JPH10266007A - カール付与方法及び該方法を用いてなる頭飾品 - Google Patents

カール付与方法及び該方法を用いてなる頭飾品

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JPH10266007A
JPH10266007A JP6992097A JP6992097A JPH10266007A JP H10266007 A JPH10266007 A JP H10266007A JP 6992097 A JP6992097 A JP 6992097A JP 6992097 A JP6992097 A JP 6992097A JP H10266007 A JPH10266007 A JP H10266007A
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JP
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hair
container
pressure
curling
temperature
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JP6992097A
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Inventor
Yoichi Kanbara
洋一 神原
Atsushi Sasayama
篤 笹山
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Kanegafuchi Chemical Industry Co Ltd
Original Assignee
Kanegafuchi Chemical Industry Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】一度に大量に加熱処理した場合であってもカー
ル形状やカール保持力を均一に発現させることが可能
で、品質の均一化を図ることができ、しかも従来よりも
加熱処理時間を短縮して生産性を向上させることができ
るカール付与方法を提供すること。 【解決手段】カール付与部材にて形態保持した毛髪用フ
ィラメントを密閉容器内に収容して該密閉容器内を減圧
状態とし、その後前記密閉容器内にスチームを導入して
前記毛髪用フィラメントを加熱処理するカール付与方
法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明はカール付与方法及び
該カール付与方法を用いてなる頭飾品に関し、より詳細
には熱処理によってカール付与するカール付与方法、及
び該カール付与方法によりカール付与した、人毛などの
蛋白質繊維や合成繊維等の毛髪用フィラメントを用いて
なる男性及び女性用かつらや部分かつら(へァアクセサ
リー)等の頭飾品に関する。
【0002】
【従来の技術】かつらやへァアクセサリー等の頭飾品に
おいては、該頭飾品を構成する毛髪用フィラメントに、
人毛等の蛋白質繊維の他、モダクリル等のアクリル系繊
維、塩化ビニル系繊維、ポリエステル系繊維、ポリアミ
ド系繊維、ポリプロピレン系繊維の合成繊維等が用いら
れている。これら頭飾品においては、その商品特性とし
て重要な「へァスタイル」を発現させる方法として、極
一部の直毛形状をとるものを除いては前記頭飾品を構成
する毛髪用フィラメントにカール付与することが必須要
件である。
【0003】前記従来のカール付与方法としては、図4
の(a)〜(e)の工程順に示すように例えば所望の径
を有するアルミパイプなどに紙や不織布と一緒に毛髪用
フィラメント束を巻き付け(図4(a))、これを熱風
循環式のオーブン、温水槽、オートクレーブ等内に収容
して(図4(b))、熱風又はスチームや温水を導入し
て(図4(c))、所定の設定温度の下、一定時間保持
する(図4(d))ことでカール付与を行い、冷却した
後取り出す(図4(e))。
【0004】前記方法にて、親水性を有した人毛等の蛋
白質繊維にカール付与する場合は、温水、及び常圧又は
加圧スチームで加熱処理するのが一般的であり、例えば
人毛を用いた場合は100〜130℃の範囲の温度の加
圧スチームを使用する場合が多い。また、熱可塑性の合
成繊維にカール付与する場合は、その熱特性に応じて適
温とされる温度の熱風を使用して加熱処理するのが一般
的であり、例えば塩化ビニル系繊維を用いた場合は80
〜100℃の熱風、アクリル系繊維を用いた場合は90
〜105℃の熱風、ポリエステル系繊維を用いた場合及
びポリプロピレン系繊維を用いた場合は100〜150
℃の熱風がそれぞれ使用されている。
【0005】いずれの場合においても、上記従来の方法
によりカール付与する場合、生産性を上げるために加熱
処理装置内に毛髪用フィラメントを巻き付けた前記パイ
プを積み重ねる等して一度に大量に加熱処理するため、
