JPH1025507A - ステンレス鋼の溶製方法 - Google Patents

ステンレス鋼の溶製方法

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JPH1025507A
JPH1025507A JP17903696A JP17903696A JPH1025507A JP H1025507 A JPH1025507 A JP H1025507A JP 17903696 A JP17903696 A JP 17903696A JP 17903696 A JP17903696 A JP 17903696A JP H1025507 A JPH1025507 A JP H1025507A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 溶融還元工程におけるクロムの還元率を効果
的に向上させることによって、クロムの効率良い回収と
共に、脱硫反応の向上および耐火物寿命の延長を図る。 【解決手段】 溶融還元工程において、溶鋼温度が1500
℃以上となった酸化クロム含有スラグおよびクロム鉱石
の還元時期に、還元材として使用する炭材の少なくとも
一部として、ハードグローブ指数が45以下でかつ炭材中
の揮発成分量(VM)が10%以下の無煙炭を用いる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、溶融還元工程と
脱炭精錬工程を経て行うステンレス鋼の溶製方法に関
し、特に安価なクロム鉱石を直接用いて、ステンレス鋼
を効率的に溶製しようとするものである。
【0002】
【従来技術】従来、ステンレス鋼を溶製する方法として
は、スクラップを主たる原料として電気炉にて溶解後、
AOD炉あるいはVOD炉にて、クロム酸化ロスを最小
限として脱炭精錬する方法が一般的であった。しかしな
がら、近年、転炉等の溶融還元炉において、高価な合金
鉄を用いる代わりに、安価なクロム鉱石を直接用いて含
クロム溶湯を得る、いわゆる溶融還元技術が開発され
た。
【0003】ステンレス鋼の溶製に際しては、脱炭反応
と同時に進行するクロムの酸化反応に起因したスラグ中
への高価なクロムの移行が共通の懸案事項であり、かよ
うなクロムの酸化ロスをどこまで抑制できるかが、経済
的観点から望まれる課題である。生成した酸化クロムか
らクロムを回収するには、通常、FeSiが利用されてい
る。しかし、FeSiの使用は、FeSi自体が高価であること
に加え、還元時に大量のArガスを必要とすること、ま
た、脱硫反応と耐火物保護の観点からスラグの塩基度(C
aO/SiO2) を維持するために、FeSiにより形成されるSiO
2に見合った多量の石灰を必要とすること、さらに還元
のための温度補償を必要とすること、など種々の問題が
あった。
【0004】上記の問題を解決するものとして、高価な
FeSiを用いることなくクロムを回収する方法が、特公平
4-38806号公報において提案された。この方法は、溶融
還元炉で脱硫還元した含クロム溶鋼を一旦取鍋に排出
し、ついで別の精錬炉に装入して脱炭精錬を行った後、
従来の還元処理は行わず、脱炭精錬で発生した酸化クロ
ムを含有するスラグは回収して溶融還元炉に供給し、こ
こでスラグ中に含まれる酸化クロムを還元回収しようと
するものである。
【0005】上記の方法によれば、従来の高価なFeSiに
替えて、安価な炭材で酸化クロムの還元が可能となる。
しかしながら、上記のプロセスを用いた場合には、以下
に述べるような問題があった。
【0006】(1) 酸化クロムを含有するスラグは難還元
性であるため、通常の溶融還元精錬では還元率が低い。 (2) 還元率が低いと溶銑中へのクロム回収が不十分であ
ることに加えて、溶融還元炉から排出されるスラグ中に
脱炭炉から持ち込まれた酸化クロムが残留し、スラグが
雨水などに接触した際に水中にクロムが溶出するおそれ
があり、スラグを路盤材原料として再利用するいわゆる
スラグリサイクル上問題となる。 (3) 脱炭炉スラグをリサイクルすると、溶融還元炉の耐
火物溶損が大きい。 (4) 脱炭炉において、還元処理と同時に進行する脱硫反
応が期待できないので、溶融還元炉で鋼板の要求レベル
までの事前脱硫処理が必要となるが、スラグの還元率が
低いと脱硫率も低下する。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】すなわち、酸化クロム
