JPH1026130A - 転がり軸受 - Google Patents

転がり軸受

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JPH1026130A
JPH1026130A JP18311196A JP18311196A JPH1026130A JP H1026130 A JPH1026130 A JP H1026130A JP 18311196 A JP18311196 A JP 18311196A JP 18311196 A JP18311196 A JP 18311196A JP H1026130 A JPH1026130 A JP H1026130A
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JP
Japan
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layer
titanium
roller bearing
rolling
vacuum
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Pending
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JP18311196A
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English (en)
Inventor
Hiroshi Yamada
博 山田
Norihide Satou
則秀 佐藤
Akinari Ohira
晃也 大平
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NTN Corp
Original Assignee
NTN Corp
NTN Toyo Bearing Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 転がり軸受を構成する軌道輪、転動体及びそ
の保持器の転がり摩擦面または滑り接触面の高荷重条件
における被膜の剥離を防止し、高荷重条件で転がり軸受
に安定して良好な潤滑性を確保し、耐久性を向上させる
ことである。 【解決手段】 軌道輪、転動体およびその保持器を構成
部品1とする転がり軸受において、前記構成部品の転が
り摩擦面または滑り接触面に、チタン(Ti)層2を下
地層とし、これに窒化チタン(TiN)層3、シアン化
チタン(TiCN)層4を順に重ねた複合被膜を設け、
この複合被膜の表面を潤滑油または潤滑グリース5また
は低蒸気圧油で潤滑する転がり軸受とする。保持器は、
多孔質素材に低蒸気圧油を含浸したものを採用できる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、高荷重に耐える
転がり軸受および真空中で使用される真空用転がり軸受
に関する。
【0002】
【従来の技術】転がり軸受を構成する軌道輪、転動体お
よびその保持器の転がり摩擦面または滑り接触面を潤滑
するために、そのような構成部品を固体潤滑剤で被覆す
るか、または前記摩擦面に液体潤滑剤を供給する手法が
採られている。
【0003】固体潤滑剤を用いた転がり軸受は、例えば
内・外(または軸方向に対)の軌道輪の転走面、球やこ
ろ等の転動体などの表面に、金、銀、鉛などの軟質金属
や二硫化モリブデンなどの層状物質からなる固体潤滑被
膜を設けたものであり、これらは一般的なグリースや液
体潤滑油が使用できない真空用転がり軸受に適用できる
ものである。
【0004】一方、通常の荷重条件においては、グリー
スや潤滑油による軸受構成部品についての液体潤滑性
は、固体潤滑被膜の潤滑性に比べて耐久性が良く、低蒸
気圧油を使用すれば、真空(減圧)中でも使用可能であ
る。
【0005】上記の低蒸気圧油は、真空ポンプなどに使
用される潤滑油としても知られており、低蒸気圧になる
ように高度に精製した石油系潤滑油、またはジエステル
油、ポリメチルフェニルシロキサンなどのオルガノポリ
