JPH10272314A - エレクトレットおよび用途 - Google Patents

エレクトレットおよび用途

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JPH10272314A
JPH10272314A JP11832197A JP11832197A JPH10272314A JP H10272314 A JPH10272314 A JP H10272314A JP 11832197 A JP11832197 A JP 11832197A JP 11832197 A JP11832197 A JP 11832197A JP H10272314 A JPH10272314 A JP H10272314A
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JP
Japan
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electret
group
catalyst
polyolefin
polyethylene
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Application number
JP11832197A
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English (en)
Inventor
Kazuo Ikezaki
和男 池▲崎▼
Mutsuhiro Tanaka
睦浩 田中
Takashi Akune
隆 阿久根
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Mitsui Chemicals Inc
Original Assignee
Mitsui Chemicals Inc
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 電荷保持性能のある変性ポリマー等の添加物
を使用せずに、室温で荷電しても電荷保持性能に優れる
ポリオレフィンのエレクトレットを提供する。 【解決手段】 シングルサイト触媒を用いる重合法によ
り製造されたポリオレフィン1〜100重量%およびシ
ングルサイト触媒を用いる重合法以外の方法で製造され
たポリオレフィン0〜99重量%を含み、電荷を保持し
た材料からなるエレクトレット。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は半永久的に電荷を保
持させたポリオレフィン系エレクトレットおよびその用
途に関する。また別には、従来知られているポリオレフ
ィン系エレクトレットに比べて極めて高い電荷保持性を
示すポリオレフィン系エレクトレットおよびその用途に
関する。
【0002】
【従来の技術】各種のポリマー材料を荷電して、電荷を
半永久的に保持させ、その結果発生する電界を利用し
て、空気中の塵を吸着させたり、生物の生体反応を促進
させることは知られている。このような半永久的に電荷
を保持した材料はエレクトレットと言われている。
【0003】従来、エレクトレット材料となるポリマー
としてポリテトラフルオロエチレン、ポリプロピレン、
ポリフッ化ビニリデン等が知られているが、たとえばポ
リエチレンだけは荷電しても電荷が逃げて保持されず、
エレクトレットとして利用することが困難と考えられて
いた。このため、不飽和カルボン酸をグラフト共重合さ
せた変性ポリエチレンを少量ポリエチレンに配合して電
荷保持特性を改良し、帯電し易くしてエレクトレットに
する方法が提案されている。
【0004】しかし、このような変性ポリエチレンは製
造コストが高く、したがってこの変性ポリエチレンを配
合したポリエチレンもコスト高になり経済性の面で改善
すべき点があった。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明者らは、このよ
うな電荷保持性能のある変性ポリマー等のポリエチレン
以外のポリマーや添加物を配合することなくポリエチレ
ンを使用しても、室温で荷電してポリエチレン自体に電
荷を安定に保持させることが可能なエレクトレットを得
ようとして鋭意研究した結果、特定の触媒系で重合され