を含有するスラグは難還元性であることから、当初考え
ていたように、単に脱炭炉で生成したスラグを溶融還元
炉に供給しただけでは、満足いくほどのクロムの回収は
望み難かった。また、未還元スラグに起因してクロムが
溶出するおそれがあり、スラグをリサイクルする上で大
きな問題となる。さらに還元反応の反応率が低いと溶融
還元炉での脱硫反応が低下し、事実上このプロセスを選
択することが困難となる。またさらに、このように脱炭
スラグの還元率が低いと、溶融還元炉の耐火物寿命が短
くなるところにも、問題を残していた。
【0008】この発明は、上記の問題を有利に解決する
もので、溶融還元工程におけるクロムの還元率を効果的
に向上させることによって、クロムの効率良い回収と共
に、脱硫反応の向上および耐火物寿命の延長を実現した
ステンレス鋼の溶製方法を提案することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】さて、発明者らは、上記
の目的を達成すべく数多くの研究を重ねた結果、種々の
観点から、溶融還元工程において還元剤として用いる炭
材が極めて重要であり、少なくともその工程における還
元期に、炭材として、所定性状の無煙炭を用いること
が、所期した目的の達成に関し極めて有効であることの
知見を得た。この発明は、上記の知見に基づいて開発さ
れたものである。
【0010】すなわち、この発明は、溶銑に炭材および
クロム鉱石を添加すると共に、酸素ガスを供給してクロ
ム鉱石の溶融還元精錬を行う溶融還元工程および溶融還
元精錬後の含クロム粗溶鋼に酸素ガスを供給して脱炭精
錬を行う脱炭精錬工程を経てステンレス鋼を溶製するに
当たり、脱炭精錬工程によって所定のC濃度まで脱炭し
た溶鋼は直ちに出鋼する一方、脱炭精錬工程中に生成し
たスラグは他のチャージの溶融還元工程に供給して、該
スラグ中に含まれる酸化クロムを還元回収するものと
し、その際、溶融還元工程において、溶鋼温度が1500℃
以上となった酸化クロム含有スラグおよびクロム鉱石の
還元時期に、還元材として使用する炭材の少なくとも一
部として、ハードグローブ指数が45以下でかつ炭材中の
揮発成分量(VM)が10%以下の無煙炭を用いることを
特徴とするステンレス鋼の溶製方法である。
【0011】この発明において、脱炭精錬工程における
スラグ塩基度は 3.5以下とすることが望ましく、また無
煙炭としては粒径が5mm以上を主体とする粒度構成とす
ることが望ましい。
【0012】
【発明の実施の形態】さて、発明者らは、小型試験炉を
用いて、酸化クロムを多量に含有する脱炭炉スラグを投
入した際のスラグの還元状況および耐火物の溶損機構・
速度を調査した。その結果、溶融還元工程でスラグ中に
おける還元反応を向上させることが、酸化クロムを含有
するスラグの還元率を向上させ、かつ脱硫反応を促進さ
せる上で有効であると考え、種々の還元用炭材について
実験を行った。
【0013】一般に、クロム鉱石の溶融還元に用いられ
る炭材としては、コークスが多用されており、例えば特
開昭58−9959号公報および特開昭55-91913号公報にその
例が示されている。また、鉄鉱石の溶融還元操業では、
コークスよりも安価ないわゆる一般石炭(揮発分VM:
25〜40%程度)を用い、塊炭は炉上から、粉炭は炉肩に
設けたノズルから直接吹き付ける方法が、特開平3−17
7513号公報に開示されている。
【0014】発明者らは、上記した炭材も含め種々の炭
材を用いて溶融還元実験を行ったところ、JIS M 8801で
定めるハードグローブ指数(HGI)が45以下で、かつ
炭材中の揮発成分量(VM)が10%以下を満足する無煙
炭が、クロム鉱石の還元率、脱硫率および耐火物寿命を
改善する上で、極めて有効であることが究明されたので
ある。ここに、HGIとは、JIS M 8801に定められてい
るもので、所定の試料(粒径が約1mmの粉体:約50g)
を、ハードグローブ試験機で粉砕した後、所定のふるい
(74μm )でふるい分け、ふるい下の質量(W)を、次
式に代入して求めたもので、粉砕性の指標となるもので
ある。 HGI= 13 + 6.93 W
【0015】かような無煙炭が飛躍的な改善効果を持つ
原因については、投入された炭材が炉内添加後に熱崩壊
により細粒化すると共に、効果的に炉内に残留する結
果、還元反応に最も重要である反応界面積が増大し、溶
融還元工程における還元率が向上するためと考えられ
る。この点、HGIが45超では、熱崩壊による細粒化が
