖移動剤などの成分の
添加方法としては様々の方法を採用することができる。
即ち、重合初期に全量を添加する方法、一部を初期に添
加し残りを連続添加する方法、全量を連続添加する方法
及び2回以上に分割して添加する方法などが挙げられ
る。
【0023】使用する乳化剤、重合開始剤及び連鎖移動
剤の種類については特に制限はなく、通常の乳化重合で
用いられる試薬を使用できる。代表的な乳化剤としては
ロジン酸カリウム、ステアリン酸カリウム及びオレイン
酸カリウムなどが、重合開始剤としては有機ハイドロパ
ーオキサイドと含糖ピロリン酸−硫酸第一鉄の併用系及
び過流酸塩などが、また連鎖移動剤としてはアルキルチ
オール化合物がそれぞれ挙げられる。
【0024】本発明のグラフト重合体は、グラフト率G
(%)、表面グラフト分率Pg(%)、非グラフト重合
体の分子量Mから(I)式で定義される絡合指数Deがあ
る領域を満たす必要がある。
【数5】De=G・Pg/M (I) その領域はグラフト重合体に占めるゴム質重合体の重量
割合x(重量%)に依存しており、図1に示す斜線領域
で表される。すなわち、この斜線領域は、下記式(I
I)、(III )、(IV)の直線で結ばれる範囲を示して
いる。
【数6】 De=(20−0.2・x)/100 (II) De=(0.875+0.025・x)/100 (III ) x=45 (IV)
【0025】さらに好ましくは、下記式(II’)、(II
I’)、(IV)の直線で結ばれる範囲(図1では図示し
ていない)である。
【数7】 De=(19.5−0.2・x)/100 (II') De=(1.375+0.025・x)/100 (III’) x=45 (IV) ここで、表面グラフト分率Pgとは、グラフトした重合
体に対するゴム質重合体の表面にグラフトした成分の割
合であり、この比率が高いほどマトリックス樹脂との絡
み合いが多くなる。一方、ゴム質重合体の内側にグラフ
トした成分はマトリックス樹脂との接触が全く起こらな
いため、絡み合いについて考慮する必要はない。
【0026】このような表面グラフト、またゴム質重合
体の内側のグラフト状態は、グラフト重合体をエポキシ
樹脂などに包埋し、オスミウム染色後の切削断面の電子
顕微鏡写真観察などにより明らかにできる。同時に、該
表面グラフト分率は、電子顕微鏡写真の表面グラフト層
の厚みt(μm)及びゴム粒径R(μm)から下記式
(V)より求めることができる。
【0027】
【数8】 Pg=10000×d1・V1/(V2・d2・G) (V) ただしV1=(4π/3)・{(r+t)3−r3} V2=πr3/3である
【0028】(d1、d2はそれぞれグラフト成分、ゴ
ム質重合体の密度を表す。) ここで、ゴム粒径Rはゴム粒子の内側のグラフト成分を
含んでいるが、表面のグラフト部分を除いた粒径であ
り、rはその半径(μm)である。但し、通常ゴム粒径
はある程度の分布があり、従って、グラフト重合体にも
分布が存在する。電顕写真観察では、グラフト重合体粒
子のおおよその数平均粒径である粒子複数個に注目し
て、Pgの測定を行う。
【0029】非グラフト重合体成分の分子量は、一般的
にグラフトした成分の分子量と等しいことが知られてお
り、本発明で用いる非グラフト重合体の分子量は、グラ
フトしている重合体成分の分子量と同じと推定できる。
該非グラフト重合体の分子量の測定には、メチルエチル
ケトン溶媒、30℃における極限粘度を用い、下記式
(VI)の近似式よりほぼ逆算できる。
【0030】
【数9】 η=(8.3−6.0・q)・M0.62・10-4 (VI) ここで、qはグラフト反応に供する単量体成分のうち芳
香族ビニル系単量体の重量割合を意味する。
【0031】図1の斜線領域よりも下側の領域では、良
好な衝撃強度、流動性及び成形品表面外観が得られな
い。これは、ゴム表面のグラフト率が低く、またグラフ
ト成分の分子量も高いことから、結果的にグラフト成分
