JPH10255555A - 透明電極用基板 - Google Patents

透明電極用基板

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JPH10255555A
JPH10255555A JP6059297A JP6059297A JPH10255555A JP H10255555 A JPH10255555 A JP H10255555A JP 6059297 A JP6059297 A JP 6059297A JP 6059297 A JP6059297 A JP 6059297A JP H10255555 A JPH10255555 A JP H10255555A
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JP
Japan
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substrate
resin
gas barrier
thickness
barrier layer
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Application number
JP6059297A
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English (en)
Inventor
Yoko Tajiri
洋子 田尻
Katsuyoshi Sasagawa
勝好 笹川
Noboru Kawasaki
登 川崎
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Mitsui Chemicals Inc
Original Assignee
Mitsui Chemicals Inc
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【解決手段】 基板上の少なくとも一方の面にプライマ
ー層、ガスバリヤー層、透明電極層を有する透明電極用
基板において、基板が透明な三次元架橋構造の樹脂から
なり、200℃以上の耐熱性を有することを特徴とする
透明電極用基板。 【効果】 本発明の透明電極用基板は、耐熱性、ガスバ
リヤー性、耐薬品性等に優れたものであり、容易に製造
できるため、各種の透明電極として用いることができ
る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、電子材料分野にお
いて有用な透明電極用基板に関し、さらに詳しくは、有
機基板をベース基板として用いた液晶表示パネル、タッ
チパネル等に用いられる透明電極用基板に関する。
【0002】
【従来の技術】液晶表示パネル、タッチパネルのような
電子材料に用いられる透明電極としては、無機ガラス基
板上にインジウム・錫混合酸化物(以下、ITOとす
る)を設けたものが知られている。無機ガラスは、光学
物性、表面硬度、剛性、耐熱性および耐薬品性等に優れ
ており、昨今のノート型パソコンや携帯用情報ツールに
対する軽量化のニーズから、薄型化が進みつつある。し
かしながら、ガラスの薄物や大物を製造する際には種々
の問題がある上、取り扱いも難しいため、近年、軽量で
耐衝撃性、加工性、生産性等に優れた透明樹脂基板を、
無機ガラス代替として用いた電極基板が提案されてい
る。
【0003】例えば、特開昭59−204545号に
は、ポリメチルメタクリレート、ポリカーボネート、ポ
リエーテルスルホン、またはポリエチレンテレフタレー
ト等の一般的な熱可塑性樹脂上に、SiOX アンダーコ
ート膜、ITO膜を順に有する電極基板が提案されてい
る。しかし、これらの樹脂では耐熱性に乏しく、また複
屈折率や表面精度の点でも問題があり、高精度な液晶表
示用基板としては不適である。また、これらは、通常、
生産性の面からフィルムとして用いられるが、剛性がな
いため、大型化できないという問題もある。また、特開
平5−323303に開示されているようなマレイミド
系の架橋樹脂を用いる技術では、複屈折率や表面精度の
点は改善されるものの、その耐熱性は200℃未満であ
り、カラー液晶表示等に必要な、低抵抗なITO膜を付
けることは困難である。
【0004】一方、ガスバリヤー層としては、PVD
(スパッタ法等)、CVD、ゾル−ゲル法、ポリシラザ
ン系塗料の塗布−焼成法等の方法で形成されるセラミッ
クス系コーティング等のような無機バリヤー膜の他、ポ
リビニルアルコールのような有機バリヤー膜が知られて
いる。PVD、CVD法では、500オングストローム
〜1500オングストローム程度の厚みでガスバリヤー
性を付与できるという利点があるものの、装置が非常に
高価である。また、この厚みでは傷が付くとガスバリヤ
ー性が悪くなり、これを防ぐために厚みをもたせると透
過率がさがる、などの欠点がある。一方、ゾル−ゲル法
では、必要焼成温度が500℃以上と高くなり問題があ
り、また、有機バリヤー層では十分に気体の透過を防ぐ
ことができない。このように、透明樹脂基板上にこれら
の層を設けた電極基板において、耐熱性、耐薬品性、密
着性等の要求特性を十分に満足できるものは未だ知られ
ていないのが現状である。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、耐熱
性、耐薬品性およびガスバリヤー性に優れた透明電極用
基板を提供することである。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、前記の課
題を解決するために鋭意検討を重ねた結果、透明な三次
元架橋構造の樹脂上に、プライマー層、ガスバリヤー層
および透明電極層を設けることにより、優れた透明電極
用基板が得られることを見出し、本発明を完成するに到
ったものである。すなわち、本発明は、基板上の少な
くとも一方の面に、プライマー層、ガスバリヤー層が順
次形成され、更にそのガスバリヤー層の上に透明導電層
を有する透明電極用基板において、基板が透明な三次元
架橋構造の樹脂からなり、耐熱性が200℃以上である
ことを特徴とする透明電極用基板に関するものである。
また、本発明は、ガスバリヤー層がポリシラザンを焼
成することにより得られるセラミック膜、さらには、
ガスバリヤー層がポリシラザンを焼成することにより得
られるSiOx膜であることを特徴とする前記のいずれ
かの透明電極用基板、基板の厚みが0.1mm〜2m
mである時、プライマー層の厚みが2ミクロン以上で、
かつ、ガスバリヤー層の厚みがプライマー層の厚みの1
/20〜1/8の範囲であることを特徴とする前記のい
ずれかの透明電極用基板、に関するものである。
