JPH10263412A - 光触媒複合物とその製造方法および光触媒複合物を基材表面に設けた光触媒体 - Google Patents

光触媒複合物とその製造方法および光触媒複合物を基材表面に設けた光触媒体

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JPH10263412A
JPH10263412A JP9076044A JP7604497A JPH10263412A JP H10263412 A JPH10263412 A JP H10263412A JP 9076044 A JP9076044 A JP 9076044A JP 7604497 A JP7604497 A JP 7604497A JP H10263412 A JPH10263412 A JP H10263412A
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JP
Japan
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photocatalyst
photocatalyst composite
titanium oxide
atoms
binder material
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JP9076044A
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Yoshihiro Tomita
芳宏 富田
Kunitaka Jiyou
邦恭 城
Mitsuyoshi Yokura
三好 与倉
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Original Assignee
Toray Industries Inc
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Abstract

(57)【要約】 【解決手段】 光触媒とバインダー材料からなる光触媒
複合物であって、その表層において、光触媒を構成する
金属元素の原子数とバインダー材料を構成する原子番号
9以上の元素の原子数の比Aが10〜300の範囲にあ
ることを特徴とする光触媒複合物。 【効果】 表面に露出している光触媒の割合が高いた
め、この光触媒複合体を表面に設けた基体は、飛躍的に
高い触媒活性を有する光触媒体である。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本願発明は新規な光触媒複合物と
その製造方法およびそれを基材表面に設けた光触媒体に
関する。さらに詳しくは、流体中の汚染物質の分解や、
抗菌性、防汚性等の機能を有する光触媒複合体およびそ
れを基材表面に設けた光触媒体に関する。
【0002】
【従来の技術】半導体にそのバンドギャップ以上のエネ
ルギーを有するしかるべき波長の光を照射すると、光励
起によって価電子帯から伝導体に電子が励起され、一
方、電子の抜けた跡には正孔ができる。伝導体に励起さ
れた電子は還元力をもち、正孔は酸化力をもつため、外
部の物質と反応する。このような働きをする半導体のこ
とを光触媒といい、近年、水処理や空気浄化、あるいは
抗菌性、防汚性材料に適用されている。しかし、光触媒
が広く実用化されて用いられるためには、その形態が問
題となっていた。微粒子は比表面積が大きく高活性であ
るが、反対に処理した空気や水からの分離が極めて困難
であった。そこで、光触媒を形態化してハンドリング性
を向上させる技術が注目されている。
【0003】光触媒を固定化する技術としては、従来か
らチタニアゾルを基板にコーティングした後、焼成して
作製する光触媒体が知られている。また、特開平7−1
71408号公報で、光触媒粒子を難分解性結着剤を介
して基体に接着してなる光触媒体が知られている。ま
た、特開平8−164334号公報で、酸化チタンおよ
び珪素化合物からなる塗膜を表面に形成した基材が知ら
れている。さらに、特開平8−131842号公報で、
基材表面に光触媒粒子と熱硬化性樹脂からなる層を形成
した後、紫外線を照射することにより、光触媒表面に付
着した熱硬化性樹脂を優先的に分解、気化させた光触媒
作用を有する部材が知られている。
【0004】しかしながら、チタニアゾルを基板にコー
ティングした後、焼成して作製する光触媒体の場合、触
媒活性を高めるためには少なくとも500℃以上で焼成
する必要があったため、酸化チタンを固定する基材が焼
成に耐えられるものに限られていた。また、焼成した膜
は、基体との接着力が弱く、外圧により簡単に剥離して
しまうものであった。また、この焼成工程のため、作製
コストがかかる欠点があった。
【0005】一方、特開平7−171408号公報や特
開平8−164334号公報に記載された光触媒体は、
光触媒粒子を珪素化合物等の難分解性結着剤を介して基
体に接着してなっており、あらゆる基体を使用できるも
のであったが、光触媒粒子表面の活性点が結着剤に被覆
されることは避けられず、活性が十分でなかった。結着
剤と光触媒粒子の割合を高めることによって、ある程度
活性を高めることはできたが、光触媒粒子の割合が高す
ぎるとその分結着剤の割合が低くなり、基体と光触媒粒
子および光触媒粒子同士の接着強度が十分でなくなる欠
点があった。
【0006】一方、特開平8−131842号公報に記
