JPH10259137A - ウィルス感染防御剤 - Google Patents

ウィルス感染防御剤

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JPH10259137A
JPH10259137A JP9356137A JP35613797A JPH10259137A JP H10259137 A JPH10259137 A JP H10259137A JP 9356137 A JP9356137 A JP 9356137A JP 35613797 A JP35613797 A JP 35613797A JP H10259137 A JPH10259137 A JP H10259137A
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Shunichi Dosemari
俊一 堂迫
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 新規なウィルス感染防御剤の提供。 【解決手段】 ラクトフェリンを有効成分とするウィル
ス感染防御剤。インフルエンザウィルスあるいはサイト
メガロウィルスの感染防御に有効である。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、鉄結合性蛋白質を
有効成分とするウィルス感染防御剤に関する。
【0002】
【従来の技術】ウィルス性疾患は、現在、医療分野に残
された最大の課題の一つである。これまでに多数の抗ウ
ィルス剤についての研究が行なわれてきたが、ウィルス
が細胞の増殖機能によって増殖するため、薬剤による治
療は困難であった。これまでに、ウィルス性疾患に治療
効果を示す薬剤として認められているものは、インフル
エンザA2 型に対するアマンタジン、単純ヘルペスウィ
ルスによる脳炎、帯状発疹に対するアシクロビル及びビ
ダラビンがあるだけである。この内アマンタジンは、わ
が国においては抗ウィルス剤としての使用は認められて
いない。
【0003】又、最近では、HIVによる感染症、いわ
ゆるAIDSが問題となり、多数の化合物がスクリーニ
ングにかけられ、その結果、アジドチミジン(AZT)
がAIDS感染者に対して延命効果を示すことが確認さ
れ、HIV感染者の治療に使用されている。しかし、こ
れらの薬剤は高価であり、又副作用も強く、その治療ス
ペクトルも限定されており、抗ウィルス剤としては、ま
だ問題をかかえている。
【0004】一方、抗ウィルス剤として最近注目を集め
ているものにインターフェロンがある。インターフェロ
ンは、1957年に発見された物質であり、ウィルスの細胞
への感染を防御する物質として研究が進められた。イン
ターフェロンは、白血球や、線維芽細胞を培養すること
により得られるが、最近では遺伝子組換えによる大量生
産も可能となった。インターフェロンを抗ウィルス剤と
して使用する方法としては、経鼻投与により、呼吸系の
感染、例えば、インフルエンザの治療に応用する報告な
どが見られるが、体内の代謝や動態が不明であり、臨床
上の有効性を確認するまでに至っていない。又、遺伝子
組換えによる大量生産が可能になったとはいえ、インタ
ーフェロンの生産コストは高価であり、インフルエンザ
等の一般的なウィルス疾患の治療や感染防御の用途に供
するには、まだ高価である。
【0005】現在のところ、ウィルス性疾患に対する対
策としては感染を予防するワクチンの投与が最も普及し
ている。これには各ウィルスをなんらかの方法で弱毒化
した生ワクチンやウィルスのホルマリン処理により作成
した不活性化ワクチン、ウィルスの抗原部分のみを精製
したコンポーネントワクチンがある。これらのワクチン
により大部分の疾患については予防が可能となってい
る。しかし、最も代表的なウィルス性疾患であるインフ
ルエンザを例にとった場合、ワクチンによる感染予防は
困難である。インフルエンザウィルスは、ウィルス表面
のエンペロープと呼ぶ部分に抗原が存在し、この抗原を
ワクチンとして使用しているが、この抗原部分はしばし
ば変異し、変異型のウィルスに対しては、旧型のワクチ
ン投与では、何ら効果を示さないことが明らかとなって
いる。又、HIVのように、ワクチンとしての抗原が不
明なウィルスや、臓器移植後の免疫抑制剤投与による免
疫機能低下時にしばしば発症するサイトメガロウィルス
感染症などに対してはワクチンによる感染防御は困難で
ある。
【0006】近年、ウィルス学の研究が進み、ウィルス
の感染においては、細胞表面に存在するウィルスレセプ
ターにウィルスが結合し、この部分から細胞内へウィル
スが侵入することが明らかとなった。例えば、HIVは
4 リンパ球の表面に存在するCD4 レセプターに結合
