JPH10265400A - ペプチドと薬剤 - Google Patents
ペプチドと薬剤Info
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- JPH10265400A JPH10265400A JP9066445A JP6644597A JPH10265400A JP H10265400 A JPH10265400 A JP H10265400A JP 9066445 A JP9066445 A JP 9066445A JP 6644597 A JP6644597 A JP 6644597A JP H10265400 A JPH10265400 A JP H10265400A
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- peptide
- amino acid
- amino
- corneal epithelial
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- Y02—TECHNOLOGIES OR APPLICATIONS FOR MITIGATION OR ADAPTATION AGAINST CLIMATE CHANGE
- Y02P—CLIMATE CHANGE MITIGATION TECHNOLOGIES IN THE PRODUCTION OR PROCESSING OF GOODS
- Y02P20/00—Technologies relating to chemical industry
- Y02P20/50—Improvements relating to the production of bulk chemicals
- Y02P20/55—Design of synthesis routes, e.g. reducing the use of auxiliary or protecting groups
Abstract
(57)【要約】
【課題】 IL−1の様々な生理活性領域から角膜上皮
細胞の増殖促進作用を有するペプチド部分を単離し、こ
のペプチドを薬剤として提供する。 【解決手段】 配列番号1のアミノ酸配列からなるペプ
チドと、このペプチド、その誘導体、その薬理学的に許
容される塩類、またはそれらの2以上の混合物を有効成
分として含有する角膜上皮損傷の治癒促進剤。
細胞の増殖促進作用を有するペプチド部分を単離し、こ
のペプチドを薬剤として提供する。 【解決手段】 配列番号1のアミノ酸配列からなるペプ
チドと、このペプチド、その誘導体、その薬理学的に許
容される塩類、またはそれらの2以上の混合物を有効成
分として含有する角膜上皮損傷の治癒促進剤。
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、角膜上皮細胞の
増殖促進作用を有するペプチドと、このペプチドを含有
する薬剤に関するものである。
増殖促進作用を有するペプチドと、このペプチドを含有
する薬剤に関するものである。
【0002】
【従来の技術】インターロイキンは免疫反応に関連する
細胞間相互作用を媒介するポリペプチド性物質であり、
インターロイキン1から15まで10数種類のものが知
られている。このうちインターロイキン1(以下「IL
−1」と記載することがある)は、免疫反応に関与する
マクロファージから分泌され、インターロイキン2の産
生を誘導して免疫反応を促進するとともに、好中球走化
因子や単球走化活性化因子の産生を刺激するなどの様々
な生理活性作用を有することが明らかになっている (BB
CR, vol.160, p.1403, 1989)。
細胞間相互作用を媒介するポリペプチド性物質であり、
インターロイキン1から15まで10数種類のものが知
られている。このうちインターロイキン1(以下「IL
−1」と記載することがある)は、免疫反応に関与する
マクロファージから分泌され、インターロイキン2の産
生を誘導して免疫反応を促進するとともに、好中球走化
因子や単球走化活性化因子の産生を刺激するなどの様々