載された光触媒作用を有する部材は、光触媒粒子表面を
被覆しているバインダー層を紫外線を使って除去するこ
とによって触媒活性を高めた部材であったが、紫外線照
射下で長時間使用した場合、徐々にバインダー層が分解
され、光触媒が脱落してしまう欠点があった。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】本発明者らは上記欠点
のない光触媒体について鋭意検討した結果、次の発明に
到達した。本発明の目的は、高い触媒活性を有する光触
媒複合物、およびそれが基材表面に強固に接着した光触
媒体を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明は上記目的を達成
するために、基本的には、以下の通りの構成を有する。
【0009】「光触媒とバインダー材料からなる光触媒
複合物であって、その表層において、光触媒を構成する
金属元素の原子数とバインダー材料を構成する原子番号
9以上の元素の原子数の比Aが10〜300の範囲にあ
ることを特徴とする光触媒複合物。」及びそれよりなる
光触媒体である。
【0010】以下、本発明を詳細に説明する。
【0011】本発明における光触媒複合体とは、少なく
とも光触媒作用を有する材料と該光触媒材料を結合乃至
は形態保持させるバインダー材料を少なくとも有する複
合体である。その複合形態は混合など特に限定されるも
のでないが、光触媒が島、バインダー材料が海の海島型
分布が好ましい。また結合形態も焼結、接着など特に限
定されるものではない。
【0012】本発明で用いうる光触媒とは、そのバンド
ギャップ以上のエネルギーをもつ光を照射することによ
って、光触媒機能を発現する金属化合物半導体のことで
あり、酸化チタン、チタン酸ストロンチウム、酸化亜
鉛、リン化ガリウム、硫化カドミウム、硫化亜鉛、硫化
インジウム、セレン化カドミウム、三硫化モリブデン、
酸化スズ、酸化タングステン、酸化鉄、リン化ゲルマニ
ウム、リン化インジウムなどの公知の物質がある。これ
ら光触媒の中では、化学的に安定で、安価、無害である
ことから酸化チタンが好ましい。酸化チタンとしては、
アナターゼ型酸化チタン、無定型酸化チタンおよびこれ
らの混合物等が挙げられるが、触媒活性の高さの点か
ら、アナターゼ型酸化チタンを95重量%以上含むこと
が好ましく、より好ましくは97重量%以上である。こ
こで、結晶構造の比の分析はレーザーラマンマイクロプ
ローブ法を用いて行った。レーザー光のスポット径は約
1μm、アパーチャーは100μm、光源はAr+ レー
ザー5145A、使用した分光器の回折格子はシングル
モードで、スリットは100μm、検出器はCCD(j
obin Yvon)を使用した。アナターゼ酸化チタ
ンを含む割合の求め方は、まず、アナターゼ型酸化チタ
ンとルチル型酸化チタンの同重量からなる試料のラマン
スペクトルを測定し、アナターゼ型酸化チタンとルチル
型酸化チタンそれぞれの特有のスペクトルの強度の実測
値(ピークの高さ)、例えば、アナターゼ型酸化チタン
は630-1cm付近のピーク強度の実測値(IA obs
とルチル型酸化チタンは230-1cm付近のピーク強度
の実測値(IR obs )との比(IA obs /IR obs )か
ら、アナターゼ型酸化チタンとルチル型酸化チタンがそ
れぞれ100%である場合のピーク強度比(IA
R )を求めた。続いてこれらの値から、アナターゼ型
酸化チタンの割合とピーク強度との関係を検量線で現
し、アナターゼ型酸化チタンを含む割合を求めるのに使
用した。
【0013】また、光触媒の表面および/または内部
に、白金、金、ロジウム、ルテニウム、パラジウム、
銀、銅、亜鉛などの金属、酸化ルテニウム、酸化ニッケ
ル等の、電子を捕捉する効果を有する物質を担持したも
のでもよい。光触媒複合体中の光触媒の存在形態として
は粒子状が好ましく、平均粒径としては、凝集して粒径
が大きいものも使用できるが、500nm以下が好まし
く、より好ましくは50nm以下である。
【0014】本発明で用いうるバインダー材料として
は、紫外線照射や光触媒による酸化に耐えられる素材で
あれば特に限定されるものではないが、好ましくは40
0℃以下、より好ましくは300℃以下で固化する材料
であり、ガラス質、セラミックス、酸化珪素等の珪素化
合物、金属酸化物、コンクリート、石膏、釉薬等の無機
化合物や、ポリ四フッ化エチレン樹脂、四フッ化エチレ
ン−六フッ化プロピレン共重合体樹脂、四フッ化エチレ
ン−パーフルオロアルキルビニルエーテル樹脂等のフッ
素系樹脂、メラミン樹脂、エポキシ樹脂、シリコーン系
の樹脂などが挙げられる。特に珪素化合物は、光触媒の
酸化力による分解や劣化が極めて少なく、かつCF4
スを使用したプラズマエッチング処理によって容易に酸
化チタン表面から除去できることから好ましい。バイン
ダー材料に珪素化合物を含む場合、珪素化合物のバイン
ダー材料に対する容積比は、70%以上が好ましく、よ
り好ましくは80%以上、さらに好ましくは90%以上
である。
【0015】また、本発明の光触媒とバインダー材料か
らなる光触媒複合物には、光触媒以外の無機化合物、活
性炭やシリカゲルなどの吸着性能を有する物質、高分子
樹脂、有機化合物等が、バインダー材料を構成する物質
として存在していても構わない。また、光触媒複合物の
平均の厚みは、0.01〜5.0μmが好ましく、より
好ましくは0.1〜2.0μm、さらに好ましくは0.
