JPH1025106A - 高負帯電性の金属酸化物粉体とこれを含む電子写真用現像剤 - Google Patents

高負帯電性の金属酸化物粉体とこれを含む電子写真用現像剤

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JPH1025106A
JPH1025106A JP17670496A JP17670496A JPH1025106A JP H1025106 A JPH1025106 A JP H1025106A JP 17670496 A JP17670496 A JP 17670496A JP 17670496 A JP17670496 A JP 17670496A JP H1025106 A JPH1025106 A JP H1025106A
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JP
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metal oxide
powder
sulfonic acid
group
oxide powder
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JP17670496A
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Akira Nishihara
明 西原
Yukiya Yamashita
行也 山下
Hideaki Sakurai
英章 桜井
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Mitsubishi Materials Corp
Original Assignee
Mitsubishi Materials Corp
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 鉄に対する摩擦帯電量が−800 μC/g 以上、
透過率法で測定した疎水化率が40%以上の、トナーの流
動性改善剤として好適な高負帯電性、疎水性の金属酸化
物粉体を実現する。 【解決手段】 スルホン酸エステル基を有するシランカ
ップリング剤で表面処理してから加熱するか、チオール
基もしくはスルフィド基を有する有機ケイ素化合物で表
面処理してからオゾン処理することにより、シリカ等の
超微粒子金属酸化物粉体の表面にスルホン酸基を付与
し、さらにシリコーンオイル等の疎水化処理剤で粉体を
表面処理する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、トナーの外添剤に
用いられる、電荷調整された流動性改善剤として有用な
金属酸化物粉体と、これを含有する電子写真用現像剤と
に関する。
【0002】
【従来の技術】複写機、レーザープリンター、普通紙フ
ァクシミリ等の電子写真技術を利用したOA機器は、電
子写真用現像剤により画像が形成される。この電子写真
用現像剤の主成分は、通常の2成分系現像剤の場合、着
色樹脂微粉体からなるトナーと、トナーへの電荷付与と
その搬送を行う、磁性または非磁性粒子からなるキャリ
アである。トナーとキャリアは現像機中で攪拌混合さ
れ、搬送の過程で相互に摩擦し、帯電する。この帯電を
利用して、露光により形成された静電潜像の現像が行わ
れる。
【0003】トナーには、その帯電制御、流動性改善、
転写性向上、クリーニング性向上などを目的として外添
剤と呼ばれる種々の添加剤が添加される。外添剤の代表
例は、平均粒径100 nm以下の超微粒子粉体からなるトナ
ーの流動性改善剤である。粉体としては、凝集性が低
く、トナー中に均一に分散させ易い、乾式法(気相法)
で製造されたシリカ、アルミナ、チタニア等の超微粒子
金属酸化物粉体が一般に使用される。
【0004】この用途に用いる粉体は、流動性改善のた
めに疎水性が高いことに加えて、帯電量がよく制御され
ている必要がある。粉体の帯電量が変動すると、トナー