十分でなく、またVMが10%超では、排ガス発生量が増
え、それに伴い炭材の系外への飛散量も増大するので、
いずれの場合も満足いくほど反応界面積の増大が期待で
きない。
【0016】図1に、上記の条件を満足する無煙炭(H
GI:32、VM:5.9 %)およびコークスをそれぞれ用
いた場合の溶融還元工程の操業温度と処理後のS濃度と
の関係について調べた結果を示す。同図より明らかなよ
うに、上記の条件を満足する無煙炭を用いた場合には、
スラグ中における還元が促進され、その結果、脱硫がス
ムーズに進行していることが判る。
【0017】また、脱炭精錬工程スラグを装入した溶融
還元工程におけるスラグ中の酸化クロムの挙動について
調査したところ、脱炭精錬工程から排出されるスラグ中
の酸化クロムのうち、CaCrO4の形態で存在するものは、
溶融還元工程で十分に還元されず、そのまま溶融還元工
程スラグ中に残存することが判明した。しかも、溶融還
元工程から排出されるスラグ中にこのCaCrO4が存在して
いると、スラグが水と接触した際に、クロム溶出の原因
となる。そこで、脱炭精錬工程スラグの組成、性状等
と、スラグ中の酸化クロムの挙動について綿密な調査を
行ったところ、脱炭精錬工程におけるスラグの塩基度
が、このスラグを装入した溶融還元工程におけるスラグ
中の酸化クロムの還元状況に強い影響を与えていること
が判明した。すなわち、脱炭精錬工程スラグ中のCaCrO4
はスラグの塩基度に大きく影響され、図2に示すよう
に、塩基度が 3.5を超えると急激に増大する。
【0018】ところで、脱炭精錬工程におけるスラグの
塩基度は、合金鉄中などに含有されるSiO2に応じ、CaO
を添加して調整しているので、塩基度の増加はスラグボ
リュームの増大を招く。そして、スラグボリュームが大
きくなると脱炭中のクロムの酸化が大きくなる。この二
つの効果によって、スラグの難還元性がスラグの塩基度
に大きく影響される。従って、スラグの塩基度を 3.5以
下にコントロールすることにより、溶融還元工程のスラ
グ中のクロム溶出の問題を解消することができるのであ
る。なお、スラグの塩基度の下限については MgO−Cレ
ンガの耐用性から 2.0以上とすることが好ましい。
【0019】次に、脱炭精錬工程スラグを、次の溶融還
元工程へ装入するまでの間の履歴とCaCrO4との関係を調
べたところ、一時的な温度降下および空気との接触がな
ければスラグ中の酸化クロムはCaCrO4として存在しない
ことが確認された。従って、スラグ塩基度がいかようで
あろうとも脱炭精錬工程から排出されるスラグを直ちに
溶融還元工程に装入すれば良いわけであるが、実操業に
おいては、溶融還元工程と脱炭精錬工程が完全にマッチ
ングするわけではないことを考慮すると、スラグが溶融
還元工程に装入されるまでに一旦冷却される場合が有る
ので、このような場合には特に上記の条件が重要とな
る。
【0020】なお、スラグの還元が悪い条件で操業する
と、耐火物の溶損も大きくなった。耐火物の溶損は、ス
ラグ中の酸化物が耐火物中の炭素と反応し、MgO-Cレン
ガの溶損を助長するために生じると考えられるので、ス
ラグ中の酸化クロムが大きい条件では耐火物の溶損が大
きくなると考えられる。溶融還元炉のMgO-Cレンガとし
ては、レンガ中C量が通常用いられるC>5%のレンガ
を使用したが、耐スラグの酸化防止の観点からC>8%
の方が良好であり、Cを増加させると、耐スラグ酸化性
と、スポーリングの点で有利となる。実験では、Cの上
限は25%まで使用可能であったが、Cが高くなると耐摩
耗性の観点から重要とされる緻密性、耐酸化性ガス防止
の観点では不利となった。転炉の実験結果では、スラグ
ラインの溶損にはC含有率が13〜20%が良好であった。
ただし、既に述べたように、スポーリング、耐酸化性ガ
スなども部位によって重要であるので、部位によってC
濃度の異なるレンガを適宜使用することが望ましい。
【0021】以上述べたように、VMが10%以下の無煙
炭でHGIが45以下の炭材を用いれば脱炭炉からのスラ
グ中に含まれる酸化クロムの還元が良好となり、溶融還
元工程でのクロムの回収と脱硫反応が促進される。ま
た、脱炭精錬工程スラグ中に時として含まれる溶出性の
クロムが溶融還元工程において完全に還元され、溶融還
元工程スラグの再利用が可能になる。
【0022】かくして、脱炭精錬工程で酸化されたクロ
ムの回収と溶融還元工程スラグのリサイクルが問題なく
行えるようになる。ただし上記無煙炭を用いると通常の
