JPH108323A - 絹糸の前処理方法 - Google Patents
絹糸の前処理方法Info
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- JPH108323A JPH108323A JP16460296A JP16460296A JPH108323A JP H108323 A JPH108323 A JP H108323A JP 16460296 A JP16460296 A JP 16460296A JP 16460296 A JP16460296 A JP 16460296A JP H108323 A JPH108323 A JP H108323A
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- cocoon
- drying
- far
- drying chamber
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Abstract
(57)【要約】
【課 題】 双糸で構成された絹糸を単糸に分繊し、高
級感溢れた絹織物を製造する。 【解決手段】 繭Cを大気圧以下に保持した乾燥室1内
において遠赤外線加熱器3で加熱乾燥してその内部の蛹
を殺してこれを乾燥する工程と、この乾燥された繭Cを
温水中で糸繰りを行う工程と、この糸繰りによって得ら
れた双糸からなる絹糸を、単糸y1 ,y2に分繊巻取り
する工程とからなる絹糸及び絹糸製品の製造方法。
級感溢れた絹織物を製造する。 【解決手段】 繭Cを大気圧以下に保持した乾燥室1内
において遠赤外線加熱器3で加熱乾燥してその内部の蛹
を殺してこれを乾燥する工程と、この乾燥された繭Cを
温水中で糸繰りを行う工程と、この糸繰りによって得ら
れた双糸からなる絹糸を、単糸y1 ,y2に分繊巻取り
する工程とからなる絹糸及び絹糸製品の製造方法。
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は絹糸の製造方法、更
に詳しくは繭から解き出された双糸からなる絹糸を個々
の単糸に分離可能な絹糸の前処理方法及び単糸からなる
絹糸の製造方法に関する。
に詳しくは繭から解き出された双糸からなる絹糸を個々
の単糸に分離可能な絹糸の前処理方法及び単糸からなる
絹糸の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】絹糸は他の天然繊維や合成繊維にない光
沢を持ち、外観に優れ、感触に優れた弾力性があること
から高級な織物等に使用されている。この絹糸は古くか
ら知られているように、蚕が糸を吐き出して繭を完成し
て蛹になった状態で加熱してこの蛹を殺し、更にこの繭
を熱湯中に浸漬して絹糸が繭から分離し易い状態にして
この繭から絹糸を繰り出す方法が採用されている。
沢を持ち、外観に優れ、感触に優れた弾力性があること
から高級な織物等に使用されている。この絹糸は古くか
ら知られているように、蚕が糸を吐き出して繭を完成し
て蛹になった状態で加熱してこの蛹を殺し、更にこの繭
を熱湯中に浸漬して絹糸が繭から分離し易い状態にして
この繭から絹糸を繰り出す方法が採用されている。
【0003】周知のように、蚕が繭を完成して蛹になっ
た状態から約1週間から10日前後経過すると蛹が成虫
になってこの繭を食い破って脱出することになるので、
この蛹の状態で殺しておく必要がある。この蛹を殺す通
常の方法は、繭を120℃程度の高温の熱風にさらして
加熱する方法や繭を熱湯に浸漬して殺す方法等がある。
熱湯による方法はその後の糸繰り工程も継続して行なわ
なければ繭が腐ったり、腐敗臭を放ったり、品質を悪化
させる問題があり、その作業は煩雑である。
た状態から約1週間から10日前後経過すると蛹が成虫
になってこの繭を食い破って脱出することになるので、
この蛹の状態で殺しておく必要がある。この蛹を殺す通
常の方法は、繭を120℃程度の高温の熱風にさらして
加熱する方法や繭を熱湯に浸漬して殺す方法等がある。
