JPH10259443A - 熱交換器用高耐食性アルミニウム合金複合材 - Google Patents

熱交換器用高耐食性アルミニウム合金複合材

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JPH10259443A
JPH10259443A JP8763097A JP8763097A JPH10259443A JP H10259443 A JPH10259443 A JP H10259443A JP 8763097 A JP8763097 A JP 8763097A JP 8763097 A JP8763097 A JP 8763097A JP H10259443 A JPH10259443 A JP H10259443A
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JP
Japan
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alloy
core material
clad
sacrificial anode
balance
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Application number
JP8763097A
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English (en)
Inventor
Hiroaki Takeuchi
宏明 竹内
Koji Okada
光司 岡田
Yoshiaki Ogiwara
吉章 荻原
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Furukawa Electric Co Ltd
Original Assignee
Furukawa Electric Co Ltd
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Publication date
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    • B32LAYERED PRODUCTS
    • B32BLAYERED PRODUCTS, i.e. PRODUCTS BUILT-UP OF STRATA OF FLAT OR NON-FLAT, e.g. CELLULAR OR HONEYCOMB, FORM
    • B32B15/00Layered products comprising a layer of metal
    • B32B15/01Layered products comprising a layer of metal all layers being exclusively metallic
    • B32B15/016Layered products comprising a layer of metal all layers being exclusively metallic all layers being formed of aluminium or aluminium alloys

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  • Prevention Of Electric Corrosion (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 酸性およびアルカリ性の両腐食環境下で十分
な耐食性および耐エロージョン性が得られる熱交換器用
高耐食性アルミニウム合金複合材を提供する。 【解決手段】 Si0.3〜1.2wt%、Cu0.3〜
1.0wt%、Mn0.5〜2.0wt%を含有し、残部A
lと不可避不純物からなるAl合金を芯材とし、前記芯
材の片面にAl−Si系合金をろう材としてクラッド
し、前記芯材の他面に必須成分としてBe0.005〜
2.0wt%、Zn2.0〜6.0wt%を含有し、残部A
lと不可避不純物からなるAl合金を犠牲陽極材として
クラッドした熱交換器用高耐食性アルミニウム合金複合
材。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ろう付けにより製
造される自動車用熱交換器のチューブ管に好適な、酸性
とアルカリ性の両冷媒に適用可能な3層構造のアルミニ
ウム合金複合材に関する。
【0002】
【従来の技術】例えば、自動車用熱交換器のラジエータ
ーは、図1(イ),(ロ) に示す構造のもので、このものは冷
媒を通すチューブ管1の間にフィン2を配置し、チュー
ブ管1の両端にそれぞれヘッダープレート3を取付けて
コア4を組立て、この組立体をろう付けしたのち、ヘッ
ダープレート3にパッキン5を介して樹脂タンク6、7
を取付けて製造される。このようなラジエーターのチュ
ーブ管1に冷媒を通し冷媒を冷却する。コア4の側面は
サイドプレート(図示せず)により補強される。前記フ
ィンにはJIS−3003合金にZnを1.5wt%程度
