JPH10270168A - エレクトロルミネッセンス素子用蛍光体薄膜 - Google Patents
エレクトロルミネッセンス素子用蛍光体薄膜Info
- Publication number
- JPH10270168A JPH10270168A JP9095131A JP9513197A JPH10270168A JP H10270168 A JPH10270168 A JP H10270168A JP 9095131 A JP9095131 A JP 9095131A JP 9513197 A JP9513197 A JP 9513197A JP H10270168 A JPH10270168 A JP H10270168A
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- thin film
- oxide
- phosphor
- emitting layer
- light emitting
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Pending
Links
Landscapes
- Electroluminescent Light Sources (AREA)
- Luminescent Compositions (AREA)
Abstract
(57)【要約】 (修正有)
【目的】 酸化物蛍光体を利用することによりEL素子
用蛍光体発光層として安定で十分高輝度が得られ、かつ
多色発光を可能とする酸化物蛍光体薄膜発光層を提供す
ることを目的とする。 【構成】この目的は、蛍光体母体に遷移金属元素を付活
剤として添加してなる酸化物薄膜を基体上、例えば強誘
電体焼結チタン酸バリウムセラミックシート上に公知の
方法で酸化物蛍光体母体薄膜を形成し、EL素子用発光
層としての能力を付与した後、EL素子を構成すること
によって達成できる。ここで、Ca及びGaを含む酸化
物蛍光体薄膜において、Gaに対するCaの原子比、即
ちCa/(Ca+Ga)が25%〜60%、好ましくは
30%〜50%であることが重要である。これ以外の組
成範囲ではEL素子用発光層として性能上不十分である
ので好ましくない。
用蛍光体発光層として安定で十分高輝度が得られ、かつ
多色発光を可能とする酸化物蛍光体薄膜発光層を提供す
ることを目的とする。 【構成】この目的は、蛍光体母体に遷移金属元素を付活
剤として添加してなる酸化物薄膜を基体上、例えば強誘
電体焼結チタン酸バリウムセラミックシート上に公知の
方法で酸化物蛍光体母体薄膜を形成し、EL素子用発光
層としての能力を付与した後、EL素子を構成すること
によって達成できる。ここで、Ca及びGaを含む酸化
物蛍光体薄膜において、Gaに対するCaの原子比、即
ちCa/(Ca+Ga)が25%〜60%、好ましくは
30%〜50%であることが重要である。これ以外の組
成範囲ではEL素子用発光層として性能上不十分である
ので好ましくない。
Description
【0001】
【産業上の利用分野】本発明はエレクトロルミネッセン
ス素子用蛍光体薄膜に関する。
ス素子用蛍光体薄膜に関する。
【0002】
【従来の技術】エレクトロルミネッセンス素子(以下E
L素子と呼ぶ)用蛍光体としては、古くから硫化亜鉛
(ZnS)を中心とする硫化物が多用されている。
L素子と呼ぶ)用蛍光体としては、古くから硫化亜鉛
(ZnS)を中心とする硫化物が多用されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、硫化物
系材料をEL素子に適用した場合、環境からの影響を受
けやすい等の問題点があるため、何らかのパッシベーシ
ョンが必要であった。そのため生産コストが上昇するこ
と、また、硫化物系材料の種類は限られており、よって
それを用いたEL素子の発光色も限定され、応用面に制
限を受けること等の問題点も指摘されていた。
系材料をEL素子に適用した場合、環境からの影響を受
けやすい等の問題点があるため、何らかのパッシベーシ
ョンが必要であった。そのため生産コストが上昇するこ
と、また、硫化物系材料の種類は限られており、よって
それを用いたEL素子の発光色も限定され、応用面に制
限を受けること等の問題点も指摘されていた。
【0004】
【課題を解決するための手段】 し
