JPH1180496A - 熱可塑性樹脂組成物及びその製造方法 - Google Patents

熱可塑性樹脂組成物及びその製造方法

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JPH1180496A
JPH1180496A JP24319197A JP24319197A JPH1180496A JP H1180496 A JPH1180496 A JP H1180496A JP 24319197 A JP24319197 A JP 24319197A JP 24319197 A JP24319197 A JP 24319197A JP H1180496 A JPH1180496 A JP H1180496A
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JP
Japan
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weight
graft polymer
graft
monomer
polymer
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JP24319197A
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English (en)
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Ryota Kido
良太 城戸
Masato Honma
雅登 本間
Shinichi Tamura
真一 田村
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Toray Industries Inc
Original Assignee
Toray Industries Inc
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Abstract

(57)【要約】 (修正有) 【課題】良好な耐衝撃性、耐熱性、表面外観、成形加工
性を有し、経済性、生産性及び滞留熱安定性に優れた熱
可塑性樹脂組成物を提供すること。 【解決手段】ジエン系ゴム質重合体の存在下に、芳香族
ビニル系単量体、シアン化ビニル系単量体、他のビニル
系単量体を重合してなるグラフト重合体組成物であっ
て、グラフト重合体のグラフト率が10%以上、非グラ
フト重合体のグラフト重合体組成物に占める重量割合が
5重量%以上であり、かつ非グラフト重合体の極限粘度
が0.3dl/g(メチルエチルケトン、30℃)以下
であるグラフト重合体組成物(A)1〜50重量部、芳
香族ビニル系単量体50〜99重量%、シアン化ビニル
系単量体1〜50重量%、他のビニル系単量体0〜50
重量%からなる重合体(B)0〜60重量部、ポリカー
ボネート樹脂(C)1〜90重量部からなる熱可塑性樹
脂組成物。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、良好な耐衝撃性、
耐熱性、表面外観、成形加工性を有し、経済性、生産性
及び滞留熱安定性に優れた熱可塑性樹脂組成物に関する
ものである。
【0002】
【従来の技術】アクリロニトリル−ブタジエン−スチレ
ン共重合体(ABS樹脂)は、マトリックス樹脂中にゴ
ム質重合体粒子が分散することで耐衝撃性の優れた樹脂
として知られている。しかし耐熱性が不十分であるた
め、過酷な条件下での使用は制限されている。そこでこ
のABS樹脂の耐熱性を補うためポリカーボネート樹脂
とのブレンドが近年よく用いられている。ポリカーボネ
ート樹脂は優れた機械的性質、耐衝撃性、耐熱性、成形
加工性などを有しており、エンジニアリングプラスチッ
クとして広く利用されている。
【0003】一方、ABS樹脂においては、ゴム質重合
体粒子とマトリックス樹脂であるAS(アクリロニトリ
ル−スチレン)樹脂との相容性を高め、かつゴム質重合
体を均一に分散させるためには、このゴム質重合体粒子
にAS成分をグラフトすることが必要である。
【0004】このグラフト重合には重合安定性、グラフ
ト特性のコントロールの点から乳化重合法が一般的であ
るが、凝固などの複雑なプロセスが含まれるので経済
性、生産性の点で不利である。これに対しマトリックス
樹脂であるAS樹脂は塊状重合、懸濁重合などの比較的
安価なプロセスで製造可能であるため、ABS樹脂の製