【0007】さらに、三次元架橋構造の樹脂が、下記
の(樹脂−a)または(樹脂−b)のいずれかである前
記のいずれかの透明電極用基板、プライマー層が、シ
リコーン系ハードコート材であることを特徴とする前記
のいずれかの透明電極用基板に関するものである。 ・樹脂−a:一分子中に、下記一般式(1)(化3)で
表される官能基と、下記一般式(2)または(3)(化
3)で表される官能基とを兼備する単量体(A)を重合
してなる樹脂。
【0008】
【化3】 (上式中、R1 は水素原子またはメチル基を表し、Xは
酸素原子または硫黄原子を表す) ・樹脂−b:単量体(A)と、下記式(4)、(5)お
よび(6)(化4)で表される官能基群から選ばれた少
なくとも一種の官能基をm個(mは1〜6の整数を表
す)有する単量体(B)とを共重合してなる樹脂。
【0009】
【化4】
【0010】
【発明の実施の形態】本発明の透明電極用基板は、透明
な三次元架橋構造の樹脂からなる基板上の少なくとも一
方の面に、プライマー層、ガスバリヤー層、透明電極層
を順次積層してなるものである。本発明で用いる透明な
三次元架橋構造の樹脂としては、任意の樹脂が使用でき
るが、好ましくは、室温下において、曲げ弾性率が35
0kgf/mm2 以上、より好ましくは400kgf/
mm2 以上であることが必要である。これよりも低い値
では、大型な基板をつくるとき十分な剛性が得られ難
い。更に、樹脂の透明性は無着色時の全光線透過率を指
標として表した場合、好ましくは70%以上、より好ま
しくは80%以上である。またリターデーションは10
nm以下が好ましく、5nm以下がより好ましい。ま
た、本発明では、透明電極用基板として200℃以上の
耐熱性を有するという意味から、200℃以上、更に好
ましくは250℃以上のガラス転移温度を有する樹脂が
好ましく用いられる。ここで、ガラス転移温度とは、高
分子が非晶性のガラス状態からゴム状態へ変わる温度で
あり、この温度を境界として、熱膨張率等の諸物性が変
化する。
【0011】本発明で用いる透明な三次元架橋構造の樹
脂としては、より好ましくは、前記の(樹脂−a)また
は(樹脂−b)である。(樹脂−a)は、一分子中に、
前記一般式(1)で表される官能基と、前記一般式
(2)または(3)で表される官能基とを兼備する単量
体(A)を重合してなる樹脂であり、また、(樹脂−
b)は、前記単量体(A)と、前記式(4)、(5)お
よび(6)で表される官能基群から選ばれた少なくとも
一種の官能基をm個(mは1〜6の整数を表す)有する
単量体(B)とを共重合してなる樹脂である。これらの
(樹脂−a)および(樹脂−b)は、特開平2−844
06、特開平3−14804、特開平3−47817、
特開平3−72513、特開平3−179015、およ
び特開平4−266927等に記載の方法により製造す
ることができる。
【0012】1分子中に前記一般式(1)で表される官
能基と、一般式(2)または(3)で表される官能基と
を兼備する単量体(A)としては、例えば、イソプロペ
ニル−α,α−ジメチルベンジルイソシアネートと、1
分子中に少なくとも水酸基又はメルカプト基のいずれか
の官能基と一般式(2)または(3)で表される官能基
とを兼備する化合物(化合物P)との反応により得られ
るものである。化合物Pとしては、 1.エポキシ基又はチイラン基をアクリル酸又はメタクリ
ル酸で開環させて得られる化合物類、例えば、ヒドロキ
シエチルアクリレート、ヒドロキシエチルメタクリレー
ト、ヒドロキシプロピルアクリレート、ヒドロキシプロ
ピルメタクリレート、1,4−ブチレングリコールモノ
アクリレート、1,4−ブチレングリコールモノメタク
リレート、グリセロール−1,2ジアクリレート、グリ
セロール−1,2ジメタクリレート、グリセロール−
1,3ジアクリレート、グリセロール−1,3−ジメタ
クリレート、グリセロール−1−アクリレート−3−メ
タクリレート、 2.フェニルグリシジルエーテル類のアクリル酸又はメタ
クリル酸の開環反応物、例えば、3−フェノキシ−2−
ヒドロキシプロピルアクリレート、3−フェノキシ−2
−ヒドロキシプロピルメタクリレート、2,4−ジブロ
モフェノキシ−2−ヒドロキシプロピルアクリレート、
2,4−ジブロモフェノキシ−2−ヒドロキシプロピル
メタクリレート、 3.ビスフェノールA−ジグリシジルエーテルのアクリル
酸又はメタクリル酸の開環反応物、 4.ペンタエリスリトールトリアクリレート、ペンタエリ
スリトールトリメタクリレート、 5.ビニルベンジルアルコール、ビニルチオベンジルアル
コール、 6.ビス(アクリロイルオキシエチル)イソシアヌレー
ト、ビス(メタクリロイルオキシエチル)イソシアヌレ
ート、等が挙げられる。
【0013】すなわち、単量体Aは、カルバミン酸エス
テル又はチオカルバミン酸エステルであり、例えば、イ
ソプロペニル−α,α−ジメチルベンジルイソシアネー
トのイソシアネート基と、化合物Pの水酸基またはメル
カプト基との反応によって得られる。この反応において
は、合成反応が進み易いように、ジブチルスズジラウレ
ートやジメチルスズジクロライド等のスズ化合物、又は
モルフォリン、ジメチルアミノベンゼン等のアミン類を
加えて行なっても良い。なお、後の重合の際のラジカル
反応での着色を防ぐためには、スズ化合物を選択するこ
とが好ましい。又、反応の際に溶媒を用いた場合は、合
成反応の後に溶媒を留去し、精製して、あるいは精製す
ることなしに、単量体(A)を得る。
【0014】単量体(A)としては、具体的には、N−
(3−イソプロペニル−α,α−ジメチルベンジル)−
2−アクリロイルオキシエチルカルバメート、N−(3
−イソプロペニル−α,α−ジメチルベンジル)−2−
メタクリロイルオキシエチルカルバメート、N−(4−
イソプロペニル−α,α−ジメチルベンジル)−2−ア
クリロイルオキシエチルカルバメート、N−(4−イソ
プロペニル−α,α−ジメチルベンジル)−2−メタク
リロイルオキシエチルカルバメート、N−(3−イソプ
ロペニル−α,α−ジメチルベンジル)−1−アクリロ
イルオキシプロパン−2−イルカルバメート、N−(3
−イソプロペニル−α,α−ジメチルベンジル)−1−
メタクリロイルオキシプロパン−2−イルカルバメー
ト、N−(4−イソプロペニル−α,α−ジメチルベン
ジル)−1−アクリロイルオキシプロパン−2−イルカ
ルバメート、N−(3−イソプロペニル−α,α−ジメ
チルベンジル)−1,3−ジアクリロイルオキシプロパ
ン−2−イルカルバメート、N−(3−イソプロペニル
−α,α−ジメチルベンジル)−1,3−ジメタクリロ
イルオキシプロパン−2−イルカルバメート、N−(3
−イソプロペニル−α,α−ジメチルベンジル)−1−
アクリロイルオキシ−3−メタクリロイルオキシプロパ
