JPH10265491A - 新規テルペン系化合物0406tp−1 - Google Patents

新規テルペン系化合物0406tp−1

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JPH10265491A
JPH10265491A JP9261106A JP26110697A JPH10265491A JP H10265491 A JPH10265491 A JP H10265491A JP 9261106 A JP9261106 A JP 9261106A JP 26110697 A JP26110697 A JP 26110697A JP H10265491 A JPH10265491 A JP H10265491A
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久幸 小牧
Akira Nemoto
明 根本
Taiji Tanaka
泰至 田中
Noboru Mikami
襄 三上
Katsukiyo Yazawa
勝清 矢沢
Junichi Kobayashi
淳一 小林
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Abstract

(57)【要約】 【解決手段】 下記化1に示される化学構造式を有する
化合物0406TP−1又はその医薬的に許容される
塩。 【化1】 (式中、Acはアセチル基、Meはメチル基を表わ
す。) 【効果】 すぐれた抗腫瘍作用、免疫抑制作用を有す
る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、新規化合物040
6TP−1、その製造法及び用途に関するものである。
新規化合物0406TP−1は、微生物、特に放線菌の
培養物から分離採取された従来未知の新規テルペン系化
合物であって、すぐれた生理活性、特にすぐれた抗腫瘍
作用及び免疫抑制作用を有するものである。従って、本
発明に係る新規テルペン系化合物は、抗腫瘍剤として癌
の治療剤及び/又は予防薬として有効に利用することが
出来る。また、本発明に係る新規テルペン系化合物は、
免疫抑制剤、例えば臓器移植、皮膚移植における拒絶反
応の抑制や自己免疫疾患の治療剤及び/又は予防薬とし
て有効に利用することができる。
【0002】
【従来の技術】抗腫瘍剤として数多くの新規化合物が発
見され、また、新規化合物も合成され、その一部は実用
化されている。たしかに従来より知られている抗腫瘍剤
にはすぐれたものが各種知られているが、効果はもとよ
り、安全性、生産性の面からもう一段の改良が求められ
ている。また、近年、アレルギー性疾患、膠原病、自己
免疫性疾患あるいは結合組織病と称される一群の病態に
種々の免疫抑制剤が使用され、その効果に注目が集まっ
ている。同様に肝臓、心臓、腎臓等の臓器移植の際の拒
絶反応抑制にも適用され、年々その重要性を増してい
る。
【0003】この分野におけるある種の免疫細胞に特異
性及び選択性の高い薬物として開発された物質として、
シクロスポリンA(A.Rciegger et al., Agents and Ac
tions, vol.6, pp.468-475(1976))が開発されており、
シクロスポリンAは、ヘルパーT細胞のインターロイキ
ン2(IL-2)産生を抑制するが、サプレッサーT細胞の
IL-2 産生を抑制せず、その結果移植片の拒絶を阻止す
ることが明らかにされ、現在、腎臓、骨髄移植等の臓器
移植で著しい成果を上げ、臨床で使用されている。しか
し、この薬物は場合によって急性腎中毒、軽度の神経病
変、歯肉肥厚等の副作用を生じせしめる等の問題が指摘
されている。
【0004】また、1984年に発見されたマクロライ
ド抗生物質タクロリムス(tacrorims; FK506)(T.Kino
et al., J.Antibiot., vol.40, pp.1249-1255(1987))
は免疫抑制剤として好ましい結果が得られている。しか
し、生産性が低いことやタクロリムス関連物質が微量に
同時生産されることなどからタクロリムスの生産性の向
上などで問題をかかえており、今後の発展の制約条件と
なる可能性が大きいこと、さらに、膵臓及び腎臓への障
害があること、また、シクロスポリンAとの作用点が類
似していることもあり、より安全性の高い、作用点の異
なる新規物質の開発が強く望まれていた。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、このような
当業界における要望に応えるためになされたものであっ
て、抗腫瘍剤及び免疫抑制剤の技術開発の流れに沿いス
クリーニングを重ねた結果、今迄に知られていない新規
な化合物に抗腫瘍活性があること及び免疫抑制活性を有
することを見い出し、本発明を完成させた。本発明は、
従来既知の物質より更にすぐれた抗腫瘍活性を有する新
規な化合物及び免疫抑制活性を有する新規な化合物を提
供する目的でなされたものである。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、新規な抗