する。このためCD4 を大量に血中に投与することによ
り、AIDSの発病を防止することが可能となると言わ
れている。このようにウィルスとウィルスレセプターの
研究は新しいウィルス治療剤の開発の可能性を示してい
る。
【0007】インフルエンザウィルスは、ウィルス表面
にヘマグルチニンと呼ばれる赤血球を凝集させる酵素蛋
白を持っている。このヘマグルチニンがウィルス抗原を
決定する重要な因子である。このヘマグルチニンは一般
には、H1, H2, H3と3つのタイプが知られているが、し
ばしばこの型が変異する。このためワクチンの効果が低
下するのである。ヘマグルチニンはインフルエンザが細
胞に感染する際に、細胞膜表面に存在するシアル酸結合
型糖鎖を認識して結合し細胞への侵入を開始するが、こ
の細胞への結合性を赤血球の凝集反応を指標として評価
することができる。したがって、赤血球凝集阻止を示す
ような糖鎖構造を有するものであれば、インフルエンザ
ウィルスの細胞への結合を阻害し、感染を防止し、さら
に感染後の他の細胞への伝播を防御できる。
【0008】既に、本発明者らは特開昭 63-284133号公
報に開示したように、インフルエンザウィルスの感染を
防御する物質を得て特許出願を行なった。又、山川ら
は、ヒト血球より、インフルエンザウィルスの示す赤血
球凝集を阻害する物質を単離し、これがシアル酸を構成
糖に持つ蛋白質であることを明らかにしている (山川
他、「生化学」31巻 416〜421 頁 1959 年) 。しかし、
ウィルスのレセプター結合阻害と糖蛋白質との規則性は
いまだ明らかになっていない。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】上述したように、ウィ
ルスの感染を防御するにあたっての重要な因子として
は、ウィルスの結合する細胞表面のレセプターと、これ
に拮抗する物質が挙げられる。インフルエンザウィルス
を例にとると種々のレセプターが確認されている。「蛋
白質・核酸・酵素 vol.32, 117頁〜135 頁、1988年」に
は、ヘマグルチニンとレセプターについて開示されてい
る。これらによれば、必ずしも糖蛋白質、糖脂質の糖鎖
構造とレセプターの役割については一定の法則性を見出
し得ない。本発明者らは、ウィルスの感染防御について
鋭意研究を進めた結果、シアル酸及びマンノースを糖鎖
構造中に持つ鉄結合性蛋白質が各種ウィルスのレセプタ
ーと拮抗し、ウィルス感染を防止することを見出した。
したがって、本発明は鉄結合性蛋白質を有効成分とする
ウィルス感染防御剤の提供を課題とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】本発明の特徴は、ウィル
ス感染防御剤としてシアル酸及びマンノースを糖鎖構造
中に持つ鉄結合性蛋白質を用いることにある。シアル酸
及びマンノースを糖鎖構造中に持つ鉄結合性蛋白質とし
ては、ラクトフェリン、オボトランスフェリン等が例示
できる。又、これらの蛋白質を部分的に酵素加水分解し
たものを用いることもできる。ラクトフェリンは、一般
には、哺乳動物の乳汁から分離される鉄結合性蛋白質で
あるが、本発明の実施においては、どのような種、由来
のものでも差し支えない。又、必要に応じて、遺伝子組
換えにより生産した糖蛋白質を使用することもできる。
現在、最も安価でかつ容易に入手できるものとては牛乳
より分離したものである。牛乳より分離する場合は、特
開昭 61-145200号公報に開示された抗ラクトフェリン抗
体を使用する方法等が採用し得る。
【0011】オボトランスフェリンは、ニワトリ卵白中
に含まれる分子量約77,000〜87,000の糖蛋白質でラクト
フェリンに良く似た鉄結合性の蛋白質である。オボトラ
ンスフェリンを得るためには、公知のクロマトグラフィ
ー等の分離精製が可能である。例えば、カルボキシメチ
ルセルロースによる方法 (ギャリアン他「ジャーナル・
オブ・フードサイエンス」45巻、460 頁、1980年) 、金
属固定化親和クロマトグラフィーを用いる方法 (アルー
マシキ他「アグリカルチャル・バイオロジカルケミスト
リー」51巻、2881〜2887頁、1987年) 等の方法を採用し
得る。上述のようにして得られたラクトフェリン並びに
オボトランスフェリン等の鉄結合性蛋白質をプロテアー
ゼにより部分加水分解したものも本発明においては使用
し得る。ラクトフェリン並びにオボトランスフェリンを
酵素加水分解する場合には、ウィルス感染防御能を維持
しかつ、酵素分解による効果を奏するためには、分解率
を60%以下に止めることが好ましい。
【0012】上述した鉄結合性蛋白質、あるいはその部
分酵素加水分解物は、ウィルス感染防御剤として、単独
あるいは混合して使用することができる。ウィルス感染