の帯電性が変動して、現像に悪影響を生ずる。そのた
め、流動性改善剤として使用する粉体は、キャリアであ
る鉄あるいは酸化鉄に対する摩擦帯電量が、重要なパラ
メータとなっている。即ち、使用するトナーの帯電性に
合わせて、流動性改善剤として用いる超微粒子金属酸化
物粉体も、その帯電性を負、正、またはゼロ付近に調整
することが好ましい。
【0005】この調整のために、超微粒子金属酸化物粉
体をシランカップリング剤やシリコーンオイルなどで表
面処理して、粉体の帯電性を制御し、および/または疎
水性を高めることは既に行われている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】近年、電子写真用現像
剤で現像される画像をより高濃度にするために、負帯電
性トナーに添加する負帯電性を備えた超微粒子金属酸化
物粉体についても、より高い負帯電性が要求されるよう
になってきた。この用途には、表面処理したシリカが一
般に用いられる。超微粒子シリカ粉体は、鉄に対する摩
擦帯電量で−500〜−700 μC/g 程度の負帯電性を示
す。しかし、画像をより高濃度にするため、さらに負帯
電性の高い超微粒子金属酸化物粉体が望まれている。
【0007】帯電性を制御するための従来の超微粒子シ
リカ粉体の表面処理は、例えばアミノ基含有シランカッ
プリング剤等を用いて、この粉体の負帯電性を正帯電性
の方向に変化させる目的で行われている。シリカ粉体の
負帯電性が高いため、表面処理によってこの高い負帯電
性をさらに高める(負帯電量を大きくする)ことは試み
られておらず、またそれが可能であることも知られてい
なかった。
【0008】本発明の課題は、電子写真用現像剤に流動
性改善剤として添加するのに適した疎水性を持ち、かつ
鉄に対する摩擦帯電量が−800 μC/g 以上の高い負帯電
性を有するシリカ等の超微粒子金属酸化物粉体を実現す
ることである。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記課題
を解決するため鋭意検討して、超微粒子金属酸化物粉体
を表面処理して粉体表面にスルホン酸基を導入すると、
粉体の負帯電性を高めることができることを見出した。
しかし、スルホン酸基の導入だけでは負帯電性を著しく
高めることはできず、また疎水性も不十分となるが、表
面処理に疎水化処理剤として使用される有機ケイ素化合
物を併用することにより、上記課題が解決できた。
【0010】ここに、本発明は、表面にスルホン酸基を
有する平均粒径100 nm以下の超微粒子金属酸化物粉体で
あって、鉄に対する摩擦帯電量が−800 μC/g 以上の負
帯電性を有し、透過率法で測定した疎水化率が40%以上
である、高負帯電性、疎水性の金属酸化物粉体である。
摩擦帯電量は−850 μC/g 以上、特に−900 μC/g 以
上、疎水化率は45%以上、特に50%以上が好ましい。
【0011】好適態様においては、該超微粒子金属酸化
物粉体が乾式法で合成されたシリカ、アルミナおよびチ
タニアから選ばれた粉体であり、その表面のスルホン酸
基が乾式法で粉体表面に付与されたものであり、さらに
有機ケイ素化合物からなる疎水化処理剤を粉体の表面に
含有する。
【0012】なお、本明細書においては、「超微粒子」
とは、前記のように平均粒径が100nm以下であることを
意味する。透過率法による粉体の疎水化率は、下記手順
によって測定される。まず、粉体 1.0gを蒸留水100 mL
と共に抽出用フラスコに入れ、10分間激しく振盪攪拌す
る。その後、10分間静置し、フラスコの底から少量の懸
濁液を抜き出す。この懸濁液の550 nmにおける光の透過
率を、蒸留水の透過率を100 %として換算した値を、そ
の粉体の疎水化率とする。
【0013】また、本発明において帯電性を評価に用い
た鉄に対する摩擦帯電量は、文献、例えば「色材」(55,
9, 630-636, 1982)等に説明されている方法により測定
できる。本発明では、この「色材」に説明されている方
法を採用した。
【0014】本発明の金属酸化物粉体は、電子写真用現