熱湯による方法はその後の糸繰り工程も継続して行なわ
なければ繭が腐ったり、腐敗臭を放ったり、品質を悪化
させる問題があり、その作業は煩雑である。
【0004】一方、熱風乾燥する方法は蛹を殺すと共に
繭とその内部の蛹を同時に乾燥させることができるの
で、繭にカビを発生させたり、蛹の腐食を防止できるこ
とから繭を汚損させることが少なく長期に保存が可能で
ある。そして乾燥させた繭はその後の保存状態が良好で
あれば、その後の糸繰り工程に余裕を持たせて作業をす
ることができる。
繭とその内部の蛹を同時に乾燥させることができるの
で、繭にカビを発生させたり、蛹の腐食を防止できるこ
とから繭を汚損させることが少なく長期に保存が可能で
ある。そして乾燥させた繭はその後の保存状態が良好で
あれば、その後の糸繰り工程に余裕を持たせて作業をす
ることができる。
【0005】ところで、蚕が作る絹糸は、図3に示すよ
うに2つの口から吐き出した2本の絹糸単糸(フィブロ
イン)を平行に並べて両者の間とその周囲をタンパク質
であるセリシンで被覆したバイメタル状の双糸が2〜3
デニールの1本の絹糸Yとなったものである。この絹糸
をYを拡大して見ると、2本の単糸y1 ,y2は三角断
面糸であり、このような断面と糸質から絹糸としての高
級感のあるものを製造することができるのである。
うに2つの口から吐き出した2本の絹糸単糸(フィブロ
イン)を平行に並べて両者の間とその周囲をタンパク質
であるセリシンで被覆したバイメタル状の双糸が2〜3
デニールの1本の絹糸Yとなったものである。この絹糸
をYを拡大して見ると、2本の単糸y1 ,y2は三角断
面糸であり、このような断面と糸質から絹糸としての高
級感のあるものを製造することができるのである。
【0006】前記のように2〜3デニールの繊細な1本
の絹糸Yは、2本の三角断面の単糸y1 ,y2の集合体
である双糸で構成されていることから、これをそれぞれ
の単糸y1 ,y2に分離することができれば超極細の繊
細な絹糸とすることができて、織物等を製造した際に今
までの絹織物にない高級感のあるものを製造することが
できるのである。
の絹糸Yは、2本の三角断面の単糸y1 ,y2の集合体
である双糸で構成されていることから、これをそれぞれ
の単糸y1 ,y2に分離することができれば超極細の繊
細な絹糸とすることができて、織物等を製造した際に今
までの絹織物にない高級感のあるものを製造することが
できるのである。
【0007】このような技術的、商業的な要求から1本
の絹糸から2本の絹糸Yの単糸y1,y2を製造する方法
が当業界において色々と検討されてきたが、1本の絹糸
Yは2〜3デニールの極繊細で比較的強度の低い繊維で
あることから、これを1デール程度の超極細の単糸
y1 ,y2に分離することは実験室的に慎重な分離操作
でできたとしても実質的に困難であり、工業的には不可
能であった。
の絹糸から2本の絹糸Yの単糸y1,y2を製造する方法
が当業界において色々と検討されてきたが、1本の絹糸
Yは2〜3デニールの極繊細で比較的強度の低い繊維で
あることから、これを1デール程度の超極細の単糸
y1 ,y2に分離することは実験室的に慎重な分離操作
でできたとしても実質的に困難であり、工業的には不可
能であった。
【0008】本発明者は双糸からなる絹糸の分繊方法に
ついて検討した結果、2本の単糸を集合させている結合
剤であると共に保護層として機能しているセリシンの特
性を検討した結果、繭の乾燥工程における加熱温度と加
熱方法とが関連しており、120℃程度の高温でセリシ
ンを加熱すると変質して次第にニカワ状になり、この状
態になると最早単糸に分離することが困難となることを
確認した。
ついて検討した結果、2本の単糸を集合させている結合
剤であると共に保護層として機能しているセリシンの特
性を検討した結果、繭の乾燥工程における加熱温度と加
熱方法とが関連しており、120℃程度の高温でセリシ
ンを加熱すると変質して次第にニカワ状になり、この状
態になると最早単糸に分離することが困難となることを
確認した。
【0009】そこでこの加熱温度を低温から高温に順次