熱風やスチームを導入した際にはどうしても前記パイプ
のオーブン内位置や積み重ね方の違いにより受ける熱風
量にむらが生じて、毛髪用フィラメントに作用する熱量
が不均一になる。またこれにより、カールの大きさや耐
シャンプー性等のカール強さ及び耐久性のバラツキが大
きくなって、製品のスタイルやボリューム等の外観仕上
がりに関する品質不良の原因となるといった課題があっ
た。
【0006】これに対し、前記加熱処理装置内部の温度
のバラツキを低減するために加熱処理時間を長くすると
生産性が大幅に低下してしまうといった課題があった。
また、例えば熱風循環式のオーブンによる加熱処理で
は、毛髪用フィラメントそのものが設定温度まで加熱さ
れるのに30分以上かかり、トータルの加熱処理時間は
少なくとも1時間以上となるといった課題があった。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】本発明は上記課題に鑑
みなされたものであり、一度に大量に加熱処理した場合
であってもカール形状やカール保持力を均一に発現させ
ることが可能で、品質の均一化を図ることができ、しか
も従来よりも加熱処理時間を短縮して生産性を向上させ
ることができるカール付与方法を提供することを目的と
している。
【0008】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に本発明に係るカール付与方法は、カール付与部材にて
形態保持した毛髪用フィラメントを密閉容器内に収容し
て該密閉容器内を減圧状態とし、その後前記密閉容器内
にスチームを導入して前記毛髪用フィラメントを加熱処
理することを特徴としている。
【0009】前記減圧状態時の密閉容器内圧力はゲージ
圧にして−0.5kg/cm2 以下であるのが好まし
く、−0.8kg/cm2 以下であるのがより好まし
い。また、前記毛髪用フィラメントが合成繊維からなっ
ている場合の前記加熱処理温度は50℃以上100℃未
満の範囲内あるのが好ましく、60〜80℃であるのが
より好ましい。また、人毛等の蛋白質繊維からなってい
る場合は前記加熱処理温度が50〜100℃の範囲内で
あるのが好ましく、70〜90℃であるのがより好まし
い。
【0010】前記毛髪用フィラメントの原料繊維として
は、非結晶構造であるので温度範囲が広く取れることか
ら塩化ビニル系繊維やアクリル系繊維が好ましい。本発
明で言うアクリル系繊維には、アクリロニトリル含有率
の高い一般のアクリル繊維から比較的アクリロニトリル
含有率の低いモダクリル繊維まで特に限定なく用いるこ
とができるが、加熱処理後の風合いや触感の面からモダ
クリル繊維がより好ましい。また、前記加熱処理終了後
に再度又は引き続き減圧処理すれば、毛髪用フィラメン
トに付着した水分を短時間で蒸発除去でき、時間とコス
トを削減することが可能である。
【0011】また、本発明に係る頭飾品はこれらカール
付与方法を用いてカール付与された毛髪用フィラメント
を用いてなることを特徴としている。
【0012】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態に係る
カール付与方法を図1に基づいて説明する。まず、カー
ル付与処理の対象となる毛髪用フィラメントを例えば所
望の径を有するアルミパイプ等のカール付与部材に巻き
付ける(図1(A))。カール付与部材としては、何ら
アルミパイプに限定されるものではなく、合成樹脂製の
ピンやロッド等を用いる場合もあるが、耐熱性が良好で
ある点及び軽くて錆びにくく、扱いやすいといった点で
アルミ製を用いるのが好ましい。次に前記毛髪用フィラ
メントを巻き付けたアルミパイプを密閉容器内に積み重
ねる等して充填する(図1(B))。本実施の形態に係
るカール付与方法によればアルミパイプを積み重ねても
後述する加熱処理時の熱量を前記毛髪用フィラメントに
略均一に作用させ得る。
【0013】次に前記アルミパイプが充填された密閉容
器を密閉し、真空ポンプやエジェクターなどの減圧装置
により容器内の空気を排気して、前記容器内を減圧状態
とし、減圧後は密閉状態とする(図1(C))。前記密
閉容器は、前記減圧装置、及びスチーム導入時のスチー
ム温度やスチーム圧力を調節する調節器が備えられてい
るとともに耐圧性を有している必要があり、例えば、一
般に紡績糸やアクリル系繊維等の加熱熱処理に使用され
ている装置をこの密閉容器として使用することができ
る。一般に紡績糸やアクリル系繊維等の加熱熱処理に使
用されている前記装置は一般には前記減圧装置や調節器
等が既に備わっている場合が多い。この時、カール付与
の生産性を上げるためには、容器内圧力や温度、時間な
どをプログラムすることが可能な耐圧容器を前記密閉容
器として用いるのがより好ましい。
【0014】前記減圧時の容器内圧力はゲージ圧にして
−0.5kg/cm2 以下であるのが好ましく、−0.