腫瘍作用を有する物質及び新規な免疫抑制作用を有する
物質を得ることを目的として、天然物、特に微生物の代
謝産物について広く検索を行い、より有効な抗腫瘍作用
及び免疫抑制作用を有する物質について検索を行った結
果、Nocardia brasiliensis IFM0406株(FERM BP-549
8)が培養液中に抗腫瘍作用と免疫抑制作用の両方の性
質を有する物質を生成蓄積することを発見した。そし
て、更に本物質についてその物理化学的性質を詳細に調
べ、化学構造を明らかにしたところ、従来知られていな
い新規物質であることが確認された。本物質は請求項1
に記載した様に、一般式(1)で示されるテルペン系の
新規な化合物であった。発明者らは本化合物を0406
TP−1と命名した。
【0007】すなわち本発明は、下記化2に示される一
般式(1)を有する新規な化合物0406TP−1又は
医薬的に許容し得る塩に関するものである。
【0008】
【化2】
【0009】(但し式中、Acはアセチル基、Meはメ
チル基を表わす。)
【0010】また、本発明は、新規テルペン系化合物0
406TP−1又はその医薬的に許容される塩を有効成
分とする新規な抗腫瘍剤及び免疫抑制剤にも関するもの
である。以下、本発明について詳述する。
【0011】
【発明の実施の形態】本発明に係る化合物0406TP
−1の物理化学的性質は、下記表1に示される。
【0012】
【表1】
【0013】化合物の1H NMR及び13C NMRス
ペクトルの内、有意なシグナルは、それぞれ下記表2、
表3に示される。
【0014】
【表2】
【0015】
【表3】
【0016】本発明に係る化合物0406TP−1は、
例えばNocardia brasiliensis IFM0406株(FERM BP-549
8)によって生産される。
【0017】Nocardia brasiliensis IFM0406株の菌学
的性質は、形態学的にはオートミール寒天培地(ISP
−3)で培養した時、形態学的にはアクチノミセーテス
(Actinomycetes)の一種に見られる様な分岐した長い
菌糸と気中菌糸体を有していた。また、培養時間を長く
することによって、桿菌様胞子が数個と気中菌糸および
栄養菌糸の断列が観察された。栄養菌糸断列が観察され
たことから形態学的にNocardia属に属するものと推定さ
れた。各種培地でのNocardia brasiliensis IFM0406株
の培養的性質を下記表4に示した。また、生理学的性質
について表5に示した。
【0018】
【表4】
【0019】
【表5】
【0020】本菌株を培地(2%グルコースを含むブレ
インハート・インフュージョン)中で、250rpmで3
0℃、72時間振とう培養し、培地中に生育した菌体を
遠心分離(3000rpm×10分)で集め、蒸留水で2
回洗浄した。更に菌体をエタノールで洗い、次いで真空
乾燥し、乾燥菌体とした。この乾燥菌体の細胞壁のアミ
ノ酸組成、糖組成、脂質組成をBergey's Manual of Det
erminative Bacteriology 9th ed., Williams, Baltimo
re, 1993に基づいて調べた。アミノ酸分析結果よりメソ
-ジアミノピメリン酸、糖分析結果よりアラビノース、
ガラクトースが検出された。また脂質分析の結果からミ
コール酸の存在が確認され、そのTypeはNocardia Type
であった。菌体脂質成分であるイソプレノイド・キノン
は主たる成分としてMK−8(H4)cycleまた、
微量成分としてMK−8(H4)、MK−8(H)、M
K−9(H2)が確認された。また、表4に示したアデ
ニン、カゼイン、ヒポキサンチン、チロシンの資化性、
さらには糖から酸の産出パターン及び抗菌剤に対する感
受性のパターン(Mikami & Yazawa, Susceptibility p
attern of pathogenic Nocardia to some selected ant
imicrobial agentsand their usefulness in the ident
ification work in a clinical laboratory: Bull. JFC
C「日本微生物株保存連盟会誌」5 : 89、1989)から、
本菌株はNocardia brasiliensisと同定された。
【0021】また表6に示したG+C含量及びDNA相
同性の検討結果も、本菌がNocardiabrasiliensisである
ことを支持するものであった。
【0022】
【表6】
【0023】この様に本菌株は、Nocardia brasiliensi
sに分類されるが、化合物0406TP−1を生産する
ことで極めて特徴的であった。Nocardia brasiliensis
IFM0406は、工業技術院生命工学工業技術研究所に国際
寄託した(FERM BP-5498)。
【0024】本発明に係る化合物0406TP−1は、
Nocardia brasiliensis IFM0406(FERM BP-5498)株に