な生理活性作用を有することが明らかになっている (BB
CR, vol.160, p.1403, 1989)。
【0003】このIL−1は同一遺伝子から発現される
α(アミノ酸159個)とβ(アミノ酸153個)の2つのサ
ブタイプがあり、1985年頃にはαとβがクローン化さ
れ、IL−1αは抗ガン剤、あるいはガンの化学療法ま
たは放射線療法の副作用防止剤として、またIL−1β
はガンおよび血球減少症を対象とした治療薬剤として開
発が進められている。
α(アミノ酸159個)とβ(アミノ酸153個)の2つのサ
ブタイプがあり、1985年頃にはαとβがクローン化さ
れ、IL−1αは抗ガン剤、あるいはガンの化学療法ま
たは放射線療法の副作用防止剤として、またIL−1β
はガンおよび血球減少症を対象とした治療薬剤として開
発が進められている。
【0004】しかしながら、IL−1はまた炎症反応の
作用物質であり、薬剤として投与した場合に発熱や炎症
を誘発し、あるいはその抗原性によって好ましくない免
疫反応を生じさせるなどの副作用が問題となっていた。
作用物質であり、薬剤として投与した場合に発熱や炎症
を誘発し、あるいはその抗原性によって好ましくない免
疫反応を生じさせるなどの副作用が問題となっていた。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】上記のとおり、IL−
1は多様な生理活性作用によって様々な疾患に対する治
療薬剤としての利用が期待される一方でその副作用が問
題となっている。このことはIL−1が多様な生理活性
を担うペプチド部分と副作用に関連するペプチド部分と
が混在したポリペプチドであることによるものと考えら
れる。そこで、IL−1を構成する各ペプチド領域の作
用を特定することができれば、所望の生理活性のみを有
し、副作用のない薬剤が提供されるものと期待される。
1は多様な生理活性作用によって様々な疾患に対する治
療薬剤としての利用が期待される一方でその副作用が問
題となっている。このことはIL−1が多様な生理活性
を担うペプチド部分と副作用に関連するペプチド部分と
が混在したポリペプチドであることによるものと考えら
れる。そこで、IL−1を構成する各ペプチド領域の作
用を特定することができれば、所望の生理活性のみを有
し、副作用のない薬剤が提供されるものと期待される。
【0006】この発明は、以上のとおりの事情に鑑みて
なされたものであって、IL−1の様々な生理活性領域
から角膜上皮細胞の増殖促進作用を有するペプチド部分
を単離し、このペプチドを薬剤として提供することを目
的としている。
なされたものであって、IL−1の様々な生理活性領域
から角膜上皮細胞の増殖促進作用を有するペプチド部分
を単離し、このペプチドを薬剤として提供することを目
的としている。
【0007】
【課題を解決するための手段】この発明は、上記の課題
を解決するものとして、配列番号1のアミノ酸配列から
なり、角膜上皮細胞の増殖促進作用を有することを特徴
とするペプチドを提供する。またこの発明は、配列番号
1のアミノ酸配列からなるペプチド、その誘導体、その
薬理学的に許容される塩類、またはこれら2以上の混合
物を有効成分として含有することを特徴とする角膜上皮
損傷の治癒促進剤をも提供する。
を解決するものとして、配列番号1のアミノ酸配列から
なり、角膜上皮細胞の増殖促進作用を有することを特徴
とするペプチドを提供する。またこの発明は、配列番号
1のアミノ酸配列からなるペプチド、その誘導体、その
薬理学的に許容される塩類、またはこれら2以上の混合
物を有効成分として含有することを特徴とする角膜上皮
損傷の治癒促進剤をも提供する。
【0008】なお、配列番号1は、公知のIL−1αの
アミノ酸配列中に存在するテトラペプチドである。すな
わち、この配列番号1のアミノ酸配列は、ヒトIL−1
α(Nature, vol.315, p642, 1985)の202-205番目アミ
ノ酸残基、マウスIL−1α(Nature, vol.312, p460,
1985)の205-208番目アミノ酸残基、およびウシIL−
1α(Nucleic Acids Research, vol .16, p9053, 198