添加した厚さ0.1mm程度の薄板が用いられている。
前記チューブ管には、JIS−3003合金にSi、C
uなどを添加した合金を芯材とし、その片面にろう材
を、他面にJIS−7072合金、或いはこれにMgな
どを添加した合金を孔食防止用の犠牲陽極材としてクラ
ッドした厚さ0.2〜0.3mmのAl合金複合材(ブ
レージングシート)を前記犠牲陽極材を内側(冷媒側)
にして筒状に電縫加工したものが用いられる。ヘッダー
プレート3には厚さ1.0〜1.3mmのチューブ管と
同じ材質のAl合金複合材が用いられている。
【0003】前記Al合金複合材は、ろう付け時に58
0〜600℃の温度雰囲気に曝され、このとき前記犠牲
陽極材のZnが芯材に拡散してZn拡散層が形成され
る。このZn拡散層は使用中に優先腐食するため、冷媒
側から発生する孔食は浅く広い形態(面食)となり、良
好な耐孔食性が長期に渡り得られる。
【0004】犠牲陽極材には、前述のJIS−7072
合金または前記合金にMgなどを添加した合金の他、A
l−Zn−Mg系合金やAl−Mg−In系合金などが
用いられる。これら合金はそれ自体浅く広い孔食形態を
とり、芯材が暴露したあとは芯材との電位差により、優
先腐食して芯材の腐食を抑制する。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】前記従来のAl合金複
合材を用いたチューブ管は酸性腐食環境下で十分な耐食
性を示すことが知られているが、最近はアルカリ性冷媒
も使用されるようになり、酸性のみならずアルカリ性腐
食環境下にも耐える材料が要求されるようになった。し
かし、従来のチューブ管は、アルカリ性環境下では、犠
牲陽極材表面に酸化皮膜が部分的に生成するようにな
り、酸化皮膜が共存した状態では犠牲材の電位が芯材よ
り貴となり、広く浅い孔食形態が取れなくなる。この
他、ラジエーター、ヒーターなどの熱交換器では、チュ
ーブ内の冷媒の流速が予想以上に速くなることがあり、
この場合チューブ内面にエロージョン(機械的化学的作
用による損傷)が発生するという深刻な問題がある。こ
のようなことから、本発明者らは鋭意研究を行い、芯材
と犠牲陽極材の電位をバランスさせることにより、酸性
とアルカリ性の両腐食環境下において耐食性と耐エロー
ジョン性に優れるAl合金複合材を実現し得ることを見
出し、さらに研究を進めて本発明を完成させるに至っ
た。本発明の目的は、酸性およびアルカリ性の両腐食環
境下で十分な耐食性ならびに耐エロージョン性が得られ
る熱交換器用アルミニウム合金複合材を提供することに
ある。
【0006】
【課題を解決するための手段】請求項1記載の発明は、
Si0.3〜1.2wt%、Cu0.3〜1.0wt%、M
n0.5〜2.0wt%を含有し、残部Alと不可避不純
物からなるAl合金を芯材とし、前記芯材の片面にAl
−Si系合金をろう材としてクラッドし、前記芯材の他
面に必須成分としてBe0.005〜2.0wt%、Zn
2.0〜6.0wt%を含有し、残部Alと不可避不純物
からなるAl合金を犠牲陽極材としてクラッドしたこと
を特徴とする熱交換器用高耐食性アルミニウム合金複合
材である。
【0007】請求項2記載の発明は、Si0.3〜1.
2wt%、Cu0.3〜1.0wt%、Mn0.5〜2.0
wt%を含有し、残部Alと不可避不純物からなるAl合
金を芯材とし、前記芯材の片面にAl−Si系合金をろ
う材としてクラッドし、前記芯材の他面に必須成分とし
てBe0.005〜2.0wt%、Zn2.0〜6.0wt
%を含有し、さらにSi0.02〜1.0wt%、Ge
0.005〜2.0wt%、In0.005〜0.5wt
%、Sn0.005〜0.5wt%、Mn0.02〜1.
5wt%のうちの1種または2種以上を含有し、残部Al
と不可避不純物からなるAl合金を犠牲陽極材としてク
ラッドしたことを特徴とする熱交換器用高耐食性アルミ
ニウム合金複合材である。
【0008】請求項3記載の発明は、Si0.3〜1.
2wt%、Cu0.3〜1.0wt%、Mn0.5〜2.0
wt%を含有し、さらにCr0.01〜0.3wt%、Zr
0.01〜0.3wt%、Ti0.01〜0.3wt%、M
g0.2wt%以下のうちの1種または2種以上を含有
し、残部Alと不可避不純物からなるAl合金を芯材と
し、前記芯材の片面にAl−Si系合金をろう材として
クラッドし、前記芯材の他面に必須成分としてBe0.
005〜2.0wt%、Zn2.0〜6.0wt%を含有
し、残部Alと不可避不純物からなるAl合金を犠牲陽
極材としてクラッドしたことを特徴とする熱交換器用高
耐食性アルミニウム合金複合材である。
【0009】請求項4記載の発明は、Si0.3〜1.
2wt%、Cu0.3〜1.0wt%、Mn0.5〜2.0
wt%を含有し、さらにCr0.01〜0.3wt%、Zr
0.01〜0.3wt%、Ti0.01〜0.3wt%、M
g0.2wt%以下のうちの1種または2種以上を含有
し、残部Alと不可避不純物からなるAl合金を芯材と
し、前記芯材の片面にAl−Si系合金をろう材として
クラッドし、前記芯材の他面に必須成分としてBe0.