防御剤としての使用は、経口、経皮、注射等の投与が可
能であり、それぞれの投与経路に応じた製剤化が可能で
ある。本発明をサイトメガロウィルス(CVM)の感染
予防あるいは治療の目的に使用する場合には、有効成分
である鉄結合性蛋白質が投与組成物1g 当り 0.1μg以
上の量が存在していることが効果上必要である。又、鉄
結合性蛋白質を滅菌する場合には、0.45μm 以下のメン
ブランフィルターによる濾過滅菌をすることができる。
本発明に係る鉄結合性蛋白質であるラクトフェリン並び
にオボトランスフェリンは、それぞれ牛乳、卵白中に含
まれており、その安全性も確認されている。次に、本発
明のウィルス感染防御効果を、インフルエンザウィルス
による赤血球凝集を阻止する反応(HI)を例にした試
験例について説明する。
【0013】
【試験例1】ラクトフェリン並びにオボトランスフェリンによるイン
フルエンザウィルスHI活性測定法 インフルエンザウィルスとして以下のウィルスを対象と
した。デンカ生研より入手した不活化インフルエンザウ
ィルス、A/山形/12/86(H1N1)、A/新潟/102 /81
(H3N2)、A/四川/α/87/(H3N2)、A/福岡/C29/8
5(H3N2)、B/長崎/1/87、B/シンガポール/222
/79、及び静岡薬科大学より譲渡された不活化されてい
ないインフルエンザウィルスA/PR/8/34(H1N1)、及
びA/愛知/2/68(H3N2)。
【0014】これらのウィルスのヒヨコ安定化赤血球
(武田薬品工業製) に対する凝集反応阻止(HI)活性
を測定した。HI活性は、上述した山川らの方法(「生
化学」31巻、 416〜421 頁) に準じて測定した。測定に
供したサンプルは、牛ラクトフェリン(bLf) 、ヒトラク
トフェリン(hLf) 、山羊ラクトフェリン(gLf) 、オボト
ランスフェリン(oTf) 並びにこれらをトリプシンにより
20%、40%、60%の分解率で酵素分解したものである。
結果は表1に示す通りであった。
【0015】
【表1】
【0016】表1に示した通り、いずれのサンプルも強
いHI活性を示した。又、A/山形/120 /86はヒヨコ
赤血球を凝集させなかった。尚、表1の(A)はヒヨコ
安定化赤血球を対象とし、(B)はヒトO型赤血球を対
象としたものである。
【0017】
【試験例2】bLf 、hLf 、gLf 、oTf 及びその酵素分解物の赤血球へ
の非特異的吸着の有無確認試験 試験例1で使用した各サンプルを生理食塩水に溶解し、
0.5 %(w/v) の濃度に調製した。この溶液に、試験例1
で調製したヒトO型赤血球、又はヒヨコ安定化赤血球を
加え、赤血球濃度が1%(v/v) 、又は10%となるように
懸濁させた。これを時々攪拌しながら1時間室温で放置
した後、1500rpm で10分間遠心し、その上清について、
試験例1と同様の手順によりHI活性を測定した。結果
は表2に示す通り、このような処理を行っても各サンプ
ルの示すHI活性に変化は認められなかった。
【0018】
【表2】
【0019】試験例1及び2の結果から、鉄結合性蛋白
質、及びその酵素分解物は、ウィルスによる赤血球の凝
集を阻害し、又、その効果は赤血球への非特異的な吸着
によって起こるものではなく、ウィルスのヘマグルチニ
ンと各有効成分が特異的に親和することにより起こるも
のと推定された。更に、鉄結合性蛋白質とウィルスの親
和性は、ウィルス抗原の変異に影響されないことが確認
された。尚、表中の(A)はヒヨコ安定化赤血球を対象
とし、(B)はヒトO型赤血球を対象としたものであ
る。
【0020】以下に実施例を示し、さらに本発明を具体
的に説明する。
【実施例1】bLf の調製 :ウシラクトフェリン(bLf) は、「ジャーナ
ル・オブ・ディリィ・サイエンス」20巻、 752〜759 頁
(1987年) に開示された抗ウシラクトフェリンモノクロ
ーナル抗体アフィニティーカラムを用い牛乳より調製し
た。脱脂乳を抗ウシラクトフェリンモノクローナル抗体
アフィニティーカラムに負荷し、ウシラクトフェリン(b
Lf) を吸着させ、次いで、pH7.3 のリン酸緩衝生理食塩
水(PBS)で十分洗浄した。その後、0.5M食塩を含む
pH7.3 のリン酸緩衝液で洗浄し、さらに、0.2M酢酸ナト
リウム緩衝液(pH3.7、0.15M 食塩を含む) でカラムに吸
着した bLfを溶出した。溶出後pHを中性付近に調整し、
脱イオン水に対し3日間透析した後、凍結乾燥し、 bLf
を得た。得られた bLfは電気泳動により純度を確認した
が単一のバンドを示した。
【0021】
【実施例2】hLfの調製 :ヒトラクトフェリン(hLf) は、ヘパリン−
セファロースCL−6Bカラムを用い人乳より調製し
た。脱脂人乳をヘパリン−セファロースCL−6Bカラ