たポリエチレンは極めて安定に電荷を保持できることを
見い出した。そしてこの性質はポリエチレンのみならな
ず、この触媒系で重合された全てのポリオレフィンに認
められること、その電荷保持安定性はポリオレフィンの
融解によってポリマーが溶融し始めるまで大部分の電荷
を保持しており、従来の有機物のエレクトレットでは達
成できなかった無機物のエレクトレットの電荷保持性と
同等であることを見い出した。
【0006】本発明の課題は、ポリオレフィン自体に高
い電荷保持性能を持たせることが可能であり、他の電荷
保持性能を有する変性ポリマーや添加剤を配合しなくて
も、室温で荷電して電荷を保持させ、かつ融点まで高い
電荷保持性能を示すエレクトレット、エレクトレットフ
ィルターおよびこのエレクトレットを用いたコンデンサ
マイクロホンを提供することである。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明は次のエレクトレ
ット、エレクトレットフィルター、およびコンデンサマ
イクロホンである。 (1) シングルサイト触媒を用いる重合法で製造され
たポリオレフィンを含み、電荷を保持した材料からなる
エレクトレット。 (2) シングルサイト触媒を用いる重合法で製造され
たポリオレフィン1〜100重量%、およびシングルサ
イト触媒を用いる重合法以外の方法で製造されたポリオ
レフィン0〜99重量%を含み、電荷を保持した材料か
らなる上記(1)記載のエレクトレット。 (3) シングルサイト触媒がメタロセン触媒またはブ
ルックハート触媒である上記(1)または(2)記載の
エレクトレット。 (4) ポリオレフィンがポリエチレンである上記
(1)ないし(3)のいずれかに記載のエレクトレッ
ト。 (5) シングルサイト触媒を用いる重合法以外の方法
で製造されたポリエチレンが、チーグラー触媒で重合さ
れたポリエチレン、フィリップス触媒で重合されたポリ
エチレンおよび高圧法で製造されたポリエチレンからな
る群から選ばれる少なくとも1種である上記(4)記載
のエレクトレット。 (6) ポリオレフィンがポリプロピレンである上記
(1)ないし(3)のいずれかに記載のエレクトレッ
ト。 (7) シングルサイト触媒を用いる重合法以外の方法
で製造されたポリプロピレンが、チーグラー触媒で重合
されたポリプロピレンである上記(6)記載のエレクト
レット。 (8) シングルサイト触媒を用いる重合法で製造され
たポリオレフィンを含み、電荷を保持した材料からなる
エレクトレットフィルター。 (9) シングルサイト触媒を用いる重合法で製造され
たポリオレフィンを含み、電荷を保持した材料からなる
エレクトレットフィルムを備えたコンデンサマイクロホ
ン。
【0008】《シングルサイト触媒を用いる重合法で製
造されたポリオレフィン》シングルサイト触媒は、活性
点が均一(シングルサイト)である触媒であり、例えば
メタロセン触媒(いわゆるカミンスキー触媒)やブルッ
クハート触媒などがあげられる。例えばメタロセン触媒
は、メタロセン系遷移金属化合物と有機アルミニウム化
合物とからなる触媒で構成されており、無機物に担持さ
れていてもよい。
【0009】メタロセン系遷移金属化合物としては、例
えばIVB族から選ばれた遷移金属〔チタニウム(T
i)、ジルコニウム(Zr)、ハフニウム(Hf)〕
に、シクロペンタジエニル基、置換シクロペンタジエニ
ル基、インデニル基、置換インデニル基、テトラヒドロ
インデニル基、置換テトラヒドロインデニル基、フルオ
ニル基または置換フルオニル基等が1ないし2結合して
いるか、あるいはこれらのうちの二つの基が共有結合で
架橋したものが結合しており、他に水素原子、酸素原
子、ハロゲン原子、アルキル基、アルコキシ基、アリー
ル基、アセチルアセトナート基、カルボニル基、窒素分
子、酸素分子、ルイス塩基、ケイ素原子を含む置換基、
不飽和炭化水素等の配位子を有するものが挙げられる。
【0010】有機アルミニウム化合物としては、アルキ
ルアルミニウム、または鎖状あるいは環状アルミノキサ
ン等が挙げられる。上記アルキルアルミニウムとして
は、トリエチルアルミニウム、トリイソブチルアルミニ
ウム、ジメチルアルミニウムクロリド、ジエチルアルミ
ニウムクロリド、メチルアルミニウムジクロリド、エチ
ルアルミニウムジクロリド、ジメチルアルミニウムフル