005〜2.0wt%、Zn2.0〜6.0wt%を含有
し、さらにSi0.02〜1.0wt%、Ge0.005
〜2.0wt%、In0.005〜0.5wt%、Sn0.
005〜0.5wt%、Mn0.02〜1.5wt%のうち
の1種または2種以上を含有し、残部Alと不可避不純
物からなるAl合金を犠牲陽極材としてクラッドしたこ
とを特徴とする熱交換器用高耐食性アルミニウム合金複
合材である。
【0010】
【発明の実施の形態】本発明のAl合金複合材の合金元
素について説明する。犠牲陽極材に必須成分として含有
されるBeとZnは共存することにより、アルカリ性腐
食環境下での酸化皮膜の形成を抑制して、酸性腐食環境
下のみならず、アルカリ性腐食環境下でも高度の犠牲防
食効果を発揮する。さらにBeはチューブ内の冷媒の流
速が速いとき起きる犠牲陽極材表面の化学的溶解を抑制
して、耐エロージョン性をも向上させる。
【0011】前記のようにBeは、耐食性および耐エロ
ージョン性の向上に有効な元素であり、その含有量を
0.005〜2.0wt%に規定する理由は、0.005
wt%未満では十分な耐エロージョン性が得られず、2.
0wt%を超えるとその効果が飽和する上、製造加工性が
悪化して歩留まりが低下するためである。Beの特に望
ましい含有量は0.2〜1.5wt%である。
【0012】Znの含有量を2.0〜6.0wt%に規定
する理由は、2.0wt%未満では特に酸性腐食環境下で
十分な犠牲防食効果が得られず、6.0wt%を超えると
アルカリ性腐食環境下での酸化皮膜抑制効果が大幅に低
下し、またろう付温度によっては犠牲陽極材と芯材との
界面近傍が溶融する場合があるためである。Znの特に
望ましい含有量は2.0〜4.0wt%である。
【0013】本発明において、犠牲陽極材に含有させる
選択元素のうちSiとMnは犠牲陽極材の表面硬度を高
め、耐エロージョン性を大幅に向上させる。Siの含有
量を0.02〜1.0wt%、Mnの含有量を0.02〜
1.5wt%に規定した理由は、両者とも0.02wt%未
満ではその効果が十分に得られず、Siが1.0wt%を
超え、Mnが1.5wt%を超えるといずれも電縫加工の
際、チューブ管に溶接欠陥(ミクロ割れ)が発生する恐
れがあるためである。
【0014】犠牲陽極材に含有させる選択元素のうちG
e、In、Snは耐食性を改善する。Geの含有量を
0. 005〜2. 0wt%に規定する理由は、0.005
wt%未満ではアルカリ性環境下で犠牲陽極材表面の酸化
皮膜形成を十分抑制できなくなって犠牲防食効果が低下
し、2.0wt%を超えるとその効果が飽和する上、製造
加工性が悪化して歩留まりが低下するためである。Ge
の望ましい含有量は0.2〜1.5wt%である。In、
Snともその含有量を0.005〜0.5wt%に規定し
た理由は、両者とも0.005wt%未満では十分な犠牲
防食効果が得られず、0.5wt%を超えるとコイル端部
がコバ割れする恐れがあるためである。In、Snの特
に望ましい含有量はそれぞれ0.01〜0.2wt%であ
る。
【0015】次に芯材の合金元素について説明する。必
須元素のSi、Cu、Mnはろう付後にマトリックス中
に固溶して強度向上に寄与する。Siの含有量を0.3
〜1.2wt%に規定する理由は、0.3wt%未満ではそ
の効果が十分に得られず、1.2wt%を超えるとSiが
単体で析出して深い孔食が発生するためである。Siの
望ましい含有量は0.7〜1.0wt%である。Cuの含
有量を0.3〜1.0wt%に規定する理由は、0.3wt
%未満ではその効果が十分に得られず、1.0wt%を超
えると犠牲陽極材側にCuが多く拡散して犠牲陽極材の
機能が損なわれ、また電縫加工時に溶接割れが生じるた
めである。Cuの望ましい含有量は0.4〜0.8wt%
である。Mnの含有量を0.5〜2.0wt%に規定する
理由は、0.5wt%未満ではその効果が十分に得られ
ず、2.0wt%を超えると製造加工性が悪化し歩留まり
が低下するためである。Mnの望ましい含有量は0.8
〜1.5wt%である。