よって生産されるほか、Nocardia属に属する他の菌株に
よっても生産されることが確認されており、化合物04
06TP−1の生産はこれらの微生物からX線照射、γ
線照射、ナイトロジェンマスタード、N−メチル−N′
−ニトロ−N−ニトロソグアニジン、2−アミノプリ
ン、エチルメタンスルホネート等を使用した変異処理に
より取得できる人工変異株ならびに自然変異株を含めて
化合物0406TP−1を生産しうるすべての変異株の
使用も広く包含するものである。
【0025】本発明に係る一般式(1)で示される新規
化合物0406TP−1は、化学合成法によって製造で
きるほか、上記のように微生物によっても製造すること
ができる。
【0026】後者の場合、本発明に係る一般式(1)で
示される新規化合物0406TP−1はNocardia属に属
する該化合物生産菌、例えばNocardia brasiliensis IF
M0406が資化しうる炭素源及び窒素源を含む培地で培養
して製造することが出来るが好気的深部培養条件(例え
ば振とう培養、通気攪拌培養等)で生産せしめることが
好ましい。
【0027】炭素源としては、グルコース、グリセロー
ル、シュークロース、澱粉、デキストリンその他の炭水
化物を使用することが好ましい。窒素源としては、オー
トミール、イースト抽出物、牛肉抽出物、ツナ肉抽出
物、ペプトン、グルテンミール、綿実粉、大豆ミール、
コーンスティープリカー、乾燥イースト、小麦胚芽、落
花生粉、チキン骨肉ミール等を使用するのが好ましい
が、アンモニウム塩(例えば、硝酸アンモニウム、硫酸
アンモニウム、リン酸アンモニウム等)、尿素、アミノ
酸等の無機及び有機の窒素化合物も有利に使用すること
が出来る。
【0028】これらの炭素源及び窒素源は併用すること
が有利であるが、必ずしも純粋なものを使用する必要は
ない。純粋でないものには、生長因子や微量要素が含ま
れているため、これを使用することが望ましい為であ
る。必要ならば、例えば炭酸ナトリウム、炭酸カリウ
ム、リン酸ナトリウム、リン酸カリウム、塩化ナトリウ
ム、塩化カリウム、ヨウ化ナトリウム、ヨウ化カリウ
ム、マグネシウム塩、銅塩、コバルト塩等のような無機
塩類を培地に添加することが出来る。必要ならば、特
に、培地が発泡するのであれば、流動パラフィン、動物
油、植物油、鉱物油、シリコン等の消泡剤を加えること
が出来る。
【0029】目的物質を大量に工業生産するには、他の
発酵生産物の場合と同様に、通気攪拌培養するのが好ま
しい。少量生産の場合は、フラスコを用いる振とう培養
が好適である。また、培養を大きなタンクで行う場合、
化合物0406TP−1の生産工程において菌の生育遅
延を防止するため、はじめに比較的少量の培地に生産菌
を接種培養した後、次に培養物を大きな生産タンクに移
してそこで生産培養するのが好ましい。この場合、前培
養に使用する培地及び生産培養に使用する培地の組成
は、両者ともに同一であってもよいし必要があれば両者
を変えてもよい。
【0030】培養は通気攪拌条件で行うのが好ましく、
例えばプロペラやその他機械による攪拌、ファーメンタ
ーの回転または振とう、ポンプ処理、空気の吹込み等既
知の方法が適宜使用される。通気用の空気は滅菌してお
くのが良い。
【0031】培養温度は、化合物0406TP−1生産
菌が本物質を生産する範囲で適宜変更しうるが、通常は
10〜40℃、好ましくは25〜35℃で培養するのが
よい。培養時間は、培養条件や培養量によっても異なる
が、通常は約1日〜1週間である。
【0032】発酵終了後、培養物から目的とする化合物
0406TP−1を回収する。すなわち、菌体は、直接
水及び/又は有機溶媒による抽出、あるいは、これを機
械的に又は超音波等既知の手段を用いて破壊した後、水
及び/又は有機溶媒で抽出した後、常法に従って回収、
精製する。培養液の場合は、直接、溶媒で抽出してもよ
いし、また、培養液の濾過又は遠心分離後、減圧濃縮、
凍結乾燥、pH調節、アニオン又はカチオン交換樹脂、
活性炭、粉末セルロース、シリカゲル、アルミナ、吸着
性樹脂等の担体に接触させて化合物0406TP−1を
吸着させた後、これを担体から溶出すればよい。
【0033】回収、精製方法としては、抗生物質採取の
際の常法が適宜利用され、例えば、水、有機溶媒これら
の混合溶媒による溶媒抽出;クロマトグラフィー;単一
溶媒又は混合溶媒からの再結晶等常法が適宜単独である
いは組合わせて使用できる。
【0034】化合物0406TP−1の回収、精製は上
記の様に既知の方法を適宜利用して行うが、例えば次の
様にしてもよい。先ず、培養物を遠心分離またはMF膜
で処理することにより菌体を除いた後、疎水性の吸着樹
脂に吸着させ、吸着画分をメタノールで溶出し、この溶
出画分を減圧濃縮し、更にDEAEクロマトグラフィー
に吸着させ、トリス−塩酸緩衝液で溶出すればよい。溶
出液を減圧濃縮し、更に再クロマトすることにより更に
精製度を向上させ、必要によって凍結乾燥すればよい。
【0035】本発明化合物0406TP−1を医薬とし
て投与する場合、本発明化合物をそのまま又は医薬的に
許容される無毒性かつ不活性の担体中に、例えば、0.