8kg/cm2 以下であるのがより好ましい。容器内圧
力が−0.5kg/cm2 よりも高いと、空気の混合割
合が大となり温度の調節が困難となったり、容器内に温
度ムラを生じたりして本発明による効果が十分に発揮さ
れにくい。従って、容器内圧力が低いほど前記効果が発
揮される。
【0015】次にこの減圧状態を保持しつつ前記密閉容
器内に所定圧力のスチームを吹き込み(図1(D))、
圧力又は温度をコントロールして容器内温度を一定時間
保持し(図1(E))、毛髪用フィラメントにカール付
与する。この時のスチーム圧力はゲージ圧にして4kg
/cm2 以下の値であるのが好ましく、0.5kg/c
2 以下の値であるのがより好ましい。前記スチームの
圧力が4kg/cm2 を越えると、スチームを導入する
際に密閉容器内で局所的に温度の高い部分が生じるな
ど、容器内温度の均一性に支障を与える場合があり、前
記局所的に温度の高い部分に位置する毛髪用フィラメン
トの構成繊維を傷める虞が生じる。
【0016】なお、密閉容器内の容器内圧力が高い程、
即ち真空に近い程、容器内の圧力は前記スチームの圧力
によって決定されることとなり、該スチームの圧力を調
整することにより容易に密閉容器内の圧力を調節し、容
器内温度を決定して一定とすることができる。よって、
密閉容器内の容器内圧力が高い程、容器内温度の調節及
び該温度を一定とすることが容易となり好ましい。
【0017】スチームを導入した際の容器内温度は毛髪
用フィラメントが合成繊維からなっている場合は50℃
以上100℃未満であるのが好ましく、60〜80℃程
度であるのがより好ましい。毛髪用フィラメントが蛋白
質繊維からなっている場合は50〜100℃程度である
のが好ましく、70〜90℃程度であるのがより好まし
い。スチーム温度が50℃に満たない場合は毛髪用フィ
ラメントに十分にカール付与することができず、100
℃を越えるスチーム温度を設定すると毛髪用フィラメン
トを失透させるおそれが生じる。
【0018】なお、上記(A)工程におけるパイプ径や
上記(B)工程におけるパイプ充填率や上記(C)工程
における容器内圧力や上記工程(D)におけるスチーム
圧力や上記(E)工程における設定温度保持時間等、様
々のカール付与条件は、対象となる毛髪用フィラメント
の特性に応じて、希望するカール状態(カール径の大き
さ、耐ブラッシング性、耐シャンプー性等)を実現すべ
く予め調査されたデータに基づいて決定するのが好まし
い。
【0019】上記した(A)〜(E)の工程を含んだ本
発明に係るカール付与方法によれば、カール付与部材に
て形態保持した毛髪用フィラメントを密閉容器内に収容
して減圧状態とし、その後前記密閉容器内にスチームを
吹き込むため、カール付与部材に前記毛髪用フィラメン
トを巻き付ける際に一緒に例えば紙や不織布を巻き付け
た場合も、これら紙や不織布を介して毛髪用フィラメン
ト内部の細かな部分までスチームが浸透することとな
る。また、前記スチーム圧力の調整により容器内温度を
容易に均一保持することができる。さらに、スチームは
熱風等と比較して熱容量が大きいため、密閉容器内温度
の設定温度までの昇温時間を短縮することができ、カー
ル付与に要する時間を大いに短縮することができる。特
に最初の容器内圧力が高いほど、スチームによる昇温速
度が早くなると供に、容器内温度及び毛髪用フィラメン
ト温度のコントロールが容易になる。
【0020】また、導入するスチーム圧力を4kg/c
2 以下の値とした場合は、スチームを導入しても局部
的な圧力差が容器内に生じにくく、ひいては前記容器内
を均一温度にすることができる。よって容器内における
配置位置差による加熱処理効果の差違を低減することが
