JPH10267442A - 蓄冷材および蓄冷式冷凍機 - Google Patents

蓄冷材および蓄冷式冷凍機

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JPH10267442A
JPH10267442A JP7856097A JP7856097A JPH10267442A JP H10267442 A JPH10267442 A JP H10267442A JP 7856097 A JP7856097 A JP 7856097A JP 7856097 A JP7856097 A JP 7856097A JP H10267442 A JPH10267442 A JP H10267442A
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JP
Japan
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regenerator
cold storage
magnetic
filled
refrigerator
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JP7856097A
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English (en)
Inventor
Masami Okamura
正己 岡村
Tomohisa Arai
智久 新井
Keisuke Hashimoto
啓介 橋本
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Toshiba Corp
Original Assignee
Toshiba Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】極低温域において顕著な冷凍能力を長期間に亘
って安定して発揮することが可能な蓄冷材およびそれを
用いた蓄冷式冷凍機を提供する。 【解決手段】一般式Er1-x x (In1-y y
3 (但し、RはY,La,Ce,Pr,Nd,Pm,S
m,Eu,Gd,Tb,Dy,Ho,TmおよびYbか
ら選択される少なくとも1種の元素であり、MはAlお
よびGaから選択される少なくとも1種の元素であり、
x,yはそれぞれ原子比で0≦x≦0.5,0≦y≦
0.5,x+y≠0を満足する。)で表わされる磁性体
から成ることを特徴とする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は蓄冷材および蓄冷式
冷凍機に係り、特に10K以下の極低温域において顕著
な冷凍能力を発揮できる蓄冷材およびその蓄冷材を使用
した蓄冷式冷凍機に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、超電導技術の発展は著しく、その
応用分野が拡大するに伴って小型で高性能の冷凍機の開
発が不可欠になってきている。かかる小型冷凍機は、軽
量・小型で熱効率の高いことが要求されており、種々の
応用分野において実用化が進められている。
【0003】例えば、超電導MRI装置やクライオポン
プなどにおいては、ギフォード・マクマホン(GM)方
式やスターリング方式などの冷凍サイクルによる冷凍機
が用いられている。また、磁気浮上列車にも高性能な冷
凍機が必須とされている。さらに、最近では、超電導電
力貯蔵装置(SMES)、および高品質のシリコンウェ
ハーなどを製造する磁場中単結晶引き上げ装置などにお
いても高性能な冷凍機が用いられている。
【0004】このような冷凍機においては、蓄冷材が充
填された蓄冷器内を、圧縮されたHeガスなどの作動媒
