JPH10268529A - 電子写真感光体およびそれを用いた電子写真装置 - Google Patents

電子写真感光体およびそれを用いた電子写真装置

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JPH10268529A
JPH10268529A JP7141497A JP7141497A JPH10268529A JP H10268529 A JPH10268529 A JP H10268529A JP 7141497 A JP7141497 A JP 7141497A JP 7141497 A JP7141497 A JP 7141497A JP H10268529 A JPH10268529 A JP H10268529A
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electrophotographic
photosensitive member
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electrophotographic photosensitive
photoreceptor
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Yuichi Hashimoto
雄一 橋本
Katsumi Aoki
活水 青木
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 摩耗による電荷輸送層の厚みの減少に対し
て、電位コントラストの低下が著しく、安定な画像を得
ることが困難であった。 【解決手段】 導電性支持体の上に有機電荷発生物質を
含有する電荷発生層と有機電荷輸送物質を含有する電荷
輸送層とを積層してなる積層型有機電子写真感光体にお
いて、該電子写真感光体が感光体としての量子効率ηと
電場Eとの関係を下記の式(1)で表したとのきnの値
が0.6以上であり、かつ前記電荷輸送層の膜厚が30
μm以上とする。 η=η0 n ・・・(1) (ただし、ηは感光体としての量子効率、Eは電場、η
0 は定数を示す。)

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、電子写真感光体および
電子写真装置に関するものであり、詳しくは、耐久性に
優れた電子写真感光体および電子写真装置に関するもの
である。
【0002】
【従来の技術】電子写真技術は、即時性、高品質の画像
が得られることなどから、近年では複写機の分野にとど
まらず、各種プリンター分野等でも広く使われ、応用さ
れてきている。
【0003】電子写真技術の中核となる感光体について
は、その光導電性材料として、従来からのセレニウム、
ヒ素−セレニウム合金、硫化カドミニウム、酸化亜鉛と
いった無機系導電体から、最近では軽量、成膜が容易、
製造が容易である等の利点を有する、有機系の光導電材
料を使用した電子写真感光体が開発されている。
【0004】有機系の電子写真感光体としては、光導電
性微粉末をバインダー樹脂中に分散させた、いわゆる分
散型感光体と、導電性支持体上に電荷発生層および電荷
輸送層を設けた積層型感光体とが知られているが、後者
のタイプが高感度、高耐刷性という点で実用に供せられ
ている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、従来の
有機系積層型電子写真感光体は、無機系の高性能な電子
写真感光体であるヒ素−セレニウム合金に比べると感
度、耐久性が未だ不十分である。そのためさらに性能を
向上すべく種々の検討が行われている。
【0006】感度を向上させるためには、より高感度な
新規感光材料が探索され、また耐久性を向上させるため
に、電気的劣化の少ない感光材料、機械的損傷の少ない
高強度なバインダー材料の追求が行われている。その結
果、感度および電気的性能については十分な特性および
耐久性を持つものが開発されているが、機械的特性にお
いて未だ不十分で、限られた耐久性にとどまっている。
すなわち、トナー、紙との摩擦や、方法、負荷によって