造にはグラフト重合体組成物とマトリックス樹脂をブレ
ンドする方法が広く用いられている。そして、生産性、
経済性の観点から、ゴム質重合体の含量の高いグラフト
重合体をブレンドする方法が一層有利である。
【0005】ABS/ポリカーボネート樹脂のブレンド
においても、ゴム質重合体含量一定の組成物を得るに
は、グラフト重合体組成物中のゴム質重合体含量が高い
ほどグラフト重合体組成物の使用量を抑えることができ
るため、経済性、生産性の面で有利であることは明らか
である。
【0006】また、従来ABS/ポリカーボネート樹脂
ブレンドでは、乳化重合法で得られたグラフト重合体組
成物中に残留した乳化剤がポリカーボネート樹脂を加水
分解するため、得られる組成物の機械的強度、耐衝撃
性、耐熱性、滞留熱安定性が悪化するということが問題
となっている。この点についてもグラフト重合体組成物
中のゴム質重合体含量を高めるほど、グラフト重合体組
成物の使用量を抑えることが可能であり、これに伴い残
留乳化剤量を少なくでき、上記問題を改善することが期
待できる。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、ABS
/ポリカーボネート樹脂のブレンドに使用されるグラフ
ト重合体組成物中のゴム質重合体含量を高めるとグラフ
ト成分の相対的不足からゴム質重合体粒子が分散せず、
更にはゴム質重合体粒子同士が凝集を起こして耐衝撃性
及び表面外観が著しく悪化するため、グラフト重合体組
成物中のゴム質重合体含量は十分に高められることなく
使用されてきた。
【0008】本発明の目的は、グラフト重合体組成物中
のゴム質重合体含量の極めて高いABS樹脂とポリカー
ボネート樹脂とのブレンドにおいて、ゴム質重合体粒子
同士の凝集を抑え、耐衝撃性、表面外観や他の物性に優
れた樹脂組成物を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明者らは上記課題の
解決を鋭意検討した結果、グラフト重合体及び非グラフ
ト重合体の特性をコントロールすることによって従来よ
り高いゴム含量のグラフト重合体を用い、さらに、良好
な耐衝撃性、耐熱性、表面外観、成形加工性などの特性
を維持したまま、経済性、生産性、更には滞留熱安定性
を著しく高めることができることを見出した。
【0010】即ち、本発明は、「ジエン系ゴム質重合体
65〜85重量部の存在下に、芳香族ビニル系単量体、
シアン化ビニル系単量体及びこれらと共重合可能な他の
ビニル系単量体からなる群より選択された一種以上の単
量体15〜35重量部を重合してなるグラフト重合体お
よび非グラフト重合体からなるグラフト重合体組成物で
あって、グラフト重合体のグラフト率が10%以上、非
グラフト重合体のグラフト重合体組成物に占める重量割
合が5重量%以上であり、かつ非グラフト重合体のメチ
ルエチルケトン溶媒、30℃で測定した極限粘度が0.
3dl/g以下であるグラフト重合体組成物(A)1〜
50重量部、芳香族ビニル系単量体50〜99重量%、
シアン化ビニル系単量体1〜50重量%、及びこれらと
共重合可能な他のビニル系単量体0〜50重量%からな
る重合体(B)0〜60重量部、ポリカーボネート樹脂
(C)1〜90重量部からなる熱可塑性樹脂組成物」で
ある。
【0011】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態を具体
的に説明する。本発明で重量とは質量を意味する。
【0012】本発明で用いられるグラフト重合体組成物
(A)中のジエン系ゴム質重合体としては、共役ジエン
を主成分とした重合体または共重合体が好適である。こ
のうち共役ジエンの含有量は75重量%以上、特に85
重量%以上が好ましい。具体的には、ポリブタジエン、
スチレン−ブタジエン共重合体、アクリロニトリル−ブ
タジエン共重合体、アクリル酸ブチル−ブタジエン共重
合体およびイソプレンゴムなどを使用することができ
る。
【0013】これらのジエン系ゴム質重合体の平均粒子
径は通常は0.1〜0.6μmのものを用いるが、特に
0.2〜0.4μmのものが好ましく用いられる。ま
た、ゲル含有率については、熱可塑性樹脂とブレンドし
たときの耐衝撃性を考慮して、60重量%以上が好まし
い。ここでゲル含有率とは、ゴム質重合体のラテックス
を凝固・乾燥した後のトルエン不溶分の重量分率を示
す。
【0014】本発明において、上記ゴム質重合体の存在