像剤に、外添剤の1種である流動性改善剤として含有さ
せるのに適している。
【0015】本発明の好ましい金属酸化物粉体は、乾式
法で合成された超微粒子金属酸化物粉体を、スルホン酸
エステル基を含有する加水分解性有機ケイ素化合物と、
疎水化用の有機ケイ素化合物とで、同時にまたは別々に
乾式法で表面処理し、前者の有機ケイ素化合物で表面処
理した後に粉体を加熱してスルホン酸エステル基を熱分
解してスルホン酸基を生成させることにより製造でき
る。
【0016】別の方法として、乾式法で合成された超微
粒子金属酸化物粉体を、チオール基もしくはスルフィド
基を含有する有機ケイ素化合物と、疎水化用有機ケイ素
化合物とで、同時または別々に乾式法で表面処理し、前
者の有機ケイ素化合物で表面処理した後、粉体を乾式法
で酸化処理してチオール基もしくはスルフィド基をスル
ホン酸基に変換させることによっても、本発明の金属酸
化物粉体を製造することができる。
【0017】
【発明の実施の形態】本発明で用いる超微粒子金属酸化
物粉体は、前述した意味で超微粒子であれば特に制限さ
れるものではない。ただし、電子写真用現像剤 (以下、
単に現像剤ともいう) の流動性改善剤として使用する場
合には、湿式法ではなく乾式法で合成された金属酸化物
粉体の方が、分散性に優れており、流動性改善効果が高
くなることから好ましい。
【0018】乾式法で合成可能な金属酸化物としては、
金属ハロゲン化物、特に塩化物の燃焼加水分解または熱
分解により製造されるシリカ、アルミナ、およびチタニ
アがある。これらの粉体はいずれもそれ自体で負帯電性
を示すが、シリカの負帯電性が最も高い。しかし、負帯
電性がより低いチタニアやアルミナでも、本発明により
負帯電性を−800 μC/g 以上に高めることができる。
【0019】本発明によれば、このような超微粒子金属
酸化物粉体は表面にスルホン酸基を有する。官能基を有
するシランカップリング剤(即ち、アルコキシシラン等
の加水分解性有機ケイ素化合物)で無機粉体を表面処理
して、その表面に各種の官能基を固定化し、無機粉体の
表面を改質することは周知である。従って、スルホン酸
基を無機粉体の表面に固定化するには、スルホン酸基を
有するシランカップリング剤を使用すればよいと考えら
れる。しかし、スルホン酸基は酸性度が高く、シランカ
ップリング剤の加水分解を生じてしまうため、スルホン
酸基を持ったシランカップリング剤は安定に合成するこ
とができない。
【0020】本発明者らは、無機粉体の表面をスルホン
化する方法について探究した結果、化学反応によりスル
ホン酸基を生ずる別の官能基を有するシランカップリン
グ剤であれば安定に合成でき、このシランカップリング
剤を用いて無機粉体を表面処理した後、その官能基を化
学反応によりスルホン酸基に変換させることにより、無
機粉体の表面のスルホン酸基を導入できることを見出し
た。また、シリコーンのような加水分解性を持たない有
機ケイ素化合物を用いても同様の手法で粉体表面をスル
ホン化できることも判明した。
【0021】具体的には、スルホン酸エステル基を持
った加水分解性の有機ケイ素化合物(シランカップリン
グ剤) を合成し、この有機ケイ素化合物で表面処理した
粉体を加熱してスルホン酸エステル基を熱分解によりス
ルホン酸基に変換させる方法、ならびにチオール基も
しくはスルフィド基を有する有機ケイ素化合物を合成
し、この有機ケイ素化合物で表面処理した粉体を酸化条
件下にさらして、チオール基もしくはスルフィド基をス
ルホン酸基に変換させる方法が可能である。
【0022】有機ケイ素化合物による表面処理と、その
後の化学反応のいずれも乾式法で実施することが好まし
い。湿式法による処理を一度でも受けると、乾式法で合
成した超微粒子金属酸化物粉体の持つ優れた分散性が損
なわれるからである。
【0023】のスルホン酸エステル基を有する加水分
解性有機ケイ素化合物の具体例としては、下記構造式で
示されるアルコキシシラン化合物が例示できるが、これ
らに限定されるものではない。