かし、最近、発光層に化学的に安定な酸化物系蛍光体を
用いた高輝度EL素子の研究開発が活発化している(例
えば、申請者らの発明になる特願平2−254649及
び特願平2−256474)。特に基板兼絶縁層として
焼結チタン酸バリウム(BaTiO3)セラミック上に
ケイ酸塩系蛍光体であるMn添加ケイ酸亜鉛(Zn2S
iO4:Mn)なる薄膜発光層を形成したEL素子で、
1kHz駆動時最高3200cd/m2という高輝度緑
色発光を実現している。極最近ではZn2GaO4:Mn
を用いた薄膜EL素子において、1kHz駆動時最高7
10cd/m2の高輝度緑色発光を実現している[特許
申請中:特願平7−212332]。
かし、最近、発光層に化学的に安定な酸化物系蛍光体を
用いた高輝度EL素子の研究開発が活発化している(例
えば、申請者らの発明になる特願平2−254649及
び特願平2−256474)。特に基板兼絶縁層として
焼結チタン酸バリウム(BaTiO3)セラミック上に
ケイ酸塩系蛍光体であるMn添加ケイ酸亜鉛(Zn2S
iO4:Mn)なる薄膜発光層を形成したEL素子で、
1kHz駆動時最高3200cd/m2という高輝度緑
色発光を実現している。極最近ではZn2GaO4:Mn
を用いた薄膜EL素子において、1kHz駆動時最高7
10cd/m2の高輝度緑色発光を実現している[特許
申請中:特願平7−212332]。
【0005】本発明は、上記した課題を解決するため、
従来から利用されている高輝度で発光する硫化物系蛍光
体粉末や上記酸化物系蛍光体粉末が持っている高結晶性
を実現できる酸化物蛍光体を開発し、これを利用するこ
とによりEL素子用蛍光体発光層として安定で十分高輝
度が得られ、かつ多色発光を可能とする酸化物蛍光体薄
膜発光層を提供することを目的とする。
従来から利用されている高輝度で発光する硫化物系蛍光
体粉末や上記酸化物系蛍光体粉末が持っている高結晶性
を実現できる酸化物蛍光体を開発し、これを利用するこ
とによりEL素子用蛍光体発光層として安定で十分高輝
度が得られ、かつ多色発光を可能とする酸化物蛍光体薄
膜発光層を提供することを目的とする。
【0006】この目的は、Ga2O3に希土類(例えば、
ユーロピウム(Eu))、チタニウム(Ti)、バナジ
ウム(V)、クロム(Cr)、あるいはマンガン(M
n)のような遷移金属元素を付活剤として添加するか、
あるいはCa及びGaを同時に含む酸化物に、同様に、
上記付活剤を添加してなる酸化物薄膜を基体上、例えば
誘電率4500程度の焼結チタン酸バリウムセラミック
シート上に以下に述べる公知の方法で形成し、EL素子
用発光層としての能力を付与した後、その上に透明電極
を他面には対向電極を付けてなるEL素子を構成するこ
とによって達成できる。ここで、Ca及びGaを同時に
含む酸化物蛍光体薄膜において、Gaに対するCaの原
子比、即ちCa/(Ca+Ga)が25%〜60%、好
ましくはCaGa2O4組成を含んでいる30%〜50%
であることが重要である。これ以外の組成範囲ではEL
素子用発光層として性能上不十分であるので好ましくな
い。
ユーロピウム(Eu))、チタニウム(Ti)、バナジ
ウム(V)、クロム(Cr)、あるいはマンガン(M
n)のような遷移金属元素を付活剤として添加するか、
あるいはCa及びGaを同時に含む酸化物に、同様に、
上記付活剤を添加してなる酸化物薄膜を基体上、例えば
誘電率4500程度の焼結チタン酸バリウムセラミック
シート上に以下に述べる公知の方法で形成し、EL素子
用発光層としての能力を付与した後、その上に透明電極
を他面には対向電極を付けてなるEL素子を構成するこ
とによって達成できる。ここで、Ca及びGaを同時に
含む酸化物蛍光体薄膜において、Gaに対するCaの原
子比、即ちCa/(Ca+Ga)が25%〜60%、好
ましくはCaGa2O4組成を含んでいる30%〜50%
であることが重要である。これ以外の組成範囲ではEL
素子用発光層として性能上不十分であるので好ましくな
い。
【0007】本発明では、該蛍光体発光層をスパッタ
法、化学気相結晶成長(CVD)法、電子ビーム蒸着法
等の公知の薄膜堆積技術を用いて形成した後、硫黄を含
む雰囲気中にて、または真空中もしくは非酸化性ガス、
あるいは一部酸化性ガス、または一部還元性ガスと硫黄
を含む非酸化性ガス雰囲気中であるいはこれらの雰囲気
と等価な雰囲気中600℃〜1200℃、好ましくは9