ン−2−イルカルバメート、N−(4−イソプロペニル
−α,α−ジメチルベンジル)−1,3−ジアクリロイ
ルオキシプロパン−2−イルカルバメート、N−(3−
イソプロペニル−α,α−ジメチルベンジル)−2,2
−ジアクリロイルオキシメチル−3−アクリロイルオキ
シプロピルカルバメート、N−(4−イソプロペニル−
α,α−ジメチルベンジル)−2,2−ジメタクリロイ
ルオキシメチル−3−メタクリロイルオキシプロピルカ
ルバメートなどが挙げられる。また、イソシアネート化
合物とメルカプト基との反応によるものとしては、上記
のカルバメートがチオカルバメートになった化合物が挙
げられる。
【0015】単量体(B)は、前記の式(4)、(5)
および(6)で表される官能基群から選ばれる少なくと
も一種の官能基をm個(mは1〜6の整数を表す)有す
るものであり、アクリル酸、メタクリル酸のエステル、
または、スチレンの誘導体である。m=1のものとして
は、例えば、メチルアクリレート、メチルメタクリレー
ト、エチルアクリレート、エチルメタクリレート、プロ
ピルアクリレート、プロピルメタクリレート、イソプロ
ピルアクリレート、イソプロピルメタクリレート、シク
ロヘキシルアクリレート、シクロヘキシルメタクリレー
ト、ベンジルアクリレート、ベンジルメタクリレート、
メトキシエチルアクリレート、メトキシエチルメタクリ
レート、2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒド
ロキシエチルメタクリレート、2−ヒドロキシプロピル
アクリレート、2−ヒドロキシプロピルメタクリレー
ト、1,4−ブチレングリコールモノアクリレート、
1,4−ブチレングリコールモノメタクリレート、グリ
シジルアクリレート、グリシジルメタクリレート、スチ
レン、メチルスチレン、クロロスチレン、ブロモスチレ
ン、クロロメチルスチレン、メトキシスチレン等が挙げ
られる。
【0016】m≧2のものとしては、例えば、エチレン
グリコールジアクリレート、エチレングリコールメタク
リレート、ジエチレングリコールジアクリレート、ジエ
チレングリコールジメタクリレート、プロピレングリコ
ールジアクリレート、プロピレングリコールジメタクリ
レート、ジプロピレングリコールジアクリレート、ジプ
ロピレングリコールジメタクリレート、2,2−ビス
(4−アクリロイルオキシエトキシフェニル)プロパ
ン、2,2−ビス(4−メタクリロイルオキシエトキシ
フェニル)プロパン、2,2−ビス(4−アクリロイル
オキシジエトキシフェニル)プロパン、2,2−ビス
(4−メタクリロイルオキシジエトキシフェニル)プロ
パン、2,2−ビス(4−アクリロイルオキシプロピロ
イルフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−メタクリ
ロイルオキシプロピロイルフェニル)プロパン、1,3
−ブタンジオールジアクリレート、1,3−ブタンジオ
ールジメタクリレート、1,4−ブタンジオールジアク
リレート、1,4−ブタンジオールジメタクリレート、
1,6−ヘキサンジオールジアクリレート、1,6−ヘ
キサンジオールジメタクリレート、ネオペンチルグリコ
ールジアクリレート、ネオペンチルグリコールジメタク
リレート、ヒドロキシビバリン酸ネオペンチルグリコー
ルエステルジアクリレート、スピログリコールジアクリ
レート、スピログリコールジメタクリレート、エポキシ
アクリレート、エポキシメタクリレート、2−プロペノ
イックアシッド〔2−(1,1−ジメチル−2−〔(1
−オキソ−2−プロペニル)オキシ)エチル〕−5−エ
チル−1,3−ジオキサン−5−イル〕メチルエステ
ル、トリメチロールプロパントリアクリレート、トリメ
チロールプロパントリメタクリレート、ペンタエリスリ
トールトリアクリレート、ペタエリスリトールトリメタ
クリレート、ビス(アクリロイルオキシチル)ヒドロキ
シエチルイソシアヌレート、ビス(メタクリロイルオキ
シエチル)ヒドロキシエチルイソシアヌレート、トリス
(アクリロイルオキシチル)ヒドロキシエチルイソシア
ヌレート、トリス(メタクリロイルオキシエチル)ヒド
ロキシエチルイソシアヌレート、ペタエリスリトールテ
トラアクリレート、ペンタエリスリトールテトラメタク
リレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレー
ト、ジペンタエリスリトールヘキサメタクリレート、メ
チルトリ(アクリロイルオキシエトキシ)シラン、グリ
セロールジアクリレート、グリセロールジメタクリレー
ト、ジブロムネオペンチルグリコールジアクリレート、
ジビニルベンゼン、ウレタンアクリレート類、ウレタン
メタクリレート類、1,1,3,3,5,5−ヘキサ
(アクリロイルオキシ)シクロトリホスファゼン、1,
1,3,3,5,5−ヘキサ(メタクリロイルオキシ)
シクロトリホスファゼン、1,1,3,3,5,5−ヘ
キサ(アクリロイルエチレンジオキシ)シクロトリホス
ファゼン等が挙げられる。
【0017】単量体(A)は、単独で重合可能な単量体
であり、単独重合させることにより(樹脂−a)が得ら
れる。また、単量体(A)と単量体(B)とを共重合さ
せることにより(樹脂−b)が得られる。この共重合に
おける単量体(A)と単量体(B)との単量体の比率
は、各単量体の有する官能基の種類及び単量体の構造な
どにより一概には決められないが、単量体(A)中のイ
ソプロペニルフェニル基1当量に対して、単量体(A)
中の式(2)または(3)で表される官能基、および、
単量体(B)中の式(4)、(5)または(6)で表さ
れる官能基群の総和が0.5当量〜10当量の範囲であ
ることが好ましい。
【0018】次に、本発明の電極用基板に用いる基板
(以下、透明樹脂基板という)の製造法について述べ
る。本発明の透明樹脂基板は、透明な三次元架橋構造の
樹脂であり、好ましくは、前記の単量体(A)、または
単量体(A)と(B)の混合物を、注型重合用鋳型の空
間部に注入し、重合硬化させることによって得られる透
明な三次元架橋構造の樹脂である。本発明で用いる樹脂
の重合はラジカル重合であり、熱重合のみならず、紫外
線やγ線を用いた重合も可能であり、更にこれらを組み
合わせて重合を行うこともできるが、熱重合法が簡便で
特に好ましい。
【0019】熱重合を行う際のラジカル重合開始剤は特
に限定されず、公知のベンゾイルパーオキサイド、p−
クロロベンゾイルパーオキサイド、ジイソプロピルパー
オキシカーボネート、ジ−2−エチルヘキシルパーオキ
シカーボネート、t−ブチルパーオキシピバレート等の
過酸化物、アゾビスイソブチロニトリル等のアゾ化合物
が使用できる。その使用量は単量体の総量に対し、0.