オリド、ジイソブチルアルミニウムハイドライド、ジエ
チルアルミニウムハイドライド、エチルアルミニウムセ
スキクロリド等が挙げられる。
【0011】また前記鎖状あるいは環状アルミノキサン
は、アルキルアルミニウムと水を接触させることにより
生成される。例えば重合時にアルキルアルミニウムを加
えておいて、後で水を添加するか、あるいは錯塩の結晶
水または有機、無機化合物の吸着水とアルキルアルミニ
ウムとを反応させることにより得られる。
【0012】前記ブルックハート触媒は下記一般式
(1)で表わされる遷移金属化合物からなる触媒であ
り、通常有機アルミニウム化合物、イオン化イオン性化
合物、アルキルボロン酸誘導体などと組合せて用いられ
る。
【0013】
【化1】 〔式中、MはVIII族から選ばれる遷移金属を示す。X1
およびX2はそれぞれ同一または相異なり、窒素原子ま
たはリン原子を示す。R1およびR2はそれぞれ同一また
は相異なり、水素原子または炭化水素基を示す。
【化2】 (ただし、R6、R7、R8、R9、R10、R11、R12、R
13、R14、R15およびR 16はそれぞれ同一または相異な
り、水素原子または炭化水素基を示す。)を示す。mお
よびnはそれぞれ1または2であって、X1およびX2
価数を満たす数である。R4およびR5は同一または相異
なり、水素原子、ハロゲン原子、炭化水素基、OR17
−SR18、−N(R19)2または−P(R20)2(ただし、R
17〜R20はそれぞれ炭化水素基または有機シリル基を示
す。なおR19同士またはR20同士は互いに連結して環を
形成していてもよい。)を示す。またR4およびR5は連
結して環を形成していてもよい。またR1、R2、R6
7、R8、R9、R10、R11、R12、R13、R14、R15
およびR16は、これらの2個以上が相互に連結して環を
形成していてもよい。〕
【0014】一般式(1)においてMはVIII族の遷移金
属であり、好ましくはニッケル、パラジウムまたは白金
である。一般式(1)においてR1またはR2、あるいは
6〜R16で示される原子または基の具体的なものとし
ては、水素原子;メチル基、エチル基、n−プロピル
基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、s
ec−ブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、ヘ
キシル基等の炭素数1〜20の直鎖もしくは分岐状の飽
和もしくは不飽和アルキル基;フェニル基、ナフチル基
等の炭素数6〜20のアリール基;これらのアリール基
にメチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル
基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、
tert−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基等の置換
基が1〜5個置換した置換アリール基などがあげられ
る。R1とR2とは同一であっても、異なっていてもよ
い。
【0015】一般式(1)においてR4およびR5で示さ
れる原子または基の具体的なものとしては、水素原子;
塩素、臭素、フッ素、ヨウ素等のハロゲン原子;メチル
基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−
ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert
−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基等の炭素数1〜2
0の直鎖もしくは分岐状の飽和もしくは不飽和アルキル
基;フェニル基、ナフチル基等の炭素数6〜20のアリ
ール基;ベンジル基等の炭素数7〜20のアラルキル基
などがあげられる。これらのアリール基、アラルキル基
にはメチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピ
ル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル
基、tert−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基など