1%〜99.5%好ましくは0.5%〜90%含有する
医薬組成物として投与される。
【0036】担体としては、固形、半固形、又は液状の
希釈剤、充填剤、及びその他の処方用の助剤一種以上が
用いられる。医薬組成物は、投与単位形態で投与するこ
とが望ましい。本発明医薬組成物は、経口投与、組織内
投与、局所投与(経皮投与等)、又は経直腸的に投与す
る事ができる。これらの投与方法に適した剤型で投与さ
れるのはもちろんである。
【0037】抗腫瘍剤または免疫抑制剤としての用量
は、年齢、体重等の患者の状態、投与経路、病気の性質
と程度等を考慮した上で調整することが望ましい。多量
に投与するときは、一日数回に分割して投与することが
望ましい。10〜2000mg/日程度の投与が一般的で
ある。
【0038】経口投与は固形又は液状の用量単位、例え
ば、末剤、散剤、錠剤、糖衣剤、カプセル剤、ドロップ
剤、舌下錠その他の剤型によって行う事ができる。
【0039】末剤は、活性物質を適当な細かさにする事
により製造される。散剤は、活性物質を適当な細かさと
成し、次いで同様に細かくした医薬用担体、例えば、澱
粉、マンニトールの如き可食性炭水化物その他と混合す
ることにより製造される。必要に応じ、風味剤、保存
剤、分散剤、着色剤、香料その他のものを混じても良
い。
【0040】カプセル剤は、まず粉末状となった末剤や
散剤あるいは顆粒化したものを、例えばゼラチンカプセ
ルのようなカプセル外皮の中へ充填することにより製造
される。滑沢剤や流動化剤、例えばコロイド状のシリ
カ、タルク、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸
カルシウム、固形のポリエチレングリコールの如きもの
を粉末状態のものに混合し、然るのちに充填操作を行う
事もできる。崩壊剤や可溶化剤、例えばカルボキシメチ
ルセルロース、炭酸カルシウム、炭酸ナトリウムを添加
すれば、カプセル剤が摂取された時の医薬品の有効性を
改善する事ができる。また、本品の微粉末を植物油、ポ
リエチレングリコール、グリセリン、界面活性剤中に懸
濁分散し、これをゼラチンシートで包んで軟カプセル剤
とすることもできる。
【0041】錠剤は、粉末混合物を作り、顆粒化若しく
はスラグ化し、次いで崩壊剤又は滑沢剤を加えたのち打
錠することにより製造される。
【0042】粉末混合物は、適当に粉末化された物質を
上述の希釈剤やベースと混合し、必要に応じ結合剤(例
えばカルボキシメチルセルロースナトリウム、アルギン
酸塩、ゼラチン、ポリビニルピロリドン、ポリビニルア
ルコールなど)、溶解遅延化剤(例えばパラフィンな
ど)、再吸収剤(例えば四級塩)及び/又は吸着剤(例
えばベントナイト、カオリン、リン酸ジカルシウムな
ど)を併用してもよい。粉末混合物は、まずシロップ、
でんぷん糊、アラビアゴム、セルロース溶液又は高分子
物質溶液などの結合剤で湿らせ、次いで篩を強制通過さ
せて顆粒とする事ができる。このように粉末を顆粒化す
るかわりに、まず打錠機にかけたのち、得られる不完全
な形態のスラグを破砕して顆粒にすることも可能であ
る。
【0043】このようにして作られる顆粒は、滑沢剤と
してステアリン酸、ステアリン酸塩、タルク、ミネラル
オイルその他を添加することにより、互いに付着する事
を防ぐ事ができる。このように滑沢化された混合物を、
次いで打錠する。また薬物は、上述のように顆粒化やス
ラグ化の工程を経ることなく、流動性の不活性担体と結
合したのちに直接打錠しても良い。シェラックの密閉被
膜からなる透明又は半透明の保護被膜、糖や高分子材料
の被覆、及びワックスよりなる磨上被覆の如きも用いう
る。
【0044】他の経口投与剤型、例えば溶液、シロッ
プ、エリキシルなどもまたその一定量が含有するように
用量単位形態にする事ができる。シロップは、化合物を
適当な香味化水溶液に溶解して製造され、またエリキシ
ルは、非毒性のアルコール性担体中に分散させることに
より処方される。可溶化剤や乳化剤(例えばエトキシ化
されたイソステアリルアルコール類、ポリオキシエチレ
ンソルビトールエステル類、保存剤、風味賦与剤(例え
ばペパーミント油、サッカリン)その他もまた必要に応
じ添加できる。必要とあれば、経口投与のための用量単
位処方はマイクロカプセル化してもよい。該処方は、ま
た被覆をしたり、高分子・ワックス等中にうめ込んだり
することにより作用時間の延長や持続放出をもたらす事