程度の差はあるが、クリーニング部材による摩擦など、
実用上の負荷によって感光層の摩耗が生じ、膜厚が減少
する。そして膜厚の減少は帯電性の低下をもたらし、こ
の低下が現像系で許容できる範囲を超えると、電子写真
感光体は寿命を迎えてしまい、結果として耐刷性能が劣
ることとなる。
【0007】この機械的特性は、主として電荷輸送層の
バインダー樹脂材料によって変わり、通常、アクリル樹
脂、メタクリル樹脂、ポリエステル樹脂、ポリカーボネ
ート樹脂などが使用されている。しかし、これらの材料
は、従来技術では十分な強度を持たせるに至っておら
ず、通常のブレードクリーニング方式をとったプロセス
において使用した場合、数万枚のコピーによって感光層
の摩耗が著しくなり、電子写真感光体は交換せざるを得
なくなる。
【0008】摩耗による膜減り量は、材料、プロセスに
よって異なるが、1万枚のコピープロセスで0.2〜2
μm程度が通常であり、この摩耗量を減らすための使用
条件の検討、新しい材料の開発が種々行われている。
【0009】本発明者は、従来と同様の各材料を使用し
ながらも耐久性を向上する方法について種々検討を行な
った結果、従来より十分感光層の膜厚を厚くすること、
具体的には電荷輸送層の膜厚を30μm以上、60μm
以下程度にまで厚くすることによって、摩耗による電気
特性の変化、特に帯電性の低下を防ぎ得ることを見出し
た。
【0010】さらに、本発明者は、電子写真感光体の光
導電性に着目し、種々検討を行なった結果、特定の物性
を有する電子写真感光体だけが、摩耗による電荷輸送層
の減少に対して、感度劣化が全く起きないことを見出し
た。
【0011】このように電子写真感光体の光導電性に関
連する特定の物性を規定した電子写真感光体は、たとえ
ば特開平1−267551号公報などに詳細に記述され
ている。しかしながら、これら従来の電子写真感光体で
は、摩耗による電荷輸送層の厚みの減少に対して、電位
コントラストの低下が著しく、安定な画像を得ることが
困難であった。
【0012】そこで本発明者は、特定のプロセスを有す
る電子写真装置に本発明の電子写真感光体を搭載、使用
することにより、常に一定の電位コントラストを保ち、
安定な画像が得られる電子写真感光体を可能とした。
【0013】
【課題を解決するための手段】すなわち、本発明の電子
写真感光体は、導電性支持体の上に有機電荷発生物質を
含有する電荷発生層と有機電荷輸送物質を含有する電荷
輸送層とを積層してなる積層型有機電子写真感光体にお
いて、該電子写真感光体が感光体としての量子効率ηと
電場Eとの関係を下記の式(1)で表した場合にnが
0.6以上でかつ前記電荷輸送層の膜厚が30μm以上
であることを特徴とする電子写真感光体である。
【0014】η=η0 n ・・・(1) (ただし、ηは感光体としての量子効率、Eは電場、η
0 は定数を示す。) そして、本発明の電子写真感光体を電位センサを有する
電子写真装置に搭載し、該電子写真感光体を下記の式
(2)で表される電場E′の範囲で使用することによ
り、電荷輸送層の摩耗による感度劣化が全くなく、常に
一定の電位コントラストを保つことのできる耐久性の優
れた電子写真装置が達成される。
【0015】 1×105 ≦E′〔V/cm〕≦2.5×105 ・・・(2) (ただし、E′は電子写真感光体に印加される電場) 以下、本発明を詳細に説明する。
【0016】
【発明の実施の形態】本発明の電子写真感光体は、基本
的に電荷発生層および電荷輸送層よりなる。導電性支持
体上に電荷発生層、電荷輸送層の順に積層することが好
ましく、以下この積層順とした場合について説明する
が、これらに限られるものではない。
【0017】導電性支持体としては、アルミニウム、ス
テンレス鋼、銅、ニッケルなどの金属材料、表面にアル
ミニウム、銅、パラジウム、酸化スズ、酸化インジウム
等導電性層を設けたポリエステルフィルム、紙などの絶
縁性支持体が使用される。
【0018】導電性支持体と電荷発生層の間には、通常
使用さるような公知のバリアー層が設けられていてもよ
い。バリアー層としては、例えば陽極酸化アルミニウム
膜等の金属酸化物層;ポリアミド、ポリウレタン、セル