でき、容器内のいずれの毛髪用フィラメントに対しても
均一にカール付与効果を上げることができる。また、前
記フィラメントの状態が毛束の様に厚みの厚い集合体の
状態であっても、みの毛のように厚みの薄い集合体の状
態であっても、何ら前記厚み等に左右されることなく均
一にカール付与することができる。このため、品質の均
一化が図れると共に、カール付与条件の選定を容易化す
ることができる。
【0021】また、上記(A)〜(E)工程における様
々のカール付与条件の条件範囲がある程度特定されたも
のであり各繊維毎に極端に異なることがないため、異繊
維が加撚されてなる毛髪用フィラメントであっても混合
比の高い繊維に前記条件を合わせればよい等、条件設定
が容易である。
【0022】また、加熱処理温度としては100℃以下
で十分なカール付与効果を挙げることができ、かつ加熱
処理時間は従来の場合よりも短時間ですむことから、頭
飾品に使用されているウレタンスキンパーツや合繊ネッ
トやテープなどの副資材への熱による影響を小さくする
ことができ、前記副資材の劣化や収縮を抑制することが
できると共に、毛髪用フィラメントの熱による退色、変
色を防止することができる。また、前記したように、従
来の場合よりも100℃以下といった比較的低温の加熱
処理によって十分なカール付与が可能となるため、作業
性、生産性を向上させることができると共に、使用エネ
ルギーを削減することができる。
【0023】加熱処理後は凝縮水によって前記フィラメ
ントが湿り気を帯びた状態になるが、この余分な水分は
例えばカール付与部材と共にフィラメントを巻き付ける
のに使用した紙や不織布等に吸収されるので、残った水
分は前記フィラメントを容器から取り出して冷却した時
点で即座に蒸発し、略乾燥した状態とすることができ
る。ここで、加熱処理後に再度又は引き続き減圧処理す
れば、前記水分をより短時間で蒸発させ、除去すること
ができるため、時間と作業コストをより削減することが
できる。
【0024】また、本発明に係る頭飾品は、一度に大量
に加熱処理して作製されたものであってもカール形状や
カール保持力が均一な品質を有することができる。ま
た、生産性が高いため、コストを削減することも可能で
ある。これら頭飾品としては全かつら、部分かつら(ヘ
ァアクセサリー)、人形用かつら等が上げられるが、何
らこれに限定されるものでなく、カール付与が必要なも
のであれば、そのヘァスタイル、カール径の大きさ、カ
ール形状、取り付け方等が異なる多種類の製品をその対
象とすることができる。
【0025】また、毛髪用フィラメントを予め毛束やみ
の毛の状態でカール付与してから製品化するものや、半
製品にしたあとピンやロッドで巻いてカール付与して製
品化するもの、また、製品化した後前記カール付与する
ものにも応用可能なため、毛髪用フィラメントをネット
やフィルムやシートへ直接結んだりさし込んだりして植
毛する製品、予めみの毛を作成してネットや基布に縫製
する製品、またこれらを組合わせた方法によって作成さ
れる製品等、様々の製品をその対象とすることができ、
汎用性が広い。
【0026】
【実施例及び比較例】以下、本発明の実施例及び比較例
に係るカール付与方法について実験を行った結果を下記
の表1〜4に基づいて説明する。 <実験1>下記の毛髪用フィラメントを使ってみの毛を
作製し、このみの毛を長さ20cmに切って8枚重ねに
して毛の部分に霧吹きで軽く湿り気を与えた後、櫛で毛
を整え、紙と一緒に所望の径を有するアルミパイプに巻
き付けて輪ゴムで固定した。これを密閉容器内に入れ
て、容器内圧力、加熱処理温度(スチーム温度)を表1
中の各条件の如く変化させ、スチーム圧力、スチーム時
間はいずれも一定としてカール付与を行った。