もできる。
【0045】非経口的投与は、皮下・筋肉内又は静脈内
注射用としたところの液状用量単位形態、例えば溶液や
懸濁剤の形態を用いることによって行いうる。これらの
ものは、化合物の一定量を、注射の目的に適合する非毒
性の液状担体、例えば、水性や油性の媒体に懸濁し又は
溶解し、次いで該懸濁液又は溶液を滅菌することにより
製造される。あるいは化合物の一定量をバイアルにと
り、然るのち該バイアルとその内容物を滅菌し密閉して
も良い。投与直前に溶解又は混合するために、粉末又は
凍結乾燥した有効成分に添えて、予備的なバイアルや担
体を準備しても良い。注射液を等張にするために非毒性
の塩や塩溶液を添加しても良い。さらに安定剤、保存
剤、乳化剤の如きものを併用する事もできる。
【0046】直腸投与は、化合物を低融点の固体、例え
ばポリエチレングリコール、カカオ脂、高級エステル類
(例えばパルミチン酸ミリスチルエステル)及びそれら
の混合物を混じた座剤を用いることによって行いうる。
【0047】本発明の新規化合物0406TP−1の医
薬品としての有効性は、各種の試験によって確認するこ
とが出来る。抗腫瘍活性は、in vitroで培養腫瘍細胞株
に対する細胞毒性を測定する方法や腫瘍細胞を移植した
マウスを用い延命率を測定する方法で確認できる。免疫
抑制活性は、マウス同種リンパ球混合反応(MLR)に
おける幼若化阻害活性を測定する方法やマウスを用いin
vivoで同種細胞免疫による細胞障害性T細胞の誘導に
対する抑制効果を測定することで確認できる。また04
06TP−1の安全性は、マウスを用いた急性毒性試験
や反復投与毒性試験によって確認できる。以下、本発明
を実施例について更に詳しく説明するが、本発明は実施
例によって限定されるものではない。
【0048】
【実施例1:発酵生産及び回収精製】 (1)発酵生産 Nocardia brasiliensis IFM0406株(FERM BP-5498)を
グリセロール2%、ポリペプトン(日本製薬株式会社)
1%、ツナ肉エキス0.5%、pH7.0からなる基本
培地10mlを50ml三角フラスコに分注したものに接
種し30℃、72時間振とう培養した。これを更に、同
培地1.5Lを5Lの三角フラスコに分注した培地に1
%v/vで前記種培養物を接種し、同様前培養を行っ
た。この前培養液を同培地150Lを入れた200Lタ
ンク培養槽に接種し、通気量1vvm、攪拌数200rpm
30℃、90時間培養した。
【0049】(2)回収精製 得られた培養液150Lを濾布濾過することにより菌体
を除き、更に0.45μmのポアサイズを有する限外濾
過膜(ミリポア社製ペリコンカセットシステム)で濾過
することにより除菌した。この濾液画分をダイアイオン
HP20(三菱樹脂株式会社)カラム15×100cmに
吸着させ、50%メタノール溶液で十分洗浄し、夾雑物
を除き、100%メタノール20Lで溶出した。この溶
出画分をエバポレーターで濃縮後、凍結乾燥した。
【0050】この凍結乾燥物の一部分、0.5gを50
mlの20mMトリス−塩酸緩衝液(pH8.0)に溶解
し、DEAEトヨパール650Mカラム(2.5×10
cm)に吸着させ、500mlの同緩衝液で溶出を行った。
溶出画分中の化合物0406TP−1の検出は、各画分
のHPLC分析のパターンとマウス同種リンパ球混合反
応(MLR)による免疫抑制活性とを対比したデータを
基に行い、本化合物の溶出画分を採取した。または、同
様に各画分についてのHPLC分析のパターンと培養腫
瘍株P388及びそのアドリアマイシン耐性株(P38
8/ADR)に対する細胞毒性とを対比したデータを基
にし、本化合物の溶出画分を採取した。
【0051】活性画分100mlを集め、2N塩酸溶液で
pH4.0に調整し、CMトヨパール650Mカラム
(2.5×10cm)に吸着させ、20mM酢酸緩衝液(p
H4.0)500mlで溶出した。化合物0406TP−
1を含む画分100mlを集め、エバポレーターで2mlに
濃縮後、Capcell pack C18 SG120(株式会社資生堂)3
×25cmに吸着させた。0.15%TFA(トリフルオ
ロ酢酸)を含むアセトニトリルを用い、18%〜50%
アセトニトリルの濃度勾配溶出(30ml/min、60mi
n)を行った。20mlを1画分とし、各画分をHPLC
で分析し、化合物0406TP−1を含む画分100ml
を集め、エバポレーターで濃縮乾燥後、減圧真空乾燥機