の置換基が1個以上置換していてもよい。
【0016】また一般式(1)におけるR17〜R20の基
の具体的なものとしては、メチル基、エチル基、n−プ
ロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル
基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、ペンチル
基、ヘキシル基等の炭素数1〜20の直鎖もしくは分岐
状の飽和もしくは不飽和アルキル基;シクロヘキシル基
等の炭素数6〜20のシクロアルキル基;フェニル基、
ナフチル基等の炭素数6〜20のアリール基;ベンジル
基等の炭素数7〜20のアラルキル基;メチルシリル
基、ジメチルシリル基、トリメチルシリル基、エチルシ
リル基、ジエチルシリル基、トリエチルシリル基等の有
機シリル基などがあげられる。上記アリール基、アラル
キル基にはメチル基、エチル基、n−プロピル基、イソ
プロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブ
チル基、tert−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基
などの置換基が1個以上置換していてもよい。R4とR5
とは同一であっても、異なっていてもよい。
【0017】前記一般式(1)で表される遷移金属化合
物と組合せて用いる有機アルミニウム化合物としては、
前記メタロセン系遷移金属化合物とともに用いる前記有
機アルミニウム化合物と同様のものがあげられる。また
前記イオン化イオン性化合物としては、イオン性化合
物、ボラン化合物、カルボラン化合物などがあげられ
る。
【0018】前記シングルサイト触媒は無機物に担持さ
せて用いるのが好ましく、この場合担持させる無機物と
しては、シリカゲル、ゼオライト、珪藻土等が挙げられ
る。
【0019】シングルサイト触媒を用いてポリオレフィ
ンを製造する場合、1種類のα−オレフィンだけで単独
重合してもかまわないが、耐衝撃性や柔軟性を向上させ
るため、あるいは低密度化のため等で2種類以上のα−
オレフィンを共重合することもできる。α−オレフィン
としては、例えばエチレン、プロピレン、1−ブテン、
3−メチル−1−ペンテン、4−メチル−1−ペンテ
ン、1−ヘキセン、1−オクテン、1−デセンなどの炭
素数2〜20、好ましくは2〜8のα−オレフィンがあ
げられる。2種以上のα−オレフィンを共重合する場
合、主たるモノマーに対するコモノマーとなるα−オレ
フィンの量は、0.01〜30モル%とすることが好ま
しい。
【0020】重合方法としては、塊状重合、溶液重合、
懸濁重合、気相重合等が挙げられ、またこれらの重合は
バッチ法であっても連続法であっても良い。また、重合
条件は通常、重合温度;−100〜250℃、重合時
間;5分〜10時間、反応圧力;常圧〜300Kg/c
2(ゲージ圧)である。
【0021】シングルサイト触媒で重合されたポリオレ
フィンのうち、好適なものはたとえばポリエチレンおよ
びポリプロピレンである。ポリエチレンの具体的なもの
としては、例えばエチレンホモポリマー、エチレン・プ
ロピレンランダムコポリマー、エチレン・プロピレンブ
ロックコポリマー、エチレン・1−ヘキセンランダムコ
ポリマー、エチレン・1−ヘプテンランダムコポリマ
ー、エチレン・プロピレン・1−ブテンランダムコポリ
マーなどがあげられる。
【0022】ポリプロピレンの具体的なものとしては、
例えばプロピレンホモポリマー、プロピレン・エチレン
ランダムコポリマー、プロピレン・エチレンブロックコ
ポリマーなどがあげられる。またシングルサイト触媒に
より立体規則性に特徴を出して、通常のアイソタクチッ
ク構造のほかにシンジオタクチック構造のポリプロピレ
ンを用いてもよい。
【0023】《シングルサイト触媒を用いる重合法以外
の方法で製造されるポリオレフィン》シングルサイト触
媒による重合法以外の方法で製造されるポリオレフィン
としては、どのような方法で得られたものでもよい。例
えばポリエチレンとしては、チーグラー触媒で重合され
るポリエチレン、フィリップス触媒で重合されるポリエ
チレン、高圧法で製造されるポリエチレンなどがあげら