【0027】各実験条件は下記の通りである。 毛髪用フィラメント:下記〜のうちのいずれか 塩化ビニル繊維(トヨカロン、東洋化学株式会社製) アクリル系繊維(カネカロン、鐘淵化学工業株式会社
製) ポリエステル繊維(ドイツ製) ポリアミド繊維(日本製) ポリプロピレン繊維(韓国製) 人毛(中国産) 作製したみの毛 :毛長25cm、lm当たりの毛重
量14g アルミパイプの径 :32mm 使用した密閉容器 :図2に例示する耐圧真空容器 図例の容器10にあっては真空ポンプ1にて容器10内
を減圧にし、その容器内圧力を圧力ゲージ2にて測定し
て所望の容器内圧力になったら、温度センサ4により感
知する容器内温度を所定温度にするべくスチームライン
5から調節弁を通して容器10内に導入するスチーム量
を温度調整装置(制御装置3)によって制御する。な
お、容器容量は50リットルである。 容器内圧力(ゲージ圧):0.0〜−1.0(kg/c
2 ) 加熱処理温度 :40〜100(℃) スチーム圧力 :l(kg/cm2 ) スチーム時間 :20分
【0028】ここで、上記スチーム時間の設定は、次の
ようにして行った。すなわち、図3中実線(<実施例
>)に示すように、スチームを導入し始めてから、巻か
れた毛髪用フィラメントの温度が設定温度に達する時間
を予め調べたところ、1〜3分程度でほぼ設定温度に達
する事がわかり、また、10分程度で毛髪用フィラメン
トに十分なカール付与効果が得られ、それ以上の時間で
は効果に殆ど差がないことが分かった。このため、毛髪
用フィラメントに十分なカール付与効果が得られるよ
う、余裕をみて20分の設定とした。
【0029】なお、図3中破線で示すように、熱風オー
ブンにて減圧せずにカール付与した場合(<比較例>)
は、スチームを導入し始めてから40分でようやく設定
温度に達する結果となった。
【0030】このようにして毛髪用フィラメントにカー
ル付与を行い、カールセット性(シャンプーによるカー
ルのもち程度)の評価を行った。前記カールセット性に
ついては、次の要領で評価を行った。すなわちカール付
与の全工程が終了後、みの毛をアルミパイプから取り外
して3枚重ねのまま上端を固定し、櫛で形を整えた後、
上端と下端の間の長さ、即ちカール付与直後のカール長
さを読み取ってこれをカール長さ(L1 )とする。ま
た、これを5回繰り返した後の長さを読み取ってシャン
プーテスト後のカール長さ(L2 )とする。
【0031】ここで、頭飾品のカール強さ、櫛やブラシ
によるスタイルアレンジ性、放置時のカールの伸び、シ
ャンプーをした時のカールの伸び等の美容特性を損なわ
ないためには、基本になる標準みの毛のセット性は、L
1 が13.0cm以下、L2が16.0cm以下の必要
があることが一般に知られており、これを評価基準とし
た。ここでは、L1 ≦12、L2 ≦14である場合を非
常に良好である(◎)、12<L1 ≦14、14<L2
≦16の少なくとも一方に該当する場合を良好である
(○)、L1 >14、L2 >16の少なくとも一方に該
当する場合を不良である(×)と評価した。前記(○)
の評価、(×)の評価のいずれにも属する結果となった
場合は(×)の評価を優先とした。
【0032】また、このセット性の評価結果とその他の
特徴を併せた総合評価としては、毛髪用フィラメントと
しての実用性があるとされるものを“良”、それ以外の
ものを“不良”とした。また、収縮による触感の変化、
縮れや失透による外観変化など、致命的な欠陥の有無を
加味して総合評価した。各実験条件毎の上記セット性、
総合評価、その他の特徴結果を下記の表1〜4に示す。
【0033】
【表1】
【0034】
【表2】
【0035】