とマトリックス樹脂との絡み合いが不足したためと推測
される。
【0032】また、斜線領域よりも上側の領域でも、衝
撃強度、成形品表面外観が悪化する傾向を示す。これは
グラフト重合体同士が溶融時に融着するなどの原因でゴ
ム質重合体の分散不良を起こしたり、グラフト成分の分
子量の著しい低下などによるものと考えられる。
【0033】斜線領域より左側の領域では、グラフト重
合体と芳香族ビニル系単量体、シアン化ビニル系単量体
及びこれらと共重合可能な他のビニル系単量体からなる
重合体をブレンドしてABS系樹脂とする際、製造コス
トが高く、連続重合が困難なグラフト重合体をより多く
必要とするため、生産性、経済性が著しく劣るものであ
り、好ましくなく、本発明の対象とするものではない。
【0034】また、グラフト重合を行うと、グラフト化
と同時に非グラフト重合体が生成する。この非グラフト
重合体は少なくともグラフト重合体に対し5重量%を含
むことが必要である。5重量%未満では、得られる成形
品の耐衝撃性、成形品表面外観の低下が顕著であり、こ
れは実際のグラフト重合体同士の溶融時の融着が原因と
考えられる。
【0035】グラフト率、表面グラフト分率及び非グラ
フト重合体の極限粘度はゴム質重合体と単量体混合物の
比率、重合開始剤の種類及び量、連鎖移動剤の種類及び
量を調節することにより制御可能である。
【0036】本発明のグラフト重合体は、特に芳香族ビ
ニル系単量体、シアン化ビニル単量体及びこれらと共重
合可能な他のビニル系単量体からなる重合体(B)と混
合し、熱可塑性樹脂組成物とすることで、成形品の耐衝
撃性と成形加工性をバランスよく向上させることができ
る。
【0037】ここで用いられる芳香族ビニル系単量体と
してはスチレン、α−メチルスチレン、p−メチルスチ
レン、ビニルトルエン、t−ブチルスチレン、o−エチ
ルスチレン、o−クロロスチレンおよびo,p−ジクロ
ロスチレンなどが挙げられるが、特にスチレンが好まし
く用いられる。これらは1種または2種以上を併用して
もよい。
【0038】シアン化ビニル系単量体としては、アクリ
ロニトリル、メタクリロニトリルおよびエタクリロニト
リルなどが挙げられるが、特にアクリロニトリルが好ま
しい。これらは1種または2種以上を併用してもよい。
【0039】また、これらと共重合可能な他の単量体と
しては、不飽和カルボン酸系単量体、不飽和カルボン酸
無水物系単量体、不飽和カルボン酸エステル系単量体、
マレイミド系単量体などを用いることができる。具体的
には、(メタ)アクリル酸、無水マレイン酸、(メタ)
アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メ
タ)アクリル酸n−プロピル、(メタ)アクリル酸n−
ブチル、(メタ)アクリル酸t−ブチル、(メタ)アク
リル酸n−ヘキシル、(メタ)アクリル酸クロロメチ
ル、N−メチルマレイミド、N−エチルマレイミド、N
−シクロヘキシルマレイミド、N−フェニルマレイミド
なども使用できる。
【0040】芳香族ビニル系単量体の割合は全単量体に
対し50〜99重量%、好ましくは60〜90重量%、
より好ましくは70〜80重量%であり、シアン化ビニ
ル系単量体の割合は1〜50重量%、好ましくは10〜
40重量%、より好ましくは20〜30重量%である。
芳香族ビニル系単量体の割合が99重量%を越えても5
0重量%未満でも目標である樹脂物性の操作性が低下す
るため好ましくない。また、これらと共重合可能な他の
単量体は50重量%以下で用いることにより本発明の目
的を達成させることが可能である。
【0041】また、重合体(B)の製造方法については
特に制限がなく、一般的に公知な溶液重合、乳化重合、
懸濁重合、塊状重合などによって得られる。重合体
(B)のメチルエチルケトン溶媒、30℃で測定した極
限粘度は0.3〜1dl/g、好ましくは0.4〜0.