塊コークスと比べるとダスト中へのC飛散率は増加し
た。ダスト中の飛散したCの粒径を調べたところ、2mm
以下が99%、85%は0.5mm 以下であっだ。従って2mm以
下の炭材をカットすれば良いと思われるが、さらに綿密
な調査を行ったところ、炉内へ添加する経路での破砕お
よび添加時の熱崩壊を考えると、5mm未満の炭材ではや
はり添加効率が悪いことが判った。そこで、5mm未満の
炭材は使用前にふるいによりカットし、5mm未満の炭材
比率を10%以下(7.5%) にして使用したところ、飛散ロ
ス無しに添加できることが判明した。ふるい分け前後の
粒度分布を図3(a), (b)に、また図4には、上記の結果
を整理して示す。
【0023】なお、この発明において、冶金反応容器に
ついては特に限定されることはなく、底吹き炉、横吹き
炉、上吹き炉のうちいずれを用いても問題ないが、特に
好ましい容器は上底吹き転炉である。
【0024】
【実施例】
実施例 実験は、165ton規模の溶融還元炉を用いて操業を行っ
た。130tonの予め脱珪・脱りん処理した熔銑(C:4.1
%, Si:tr, Mn:0.05%, P:0.010 〜0.014 %, S:
0.025 %)をトピード台車にて運送した後、スクラップ
を30トン前もって装入した後、溶融還元炉に装入した。
クロム鉱石を投入するランスと酸素を供給する上吹きラ
ンスは、図5に示すような配置とした。図中、番号1は
転炉、2は上吹きランス、3はクロム鉱石投入ランス、
4は炭材であり、5でスラグラインを示す。なお、この
スラグラインとなる部位5にはカーボン含有率:13〜20
%のMgO-Cレンガを用いた。
【0025】上吹きランス2の高さは静止溶鋼面から
4.2m、また投入ランス3の高さは静止溶鋼面から 5.1
mの位置とし、上吹き酸素量:400 〜800 Nm3/min 、底
吹き酸素量:80 Nm3/min、底吹き窒素量:40 Nm3/minの
条件で吹錬を行った。溶銑温度が1550℃から1600℃にな
るまで、炭材としてベトナム産の無煙炭(HGI:35,
VM:5.8 %)を1.60 kg/Nm3-O2の比率で供給した。な
お、炭材は、予め5mm未満の細粒を分級して取り除き、
5mm未満の炭材比率を10%以下にして使用した。従っ
て、原料供給設備に供給する時点では5mm以上が90%以
上であった。
【0026】溶銑温度が所定の温度に達した時点でクロ
ム鉱石の供給を行った。供給量は、クロム鉱石:1.35 k
g/Nm3-O2、炭材:1.25〜1.50 kg/Nm3-O2の比率とした。
吹錬期スラグを定期的に採取すると共に温度を測定し
て、温度を1570℃から1600℃の範囲で保持した。スラグ
中のクロム濃度は約2〜4%の範囲で変動した。所定の
時間(約70〜80分)が過ぎてから、ランスを上昇させて
クロム鉱石の供給を停止し、さらに酸素供給のみを行う
吹錬を約5〜7分行った。二次燃焼率は炉内で15〜20%
で操業を行った。吹錬終了直後にコレマナイトを炉内に
投入し、処理後のスラグの改質を図った。得られた成分
は、C:5.1 %, Si:tr, Mn:0.3 %, Cr:11.5〜12.0
%, P:0.035 〜0.040 %, S:0.003 〜0.006 %であ
った。
【0027】ついで、得られた溶銑を溶銑鍋に出湯し、
スラグを除滓した後、脱炭炉に装入し、10〜20 tonスク
ラップを用いながら操業をした。なおスラグの塩基は
3.0とし、予め投入する合金鉄中から入るSiO2を計算し
て CaOの大半を吹錬前半に投入した。その結果、スラグ
ボリュームは30〜50 kg/t であった。酸素供給速度は、
上吹きは 380 Nm3/minから徐々に炭素濃度の低下に従
い、150 Nm3/min まで低下させた。底吹きは 160 Nm3/m
inから40 Nm3/minまで低下させる一方、希釈ガスとして
2 ガスを用いて徐々に増加させた。なお、一部の極低
窒素鋼のみArガスを希釈ガスとして用いた。
【0028】炭素濃度が0.09%となった時点で、上吹き
および底吹きからの酸素の供給を停止し、出鋼した。得
られた溶鋼の成分は、C:0.09%, Si:tr, Mn:0.2
%, Cr:16.2%, P:0.033 %, S:0.006 %であっ
た。一方、脱炭精錬中に生成したスラグは、そのまま溶
融還元炉に装入し、次の溶融還元精錬に供した。この時
のスラグ成分は、CaO:32%、SiO2:12.5%、MnO:1.