変化させてセリシンの変質状態を検査したところ、45
〜75℃、好ましくは55〜65℃の温度で熱処理する
ことによってセリシンを変質させず、柔軟な状態を保持
して双糸に分繊力を作用させると単糸に簡単に分繊する
ことが可能であることを実験によって確認して得られた
ものである。
変化させてセリシンの変質状態を検査したところ、45
〜75℃、好ましくは55〜65℃の温度で熱処理する
ことによってセリシンを変質させず、柔軟な状態を保持
して双糸に分繊力を作用させると単糸に簡単に分繊する
ことが可能であることを実験によって確認して得られた
ものである。
【0010】加熱温度が45℃未満であると腐敗臭がな
い状態で効率的に繭を乾燥することができず、また、7
5℃以上であるとセリシンの変質速度が高まり、次第に
ニカワ質となることが確認されている。この乾燥工程
は、単に繭に遠赤外線を照射するだけでは双糸の分離が
やや工業的に劣っており、この乾燥工程を遠赤外線照射
と熱風の循環と、更に乾燥室内を減圧に保持することに
よってセリシンの変質を防止しながら繭を短時間で効率
的に乾燥することができ、しかも、変質や変色や腐敗臭
がなく、更に分繊可能な絹糸を製造することが可能であ
る。
い状態で効率的に繭を乾燥することができず、また、7
5℃以上であるとセリシンの変質速度が高まり、次第に
ニカワ質となることが確認されている。この乾燥工程
は、単に繭に遠赤外線を照射するだけでは双糸の分離が
やや工業的に劣っており、この乾燥工程を遠赤外線照射
と熱風の循環と、更に乾燥室内を減圧に保持することに
よってセリシンの変質を防止しながら繭を短時間で効率
的に乾燥することができ、しかも、変質や変色や腐敗臭
がなく、更に分繊可能な絹糸を製造することが可能であ
る。
【0011】従って、本発明の目的とするところは、糸
繰りによって得れた双糸からなる絹糸を、個々の単糸に
分繊して超極細の絹糸の単糸を製造するための熱処理方
法と、双糸を分繊して得られた超極細の絹糸の単糸を製
造する方法を提供することにある。要するに、本発明は
繊細な1本の双糸からなる絹糸から、超極細の絹糸の単
糸を分繊によって効率的に製造できる方法を提供するも
のである。
繰りによって得れた双糸からなる絹糸を、個々の単糸に
分繊して超極細の絹糸の単糸を製造するための熱処理方
法と、双糸を分繊して得られた超極細の絹糸の単糸を製
造する方法を提供することにある。要するに、本発明は
繊細な1本の双糸からなる絹糸から、超極細の絹糸の単
糸を分繊によって効率的に製造できる方法を提供するも
のである。
【0012】
【課題を解決するための手段】前記目的を達成するため
の本発明に係る絹糸の前処理方法は、繭を大気圧以下に
保持した乾燥室内において遠赤外線によって加熱乾燥す
る方法を提供することにある。また、繭を大気圧以下に
保持した乾燥室内において減圧遠赤外線によって加熱乾
燥してその内部の蛹を殺してこれを乾燥する工程と、こ
の乾燥された繭を温水中で糸繰りを行う工程と、この糸
繰りによって得られた双糸からなる絹糸を、単糸に分繊
巻取りする工程とから成ることを特徴としている。
の本発明に係る絹糸の前処理方法は、繭を大気圧以下に
保持した乾燥室内において遠赤外線によって加熱乾燥す
る方法を提供することにある。また、繭を大気圧以下に
保持した乾燥室内において減圧遠赤外線によって加熱乾
燥してその内部の蛹を殺してこれを乾燥する工程と、こ
の乾燥された繭を温水中で糸繰りを行う工程と、この糸
繰りによって得られた双糸からなる絹糸を、単糸に分繊
巻取りする工程とから成ることを特徴としている。
【0013】更に、乾燥室内を水柱5〜150mm、好
ましくは55〜65mmの範囲の減圧状態に保持し、室
温を45〜75℃好ましくは55〜65℃の範囲内にお
いて前記乾燥室内に収容されている繭に遠赤外線を放射
することを特徴としている。また、乾燥室内の空気を循
環させるとともに、適度な給気と排気を2台のブロアの
関連した操作で行なって乾燥室内を大気圧以下(減圧状
態)に保持した状態で、繭に遠赤外線を放射することを
特徴としている。