8) の202-205番目アミノ酸残基にそれぞれ相当する。
アミノ酸配列中に存在するテトラペプチドである。すな
わち、この配列番号1のアミノ酸配列は、ヒトIL−1
α(Nature, vol.315, p642, 1985)の202-205番目アミ
ノ酸残基、マウスIL−1α(Nature, vol.312, p460,
1985)の205-208番目アミノ酸残基、およびウシIL−
1α(Nucleic Acids Research, vol .16, p9053, 198
8) の202-205番目アミノ酸残基にそれぞれ相当する。
【0009】
【発明の実施の形態】この発明のペプチドは、配列番号
1に記載したアミノ酸配列を有するテトラペプチドであ
って、例えば公知の固相ペプチド合成法(Jounal of Ch
emical Society Perkin I, 538, 1981)等によって化学
的に合成することができる。すなわちアミノ基およびカ
ルボキシル基を保護したアミノ酸の無水物を生成し、ペ
プチド鎖のC−末端のアミノ酸残基に相当するリジン
(Lys)無水物を樹脂に固定し、この樹脂を洗浄してC
−末端アミノ酸のアミノ保護基を除去する。次いで、ペ
プチド鎖のアミノ酸配列のC−末端の2番目のアミノ酸
残基に相当するロイシン(Lue)無水物を既に固定され
た1番目のアミノ酸のアミン基にカップリングさせる。
以下同様にして順次4番目までのアミノ酸を固定する。
全てのアミノ酸のカップリングが終了し、目的のアミノ
酸配列のペプチド鎖が形成されたのち、溶媒でアセトア
ミドメチル以外の保護基の除去およびペプチドの脱離を
行い、液体クロマトグラフィー等によりペプチドを精製
する。
1に記載したアミノ酸配列を有するテトラペプチドであ
って、例えば公知の固相ペプチド合成法(Jounal of Ch
emical Society Perkin I, 538, 1981)等によって化学
的に合成することができる。すなわちアミノ基およびカ
ルボキシル基を保護したアミノ酸の無水物を生成し、ペ
プチド鎖のC−末端のアミノ酸残基に相当するリジン
(Lys)無水物を樹脂に固定し、この樹脂を洗浄してC
−末端アミノ酸のアミノ保護基を除去する。次いで、ペ
プチド鎖のアミノ酸配列のC−末端の2番目のアミノ酸
残基に相当するロイシン(Lue)無水物を既に固定され
た1番目のアミノ酸のアミン基にカップリングさせる。
以下同様にして順次4番目までのアミノ酸を固定する。
全てのアミノ酸のカップリングが終了し、目的のアミノ
酸配列のペプチド鎖が形成されたのち、溶媒でアセトア
ミドメチル以外の保護基の除去およびペプチドの脱離を
行い、液体クロマトグラフィー等によりペプチドを精製
する。
【0010】あるいはまた、この発明のペプチドは、I
L−1を酵素によって加水分解し、その活性成分をクロ
マトグラフィー等により分離・精製して得ることもでき
る。次に、この発明の角膜上皮損傷治癒促進剤は、上記
の方法によって生成したペプチド、その誘導体、薬理学
的に許容される塩類、またはこれらの2以上の混合物を
有効成分として製造することができる。このうち、ペプ
チドの誘導体は例えばN−末端をアミド化したもの、あ
るいはOH−末端をエステル化したもの等であり、公知
の方法によって任意に生成することができる。また、薬
理学的に許容される塩類は、例えば、塩酸、臭化水素
酸、硫酸、硝酸、リン酸、ホウ酸などの無機鎖酸、ある
いはギ酸、酢酸、プロピオン酸、トリフルオロ酢酸、シ
ュウ酸、コハク酸、マレイン酸、フマル酸、乳酸、リン
ゴ酸、クエン酸、サルチル酸等の有機酸等を用いて生成
することができる。
L−1を酵素によって加水分解し、その活性成分をクロ
マトグラフィー等により分離・精製して得ることもでき
る。次に、この発明の角膜上皮損傷治癒促進剤は、上記
の方法によって生成したペプチド、その誘導体、薬理学
的に許容される塩類、またはこれらの2以上の混合物を
有効成分として製造することができる。このうち、ペプ
チドの誘導体は例えばN−末端をアミド化したもの、あ
るいはOH−末端をエステル化したもの等であり、公知