8dl/gである。極限粘度が1dl/gを越えると、
樹脂全体の流動性が低下し、0.3dl/g未満では樹
脂自体が脆性化し衝撃性や機械物性の低下が著しくなる
ため好ましくない。
【0042】本発明の樹脂組成物は上記のグラフト重合
体(A)と重合体(B)を溶融混練することにより得ら
れる。溶融混練法には特に制限はなく、例えば単軸の押
出機などを用いた簡便な方法でも可能である。溶融混練
温度は、特に制限は設けないが、200〜250℃、好
ましくは210〜230℃のとき樹脂の混練性が良好で
あり好ましい。
【0043】ここで、グラフト重合体(A)は、(A)
成分と(B)成分との和に対して、10〜90重量%、
好ましくは20〜50%の配合量が本発明の課題解決が
最大に達成できる。
【0044】また、目的に応じてカーボンブラック、チ
タン化合物及び各種の色素を付与する顔料や染料、リン
系、フェノール系の安定剤、ハロゲン系化合物、アンチ
モン化合物、金属水酸化物などの難燃剤、フェノール
系、ホスファイト系及びイオウ系などの酸化防止剤、ヒ
ンダードフェノール系、ベンゾトリアゾール系、ベンゾ
フェノン系、ベンゾエート系及びシアノアクリレート系
の紫外線吸収剤、ワックス、高級脂肪酸や酸エステル系
及び酸アミド系、更に高級アルコールなどの滑剤及び可
塑剤、アミン系、スルホン酸系、ポリエーテル系などの
帯電防止剤、ガラス繊維、タルク、鉱物などのフィラー
等を添加することもできる。
【0045】
【実施例】以下、実施例により本発明をさらに詳しく説
明する。
【0046】本発明のグラフト重合体の分析法を以下に
示す。
【0047】(1)グラフト重合体のグラフト率G及び
非グラフト重合体の重量割合F グラフト重合体の所定量M(g)にアセトンを加え、4
時間還流した。この溶液を9,000rpmで30分間
遠心分離後、不溶分を濾過した。この不溶分を60℃で
5時間減圧乾燥し、重量N(g)を測定した。グラフト
率G(%)は次式により算出した。
【数10】G=100×(N−M×L)/(M×L) ここで、Lはグラフト重合体中のゴム質重合体の含有率
を表す。
【0048】また、非グラフト重合体の重量割合F(重
量%)は次式により算出した。
【0049】
【数11】F=100×(M−N)/M (2)非グラフト重合体の極限粘度及び粘度平均分子量 グラフト率測定に使用したアセトン溶液から不溶分を濾
過した後、濾液からアセトンを蒸発させ、その残留分に
メタノールを添加して非グラフト重合体を抽出した。
【0050】抽出物を60℃で3時間減圧乾燥した後、
メチルエチルケトンに溶解し、この溶液を30℃の恒温
槽内で極限粘度の測定を行った。
【0051】また、粘度平均分子量は下記式より逆算し
た。ここで、qはグラフト反応に供する単量体に対する
芳香族ビニル系単量体の重量割合である。
【0052】
【数12】 η=(8.3−6.0・q)・M0.62・10-4 4)表グラフト分率Pg 得られた重合体(A)をエポキシ樹脂に包埋し、オスミ
ウム酸で染色した。そしてこのサンプルの切削断面を電
子顕微鏡で観察した。未染色の表面グラフト及びゴム質
重合体を確認し、ゴム粒径R(μm)と表面グラフト層
の厚みt(μm)を測定した。
【0053】測定結果から下記式(VII )より表面グラ
フト分率(%)を求めた。なお、ゴム質重合体内側のグ
ラフト重合体成分によるゴム質重合体の密度の増加の補
正方法を以下に記載する。TEM写真によるグラフト重
合前のゴム質重合体の粒径、グラフト重合後のゴム質重
合体の粒径及びグラフト重合体の数平均粒径は、デジタ
イザーによる画像解析で求める。ゴム質重合体内側の重
合体成分によって、グラフト重合体のゴム質重合体部分
の半径rと、グラフト重合前のゴム質重合体の半径r’
をもとに、下記式(VIII)よりゴム質重合体の密度d
2’を補正する。
【数13】 Pg=10000×1.07・V1/(V2・d2’・G) (VII ) V1=(4π/3)・{(r+t)3−r3} V2=πr3/3 d2’={d1・(r3−r’3)+d2r’3/r3 (VIII) ()絡合指数De 以上より求めた、グラフト率G、表面グラフト分率P