ロース、カゼイン等の樹脂層が使用できる。また、本発
明の電子写真感光体はその他の層を設けてもよい。
【0019】本発明の電子写真感光体は、その光導電性
として特定の物性を有していなければならない。すなわ
ち、感光体としての量子効率ηの電場依存性が十分小さ
く、下記の式(1)の如く電場Eのベキ乗で近似したと
き、 η=η0 n ・・・(1) nが0.6以上であることが必要とされる。ここでいう
感光体としての量子効率とは、電子写真感光体を露光す
るために入射した光量子1個に対して、その光で励起さ
れて発生したキャリアーが移動して中和した電子写真感
光体表面の電荷の個数の比で表されるものであり、ゼロ
グラフィー利得、光注入効率とも呼ばれている。
【0020】一般にηは、電場、入射光の波長に依存す
る。ここでいう電場Eは、電子写真感光体内にかかる平
均の電場であり、表面電位を電子写真感光体膜厚で割っ
た値を意味する。入射光の波長は、この電子写真感光体
が使用される像露光の波長域の光を用い、使用される波
長域で上記のような小さな電場依存性が要求される。
【0021】ηの測定方法については、例えばフィジカ
ルレビュー誌11巻、12号、5163頁から5174
頁に記載されるような方法によって測定され、次式
(3)で求められる。
【0022】
【数1】 ただし、Cは電子写真感光体の静電容量、eは電子電
荷、Nは単位時間あたりの入射光量子の数、
【0023】
【数2】 は初期光減衰速度である。測定時の入射光は像露光に使
用する領域の波長の単色光が用いられる。
【0024】量子効率の電場依存性の形を一義的に決め
ることは難しいが、本発明では、電場と量子効率を対数
−対数プロットし、直線として近似したときの傾きで表
すこととする。この傾きは、量子効率を電場のベキ乗で
表した場合のベキ数に相当する。この近似のために、一
般に使われる最小二乗法による一次回帰が有効である。
また一般に電場依存性は、低電場側で種々の要因からこ
の直線から大きくはずれる傾向にあるが、本発明におけ
る電場依存性は、電子写真感光体として通常使用される
電場域である1×105 V/cmから5×105 V/c
mで直線近似した特性を用いる。
【0025】一般に有機光導電材料の量子効率は、強く
電場に依存すると言われている。しかし本発明者が種々
検出したところ、適当な有機電荷発生物質を選択するこ
とで本発明の条件を満たすことが判った。このような電
荷発生物質は未だ完全には特定できないが、アゾ顔料、
フタロシアニン顔料、キナクリドン顔料、ペリレン顔
料、多環キノン顔料、インジゴ顔料、ベンスイミダゾー
ル顔料、ピリリウム塩、チアピリリウム塩色素類、スク
エアリリウム塩色素類などの各種有機電荷発生物質から
選ぶことができよう。
【0026】電荷発生層は、これらの電荷発生物質を真
空蒸着した均一な層でも、またバインダー樹脂中に微粒
子状に分散した層であってもよい。このような場合、バ
インダー樹脂としては、ポリ酢酸ビニル、ポリアクリル
酸エステル、ポリメタクリル酸エステル、ポリエステ
ル、ポリカーボネート、ポリビニルブチラール、フェノ
キシ樹脂、セルロース類、ウレタン樹脂などの各種バイ
ンダー樹脂が使用され、電荷発生層として通常5μm以
下、好ましくは0.05μm〜2μmの厚みの層として
設けられる。
【0027】また、電荷輸送層中の有機電荷輸送物質と
しては、2,4,7−トリニトロフルオレノン、テトラ
シアノキノジメタン等の電子吸引性物質、カルバゾー
ル、インドール、イミダゾール、オキサゾール、チアゾ
ール、オキサジアゾール、ピラゾール、ピラゾリン、チ
アジアゾール等の複素環化合物、アニリンの誘導体、ヒ
ドラゾン誘導体、スチルベン骨格を有する共役系化合物
など、あるいはこれらの化合物からなる基を主鎖もしく
は側鎖に有する重合体等の電子供与性物質が挙げられ
る。
【0028】さらに電荷輸送層には、これら電荷輸送物
質とともに、バインダー樹脂が配合されてもよい。バイ
ンダー樹脂としては、ポリカーボネート樹脂、アクリル
樹脂、メタクリル樹脂、ポリエステル樹脂、ポリスチレ
ン樹脂、シリコーン樹脂などの熱可塑性樹脂や種々の硬