の方法によって任意に生成することができる。また、薬
理学的に許容される塩類は、例えば、塩酸、臭化水素
酸、硫酸、硝酸、リン酸、ホウ酸などの無機鎖酸、ある
いはギ酸、酢酸、プロピオン酸、トリフルオロ酢酸、シ
ュウ酸、コハク酸、マレイン酸、フマル酸、乳酸、リン
ゴ酸、クエン酸、サルチル酸等の有機酸等を用いて生成
することができる。
【0011】この発明の薬剤は、上記の有効成分の他
に、例えば薬理学的に許容される賦形剤や溶媒等を混合
して製剤化することができる。また、製剤化する場合の
上記有効成分の含有量は、10μg 〜 1000μg/ml程度と
することができる。以下、実施例を示してこの発明をさ
らに詳細かつ具体的に説明するが、この発明は以下の例
に限定されるものではない。
に、例えば薬理学的に許容される賦形剤や溶媒等を混合
して製剤化することができる。また、製剤化する場合の
上記有効成分の含有量は、10μg 〜 1000μg/ml程度と
することができる。以下、実施例を示してこの発明をさ
らに詳細かつ具体的に説明するが、この発明は以下の例
に限定されるものではない。
【0012】
実施例1:ペプチドの合成例 t−ブチルオキシカルボニル基(Boc)でアミノ基を保
護し、ベンジル基(Bzl)でカルボキシル基を保護した
Boc−Lys(Bzl)−OHをジメチルホルムアミド溶液
に溶解し、トリエチルアミンと共にポリマー樹脂に加
え、Boc−Lys(Bzl)を樹脂に固定させたのち、トリ
フルオロ酢酸にてアミノ保護基を除去した。次いで、B
oc−Lue−OHとジイソプロピルカルボジイミドを加
え、既に固定したLysのアミノ基にLueをカップリング
した。同様にして、Boc−Lue−OH、Boc−Val−O
Hを順次結合し、樹脂上に目的とするテトラペプチドを
合成した。合成ののち、フッ素化水素によりペプチドを
樹脂から脱離し、逆相液体クロマトグラフィー(2回)
によりペプチドを精製した。
護し、ベンジル基(Bzl)でカルボキシル基を保護した
Boc−Lys(Bzl)−OHをジメチルホルムアミド溶液
に溶解し、トリエチルアミンと共にポリマー樹脂に加
え、Boc−Lys(Bzl)を樹脂に固定させたのち、トリ
フルオロ酢酸にてアミノ保護基を除去した。次いで、B
oc−Lue−OHとジイソプロピルカルボジイミドを加
え、既に固定したLysのアミノ基にLueをカップリング
した。同様にして、Boc−Lue−OH、Boc−Val−O
Hを順次結合し、樹脂上に目的とするテトラペプチドを
合成した。合成ののち、フッ素化水素によりペプチドを
樹脂から脱離し、逆相液体クロマトグラフィー(2回)
によりペプチドを精製した。
【0013】得られたペプチドの物理化学的性質は以下
のとおりであった。 (1) 性状:白色粉末 (2) 分子量:525ダルトン (3) 溶解性:水(生理食塩水)に可溶、エタノールに
不溶 また、得られたペプチド(50nmol)を 110℃で24時間、
6N塩酸にて加水分解し、アミノ酸分析計によりアミノ
酸組成を分析した。結果は以下のとおりである(数値は
モル比を示し、カッコ内は理論値を示す)。
のとおりであった。 (1) 性状:白色粉末 (2) 分子量:525ダルトン (3) 溶解性:水(生理食塩水)に可溶、エタノールに
不溶 また、得られたペプチド(50nmol)を 110℃で24時間、
6N塩酸にて加水分解し、アミノ酸分析計によりアミノ
酸組成を分析した。結果は以下のとおりである(数値は
モル比を示し、カッコ内は理論値を示す)。
【0014】 Val:0.91 (1) Lue:2.05 (2) Lys:1.03 (1) 実施例2:角膜上皮細胞に対する増殖作用の試験例 (1) 材料 ペプチドは実施例1で合成したペプチドを使用した。角
膜上皮細胞は以下の方法で調製したウサギ角膜上皮細胞
を使用した。
膜上皮細胞は以下の方法で調製したウサギ角膜上皮細胞
を使用した。
【0015】ウサギ角膜片を単離し、実体顕微鏡下にて
角膜を上層と実質層に分け、上層を0.2%ディスパーゼ溶
液に入れ、37℃で45分間反応させたのち、上皮層を剥離
して細切し、0.1%トリプシン溶液内で15分間37℃にて反