5〜1.0μmである。厚すぎると亀裂が入り易いため
好ましくなく、一方薄すぎても活性が低いため好ましく
ない。
【0016】本発明の光触媒複合物表層は、次式で求め
られる光触媒を構成する金属元素の原子数とバインダー
材料を構成する原子番号9以上の元素の原子数の比 A=(光触媒を構成する金属元素の原子数)÷(バイン
ダー材料を構成する原子番号9以上の元素の原子数) が10〜300の範囲にあることが好ましく、より好ま
しくは20〜300、より好ましくは30〜300、よ
り好ましくは40〜300、さらに好ましくは50〜3
00である。Aが10未満では、光触媒が表面に露出し
ている割合が少なく、触媒活性が十分でなく、300を
越える場合に光触媒の固定強度が弱くなる。なお、ここ
で表層とは、本発明の光触媒複合物表面から深さ20n
m以内の範囲のことであり、詳細にはX線電子分光法で
測定できる範囲のことである。また、光触媒を構成する
金属元素の原子数に対するバインダー材料を構成する原
子番号9以上の元素の原子数の比の分析方法であるが、
X線電子分光装置(VG SCIENTIFIC社製、
ESCALAB 220i−XL)によって測定した光
触媒を構成する金属元素、およびバインダー材料を構成
する原子番号9以上の元素の積分強度比を、以下の式で
表される感度因子の比で補正し、原子組成比として算出
した値である。
【0017】感度因子=KE0.6 ×σ×T (KE:光電子の運動エネルギー、σ:光イオン化断面
積、T:透過係数) この感度因子比については、詳しくは「表面分析の基礎
と応用」(山科俊郎、福田伸著、東京大学出版会)など
に説明されているが、例えばC1sを1.00として、S
2pが0.83、Ti2pが7.74であった。測定条件
は、X線源が単結晶分光Al Kα線、X線出力が10
kV、16.5mA、真空度が1×10-9Torrであ
った。
【0018】光触媒活性は、光触媒の重量%よりも該A
値により大きく影響される。すなわち、光触媒とバイン
ダーよりなる光触媒複合体においては、光触媒が十分含
有していても、表面への露出が不十分であったり、表面
に露出していても、光触媒の表面に極薄いバインダーの
層が形成されることなどにより、光触媒活性が十分に発
揮されない場合があると考えられ、そこで後述のエッチ
ングなどにより該A値を制御することが重要である。
【0019】また、本発明の光触媒複合体は、任意の材
料や形態の基材に適用されて適当な形態性や強度を有す
る光触媒体とすることが好ましい。適用の形態や方法は
特に限定されるものではなく、基材に光触媒複合体を含
浸させても良いが、好ましくは基材表面にコーティング
された形態が好ましい。コーティング方法としては特に
限定されるものではなく、液状の光触媒複合体あるいは
その原料を含浸、スプレーコーティング、ディップコー
ティング、ロールコーティング、スピンコーティング、
ドクターナイフ等で塗布してもよいし、あるいはそれ以
外の方法を用いても良いが、コストや作業性の点から、
好ましくはスプレーコーティングまたはディップコーテ
ィングである。
【0020】本発明の光触媒体に用いうる基材は、使用
目的、用途などに応じて材質、形状、大きさ等を適宜選
択できる。素材としては、製造時の温度に耐えられるも
のであれば何ら限られるものではなく、例えば、ガラ
ス、セラミックス、コンクリート、金属などの無機物、
粒状活性炭、活性炭繊維、シリカゲル、軽石、活性アル
ミナなどの無機多孔体、ナイロン、ポリエステル、ポリ
カーボネート、ポリアセタール、ポリオレフィン、ポリ
スルホン、ポリウレタン、ポリアクリロニトリル、ポリ
塩化ビニル、ポリビニルアルコール、ポリ塩化ビニリデ
ン、ポリ四フッ化エチレン、四フッ化エチレン−六フッ
化プロピレン共重合体、四フッ化エチレン−パーフルオ
ロアルキルビニルエーテル、メラミン樹脂、エポキシ樹
脂、シリコーン系樹脂などの高分子材料、あるいはこれ
ら複数の組み合わせが挙げられる。特に無機物や無機多
孔体は、CF4 ガスを使用したプラズマエッチング処理