化性樹脂が用いられる。特に、摩耗はあっても傷の発生
の少ないポリカーボネート樹脂、ポリエステル樹脂が好
ましい。ポリカーボネート樹脂のビスフェノール成分と
しては、ビスフェノールA、ビスフェノールC、ビスフ
ェノールZ等公知の種々の成分が使用できるが、ビスフ
ェノールC、ビスフェノールZをビスフェノール成分と
したポリカーボネートが好適である。
【0029】また本発明の電荷輸送層には、成膜性、可
撓性等を向上させるための添加剤、残留電位の蓄積を抑
制するための添加剤など、周知の添加剤を含有してもよ
い。
【0030】電荷輸送層の膜厚は、摩耗の点から30μ
m以上とする必要があり、35μmから60μmがより
好ましい。
【0031】次に、本発明の電子写真感光体を用いた電
子写真装置の動作原理について説明する。
【0032】一般に、暗部における電子写真感光体は絶
縁体であり、コンデンサーとみなすことができる。
【0033】したがって、コロナ放電等により帯電され
た電子写真感光体の表面電位Vと、帯電電荷量Qとの間
には、次式(4)の関係が成り立つ。
【0034】Q=CV ・・・(4) (ただし、Cは電子写真感光体の静電容量を示す。) また電子写真感光体の静電容量は、近似的に電荷輸送層
の容量として表すことができるので、電荷輸送層の膜厚
をdとすると、(4)式は次のように書き直すことがで
きる。
【0035】
【数3】 (ただし、εは電荷輸送層の誘電率、Eは電場を示
す。) 一方、電子写真感光体に光照射した際に発生する電荷量
をQ′とすると、次式(6)で表すことができる。
【0036】Q′=eNη0 n ・・・(6) (ただし、eは電子電荷、Nは単位時間当たりの入射光
量子の数を示す。) (5)式で表された電子写真感光体表面の電荷を光照射
により発生した電荷で完全に中和するためには、(5)
式と(6)式が等しくなければならない。言い換えれ
ば、電荷輸送層の膜厚dがどのように変化しても(5)
式と(6)式が一致するためには、nの値は1に近い必
要がある。
【0037】しかし本発明の電子写真装置で使用される
電場の範囲に限り、nの値が0.6以上であれば、
(5)式と(6)式の関係はほぼ等しいものとみなすこ
とができる。
【0038】次に、この電子写真感光体を図1に示す電
子写真装置に搭載する。図1において、符号1は電子写
真感光体、2は一次帯電器、3はグリッド、4は電位セ
ンサ、5は像露光、6は現像器、7は転写帯電器、8は
クリーニング部材を示す。電位センサ4で検出された電
位は、電位計11aおよびA/D変換器11bからなる
電位測定部11でディジタル信号に変換され、CPU1
2で信号処理されたのち、I/O13aおよび直流電源
13bからなる電流供給部13からグリッド3に所定の
電流が供給される。
【0039】本発明の電子写真感光体の電荷輸送層は3
0μm以上と非常に厚いため、充分な電位コントラスト
を得るためには、電子写真感光体に印加される電場は、
1×105 から2.5×105 〔V/cm〕の間で使用
されることが必要である。このような設定条件下でコピ
ーを行ない、耐久枚数が増加するにつれ、電子写真感光
体表面は削れ、電子写真感光体の膜厚は減少し、電子写
真感光体の表面電位は低下していく。この表面電位の減
少を電位センサ4で読み取り、初期に設定されていた表
面電位になるように、グリッド用直流電源13bにフィ
ードバックをかけて調節を行なう。
【0040】このようなプロセスを繰り返し行なうこと
により、電子写真感光体は摩耗による感度劣化が全くな
く、常に一定の電位コントラストを保つ事ができるた
め、非常に安定した画像を得ることができる。
【0041】さらに、本発明の電子写真感光体は、前述
の電子写真プロセスにしたがったものであれば、電子写
真複写機の他、レーザー、発光ダイオード(LED)、
LCDシャッター、ブラウン管等を光源とするプリンタ
ー、ファクシミリの感光体として、電子写真の応用分野
にも広く用いることができる。
【0042】
【実施例】次に本発明を実施例によりさらに具体的に説
明するが、本発明はその要旨を越えない限り、これらに
限定されるものではない。なお、以下において「部」は
「重量部」を示す。