応させたのち、15% 牛胎児血清含有の Dulbecco's modi
fied Eagles Mediumを加え、遠心分離(800rpm :4分間
×2回)して細胞を回収し、RGCM培養液(クラボウ
社製)にて3日間培養した。 (2) 試験方法 RGCM培養液中の細胞数が104個/mlとなるように調
整し、24ウエル培養プレートの各ウエルに分注したの
ち、ペプチドを表1の割合で添加し、5%CO2存在下、37
℃で4日間培養した。次いで、3H−チミジン(0.8μCi
/ウエル)を加えてさらに6時間培養したのち、細胞を
トリプシン処理し、セルハーベスターにより回収し、細
胞のDNA中に取り込まれた3H−チミジンからの放射
線量を液体シンチレーションカウンターで計測すること
によって角膜上皮細胞の増殖の程度を評価した。 (3) 結果 この試験の結果は表1に示したとおりであり、ペプチド
の添加量に依存してシンチレーション計測値が増加し、
ペプチド100μg/mlを添加した場合にはコントロール(0
μg/ml)に比較して3.1 倍もの増加が認められた。この
ような3H−チミジンの増加は、細胞複製による新たな
DNA合成が多く生じていることを意味するものであ
り、この発明のペプチドが角膜上皮細胞に対して顕著な
増殖促進作用を有することが確認された。
角膜を上層と実質層に分け、上層を0.2%ディスパーゼ溶
液に入れ、37℃で45分間反応させたのち、上皮層を剥離
して細切し、0.1%トリプシン溶液内で15分間37℃にて反
応させたのち、15% 牛胎児血清含有の Dulbecco's modi
fied Eagles Mediumを加え、遠心分離(800rpm :4分間
×2回)して細胞を回収し、RGCM培養液(クラボウ
社製)にて3日間培養した。 (2) 試験方法 RGCM培養液中の細胞数が104個/mlとなるように調
整し、24ウエル培養プレートの各ウエルに分注したの
ち、ペプチドを表1の割合で添加し、5%CO2存在下、37
℃で4日間培養した。次いで、3H−チミジン(0.8μCi
/ウエル)を加えてさらに6時間培養したのち、細胞を
トリプシン処理し、セルハーベスターにより回収し、細
胞のDNA中に取り込まれた3H−チミジンからの放射
線量を液体シンチレーションカウンターで計測すること
によって角膜上皮細胞の増殖の程度を評価した。 (3) 結果 この試験の結果は表1に示したとおりであり、ペプチド
の添加量に依存してシンチレーション計測値が増加し、
ペプチド100μg/mlを添加した場合にはコントロール(0
μg/ml)に比較して3.1 倍もの増加が認められた。この
ような3H−チミジンの増加は、細胞複製による新たな
DNA合成が多く生じていることを意味するものであ
り、この発明のペプチドが角膜上皮細胞に対して顕著な
増殖促進作用を有することが確認された。
【0016】
【表1】
【0017】実施例3:角膜上皮損傷に対する治癒促進
作用の試験例 (1) 材料 実施例1で合成したペプチドを100μg/mlおよび10μg/m
lの割合で生理食塩水に溶解し、各々、点眼薬Aおよび
Bを調製した。また、市販のヒアルロン酸ナトリウム0.
3%溶液を点眼薬Cとして使用し、生理食塩水をコントロ
ールとした。 (2) 試験方法 12匹のウサギを3匹づつ4群に分け、各ウサギの角膜
上皮層に直径7mmの穴を開けたのち、角膜上皮を剥離し
た。剥離直後から角膜上皮層に点眼薬A、B、Cまたは
生理食塩水を12時間間隔で2日間点眼し、点眼後の角
膜上皮層をフルオレセイン染色し、染色面積を画像解析
して創傷面積を計測した。 (3) 結果 この試験の結果は表2に示したとおりであり、この発明
のペプチドを含有する点眼薬AおよびBを処置した角膜
上皮層は、ヒアルロン酸ナトリウムを含む点眼薬Cおよ
び生理食塩水を処置した群よりも有意に早く創傷面積が
縮小した。このことから、この発明のペプチドが角膜上
皮損傷に対して優れた治癒促進効果を有することが確認
された。
作用の試験例 (1) 材料 実施例1で合成したペプチドを100μg/mlおよび10μg/m
lの割合で生理食塩水に溶解し、各々、点眼薬Aおよび
Bを調製した。また、市販のヒアルロン酸ナトリウム0.