【0016】芯材に含有させる選択元素のCr、Zr、
Ti、Mgは強度向上に寄与する。このうちCr、Z
r、Tiの含有量は各々0.01wt%未満ではその効果
が十分に得られず、0.3wt%を超えると鋳造割れが発
生する恐れがある。それぞれの望ましい含有量は0.0
8〜0.2wt%である。Mgは芯材のSiとともにMg
2 Si化合物を時効析出させて強度向上に寄与する。M
gの含有量を0.2wt%以下に規定する理由は、0.2
wt%を超えると、ろう付けの際、芯材の片面にクラッド
したろう材にMgが拡散しフラックスと反応してろう付
性が低下するためである。
【0017】本発明のAl合金複合材は、ラジエーター
のチューブ管以外に、ラジエーターのヘッダープレート
にも使用でき、その他耐食性、耐エロージョン性が要求
されるいかなる部材、たとえばヒーターコアあるいはド
ロンカップエバポレーターのチューブシート、ヘッダー
管にも十分使用できる。
【0018】本発明において、ろう材には、Al−Si
系のJIS−4343合金、JIS−4045合金、J
IS4004合金などが使用できる。これら合金にろう
付性や耐食性を改善する他の元素を微量添加しても差し
支えない。
【0019】
【実施例】以下に本発明を実施例により詳細に説明す
る。 (実施例1)表1、2に示す本発明組成の犠牲陽極材と
芯材の合金を金型に鋳造し、犠牲陽極材は、面削後、熱
間圧延により厚さ5mmに仕上げた。芯材は面削のみで
厚さ40mmに仕上げた。ろう材はJIS−4343合
金を金型鋳造し、面削後、熱間圧延により厚さ5mmに
仕上げた。前記ろう材、芯材、犠牲陽極材の3枚をこの
順に重ねて、500℃にて熱間圧延して3層のクラッド
材を作製し、次いでこれを厚さ0.29mmに冷間圧延
し、ここで340℃で2時間中間焼鈍したのち、さらに
冷間圧延して厚さ0.25mmのH14材のブレージン
グシートを得た。このブレージングシートの犠牲陽極材
とろう材の複合材に占めるクラッド率はそれぞれ10%
である。
【0020】(比較例1)犠牲陽極材と芯材に、本発明
規定外の組成の合金を用いた他は、実施例1と同じ方法
によりブレージングシートを製造した。
【0021】得られた各々のブレージングシートについ
て、強度、耐食性、耐エロージョン性を試験した。試験
方法を下記に示す。
【0022】〔強度〕600℃で3分間のろう付加熱
後、80℃/分の冷却速度で冷却し、その後室温に14
日間放置した後、引張強さを測定した。 〔耐食性〕各々のブレージングシートを電縫加工してチ
ューブ管 (長さ50cm,断面の幅16mm, 高さ2mm)とし、こ
のチューブ管を用いて図1に示す構造の熱交換器を組立
て、この熱交換器のチューブ管に腐食液を所定期間循環
させ、循環後、前記熱交換器からチューブ管をランダム
に10本サンプリングし、犠牲陽極材側からの孔食深さを
測定した。孔食深さは光学顕微鏡を用いた焦点深度法に
より測定した。最大孔食深さは測定値を4捨5入して1
0単位で表示した。フィンにはAl−0.5wt%Si−
0.2wt%Cu−1.0wt%Mn−2.0wt%Zn合金
からなる厚さ0.07mmの薄板材をコルゲート加工し
たものを用いた。ヘッダープレートにはフィンと同じ材
質の厚さ1.2mmの板材を用いた。サイドプレートに
はJIS−3003合金にMgを0.15wt%添加した
芯材の片面にJIS−4343合金のろう材を、他面に
Al−1.5wt%Zn合金犠牲陽極材を各々クラッド率
10%でクラッドしたAl合金複合材を用いた。前記腐
食液の循環条件は、水道水+10ppmCuイオン+
150ppmClイオンの酸性腐食液を85℃で10時
間、室温で14時間交互に5ケ月間循環させる方法、ま
たは水道水+200ppmCO3 2-イオンのアルカリ
性腐食液を85℃で10時間、室温で14時間交互に5
ケ月間循環させる方法の2通りとした。 〔耐エロージョン性〕前記耐食性試験に使用したのと同
じ構成の熱交換器のチューブ管に、水道水+200pp
mCO3 2-イオンのアルカリ性腐食液を85℃に加熱し