00℃〜1100℃の温度範囲で熱処理を施すことによ
り、該蛍光体層にエレクトロルミネッセンス素子用発光
層としての十分な機能を付与することを特徴とする。ま
た、水溶液を用いる通常の方法、例えばゾル−ゲル法を
用いて複合酸化物蛍光体薄膜を作製した後、焼成を経て
該堆積層を形成することも有効である。
法、化学気相結晶成長(CVD)法、電子ビーム蒸着法
等の公知の薄膜堆積技術を用いて形成した後、硫黄を含
む雰囲気中にて、または真空中もしくは非酸化性ガス、
あるいは一部酸化性ガス、または一部還元性ガスと硫黄
を含む非酸化性ガス雰囲気中であるいはこれらの雰囲気
と等価な雰囲気中600℃〜1200℃、好ましくは9
00℃〜1100℃の温度範囲で熱処理を施すことによ
り、該蛍光体層にエレクトロルミネッセンス素子用発光
層としての十分な機能を付与することを特徴とする。ま
た、水溶液を用いる通常の方法、例えばゾル−ゲル法を
用いて複合酸化物蛍光体薄膜を作製した後、焼成を経て
該堆積層を形成することも有効である。
【0008】
【作用】本発明になる酸化物蛍光体薄膜は成膜後に制御
雰囲気下で高温熱処理プロセスを経ているので、高品質
結晶性薄膜が得られる。その結果、これを発光層に用い
たEL素子では高電界印加時におけるホットエレクトロ
ンの生成効率が高まり、そのため発光中心の励起効率も
大幅に向上し、高い発光輝度が得られるという作用効果
がある。さらに、前記した硫黄を含む雰囲気中や、また
は真空中もしくは非酸化性ガス、あるいは一部酸化性ガ
ス、または一部還元性ガスと硫黄を含む非酸化性ガス雰
囲気中での熱処理は、蛍光体発光層中でのキャリア生成
効率を高めるという顕著な効果を有する。特に硫黄を含
む雰囲気中では蛍光体表面を硫化することによる硫化層
を形成し、蛍光体発光層表面が電荷供給層として機能す
るという効果も期待できる。
雰囲気下で高温熱処理プロセスを経ているので、高品質
結晶性薄膜が得られる。その結果、これを発光層に用い
たEL素子では高電界印加時におけるホットエレクトロ
ンの生成効率が高まり、そのため発光中心の励起効率も
大幅に向上し、高い発光輝度が得られるという作用効果
がある。さらに、前記した硫黄を含む雰囲気中や、また
は真空中もしくは非酸化性ガス、あるいは一部酸化性ガ
ス、または一部還元性ガスと硫黄を含む非酸化性ガス雰
囲気中での熱処理は、蛍光体発光層中でのキャリア生成
効率を高めるという顕著な効果を有する。特に硫黄を含
む雰囲気中では蛍光体表面を硫化することによる硫化層
を形成し、蛍光体発光層表面が電荷供給層として機能す
るという効果も期待できる。
【0009】CaとGaを含む酸化物系材料としては、
酸化カルシウム(CaO)−酸化ガリウム(Ga2O3)
系があり、Ca3Ga2O6、CaGa2O4、CaGa4O
7なる化合物が存在する。この中でCaGa2O4には、
準安定相のm−CaGa2O4、低温相のCaGa2O4−
I、及び高温相のCaGa2O4−IIという3つのタイ
プが知られている。Mnを付活剤として添加したCaG
a2O4:MnやCaGa4O7:Mnは電子線励起や光励
起用蛍光体として知られている。しかし、一般に酸化物
蛍光体薄膜は容易に結晶化しないためEL素子用蛍光体
とするには極めて困難と考えられていた。さらに、EL
素子用発光層では蛍光体母体(種々の結晶構造があ
る)、付活剤及び絶縁層材料との組み合わせが重要とな
るため、単純には予測できない。
酸化カルシウム(CaO)−酸化ガリウム(Ga2O3)
系があり、Ca3Ga2O6、CaGa2O4、CaGa4O
7なる化合物が存在する。この中でCaGa2O4には、
準安定相のm−CaGa2O4、低温相のCaGa2O4−
I、及び高温相のCaGa2O4−IIという3つのタイ
プが知られている。Mnを付活剤として添加したCaG
a2O4:MnやCaGa4O7:Mnは電子線励起や光励
起用蛍光体として知られている。しかし、一般に酸化物
蛍光体薄膜は容易に結晶化しないためEL素子用蛍光体
とするには極めて困難と考えられていた。さらに、EL
素子用発光層では蛍光体母体(種々の結晶構造があ
る)、付活剤及び絶縁層材料との組み合わせが重要とな
るため、単純には予測できない。
【0010】以下本発明を実施例により説明する。
【実施例1】酸化物蛍光体母体材料としてのGa2O3粉
末に付活剤原料として二酸化マンガン(MnO2)粉末