質が一方向に流れて、その熱エネルギーを蓄冷材に供給
し、ここで膨張した作動媒質が反対方向に流れ、蓄冷材
から熱エネルギーを受け取る。こうした過程での復熱効
果が良好になるに伴い、作動媒質サイクルでの熱効率が
向上し、より低い温度を実現することが可能となる。
【0005】上述したような冷凍機に使われる蓄冷材と
しては、従来、CuやPbなどが主に用いられてきた。
しかし、このような蓄冷材は、20K以下の極低温で比
熱が著しく小さくなるため、上述した復熱効果が十分に
機能せず、冷凍機での作動に際して極低温下で1サイク
ル毎に蓄冷材に充分な熱エネルギーを貯蔵することがで
きず、かつ作動媒質が蓄冷材から充分な熱エネルギーを
受け取ることができなくなる。その結果、前記蓄冷材を
充填した蓄冷器を組み込んだ冷凍機では極低温に到達さ
せることができない問題があった。
【0006】そこで、最近では前記蓄冷器の極低温での
復熱特性を向上し、より絶対零度に近い冷凍温度を実現
するために、特に20K以下の極低温域において体積比
熱の極大値を有し、かつその値が大きなEr3 Ni,E
rNi,HoCu2 などのように希土類元素と遷移金属
元素とから成る金属間化合物を主体とした磁性蓄冷材が
使用されている。このような磁性蓄冷材をGM冷凍機に
用いることにより、4Kでの冷凍が実現されている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記の
ような冷凍機を各種システムに応用することが、より具
体的に検討されるに連れて、より規模が大きな冷却対象
物を長期間安定した状態で冷却する技術的要請が高ま
り、より一層の冷凍能力の向上が求められている。
【0008】ところで、一般に複数の冷却段を有する蓄
冷式冷凍機の最終冷却段の蓄冷器、すなわち、2段膨張
式冷凍機の場合では第2段目の蓄冷器の内部において
は、作動媒質が流入する高温側端部の温度が30K程度
である一方、下流低温側端部の温度が4K程度となるよ
うに、温度勾配が形成される。
【0009】上記のような幅広い温度域の全域で体積比
熱が大きな蓄冷材は存在しないため、現実には蓄冷器内
部の温度分布に対応して各温度域に好適な比熱特性を有
する蓄冷材がそれぞれ充填されている。すなわち、蓄冷
器の低温側には、例えばHoCu2 のように低温側ので
きるだけ幅広い温度領域で体積比熱が大きい蓄冷材を充
填する一方、高温側には、例えばEr3 Niのように高
温側の幅広い温度領域で体積比熱が大きい蓄冷材が積層
されて充填されている。
【0010】ここで4K程度の極低温域での冷凍機性能
に大きな影響を及ぼす主要因は、蓄冷器の低温側に充填
される蓄冷材の種類である。現在までに、上記蓄冷器の
低温側に充填する蓄冷材として、ErNi2 ,ErNi
0.9 Co0.1 ,ErNi0.8Co0.2 ,ErRhなどの
種々の組成を有する蓄冷材が検討され試用されている
が、いずれも冷凍能力の顕著な向上は達成されていな
い。
【0011】またErNi2 ,ErNi0.9 Co0.1
ErNi0.8 Co0.2 などの強磁性体から成る蓄冷材
を、超電導システム用冷凍機に適用した場合には、超電
導磁石からの漏れ磁場の影響を受け易く、例えば冷凍機
の構成部品に磁力が作用して摩耗や変形を生じるおそれ
が高くなるという問題点もあった。
【0012】一方、ErRhから成る蓄冷材は反強磁性
体であり、上記漏れ磁場の影響を受けにくい長所がある
反面、構成成分としてのロジウム(Rh)が極めて高価
であり、数百グラムオーダーで使用する冷凍機の蓄冷材
として工業的に実用化することは極めて困難であるとい
う問題点もあった。
【0013】本発明は上記問題点を解決するためになさ
れたものであり、特に極低温域において顕著な冷凍能力
を長期間に亘って安定して発揮することが可能な蓄冷材