01重量%〜5重量%である。熱重合における加熱温度
は、50℃〜200℃であり、加熱時間は1時間〜8時
間である。
【0020】紫外線硬化による場合の光増感剤について
も特に限定されず、公知のベンゾイン化合物、ベンゾイ
ンメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、2−ヒ
ドロキシ−2−ベンゾインプロパン、アゾビスイソビチ
ロニトリル、ベンジルジメチルケタール、ジフェニルジ
スルフィド等が使用でき、その使用量は単量体の総量に
対し、0.01重量%〜5重量%である。γ線などの放
射線を使用する場合は、一般的には重合開始剤などは必
ずしも必要ではない。
【0021】重合前のモノマー液には、本発明の透明樹
脂基板が、経時的に着色したり、劣化することを防止す
るために、また、帯電を防止するために、予め酸化防止
剤、または帯電防止剤などを加えることができる。更に
必要に応じて、他の反応性モノマーを適宜加えてもよ
い。このようにして調整したモノマー液は、必要に応じ
て、脱泡処理を施して重合に備える。
【0022】本発明の透明樹脂基板の製造に際して使用
する注型重合用鋳型とは、ガラス、金属、FRP等から
選ばれた板材2枚と、軟質塩化ビニル、エラストマー、
シリコーンゴムまたはテフロン(登録商標)等のシート
状またはチューブ状のガスケット、及びそれらを固定す
るための固定具からなるものである。表面精度に優れた
樹脂板を得るためには、ガラス板やFRP板では表面研
磨されたものが、また、金属板ではメッキ処理が施され
たものが好適である。尚、熱重合の場合には熱による変
質や寸法安定性に欠けるものであってはならないから、
この点にも留意して板材を選択する。固定具は、どのよ
うな形態のものでも良いが、文具用バインダークリップ
などが簡便に利用できる。
【0023】本発明の透明樹脂基板の製造においては、
必ずしも離型剤を必要とはしない。しかし、比較的薄
く、かつ、大型の透明樹脂基板の製造の場合には、より
スムーズに、より良好に離型させるために、離型剤を用
いることができる。この際、離型剤としては、外部離型
剤、内部離型剤のいずれのものも使用できるが、成型工
程の合理化の観点からは、内部離型剤であることが好ま
しい。内部離型剤は、シリコン系、ワックス系、脂肪酸
金属石鹸系、フッ素系、酸性リン酸エステル系等の通常
用いられる内部離型剤から選択することができる。その
使用量は、離型剤の種類や樹脂のモノマーの種類によ
り、一概には決められないが、通常は、単量体の総量に
対し、0.02重量%〜0.3重量%である。0.02
重量%以下では、離型剤の効果は望めず、また0.3重
量%以上を用いても離型性に変わりはない。過剰の使用
は、モノマーのポットライフの低下、樹脂物性の変化等
をもたらす傾向があり、好ましくはない。より好ましい
内部離型剤は、離型性能が特に良く、安価で取扱い易い
酸性リン酸エステル系である。内部離型剤を用いる場合
には、ラジカル開始剤や、その他の添加剤を加える時に
同時に添加する。基板の厚みは0.1mm〜2mm、よ
り好ましくは0.2mm〜1mmである。基板が0.1
mm未満である場合、また、2mmより厚い場合には、
軽量性、成形性といったプラスチックの特性が活かされ
難いため、本発明の透明電極用基板においては、さほど
重要ではない。
【0024】次に、本発明のプライマー層について説明
する。本発明で用いる200℃よりも高いガラス転移温
度を有する樹脂の場合には、この上に、直接スパッタリ
ングによるSiOX 等のガスバリヤー膜、ITO膜を形
成することができ、その場合、200℃未満の温度で使
用することが可能である。しかし、200℃以上で使用
すると、無機膜上にシワやクラックが発生する場合が多
い。本発明のプライマー層は、200℃以上の条件で透
明電極用基板を用いる場合に、上記ガスバリヤー層と基
板との熱膨張率の差によって生じるクラックを防止する
ためのものである。
【0025】本発明のプライマーとしては、200℃以
上の耐熱性があり、基材およびポリシラザンを焼成する
ことによって得られるセラミック材との密着性を有する
ものであれば、特に限定されない。このような例として
は、アクリル系樹脂、エポキシ系樹脂、ポリエステル系
樹脂、ポリアミド系樹脂、ウレタン系樹脂、フェノール
系樹脂、フッ素系樹脂、シリコーン系樹脂、エチレン−
ビニルアルコール系重合体、アクリロニトリル−ブタジ
エン系樹脂(例えば、ABS系樹脂)および塩化ビニル
−酢酸ビニル系樹脂系重合体から選択される少なくとも
1種の樹脂が挙げられるが、この中でも、シリコーン樹
脂が好ましく、樹脂とポリシラザンを焼成して得られる
セラミック膜との中間的な熱膨張率を有するシリコーン
系ハードコートが特に好ましい。
【0026】シリコーン系ハードコートは、通常、プラ
スチックに耐擦傷性を付与する目的で用いられるもので
あり、透明性を有するものならば何でもよく、一般に、
下記一般式(7)で示される有機ケイ素化合物、および
その加水分解物、 Rn Si(OR’)4-n (7) (式中、R、R’は炭素数1〜10の有機基を、nは1
〜4の整数を表す) コロイド状に分散した金属酸化物微粒子、硬化触媒、お
よび有機溶剤よりなる液を塗布、硬化することにより得
られるものである。
【0027】一般式(7)で得られる有機ケイ素化合物
としては、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラ
ン、γ−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、γ
−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、γ−メ
タクリロキシプロピルトリエトキシシラン、γ−アミノ
プロピルトリエトキシシラン、γ−クロロプロピルトリ
メトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリメトキシ
シラン、γ−メルカプトプロピルトリエトキシシラン、
(3、4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリエトキ
シシラン、フェニルトリメトキシシラン、フェニルメチ
ルジメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、トリ
メチルメトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、メ
チルトリメトキシシラン等が挙げられる。これらは単独
で、または二種以上併用することも可能である。
【0028】これらの有機ケイ素化合物は、そのまま用
いてもよいが、加水分解物として使用することが好まし
い。加水分解物とは、該ケイ素化合物中のアルコキシ基
またはアシロキシ基の一部または全部が水酸基に置換さ
れたものであり、さらに置換された水酸基同士が一部自
然に縮合したものも含まれる。これらの加水分解物は、
例えば、水とアルコールのような混合溶媒中、酸の存在
下で加水分解することによって得られる。コロイド状に
分散した金属酸化物微粒子とは、シリカゾル、アンチモ
ンゾルに代表されるもので、粒径1ミリミクロン〜10
0ミリミクロンの超微粒子を、水またはアルコール系分
散媒に分散せしめたゾルであり、通常市販されているも
のが使用可能である。
【0029】硬化触媒は、上述した成分の混合物を硬化
させるのに必要な触媒である。ハードコート液の安定
性、硬化性などの点から、例えば、ルイス酸触媒、有機
アルミニウム化合物、有機チタニウム化合物等が好適に
用いられる。具体的には、塩化アルミニウム、過塩素酸
アルミニウム、リン酸アルミニウム、アルミニウムイソ
プロポキシド、アルミニウムアセチルアセトネート、テ
トラブチルチタネート、テトライソプロピルチタネート
等が例示されるが、特にアルミニウムアセチルアセトネ
ートが有用である。また、有機溶剤としては、アルコー
ル類、ケトン類、エステル類、エーテル類、セロソルブ
類、ハロゲン化物、カルボン酸類、芳香族化合物等を挙
げることができる。また、これらのシリコーン系樹脂を
主成分とする被膜形成成分には、その透明性を損なわな
い範囲であれば、アクリル系樹脂、ポリウレタン系樹
脂、エポキシ系樹脂、メラミン系樹脂、ポリオレフィン
系樹脂、ポリビニルアルコール系樹脂、尿素樹脂、ポリ
カーボネート系じ樹脂などを添加することも可能であ
る。
【0030】シリコーン系ハードコートは、通常の塗布
方法、すなわち、ディップコート、スピンコート、スプ
レーコート、ロールコート、バーコート、フローコー
ト、刷毛塗り等を用いて塗布する。このような方法でコ
ーティングした後、通常50℃〜250℃、好ましくは
100℃〜200℃の範囲で焼成される。尚、塗布前に
基板にアルカリ処理、プラズマ処理、ヤスリがけ等の表
面処理をしておくと、基板との密着性が更に向上する。
プライマー層の厚みは2ミクロン〜10ミクロン、より
好ましくは2ミクロン〜5ミクロンである。これよりも
薄いと、200℃以上における基板とガスバリヤー層と
の熱膨張率の差を緩和することができず、ガスバリヤー
層にクラックが発生し易く、また、厚すぎると、均一な
表面を得ることが難しい。
【0031】次に、本発明のガスバリヤー層について説
明する。本発明に好適に用いられるガスバリヤー層は、
透明樹脂基板にポリシラザンをコーティングした後、焼
成することにより得られるセラミック膜である。本発明
で使用できるポリシラザンとしては特に限定はなく、ペ
ルヒドロポリシラザン、オルガノヒドロポリシラザン、
オルガノポリシラザン等各種のポリシラザン並びにこれ
らに金属元素を添加したポリメタロシラザンが使用でき
るが、特にペルヒドロポリシラザンが好ましく適用され
る。ポリシラザンのコーティングは、通常の塗布方法、
すなわち、ディップコート、スピンコート、スプレーコ
ート、ロールコート、バーコート、フローコート、刷毛
塗り等を用いて塗布する。ポリシラザンは、それ自体、
分子量に応じて適当な粘度を有する液体であるので、そ
のまま塗布できるが、必要に応じて、各種溶剤に溶解し
て塗布液とする。
【0032】このような方法でコーティングした後、通
常100℃〜1000℃の温度範囲で焼成されるが、樹
脂の耐熱温度以上での焼成はできないため、好ましくは
100℃〜300℃、更に好ましくは、150℃〜25
0℃の範囲で焼成される。これよりも低い温度下では表
面硬度、ガスバリヤー性等の満足するものは得られな
い。焼成雰囲気は、空気中あるいは不活性ガス等のいず
れであってもよいが、空気中がより好ましい。不活性ガ
ス下で焼成した場合、架橋、縮合してSi−N結合主体
の被膜が得られるが、空気中での焼成により、ポリシラ
ザンの酸化、あるいは空気中の水分による加水分解が進
行し、上記のような低い温度下でもSi−O結合を主体
とする強靭な被膜が得られる。このようにして得られる
SiOX 膜は、スパッタリング等の方法により形成した
SiOX 膜と違い、厚みを持たせることが可能であり、
傷によって起こるバリヤー性の低下を防ぐことができ
る。このようにして得られるプライマー層、ガスバリヤ
ー層は、基板の一方だけに施してもよいが、基板の反り
をなくすため、両面に施してもよい。ガスバリヤー層の
厚みは、1000オングストローム〜8000オングス
トローム、より好ましくは2000オングストローム〜
5000オングストロームである。これよりも薄いと、
傷によってバリヤー性が低下し、耐薬品性やガスバリヤ
ー性等が不十分となり、これよりも厚いとクラックが発
生しやすくなる。
【0033】次に、これらの膜厚の関係について説明す
る。本発明では、基板の厚みが0.1mm〜2mmであ