ましくは55〜65mmの範囲の減圧状態に保持し、室
温を45〜75℃好ましくは55〜65℃の範囲内にお
いて前記乾燥室内に収容されている繭に遠赤外線を放射
することを特徴としている。また、乾燥室内の空気を循
環させるとともに、適度な給気と排気を2台のブロアの
関連した操作で行なって乾燥室内を大気圧以下(減圧状
態)に保持した状態で、繭に遠赤外線を放射することを
特徴としている。
【0014】減圧遠赤外線乾燥とは、本発明者が永年の
研究の結果完成したものであって、乾燥室内に遠赤外線
加熱を配置し、この乾燥室内の空気を循環させると共に
排気させ、更に前記した温度範囲と水柱範囲において、
この乾燥室内を減圧に保持しながら被乾燥物である繭を
遠赤外線を放射するもので、本発明によれば従来の繭の
乾燥温度より遙かに低温において加熱しながら蛹を殺
し、そしてこの繭を効率的に乾燥させるものである。
研究の結果完成したものであって、乾燥室内に遠赤外線
加熱を配置し、この乾燥室内の空気を循環させると共に
排気させ、更に前記した温度範囲と水柱範囲において、
この乾燥室内を減圧に保持しながら被乾燥物である繭を
遠赤外線を放射するもので、本発明によれば従来の繭の
乾燥温度より遙かに低温において加熱しながら蛹を殺
し、そしてこの繭を効率的に乾燥させるものである。
【0015】遠赤外線による繭の加熱は、従来の蛹を高
温の熱風によって殺す方法に比較して遙かに低温であ
る。そして遠赤外線の物質透過能力から、繭の中にいる
蛹を確実に、しかも迅速に加熱して殺して乾燥する。そ
の際、低温で加熱されることから絹糸の外皮を形成する
セリシンを実質的に変質させることなく、しかも柔軟な
状態に保持可能な温度範囲に維持している。
温の熱風によって殺す方法に比較して遙かに低温であ
る。そして遠赤外線の物質透過能力から、繭の中にいる
蛹を確実に、しかも迅速に加熱して殺して乾燥する。そ
の際、低温で加熱されることから絹糸の外皮を形成する
セリシンを実質的に変質させることなく、しかも柔軟な
状態に保持可能な温度範囲に維持している。
【0016】本発明によって得られた単糸からなる絹糸
は、高温の熱によって黄変等の欠点を防止しながら蛹を
効果的に殺すことができ、腐食臭等が全くないものを製
造することが可能である。蛹は繭の中で生きているもの
であり、これが加熱によって死亡する際に、弱い蛹の場
合は繭の内部を汚染する可能性があるが、遠赤外線は繭
を加熱した後にその内部の蛹を確実に加熱するといった
時間差を与えることなく、蛹自身を直接に加熱すること
ができることから、蛹を短時間に殺すことができる上に
充分な乾燥を、しかも比較的低温で行うことができるの
で、黄変や腐敗臭等の欠点のない品質の良い乾燥繭とす
ることができるのである。
は、高温の熱によって黄変等の欠点を防止しながら蛹を
効果的に殺すことができ、腐食臭等が全くないものを製
造することが可能である。蛹は繭の中で生きているもの
であり、これが加熱によって死亡する際に、弱い蛹の場
合は繭の内部を汚染する可能性があるが、遠赤外線は繭
を加熱した後にその内部の蛹を確実に加熱するといった
時間差を与えることなく、蛹自身を直接に加熱すること
ができることから、蛹を短時間に殺すことができる上に
充分な乾燥を、しかも比較的低温で行うことができるの
で、黄変や腐敗臭等の欠点のない品質の良い乾燥繭とす
ることができるのである。
【0017】
【発明の実施の態様】次に図面を参照して本発明の実施
の形態を説明する。図1は本発明を実施するための繭乾
燥装置の概念図であって、乾燥室1は全体として断熱し
た箱体であって、一面に扉を持ち、各壁面や天井面や床
面は断熱構造に構成されている。
の形態を説明する。図1は本発明を実施するための繭乾
燥装置の概念図であって、乾燥室1は全体として断熱し
た箱体であって、一面に扉を持ち、各壁面や天井面や床
面は断熱構造に構成されている。
【0018】そして天井部分を仕切板2(天井板)で乾
燥部Dと機器部Mに上下2室に仕切り、この仕切板2の
上面の機器部M内に遠赤外線加熱器3を配置し、開口部