て流速8m/秒で1週間循環させ、循環後のチューブ管
の犠牲陽極材側からの最大孔食深さを測定した。チュー
ブ管のサンプリングと孔食深さの測定方法は耐食性試験
の場合と同様にして行った。試験結果を表3、4に示
す。
【0023】
【表1】
【0024】
【表2】 (注)*17:Zr0.15 Ti0.15 、*18:Cr0.15 Ti0.15 、*19:Cr0.05 Zr0.05 Ti0.1 。
【0025】
【表3】
【0026】
【表4】
【0027】表3、4より明らかなように、本発明例の
No.1〜19は酸性およびアルカリ性の両腐食環境下におい
て孔食深さが80μm以下で、優れた耐食性を示した。
またチューブ内の液流が速い場合でも、エロージョンの
起点となる表面の化学的溶解は認められず、また孔食も
浅かった。一方、合金組成が本発明規定外の比較例(No.
20〜22) は酸性またはアルカリ性腐食環境下のいずれか
で耐食性が低下した。またエロージョンも発生した。
【0028】図2(イ),(ロ) は本発明例のNo.10 および比
較例のNo.20 のそれぞれエロージョン試験後の断面組織
図である。本発明例のNo.10 は広く浅い孔食形態を示し
ている。これに対し比較例のNo.20 は、犠牲陽極材が腐
食溶解してなくなっており、芯材には深い孔食が発生し
ている。
【0029】
【発明の効果】以上に述べたように、本発明のAl合金
複合材によれば、酸性およびアルカリ性の両腐食環境下
において優れた犠牲防食効果が得られる。また耐エロー
ジョン性にも優れる。依って、工業上顕著な効果を奏す
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】(イ)は自動車用熱交換器(ラジエーター)の
正面図、(ロ)は(イ)のA−A断面拡大図である。
【図2】(イ)は本発明例材、(ロ)は比較例材のそれ
ぞれエロージョン試験後の断面組織図である。
【符号の説明】
1 チューブ管 2 フィン 3 ヘッダープレート 4 コア 5 パッキン 6、7 樹脂タンク
─────────────────────────────────────────────────────
【手続補正書】
【提出日】平成9年8月18日
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0022
【補正方法】変更
【補正内容】
【0022】〔強度〕600℃で3分間のろう付加熱
後、80℃/分の冷却速度で冷却し、その後室温に14
日間放置した後、引張強さを測定した。 〔耐食性〕各々のブレージングシートを電縫加工してチ
ューブ管(長さ50cm,断面の幅16mm,高さ2m
m)とし、このチューブ管を用いて図1に示す構造の熱
交換器を組立て、この熱交換器のチューブ管に腐食液を
所定期間循環させ、循環後、前記熱交換器からチューブ
管をランダムに10本サンプリングし、犠牲陽極材側か
らの孔食深さを測定した。孔食深さは光学顕微鏡を用い
た焦点深度法により測定した。最大孔食深さは測定値を
4捨5入して10μm単位で表示した。フィンにはAl
−0.5wt%Si−0.2wt%Cu−1.0wt%
Mn−2.0wt%Zn合金からなる厚さ0.07mm
の薄板材をコルゲート加工したものを用いた。ヘッダー
プレートとサイドプレートは、ともにJIS−3003
合金にMgを0.15wt%添加した芯材の片面にJI
S−4343合金のろう材を、他面にAl−1.5Wt
%Zn合金犠牲陽極材を各々クラッド率10%でクラッ
ドした厚さ1.2mmのAl合金複合材を用いた。前記
腐食液の循環条件は、水道水+10ppmCuイオン
+150ppmC1イオンの酸性腐食液を85℃で10
時間、室温で14時間交互に5ケ月間循環させる方法、
または水道水+200ppmCO 2−イオンのアル
カリ性腐食液を85℃で10時間、室温で14時間交互
に5ケ月間循環させる方法の2通りとした。 〔耐エロージョン性〕前記耐食性試験に使用したのと同
じ構成の熱交換器のチューブ管に、水道水+200pp
mCO 2−イオンのアルカリ性腐食液を85℃に加熱
