JP7189696B2 - 擬麻糸の製造方法 - Google Patents
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Description
図1は、本実施形態に係る擬麻糸の製造工程S1~S6を説明するフロー図である。ここでの擬麻糸は、原糸52の表面全体にムラなく糊をコーティングすることにより製造され、原糸52の表面に形成される糊の層により、麻のような感触及び光沢が与えられる。原糸52の種類は、特に限定されず、典型的には、綿やレーヨン等のセルロース系繊維からなる糸であるが、擬麻加工される原糸52は、麻であってもよい。
<2-1.染色機>
図4は、染色機1の概略斜視図である。染色機1は、製造工程S1~S4で使用される。染色機1は、一般にチーズ染色機とも呼ばれ、チーズ5を染液に浸漬しながら、チーズ5のボビン51に巻き取られた原糸52を染色するための機械である。ただし、本実施形態では、染色機1は、原糸52の染色のみならず、糊付けにも使用される。
図5は、脱水機2の外観斜視図である。脱水機2は、製造工程S5で使用される。脱水機2は、一般にチーズ脱水機とも呼ばれ、チーズ5を脱水するための機械である。
図6は、乾燥機3の概略側方断面図である。乾燥機3は、製造工程S6で使用される。乾燥機3は、チーズ5を乾燥させるための機械である。
次に、図1を参照しつつ、擬麻糸の製造工程S1~S6について説明する。まず、工程S1として、原糸52が巻かれたチーズ5を多数用意し、これらを染色機1のキャリア15の各スピンドル18に積み重ねるようにしてセットする。チーズ5の1つ当たりの原糸52の量は、後の糊付けの工程S4における糊の付着ムラを防止する観点からは、800g以下とすることが好ましく、700g以下とすることがより好ましく、600g以下とすることがさらに好ましく、約500gとすることがより好ましい。そして、多数のチーズ5が装填されたキャリア15を染色槽10内に収容し、染色槽10内に染液を充填する。こうして、チーズ5を染液の中に浸漬し、チーズ5に巻かれた原糸52を染色する。このとき、色ムラのない染色を実現するために、ポンプ12を駆動し、染色槽10内の染液を循環させることが好ましい。原糸52及び染液の種類や、要求される染めの程度等にもよるが、チーズ5の染液への浸漬時間は、典型的には、2~3時間程度である。工程S1では、染色槽10内を高温高圧に維持し、染色の効果を促進することもでき、このとき、例えば、染色槽10内の圧力を0.3MPa程度、染液を130℃程度とすることができる。
上記実施形態では、原糸52の糸束であるチーズ5を糊液入りの染色槽10の中に浸漬した後、チーズ5を脱水機2で脱水し、さらにその後、乾燥機3で乾燥させることにより、擬麻糸が製造される。このように、糸束ごと糊液中に浸漬することにより糊付けを行うため、糊付けの手間が大幅に簡略化される。また、糊液への浸漬後、糸束を乾燥させる前に脱水することで、原糸52に対する糊の付着ムラが抑制される。なお、仮に脱水工程S5を省略し、糊付け工程S4の後、直ちに乾燥工程S6を実施すると、擬麻糸に多分に含まれる水分により、糊が擬麻糸の表面を移動してしまい、糊の付着ムラが生じ得る。しかしながら、上記実施形態では、乾燥工程S6の前に脱水工程S5を経ることにより、糊の付着ムラのない、品質の良好な擬麻糸を製造することができる。また、脱水工程S5を実施せずに、含水率が高いまま乾燥工程S6を実施すると、乾燥時間が長時間に及んでしまう。本発明者の実験によると、脱水工程S5を経ていない含水率が30%以上の糸束を、上記と同様の乾燥機で乾燥させたところ、5時間以上の時間を要した(上記のとおり脱水した後に、上記と同様の乾燥機で乾燥させた場合には、4時間で済んだ)。
以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない限りにおいて、種々の変更が可能である。例えば、以下の変更が可能である。また、以下の変形例の要旨は、適宜組み合わせることができる。
上記実施形態では、糊液中にチーズ5を浸漬する糊付け工程S4において、チーズ染色機1の染色槽10が使用されたが、これに限られず、チーズを浸漬する容器としては、これに適した任意の容器を使用することができる。
乾燥工程S6の後に、高温高圧乾燥機を使用して、チーズ5を高圧下で温風環境に晒してもよい。この場合、最終的に製造される擬麻糸にハリやコシを出すことができる。
10 染色槽(容器)
2 脱水機
3 乾燥機
5 チーズ
52 原糸
Claims (8)
- 擬麻糸の製造方法であって、
容器内に染液を充填し、原糸の糸束を前記染液入りの前記容器の中に浸漬し、前記糸束を染色する染色工程と、
前記容器内に洗浄液を充填し、染色後の前記糸束を前記洗浄液入りの容器の中で洗浄する洗浄工程と、
前記容器内に糊を充填し、前記糸束を前記糊入りの前記容器の中に浸漬し、前記糸束に糊付けを行う糊付け工程と、
糊付け後の前記糸束を脱水機で脱水する脱水工程と、
脱水後の前記糸束を乾燥機で乾燥させる乾燥工程と
を含む、擬麻糸の製造方法。 - 前記脱水工程は、前記糸束を常圧下で脱水する工程である、
請求項1に記載の擬麻糸の製造方法。 - 前記脱水工程は、前記糸束を常温下で脱水する工程である、
請求項1又は2に記載の擬麻糸の製造方法。 - 前記乾燥機は、温風乾燥機である、
請求項1から3のいずれかに記載の擬麻糸の製造方法。 - 前記乾燥工程は、前記糸束を常圧下で乾燥させる工程である、
請求項1から4のいずれかに記載の擬麻糸の製造方法。 - 前記糊付け工程は、前記糊に加え、前記糊以外の機能剤を入れた前記容器内で前記糸束を浸漬する工程である、
請求項1から5のいずれかに記載の擬麻糸の製造方法。 - 前記機能剤には、紫外線カット剤及び清涼剤の少なくとも一方が含まれる、
請求項6に記載の擬麻糸の製造方法。 - 前記染色工程及び前記洗浄工程は、前記糊付け工程の前に実施される、
請求項1から7のいずれかに記載の擬麻糸の製造方法。
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