8 %、MgO:2.8 %、 Cr2O3:25%であった。
【0029】上記と同様の条件下での溶融還元精錬後に
おける、酸化クロムの還元回収率、溶銑中のS濃度およ
び溶融還元炉スラグのCr溶出試験(溶出水中にCrが検出
されたものを不合格、検出されなかったものを合格と判
定。分析方法は JIS K 0102による。)合格率について
調べた結果を、表1に示す。なお、表1には、比較のた
め高炉用コークスを使用して溶融還元精錬を行った場合
の調査結果も併せて示す。
【0030】
【表1】
【0031】同表より明らかなように、比較例は、クロ
ムの還元率が悪く、また溶銑中のS濃度が高く、さらに
溶融還元炉スラグにおいて水へのクロムの溶出があるチ
ャージが見受けられた。これに対し、発明例では、クロ
ムの還元率が85〜95%と極めて高く、従ってS濃度も極
めて低く、しかも水へのクロムの溶出は全く認められな
かった。さらに、発明例は、比較例に比べると、溶融還
元炉の耐火物の溶損速度もはるかに小さかった。
【0032】なお、上述した実施例では、無煙炭を 100
%溶融還元工程で用いる場合について示したが、この発
明の骨子は、スラグ中の酸化クロムを還元する溶融還元
期に還元材として用いる炭材を無煙炭とすることにあ
る。従って、昇熱期または溶融還元期に一部昇熱用にコ
ークスを混合することは可能であり、このような場合も
本発明の範疇に入る。また、昇熱期はコークス、溶融還
元期は無煙炭を用いるようにしても良い。また、実施例
では、溶融還元を行う炉と脱炭精錬を行う炉を個別に設
けるいわゆる2炉方式の場合について説明したが、同一
炉において溶融還元精錬−脱炭精錬を続けて行う1炉方
式にも適用可能であることは言うまでもない。ただし、
溶融還元炉および脱炭炉それぞれに適合した耐火物を用
いることができるだけでなく、脱炭炉から排出されるス
ラグを溶融還元炉に任意のタイミングでリサイクルでき
る点で、2炉方式が有利である。
【0033】
【発明の効果】かくして、この発明によれば、還元材と
して高価な合金鉄を使用することなしに、酸化クロムの
高回収とスラグの完全リサイクルを実現することがで
き、ひいてはコスト低下および生産性の向上を図ること
ができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】炭材として、この発明に従う無煙炭と従来のコ
ークスを用いた場合における、溶融還元炉出銑温度と銑
鉄中S濃度との関係を示したグラフである。
【図2】脱炭炉スラグの塩基度とスラグ中CaCrO4存在比
率との関係を示したグラフである。
【図3】ふるい分け前後における粒度分布を比較して示
したグラフである。
【図4】炭材の種類および大きさがダストへのC飛散に
及ぼす影響を示したグラフである。
【図5】溶融還元精錬の模式図である。
【符号の説明】
1 転炉 2 上吹きランス 3 クロム鉱石投入ランス 4 炭材 5 スラグライン

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 溶銑に炭材およびクロム鉱石を添加する
    と共に、酸素ガスを供給してクロム鉱石の溶融還元精錬
    を行う溶融還元工程および溶融還元精錬後の含クロム粗
    溶鋼に酸素ガスを供給して脱炭精錬を行う脱炭精錬工程
    を経てステンレス鋼を溶製するに当たり、 脱炭精錬工程によって所定のC濃度まで脱炭した溶鋼は
    直ちに出鋼する一方、脱炭精錬工程中に生成したスラグ
    は他のチャージの溶融還元工程に供給して、該スラグ中
    に含まれる酸化クロムを還元回収するものとし、 その際、溶融還元工程において、溶鋼温度が1500℃以上
    となった酸化クロム含有スラグおよびクロム鉱石の還元
    時期に、還元材として使用する炭材の少なくとも一部と
    して、ハードグローブ指数が45以下でかつ炭材中の揮発
    成分量(VM)が10%以下の無煙炭を用いることを特徴
    とするステンレス鋼の溶製方法。
  2. 【請求項2】 請求項1において、脱炭精錬工程におけ
    るスラグ塩基度を3.5 以下とすることを特徴とするステ
    ンレス鋼の溶製方法。
  3. 【請求項3】 請求項1または2において、粒径が5mm
    以上を主体とする粒度構成になる無煙炭を用いることを
    特徴とするステンレス鋼の溶製方法。
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