シロキサンもしくはフッ素油などがある。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】ところで、液体潤滑に
よる転がり軸受を高荷重の条件で使用し、境界潤滑状態
になると、金属接触による摩耗粉がグリースや潤滑油に
混入して劣化し、充分な耐久性がなくなるという問題点
がある。
【0007】また、固体潤滑剤被膜によって潤滑される
転がり軸受の耐久性は、高荷重下でも通常の荷重条件よ
り当然に劣る。
【0008】また、固体潤滑被膜の耐久性を改善する方
法として、軸受部品の金属表面に炭化チタン(TiC)
層、窒化チタン(TiN)層、シアン化チタン(TiC
N)層を順に重ねて複数チタン化合物からなる硬質層を
形成し、さらにその上に前記の固体潤滑被膜を形成する
ことが検討された。
【0009】しかし、通常、イオンプレーティング法な
どの物理蒸着法で形成されるTiC層は、被膜の各所の
応力を一定にして形成することが難しく、TiC層が被
膜内の引張応力によって基材から剥離し易いという問題
点があった。
【0010】また、TiN層は、TiC層よりも剥がれ
難いが、場合によっては両層の間に剥離が起こり、摩耗
粉の発生原因になることもある。
【0011】そこで、この発明の課題は、転がり軸受を
構成する軌道輪、転動体およびその保持器の転がり摩擦
面または滑り接触面の高荷重条件における被膜の剥離を
防止し、高荷重条件で転がり軸受に安定して良好な潤滑
性を確保し、耐久性を向上させることである。
【0012】また、真空中で高荷重の使用条件におい
て、特に有用な真空用転がり軸受を提供することであ
る。
【0013】
【課題を解決するための手段】上記の課題を解決するた
め、この発明においては、軌道輪、転動体およびその保
持器を構成部品とする転がり軸受において、前記構成部
品の転がり摩擦面または滑り接触面に、チタン(Ti)
層を下地層とし、これに窒化チタン(TiN)層、シア
ン化チタン(TiCN)層を順に重ねた複合被膜を設
け、この複合被膜の表面を潤滑油または潤滑グリースで
潤滑する転がり軸受としたのである。
【0014】または、前記構成部品の転がり摩擦面また
は滑り接触面に、チタン(Ti)層を下地層とし、これ
に窒化チタン(TiN)層、シアン化チタン(TiC
N)層を順に重ねた複合被膜を設け、この複合被膜の表
面を低蒸気圧油で潤滑する真空用転がり軸受としたので
ある。このような転がり軸受の保持器として、多孔質素
材に低蒸気圧油を含浸したものを採用できる。
【0015】この発明の転がり軸受は、全ての金属に対
してTi層の密着性(親和性)が良いので、軸受構成部
品の表面とTiN層に介在してこれらを密着させ、下地
層としてTiCを採用した場合に比べ、その剥離強度を
顕著に向上させる。また、Ti、TiN、TiCNの3
層は、低硬度から高硬度に段階的に形成されているた
め、密着強度、被膜の内部応力、耐摩耗性において好ま
しい結果が得られる。
【0016】被膜の形成方法として、イオンプレーティ
ング法を採用すれば、成分が異なる被膜の連続した形成
処理が可能であるため、多段階に被膜形成用ガスの成分
や濃度を変化させて、多層膜を形成することもできる。
【0017】そして、TiN層およびTiCN層からな
る硬質の複合被膜は、高荷重条件(例えば面圧200k
gf/mm2 を越える使用条件)でも容易に変形するこ
となく、高荷重を確実に支持する。
【0018】この発明の転がり軸受は、複合被膜の表面
を潤滑油または潤滑グリースで被覆しているため、固体
潤滑剤のみで潤滑される軸受に比べ、潤滑作用が長期に
亘って安定的に維持される。
【0019】また、このような転がり軸受の高荷重下で
の潤滑性は、金属接触と潤滑油またはグリースが混在し
た境界潤滑状態にあると推定されるが、前記複合被膜が
硬質であるため、金属接触による局部的な剥離や摩耗が
抑制され、グリースまたは潤滑油の劣化が防止される。
【0020】複合被膜の表面を低蒸気圧油で被覆した真
空用転がり軸受では、真空中で高荷重での使用条件に耐