【0043】(実施例1)下記構造式
【0044】
【化1】 のジスアゾ顔料3部、ポリビニルベンザール(ベンザー
ル化率80%、重量平均分子量11000)2部および
シクロヘキサノン35部をφ1mmガラスビーズを用い
たサンドミル装置で12時間分散した後、メチルエチル
ケトン(MEK)60部を加えて電荷発生層用分散液を
調製した。この分散液をアルミニウムシリンダー(φ3
0mm×260mm)上に浸漬塗布し、80℃で20分
間乾燥させ、膜厚0.2μmの電荷発生層を形成した。
【0045】次に、構造式
【0046】
【化2】 のスチリル化合物10部およびポリカーボネート(重量
平均分子量46000)10部をジクロルメタン20
部、モノクロルベンゼン40部の混合溶媒中に溶解し、
この溶液を上記の電荷発生層上に浸漬塗布し、120℃
で60分間乾燥させ、膜厚がそれぞれ30μm,40μ
m,50μmとなるように電荷輸送層を形成した。
【0047】これらの3種の電子写真感光体をそれぞれ
サンプル1−A,1−B,1−Cとする。サンプル1−
Aの電子写真感光体について入射光波長800nmの単
色光を用い、初期電位減衰速度を測定し、またこの感光
層のキャパシタンスを求め感光体としての量子効率およ
びその電場依存性を求めた。その結果、この電子写真感
光体の量子効率の電場依存性をベキ乗で近似するとnの
値は1.0であった。
【0048】次に、サンプル1−A,1−B,1−Cの
800nmにおける感度を、半減露光量(初期の表面電
位−700Vを半分に減衰させるのに必要な露光量)E
1/2として求めた。これらの結果、および電子写真感光
体内にかかる平均の電場、残留電位などの電子写真特性
を表1に示す。
【0049】これらの電子写真感光体サンプルにおいて
は、電荷輸送層の膜厚を増しても感度はほとんど変化せ
ず、残留電位の上昇などの弊害もないことがわかる。
【0050】次に、サンプル1−Aおよび1−Cの電子
写真感光体を、電位センサを搭載し、帯電−露光−現像
−転写−クリーニングのプロセスを1.5秒サイクルで
繰り返す反転現像方式のレーザープリンターに取り付
け、常温常湿下(23℃,50%RH)の環境で耐久性
のテストを行なった。その結果を表2に示す。
【0051】VD は暗部電位、VL は明部電位、VR
残留電位をそれぞれ示す(以下、同様)。
【0052】サンプル1−A,1−Cいずれの電子写真
感光体も10万枚コピー後約8μm程度の膜厚減少が見
られたがVL の値は初期とほとんどかわらず、十分な電
位コントラストが得られた。さらに、膜厚の厚いサンプ
ル1−Cにおいては、画質に全く変化なく十分10万枚
コピー以上の耐刷力を有することが判った。一方、サン
プル1−Aにおいては、2万枚コピーまでは画質に大き
な変化はなかったが、徐々に黒ポチ状の画像欠陥が目立
ち、10万枚コピー後では、全面にカブリを生じてしま
った。実用上は2万枚前後の寿命と推定された。
【0053】
【表1】
【0054】
【表2】 (実施例2)下記構造式
【0055】
【化3】 のトリスアゾ顔料3部、PMMA(ポリメチルメタアク
リレート)2部およびシクロヘキサノン35部を、φ1
mmガラスビーズを用いたサンドミル装置で12時間分
散した後、メチルエチルケトン(MEK)60部を加え
て電荷発生層用分散液を調製した。この分散液をアルミ
ニウムシリンダー(φ30mm×260mm)上に浸漬
塗布し、90℃で20分間乾燥させ、膜厚0.3μmの
電荷発生層を形成した。
【0056】次に、実施例1のスチリル化合物10部お
よびポリカーボネート(重量平均分子量22000)1
0部をジクロルメタン20部、モノクロルベンゼン40
部の混合溶媒中に溶解し、この溶液を上記の電荷発生層
上に浸漬塗布し、120℃で60分間乾燥させ、膜厚が
それぞれ31μm,44μm,55μmとなるように電
荷輸送層を形成した。
【0057】これらの電子写真感光体をそれぞれサンプ
ル2−A,2−B,2−Cとする。サンプル2−Aの電
子写真感光体について、入射光波長780nmの単色光
を用い、初期電位減衰速度を測定し、またこの感光層の
キャパシタンスを求め感光体としての量子効率およびそ