およびそれを用いた蓄冷式冷凍機を提供することを目的
とする。
【0014】
【課題を解決するための手段】本発明者らは上記目的を
達成するために、種々の組成および比熱特性を有する蓄
冷材を調製して冷凍機の蓄冷器に充填して、上記組成お
よび比熱特性が冷凍機の冷凍能力,蓄冷材の寿命,耐久
性に及ぼす影響を実験により比較検討した。
【0015】その結果、特に4〜6K付近の限られた温
度域において体積比熱が大きい蓄冷材を使用することに
より、4K温度域における冷凍機の冷凍能力が顕著に向
上するという知見を得た。また、このような比熱特性を
有する蓄冷材を充填した冷凍機においては、冷凍能力は
蓄冷材の蓄冷器への充填量に強く依存することが判明し
た。
【0016】また上記のような比熱特性を実現するため
に、本発明者らは、4.9Kの極低温度において急峻な
体積比熱ピークを有するErIn3 磁性材料に着目し
た。従来、ErIn3 は極低温域において高い体積比熱
を有することは確認されていたが、体積比熱のピークの
温度幅(半値幅)が0.5K以下と極めて狭いために、
蓄冷材の用途としては不適であるとされていた。
【0017】しかしながら、Erの一部を他の希土類元
素で置換したり、あるいはInの一部をAlおよびGa
の少なくとも一方の元素で置換することにより、体積比
熱ピークの半値幅を拡げることが可能になり、蓄冷材と
しての比熱特性を初めて実現できることが判明した。本
発明は上記知見に基づいて完成されたものである。
【0018】すなわち本発明に係る蓄冷材は、一般式E
1-x x (In1-y y 3 (但し、RはY,La,
Ce,Pr,Nd,Pm,Sm,Eu,Gd,Tb,D
y,Ho,TmおよびYbから選択される少なくとも1
種の元素であり、MはAlおよびGaから選択される少
なくとも1種の元素であり、x,yはそれぞれ原子比で
0≦x≦0.5,0≦y≦0.5,x+y≠0を満足す
る。)で表わされる磁性体から成ることを特徴とする。
【0019】また、磁性体は、In金属を含む多相金属
組織を有し、金属組織におけるIn金属相の割合が体積
比で0.01〜50%の範囲であることが好ましい。さ
らに、磁性体は、反強磁性体であることが望ましい。
【0020】また本発明に係る蓄冷式冷凍機は、蓄冷材
を充填した蓄冷器から成る冷却段を複数個有し、各冷却
段の蓄冷器の上流高温側から作動媒質を流して上記作動
媒質と蓄冷材との熱交換によって蓄冷器の下流側にて、
より低温度を得る蓄冷式冷凍機において、最終冷却段の
蓄冷器に充填される全蓄冷材のうち、1〜50重量%の
蓄冷材が上記一般式Er1-x x (In1-y y 3
表わされる蓄冷材から成り、かつ、この蓄冷材が蓄冷器
の下流低温側に充填されていることを特徴とする。
【0021】すなわち本発明に係る蓄冷材は、その一般
式から明らかなようにErIn3 なる組成を有する磁性
体のEr成分の一部をR成分で置換したり、In成分の
一部をM成分で置換した磁性体から成る。
【0022】上記R成分は、Y,La,Ce,Pr,N
d,Pm,Sm,Eu,Gd,Tb,Dy,Ho,Tm
およびYbから選択される少なくとも1種の元素であ
り、M成分はAlおよびGaから選択される少なくとも
1種の元素である。これらのR成分およびM成分は、い
ずれもErまたはInの一部を置換した場合に、磁性体
の体積比熱ピークの半値幅を拡げ蓄冷材として有効な比
熱特性を実現するために添加される。
【0023】上記R成分およびM成分のErおよびIn
に対する置換量x,yは、それぞれ原子比で0以上0.
5以下の範囲とされる。上記置換量xまたはyが0.5
を超えると、体積比熱ピークの半値幅は拡がる反面、ピ
ーク高さが低下し、4〜6K付近の温度域での磁性体の
体積比熱が不十分となり、蓄冷材としての機能が低下し