下にグラフト重合する単量体は、芳香族ビニル系単量体
およびシアン化ビニル単量体、必要に応じこれらと共重
合可能な他の単量体の混合物である。
【0015】ここで、本発明のグラフト重合体組成物
(A)はジエン系ゴム質重合体65〜85重量部、好ま
しくは70〜80重量部に対し、芳香族ビニル系単量
体、シアン化ビニル系単量体及びこれらと共重合可能な
他のビニル系単量体からなる単量体混合物15〜35重
量部、好ましくは20〜30重量部をグラフト重合する
ことにより得られる。ゴム質重合体が85重量部を越え
るとグラフト率の相対的低下により熱可塑性樹脂の耐衝
撃性が低下する。65重量部未満では耐熱性、耐衝撃
性、滞留熱安定性が悪化し、また経済性及び生産性を高
めるという本発明の意図するところではない。
【0016】グラフトを目的とする成分である芳香族ビ
ニル系単量体としてはスチレン、α−メチルスチレン、
p−メチルスチレン、ビニルトルエン、t−ブチルスチ
レン、o−エチルスチレン、o−クロロスチレンおよび
o,p−ジクロロスチレンなどが挙げられるが、特にス
チレンが好ましく用いられる。これらは1種または2種
以上を併用してもよい。
【0017】シアン化ビニル系単量体としては、アクリ
ロニトリル、メタクリロニトリルおよびエタクリロニト
リルなどが挙げられるが、特にアクリロニトリルが好ま
しい。これらは1種または2種以上を併用してもよい。
【0018】また、これらと共重合可能な他の単量体と
しては、不飽和カルボン酸系単量体、不飽和カルボン酸
無水物系単量体、不飽和カルボン酸エステル系単量体、
またはマレイミド系単量体などを用いることができる。
具体的には、(メタ)アクリル酸、無水マレイン酸、
(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチ
ル、(メタ)アクリル酸n−プロピル、(メタ)アクリ
ル酸n−ブチル、(メタ)アクリル酸t−ブチル、(メ
タ)アクリル酸n−ヘキシル、(メタ)アクリル酸クロ
ロメチル、N−メチルマレイミド、N−エチルマレイミ
ド、N−シクロヘキシルマレイミド、N−フェニルマレ
イミドを使用できる。
【0019】ここで、グラフト重合する芳香族ビニル系
単量体の割合は全ビニル系単量体に対し好ましくは50
〜99重量%、より好ましくは60〜90重量%、さら
に好ましくは70〜80重量%であり、シアン化ビニル
系単量体の割合は好ましくは1〜50重量%、より好ま
しくは10〜40重量%、さらに好ましくは20〜30
重量%である。芳香族ビニル系単量体の割合が99重量
%を越えても50重量%未満でも、またシアン化ビニル
系単量体の割合が50重量%を超えても、1重量%未満
でも他のブレンド成分との相溶性低下等が発生し、目標
の樹脂特性が得られない場合がある。また、これらと共
重合可能な他のビニル系単量体は50重量%以下で用い
ることが好ましい。
【0020】本発明におけるポリカーボネート樹脂
(C)としては、一般には2,2−ビス(4−オキシフ
ェニル)アルカン系、ビス(4−オキシフェニル)エ−
テル系、ビス(4−オキシフェニル)スルホン、スルフ
ィドまたはスルホキサイド系などのビスフェノ−ル類か
らなる重合体、もしくは共重合体である。ポリカ−ボネ
−ト樹脂は任意の方法によって製造される。例えば、
4,4´−ジヒドロキシジフェニル−2,2−プロパン
(通称ビスフェノ−ルA)からのポリカ−ボネ−ト樹脂
の製造には、苛性アルカリ水溶液および溶剤存在下にホ
スゲンを吹き込んで製造するホスゲン法、または4,4
´−ジヒドロキシジフェニル−2,2−プロパンと炭酸
ジエステルとを触媒存在下でエステル交換させて製造す
る方法などが利用できる。
【0021】ポリカーボネート樹脂の分子量は特に制限
されないが、テトラヒドロフラン溶媒で30℃測定の極
限粘度が0.35〜0.55dl/g、特に0.40〜
0.50dl/gの範囲のものが得られる熱可塑性樹脂
組成物の耐衝撃性と溶融成形時の流動性のバランスに優
れ好ましい。
【0022】グラフト重合体組成物(A)とポリカーボ
ネート樹脂(C)とに芳香族ビニル系重合体(B)をブ
レンドすることにより目的とする樹脂特性のバランスを
容易にコントロールすることができる。芳香族ビニル系
重合体(B)とは、芳香族ビニル系単量体50〜99重
量%、シアン化ビニル系単量体1〜50重量%、及びこ
れらと共重合可能な他のビニル系単量体0〜50重量%
からなる重合体である。芳香族ビニル系単量体としては
スチレン、α−メチルスチレン、p−メチルスチレン、