に遠赤外線加熱器を内蔵した送風機4を設置しており、
この送風機4で吸引した室内の空気を遠赤外線加熱器3
で加熱しながら開口部2aより吐出して循環させるよう
に構成されている。
燥部Dと機器部Mに上下2室に仕切り、この仕切板2の
上面の機器部M内に遠赤外線加熱器3を配置し、開口部
に遠赤外線加熱器を内蔵した送風機4を設置しており、
この送風機4で吸引した室内の空気を遠赤外線加熱器3
で加熱しながら開口部2aより吐出して循環させるよう
に構成されている。
【0019】そしてこの乾燥室1には給気用ベンチレー
タ5を有する給気用ブロア6と、排気用ベンチレータ7
を有する排気用ブロア8を設けている。そして給気aの
量をベンチレータ5で調整しながら給気用ブロア6で給
気aすると共に、ベンチレータ7で排気eの量を調整し
ながら排気ブロア8で排気eして所定の減圧状態を保持
する。
タ5を有する給気用ブロア6と、排気用ベンチレータ7
を有する排気用ブロア8を設けている。そして給気aの
量をベンチレータ5で調整しながら給気用ブロア6で給
気aすると共に、ベンチレータ7で排気eの量を調整し
ながら排気ブロア8で排気eして所定の減圧状態を保持
する。
【0020】そして前記送風機4によって遠赤外線加熱
器3で加熱された加熱空気Kを開口部2aより前記乾燥
部D内に噴出して循環させて所定の温度を保持し、更に
この遠赤外線加熱気3からの放射熱を繭Cに与えるよう
になっている。10は計測器であって、外気の湿度の検
出端Hと外気の温度の検出端Tと、室内湿度の検出端h
と室内温度の検出端tと、室内のグローブ温度を測定す
るグローブ温度検出端Gがそれぞれ設けられている。
器3で加熱された加熱空気Kを開口部2aより前記乾燥
部D内に噴出して循環させて所定の温度を保持し、更に
この遠赤外線加熱気3からの放射熱を繭Cに与えるよう
になっている。10は計測器であって、外気の湿度の検
出端Hと外気の温度の検出端Tと、室内湿度の検出端h
と室内温度の検出端tと、室内のグローブ温度を測定す
るグローブ温度検出端Gがそれぞれ設けられている。
【0021】前記排気用ブロア8と給気用ブロア6とは
減圧用コントローラ11によって所定の減圧状態を維持
するように関連的して制御され、また、送風機4は送風
機用コントローラ12によって制御され、更にこれらの
コントローラ11,12は相互に連動するようになって
いる。また、遠赤外線加熱器3は乾燥部D内の温度を検
知して制御するコントローラ13によって乾燥部D内を
所定の温度に保持するようになっている。
減圧用コントローラ11によって所定の減圧状態を維持
するように関連的して制御され、また、送風機4は送風
機用コントローラ12によって制御され、更にこれらの
コントローラ11,12は相互に連動するようになって
いる。また、遠赤外線加熱器3は乾燥部D内の温度を検
知して制御するコントローラ13によって乾燥部D内を
所定の温度に保持するようになっている。
【0022】そして乾燥部D内には繭の乾燥棚15が設
けてあり、これの上に繭Cを分散状態で載置して乾燥す
るようにしている。前記構造の乾燥室1において乾燥部
D内を循環する加熱空気Kの温度を60℃に保ち、更に
この乾燥部D内の圧力を水柱で60mmに減圧しながら
乾燥棚15上の繭Cを10時間、減圧で遠赤外線照射を
伴なって熱風で乾燥処理した。
けてあり、これの上に繭Cを分散状態で載置して乾燥す
るようにしている。前記構造の乾燥室1において乾燥部
D内を循環する加熱空気Kの温度を60℃に保ち、更に
この乾燥部D内の圧力を水柱で60mmに減圧しながら
乾燥棚15上の繭Cを10時間、減圧で遠赤外線照射を
伴なって熱風で乾燥処理した。
【0023】前記のように乾燥処理した繭Cは、従来の
乾燥処理によったものと同等あるいはそれ以上に乾燥し
ており、この状態のものを長時間保管しても変質等の問
題がない状態のものであることを確認した。前記のよう
に繭Cを構成している絹糸Yは、図2の如く単糸(フィ
ブロイン)y1 ,y2 をセリシンCeで包むように保護
した構造を持っているが、このセリシンCeの層を剥離