てしまう。
【0024】ここで上記体積比熱ピークの半値幅を効果
的に拡大するためには、上記R成分およびM成分の少な
くとも一方を添加することにより達成される。したがっ
て、上記R成分およびM成分の添加量(置換量)x,y
の下限値は双方とも零を含むものと規定されるが、x値
とy値とが同時に零になることはない。すなわち、x+
y≠0となる関係式を満足する。
【0025】R成分としては前記の各種希土類元素の少
なくとも1種が使用できるが、その中でPr,Nd,H
o,Dy,TbおよびGdが蓄冷材の比熱特性を改善す
る上で好適であり、さらにNd,Hoが特に好ましい。
【0026】また蓄冷材を充填した蓄冷器内を流れるヘ
リウムガスなどの作動媒質の流れを円滑にするととも
に、上記作動媒質と蓄冷材との熱交換効率を高め、かつ
熱交換機能を安定に維持するために、上記の蓄冷材は、
粒径が揃った球状磁性粒子から構成するとよい。具体的
には、上記蓄冷材を構成する全磁性粒子に対して0.0
1mm以上3mm以下の粒径を有する磁性粒子の割合が70
%重量以上となるように調整するとよい。
【0027】磁性粒子の粒径は粒子の強度、冷凍機の冷
却機能および伝熱特性に大きな影響を及ぼすファクター
であり、その粒径が0.01mm未満となると、蓄冷器に
充填する際の密度が高くなり過ぎて、冷却媒体であるH
eガスの通過抵抗(圧力損失)が急激に増大する上に、
流通するHeガスに同伴されてコンプレッサ内に侵入し
て構成部品等を早期に摩耗させてしまう。
【0028】一方、粒径が3mmを超える場合には、粒体
の結晶組織に偏析を生じて脆くなるとともに磁性粒子と
冷却媒体であるHeガスとの間の伝熱面積が小さくな
り、熱伝達効率が著しく低下してしまうおそれがある。
また、このような粗大な粒子が30重量%を超えると、
蓄冷性能の低下を招くおそれがある。したがって平均粒
径は0.01mm以上3mm以下に設定されるが、より好ま
しくは0.05〜1.0mmの範囲であり、さらに0.1
mm以上0.5mm以下が好ましい。また冷却機能および強
度を実用上充分に発揮させるためには、磁性蓄冷材粒子
全体に対して、上記粒径の粒子が少なくとも70重量%
以上、好ましくは80重量%以上、さらに好ましくは9
0%以上占めることが好ましい。
【0029】また磁性粒子の短径に対する長径の比(ア
スペクト比)は5以下好ましくは3以下、さらに好まし
くは2以下、なお一層好ましくは1.3以下に設定され
る。磁性粒子のアスペクト比は、粒子の強度および蓄冷
器に充填する際の充填密度および均一性に大きな影響を
及ぼすものであり、アスペクト比が5を超える場合に
は、機械的作用によって磁性粒子が変形破壊を起こし易
くなるとともに、蓄冷器に均一かつ高密度で充填するこ
とが困難となり、蓄冷効率が低下する。
【0030】ここで溶湯急冷法によって調製した磁性粒
子の粒径のばらつきおよび短径に対する長径の比のばら
つきは、従来のプラズマスプレー法で調製した場合と比
較して大きく減少するため、上記粒径範囲外の磁性粒子
の割合が少ない。また、ばらつきが生じた場合において
も、それらを適宜分級して使用することも容易である。
この場合、蓄冷部に充填する全磁性粒子のうち、アスペ
クト比が上記範囲内の磁性粒子の割合を70%以上、好
ましくは80%以上、さらに好ましくは90%以上とす
ることにより、充分に実用に耐える蓄冷材とすることが
できる。
【0031】また溶湯急冷法によって調製した磁性粒子
の平均結晶粒径を0.5mm以下に設定することにより、
または少なくとも一部の金属組織を非晶質とすることに
より極めて高強度で寿命の長い磁性粒子を形成すること
ができる。
【0032】また磁性粒子の表面粗さは、機械的強度、
冷却特性、冷却媒体の通過抵抗、蓄冷効率等に大きな影