れるが、これらに限定されない。チーグラー触媒は第IV
〜VI族の遷移金属化合物と第I〜III族の金属アルキル
化合物からなる複合触媒である。第IV〜VI族の遷移金属
化合物としては、チタン、バナジウム、クロム、ジルコ
ニウム、ニオブ、モリブデン化合物等があげられる。第
I〜III族の金属アルキル化合物としては、マグネシウ
ム、アルミニウム、亜鉛のアルキル化合物等があげられ
る。このようなチーグラー触媒の代表例はチタン系触媒
である。
【0024】シングルサイト触媒による重合法以外の方
法で製造されるポリプロピレンとしては、チーグラー触
媒で重合されたポリプロピレンがあげられる。ポリプロ
ピレン用のチーグラー触媒としては、三塩化チタンとジ
エチルアルミニウムクロリド等のトリハロゲン化チタン
化合物とハロゲン化アルキルアルミニウムとの組合せの
他に、ハロゲン、マグネシウム、電子供与体、チタンを
必須成分として含むチタン触媒成分とトリアルキルアル
ミニウムおよび電子供与体との組合せがあげられる。
【0025】本発明で使用するポリオレフィンには、ポ
リオレフィン以外の他の熱可塑性樹脂、耐熱安定剤、耐
候安定剤、染料、顔料、天然油、合成油、ワックスなど
を、本発明の目的を損なわない範囲で配合することがで
きる。
【0026】本発明のエレクトレットはシングルサイト
触媒を用いる重合法で製造されたポリオレフィンを含
み、電荷を保持した材料からなるものである。シングル
サイト触媒を用いる重合法で製造されたポリオレフィン
の含有量は1重量%以上であればよく、上記ポリオレフ
ィン単独で用いてもよく、また他の材料と併用してもよ
い。上記ポリオレフィンと併用する材料としては制限は
なく、他のポリマーでもよいが、シングルサイト触媒を
用いる重合法以外の方法で製造されたポリオレフィンが
好ましい。シングルサイト触媒を用いる重合法により製
造されたポリオレフィンと他の方法で製造されたポリオ
レフィンとの割合(重量比)は、1/99〜100/
0、好ましくは50/50〜100/0、さらに好まし
くは70/30〜100/0である。
【0027】本発明のエレクトレットの形状、形態は特
に制限はなく、フィルム、シート、繊維、ストランド、
編織布、不織布など、それぞれの使用形態に合わせて任
意の形状、形態とすることができる。
【0028】本発明のエレクトレットは、前記シングル
サイト触媒により製造されたポリオレフィンを1重量%
以上含むポリオレフィンを任意の形状に成形、加工し、
荷電させてエレクトレット化し、必要により後加工する
ことにより製造される。エレクトレット化の方法として
は、熱エレクトレット化法、エレクトロエレクトレット
化法、ラジオエレクトレット化法等公知の方法が採用で
きる。例えばエレクトロエレクトレット化法を用いる場
合には、室温下または高温下でエレクトレット化しても
よい。
【0029】エレクトレット化は最終製品の形状に成
形、加工した状態で行うことができるが、中間成形品の
状態でエレクトレット化した後最終製品の形状に加工す
ることも可能である。この場合、エレクトレット化する
際のポリオレフィンの形状は、フィルム、シート、繊維
(フィラメント)、不織布、編織布等のいかなる形状で
も良いが、フィルム、繊維(フィラメント)、不織布状
等に成形した状態でエレクトレット化するのが好まし
い。フィルム状で荷電した場合には、その荷電後にフィ
ルムを解繊して繊維状にしてもよく、繊維状で荷電した
ものをその後ストランドにしたり、編織布に加工するこ
とも可能である。
【0030】本発明では、荷電した場合の電荷のトラッ
プサイトとして、シングルサイト触媒を用いる重合法に
より製造されたポリオレフィンが1重量%以上含まれて
いれば、例え他の製造法で製造されたポリオレフィンが
存在していたとしても有効なトラップサイトとして働
き、エレクトレット化により電荷を保持し、永久帯電が
可能となる。
【0031】本発明では、特定の物性、組成のポリオレ
フィンからなるエレクトレットを単独で使用できるほ
か、異なる物性、組成のポリオレフィンを組合せたエレ
クトレットを使用することができる。さらにたとえばポ
リエチレン系エレクトレットと、ポリプロピレン系のよ
うな異なる材料からなるエレクトレットとを、例えば混
紡等の状態で組合せて使用することも可能であり、これ
によりそれぞれの特性を発揮させることもできる。