の電場依存性を求めた。その結果、この電子写真感光体
の量子効率の電場依存性をベキ乗で近似するとnの値は
0.7であった。
【0058】次に、サンプル2−A,2−B,2−Cの
780nmにおける感度を、半減露光量(初期の表面電
位−650Vを半分に減衰させるのに必要な露光量)E
1/2として求めた。これらの結果、および電子写真感光
体内にかかる平均の電場、残留電位などの電子写真特性
を表3に示す。
【0059】これらの電子写真感光体においては、電荷
輸送層の膜厚を増しても感度はほとんど変化せず、残留
電位の上昇などの弊害もないことがわかる。
【0060】次に、サンプル2−Aおよび2−Cの電子
写真感光体を、電位センサを搭載し、帯電−露光−現像
−転写−クリーニングのプロセスを1.5秒サイクルで
繰り返す反転現像方式のレーザープリンターに取り付
け、常温常湿下(23℃,50%RH)の環境で耐久性
のテストを行なった。その結果を表4に示す。
【0061】VD は暗部電位、VL は明部電位、VR
残留電位をそれぞれ示す(以下、同様)。
【0062】サンプル2−A,2−Cいずれの電子写真
感光体も、10万枚コピー後約10μm程度の膜厚減少
が見られたがVL の値は初期とほとんどかわらず、十分
な電位コントラストが得られた。さらに、膜厚の厚いサ
ンプル2−Cにおいては、画質に全く変化なく十分10
万枚コピー以上の耐刷力を有することが判った。一方、
サンプル2−Aにおいては、3万枚コピーまでは画質に
大きな変化はなかったが、徐々に黒ポチ状の画像欠陥が
目立ち、10万枚コピー後では、全面にカブリを生じて
しまった。実用上は3万枚前後の寿命と推定された。
【0063】
【表3】
【0064】
【表4】 (実施例3)電荷発生物質としてオキシチタニウムフタ
ロシアニンを用いた他は、実施例1と同様にして電子写
真感光体サンプル3−A,3−B,3−Cを作成した。
電荷輸送層の膜厚は、それぞれ30μm,41μm,5
9μmであった。次に、サンプル3−Aの電子写真感光
体について量子効率と電場依存性を実施例1と同様にし
て求めた。この電子写真感光体の量子効率の電場依存性
をベキ乗で近似するとnの値は0.9であった。
【0065】次に、サンプル3−A,3−B,3−Cの
800nmにおける感度を、半減露光量(初期の表面電
位−700Vを半分に減衰させるのに必要な露光量)E
1/2として求めた。これらの結果、および電子写真感光
体内にかかる平均の電場、残留電位などの電子写真特性
を表5に示す。
【0066】これらの電子写真感光体においては、電荷
輸送層の膜厚を増しても感度はほとんど変化せず、残留
電位の上昇などの弊害もないことがわかる。
【0067】次に、サンプル3−Aおよび3−Cの電子
写真感光体を、電位センサを搭載し、帯電−露光−現像
−転写−クリーニングのプロセスを1.5秒サイクルで
繰り返す反転現像方式のレーザープリンターに取り付
け、常温常湿下(23℃,50%RH)の環境で耐久性
のテストを行なった。その結果を表6に示す。
【0068】VD は暗部電位、VL は明部電位、VR
残留電位をそれぞれ示す(以下、同様)。
【0069】サンプル3−C,3−Eいずれの電子写真
感光体も、10万枚コピー後約6μm程度の膜厚減少が
見られたが、VL の値は初期とほとんどかわらず、十分
な電位コントラストが得られた。さらに、膜厚の厚いサ
ンプル3−Cにおいては、画質に全く変化なく、十分1
0万枚コピー以上の耐刷力を有することが判った。一
方、サンプル3−Aにおいては、コピー直後徐々に黒ポ
チ状の画像欠陥が目立ち、10万枚コピー後では、全面
にカブリを生じてしまった。
【0070】
【表5】
【0071】
【表6】 (実施例4)下記構造式
【0072】
【化4】 のジスアゾ顔料3部、ポリビニルベンザール(ベンザー
ル化率77%、重量平均分子量13000)2部および
シクロヘキサノン35部をφ1mmガラスビーズを用い
たサンドミル装置で20時間分散した後、メチルエチル
ケトン(MEK)60部を加えて電荷発生層用分散液を
調製した。この分散液をアルミニウムシリンダー(φ3
0mm×360mm)上に浸漬塗布し、80℃で10分