響を及ぼす要因であり、一般にJIS B0601で規
定する凹凸の最大高さRmax で10μm以下、好ましく
は5μm以下、さらに好ましくは2μm以下に設定する
ことが望ましい。なお、これらの表面粗さは走査トンネ
ル顕微鏡(STM粗さ計)によって測定することができ
る。
【0033】表面粗さが10μmRmax を超えると、粒
子に破壊の出発点となるマイクロクラックが発生し易く
なるとともに、冷却媒体の通過抵抗が上昇しコンプレッ
サの負荷が増大したり、特に充填された磁性粒子同士の
接触面積が増大し、磁性粒子間における冷熱の移動が大
きくなり蓄冷効率が低下してしまう。
【0034】また磁性粒子の機械的強度に影響を与える
長さ10μm以上の微小欠陥を有する磁性粒子の割合
は、全体の30%以下、好ましくは10%以下、さらに
好ましくは10%以下にすることが実用上望ましい。
【0035】上述したような磁性蓄冷材粒子の製造方法
は、特に限定されるものではなく、種々の汎用の合金粒
子製造方法を適用することができる。例えば、遠心噴霧
法,ガスアトマイズ法,回転円板法などに準拠して所定
組成を有する溶湯を分散すると同時に急冷凝固せしめる
方法(溶湯急冷法)を適用することができる。
【0036】ここで、上記溶湯急冷処理に際して、溶湯
の組成を僅かにInリッチに調整したり、凝固速度を適
正に制御することにより、磁性蓄冷材粒子内部の金属組
織を、前記一般式Er1-x x (In1-y y 3 で表
わされる反強磁性体およびIn金属などから構成される
多相金属組織とすることが可能である。
【0037】特に反強磁性体から成る磁性蓄冷材粒子を
形成した場合には、超電導システム用冷凍機の蓄冷材と
して使用した場合においても、超電導磁石からの漏れ磁
場の影響を受けることが少なくなるという効果が得られ
る。
【0038】またIn成分の一部は、溶湯急冷処理によ
って前記一般式にて表わされる反強磁性体の粒界に主と
して析出する。なお、前記一般式にて表わされる反強磁
性体は脆性材料であるが、靭性改善効果が大きいIn金
属相が粒界に形成されることにより、磁性蓄冷材粒子全
体の機械的強度を高めることができる。
【0039】ここで、磁性蓄冷材粒子の金属組織におけ
るIn金属相の析出量は体積比で0.01〜50%の範
囲とされる。この析出量が0.01%未満と過少な場合
には、磁性蓄冷材粒子の機械的強度の向上効果が発現さ
れない。一方、析出量が50%を超える場合には、非磁
性材であるInが粒子全体に占める割合が高くなる結
果、磁性蓄冷材粒子の体積比熱が低下する。磁性蓄冷材
粒子の良好な機械的強度と比熱特性とを共に満足させる
ためには、上記In金属相の析出量は、体積比で2〜4
0%の範囲とすることが好ましく、さらに5〜30%の
範囲とすることが、さらに好ましい。ここで上記In金
属相の析出量は、粒子断面の金属組織を、例えばEPM
Aなどを用いて観察したときに所定の観察領域に対する
In金属相の面積比として求められる。
【0040】このようなIn金属相が形成された金属組
織を有する磁性蓄冷材粒子は、機械的強度が高いため、
冷凍機運転中の振動などによる衝撃力が蓄冷材に作用し
た場合、あるいは蓄冷器に充填する際に過大な応力が作
用した場合においても、破壊されたり微粉化することが
ない。したがって、蓄冷材の微粉末が作動媒質に同伴さ
れて冷凍機のシール部分に侵入して損傷を引き起こすな
ど、微粉化による冷凍機の損傷が効果的に防止でき、冷
凍機の性能を長期間に亘って安定した状態に維持するこ
とが可能になる。
【0041】本発明に係る蓄冷式冷凍機は、複数の冷却
段を有する冷凍機の最終冷却段の蓄冷器の低温端側の一
部分にのみ、上記の磁性蓄冷材粒子を充填して構成され
る。例えば、2段膨張式冷凍機においては、第2段目蓄