【0032】本発明のエレクトレットは、半永久的に電
荷を保持しているため、その電荷を利用する状態で使用
することができる。例えばフィルム状、不織布状、網布
状等にすることにより、エアーフィルター等の気体フィ
ルター、コンデンサマイクロホン、仮骨形成促進用の医
療資材、包帯、バンソウコウ等の磁界による生体反応促
進材、ほうき、雑布、モップ、毛ばたき等の清掃用具な
どの用途に使用することができる。
【0033】使用形態はそれぞれの目的に応じて任意で
あるが、本発明のエレクトレットは大部分の電荷が溶融
により初めて消失するので、ポリオレフィンの溶融温度
直前まで使用できる。従来の例えば低密度ポリエチレン
のエレクトレットの場合には、荷電しても数秒ないし数
十秒の極めて短時間のうちに電荷が大幅に減衰し、残在
した電荷も40℃付近まで昇温すると完全に消失してし
まう。低密度ポリエチレンの融点は100℃以上である
が、従来のエレクトレットでは、このような融点付近の
温度までエレクトレットとして使用することができなか
った。
【0034】これに対して本発明のエレクトレットは、
シングルサイト触媒で製造されたポリエチレンが荷電さ
れた電荷が減衰せず、ポリエチレンが融解するまで大部
分の電荷を保持している。従って、本発明のエレクトレ
ットはポリオレフィンが融解し始める高温までエレクト
レットとして使用できる。このような特性は従来の有機
物のエレクトレットでは見られなかった。
【0035】本発明のエレクトレットフィルターは、前
記エレクトレットをフィルム状、不織布状、網布状等に
成形してなるフィルターであり、集塵用のエアーフィル
ター等の気体フィルターなどとして使用することができ
る。例えば集塵用のエアーフィルターの場合、高温の使
用条件下においても、優れた集塵力が長期間発揮され
る。
【0036】本発明のコンデンサマイクロホンは前記エ
レクトレットからなるエレクトレットフィルムを振動板
として備えたマイクロホンである。すなわち、通常のコ
ンデンサマイクロホンは振動板と固定電極とを平行に配
置してコンデンサとし、音により振動板が振動した際の
静電容量の変化を電気信号として取り出し、これにより
音響エネルギーを電気エネルギーに変換する変換器であ
るが、本発明のコンデンサマイクロホンは上記振動板と
して前記エレクトレットからなるフィルムを用いたもの
である。このような本発明のコンデンサマイクロホンは
高温の使用条件下においても、優れた性能が長期間発揮
される。
【0037】
【発明の効果】本発明のエレクトレットは、シングルサ
イト触媒を用いる重合法で製造されたポリオレフィンを
含むため、ポリオレフィン自体に高い電荷保持性能を持
たせることが可能であり、他の電荷保持性能のある変性
ポリマーや添加物を配合しなくても、室温で荷電して電
荷を保持させ、かつ融点まで高い電荷保持性能を示す。
【0038】本発明のエレクトレットフィルターは、上
記エレクトレットからなっているので、高い電荷保持性
能を有しているとともに、その特性が融点まで保持され
る。このため、例えば高温条件下においても優れた集塵
力が長期間発揮される。
【0039】本発明のコンデンサマイクロホンは、上記
エレクトレットからなるフィルムを備えているので、高
温の使用条件下においても優れた性能が長期間発揮され
る。
【0040】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態につい
て説明する。試料用樹脂として下記のものを使用した。 《試料用樹脂1》 線状低密度ポリエチレンA(エチレン・1−ヘキセンラ
ンダム共重合体) ASTM D1258、190℃、2.16kg荷重に
おけるMFR=1.5g/10分、密度=0.916g
/cm3、Mw/Mn=2.1、融点116℃、メタロ
レン触媒で重合 《試料用樹脂2》 線状低密度ポリエチレンB(エチレン・4−メチル−1
−ペンテンランダム共重合体) ASTM D1258、190℃、2.16kg荷重に
おけるMFR=2g/10分、密度=0.920g/c
3、Mw/Mn=3.0、融点120℃、チーグラー
触媒で重合 《試料用樹脂3》 低密度ポリエチレンC(エチレン単独重合体) ASTM D1258、190℃、2.16kg荷重に
おけるMFR=3g/10分、密度=0.920g/c