を、Caに対しMnが約2原子%含有するように十分混
合した後、アルゴン(Ar)ガス雰囲気中にて1000
℃で5時間焼成した。該焼成粉末を用いてスパッタリン
グターゲットを作製し、焼結チタン酸バリウム(BaT
iO3)セラミック絶縁層兼基板上に、Arガス中、ガ
ス圧力6Pa、スパッタ投入電力100W、基板温度2
75℃、基板−ターゲット間距離25mmの条件下で、
Mn添加Ga2O3発光層薄膜を形成した。その後、硫黄
(S)を含むArガス雰囲気中、1010℃で1時間の
ポストアニール処理を行なった。そして該発光層薄膜上
にアルミニウム添加酸化亜鉛(ZnO:Al)透明電極
を、他面には金属Al電極を形成しEL素子を作製し
た。該EL素子に1kHz正弦波交流電圧を印加したと
ころ、図1に示すように輝度50cd/m2の緑色発光
が得られた。これによりMn添加酸化ガリウムがEL素
子用発光層薄膜として十分機能した。他の付活剤を用い
た場合では輝度は20cd/m2以下と低いが同様に機
能した。
末に付活剤原料として二酸化マンガン(MnO2)粉末
を、Caに対しMnが約2原子%含有するように十分混
合した後、アルゴン(Ar)ガス雰囲気中にて1000
℃で5時間焼成した。該焼成粉末を用いてスパッタリン
グターゲットを作製し、焼結チタン酸バリウム(BaT
iO3)セラミック絶縁層兼基板上に、Arガス中、ガ
ス圧力6Pa、スパッタ投入電力100W、基板温度2
75℃、基板−ターゲット間距離25mmの条件下で、
Mn添加Ga2O3発光層薄膜を形成した。その後、硫黄
(S)を含むArガス雰囲気中、1010℃で1時間の
ポストアニール処理を行なった。そして該発光層薄膜上
にアルミニウム添加酸化亜鉛(ZnO:Al)透明電極
を、他面には金属Al電極を形成しEL素子を作製し
た。該EL素子に1kHz正弦波交流電圧を印加したと
ころ、図1に示すように輝度50cd/m2の緑色発光
が得られた。これによりMn添加酸化ガリウムがEL素
子用発光層薄膜として十分機能した。他の付活剤を用い
た場合では輝度は20cd/m2以下と低いが同様に機
能した。
【0011】
【実施例2】酸化物蛍光体母体材料としての酸化カルシ
ウム(CaO)とGa2O3粉末を1:1のモル比になる
ように混合し、さらに付活剤原料として二酸化マンガン
(MnO2)粉末を、Caに対しMnが約2原子%含有
するように十分混合した後、アルゴン(Ar)ガス雰囲
気中にて1000℃で5時間焼成した。該焼成粉末を用
いてスパッタリングターゲットを作製し、焼結チタン酸
バリウムセラミック絶縁層兼基板上に、Arガス中、ガ
ス圧力6Pa、スパッタ投入電力100W、基板温度2
75℃、基板−ターゲット間距離25mmの条件下で、
Mn添加CaO−Ga2O3発光層薄膜を形成した。その
後、硫黄(S)を含むArガス雰囲気中、1010℃で
1時間のポストアニール処理を行なった。そして該発光
層薄膜上にアルミニウム添加酸化亜鉛(ZnO:Al)
透明電極を、他面には金属Al電極を形成しEL素子を
作製した。該EL素子に1kHz正弦波交流電圧を印加
したところ、輝度1800cd/m2の黄色発光が得ら
れた。同素子を60Hzの正弦波交流電圧で駆動した結
果、発光輝度280cd/m2という高い値が得られ
た。これによりMn添加CaO−Ga2O3がEL素子用
発光層薄膜として十分機能した。他の付活剤を用いた場
合では輝度は100〜1000cd/m2となり、同様
に機能した。尚、発光層薄膜をX線回折により結晶構造
解析を行なったところ、該膜はアニール条件によっては
Ca3Ga2O6やCaGa4O7相も検出されるが、主と
してCaGa2O4から成っていることが分かった。図2
中の1は本実施例で得られたGa2O3に対するCaOの
モル比が50%の場合の典型的な輝度−印加電圧特性を
示す。
ウム(CaO)とGa2O3粉末を1:1のモル比になる
ように混合し、さらに付活剤原料として二酸化マンガン
(MnO2)粉末を、Caに対しMnが約2原子%含有
するように十分混合した後、アルゴン(Ar)ガス雰囲
気中にて1000℃で5時間焼成した。該焼成粉末を用
いてスパッタリングターゲットを作製し、焼結チタン酸
バリウムセラミック絶縁層兼基板上に、Arガス中、ガ
ス圧力6Pa、スパッタ投入電力100W、基板温度2
75℃、基板−ターゲット間距離25mmの条件下で、