る時、プライマー層の厚みが2ミクロン〜10ミクロン
で、かつ、ガスバリヤー層の厚みが、プライマー層の厚
みの1/20〜1/8の範囲であることが好ましい。ガ
スバリヤー層の厚みとしては、前記の範囲が好ましい
が、プライマーの厚みに対し、1/20〜1/8の範囲
であることが必要である。ガスバリヤー層の厚みが、プ
ライマーの厚みの1/20未満では、ガスバリヤー性が
十分ではなく、また傷もつきやすい。一方、1/8より
も大きいと、基板とガスバリヤー層の熱膨張率の差を緩
和することができなくなり、ガスバリヤー層上にクラッ
クが発生しやすい。以上のような膜厚で積層された透明
電極用基板は、200℃以上の温度においてもクラック
等が入らず、使用が可能である。
【0034】本発明の透明電極用基板において、透明導
電層は、上記したガスバリヤー層の上(片面)に設けら
れる。本発明で用いられる透明導電層の材料としては、
慣用の透明導電層の材料、例えば、金属酸化物を用いる
ことができる。具体的には、SnO2 、CdO、Zn
O、CTO系(CdSnO3 、Cd2 SnO4 、CdS
nO4 )、In2 3 、CdIn2 4 等が挙げられ
る。好ましくは、上記の金属酸化物に、Sn、Sb、F
及びAlから選ばれる1種または2種以上を添加した複
合(ドープ)相である。その中でも好ましいのは、Sn
を添加したIn2 3 (ITO)、Sbを添加したSn
2 、Fを添加したSnO2 等である。透明導電層は、
公知の成膜法、例えば、蒸着法、スパッタ法、イオンプ
レーティング法、CVD法、スプレー法等により設ける
ことができる。透明導電層は、これらの層を単層または
多層で使用することができる。層厚は、材質によって異
なるが、例えば、ITO層では200オングストローム
〜3500オングストロームが好ましい。
【0035】
【実施例】以下、本発明について更に具体的に実施例を
示して詳しく述べるが、本発明はこれらによって特に限
定されるものではない。なお、得られたプライマー層、
ガスバリヤー層を有する透明樹脂基板について、この塗
膜の外観、碁盤目剥離試験、耐アルカリ性を以下の検査
方法に従って検査した。 イ)外観:肉眼観察で、クラック、面荒れその他の塗膜
の欠点のないものを(○)、その他のものを(×)とし
た。 ロ)碁盤目剥離試験:塗膜上に、鋼ナイフで素材に達す
る切れ目を入れ、1mm四方の碁盤目を100個つく
る。その上に、セロハンテープ(積水化学工業)をはり
つけた後、そのセロハンテープを上方90゜の方向に強
くひきはがした時に残っているます目の数で評価した。 ハ)耐無機アルカリ性:5%NaOH水溶液に、室温下
30分浸漬した時の外観をルーペにて観察し、面荒れそ
の他の塗膜の欠点の無いものを(○)、そのたのものを
(×)とした。 ニ)耐有機アルカリ性:モノエタノールアミン35%ジ
エチレングリコールモノブチルエーテル溶液に、70℃
下30分浸漬した時の外観をルーペにて観察し、面荒れ
その他の塗膜の欠点の無いものを(○)、その他のもの
を(×)とした。 ホ)耐熱性:基板を150℃および200℃の熱風乾燥
炉に1時間放置し、室温下に出した時の外観をルーペに
て観察し、クラックの無いものを(○)、その他のもの
を(×)とした。
【0036】〔透明樹脂基板(三次元架橋構造の樹脂
板)の製造〕 ・樹脂板1:3−イソプロペニル−α,α−ジメチルベ
ンジルイソシアネート46.7重量部とトリス(アクリ
ロイルオキシエチル)イソシアヌレート32.7重量部
を混合した後、ジブチルスズジラウレート0.03重量
部を添加し、内温を60℃に保ち、これに2−ヒドロキ
シエチルアクリレート27.0重量部を徐々に加えてか
ら、同温度で2時間反応を行った後、ネオペンチルグリ
コールジジメタクリレート13.9重量部を混合した。
得られたモノマーに、t−ブチルパーオキシ−2−エチ
ルヘキサノエート1.16重量部を添加し、混合しなが
ら脱泡を行った。次いで、脱法したモノマー液を、20
0mm×300mm寸法のガラス板2枚を空間距離が
0.4mmになるようにシリコンゴムのシート状ガスケ
ットで調製した鋳型の空間部に注入し、その後、熱風炉
に入れてから60℃から180℃までの昇温加熱で3時
間重合を行って、厚さ0.4mmの透明樹脂板1を得
た。得られた樹脂のガラス転移温度は260℃であり、
曲げ弾性率は440kgf/mm2 、全光線透過率は9
1.2%であった。また、複屈折率は1nm未満であっ
た。
【0037】・樹脂板2:3−イソプロペニル−α,α
−ジメチルベンジルイソシアネート45.6重量部とエ
チレングリコール4.7重量部に、反応触媒としてジブ
チルスズジラウレート0.02重量部を添加し、内温を
40℃に保ちながら、1時間反応を行い、次いで、この
反応液に、2−ヒドロキシエチルメタクリレート9.8
重量部を加え、内温を50℃に保ちながら2時間反応を
行った。その後、この反応液にペンタエリスリトールテ
トラアクリレート39.9重量部を加えてよくかき混
ぜ、さらに、t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサ
ノエート0.100重量部を添加してよくかき混ぜた
後、脱泡を行った。得られたモノマー液を、樹脂板1の
場合と同様に重合し、厚さ0.4mmの透明樹脂板2を
得た。得られた樹脂のガラス転移温度は210℃であ
り、曲げ弾性率は463kgf/mm2 、全光線透過率
は90.1%であった。また、複屈折率は1nm未満で
あった。
【0038】・樹脂板3:3−イソプロペニル−α,α
−ジメチルベンジルイソシアネート30.2重量部に、
トリス(アクリロイルオキシエチル)イソシアヌレート
42.3重量部を混合し、内温を50℃に保ちながら3
0分撹拌する。次に、ジブチルスズジラウレート0.0
2重量部と2−ヒドロキシエチルメタクリレート19.