3、融点111℃、高圧法で重合 《試料用樹脂4》線状低密度ポリエチレンB80重量%
と線状低密度ポリエチレンC20重量%とを溶融ブレン
ドしたもの 《試料用樹脂5》線状低密度ポリエチレンA50重量%
と低密度ポリエチレンB35重量%と低密度ポリエチレ
ンC15重量%とを溶融ブレンドしたもの
【0041】また以下の実施例および比較例で用いた測
定装置を図1に示す。図1において、1は測定室、2は
試料、3はビスマス電極、4は支持電極、5はグリッド
電極、6は温度記録計、7は切換スイッチ、8は電位
計、9は電流計、10、11は記録計である。
【0042】実施例1 《試料の調製》メタロセン触媒により重合して製造され
た線状低密度ポリエチレンA(エチレン・1−ヘキセン
ランダム共重合体)(試料用樹脂1)を溶融押出成形
し、厚さ30μmのフィルムを成形した。このフィルム
から直径25mmの円形試料を切り出し、片面に電極と
してビスマス金属の薄膜を蒸着した。
【0043】《帯電方法》図1に示す測定装置の測定室
1に上記の試料2を装着し、3分間大気・室温中でコロ
ナ帯電を行った。このときビスマス電極3を付けていな
いフィルム面上約2mmの位置におかれたグリッド電極
5に印加するグリッド電圧500Vにより試料2に帯電
する電荷量(表面電位として表わす)を制御した。
【0044】《表面電位減衰の測定》荷電した試料2を
図1の測定室1に装着したまま、切換スイッチ7を電位
計8に接続し、表面電位を室温、大気雰囲気下で測定し
た。電位計8としてはアドバンテスト社製の振動容量型
電位計(TR−8411)を用いた。表面電位減衰の結
果を図2に示す。
【0045】《熱誘起電流スペクトル(TSC)の測
定》次に切換スイッチ7を電流計9に切換え、表面電位
測定後の試料を用いて毎分約3℃の昇温速度で室温から
試料が融解する温度付近まで昇温し、コンタクトレス法
によりTSCを測定した。電流計9としてはKEITH
LEY社製の微小電流計(614エレクトロメーター)
を用いた。TSCスペクトルを図3に、ピーク温度およ
び強度比を表1に示す。
【0046】実施例2および比較例1〜3 表1に示す試料用樹脂を用いて、実施例1と同様に行っ
た。表面電位減衰の結果を図2、熱誘起電流スペクトル
の結果を図4(比較例1)、図5(比較例2)、図6
(実施例2)、TSCスペクトルのピーク温度および強
度比を表1に示す。
【0047】
【表1】 * ショルダの温度
【0048】以上の結果から、シングルサイト触媒で重
合されたポリエチレンまたはこのポリエチレンを含むポ
リエチレン組成物は、電荷保持性能に優れていることが
わかる。
【0049】実施例3 実施例2と同じ試料用樹脂5を用いて、グリッド電極V
gを表2に示すようにコントロールした以外は実施例1
と同様に行った。 《電荷保持特性の評価》熱誘起表面電位減衰の測定によ
り電荷保持特性の評価を行った。このときコロナ帯電し
た試料2のビスマス電極3をアースし、帯電面上部3m
mの位置に電極5をおき、この電極5に誘導された電位
Vs(T)を前記電位計8で試料温度Tの関数として観
測した。試料温度は一定速度(1分間3℃強)で昇温し
た。ただし、グリッド電圧Vg=700Vのときは、帯
電終了後表面電位が急速に減少した。したがって試料2
の熱誘起表面電位減衰の測定開始直前の表面電位Viは
帯電終了後の表面電位よりかなり小さな値になり、その
値を直接知ることはできなかった。このためVg=70
0Vのときは帯電終了後1分間電位減衰をモニターし、
帯電終了後から熱誘起表面電位減衰測定開始までの時間
tを測定しておき、帯電後1分間の減衰量とtの積を帯
電終了直後の表面電位から差し引き、その値を熱誘起表
面電位減衰の測定開始直前の表面電位Viとした。
【0050】《残存電荷の評価》熱誘起表面電位減衰の
測定終了後、試料2を測定室1よりできるだけ速やかに
取出し、試料2に残存している表面電位Vfを測定し
た。以上の結果を表2および図7〜8に示す。
【0051】
【表2】
【0052】実施例3の結果から、シングルサイト触媒
で重合されたポリエチレンを含むポリエチレン組成物
は、正荷電または負荷電しても、組成物が溶融するまで
電荷を保持できることが判る。例えば、300Vに荷電
した試料cを120℃近くまで加熱しても残存電荷が約
150Vと初期の1/2が保持されていることが判る。