して流速8m/秒で1週間循環させ、循環後のチューブ
管の犠牲陽極材側からの最大孔食深さを測定した。チュ
ーブ管のサンプリングと孔食深さの測定方法は耐食性試
験の場合と同様にして行った。試験結果を表3、4に示
す。

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 Si0.3〜1.2wt%、Cu0.3〜
    1.0wt%、Mn0.5〜2.0wt%を含有し、残部A
    lと不可避不純物からなるAl合金を芯材とし、前記芯
    材の片面にAl−Si系合金をろう材としてクラッド
    し、前記芯材の他面に必須成分としてBe0.005〜
    2.0wt%、Zn2.0〜6.0wt%を含有し、残部A
    lと不可避不純物からなるAl合金を犠牲陽極材として
    クラッドしたことを特徴とする熱交換器用高耐食性アル
    ミニウム合金複合材。
  2. 【請求項2】 Si0.3〜1.2wt%、Cu0.3〜
    1.0wt%、Mn0.5〜2.0wt%を含有し、残部A
    lと不可避不純物からなるAl合金を芯材とし、前記芯
    材の片面にAl−Si系合金をろう材としてクラッド
    し、前記芯材の他面に必須成分としてBe0.005〜
    2.0wt%、Zn2.0〜6.0wt%を含有し、さらに
    Si0.02〜1.0wt%、Ge0.005〜2.0wt
    %、In0.005〜0.5wt%、Sn0.005〜
    0.5wt%、Mn0.02〜1.5wt%のうちの1種ま
    たは2種以上を含有し、残部Alと不可避不純物からな
    るAl合金を犠牲陽極材としてクラッドしたことを特徴
    とする熱交換器用高耐食性アルミニウム合金複合材。
  3. 【請求項3】 Si0.3〜1.2wt%、Cu0.3〜
    1.0wt%、Mn0.5〜2.0wt%を含有し、さらに
    Cr0.01〜0.3wt%、Zr0.01〜0.3wt
    %、Ti0.01〜0.3wt%、Mg0.2wt%以下の
    うちの1種または2種以上を含有し、残部Alと不可避
    不純物からなるAl合金を芯材とし、前記芯材の片面に
    Al−Si系合金をろう材としてクラッドし、前記芯材
    の他面に必須成分としてBe0.005〜2.0wt%、
    Zn2.0〜6.0wt%を含有し、残部Alと不可避不
    純物からなるAl合金を犠牲陽極材としてクラッドした
    ことを特徴とする熱交換器用高耐食性アルミニウム合金
    複合材。
  4. 【請求項4】 Si0.3〜1.2wt%、Cu0.3〜
    1.0wt%、Mn0.5〜2.0wt%を含有し、さらに
    Cr0.01〜0.3wt%、Zr0.01〜0.3wt
    %、Ti0.01〜0.3wt%、Mg0.2wt%以下の
    うちの1種または2種以上を含有し、残部Alと不可避
    不純物からなるAl合金を芯材とし、前記芯材の片面に
    Al−Si系合金をろう材としてクラッドし、前記芯材
    の他面に必須成分としてBe0.005〜2.0wt%、
    Zn2.0〜6.0wt%を含有し、さらにSi0.02
    〜1.0wt%、Ge0.005〜2.0wt%、In0.
    005〜0.5wt%、Sn0.005〜0.5wt%、M
    n0.02〜1.5wt%のうちの1種または2種以上を
    含有し、残部Alと不可避不純物からなるAl合金を犠
    牲陽極材としてクラッドしたことを特徴とする熱交換器
    用高耐食性アルミニウム合金複合材。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2019210512A (ja) * 2018-06-05 2019-12-12 三菱アルミニウム株式会社 熱交換器用アルミニウム合金ブレージングシート及び熱交換器の製造方法

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