ムに負荷し、脱脂人乳中の hLfをカラム内に吸着させ、
その後pH7.3 の0.01M リン酸緩衝液で洗浄した。次い
で、1.0M食塩を含むpH7.3 の0.01M リン酸緩衝液でカラ
ム内に吸着した hLfを溶出した。さらに、溶出液を脱イ
オン水に対し3日間透析した後、凍結乾燥し hLfを得
た。得られた hLfは、電気泳動により純度を確認した
が、98%以上の純度を示した。
【0022】
【実施例3】oTfの調製 :卵白に硫安を2.5Mとなるように加えて蛋白
質を沈澱させた。遠心により沈澱を集め、pH6.0 の0.01
M リン酸緩衝液に再溶解させ、ジエチルアミノエチルセ
ルロースカラムに負荷した。卵白中の oTfをカラムに吸
着させた後、pH6.0 の0.01Mリン酸緩衝液で洗浄し、次
いで、0.1Mの食塩を含むpH6.0 のリン酸緩衝液で oTfを
溶出した。溶出液を集め、脱イオン水に対して3日間透
析し、その後凍結乾燥により oTfを得た。得られた oTf
を電気泳動により純度を確認したが、95%以上の純度を
示した。
【0023】
【実施例4】インフルエンザウィルスの感染防御 :試験例1に使用し
た不活化されていないインフルエンザウィルスA/PR
/8/34及びA/愛知/2/68を段階的に希釈し、5個
のニワトリ10日卵に0.1 mlずつ尿液腔内に接種し、3日
後、個々の卵の尿液50μl をとり、これを 0.5%ヒヨコ
安定化赤血球と混合、攪拌し、赤血球の凝集によって感
染率を決定した。100%の感染率を示した希釈倍率のウ
ィルス希釈液の 0.1mlに実施例1, 2及び3で得た bLf、
hLf、 oTfをそれぞれ 2.0mg、1.0 mg、0.5 mgづつを溶
解し、室温で30分間インキュベートした後、ニワトリ10
日卵に0.1 mlずつ尿液腔内に接種した。3日後、個々の
卵の尿液50μl をとり、赤血球凝集反応にり感染率を決
定した。1 群5個の卵を使用し各群の感染率を得た。
又、各蛋白質の酵素分解物についても同様にして感染防
御効果を測定した。結果は表3に示す通りであり、各サ
ンプルとも有意にインフルエンザウィルスに対して強い
感染防御効果を示した。
【0024】
【表3】
【0025】
【実施例5】bLfによるサイトメガロウィルス感染阻止効果 :実施例
1で得た bLfのサイトメガロウィルス(CMV)の感染
阻止効果を確認した。bLfを2%血清添加MEM培地に5
mg/mlとなるように溶解し、0.45μm のフィルターで濾
過滅菌しストック溶液とした。このストック溶液を必要
に応じ、2%血清添加MEM培地により希釈して用い
た。ヒトCMV(Towne株) を各濃度の bLf含有培養液で
1時間インキュベート後、ヒト胎児繊維芽細胞(HEL
細胞)に感染させた。24時間培養後、ヒトCMV陽性血
清で蛍光染色し細胞へのヒトCMVの吸着能力を測定し
た。その結果、表4に示すとおり、CMVが1mg/mlの b
Lfと1時間インキュベーションすることによって、完全
にヒトCMV吸着侵入能力を失うことが確認された。
【0026】
【表4】
【0027】
【実施例6】hLfによるCMV増殖阻止試験 :実施例5と同様に溶
解、希釈した hLfとヒトCMVを1時間インキュベート
した後、HEL細胞にCMVを感染させた。次いで、上
記感染HEL細胞をそれぞれ hLf希釈液と同じ濃度に調
整した hLf含有軟寒天培地(0.8 %ソフトアガー、ディ
フコ社製) で培養し、9日目に出現したプラークを数え
比較した。軟寒天培地は3日毎に重層した。
【0028】一方、軟寒天培地中に hLfを含まない条件
でも同様に試験を行ない、生成するプラークを数えた。
【0029】
【表5】 表5に示す通り、1mg/mlの濃度の hLf含有培地でCM
Vを処理した後、同濃度の hLf軟寒天培地で培養した場
合強いCMVの増殖抑制が認められた。
【0030】
【実施例7】oTfによるCMV増殖抑制効果 :実施例3で得た oTfを
実施例6に記載したと同様に処理し、 oTf含有軟寒天培
地中で生成したプラークを数えた。表6に示すように、
0.5 mg/mlの濃度の oTfでほぼ完全にCMVの増殖を抑
制した。
【0031】
【表6】
【0032】
【実施例8】bLfによるヒトCMV感染価への影響 :96穴のプラスチ
ックプレート (ファルコン社製) にHEL細胞を培養
し、これにヒトCMVを10-1〜10-7までの10倍希釈系列
のウィルス液を加え、感染させ、力価を測定した。実施
例5と同様に、各希釈系列のウィルス液を各濃度系列の
bLf培養液により一時間インキュベート処理し、その後
96穴のプラスチックプレートに生育したHEL細胞にウ
ィルス液を加え感染させ、24週間後に感染の成立したウ
エルを数えた。その結果、107 の力価を持つCMVは0.