によって容易に除去できる珪素化合物が強固に接着する
ことから好ましい。形状としては平板状、波板状、球
状、フィルム状、不織布や織布などの繊維状体等が挙げ
られる。特に繊維状体は、光触媒複合体を設けることの
できる表面を多く確保できるため好ましく、さらに目が
開いた繊維状体(目開きクロス)であれば、光源に対し
て重ねて配置しても光を遮らないため、触媒が有効に働
くことから好ましい。前記目開きクロスの織り方は、平
織り、模しゃ織り、からみ織りなど、どのような織り方
でもでも構わないが、光透過性の点から、平織りが好ま
しく、その目の大きさは、0.5mm以上が好ましく、
1mm以上がより好ましい。
【0021】また、本発明の光触媒複合物は、エッチン
グ処理されたものが好ましい。エッチング処理によっ
て、光触媒表面を被覆しているバインダー材料が選択的
に除去されると考えられるからである。
【0022】エッチング処理方法としては特に限定され
るものではないが、酸やアルカリやバインダー材料の良
溶媒等の液体又は気体を用いる化学的なエッチングや、
プラズマエッチングのような物理的なエッチング処理な
どが好ましい。特にバインダー材料が珪素化合物である
場合、化学的エッチングとしては酸やアルカリを用いる
ことが好ましく、プラズマエッチングの導入ガスとして
CF4ガスが好ましい。
【0023】X線電子分光法による分析により光触媒複
合物の表層において、光触媒を構成する金属元素の原子
数バインダー材料を構成する原子番号9以上の元素の原
子数の比Aが10〜300の範囲にあることをモニター
して、エッチングの最良の条件を決定すればよい。
【0024】次に、本発明の光触媒複合物およびそれを
基材表面に設けた光触媒体の製造方法について説明す
る。例として、光触媒が酸化チタン、バインダー材料の
主成分が珪素化合物である場合について説明するが、な
んらこれに限られるものではない。 まず、酸化チタン
を、珪素化合物の溶液中に添加して、懸濁液を調整する
工程がある。酸化チタンの添加方法としては、あらかじ
めアルコール/水混合溶媒などに分散させた酸化チタン
ゾルを添加する方法や、粉末状の酸化チタンを添加した
後、ほぼ同量のガラスビーズやジルコニアビーズと共に
ホモジナイザ等により均一化し、次いでビーズを濾別除
去する方法が好ましく用いられる。また、バインダー材
料の強度を高くする目的で、微粉マイカ等の無機物を添
加してもよい。珪素化合物の溶液としては、最終的に光
触媒複合体中でSiO2となる化合物が好ましく、例え
ばメチルシリケート、エチルシリケート、イソプロピル
シリケートなどのアルキルシリケート、およびこれらの
加水分解物が好ましく用いられる。アルキルシリケート
を用いる場合、懸濁液調整時に加水分解を行っておくこ
とが好ましい。酸化チタンと、溶液中の珪素化合物の固
形分との容積比は20〜98:80〜2となることが好
ましく、より好ましくは50〜95:50〜5である。
バインダー材料の割合が低いと、光触媒複合物の強度が
低いため、好ましくなく、一方バインダー材料の割合が
高いと、酸化チタンが珪素化合物に覆われて、触媒活性
が低くなるため好ましくない。ただし、酸化チタンの割
合が低くても、後述するプラズマエッチング工程で珪素
化合物を選択的に除去することにより、触媒活性の飛躍
的な向上が期待できる。懸濁液の固形分濃度は、続く塗
布工程に合わせて適宜調整することができる。酸化チタ
ンの分散安定性を高めるために、分散安定剤や表面処理
剤、界面活性剤を添加してもよいし、また、チタンアル
コキシド、チタン塩化物、チタン硫化物、有機物樹脂を
添加してもよい。
【0025】続いて、上記酸化チタン懸濁液を基材表面
に塗布した後、室温から所定温度にまで徐々に乾燥する
ことによって光触媒体を得る。この操作によって、基体
にコーティングされた珪素化合物は、酸化チタンを複合
しながら固化していく。このとき、乾燥工程で発生する
光触媒複合物のひび割れを最小限に防ぎ、丈夫で高性能
の光触媒複合物を得るために、上記懸濁液を薄く均一に