Mn添加CaO−Ga2O3発光層薄膜を形成した。その
後、硫黄(S)を含むArガス雰囲気中、1010℃で
1時間のポストアニール処理を行なった。そして該発光
層薄膜上にアルミニウム添加酸化亜鉛(ZnO:Al)
透明電極を、他面には金属Al電極を形成しEL素子を
作製した。該EL素子に1kHz正弦波交流電圧を印加
したところ、輝度1800cd/m2の黄色発光が得ら
れた。同素子を60Hzの正弦波交流電圧で駆動した結
果、発光輝度280cd/m2という高い値が得られ
た。これによりMn添加CaO−Ga2O3がEL素子用
発光層薄膜として十分機能した。他の付活剤を用いた場
合では輝度は100〜1000cd/m2となり、同様
に機能した。尚、発光層薄膜をX線回折により結晶構造
解析を行なったところ、該膜はアニール条件によっては
Ca3Ga2O6やCaGa4O7相も検出されるが、主と
してCaGa2O4から成っていることが分かった。図2
中の1は本実施例で得られたGa2O3に対するCaOの
モル比が50%の場合の典型的な輝度−印加電圧特性を
示す。
【0012】
【実施例3】酸化物蛍光体母体材料としての酸化カルシ
ウム(CaO)とGa2O3粉末を5:6のモル比になる
ように混合し、さらに付活剤原料として二酸化マンガン
(MnO2)粉末を、Caに対しMnが約2原子%含有
するように十分混合した後、アルゴン(Ar)ガス雰囲
気中にて1000℃で5時間焼成した。該焼成粉末を用
いてスパッタリングターゲットを作製し、焼結チタン酸
バリウムセラミック絶縁層兼基板上に、Arガス中、ガ
ス圧力6Pa、スパッタ投入電力100W、基板温度2
75℃、基板−ターゲット間距離25mmの条件下で、
Mn添加CaO−Ga2O3発光層薄膜を形成した。その
後、硫黄(S)を含むArガス雰囲気中、1010℃で
1時間のポストアニール処理を行なった。そして該発光
層薄膜上にアルミニウム添加酸化亜鉛(ZnO:Al)
透明電極を、他面には金属Al電極を形成しEL素子を
作製した。該EL素子に1kHz正弦波交流電圧を印加
したところ、輝度90cd/m2の黄色発光が得られ
た。これによりMn添加CaO−Ga2O3がEL素子用
発光層薄膜として十分に機能した。他の付活剤を用いた
場合では輝度は20cd/m2以下となった。尚、発光
層薄膜をX線回折により結晶構造解析を行なったとこ
ろ、該膜はアニール条件によってはCa3Ga2O6やC
aGa4O7相も検出されるが、主としてCaGa2O4か
ら成っていることが分かった。図2中の2は本実施例で
得られたGa2O3に対するCaOのモル比が45%の場
合の典型的な輝度−印加電圧特性を示す。
ウム(CaO)とGa2O3粉末を5:6のモル比になる
ように混合し、さらに付活剤原料として二酸化マンガン
(MnO2)粉末を、Caに対しMnが約2原子%含有
するように十分混合した後、アルゴン(Ar)ガス雰囲
気中にて1000℃で5時間焼成した。該焼成粉末を用
いてスパッタリングターゲットを作製し、焼結チタン酸
バリウムセラミック絶縁層兼基板上に、Arガス中、ガ
ス圧力6Pa、スパッタ投入電力100W、基板温度2
75℃、基板−ターゲット間距離25mmの条件下で、
Mn添加CaO−Ga2O3発光層薄膜を形成した。その
後、硫黄(S)を含むArガス雰囲気中、1010℃で
1時間のポストアニール処理を行なった。そして該発光
層薄膜上にアルミニウム添加酸化亜鉛(ZnO:Al)
透明電極を、他面には金属Al電極を形成しEL素子を
作製した。該EL素子に1kHz正弦波交流電圧を印加
したところ、輝度90cd/m2の黄色発光が得られ
た。これによりMn添加CaO−Ga2O3がEL素子用
発光層薄膜として十分に機能した。他の付活剤を用いた
場合では輝度は20cd/m2以下となった。尚、発光
層薄膜をX線回折により結晶構造解析を行なったとこ
ろ、該膜はアニール条件によってはCa3Ga2O6やC
aGa4O7相も検出されるが、主としてCaGa2O4か
ら成っていることが分かった。図2中の2は本実施例で
得られたGa2O3に対するCaOのモル比が45%の場
合の典型的な輝度−印加電圧特性を示す。
【0013】
【実施例4】酸化物蛍光体母体材料としての酸化カルシ
ウム(CaO)とGa2O3粉末を3:1のモル比になる
ように混合し、さらに付活剤原料として二酸化マンガン