ビニルトルエン、t−ブチルスチレン、o−エチルスチ
レン、o−クロロスチレンおよびo,p−ジクロロスチ
レンなどが挙げられるが、特にスチレンが好ましく用い
られる。これらは1種または2種以上を併用してもよ
い。
【0023】シアン化ビニル系単量体としては、アクリ
ロニトリル、メタクリロニトリルおよびエタクリロニト
リルなどが挙げられるが、特にアクリロニトリルが好ま
しい。これらは1種または2種以上を併用してもよい。
【0024】また、これらと共重合可能な他の単量体と
しては、不飽和カルボン酸系単量体、不飽和カルボン酸
無水物系単量体、不飽和カルボン酸エステル系単量体、
またはマレイミド系単量体などを用いることができる。
具体的には、(メタ)アクリル酸、無水マレイン酸、
(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチ
ル、(メタ)アクリル酸n−プロピル、(メタ)アクリ
ル酸n−ブチル、(メタ)アクリル酸t−ブチル、(メ
タ)アクリル酸n−ヘキシル、(メタ)アクリル酸クロ
ロメチル、N−メチルマレイミド、N−エチルマレイミ
ド、N−シクロヘキシルマレイミド、N−フェニルマレ
イミドを使用できる。
【0025】芳香族ビニル系単量体の割合は全単量体に
対し50〜99重量%、好ましくは60〜90重量%、
より好ましくは70〜80重量%であり、シアン化ビニ
ル系単量体の割合は1〜50重量%、好ましくは10〜
40重量%、より好ましくは20〜30重量%である。
芳香族ビニル系単量体の割合が99重量%を越えても5
0重量%未満でも、またシアン化ビニル系単量体の割合
が50重量%を超えても、1重量%未満でも他のブレン
ド成分との相溶性低下等から目標の樹脂特性を得ること
ができない。
【0026】また、これらと共重合可能な他のビニル系
単量体は50重量%以下で用いることにより本発明の目
的を達成させることが可能である。
【0027】本発明の樹脂組成物は上記のグラフト重合
体組成物(A)、重合体(B)及びポリカーボネート樹
脂(C)を溶融混練することにより得られる。溶融混練
法には特に制限はなく、例えば単軸の押出機などを用い
た簡便な方法でも可能である。
【0028】ここで、グラフト重合体組成物(A)は1
〜50重量部であることが必要であり、好ましくは3〜
40重量部で用いられる。1重量部未満では得られる樹
脂組成物の耐衝撃性が十分でなく、50重量部を超える
と耐熱性に劣る。
【0029】重合体(B)は0〜60重量部の範囲で用
いれば目的とする樹脂特性のバランスを容易にコントロ
ールすることができる。
【0030】ポリカーボネート樹脂(C)は1〜90重
量部であることが必要であり、好ましくは5〜80重量
部で用いられる。1重量部未満では耐熱性に劣り、90
重量部を超えると耐衝撃性、成形加工性が悪化する。
【0031】ここで、本発明の目的を達成するために
は、グラフト重合体組成物(A)の特性は以下のように
設定する必要がある。まず、ゴム質重合体に対するグラ
フト成分の重量割合(グラフト率)は10%以上、好ま
しくは15%以上である。グラフト率が10%未満であ
ると溶融混練時にゴム質重合体同士が凝集を起こして、
樹脂の表面外観を著しく損ない、また耐衝撃性が十分に
発揮できないため好ましくない。また、グラフト重合の
過程で発生する非グラフト重合体の割合はグラフト重合
体組成物に対し5重量%以上、好ましくは8重量%以上
であり、かつ非グラフト重合体のメチルエチルケトン溶
媒、30℃で測定した極限粘度が0.3dl/g以下、
好ましくは0.1〜0.28dl/gである。
【0032】非グラフト重合体の割合がグラフト重合体
組成物に対し5重量%未満では、溶融混練の際、ゴム質
重合体が凝集を起こして、成形品表面外観や衝撃特性を
低下させる。
【0033】本発明におけるグラフト重合体組成物
(A)に含まれる非グラフト重合体は、一般的に用いら
れるSAN樹脂等よりも低分子量化していることが特徴
であり、これによりグラフト重合体組成物自体の溶融流
動性が飛躍的に向上する。同時に、溶融混練後のゴム質
重合体のマトリックスへの均一分散性を高め、表面外観
特性や耐衝撃性を高める効果を有する。非グラフト重合
体の極限粘度が0.3dl/gを越えるとこの効果は損
なわれてしまう。
【0034】また、重合体(B)のメチルエチルケトン
溶媒、30℃で測定した極限粘度は0.3〜1.0dl
/g、好ましくは0.4〜0.8dl/gである。0.