g、粘度平均分子量Mから下記式により計算した。
【数14】De=G・Pg/M 次に、実施例で用いた各種の物性評価法を以下に示す。
【0054】(1)溶融粘度 島津フローテスター(CFT−500)を用い、以下の
条件で溶融粘度を測定した。 プランジャー面積:1cm2 ダイ孔径:1mmφ×2mm長 測定温度:230℃ 荷 重:50kg/cm2 (2)落錘衝撃強度(J) JJSK6745に準じて測定を行った。
【0055】(3)フィッシュアイ 成形前の樹脂ペレット約10gを250℃で加熱プレス
後、延伸することにより厚さ10μmのフィルムを作成
した。このフィルム100×200mm中に含まれてい
るゴム状の塊(ブツ)の数を目視により測定した。表面
の滑らかなフィルムはブツ数が100mm2あたり1以
下の場合であり、このとき成形品の表面外観は良好であ
る。また、ブツ数が100mm2あたり5を越えると成
形品外観を著しく損なうものである。
【0056】[グラフト重合体の製造方法]表1に記し
た組成でジエン系ゴム質重合体(PBD)のラテックス
をガラス製反応容器に仕込み、さらに撹袢しながらイオ
ン交換水に溶解したブドウ糖、ピロリン酸ナトリウム、
硫酸第一鉄を仕込み、反応容器内の温度を65℃まで昇
温した。
【0057】この混合液に、表1に示した所定のスチレ
ン(ST)、アクリロニトリル(AN)及びt−ドデシ
ルメルカプタンからなる混合液、そしてクメンハイドロ
パーオキサイドのオレイン酸カリウム水溶液を別々にそ
れぞれ3時間、4時間にわたって連続滴下して重合を完
結させた。重合率は全て95〜99%の範囲であった。
【0058】得られたグラフト重合体のラテックスを硫
酸で凝固し、水酸化ナトリウムで中和後、水洗、脱水、
乾燥してグラフト重合体パウダーを得た。各グラフト重
合体のグラフト率G、非グラフト重合体の重量割合F、
表面グラフト分率Pg、粘度平均分子量M及びこれらよ
り求めた絡合指数Deを表1にまとめた。またジエン形
ゴムの重量分率xはPBDの欄に記載された値に相当す
る。
【0059】重合体A−1〜A−7が本発明で特定され
る範囲にあるものであり、A−8以降が本発明の特定範
囲外である。
【0060】
【表1】
【0061】[重合体(B)の製造方法]攪拌装置を備
えた重合槽内にスチレン70重量部、アクリロニトリル
30重量部からなる単量体を懸濁重合し、SAN共重合
体を得た。得られたビーズ状樹脂を十分乾燥した後、メ
チルエチルケトンに溶解し、30℃の恒温槽内で極限粘
度の測定を行った。その結果、SAN共重合体の極限粘
度は0.50dl/gであった。
【0062】[実施例1〜14、比較例1〜22の製造
方法]上記で調製したグラフト重合体(A)と重合体
(B)をそれぞれ表2、3に示した割合で配合すると共
に、エチレンビスステアリルアミド1部、ジフェニルイ
ソデシルホフファイト0.1部を加え、ヘンシェルミキ
サーで混合した。次に、40mmφ単軸押出機により混
練温度220℃で押出し、ペレット化した。得られた樹
脂組成物は、樹脂組成物に対しゴム質重合体を11重量
%、または24重量%含有したものである。
【0063】
【表2】
【0064】
【表3】
【0065】物性評価を行うため、成形温度230℃、
金型温度60℃の条件で射出成形し、所定の各試験片を
作製した。それについての物性の評価を行った。
【0066】表1〜3より、グラフト重合体中のゴム質
重合体の重量割合と絡合密度の関係から物性を評価する
と、図1の斜線範囲が流動性、衝撃性、成形品の表面外
観の優れた領域であることがわかる。そして、この領域
では、グラフト重合体に対するゴム質重合体の重量割合
を生産性、経済性に有利な45〜85重量%にまで高め
ても、衝撃性、流動性の面で同等以上の特性を有する。
だが、絡合指数が本発明の領域を満足しても、A−14
のように未グラフト重合体の含量が5重量%未満では、