1 mg/mlの bLfで力価 1.8×105 に、0.5 mg/mlの bLf
で力価が 5.6×101 に、1.0 mg/mlの bLfで力価が3.16
に顕著に低下することが明らかとなった (表7)。
【0033】
【表7】
【0034】
【実施例9】動物におけるCMV感染予防治療効果 :本実施例におい
ては、動物のCMV感染予防及び感染動物の治療効果に
ついて確認した例を示す。実施例1で得た bLfを生理食
塩溶液1ml当り、1000μg の濃度になるように溶解し、
溶解後0.22μm のフィルターで濾過滅菌した。一方、胸
腺を摘除したマウス(C57B16J) 20匹を2群にわけ、1群
には上記の bLf溶液を7日間、静脈より1ml連日投与
し、1群には同様にして生理食塩水を投与した。その後
マウスCMVをグランディーらの方法(トランスブラン
テーション、37巻、 484〜490 頁、1984年) に従って感
染させた。
【0035】すなわち、マウスCMVのスミス種の唾液
腺ウィルスの腹腔内投与により感染させた。さらに1ヶ
月間飼育した後、エンザイム・リンクド・イムノアッセ
イ法で尿中のマウスCMV量を測定した。生理食塩溶液
のみを投与したマウスは全て尿中のマウスCMV陽性で
あったのに対し、 bLf投与群では10匹中2匹が陽性であ
った。また、この生理食塩溶液を15日間、静脈より1ml
連日投与し、1群には生理食塩溶液のみを同様に投与し
た。15日後に、両群とも麻酔後解剖し、臓器の状態を観
察した。
【0036】
【表8】 表8に示した通り、マウスCMV感染によって認められ
るのみで、他の3匹明らかに回復している。
【0037】
【発明の効果】以上述べた通り、本発明に係る鉄結合性
蛋白質は明らかにウィルスの感染を防御し、かつ治療効
果も示すことから、本発明はウィルス感染防御剤として
有効に利用できる。また、特に本発明に係る鉄結合性蛋
白質はインフルエンザウィルスの抗原変化に影響されな
いことが明らかであり、広範な予防効果も期待できる。
さらに、本発明に係る上記物質は食品中に含まれている
成分であり、安全でかつ低コストで供給可能である。し
たがって、本発明の実施により、安全でかつ広範なウィ
ルスに対して感染防御効果を有するウィルス感染防御剤
が安全にかつ安価に供給される。
【表1】
【表1】
【表2】
【表2】
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 谷本 守正 埼玉県狭山市水野470−7 (72)発明者 堂迫 俊一 埼玉県浦和市北浦和5丁目15番39−616号 (72)発明者 田中 重明 神奈川県綾瀬市小園1431−6

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ラクトフェリンを有効成分とするウィル
    ス感染防御剤。
  2. 【請求項2】 ウィルスがインフルエンザウィルスもし
    くはサイトメガロウィルスである請求項(1) に記載のウ
    ィルス感染防御剤。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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WO2008018103A1 (en) * 2006-08-07 2008-02-14 Pietro Raimondi Product, suitable to be given to the human body for its protective effects and health benefits, based on cow buffalo's milk self-enriched with lactoferrin, or pure lactoferrin, obtained through membrane separative processes

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