5重量部を加え、内温を50℃に保ちながら5時間反応
を行った。その後、反応液にジイソプロペニルベンゼン
6.0重量部を加えて撹拌し、更にベンゾイルパーオキ
サイド1重量部、酸性リン酸エステル系内部離型剤(商
品名:Zelec UN、デュ・ポン社製)0.2重量
部を混合した後、脱泡し、樹脂板1の場合と同様に重合
を行い、厚さ0.4mmの透明樹脂板3を得た。得られ
た樹脂のガラス転移温度は265℃であり、曲げ弾性率
は444kgf/mm2 、全光線透過率は91.1%で
あった。また、複屈折率は1nm未満であった。
【0039】〔シリコーン系ハードコート液(プライマ
ー層)の調製〕 ・γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン10
6.2重量部を10℃に保ち、撹拌しながら、0.01
%塩酸水溶液24.3重量部を徐々に滴下した。滴下終
了後、冷却を中止してシラン加水分解物を得た。この溶
液に、メタノール分散コロイド状シリカ(日産化学
(株)製品”メタノールシリカゾル”固形分30%、平
均粒子径13±1mμ)125.4重量部を撹拌しながら
加えたのち、メタノール43.5重量部、ジエチレング
リコールジメチルエーテル12.5重量部、シリコーン
系界面活性剤0.4重量部を加え、更にアルミニウムア
セチルアセトネート3.8重量部を加え、十分撹拌混合
してハードコート用組成物を調整した。
【0040】実施例1 厚さ0.4mmの前記樹脂板1を、100mm角になる
ように切断し、前記シリコーン系ハードコート液をスピ
ンコーターを用いて塗布(1000rpm、20秒)
し、室温にて30分風乾させた後、120℃で60分加
熱処理を行い、厚さ3ミクロンのプライマー層を得た。
得られた基板に、ペルヒドロポリシラザン(20%キシ
レン溶液:東燃社製)を、スピンコーターを用いて塗布
(2000rpm、20秒)し、大気雰囲気下、150
℃で1時間加熱した後、1%HCl水溶液に3時間浸漬
し、厚さ3000オングストロームのSiOX 塗膜(ガ
スバリヤー層)を有する透明樹脂基板を得た。この塗膜
の外観、碁盤目剥離試験、耐アルカリ性および耐熱性
を、前述の検査方法に従って測定し、その結果を(表
1)に示した。また、得られた基板の酸素透過係数(モ
コン法)を(表2)に示した。
【0041】実施例2 厚さ0.4mmの前記樹脂板2を、100mm角になる
ように切断し、80℃に熱した10%NaOH水溶液に
30分浸漬した。得られた樹脂板を洗浄し、エポキシ系
オーバーコート剤(AC5100、日産化学工業社製)
を、スピンコーターを用いて塗布(1000rpm、2
0秒)し、150℃で30分加熱処理を行い、厚さ4ミ
クロンのプライマー層を得た。得られた基板に、ペルヒ
ドロポリシラザン(20%キシレン溶液:東燃社製)
を、スピンコーターを用いて塗布(2000rpm、2
0秒)し、大気雰囲気下180℃で1時間加熱した後、
1%HCl水溶液に浸漬し、厚さ2000オングストロ
ームのSiOX 塗膜を得た。この基板について、実施例
1と同様の検査を行った結果を(表1)および(表2)
に示した。
【0042】実施例3 厚さ0.4mmの前記樹脂板3を、100mm角になる
ように切断し、熱硬化型アクリル系プライマー(フォト
レックRW−301、積水ファインケミカル社製)をス
ピンコーターを用いて塗布(1000rpm、20秒)
し、120℃で60分加熱処理を行い、厚さ3ミクロン
のプライマー層を得た。得られた基板に、ペルヒドロポ
リシラザンを用いて実施例2と同様に硬化塗膜を有する
透明樹脂基板を得た。この基板について、実施例1と同
様の検査を行った結果を(表1)および(表2)に示し
た。
【0043】比較例1 前記樹脂板1に、下記処理条件でガスバリヤー膜を形成
し、実施例1と同様の検査を行った。その結果を表1に
示した。 *ガスバリヤー膜 :SiOX 500オングストローム ターゲット材料 :Si 導入ガス :Ar及びO2 (酸素分圧10%) スパッタ真空度 :2.0×10-3Torr 投入電力 :0.4Kw 基板温度 :130℃ スパッタリングレイト:10オングストローム/分
【0044】比較例2 厚さ0.2mmのPETフィルムに、エポキシ系オーバ
ーコート剤(AC5100、日産化学工業社製)を塗布
(1000rpm、20秒)し、110℃で30分加熱
処理を行い、厚さ4ミクロンのプライマー層を得た。得
られた基板に、下記処理条件でガスバリヤー膜を成膜
し、実施例1と同様の検査を行った。その結果を(表
1)に示した。 *SiOx膜 :SiOX 500オングストローム ターゲット材料 :Si 導入ガス :Ar及びO2 (酸素分圧10%) スパッタ真空度 :2.0×10-3Torr 投入電力 :0.4Kw 基板温度 :130℃ スパッタリングレイト:50オングストローム/分
【0045】比較例3 前記樹脂板3に、ペルヒドロポリシラザン(20%キシ
レン溶液:東燃社製)を、スピンコーターを用いて塗布
(2000rpm、20秒)し、大気雰囲気下、150
℃で1時間加熱した後、1%HCl水溶液に3時間浸漬
し、厚さ3000オングストロームのSiOX 塗膜(ガ
スバリヤー層)を有する透明樹脂基板を得た。この塗膜
の外観、碁盤目剥離試験、耐アルカリ性および耐熱性
を、前述の検査方法に従って測定し、その結果を(表
1)に示した。また、得られた基板の酸素透過係数(モ
コン法)を(表2)に示した。
【0046】比較例4 厚さ0.4mmの前記樹脂板1を、前記シリコーン系ハ
ードコート液をスピンコーターを用いて塗布(2000