(MnO2)粉末を、Caに対しMnが約2原子%含有
するように十分混合した後、アルゴン(Ar)ガス雰囲
気中にて1000℃で5時間焼成した。該焼成粉末を用
いてスパッタリングターゲットを作製し、焼結チタン酸
バリウムセラミック絶縁層兼基板上に、Arガス中、ガ
ス圧力6Pa、スパッタ投入電力100W、基板温度2
75℃、基板−ターゲット間距離25mmの条件下で、
Mn添加CaO−Ga2O3発光層薄膜を形成した。その
後、硫黄(S)を含むArガス雰囲気中、1010℃で
1時間のポストアニール処理を行なった。そして該発光
層薄膜上にアルミニウム添加酸化亜鉛(ZnO:Al)
透明電極を、他面には金属Al電極を形成しEL素子を
作製した。該EL素子に1kHz正弦波交流電圧を印加
したところ、輝度1cd/m2の黄色発光が得られた。
これによりMn添加CaO−Ga2O3がEL素子用発光
層薄膜として十分ではないが機能した。尚、発光層薄膜
をX線回折により結晶構造解析を行なったところ、該膜
はアニール条件によってはCa3Ga2O6やCaGa4O
7相も検出されるが、主としてCaGa2O4から成って
いることが分かった。図2中の3は本実施例で得られた
Ga2O3に対するCaOのモル比が75%の場合の典型
的な輝度−印加電圧特性を示す。
ウム(CaO)とGa2O3粉末を3:1のモル比になる
ように混合し、さらに付活剤原料として二酸化マンガン
(MnO2)粉末を、Caに対しMnが約2原子%含有
するように十分混合した後、アルゴン(Ar)ガス雰囲
気中にて1000℃で5時間焼成した。該焼成粉末を用
いてスパッタリングターゲットを作製し、焼結チタン酸
バリウムセラミック絶縁層兼基板上に、Arガス中、ガ
ス圧力6Pa、スパッタ投入電力100W、基板温度2
75℃、基板−ターゲット間距離25mmの条件下で、
Mn添加CaO−Ga2O3発光層薄膜を形成した。その
後、硫黄(S)を含むArガス雰囲気中、1010℃で
1時間のポストアニール処理を行なった。そして該発光
層薄膜上にアルミニウム添加酸化亜鉛(ZnO:Al)
透明電極を、他面には金属Al電極を形成しEL素子を
作製した。該EL素子に1kHz正弦波交流電圧を印加
したところ、輝度1cd/m2の黄色発光が得られた。
これによりMn添加CaO−Ga2O3がEL素子用発光
層薄膜として十分ではないが機能した。尚、発光層薄膜
をX線回折により結晶構造解析を行なったところ、該膜
はアニール条件によってはCa3Ga2O6やCaGa4O
7相も検出されるが、主としてCaGa2O4から成って
いることが分かった。図2中の3は本実施例で得られた
Ga2O3に対するCaOのモル比が75%の場合の典型
的な輝度−印加電圧特性を示す。
【0014】本発明は上記実施例に限られるものではな
く、上記実施例で例示したZnO:Al透明電極層以外
に酸化錫(SnO2)系やインジウム・錫酸化物(IT
O)系等の透明導電膜を使用することは一向に差し支え
ない。 絶縁層はその比誘電率が1000以上あればよ
く、高温熱処理に耐えられれば必ずしもBaTiO3で
ある必要はない。
く、上記実施例で例示したZnO:Al透明電極層以外
に酸化錫(SnO2)系やインジウム・錫酸化物(IT
O)系等の透明導電膜を使用することは一向に差し支え
ない。 絶縁層はその比誘電率が1000以上あればよ
く、高温熱処理に耐えられれば必ずしもBaTiO3で
ある必要はない。
【発明の効果】本発明によれば、従来、EL素子用酸化
物蛍光体薄膜ではMn添加ケイ酸亜鉛(Zn2SiO4:
Mn)が緑色で最も高輝度発光を実現できる材料であっ
た。本発明になる酸化物蛍光体薄膜では、それに匹敵す
る高輝度かつ黄色発光を実現できた。その結果、該酸化
物蛍光体薄膜が実用レベルの多色発光EL素子用発光層
として極めて有効である。複雑な組成であるが、安定
で、かつ安価で豊富な種類の材料を提供できる酸化物系
蛍光体材料がEL素子用発光層として利用できる効果は
絶大である。
物蛍光体薄膜ではMn添加ケイ酸亜鉛(Zn2SiO4:
Mn)が緑色で最も高輝度発光を実現できる材料であっ
た。本発明になる酸化物蛍光体薄膜では、それに匹敵す
る高輝度かつ黄色発光を実現できた。その結果、該酸化
物蛍光体薄膜が実用レベルの多色発光EL素子用発光層
として極めて有効である。複雑な組成であるが、安定
で、かつ安価で豊富な種類の材料を提供できる酸化物系