冷器の低温端側の一部分のみに、また3段膨張式冷凍機
においては、第3段目蓄冷器の低温端側の一部分にの
み、本発明に係る磁性蓄冷材粒子を充填する一方、他の
蓄冷材充填空間には、その温度分布に応じた比熱特性を
有する他の蓄冷材を充填して構成される。
【0042】上述の最終冷却段の蓄冷器における本発明
の磁性蓄冷材粒子の充填量が重量比率で1%未満と過少
な場合には、冷凍機の蓄冷効率の向上が認められない。
一方、充填量が50重量%を超えるように過大になる
と、本発明の磁性蓄冷材粒子の欠点が顕著になり、同様
に蓄冷効率の低下を招く。すなわち、体積比熱がピーク
となる温度以外の温度域、特に高温側温度域における体
積比熱が、比較的に小さくなることが蓄冷器全体に悪影
響を及ぼす結果、蓄冷効率の低下を招く。したがって、
上記最終冷却段の蓄冷器に充填する全粒子重量に対する
本発明の磁性蓄冷材粒子の充填量は、1〜50重量%の
範囲とされるが、好ましくは2〜40重量%の範囲であ
り、さらに3〜30重量%の範囲が特に望ましい。
【0043】上記構成に係る蓄冷材によれば、極低温域
において急峻な体積比熱のピークを有するErIn3
性材料の構成成分の一部を他の希土類元素またはAl,
Gaで置換しているため、体積比熱ピークの半値幅が拡
大され、比熱特性が良好な蓄冷材が得られる。そして、
その蓄冷材を冷凍機の最終冷却段の蓄冷器内の低温端側
に充填することにより、温度4K領域における冷凍能力
が高く、かつ長期間に亘って安定した冷凍性能が維持で
きる冷凍機を提供することができる。
【0044】
【発明の実施の形態】次に本発明の実施形態について以
下に示す実施例に基づいて具体的に説明する。
【0045】実施例1 各種金属原料を配合し、高周波溶解法によってEr0.8
Ho0.2 In3 なる組成を有する母合金を調製した。こ
の母合金を約1460Kで溶融し、得られた合金溶湯
を、圧力が90KPaのHe雰囲気中において1×10
4 rpmの速度で回転する円盤上に滴下して急冷凝固せ
しめることにより、磁性体粒子を作製した。得られた磁
性体粒子からアスペクト比が1.2以下の粒子を形状分
級した後に篩分し、粒径が0.2〜0.3mmの球状磁性
体粒子から成る実施例1に係る蓄冷材を50g選別し
た。
【0046】次に得られた蓄冷材を、2段膨張式GM冷
凍機の2段目蓄冷器の低温側に充填した。さらに、その
高温側にHoCu2 蓄冷材を100gと、Er3 Ni蓄
冷材を100gと、Pb蓄冷材を250gとを順次充填
して実施例1に係る冷凍機を組み立て冷凍試験を実施
し、運転初期および3000時間連続運転後における冷
凍能力を測定した。
【0047】なお本実施例における冷凍能力は、冷凍機
運転時にヒータによって第2冷却段に熱負荷を作用さ
せ、第2冷却段の温度上昇が4.2Kで停止したときの
熱負荷で定義した。
【0048】冷凍試験の結果、4.2Kにおける初期冷
凍能力として1.06Wが得られた。
【0049】比較例1 各種金属原料を配合し、高周波溶解法によってErNi
0.9 Co0.1 なる組成を有する母合金を調製した。この
母合金を約1470Kで溶融し、得られた合金溶湯を、
圧力が90KPaのHe雰囲気中において1×104
pmの速度で回転する円盤上に滴下して急冷凝固せしめ
ることにより、磁性体粒子を作製した。得られた磁性体
粒子からアスペクト比が1.2以下の粒子を形状分級し
た後に篩分し、粒径が0.2〜0.3mmの球状磁性体粒
子から成る比較例1に係る蓄冷材を50g選別した。
【0050】次に得られた蓄冷材を、2段膨張式GM冷
凍機の2段目蓄冷器の低温側に充填した。さらに、その
高温側にHoCu2 蓄冷材を100gと、Er3 Ni蓄
冷材を100gと、Pb蓄冷材を250gとを順次充填
して比較例1に係る冷凍機を組み立て冷凍試験を実施