この試料cをその後室温・大気下で40時間放置した後
同様に電荷量を測定した試料dは、130Vで一定とな
り、このポリエチレン組成物の半永久帯電量が130V
付近であること、この保持された電荷は試料が溶融しな
い限り保持され続けるので、120℃付近までの高温環
境下でもエレクトレット性能を発現できることが判る。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例で使用した測定装置のブロック図であ
る。
【図2】室温大気下(24℃−44%RH)での各試料
の表面電位減衰試験結果を示すグラフである。
【図3】シングルサイト触媒で重合されたポリエチレン
エレクトレットのTSCスペクトルである。
【図4】チーグラー触媒で重合されたポリエチレンエレ
クトレットのTSCスペクトルである。
【図5】高圧ラジカル法で重合されたポリエチレンエレ
クトレットのTSCスペクトルである。
【図6】シングルサイト触媒で重合されたポリエチレ
ン、チーグラー触媒で重合されたポリエチレンおよび高
圧ラジカル法で重合されたポリエチレンの組成物エレク
トレットのTSCスペクトルである。
【図7】実施例3の試験結果を示すグラフである。
【図8】実施例3の試験結果を示すグラフである。
【符号の説明】
1 測定室 2 試料 3 ビスマス電極 4 支持電極 5 グリッド電極 6 温度記録計 7 切換スイッチ 8 電位計 9 電流計 10、11 記録計

Claims (9)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 シングルサイト触媒を用いる重合法で製
    造されたポリオレフィンを含み、電荷を保持した材料か
    らなるエレクトレット。
  2. 【請求項2】 シングルサイト触媒を用いる重合法で製
    造されたポリオレフィン1〜100重量%、およびシン
    グルサイト触媒を用いる重合法以外の方法で製造された
    ポリオレフィン0〜99重量%を含み、電荷を保持した
    材料からなる請求項1記載のエレクトレット。
  3. 【請求項3】 シングルサイト触媒がメタロセン触媒ま
    たはブルックハート触媒である請求項1または2記載の
    エレクトレット。
  4. 【請求項4】 ポリオレフィンがポリエチレンである請
    求項1ないし3のいずれかに記載のエレクトレット。
  5. 【請求項5】 シングルサイト触媒を用いる重合法以外
    の方法で製造されたポリエチレンが、チーグラー触媒で
    重合されたポリエチレン、フィリップス触媒で重合され
    たポリエチレンおよび高圧法で製造されたポリエチレン
    からなる群から選ばれる少なくとも1種である請求項4
    記載のエレクトレット。
  6. 【請求項6】 ポリオレフィンがポリプロピレンである
    請求項1ないし3のいずれかに記載のエレクトレット。
  7. 【請求項7】 シングルサイト触媒を用いる重合法以外
    の方法で製造されたポリプロピレンが、チーグラー触媒
    で重合されたポリプロピレンである請求項6記載のエレ
    クトレット。
  8. 【請求項8】 シングルサイト触媒を用いる重合法で製
    造されたポリオレフィンを含み、電荷を保持した材料か
    らなるエレクトレットフィルター。
  9. 【請求項9】 シングルサイト触媒を用いる重合法で製
    造されたポリオレフィンを含み、電荷を保持した材料か
    らなるエレクトレットフィルムを備えたコンデンサマイ
    クロホン。
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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2003092792A (ja) * 2001-09-18 2003-03-28 Audio Technica Corp コンデンサマイクロホン
US9301055B2 (en) 2007-02-23 2016-03-29 Panphonics Oy Acoustic actuator plate structure

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