塗布することが好ましい。乾燥温度は、基体が耐えられ
る範囲内で、バインダー材料に合わせて適宜決定するこ
とができる。
【0026】続いて上記光触媒体表面にプラズマエッチ
ング処理することにより、より触媒活性の高い光触媒体
を得る。エッチング条件は装置によって異なるので、X
線電子分光法による分析と活性評価によって、最良の条
件を決定すればよい。プラズマエッチング処理をすると
きの導入ガスは、例えばバインダー材料の主成分が珪素
化合物の場合はCF4 ガスが、また、有機樹脂の場合は
酸素ガスが、また、フッ素樹脂の場合はアンモニアガス
が好ましい。
【0027】本発明の使用用途は特に限定されるもので
はなく、通常の光触媒が使用される用途においてすべて
用いることができる。なおかつ、これまで微粒子触媒の
分離が不可能だったことを理由に使用できなかった用途
にも広く用いることができる。例えば、水処理におい
て、上水、下水、工場排水、地下水、生活排水、プール
水の浄化や、染色排水の脱色など、水の種類や目的につ
いても、何ら限定されるものではない。また、水処理以
外に、気体の浄化や、抗菌、防汚表面としての用途に適
用可能である。
【0028】
【実施例】以下の実施例によって本発明をさらに詳細に
説明するが、本発明はこれらの実施例により限定される
ものではない。
【0029】実施例1 アルキルシリケートの加水分解物を固形分濃度として3
%含む水/エタノール混合溶液100部に対し、光触媒
酸化チタン(ST−01 石原テクノ(株)製)10部
とガラスビーズ(EM−12 東芝(株)製)110部
を添加し、8000rpmで1時間ホモジナイザ等によ
り均一化することにより、2次凝集していた光触媒酸化
チタンを分散させた。次いでガラスビーズを加圧濾過で
濾別することにより、光触媒複合体のコーティング剤を
得た。続いて、このコーティング剤を、基材であるガラ
ス板(4cm×4cm)表面にスピンコートし、室温で
6時間、さらに100℃で2時間乾燥させて、光触媒体
を得た。続いてプラズマエッチング装置内の回転ロール
(直径:15cm)上に固定し、ロールを5m/dの速
度で回転させながら、1分間均等にプラズマエッチング
を行った。導入ガスはCF4、圧力は0.4torr、
印加電圧は1.5kVであった。
【0030】次に、こうして作成した光触媒体の触媒活
性を調べるために、プール水中の有機物の分解性を調べ
た。
【0031】まず、ステンレス製で円筒形の反応槽(容
量:1500ml)中に、上記光触媒体を、反応槽の中
心部の高圧水銀ランプ(100w)を囲むように配置し
た(総面積56cm2)。スターラーで攪拌しながら紫
外線を照射し、30分毎に反応槽下部に取り付けられた
栓から処理水を100ml抜き取り、公定法により過マ
ンガン酸カリウム消費量の変化を測定した。結果を図1
に示す。また、作製した光触媒体表層のX線電子分光法
による分析結果、レーザーラマンマイクロプローブ法に
よる分析結果、および触媒活性評価終了後の光触媒体表
面の顕微鏡観察結果を表1に示す。
【0032】実施例2 エッチング処理時間が5分であること以外は、実施例1
と同様に実施した。結果を図1および表1に示す。
【0033】実施例3 エッチング処理時間が10分であること以外は、実施例
1と同様に実施した。結果を図1および表1に示す。
【0034】比較例1 エッチング処理を行わないこと以外は、実施例1と同様
に実施した。結果を図1および表1に示す。表1の通
り、Ti/Siは1.6であり、すなわちA値は10未
満であった。
【0035】比較例2 アナターゼ型酸化チタンの代わりに、ルチル型酸化チタ
ン(和光純薬工業株式会社製)を使用した以外は、実施
例3と同様に実施した。ルチル型酸化チタンは光触媒活
性を有しなかった。
【0036】実施例4 実施例1と同様に調整したコーティング剤を、目開き約
2mmのガラスクロス(YEM3801−H 三重織物
(株)製)表面に対し、200mm/minの速度でデ
ィップコートし、室温で6時間、さらに100℃で2時