間乾燥させ、膜厚0.15μmの電荷発生層を形成し
た。
【0073】次に、構造式
【0074】
【化5】 のヒドラゾン化合物10部およびポリカーボネート(重
量平均分子量69000)10部をジクロルメタン20
部、モノクロルベンゼン40部の混合溶媒中に溶解し、
この溶液を上記の電荷発生層上に浸漬塗布し、120℃
で60分間乾燥させ、膜厚がそれぞれ33μm,40μ
m,50μmとなるように電荷輸送層を形成した。
【0075】これらの電子写真感光体をそれぞれサンプ
ル4−A,4−B,4−Cとする。サンプル4−Aの電
子写真感光体について、入射光波長550nmの単色光
を用い、初期電位減衰速度を測定し、またこの感光層の
キャパシタンスを求め感光体としての量子効率およびそ
の電場依存性を求めた。その結果、この電子写真感光体
の量子効率の電場依存性をベキ乗で近似すると、nの値
は0.6であった。
【0076】次に、サンプル4−A,4−B,4−Cの
550nmにおける感度を半減露光量(初期の表面電位
−680Vを半分に減衰させるのに必要な露光量)E
1/2 として求めた。これらの結果、および電子写真感光
体内にかかる平均の電場、残留電位などの電子写真特性
を表7に示す。
【0077】これらの電子写真感光体においては、電荷
輸送層の膜厚を増しても感度はほとんど変化せず、残留
電位の上昇などの弊害も余り目立たないことがわかる。
【0078】次に、サンプル4−Aおよび4−Cの電子
写真感光体を、電位センサを搭載し、帯電−露光−現像
−転写−クリーニングのプロセスを1.0秒サイクルで
繰り返す複写機に取り付け、常温常湿下(23℃,50
%RH)の環境で耐久性のテストを行なった。その結果
を表8に示す。
【0079】VD は暗部電位、VL は明部電位、VR
残留電位をそれぞれ示す(以下、同様)。
【0080】サンプル4−A,4−Cのいずれの電子写
真感光体も、10万枚コピー後約5μm程度の膜厚減少
が見られたがVL の値は初期とほとんどかわらず、十分
な電位コントラストが得られたとともに、画質も良好で
あった。
【0081】
【表7】
【0082】
【表8】 (比較例1)電荷発生物質として下記構造式
【0083】
【化6】 のジスアゾ顔料を用いた他は、実施例4と同様にして電
子写真感光体サンプル5−A,5−B,5−Cを作成し
た。電荷輸送層の膜厚はそれぞれ30μm,39μm,
52μmであった。
【0084】次にサンプル5−Aの電子写真感光体につ
いて量子効率と電場依存性を実施例1と同様にして求め
た。この電子写真感光体の場合、量子効率の電場依存性
が小さく、Eのベキ乗で近似すると、nの値は0.2で
あった。
【0085】さらに、この系での感光体特性と膜厚の関
係を評価すべく、サンプル5−A〜Cの特性を測定し
た。なお、感度測定には560nmの単色光を用いた。
【0086】その結果を表9に示す。
【0087】この電子写真感光体の場合、量子効率の電
場依存性が小さく、膜厚を増加するにしたがい、感度は
上昇する。
【0088】しかし、サンプル5−Aおよび5−Cにつ
いて実施例4と同様に複写機を用いて耐久性のテストを
行なったところ、摩耗による感度変化が著しく、膜厚低
下に伴うVL の増加を引き起こし、画像ではカブリを生
じてしまった。
【0089】この結果を表10に示す。
【0090】
【表9】
【0091】
【表10】 (比較例2)電荷発生物質として下記構造式
【0092】
【化7】 のジスアゾ顔料と、電荷輸送物質として実施例4のヒド
ラゾン化合物を用いた他は、実施例2と同様にして電子
写真感光体サンプル6−A,6−B,6−Cを作成し
た。電荷輸送層の膜厚はそれぞれ30μm,43μm,
54μmであった。
【0093】次にサンプル6−Aの電子写真感光体につ
いて量子効率と電場依存性を実施例1と同様にして求め
た。この電子写真感光体の場合、量子効率の電場依存性
が小さく、Eのベキ乗で近似すると、nの値は0.5で
あった。
【0094】さらに、この系での電子写真感光体特性と
膜厚の関係を評価すべく、サンプル6−A〜Cの特性を
測定した。なお、感度測定には790nmの単色光を用
いた。
【0095】その結果を表11に示す。