3%溶液を点眼薬Cとして使用し、生理食塩水をコントロ
ールとした。 (2) 試験方法 12匹のウサギを3匹づつ4群に分け、各ウサギの角膜
上皮層に直径7mmの穴を開けたのち、角膜上皮を剥離し
た。剥離直後から角膜上皮層に点眼薬A、B、Cまたは
生理食塩水を12時間間隔で2日間点眼し、点眼後の角
膜上皮層をフルオレセイン染色し、染色面積を画像解析
して創傷面積を計測した。 (3) 結果 この試験の結果は表2に示したとおりであり、この発明
のペプチドを含有する点眼薬AおよびBを処置した角膜
上皮層は、ヒアルロン酸ナトリウムを含む点眼薬Cおよ
び生理食塩水を処置した群よりも有意に早く創傷面積が
縮小した。このことから、この発明のペプチドが角膜上
皮損傷に対して優れた治癒促進効果を有することが確認
された。
【0018】
【表2】
【0019】実施例4:角膜上皮細胞に対する伸長促進
作用の試験例 (1) 試験方法 ウサギの角膜を2×5mmに切断し、生理食塩水 (40μl)
または実施例1のペプチド(100μg/mlまたは10μg/m
l)を添加したTC-199培養液中に加え、5%CO2インキュ
ベーター内で20時間培養した。培養後、上皮細胞をヘマ
トキシリン・エオジン染色し、切片の側面を下方に向か
って伸長した上皮細胞の長さを画像解析によって計測し
た。 (2) 結果 この試験の結果は表3に示したとおりであり、この発明
のペプチドを含む培養液中で培養した上皮細胞は、生理
食塩水を添加した場合に比較して有意に細胞を伸長させ
た。このことから、この発明のペプチドが角膜上皮細胞
に対して優れた伸長促進作用を有することが確認され
た。
作用の試験例 (1) 試験方法 ウサギの角膜を2×5mmに切断し、生理食塩水 (40μl)
または実施例1のペプチド(100μg/mlまたは10μg/m
l)を添加したTC-199培養液中に加え、5%CO2インキュ
ベーター内で20時間培養した。培養後、上皮細胞をヘマ
トキシリン・エオジン染色し、切片の側面を下方に向か
って伸長した上皮細胞の長さを画像解析によって計測し
た。 (2) 結果 この試験の結果は表3に示したとおりであり、この発明
のペプチドを含む培養液中で培養した上皮細胞は、生理
食塩水を添加した場合に比較して有意に細胞を伸長させ
た。このことから、この発明のペプチドが角膜上皮細胞
に対して優れた伸長促進作用を有することが確認され
た。
【0020】
【表3】
【0021】実施例5:ペプチドの発熱作用の試験例 (1) 材料 実施例1で合成したペプチドを表4に示した割合で日局
生理食塩水10mlに溶解し、ペプチド試料とした。また、
生理食塩水のみをコントロールとした。 (2) 試験方法 ウサギにペプチド試料または生理食塩水を投与し、日局
一般試験法「発熱性物質試験法」に準じて体温上昇値を
測定した。 (3) 結果 この試験の結果は表4に示したとおりであり、この発明
のペプチドを投与したウサギには発熱症状は観察されな
かった。この結果から、この発明のペプチドは、IL−
1の主要な副作用である発熱作用を有していないことが
確認された。
生理食塩水10mlに溶解し、ペプチド試料とした。また、
生理食塩水のみをコントロールとした。 (2) 試験方法 ウサギにペプチド試料または生理食塩水を投与し、日局
一般試験法「発熱性物質試験法」に準じて体温上昇値を
測定した。 (3) 結果 この試験の結果は表4に示したとおりであり、この発明
のペプチドを投与したウサギには発熱症状は観察されな
かった。この結果から、この発明のペプチドは、IL−
1の主要な副作用である発熱作用を有していないことが
確認された。
【0022】
【表4】
【0023】実施例6:点眼剤の調製例 ホウ酸20 g、パラオキシ安息香酸メチル0.26 g、パラオ
キシ安息香酸プロピル0.14 gを滅菌精製水に加え、全体
を1000mlとした。この溶液に、実施例1で合成したペプ
チドを、100 μg/mlとなるように溶解して点眼剤を調製
した。
キシ安息香酸プロピル0.14 gを滅菌精製水に加え、全体
を1000mlとした。この溶液に、実施例1で合成したペプ
チドを、100 μg/mlとなるように溶解して点眼剤を調製
した。
【0024】
【発明の効果】以上詳しく説明したとおり、この発明に
よって、角膜上皮細胞の増殖および伸長促進作用を有
し、角膜上皮の損傷に対して優れた治癒促進作用を有す
るとともに、副作用等の危険性のないペプチドと、この
ペプチドを有効成分として含有する安全な薬剤が提供さ
れる。
よって、角膜上皮細胞の増殖および伸長促進作用を有