し、運転初期および3000時間連続運転後における冷
凍能力を測定した。
【0051】冷凍試験の結果、4.2Kにおける初期冷
凍能力として0.7Wが得られた。実施例2 各種金属原料を配合し、高周波溶解法によってEr0.8
Ho0.2 In3 なる組成を有する母合金を調製した。こ
の母合金を約1460Kで溶融し、得られた合金溶湯
を、圧力が90KPaのHe雰囲気中において8×10
3 rpmの速度で回転する円盤上に滴下して急冷凝固せ
しめることにより、磁性体粒子を作製した。得られた磁
性体粒子からアスペクト比が1.2以下の粒子を形状分
級した後に篩分し、粒径が0.2〜0.3mmの球状磁性
体粒子から成る実施例2に係る蓄冷材を50g選別し
た。選別した蓄冷材の粒子断面の金属組織をEPMAで
観察したところ、In金属相が体積比で12%析出して
いた。
【0052】次に得られた蓄冷材を、2段膨張式GM冷
凍機の2段目蓄冷器の低温側に充填した。さらに、その
高温側にHoCu2 蓄冷材を100gと、Er3 Ni蓄
冷材を100gと、Pb蓄冷材を250gとを順次充填
して実施例2に係る冷凍機を組み立て冷凍試験を実施
し、運転初期および3000時間連続運転後における冷
凍能力を測定した。
【0053】冷凍試験の結果、4.2Kにおける初期冷
凍能力として0.94Wが得られた。特に蓄冷材の金属
組織にIn金属相を析出させて機械的強度を高めている
ため、3000時間運転後においても冷凍能力の低下が
殆どなく、長時間の連続運転試験の間に蓄冷材の劣化が
少なく、安定した冷凍能力が維持されることが判明し
た。
【0054】比較例2 各種金属原料を配合し、高周波溶解法によってErNi
0.9 Co0.1 なる組成を有する母合金を調製した。この
母合金を約1470Kで溶融し、得られた合金溶湯を、
圧力が90KPaのHe雰囲気中において8×103
pmの速度で回転する円盤上に滴下して急冷凝固せしめ
ることにより、磁性体粒子を作製した。得られた磁性体
粒子からアスペクト比が1.2以下の粒子を形状分級し
た後に篩分し、粒径が0.2〜0.3mmの球状磁性体粒
子から成る比較例2に係る蓄冷材を50g選別した。選
別した蓄冷材の粒子断面の金属組織をEPMAで観察し
たところ、Ni金属相が体積比で6%析出していた。
【0055】次に得られた蓄冷材を、2段膨張式GM冷
凍機の2段目蓄冷器の低温側に充填した。さらに、その
高温側にHoCu2 蓄冷材を100gと、Er3 Ni蓄
冷材を100gと、Pb蓄冷材を250gとを順次充填
して比較例2に係る冷凍機を組み立て冷凍試験を実施
し、運転初期および3000時間連続運転後における冷
凍能力を測定した。
【0056】冷凍試験の結果、4.2Kにおける初期冷
凍能力として0.67Wが得られた。また、3000時
間の連続運転後においては、冷凍能力が0.59Wまで
低下し、蓄冷材の耐久性が低く、安定した冷凍能力は得
られなかった。
【0057】実施例3〜8および比較例3 表1左欄に示すような合金組成となるように母合金をそ
れぞれ調製した点および急冷処理時における凝固速度を
制御して粒子内のIn析出量を変えた点以外は実施例1
と同様に合金溶湯の急冷凝固処理,形状分級および篩分
を実施してそれぞれ各実施例および比較例に係る蓄冷材
を調製した。さらに各蓄冷材を2段式のGM冷凍機の第
2段目蓄冷器の低温端側に、表1に示すように所定量だ
け充填する一方、高温側蓄冷材の充填率を表1に示すよ
うに変化させて対応する実施例および比較例に係る冷凍
機をそれぞれ組み立て、冷凍試験を実施して同様に冷凍
能力を測定して下記表1に示す結果を得た。
【0058】
【表1】
【0059】上記表1に示す結果から明らかなように、
Erの一部を他の希土類元素で置換したり、あるいはI
nの一部をAl,Gaで置換した反強磁性体から成る各