【0024】3(CH3O)Si(CH2)3SO3CH(CH3)2 3 (C2H5O)Si(CH2)3SO3C2H5 3 (CH3O)Si(CH2)2(C6H4)SO3C4H9 2 (CH3O)(CH3)Si(CH2)3SO3CH(CH3)2 2 (CH3O)(CH3)Si(CH2)2(C6H4)SO3CH(CH3)2 3 (CH3O)Si(CH2)2(C6H4)SO3C10H21 最初の化合物のように、スルホン酸イソプロピル基を有
するアルコキシシラン化合物が、スルホン酸エステル基
の熱分解性が高いので好ましい。
【0025】スルホン酸エステル基を有する加水分解性
有機ケイ素化合物を用いた乾式法による表面処理は、例
えば、超微粒子金属酸化物粉体を攪拌して浮遊状態に保
持し、ここに上記有機ケイ素化合物を適用な有機溶媒に
溶解させた溶液を滴下または噴霧し、好ましくは溶媒の
除去と有機ケイ素化合物の粉体への固定化を促進するた
めに加熱することにより実施できる。有機溶媒として
は、メタノール、エタノール等のアルコール類;アセト
ン、メチルエチルケトン等のケトン類、ジメチルエーテ
ル、テトラヒドロフラン等のエーテル類;ヘキサン等の
炭化水素;クロロホルム等のハロゲン化炭化水素等など
が使用できる。加熱温度は通常は40〜150℃である。加
熱雰囲気は、超微粒子金属酸化物粉体の酸化を避けるた
め、不活性ガス中で行うことが好ましい。不活性ガスと
しては、窒素、ヘリウム、アルゴン等の1種もしくは2
種以上のガスが使用できる。
【0026】粉体表面に付着した有機ケイ素化合物は、
雰囲気中の微量の水分により加水分解し、加水分解物が
金属酸化物粉体の表面に存在する水酸基と縮合反応する
ことにより粉体表面に結合する。従って、スルホン酸エ
ステル基がこの化合物の加水分解物を介して粉体表面に
固定化される。この表面処理法では、滴下または噴霧し
た有機ケイ素化合物の実質的に全量を粉体に付着させる
ことができるため、有機ケイ素化合物の付着量の制御が
容易で、しかも無駄がない。
【0027】こうして乾式法で表面処理した粉体をさら
に不活性ガス雰囲気中で加熱して、スルホン酸エステル
基を熱分解させ、スルホン酸基を生成させる。熱分解に
必要な加熱温度は 通常80〜250 ℃の範囲内であるが、
スルホン酸エステル基のアルコール成分 (アルキル基)
により異なる。即ち、前述したようにイソプロピル基の
ように嵩が大きいアルキル基の方が一般に熱分解温度は
低くてすみ、熱分解収率も高くなる。
【0028】スルホン酸エステル基からスルホン酸基へ
の乾式分解は、加水分解を経て行うことも可能であり、
この場合には加熱雰囲気中に水蒸気を吹き込む等の手段
を採用すればよい。しかし、操作が煩雑になるので、上
記のように熱分解法の方が好ましい。
【0029】のチオール基もしくはスルフィド基を有
する有機ケイ素化合物の具体例としては、下記構造式で
示されるアルコキシシラン化合物またはシリコーン (ポ
リシロキサン) が例示できるが、これらに限定されるも
のではない。
【0030】3(CH3O)Si(CH2)3SH [3(C2H5O)Si(CH2)3]2-S [3(C2H5O)Si(CH2)3S-]2
【0031】
【化1】
【0032】このような有機ケイ素化合物による超微粒
子金属酸化物粉体の乾式法による表面処理は、の化合
物に関して説明したのと同様に実施できる。但し、加熱
温度は、有機ケイ素化合物がアルコキシシラン化合物で
ある場合には80〜120 ℃と低めでよく、有機ケイ素化合
物がシリコーンである場合には 180〜250 ℃と高めにす
ることが好ましい。
【0033】こうして、粉体の表面にチオール基または
スルフィド基を導入した後、この基を酸化反応によりス
ルホン酸基に変換する。酸化反応は、例えば過酸化水素
水を用いて湿式で実施することもできるが、前述したよ
うに乾式法で酸化することが好ましい。乾式法による酸
化は、粉体をオゾン含有ガスに曝すか、或いは酸素含有
ガス中で粉体に紫外線を照射することにより実施するこ
とができる。オゾン含有ガスによる処理は、−50℃から
200 ℃の広い温度範囲で実施できるが、通常は室温ない