3dl/g未満では樹脂組成物が脆弱化し、1.0dl
/g以上では流動性が悪化する。
【0035】各成分の製造方法については、特に制限は
なく一般的に公知な手法により製造することができる。
【0036】例えば、グラフト重合体組成物(A)は、
乳化グラフト重合により得ることができる。ここで使用
する乳化剤、重合開始剤及び連鎖移動剤は通常の乳化重
合で用いられる試薬を使用できる。代表的な乳化剤とし
てはロジン酸カリウム、ステアリン酸カリウム及びオレ
イン酸カリウムなどが、重合開始剤としては有機ハイド
ロパーオキサイドと含糖ピロリン酸−硫酸第一鉄の併用
系及び過流酸塩などが、また連鎖移動剤としてはアルキ
ルチオール化合物が好ましいが、本発明はそれに限定し
たものではない。
【0037】重合体(B)及びについては、溶液重合、
乳化重合、懸濁重合、塊状重合などで製造できるが、工
業的には塊状重合か懸濁重合が好ましい。
【0038】そして、目的の範囲内の特性をもつ各重合
体成分を得るには、重合時間、重合温度、重合開始剤の
種類、量及び添加方法、連鎖移動剤の種類、量及び添加
方法、単量体の組成比、添加時間及び添加方法、また乳
化重合を選択した場合は乳化剤の種類、量及び添加方法
で対応が可能である。
【0039】また、目的に応じてカーボンブラック、チ
タン化合物及び各種の色素を付与する顔料や染料、リン
系、フェノール系の安定剤、ハロゲン系化合物、アンチ
モン化合物、金属水酸化物などの難燃剤、フェノール
系、ホスファイト系及びイオウ系などの酸化防止剤、ヒ
ンダードフェノール系、ベンゾトリアゾール系、ベンゾ
フェノン系、ベンゾエート系及びシアノアクリレート系
の紫外線吸収剤、ワックス、高級脂肪酸や酸エステル系
及び酸アミド系、更に高級アルコールなどの滑剤及び可
塑剤、アミン系、スルホン酸系、ポリエーテル系などの
帯電防止剤、ガラス繊維、タルク、鉱物などのフィラー
等を添加することもできる。
【0040】
【実施例】以下、実施例により本発明をさらに詳しく説
明する。
【0041】本発明の重合体及びグラフト重合体組成物
の分析法を以下に示す。
【0042】(1)重合体(B) 重合の完結した重合体を十分乾燥した後、0.4g/1
00ccのメチルエチルケトン溶液とし、30℃の恒温
槽内で極限粘度の測定を行った。
【0043】(2)グラフト重合体のグラフト率及び非
グラフト重合体の重量割合 グラフト重合体組成物の所定量M(g)にアセトンを加
え、4時間還流した。この溶液を9,000rpmで3
0分間遠心分離後、不溶分を濾過した。この不溶分を6
0℃で5時間減圧乾燥し、重量N(g)を測定した。グ
ラフト率Gは次式により算出した。 G=100×(N−M×L)/(M×L) ここで、Lはグラフト重合体組成物中のゴム質重合体の
含有率を表す。
【0044】また、非グラフト重合体の重量割合Fは、
Gを用いて次式により算出した。
【0045】F=100×(M−N)/M
【0046】(3)非グラフト重合体の極限粘度 グラフト率測定に使用したアセトン溶液から不溶分を濾
過した後、濾液からアセトンを蒸発させ、その残留分に
メタノールを添加して非グラフト重合体を抽出した。そ
の抽出物を60℃で3時間減圧乾燥した後、非グラフト
重合体0.4gをメチルエチルケトンに溶解し、100
ccの溶液を調製した。この溶液を30℃の恒温槽内で
極限粘度の測定を行った。
【0047】次に、実施例で用いた各種の物性評価法を
以下に示す。
【0048】(1)メルトフローレート JIS K6719に従って測定した。 測定温度:260℃ 荷 重:2.16kg
【0049】(2)アイゾット衝撃強度(通常成形) ASTM D−256で測定した。 (1/2インチ、ノッチ付き、23℃) 成形はシリンダー温度260℃、金型の型締時間45秒
で行った。