える真空用転がり軸受となる。そのような軸受の具体的
な用途としては、人工衛星の搭載機器、半導体製造機器
の搬送装置等が挙げられる。
【0021】
【発明の実施の形態】この発明に用いる転がり摩擦面ま
たは滑り接触面は、転がり軸受の構成部品の一般的な素
材からなり、例えばステンレス鋼材(例:SUS440
C)、タングステン系高速度工具鋼鋼材(例:SKH
4)などの金属材料が挙げられる。また、保持器の材料
としては、金属、耐熱性樹脂、セラミックのいずれであ
ってもよく、金属材料としてはステンレス鋼鋼板(例:
SUS304)、鉛青銅(例:LBC3C)など、耐熱
性樹脂としてはポリイミド樹脂など、セラミックとして
は窒化ケイ素系セラミックなどが挙げられる。
【0022】図1に示すように、転がり軸受の構成部品
1の表面に、チタン(Ti)層2、窒化チタン(Ti
N)層3、シアン化チタン(TiCN)層4を順に重ね
て設ける手段としては、イオンプレーティング法などの
周知の物理蒸着法を採用することができる。イオンプレ
ーティング法は、真空容器内に形成する被膜成分を含ん
だガスを導入し、被覆部品に直流電圧を印加して、グロ
ー放電を発生させ、その放電下で被膜を形成する。
【0023】この発明においてイオンプレーティング法
で使用されるガスは、不活性の窒素ガス(TiCNにお
けるC2 2 ガスは少量である。)であり、そのために
ガスの取扱いが安全でガス圧の制御も容易であり、形成
条件の設定および作業性も容易であり、またガスの成分
を変化することによって連続的にTi層、TiN層、T
iCN層を形成できるので、生産性も向上する。
【0024】この発明に用いる潤滑油または潤滑グリー
ス(図1中の符号5)は、転がり軸受を特に真空中で使
用しない場合は、通常の軸受に使用される周知の潤滑油
または潤滑グリースを使用できる。
【0025】また、真空用転がり軸受の発明では、前記
したように、低蒸気圧になるように高度に精製した石油
系潤滑油、またはジエステル油、ポリメチルフェニルシ
ロキサンなどのオルガノポリシロキサンもしくはフッ素
油などを使用できる。フッ素油としては、含フッ素モノ
マーの低重合体であり、例えば三フッ化塩化エチレン、
パーフルオロカーボン、パーフルオロエーテル、フルオ
ロポリエーテルなどが挙げられる。
【0026】この発明では、前記の複合被膜を内・外輪
および玉(転動体)に形成して好ましい結果を得ている
が、そのような複合被膜を玉のみまたは内・外輪のみに
形成してもよい。また、この発明は玉軸受ばかりでな
く、ころ軸受に適用することもできる。この発明をころ
軸受に適用する場合は、滑り摩擦面となるころ端面や軌
道輪の鍔端面にも上記の複合被膜を形成することが好ま
しい。
【0027】
【実施例】
〔実施例1〕内・外輪および玉(転動体)がステンレス
鋼製のアンギュラ玉軸受(NTN社製:F−SF86
3)の前記構成部品のそれぞれに、イオンプレーティン
グ法によってTi層、TiN層、TiCN層を順に重ね
て複合被膜(内・外輪の転動面の膜厚0.5μm 前後、
玉の全表面の膜厚0.2μm 前後)を形成した。
【0028】また、ポリイミド樹脂(NTN精密樹脂社
製:M2000)の圧粉体を焼成して得られる多孔質性
の保持器(気孔率10%)に、真空油(アウジモント社
製:フォンブリンZ25)を含浸した。
【0029】得られた部品を用いてアンギュラ玉軸受を
組み立て、表1に示した面圧の荷重を負荷し、回転数2
500rpmで総回転数1.05×108 回転まで(耐
久時間700時間)の耐久試験を行ない、試験終了後の
内・外輪の転動面および玉の表面の摩耗状態を顕微鏡観
察によって調べた。
【0030】
【表1】
【0031】〔比較例1〕実施例1において、内・外輪
および玉の表面に複合被膜を形成しなかったこと以外
は、全く同様にして部品を製造して軸受に組み立て、前
記した条件で耐久試験を行なった。
【0032】〔比較例2〕実施例1において、内・外輪
および玉の表面にTi層とTiN層を順に重ねて2層の
複合被膜を形成したこと以外は、全く同様にして部品を