【表3】
【0036】
【表4】
【0037】表1〜4から明らかなように、繊維種類と
して塩化ビニル繊維を用いた場合において、減圧しな
かったもの(比較例1)は減圧したもの(実施例1〜
6、比較例2〜4)に比べてセット性が著しく不良であ
ると共に、密閉容器内温度の昇温がおそかった。また、
総合評価としては不良であった。このように、減圧した
後にスチームを導入した方が前記総合評価を向上させる
ことができる。
【0038】また、繊維種類として塩化ビニル繊維、
アクリル系繊維、ポリエステル繊維、ポリアミド
繊維、ポリプロピレン繊維、人毛のいずれを用いた
場合においても、容器内圧力が−1.0〜−0.5kg
/cm2 であり、しかも加熱処理温度が50℃以上10
0℃未満である実施例1〜30の場合は、セット性が良
好又は非常に良好で、失透や収縮が発生することもなか
った。また、加熱処理時間は20分固定であり、従来の
場合よりも大幅に短縮することができた。また、人毛
の場合に限り、容器内圧力が−1.0〜−0.5kg/
cm2 であって加熱処理温度が100℃の場合もセット
性が良好又は非常に良好で、失透や収縮が発生すること
もなかった。
【0039】これに対し、減圧してもその減圧度が容器
内圧力で−0.5kg/cm2 に満たない−0.4kg
/cm2 である比較例2、5、9、12、15、18の
場合はセット性が不良であり、密閉容器内温度の昇温が
おそかった。また、総合評価としては不良であった。ま
た、減圧し、その減圧度が容器内圧力で−0.5kg/
cm2 を越えていても加熱処理温度が50℃に満たない
比較例3、6、10、13、16、19の場合はセット
性が不良であり、総合評価としては不良であった。さら
に、繊維種類が上記〜の場合であって加熱処理温度
が100℃以上である比較例4、7、8、11、14の
場合はセット性が非常に良好であるものの、失透が発生
し、収縮が大きくなりやすく、総合評価としては不良で
あった。このように、容器内圧力は−1.0〜−0.5
kg/cm2 の範囲であるのが好ましく、加熱処理温度
は50℃以上100℃未満の範囲であるのが好ましい。
なお、人毛の場合は加熱処理温度の上限を100℃まで
広げることができる。これは、人毛が他の合成繊維より
も耐熱性が高いためである。
【0040】<実験2>実験2ではA)ポリ塩化ビニル
製かつら、B)アクリル系繊維製かつら、C)ポリエス
テル繊維製男性用かつら(ツーペ)、D)人毛製かつら
の4種類のかつらにおける直毛又はそれに近い部分を用
い、パーマセット用プラスチックロッドで毛束をワイデ
ィンクして、実験例1の場合と同様の装置を用いてセッ
ト性の評価や総合評価を行った。
【0041】その結果、上記A)〜D)のいずれのかつ
らにおいても、容器内圧力が−1.0〜−0.5kg/
cm2 であり、しかも加熱処理温度が50〜95℃であ
る場合には十分良好な評価を得ることができた。また、
人毛製のD)かつらにおいては、加熱処理温度が100
℃の場合であっても失透したり収縮したりすることな
く、良好な評価を得ることができた。
【0042】また、上記A)〜D)のかつらに使用され
たウレタンスキンパーツや合繊ネットやテープ等の副資
材について調べたところ、容器内圧力が−1.0〜−
0.5kg/cm2 の範囲、加熱処理温度が50〜10
0℃の範囲である場合は、いずれの場合も硬化、変退
色、物性劣化などの悪影響はなかった。
【0043】<実験3>実験3では、実施例12に用い
られたのと同じアルミパイプを150本準備し、毛髪用
フィラメントを巻き取った前記アルミパイプを5本づつ
ゴムバンドで束ねて、密閉容器(容量700リットルの
大型真空セッター)内へ分散して挿入し、実施例2の場