で乾燥し、粉末3.6mgを得た。
【0052】
【実施例2:抗腫瘍活性】 (1)培養腫瘍細胞株に対する細胞毒性試験 培養腫瘍細胞P388及びP388/ADR株を、10
%熱不活性化牛胎児血清(FCS)、20μM 2−メ
ルカプトエタノールを含むRPMI1640培地に懸濁
し、細胞浮遊液(5×104 cells/ml)を調製した。
【0053】被検体は、メタノールに溶解後、RPMI
1640培地を用いて希釈し、0.1mg/ml濃度から2
倍希釈を順次繰り返し調製した。細胞浮遊液180μl
と被検体液20μlを96穴マイクロプレートに分注
し、5%炭酸ガス−95%空気の湿潤環境下、37℃で
培養した。72時間後、臭化3−(4,5−ジメチル−
2−チアゾリル)−2,5−ジフェニル−2H−テトラ
ゾリウム(MTT)を用いた色素定量法により細胞の生
育を測定した。すなわち、2mg/ml MTT溶液を20
μlずつ各ウェルに添加し、4時間、37℃で培養し
た。その後、20%ドデシル硫酸ナトリウムを含む50
%ジメチルホルムアミド溶液50μlを加えて放置し、
形成された紫色のホルマザン結晶を溶解させ、マイクロ
プレート吸光光度計(イムノリーダー)を用いて570
nmにおける吸光度を測定し、生育の指標とした。結果
は、下記数1で示される式より抑制率を算出し、被検体
濃度と抑制率の関係から、生育を50%阻害する被検体
濃度(IC50)で表示した。
【0054】
【数1】
【0055】その結果は表7に示した。0406TP−
1は培養腫瘍細胞に対して強い細胞毒性(抗癌活性)を
有しており、また、抗癌剤耐性細胞(アドリアマイシン
耐性細胞)にも強力な生育阻害活性を有しており、抗腫
瘍剤として有効であることが確認された。
【0056】
【表7】
【0057】(2)マウスを用いたin vivo抗腫
瘍試験 0406TP−1の生体内での抗腫瘍活性を調べるた
め、P388及びP388/ADRを移植したマウスを
用いて抗腫瘍試験を行った。0406TP−1及び比較
対照としてアドリアシン(一般名アドリアマイシン、協
和発酵(株))各々を1mg/ml、0.5mg/ml、0.1
mg/mlになるよう注射用蒸留水に溶解し、検液とした。
CDF1マウス(オス、体重20g 10匹/1群)に
P388又はP388/ADRを2×105個腹腔内接
種し、翌日から1日1回、10日間連続で各濃度の検液
を200μl腹腔内に注射することにより各物質を各々
10、5、1mg/kg体重/day投与した。投与後のマウ
スの経時的生存数を計数し、平均生存日数及び延命率を
算出した。また10日後の平均体重も測定し、表8の結
果を得た。
【0058】
【表8】
【0059】アドリアマイシンは、それ自体の毒性のた
め5mg/kg体重/day以上の投与での治療効果は認めら
れなかった。P388移植系では、アドリアマイシン
(1mg/kg体重/day)投与群と0406TP−1投与
群ではほぼ同程度の治療効果(延命率の上昇)が認めら
れた。一方、P388/ADR移植系では、移植腫瘍細
胞がアドリアマイシン耐性のため、アドリアマイシンの
治療効果は認められなかったのに対し、0406TP−
1投与群では著しい治療効果が認められた。これらの効
果から、0406TP−1は生体内において抗腫瘍効果
を示すことが示唆された。
【0060】
【実施例3:免疫抑制活性】 (1)マウス同種リンパ球混合反応試験(MLR) 試料調製は、実施例1で製造した精製0406TP−1
を1mg/ml濃度で滅菌蒸留水に溶かした後、RPMI1
640培地で順次希釈した。
【0061】検定のマウスリンパ球混合反応(MLR)
は、Hatanaka らの方法(Hatanakaら,J. Antibiotics,
41, 1592-1601(1988))に準じて行った。すなわち、反
応細胞としてC57BL/6マウス(H−2b)の脾細
胞を、刺激細胞としてBALB/Cマウス(H−2d)
の脾臓細胞をマイトマイシンC処理したものを用い、混
合培養することによって行った。
【0062】反応細胞の調製は、以下の方法で行った。
5〜6週齢のC57BL/6マウスより脾臓を摘出し、
10%熱処理不活性化牛胎児血清(FCS)を加えた氷
冷RPMI1640培地20ml中でホモゲナイズ後、ガ
ーゼ濾過することで単細胞浮遊液を得た。遠心により回
収後、RPMI1640培地4mlに懸濁し、0.15M
塩化アンモニウム、1mM炭酸水素ナトリウム及び0.