蛍光体材料がEL素子用発光層として利用できる効果は
絶大である。
【図1】本発明による実施例1の発光輝度−印加電圧特
性。
性。
【図2】本発明による実施例2の発光輝度−印加電圧特
性
性
1・・・・CaO/(CaO+Ga2O3)が50モル% 2・・・・CaO/(CaO+Ga2O3)が45モル% 3・・・・CaO/(CaO+Ga2O3)が75モル%
Claims (5)
- 【請求項1】 少なくとも1種の酸化ガリウムを母体材
料とする酸化物蛍光体薄膜を使用することを特徴とする
エレクトロルミネッセンス素子用発光層材料。 - 【請求項2】 カルシウム(Ca)及びガリウム(G
a)を同時に含む酸化物蛍光体薄膜を使用することを特
徴とするエレクトロルミネッセンス素子用発光層材料。 - 【請求項3】 前記Ca及びGaを同時に含む酸化物蛍
光体において、Gaに対するCaの原子比が25%〜6
0%、好ましくは30%〜50%であることを特徴とす
る請求項2記載のエレクトロルミネッセンス素子用発光
層材料。 - 【請求項4】 前記酸化物蛍光体の付活剤が、少なくと
も1種の遷移金属元素であることを特徴とする請求項
1、2、または3記載のエレクトロルミネッセンス素子
用発光層材料。 - 【請求項5】 前記遷移金属元素がマンガン(Mn)で
あることを特徴とする請求項1、2、3、または4記載
のエレクトロルミネッセンス素子用発光層材料。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP9095131A JPH10270168A (ja) | 1997-03-27 | 1997-03-27 | エレクトロルミネッセンス素子用蛍光体薄膜 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP9095131A JPH10270168A (ja) | 1997-03-27 | 1997-03-27 | エレクトロルミネッセンス素子用蛍光体薄膜 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH10270168A true JPH10270168A (ja) | 1998-10-09 |
Family
ID=14129277
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP9095131A Pending JPH10270168A (ja) | 1997-03-27 | 1997-03-27 | エレクトロルミネッセンス素子用蛍光体薄膜 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JPH10270168A (ja) |
Cited By (4)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
US6876146B2 (en) | 2002-03-26 | 2005-04-05 | Tdk Corporation | Electroluminescence phosphor multilayer thin film and electroluminescence element |
US6984460B2 (en) | 2002-03-26 | 2006-01-10 | Tdk Corporation | Phosphor thin film, manufacturing method of the same, and electroluminescence panel |
JP2008037899A (ja) * | 2006-08-01 | 2008-02-21 | Niigata Univ | エレクトロルミネッセンス蛍光体 |
US8466615B2 (en) | 2003-02-28 | 2013-06-18 | Ifire Ip Corporation | EL functional film and EL element |
-
1997
- 1997-03-27 JP JP9095131A patent/JPH10270168A/ja active Pending
Cited By (4)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