し、角膜上皮の損傷に対して優れた治癒促進作用を有す
るとともに、副作用等の危険性のないペプチドと、この
ペプチドを有効成分として含有する安全な薬剤が提供さ
れる。
【0025】
配列番号:1 配列の長さ:4 配列の型:アミノ酸 配列の種類:ペプチド 配列 Val-Lue-Lue-Lys
─────────────────────────────────────────────────────
【手続補正書】
【提出日】平成10年6月19日
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0009
【補正方法】変更
【補正内容】
【0009】
【発明の実施の形態】この発明のペプチドは、配列番号
1に記載したアミノ酸配列を有するテトラペプチドであ
って、例えば公知の固相ペプチド合成法(Jounal of Ch
emical Society Perkin I, 538, 1981)等によって化学
的に合成することができる。すなわちアミノ基およびカ
ルボキシル基を保護したアミノ酸の無水物を生成し、ペ
プチド鎖のC−末端のアミノ酸残基に相当するリジン
(Lys)無水物を樹脂に固定し、この樹脂を洗浄してC
−末端アミノ酸のアミノ保護基を除去する。次いで、ペ
プチド鎖のアミノ酸配列のC−末端の2番目のアミノ酸
残基に相当するロイシン(Leu)無水物を既に固定され
た1番目のアミノ酸のアミン基にカップリングさせる。
以下同様にして順次4番目までのアミノ酸を固定する。
全てのアミノ酸のカップリングが終了し、目的のアミノ
酸配列のペプチド鎖が形成されたのち、溶媒でアセトア
ミドメチル以外の保護基の除去およびペプチドの脱離を
行い、液体クロマトグラフィー等によりペプチドを精製
する。
1に記載したアミノ酸配列を有するテトラペプチドであ
って、例えば公知の固相ペプチド合成法(Jounal of Ch
emical Society Perkin I, 538, 1981)等によって化学
的に合成することができる。すなわちアミノ基およびカ
ルボキシル基を保護したアミノ酸の無水物を生成し、ペ
プチド鎖のC−末端のアミノ酸残基に相当するリジン
(Lys)無水物を樹脂に固定し、この樹脂を洗浄してC
−末端アミノ酸のアミノ保護基を除去する。次いで、ペ
プチド鎖のアミノ酸配列のC−末端の2番目のアミノ酸
残基に相当するロイシン(Leu)無水物を既に固定され
た1番目のアミノ酸のアミン基にカップリングさせる。
以下同様にして順次4番目までのアミノ酸を固定する。
全てのアミノ酸のカップリングが終了し、目的のアミノ
酸配列のペプチド鎖が形成されたのち、溶媒でアセトア
ミドメチル以外の保護基の除去およびペプチドの脱離を
行い、液体クロマトグラフィー等によりペプチドを精製
する。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0012
【補正方法】変更
【補正内容】
【0012】
【実施例】 実施例1:ペプチドの合成例 t−ブチルオキシカルボニル基(Boc)でアミノ基を保
護し、ベンジル基(Bzl)でカルボキシル基を保護した
Boc−Lys(Bzl)−OHをジメチルホルムアミド溶液
に溶解し、トリエチルアミンと共にポリマー樹脂に加
え、Boc−Lys(Bzl)を樹脂に固定させたのち、トリ
フルオロ酢酸にてアミノ保護基を除去した。次いで、B
oc−Leu−OHとジイソプロピルカルボジイミドを加
え、既に固定したLysのアミノ基にLeuをカップリング
した。同様にして、Boc−Leu−OH、Boc−Val−O
Hを順次結合し、樹脂上に目的とするテトラペプチドを
合成した。合成ののち、フッ素化水素によりペプチドを
樹脂から脱離し、逆相液体クロマトグラフィー(2回)
によりペプチドを精製した。
護し、ベンジル基(Bzl)でカルボキシル基を保護した
Boc−Lys(Bzl)−OHをジメチルホルムアミド溶液
に溶解し、トリエチルアミンと共にポリマー樹脂に加
え、Boc−Lys(Bzl)を樹脂に固定させたのち、トリ
フルオロ酢酸にてアミノ保護基を除去した。次いで、B
oc−Leu−OHとジイソプロピルカルボジイミドを加
え、既に固定したLysのアミノ基にLeuをカップリング
した。同様にして、Boc−Leu−OH、Boc−Val−O
Hを順次結合し、樹脂上に目的とするテトラペプチドを
合成した。合成ののち、フッ素化水素によりペプチドを
樹脂から脱離し、逆相液体クロマトグラフィー(2回)
によりペプチドを精製した。
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0014