1mMエチレンジアミン四酢酸四ナトリウムを含む溶液
(pH7.2)6mlを添加して0℃で1分間インキュベ
ートし、混在する赤血球細胞を除いた。これにRPMI
1640培地を加え、遠心分離し、さらに3回同培地2
0mlで遠心洗浄後50μM 2−メルカプトエタノー
ル、10%FCSを含むRPMI1640培地を用いて
5.6×106/mlに調製し、反応細胞浮遊液とした。
【0063】刺激細胞の調製は、5〜6週齢のBALB
/Cマウスより脾臓を摘出し、同様の方法で調製した脾
臓細胞浮遊液に25μg/mlのマイトマイシンCを添加
し、37℃、30分間インキュベートした。これにRP
MI1640培地20mlを加え、遠心分離し、さらに3
回同培地(20ml)で遠心洗浄後、50μM 2−メル
カプトエタノール、10%FCSを含むRPMI164
0培地を用いて5.6×106個/mlに調製し、刺激細
胞浮遊液とした。
【0064】反応細胞液90μlと刺激細胞液90μl
及び被検体液20μlを96穴マイクロプレートに加
え、37℃、5%CO2−95%空気の湿潤条件下で9
6時間培養を行った。リンパ球の幼若化はトリチウム化
チミジンの取り込みを測定することにより調べた。96
時間培養後各ウエルに25μCi/mlのトリチウム化チ
ミジンを含むRPMI1640培地を20μl添加し、
0.5μCi/ウエルずつパルス標識した。更に4時間
インキュベート後、マルチプル試料収集機を用い、グラ
スファイバー濾紙上に培養物を集めた。個々のウエルに
対応する濾紙ディスクの放射活性を液体シンチレーショ
ン測定法により測定した(ベータカウンター)。重複し
て検定したウエル毎の1分間のカウント数(cpm)の
平均を計算し、結果はトリチウム化チミジン取り込み
(幼若化)の阻害の度合をIC50で表9に表示した。対
照としてシクロスポリンAの結果を示した。
【0065】
【表9】
【0066】(2)マウス細胞障害性T細胞誘導試験 生体内での免疫抑制活性の指標としてマウス同種細胞免
疫による細胞障害性T細胞の誘導に対する0406TP
−1及び比較対照として上市免疫抑制剤であるシクロス
ポリンAの抑制効果を調べた。試験は Fujita らの方法
( Fujita ら,J. Antibiotics, 47, 208-215 (1994))
に準じて行った。8週齢、メスのC57BL/6マウス
(H−2b)をDBA/2(H−2d)由来の培養細胞
P815液(5×107個/ml PBS液)を0.2mlマ
ウス腹腔内に投与することで免疫し、免疫当日から0.1
mg/mlの被検体を0.2〜0.3ml投与することで、1mg/kg
体重/dayの用量で5日間腹腔内投与した。
【0067】免疫9日後にマウスより脾臓を摘出し、1
0%FCSを加えたRPMI1640培地20ml中でホ
モゲナイズ後、ガーゼ濾過した。遠心により回収した
後、RPMI1640培地4mlに懸濁し、0.15M塩
化アンモニウム、1mM炭酸水素ナトリウム及び0.1
mMエチレンジアミン四酢酸四ナトリウムを含む溶液
(pH7.2)6mlを添加して0℃で1分間インキュベ
ートし、混在する赤血球を除いた。これにRPMI16
40培地20mlを加え、遠心分離し、さらに3回同培地
20mlで遠心洗浄後、10%FCSを加えたRPMI1
640培地中に懸濁し、単細胞浮遊液とした後、エフェ
クター細胞として用いた。標的細胞としてP815を
0.1μCiのNa2 51CrO4を含むダルベッコ Minim
um Essential Medium (D−MEM)中で37℃、3時
間インキュベートすることにより、51Crを細胞内に取
り込ませた後、D−MEM 20mlで3回遠心洗浄し、
10%FCSを加えたRPMI1640培地中に懸濁
し、2×105個/mlに調製した。細胞障害活性の測定
はエフェクター細胞浮遊液100μlと標的細胞浮遊液
100μlを96穴丸底マイクロプレートに加え、37
℃にて4時間培養した後、遠心分離を行い、上清中に放
出される51Cr量を測定し、下記数2で示される式より
細胞障害活性を算出した。
【0068】
【数2】
【0069】細胞障害性T細胞の活性はLytic u
nit(LU)にて表示した。LUは標的細胞2×10
4個を20%破壊するのに必要なエフェクター細胞数を
1LUとし、脾臓あたりのLUで示した。また同様に、