製造して軸受に組み立て、前記した条件で耐久試験を行
なった。
【0033】〔実施例2〕実施例1において、ポリイミ
ド樹脂(Furon社製:M9000)の圧粉体を焼成
して得られた多孔質性の保持器(気孔率27%)に、真
空油(アウジモント社製:フォンブリンZ25)を含浸
したこと以外は、全く同様にして部品を製造して軸受に
組み立て、前記した同じ条件で耐久試験を行なった。
【0034】〔比較例3〕実施例2において、内・外輪
および玉の表面に複合被膜を形成しなかったこと以外
は、全く同様にして部品を製造して軸受に組み立て、前
記した条件で耐久試験を行なった。
【0035】〔比較例4〕実施例2において、内・外輪
および玉の表面にTi層とTiN層を順に重ねて2層の
複合被膜を形成したこと以外は、全く同様にして部品を
製造して軸受に組み立て、前記した条件で耐久試験を行
なった。
【0036】以上の耐久試験の結果を評価すると、内・
外輪および玉の表面に複合被膜を形成しなかった比較例
1、3に比較して、Ti層を下地層としてその上にTi
N層を重ねた2層の複合被膜を形成した比較例2、4の
耐久性は顕著に優れていた。特に、比較例2の耐久性は
比較例1の4倍以上であった。
【0037】また、このような比較例2の耐久時間は、
試験終了後の内・外輪の転動面および玉の表面の摩耗状
態からみて、700時間が限界であると判断されたが、
実施例1では、被膜の摩耗量が極めて少なく、比較例2
よりもいっそう長時間の回転が可能であると判断され
た。
【0038】また、実施例2については、比較例4に比
べて被膜の摩耗量が極めて少なく、3層の複合被膜を形
成したことによって、いっそう長時間の回転が可能であ
ると判断された。
【0039】
【発明の効果】この発明は、以上説明したように、転が
り軸受の構成部品の転がり摩擦面または滑り接触面に、
チタン(Ti)層を下地層とし、これに窒化チタン(T
iN)層、シアン化チタン(TiCN)層を順に重ねた
複合被膜を設け、この複合被膜の表面を潤滑油または潤
滑グリースで被覆したので、複合被膜の剥離を防止し、
高荷重条件で転がり軸受の良好な潤滑性を安定的に確保
して耐久性を向上させる利点がある。
【0040】また、潤滑油または潤滑グリースとして、
低蒸気圧油を用いた発明では、特に真空中で高荷重の使
用条件に耐える真空用転がり軸受となる利点がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施形態の転がり軸受の表面に形成した複合被
膜の断面図
【符号の説明】
1 転がり軸受の構成部品 2 Ti層 3 TiN層 4 TiCN層 5 潤滑油またはグリース

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 軌道輪、転動体およびその保持器を構成
    部品とする転がり軸受において、前記構成部品の転がり
    摩擦面または滑り接触面に、チタン(Ti)層を下地層
    とし、これに窒化チタン(TiN)層、シアン化チタン
    (TiCN)層を順に重ねた複合被膜を設け、この複合
    被膜の表面を潤滑油または潤滑グリースで潤滑すること
    を特徴とする転がり軸受。
  2. 【請求項2】 軌道輪、転動体およびその保持器を構成
    部品とする転がり軸受において、前記構成部品の転がり
    摩擦面または滑り接触面に、チタン(Ti)層を下地層
    とし、これに窒化チタン(TiN)層、シアン化チタン
    (TiCN)層を順に重ねた複合被膜を設け、この複合
    被膜の表面を低蒸気圧油で潤滑することを特徴とする真
    空用転がり軸受。
  3. 【請求項3】 転がり軸受の保持器が、多孔質素材に低
    蒸気圧油を含浸したものからなる請求項2記載の真空用
    転がり軸受。
JP18311196A 1996-07-12 1996-07-12 転がり軸受 Pending JPH1026130A (ja)

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