しやや加温下で十分である。処理時間はガス中のオゾン
濃度、ガス流量、温度等の条件によっても異なるが、通
常は1〜10時間程度である。紫外線照射は、例えば、高
圧水銀灯、低圧水銀灯などの適当な紫外線源を用いて実
施でき、条件はオゾン含有ガスの場合とほぼ同様でよ
い。
【0034】こうして処理した超微粒子金属酸化物粉体
が表面にスルホン酸基を有することは、例えば、この粉
体の5重量%水分散液が強い酸性を示すことで確認でき
る。また、粉体表面のスルホン酸基の量は、例えばNaOH
水溶液を用いた酸塩基滴定により決定できる。スルホン
酸基は強酸性であるので、NaOHといった強塩基による滴
定で明確な中和点を示す。上述した方法で超微粒子金属
酸化物粉体を処理することにより、例えば0.1N NaOH 滴
定量が 0.1〜10 mL/g といった酸性度を示す、表面にス
ルホン酸基を有する粉体を得ることができる。
【0035】金属酸化物粉体の表面にスルホン酸基を導
入したことによる帯電性への影響は、完全には解明され
ていないが、本発明者らはこれまでの検討によって、粉
体の帯電性は表面官能基の酸性度に影響され、酸性度が
高いほど負帯電性が高くなる傾向があるという知見を得
ている。従って、粉体表面のスルホン酸基の強酸性が高
い負帯電性に寄与するものと考えられる。
【0036】しかし、上記方法により超微粒子金属酸化
物粉体の表面をスルホン化しただけでは、粉体の負帯電
性を確実に−800 μC/g 以上に高めることができないこ
とが判明した。これは、スルホン酸基が示す親水性のた
め、粉体の表面に水分が吸着し、この水分を介して電荷
が逃げるためではないかと推測される。
【0037】また、有機ケイ素化合物としてシランカッ
プリング剤型の化合物を用いて上記のように超微粒子金
属酸化物粉体の表面をスルホン化した場合には、この粉
体の疎水性も、トナーの流動性改善剤として使用するに
は不十分であることが多い。これも、スルホン酸基の親
水性が高いためであり、スルホン酸基の導入によって粉
体の疎水性が低下するためと考えられる。
【0038】このため、本発明においては、超微粒子金
属酸化物粉体の表面をスルホン化するための上記処理に
加えて、従来と同様の疎水化処理剤による表面処理も併
用する。この疎水化処理の併用によって、(a) 粉体の疎
水性を透過法で測定した疎水化率が40%以上となるよう
に高めることができると同時に、(b) 粉体の負帯電性を
確実に−800 μC/g 以上に高めることもできるのであ
る。
【0039】本発明で使用するのに適した疎水化処理剤
は有機ケイ素化合物であり、疎水性の被覆を形成できる
ものであれば特に制限されない。このような疎水化用有
機ケイ素化合物の例としては、親水性官能基を含有しな
い有機シラン化合物 (フッ素化アルキル基を含有してい
てもよい) と、シリコーンオイルとして知られるポリシ
ロキサン類がある。前者の低分子シラン化合物の具体例
としては、オクチルトリメトキシシラン、ジメチルジク
ロロシラン、ヘキサメチルジシラン等が挙げられ、後者
の高分子ポリシロキサンの具体例としては、信越化学製
のシリコーンオイルKF-96 、KF-99 、KF-105等、ならび
に上に構造式を示したチオール基含有変性シリコーンオ
イル等が挙げられる。
【0040】この疎水化処理剤による処理も、スルホン
酸基を導入するためのスルホン酸エステル液、チオール
基またはスルフィド基を有する有機ケイ素化合物 (以
下、スルホン化処理剤ともいう) による表面処理と同様
に乾式法で実施することが好ましく、またこのスルホン
化処理と同時または別個に実施することができる。
【0041】疎水化処理とスルホン化処理とを同時に実
施する場合には、疎水化処理剤をスルホン化処理剤と一
緒に溶解させた溶液を使用してもよく、或いは疎水化処
理剤の溶液とスルホン化処理剤の溶液を別々に調製し、
この2種類の溶液を粉体に同時に滴下または噴霧により
添加してもよい。溶媒は、スルホン化処理に関して前述
したものと同様でよい。疎水化処理剤がヘキサメチルジ
シラザンのように室温で低粘度の液状である場合には、