マウスを免疫後、1mg/ml の被検体を0.2〜0.3m
l投与することで10mg/kg体重/dayの用量になるよう
5日間腹腔内投与し、細胞障害活性を測定した。これら
の結果を表10に示した。
【0070】
【表10】
【0071】0406TP−1は腹腔内への投与により
同種細胞免疫マウスの脾細胞中の細胞障害性T細胞の誘
導を抑制することが示された。このことは臓器移植等で
生ずる拒絶反応を抑制(免疫抑制)しうることを示して
いる。
【0072】
【実施例4:毒性試験】 (1)急性毒性試験 0406TP−1を10mg/mlになるよう5%グルコー
ス水溶液に溶解し、検液とした。ICR系マウス(SP
F、オス、体重20g)5頭に対して尾静脈より検液を
200μl注射することにより0406TP−1を10
0mg/kg体重投与した。投与後1ヶ月間の経時的生存を
観察したところ死亡例は認められなかった。よって04
06TP−1の尾静脈単回投与によるLD50値を>10
0mg/kg体重と算出した。この結果から本物質の低毒性
及び安全性が示唆された。
【0073】(2)反復投与毒性試験 0406TP−1を1mg/ml、0.5mg/ml、0.1mg
/mlになるよう注射用蒸留水に溶解し、検液とした。比
較対照として、アドリアマイシンも同様に検液を調製し
た。CDF1マウス(オス、体重21〜22g 10匹
/1群)に各検液を1日1回10日間連続で腹腔内に2
10〜220μl注射することにより各物質を10、
5、1mg/kg体重/day投与した。投与後の経時的生存
数と0日目、5日目、10日目の平均体重を測定し表1
1の結果を得た。
【0074】
【表11】
【0075】上記の結果からも明らかなように、アドリ
アマイシン投与群は死亡例が見られ、体重増加も対照に
比べ劣るのに対し、0406TP−1投与群は死亡例も
なく、順調な体重増加を示した。本結果からも0406
TP−1の低毒性及び安全性が示唆された。
【0076】
【実施例5:点滴剤の製造】0406TP−1 60mg
を5%ブドウ糖溶液60mlに溶解させ、この溶液を5%
ブドウ糖溶液440mlに混合し点滴剤とした。
【0077】
【実施例6:錠剤の製造】 (1)0406TP−1 50g、(2)ラクトース9
0g、(3)コーンスターチ29g、(4)ステアリン
酸マグネシウム1gを原料として用い、錠剤を製造し
た。すなわち、(1)、(2)及び(3)(但し17
g)を混合し、(3)(但し7g)から調製したペース
トとともに顆粒化した。得られた顆粒に(3)(但し5
g)と(4)を加えてよく混合し、この混合物を圧縮錠
剤機により圧縮して、1錠あたり有効成分である040
6TP−1を50mg含有する錠剤1000個を製造し
た。
【0078】
【発明の効果】本発明は、化合物0406TP−1を提
供するものである。本化合物は新規化合物であって、す
ぐれた生理活性を有し、抗腫瘍剤、免疫抑制剤等として
各種の医薬品に利用することができる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 FI C12R 1:365) (72)発明者 矢沢 勝清 船橋市三山9−13−1 (72)発明者 小林 淳一 札幌市西区8軒2条西4丁目1−14−16

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 下記化1に示される一般式(1)を有す
    る化合物0406TP−1又はその医薬的に許容される
    塩。 【化1】 (式中、Acはアセチル基、Meはメチル基を表わ
    す。)
  2. 【請求項2】 請求項1に記載の化合物0406TP−
    1またはその医薬的に許容される塩を有効成分とする免
    疫抑制剤。
  3. 【請求項3】 請求項1に記載の化合物0406TP−
    1またはその医薬的に許容される塩を有効成分とする抗
    腫瘍剤。
  4. 【請求項4】 Nocardia属に属する請求項1に記載の化
    合物0406TP−1生産菌を培養し、培養物より該化
    合物を採取することを特徴とする請求項1に記載の化合
    物0406TP−1またはその塩の製造法。
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