【0050】(3)アイゾット衝撃強度(滞留成形) ASTM D−256で測定した。 (1/2インチ、ノッチ付き、23℃) 成形はシリンダー温度300℃、金型の型締時間180
秒で行った。
【0051】(4)フィッシュアイ 成形前の樹脂ペレット約10gを260℃で加熱プレス
後、延伸することにより厚さ10μmのフィルムを作成
した。このフィルム100×200mm中に含まれてい
るゴム状の塊(フィッシュアイ)の数を目視により測定
した。表面の滑らかなフィルムはフィッシュアイ数が1
00mm2あたり1以下の場合であり、このとき成形品
の表面外観は良好である。また、フィッシュアイ数が1
00mm2あたり5を越えると成形品外観を著しく損な
うものである。
【0052】(5)熱変形温度 ASTM D−648に従って測定した。 (18.6kg/cm2荷重下)
【0053】[グラフト重合体組成物(A)の製造方
法]表1に記した組成でジエン系ゴム質重合体(PB
D)のラテックスをガラス製反応容器に仕込み、さらに
撹袢しながらイオン交換水に溶解したブドウ糖、ピロリ
ン酸ナトリウム、硫酸第一鉄を仕込み、反応容器内の温
度を65℃まで昇温した。
【0054】この混合液に、表1に示した所定のスチレ
ン(ST)、アクリロニトリル(AN)及びt−ドデシ
ルメルカプタンからなる混合液、そしてクメンハイドロ
パーオキサイドのオレイン酸カリウム水溶液を別々にそ
れぞれ3時間、4時間にわたって連続滴下して重合を完
結させた。重合率は全て95〜99%の範囲であった。
【0055】得られたグラフト重合体組成物のラテック
スを硫酸で凝固し、水酸化ナトリウムで中和後、水洗、
脱水、乾燥してグラフト重合体組成物パウダーを得た。
各グラフト重合体のグラフト率(G)、非グラフト重合
体の重量割合(F)及びメチルエチルケトン可溶分の極
限粘度(η)を表1にまとめた。
【0056】
【表1】
【0057】[重合体(B)の製造方法]スチレン70
重量部、アクリロニトリル30重量部を還流コンデンサ
ー及び攪拌装置を備えた重合槽を用いて懸濁重合を行っ
た。開始剤としてアゾビスイソブチロニトリル0.15
重量部、連鎖移動剤としてt−ドデシルメルカプタン
0.12重量部を用い、ケン化ポリビニルアルコール及
びヒドロキシセルロースを溶解したイオン交換水中で重
合し、5時間で重合を完結した。得られたビーズ状樹脂
の極限粘度を測定した結果、0.45dl/gであっ
た。
【0058】[実施例1〜3、比較例1〜8の製造方
法]上記で調製したグラフト重合体組成物(A)、重合
体(B)及びポリカーボネート樹脂(三菱瓦斯化学工業
(株)製S−2000)(C)をそれぞれ表2に示した
割合で配合すると共に、エチレンビスステアリルアミド
1部、ジフェニルイソデシルホフファイト0.1部を加
え、ヘンシェルミキサーで混合した。次に、40mmφ
単軸押出機により混練温度250℃で押出し、ペレット
化した。得られた樹脂組成物はいずれも、樹脂組成物に
対しゴム質重合体を10重量%含有している。
【0059】物性評価を行うため、成形温度260℃、
金型温度70℃の条件で射出成形し、所定の各試験片を
作製した。それについての物性の評価結果を表2に示
す。
【0060】
【表2】
【0061】実施例および比較例より次のことが明らか
である。
【0062】すなわち、本発明の範囲内であるグラフト
重合体組成物を含む樹脂組成物(実施例1〜3)は、い
ずれも成形加工性(メルトフローレート)、耐熱性及び
耐衝撃性のバランスに優れるだけでなく、成形品の表面
外観性も良好であり、また滞留成形時の耐衝撃性の低下
も少ない。
【0063】一方、PBD含量が65〜85重量%であ
っても、そのグラフトにおける特性が本発明の範囲内を
満たしていない樹脂組成物(比較例1〜4)は全体的に
耐衝撃性が低く、メルトフローレートも低いものが多
い。また、フィッシュアイも多く成形品の表面外観性に