間乾燥させて、光触媒体を得た。続いて実施例1と同様
に1分間プラズマエッチングを行った。
【0037】触媒活性の評価は、実施例1と同様の反応
槽中に、上記光触媒体(クロスとしての総面積56cm
2)を配置して、実施例1と同様に実施した。結果を、
実施例1と同様に図2および表2に示す。
【0038】実施例5 エッチング処理時間が5分であること以外は、実施例4
と同様に実施した。結果を図2および表2に示す。
【0039】実施例6 エッチング処理時間が10分であること以外は、実施例
4と同様に実施した。結果を図2および表2に示す。
【0040】比較例3 エッチング処理を行わないこと以外は、実施例4と同様
に実施した。結果を図2および表2に示す。表2の通
り、Ti/Siは1.5であり、すなわちA値は10未
満であった。
【0041】
【表1】
【表2】
【0042】
【発明の効果】以上の実施例でわかるように、光触媒複
合体表面をのAの値を10〜300とすることにより触
媒活性が飛躍的に向上した光触媒体を得た。また、その
手段としてプラズマエッチング処理することが非常に有
効であることが明らかとなった。これはプラズマエッチ
ング処理によって表面を被覆していたSiO2 が選択的
に除去され、光触媒が光触媒体表面に露出してきたこと
によると考えられる。また、アナターゼ型酸化チタンが
触媒活性を有していた。また、実施例1〜3と4〜6を
比較して、実施例4〜6の方が過マンガン酸カリウム消
費量の低減率が高かった。これは、クロス状の光触媒体
が紫外線を遮らなかったため、光源に対して重ねて配置
した触媒が、すべて有効に働いたためだと考えられる。
【0043】以上のように、本発明の光触媒複合物は、
光触媒とバインダー材料からなるものであり、あらゆる
基体表面に強固に接着させることができる。しかも、表
面に露出している光触媒の割合が高いため、この光触媒
複合体を表面に設けた基体は、飛躍的に高い触媒活性を
有する光触媒体である。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の光触媒複合体の紫外線照射時間に対
する光触媒活性の推移を示すグラフである。
【図2】 本発明の光触媒複合体の紫外線照射時間に対
する光触媒活性の推移を示すグラフである。

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 光触媒とバインダー材料からなる光触媒
    複合物であって、その表層において、光触媒を構成する
    金属元素の原子数とバインダー材料を構成する原子番号
    9以上の元素の原子数の比Aが10〜300の範囲にあ
    ることを特徴とする光触媒複合物。
  2. 【請求項2】 バインダー材料が珪素化合物を含むこと
    を特徴とする請求項1記載の光触媒複合物。
  3. 【請求項3】 光触媒が酸化チタンであることを特徴と
    する請求項1記載の光触媒複合物。
  4. 【請求項4】 酸化チタンがアナターゼ型酸化チタンを
    95重量%以上含むことを特徴とする請求項3記載の光
    触媒複合物。
  5. 【請求項5】 光触媒複合物表面をエッチング処理する
    ことを特徴とする請求項1記載の光触媒複合物の製造方
    法。
  6. 【請求項6】 エッチング処理がプラズマエッチング処
    理であることを特徴とする請求項5記載の光触媒複合物
    の製造方法。
  7. 【請求項7】 請求項1記載の光触媒複合物を基材表面
    に設けたことを特徴とする光触媒体。
  8. 【請求項8】 基材の形状が目開きクロスであることを
    特徴とする請求項7記載の光触媒体。
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Cited By (6)

* Cited by examiner, † Cited by third party
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