US6876146B2 (en) | 2002-03-26 | 2005-04-05 | Tdk Corporation | Electroluminescence phosphor multilayer thin film and electroluminescence element |
US6984460B2 (en) | 2002-03-26 | 2006-01-10 | Tdk Corporation | Phosphor thin film, manufacturing method of the same, and electroluminescence panel |
US8466615B2 (en) | 2003-02-28 | 2013-06-18 | Ifire Ip Corporation | EL functional film and EL element |
JP2008037899A (ja) * | 2006-08-01 | 2008-02-21 | Niigata Univ | エレクトロルミネッセンス蛍光体 |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
CN100468820C (zh) | 钇取代的硫代铝酸钡发光材料 | |
KR100355456B1 (ko) | 형광 디스플레이용 적색 형광체와 그것의 제조방법 | |
JP2795194B2 (ja) | エレクトロルミネッセンス素子とその製造方法 | |
JP2004137480A (ja) | 蛍光体薄膜およびその製造方法ならびにelパネル | |
JP2004533095A (ja) | チオアルミン酸塩蛍光体膜の単独ソーススパッタリング | |
JP4230363B2 (ja) | 蛍光体薄膜およびその製造方法ならびにelパネル | |
JP2004265740A (ja) | El機能膜及びel素子 | |
Minami | Thin-film oxide phosphors as electroluminescent materials | |
JPH10270168A (ja) | エレクトロルミネッセンス素子用蛍光体薄膜 | |
JP4042895B2 (ja) | Pl、cl又はel用酸化物蛍光体及びエレクトロルミネッセンス素子並びにその製造方法 | |
KR101588314B1 (ko) | 형광체, 이를 포함하는 백색발광소자 및 형광체 제조방법 | |
US7556721B2 (en) | Thiosilicate phosphor compositions and deposition methods using barium-silicon vacuum deposition sources for deposition of thiosilicate phosphor films | |
JP4199673B2 (ja) | El蛍光体積層薄膜およびel素子 | |
US6707249B2 (en) | Electroluminescent device and oxide phosphor for use therein | |
JPH0935869A (ja) | エレクトロルミネッセンス素子の製造法 | |
JPS6040160B2 (ja) | 電場発光素子 | |
JP2002201469A (ja) | エレクトロルミネッセンス素子用酸化物蛍光体及びエレクトロルミネッセンス素子 | |
JP3865122B2 (ja) | エレクトロルミネッセンス素子用硫酸化物蛍光体及びエレクトロルミネッセンス素子 | |
JP2004307808A (ja) | 酸化ガドリニウム−酸化バナジウム多元系酸化物白色発光蛍光体 | |
JP4831939B2 (ja) | 発光体薄膜及び発光素子 | |
JP3726134B2 (ja) | エレクトロルミネッセンス発光層薄膜、無機薄膜エレクトロルミネッセンス素子及び発光層薄膜の製造方法 | |
JP3590986B2 (ja) | エレクトロルミネッセンス素子 | |
JP2005076024A (ja) | エレクトロルミネッセンス素子用希土類添加酸化ガリウム−酸化錫多元系酸化物蛍光体薄膜の製造方法 | |
JP5192854B2 (ja) | 蛍光体及びこれを用いた表示パネル | |
JP2605570B2 (ja) | 無機薄膜el素子 |