劣る傾向がある。特に、非グラフト重合体の重量割合
(F値)が範囲内を下回ると耐衝撃性と成形品表面外観
特性が著しく悪化する。
【0064】PBD含量が50重量%ではグラフト重合
体組成物中の残留乳化剤によるポリカーボネート樹脂の
加水分解のためIzod衝撃及び熱変形温度が低くなっ
ており、滞留成型品のIzod衝撃も大きく低下してい
る。
【0065】PBD含量が90重量%では、グラフト率
とF値の範囲を共に満たすことが不可能であり、樹脂の
物性が特に低い。
【0066】
【発明の効果】本発明の熱可塑性樹脂組成物は、ABS
/ポリカーボネート樹脂ブレンドに代表的な耐熱性、耐
衝撃性、良好な成形品表面外観特性及び成形加工性を維
持したまま経済性、生産性及び滞留熱安定性を向上させ
たことが特徴であり、この効果はブレンドするグラフト
重合体組成物のゴム質重合体の含量、グラフト重合体の
グラフト率、非グラフト重合体の重量割合及びその極限
粘度を所定の範囲にすることにより発揮されるものであ
る。

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】ジエン系ゴム質重合体65〜85重量部の
    存在下に、芳香族ビニル系単量体、シアン化ビニル系単
    量体及びこれらと共重合可能な他のビニル系単量体から
    なる群より選択された一種以上の単量体15〜35重量
    部を重合してなるグラフト重合体および非グラフト重合
    体からなるグラフト重合体組成物であって、グラフト重
    合体のグラフト率が10%以上、非グラフト重合体のグ
    ラフト重合体組成物に占める重量割合が5重量%以上で
    あり、かつ非グラフト重合体のメチルエチルケトン溶
    媒、30℃で測定した極限粘度が0.3dl/g以下で
    あるグラフト重合体組成物(A)1〜50重量部、芳香
    族ビニル系単量体50〜99重量%、シアン化ビニル系
    単量体1〜50重量%、及びこれらと共重合可能な他の
    ビニル系単量体0〜50重量%からなる重合体(B)0
    〜60重量部、ポリカーボネート樹脂(C)1〜90重
    量部からなる熱可塑性樹脂組成物。
  2. 【請求項2】グラフト重合体組成物(A)のグラフト重
    合に供するビニル系単量体が、芳香族ビニル系単量体5
    0〜99重量%、シアン化ビニル系単量体1〜50重量
    %、及びこれらと共重合可能な他のビニル系単量体0〜
    50重量%からなることを特徴とする請求項1に記載の
    熱可塑性樹脂組成物。
  3. 【請求項3】ジエン系ゴム質重合体65〜85重量部の
    存在下に、芳香族ビニル系単量体、シアン化ビニル系単
    量体及びこれらと共重合可能な他のビニル系単量体から
    なる群より選択された一種以上の単量体15〜35重量
    部を重合してなるグラフト重合体および非グラフト重合
    体からなるグラフト重合体組成物であって、グラフト重
    合体のグラフト率が10%以上、非グラフト重合体のグ
    ラフト重合体組成物に占める重量割合が5重量%以上で
    あり、かつ非グラフト重合体のメチルエチルケトン溶
    媒、30℃で測定した極限粘度が0.3dl/g以下で
    あるグラフト重合体組成物(A)1〜50重量部、芳香
    族ビニル系単量体50〜99重量%、シアン化ビニル系
    単量体1〜50重量%、及びこれらと共重合可能な他の
    ビニル系単量体0〜50重量%からなる重合体(B)0
    〜60重量部、ポリカーボネート樹脂(C)1〜90重
    量部を混合することを特徴とする熱可塑性樹脂組成物の
    製造方法。
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