【補正方法】変更
【補正内容】
【0014】Val:0.91 (1) Leu:2.05 (2) Lys:1.03 (1) 実施例2:角膜上皮細胞に対する増殖作用の試験例 (1) 材料 ペプチドは実施例1で合成したペプチドを使用した。角
膜上皮細胞は以下の方法で調製したウサギ角膜上皮細胞
を使用した。
膜上皮細胞は以下の方法で調製したウサギ角膜上皮細胞
を使用した。
【手続補正4】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0025
【補正方法】変更
【補正内容】
【0025】
【配列表】 配列番号:1 配列の長さ:4 配列の型:アミノ酸 配列の種類:ペプチド 配列 Val-Leu-Leu-Lys
Claims (2)
- 【請求項1】 配列番号1のアミノ酸配列からなり、角
膜上皮細胞の増殖促進作用を有することを特徴とするペ
プチド。 - 【請求項2】 配列番号1のアミノ酸配列からなるペプ
チド、その誘導体、その薬理学的に許容される塩類、ま
たはこれら2以上の混合物を有効成分として含有するこ
とを特徴とする角膜上皮損傷の治癒促進剤。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP9066445A JPH10265400A (ja) | 1997-03-19 | 1997-03-19 | ペプチドと薬剤 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP9066445A JPH10265400A (ja) | 1997-03-19 | 1997-03-19 | ペプチドと薬剤 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH10265400A true JPH10265400A (ja) | 1998-10-06 |
Family
ID=13315989
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP9066445A Pending JPH10265400A (ja) | 1997-03-19 | 1997-03-19 | ペプチドと薬剤 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JPH10265400A (ja) |
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
EP2382963A1 (en) * | 2010-04-29 | 2011-11-02 | Cognis IP Management GmbH | Cosmetic composition containing oligopeptides |
-
1997
- 1997-03-19 JP JP9066445A patent/JPH10265400A/ja active Pending
Cited By (5)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
EP2382963A1 (en) * | 2010-04-29 | 2011-11-02 | Cognis IP Management GmbH | Cosmetic composition containing oligopeptides |
WO2011134568A1 (en) * | 2010-04-29 | 2011-11-03 | Cognis Ip Management Gmbh | Cosmetic composition containing oligopeptides |
CN102869339A (zh) * | 2010-04-29 | 2013-01-09 | 考格尼斯知识产权管理有限责任公司 | 含有低聚肽的化妆品组合物 |
JP2013525388A (ja) * | 2010-04-29 | 2013-06-20 | コグニス・アイピー・マネージメント・ゲゼルシャフト・ミット・ベシュレンクテル・ハフツング | オリゴペプチド含有化粧品組成物 |
US8815814B2 (en) | 2010-04-29 | 2014-08-26 | Cognis Ip Management Gmbh | Cosmetic composition containing oligopeptides |
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