できるかどうかが単糸y1 ,y2 を分繊できるかどうか
の問題であった。
乾燥処理によったものと同等あるいはそれ以上に乾燥し
ており、この状態のものを長時間保管しても変質等の問
題がない状態のものであることを確認した。前記のよう
に繭Cを構成している絹糸Yは、図2の如く単糸(フィ
ブロイン)y1 ,y2 をセリシンCeで包むように保護
した構造を持っているが、このセリシンCeの層を剥離
できるかどうかが単糸y1 ,y2 を分繊できるかどうか
の問題であった。
【0024】先に述べたように、従来の高温の120℃
の熱風を利用する乾燥方法で繭を乾燥処理したものを、
図2に示すように繰り糸した絹糸Yを巻回したボビン2
0をクリールに支持し、分繊ガイド21、22を経てボ
ビン23、24に巻回ようとしたが、単糸切れが多発し
て実質的に分繊することができなかった。一方、本発明
においては、前記のように乾燥部D内に熱風を循環させ
ながら排気用ブロア8と給気用ブロア6を作動させて前
記のように減圧状態を保持しながら、遠赤外線加熱器3
によって60℃の低温で繭Cを加熱処理した。そしてこ
の繭Cについて図2に示すような分繊処理をした。
の熱風を利用する乾燥方法で繭を乾燥処理したものを、
図2に示すように繰り糸した絹糸Yを巻回したボビン2
0をクリールに支持し、分繊ガイド21、22を経てボ
ビン23、24に巻回ようとしたが、単糸切れが多発し
て実質的に分繊することができなかった。一方、本発明
においては、前記のように乾燥部D内に熱風を循環させ
ながら排気用ブロア8と給気用ブロア6を作動させて前
記のように減圧状態を保持しながら、遠赤外線加熱器3
によって60℃の低温で繭Cを加熱処理した。そしてこ
の繭Cについて図2に示すような分繊処理をした。
【0025】すると、1本の絹糸Yが2本の単糸(フィ
ブロイン)y1 ,y2 に簡単に分繊することができ、そ
れぞれをボビン23、24に巻上げることができた。こ
のことから、単糸y1 ,y2 の周囲を保護しているセリ
シンCeは加熱処理をした後でも繭の状態から変質して
おらず、簡単に剥離ないしは分離することが確認され
た。
ブロイン)y1 ,y2 に簡単に分繊することができ、そ
れぞれをボビン23、24に巻上げることができた。こ
のことから、単糸y1 ,y2 の周囲を保護しているセリ
シンCeは加熱処理をした後でも繭の状態から変質して
おらず、簡単に剥離ないしは分離することが確認され
た。
【0026】そして前記ボビン23、24に巻回されて
いる絹糸の単糸y1 ,y2 は、図3に示すように断面が
三角形で、3つの鋭角状の稜線を持っており、このよう
に分繊された個々の単糸は通常の繊維の製造方法では得
られない1デニール程度の超極細繊維である上に、従来
の絹糸Yにないプリズム状に反射面を持っている。従っ
て、この超極細繊維を収束して通常の方法によって染色
し、そして織成した織物は表面に深みを持った光沢があ
り、豊なヌメリ感があり、高級感に溢れた織物を製造す
ることができた。
いる絹糸の単糸y1 ,y2 は、図3に示すように断面が
三角形で、3つの鋭角状の稜線を持っており、このよう
に分繊された個々の単糸は通常の繊維の製造方法では得
られない1デニール程度の超極細繊維である上に、従来
の絹糸Yにないプリズム状に反射面を持っている。従っ
て、この超極細繊維を収束して通常の方法によって染色
し、そして織成した織物は表面に深みを持った光沢があ
り、豊なヌメリ感があり、高級感に溢れた織物を製造す
ることができた。
【0027】
【発明の効果】本発明に係る絹糸の前処理方法と、この
前処理方法を利用した絹糸の製造方法は、繭を大気圧以
下に保持した乾燥室内において遠赤外線によって加熱乾
燥し、更にこの乾燥した繭を通常の方法によって繰り糸
したものを絹糸の単糸に簡単に、しかも効率的に分繊す
ることができ、従来にない三角断面の超極細繊維からな
る繊細な絹糸を製造することができた。
前処理方法を利用した絹糸の製造方法は、繭を大気圧以
下に保持した乾燥室内において遠赤外線によって加熱乾
燥し、更にこの乾燥した繭を通常の方法によって繰り糸