十分な衝撃特性及び表面外観性が得られない。
【0067】
【発明の効果】本発明のグラフト重合体はSANなどに
代表される熱可塑性樹脂と混合することにより成形加工
性や成形品の衝撃強度の向上がみられ、更にこの効果は
生産性、経済性に有利であるゴム質重合体の重量割合の
高い領域において有効であり、家電製品、自動車用部
品、日用雑貨などの成形材料として好適であり、この効
果は該グラフト重合体の絡合指数及び該グラフト重合体
に占める非グラフト重合体の重量割合を規定することに
より発揮されるものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明で特定されるグラフト重合体中のゴム質
重合体の重量割合と絡合指数Deとの関係を示す相関図
である。
【図2】実施例で使用された各グラフト共重合体のゴム
質重合体含有量と絡合指数Deの関係である。

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】ジエン系ゴム質重合体45〜85重量部の
    存在下に、芳香族ビニル系単量体、シアン化ビニル系単
    量体及びこれらと共重合可能な他のビニル系単量体から
    なる群より選択された一種以上の単量体15〜55重量
    部を重合してなるグラフト重合体であって、該グラフト
    重合体が非グラフト重合体を少なくとも5重量%含み、
    かつグラフト重合体に対するゴム質重合体の重量割合x
    (重量%)と下記式(I)により定義される絡合指数D
    eとが、x/De関係図において、下記式(II)、(II
    I )、(IV)式で結ばれる直線の範囲内にあることをも
    のであるグラフト重合体。 【数1】De=G・Pg/M (I) (ここで、Gはグラフト率(%)、Pgは表面グラフト
    分率(%)、Mは非グラフト重合体の分子量である。) 【数2】 De=(20−0.2・x)/100 (II) De=(0.875+0.025・x)/100 (III) x=45 (IV)
  2. 【請求項2】請求項1のグラフト重合体(A)10〜9
    0重量%と、芳香族ビニル系単量体、シアン化ビニル系
    単量体及びこれらと共重合可能な他のビニル系単量体か
    らなる群より選択された一種以上の単量体を重合してな
    る重合体(B)10〜90重量%とを溶融混練してなる
    熱可塑性樹脂組成物。
  3. 【請求項3】グラフトするビニル系単量体が、芳香族ビ
    ニル系単量体50〜99重量%、シアン化ビニル系単量
    体1〜50重量%、及びこれらと共重合可能な他のビニ
    ル系単量体0〜50重量%からなることを特徴とする請
    求項1のグラフト重合体。
  4. 【請求項4】非グラフト重合体の分子量Mが、メチルエ
    チルケトン溶媒、30℃における極限粘度から求められ
    る粘度平均分子量であることを特徴とする請求項1のグ
    ラフト重合体。
  5. 【請求項5】重合体(B)のメチルエチルケトン溶媒、
    30℃における極限粘度が0.3〜1dl/gである請
    求項2記載の熱可塑性樹脂組成物。
  6. 【請求項6】請求項1、3、4いずれかのグラフト重合
    体(A)と、芳香族ビニル系単量体、シアン化ビニル系
    単量体及びこれらと共重合可能な他のビニル系単量体か
    らなる群より選択された一種以上の単量体を重合してな
    る重合体(B)10〜90重量%とを溶融混練すること
    を特徴とする熱可塑性樹脂組成物の製造方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2014080486A (ja) * 2012-10-16 2014-05-08 Nippon A&L Inc ゴム変性熱可塑性エラストマー

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