実施例の蓄冷材を使用した冷凍機においては、各比較例
のものと比較して、いずれも4K領域における冷凍能力
が高くなることが確認できた。特に蓄冷材粒子の金属組
織にIn金属相を所定量析出させた実施例2〜8に係る
蓄冷材を使用した冷凍機においては、蓄冷材の機械的強
度が高まるために劣化が少なく、長期間の連続運転後に
おいても冷凍能力の低下が少なく、安定した冷凍能力を
維持できることが判明した。
【0060】
【発明の効果】以上説明の通り、本発明に係る蓄冷材に
よれば、極低温域において急峻な体積比熱のピークを有
するErIn3 磁性材料の構成成分の一部を他の希土類
元素またはAl,Gaで置換しているため、体積比熱ピ
ークの半値幅が拡大され、比熱特性が良好な蓄冷材が得
られる。そして、その蓄冷材を冷凍機の最終冷却段の蓄
冷器内の低温端側に充填することにより、温度4K領域
における冷凍能力が高く、かつ長期間に亘って安定した
冷凍性能が維持できる冷凍機を提供することができる。

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 一般式Er1-x x (In1-y y 3
    (但し、RはY,La,Ce,Pr,Nd,Pm,S
    m,Eu,Gd,Tb,Dy,Ho,TmおよびYbか
    ら選択される少なくとも1種の元素であり、MはAlお
    よびGaから選択される少なくとも1種の元素であり、
    x,yはそれぞれ原子比で0≦x≦0.5,0≦y≦
    0.5,x+y≠0を満足する。)で表わされる磁性体
    から成ることを特徴とする蓄冷材。
  2. 【請求項2】 磁性体は、In金属を含む多相金属組織
    を有し、金属組織におけるIn金属相の割合が体積比で
    0.01〜50%の範囲であることを特徴とする請求項
    1記載の蓄冷材。
  3. 【請求項3】 磁性体は、反強磁性体であることを特徴
    とする請求項1記載の蓄冷材。
  4. 【請求項4】 蓄冷材を充填した蓄冷器から成る冷却段
    を複数個有し、各冷却段の蓄冷器の上流高温側から作動
    媒質を流して上記作動媒質と蓄冷材との熱交換によって
    蓄冷器の下流側にて、より低温度を得る蓄冷式冷凍機に
    おいて、最終冷却段の蓄冷器に充填される全蓄冷材のう
    ち、1〜50重量%の蓄冷材が請求項1記載の蓄冷材か
    ら成り、かつ、この蓄冷材が蓄冷器の下流低温側に充填
    されていることを特徴とする蓄冷式冷凍機。
  5. 【請求項5】 蓄冷材を充填した蓄冷器から成る冷却段
    を複数個有し、各冷却段の蓄冷器の上流高温側から作動
    媒質を流して上記作動媒質と蓄冷材との熱交換によって
    蓄冷器の下流側にて、より低温度を得る蓄冷式冷凍機に
    おいて、最終冷却段の蓄冷器に充填される全蓄冷材のう
    ち、1〜50重量%の蓄冷材が請求項2記載の蓄冷材か
    ら成り、かつ、この蓄冷材が蓄冷器の下流低温側に充填
    されていることを特徴とする蓄冷式冷凍機。
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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2001172618A (ja) * 1999-12-16 2001-06-26 Ekuteii Kk テープ型蓄冷材およびその製造方法、並びにそれを使用した蓄冷器および冷凍機
JP2018173268A (ja) * 2012-10-09 2018-11-08 株式会社東芝 コールドヘッドの製造方法

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