したものを絹糸の単糸に簡単に、しかも効率的に分繊す
ることができ、従来にない三角断面の超極細繊維からな
る繊細な絹糸を製造することができた。
【0028】この三角断面を持つ絹糸の繊細な単糸を使
用して織物その他の繊維製品を製造すると、従来の絹織
物では得られない高級感に溢れ、微妙に柔らかな光線を
反射する絹糸製品を得ることができた。
用して織物その他の繊維製品を製造すると、従来の絹織
物では得られない高級感に溢れ、微妙に柔らかな光線を
反射する絹糸製品を得ることができた。
【図1】減圧遠赤外線加熱による乾燥機の概要の説明図
である。
である。
【図2】分繊工程の説明図である。
【図3】絹糸の断面を示す拡大図である。
1 乾燥室 2 仕切板 3 遠赤外線加熱器
4 送風機 5 給気用ベンチレータ 6 給気用ブロア 7
減圧用ベンチレータ 8 減圧用ブロア 10 計測器 11 減圧用コ
ントローラ 12 送風機用コントローラ 13 コントローラ
15 繭乾燥棚 M 機器部 D 乾燥部 C 繭 a 給気
e 排気
4 送風機 5 給気用ベンチレータ 6 給気用ブロア 7
減圧用ベンチレータ 8 減圧用ブロア 10 計測器 11 減圧用コ
ントローラ 12 送風機用コントローラ 13 コントローラ
15 繭乾燥棚 M 機器部 D 乾燥部 C 繭 a 給気
e 排気
Claims (4)
- 【請求項1】 繭を大気圧以下に保持した乾燥室内にお
いて遠赤外線によって繭を加熱乾燥する絹糸の前処理方
法。 - 【請求項2】 繭を大気圧以下に保持した乾燥室内にお
いて減圧遠赤外線によって加熱乾燥してその内部の蛹を
殺してこれを乾燥する工程と、この乾燥された繭を温水
中で糸繰りを行う工程と、この糸繰りによって得られた
双糸からなる絹糸を、単糸に分繊巻取りする工程とから
なる絹糸の製造方法。 - 【請求項3】 乾燥室内を水柱で5〜150mm、好ま
しくは55〜65mmの範囲の減圧状態に保持すると共
に、室温を45〜75℃好ましくは55〜65℃の範囲
に保持しながら前記乾燥室内に収容されている繭に遠赤
外線を放射する請求項1あるいは2記載の絹糸の製造方
法。 - 【請求項4】 乾燥室内の加熱空気を循環させるととも
に適度な給気と排気をブロアによって大気圧以下に保持
しながら前記乾燥室内に収容されている繭に遠赤外線を
放射する請求項1、2あるいは3記載の絹糸の製造方
法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP16460296A JPH108323A (ja) | 1996-06-25 | 1996-06-25 | 絹糸の前処理方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP16460296A JPH108323A (ja) | 1996-06-25 | 1996-06-25 | 絹糸の前処理方法 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH108323A true JPH108323A (ja) | 1998-01-13 |
Family
ID=15796306
Family Applications (1)
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JP16460296A Pending JPH108323A (ja) | 1996-06-25 | 1996-06-25 | 絹糸の前処理方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JPH108323A (ja) |
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-
1996
- 1996-06-25 JP JP16460296A patent/JPH108323A/ja active Pending
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