【0096】この電子写真感光体の場合、量子効率の電
場依存性が小さく、膜厚を増加するにしたがい、感度は
上昇する。
【0097】しかし、サンプル6−Aおよび6−Cにつ
いて実施例2と同様に耐久性のテストを行なったとこ
ろ、摩耗による感度変化が著しく、膜厚低下に伴うVL
の増加を引き起こし、画像では濃度ウスを生じてしまっ
た。
【0098】この結果を表12に示す。
【0099】
【表11】
【0100】
【表12】
【0101】
【発明の効果】以上に説明したように、本発明の電子写
真感光体は、導電性支持体の上に有機電荷発生物質を含
有する電荷発生層と有機電荷輸送物質を含有する電荷輸
送層とを積層してなる積層型有機電子写真感光体におい
て、該電子写真感光体が感光体としての量子効率ηと電
場Eとの関係を下記の式(1) η=η0 n ・・・(1) (ただし、ηは感光体としての量子効率、Eは電場、η
0 は定数を示す。)で表したとのきnの値が0.6以上
であり、かつ前記電荷輸送層の膜厚が30μm以上とし
たことにより、摩耗による電荷輸送層の厚みの減少に対
して、電位コントラストの低下が著しく、安定な画像を
得ることが可能である。
【0102】また本発明の電子写真感光体を、下記の式
(2) 1×105 ≦E′〔V/cm〕≦2.5×105 ・・・(2) で表される電場E′の範囲で使用する電子写真装置は、
電荷輸送層の摩耗による感度劣化の全く起きない耐久性
の優れた性能を発揮する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の電子写真感光体を備えた電子写真装置
の概略構成を示す説明図である。
【符号の説明】
1 電子写真感光体 2 一次帯電器 3 グリッド 4 電位センサ 5 像露光 6 現像器 7 転写帯電器 8 クリーニング部材 11 電位測定部 11a 電位計 11b A/D変換器 12 CPU 13 電流供給部 13a I/O 13b 直流電源

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 導電性支持体の上に有機電荷発生物質を
    含有する電荷発生層と有機電荷輸送物質を含有する電荷
    輸送層とを積層してなる積層型有機電子写真感光体にお
    いて、該電子写真感光体が感光体としての量子効率ηと
    電場Eとの関係を下記の式(1)で表したとのきnの値
    が0.6以上であり、かつ前記電荷輸送層の膜厚が30
    μm以上であることを特徴とする電子写真感光体。 η=η0 n ・・・(1) (ただし、ηは感光体としての量子効率、Eは電場、η
    0 は定数を示す。)
  2. 【請求項2】 導電性支持体の上に有機電荷発生物質を
    含有する電荷発生層と有機電荷輸送物質を含有する電荷
    輸送層とを積層してなる積層型有機電子写真感光体であ
    って、該電子写真感光体が感光体としての量子効率ηと
    電場Eとの関係を下記の式(1) η=η0 n ・・・(1) (ただし、ηは感光体としての量子効率、Eは電場、η
    0 は定数を示す。)で表したとのきnの値が0.6以上
    であり、かつ前記電荷輸送層の膜厚が30μm以上であ
    る電子写真感光体と、該電子写真感光体の表面電位を検
    出する電位センサとを有し、かつ該電子写真感光体が下
    記の式(2)で表される電場E′の範囲で使用されるこ
    とを特徴とする電子写真装置。 1×105 ≦E′〔V/cm〕≦2.5×105 ・・・(2) (ただし、E′は電場を示す。)
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US7358984B2 (en) 2003-03-19 2008-04-15 Fuji Xerox Co., Ltd. Image forming apparatus including multibeam exposure unit having surface emitting laser array

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