rpm、20秒)し、室温にて30分風乾させた後、1
20℃で60分加熱処理を行い、厚さ1.5ミクロンの
プライマー層を得た。得られた基板に、ペルヒドロポリ
シラザン(20%キシレン溶液:東燃社製)を、スピン
コーターを用いて塗布(2000rpm、20秒)し、
大気雰囲気下、150℃で1時間加熱した後、1%HC
l水溶液に3時間浸漬し、厚さ3000オングストロー
ムのSiOX 塗膜(ガスバリヤー層)を有する透明樹脂
基板を得た。この塗膜の外観、碁盤目剥離試験、耐アル
カリ性および耐熱性を、前述の検査方法に従って測定
し、その結果を(表1)に示した。また、得られた基板
の酸素透過係数(モコン法)を(表2)に示した。
【0047】
【表1】
【0048】
【表2】
【0049】実施例4 実施例1で得られた厚さ0.4mmの透明樹脂基板に、
反応性マグネトロンスパッタリング装置を用い、下記処
理条件でITO膜を成膜した。 *ITO膜 :1500オングストローム ターゲット材料 :ITO 導入ガス :Ar及びO2 (酸素分圧2%) スパッタ真空度 :2.0×10-3Torr 投入電力 :0.4Kw 基板温度 :120℃ スパッタリングレイト:80オングストローム/分 ITO膜の成膜処理工程において、基板の変形や、膜上
のクラック、はがれなどの異常のない透明電極用基板を
得ることができた。
【0050】実施例5 実施例2で得られた厚さ0.4mmの透明樹脂基板に、
反応性マグネトロンスパッタリング装置を用い、下記処
理条件でITO膜を成膜した。 *ITO膜 :1500オングストローム ターゲット材料 :ITO 導入ガス :Ar及びO2 (酸素分圧2%) スパッタ真空度 :2.0×10-3Torr 投入電力 :0.4Kw 基板温度 :200℃ スパッタリングレイト:40オングストローム/分 ITO膜の成膜処理工程において、基板の変形や、膜上
のクラック、はがれなどの異常のない透明電極用基板を
得ることができた。
【0051】
【発明の効果】本発明の透明電極用基板は、耐熱性、表
面硬度等に優れた三次元架橋構造を有する樹脂を基板と
し、密着性、耐薬品性、ガスバリヤー性に優れたセラミ
ック膜を設けることにより、容易に製造でき、かつ優れ
た性能を持つものであり、各種の透明電極として用いる
ことができる。
フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 FI // C07C 69/54 C07C 69/54 C08F 12/14 C08F 12/14 20/10 20/10

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 基板上の少なくとも一方の面に、プライ
    マー層、ガスバリヤー層が順次形成され、更にそのガス
    バリヤー層の上に透明導電層を有する透明電極用基板に
    おいて、基板が透明な三次元架橋構造の樹脂からなり、
    耐熱性が200℃以上であることを特徴とする透明電極
    用基板。
  2. 【請求項2】 ガスバリヤー層が、ポリシラザンを焼成
    することにより得られるセラミック膜よりなることを特
    徴とする、請求項1記載の透明電極用基板。
  3. 【請求項3】 ガスバリヤー層が、ポリシラザンを焼成
    することにより得られるSiOx膜よりなることを特徴
    とする請求項1または2のいずれかに記載の透明電極用
    基板。
  4. 【請求項4】 基板の厚みが0.1mm〜2mmである
    時、プライマー層の厚みが2ミクロン〜10ミクロン
    で、かつ、ガスバリヤー層の厚みがプライマー層の厚み
    の1/20〜1/8の範囲であることを特徴とする、請
    求項1〜3のいずれかに記載の透明電極用基板。
  5. 【請求項5】 三次元架橋構造の樹脂が、1分子中に、
    下記一般式(1)(化1)で表される官能基と、下記一
    般式(2)または(3)(化1)で表される官能基とを
    兼備する単量体(A)を重合してなる樹脂(樹脂−
    a)、 【化1】 (上式中、R1 は水素原子またはメチル基を表し、Xは
    酸素原子または硫黄原子を表す) または、単量体(A)と、下記式(4)、(5)および
    (6)(化2)で表される官能基群から選ばれる少なく
    とも1種の官能基をm個(mは1〜6の整数を表す)有
    する単量体(B)とを共重合してなる樹脂(樹脂−b)
    である請求項1〜4のいずれかに記載の透明電極用基
    板。 【化2】
  6. 【請求項6】 プライマー層が、シリコーン系ハードコ
    ート剤であることを特徴とする請求項1〜5のいずれか
    に記載の透明電極用基板。
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Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2005085541A (ja) * 2003-09-05 2005-03-31 Jsr Corp 透明導電性積層体の製造方法およびタッチパネル
US7695805B2 (en) 2004-11-30 2010-04-13 Tdk Corporation Transparent conductor
KR20140117330A (ko) * 2014-09-05 2014-10-07 (주)엘지하우시스 표면처리 피막을 적용한 기재 및 이의 제조방법

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