合と同様の条件によりカール付与した後、セット性のバ
ラツキを調べた。この結果、L1 、L2 共に平均値±
0.5cm以内であった。一方、同容量の熱風循環式オ
ーブンを使用し、減圧を行わずにスチーム導入の代わり
に熱風を導入してカール付与した場合、L1 、L2 共に
平均値±1.0〜±1.5cmであった。
【0044】上記結果から明らかなように、本発明に係
る方法によりカール付与した場合は、従来の場合と比較
してセット性のバラツキを半分から3分の1に抑えるこ
とができ、より均一なカール付与効果を得ることができ
る。
【0045】
【発明の効果】以上詳述したように本発明に係るカール
付与方法によれば、カール付与部材にて形態保持した毛
髪用フィラメントを密閉容器内に収容して該密閉容器内
を減圧状態とし、該減圧状態を保持しつつ前記密閉容器
内にスチームを導入して前記毛髪用フィラメントを加熱
処理するので、特に前記容器内圧力をゲージ圧にして−
0.5kg/cm2 以下の値とし、前記加熱処理温度を
50℃以上100℃未満とした場合には、一度に大量に
加熱処理した場合であってもカール形状やカール保持力
を均一に発現させることができ、品質の均一化を図るこ
とができ、しかも従来よりも加熱処理時間を短縮して生
産性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態に係るカール付与方法を工
程順に示したフローチャートである。
【図2】実施の形態に係るカール付与方法に用いた耐圧
真空容器を示した模式的断面図である。
【図3】スチームを導入し始めてからの時間と巻かれた
毛髪用フィラメントの温度との関係のグラフを示した図
である。
【図4】従来例に係るカール付与方法を工程順に示した
フローチャートである。
【符号の説明】
1 真空ポンプ 2 圧力ゲージ 3 制御装置 4 温度センサ 5 スチームライン 10 容器

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 カール付与部材にて形態保持した毛髪用
    フィラメントを密閉容器内に収容して該密閉容器内を減
    圧状態とし、その後前記密閉容器内にスチームを導入し
    て前記毛髪用フィラメントを加熱処理することを特徴と
    するカール付与方法。
  2. 【請求項2】 前記減圧状態時の密閉容器内圧力がゲー
    ジ圧にして−0.5kg/cm2 以下の値であることを
    特徴とする請求項1記載のカール付与方法。
  3. 【請求項3】 前記毛髪用フィラメントが合成繊維から
    なっている場合の前記加熱処理温度が50℃以上100
    ℃未満の範囲のいずれかの値であることを特徴とする請
    求項1記載のカール付与方法。
  4. 【請求項4】 前記毛髪用フィラメントが蛋白質繊維か
    らなっている場合の前記加熱処理温度が50〜100℃
    の範囲のいずれかの値であることを特徴とする請求項1
    記載のカール付与方法。
  5. 【請求項5】 前記毛髪用フィラメントの原料繊維とし
    て塩化ビニル系繊維、アクリル系繊維のいずれか又は双
    方を用いることを特徴とする請求項1記載のカール付与
    方法。
  6. 【請求項6】 前記加熱処理終了後に再度又は引き続き
    減圧処理することを特徴とする請求項1記載のカール付
    与方法。
  7. 【請求項7】 上記請求項1〜6のいずれかの項に記載
    のカール付与方法を用いてカール付与された毛髪用フィ
    ラメントを用いてなる頭飾品。
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