これ自体を溶媒として使用してもよい。2種類の処理剤
を粉体を添加した後、スルホン化用の有機ケイ素化合物
に応じて前述のように粉体を加熱し、次いで化学反応を
受けさせる。この加熱の間に、疎水化処理剤も粉体表面
に固定化される。
【0042】また、チオール基含有変性シリコーンオイ
ルは、スルホン化処理と疎水化処理のいずれにも使用で
きるので、多めのチオール基含有変性シリコーンオイル
で粉体を表面処理し、次いでチオール基の一部のみをス
ルホン酸基に変化させるように酸化することによって、
粉体表面の疎水化とスルホン化を達成することもでき
る。
【0043】疎水化処理とスルホン化処理とを別個に行
う場合には、いずれを先に実施してもよい。また、粉体
をスルホン化処理剤で表面処理した後、次の化学反応
(熱分解または酸化) を受けさせる前に、粉体を疎水化
処理剤で表面処理することもできる。しかし、特に好ま
しいのは、先にスルホン化処理を行い、粉体の表面にス
ルホン酸基を導入した後で、疎水化処理剤による表面処
理を行うことである。
【0044】疎水化処理剤を粉体に添加した後も、好ま
しくは不活性雰囲気中で80〜250 ℃程度に加熱して、付
着した疎水化処理剤を粉体表面に結合させることが好ま
しい。この加熱温度は、チオール基またはスルフィド基
含有有機ケイ素化合物による表面処理の場合と同様に、
疎水化処理剤が低分子のシラン化合物である場合には80
〜200 ℃と低め、高分子のポリシロキサンである場合に
は 100〜250 ℃と高めにすることがより好ましい。この
疎水化処理剤の固定化のための加熱は、スルホン化処理
剤の固定化のための加熱と一緒に1回で行ってもよい。
【0045】超微粒子金属酸化物粉体へのスルホン化処
理剤と疎水化処理剤の添加量は、処理後の粉体が、鉄に
対する摩擦帯電量で−800 μC/g 以上の負帯電性と、透
過率法で40%以上の疎水化率とを有するように選択すれ
ばよい。
【0046】一般的な目安を示すと、スルホン化処理剤
の添加量は、粉体重量の3〜15重量%、特に5〜10重量
%の範囲内が好ましい。3重量%未満では十分な負帯電
性が得られにくく、15重量%を超えると疎水性が低下す
る。疎水化処理剤の添加量は、粉体重量の1〜20重量
%、特に3〜10重量%の範囲内が好ましい。1重量%未
満では十分な疎水性が得られにくく、20重量%を超える
と粉体の凝集が生じやすくなり、トナーに添加した際に
十分な流動性が得られにくい。
【0047】
【実施例】以下に、本発明の詳細を実施例で具体的に説
明するが、本発明はこれらの例によって限定されるもの
ではない。
【0048】(実施例1)超微粒子金属酸化物粉体として
シリカ粉 (アエロジル#200:日本アエロジル社製、平均
粒径12 nm)を乾燥窒素気流中で加熱乾燥(120℃×24時
間) して使用した。このシリカ粉20gをステンレス製容
器に仕込み、窒素雰囲気下で攪拌しながら浮遊状態に
し、表1に記載のスルホン酸エステル基を有するシラン
カップリング剤からなるスルホン化処理剤 1.0gを含む
ジイソプロピルエーテル溶液を室温で上記粉体に噴霧し
た。噴霧終了後、60℃で2時間攪拌して処理剤の固定化
を行った後、150 ℃に昇温してさらに2時間の攪拌を続
けることによりスルホン酸エステル基を熱分解させ、表
面にスルホン酸基を有するシリカ粉を得た。
【0049】こうしてスルホン化したシリカ粉を室温ま
で冷却し、表1に示したシリコーンオイル型の疎水化処
理剤 (信越化学製)2.0gのヘキサン溶液を上記と同様に
して室温で噴霧した後、窒素気流下150 ℃で2時間加熱
して疎水化処理を行った。得られた粉体の疎水化率と鉄
に対する摩擦帯電量の測定結果を表1に併せて示す。
【0050】(実施例2)超微粒子金属酸化物粉体として
シリカ粉 (アエロジル#130:日本アエロジル社製、平均
粒径16 nm を用い、表1に記載の種類および添加量のス
ルホン化処理剤と疎水化処理剤を用いた以外は実施例1
と同様の操作を行った。
【0051】(実施例3)超微粒子金属酸化物粉体として
チタニア粉 (P-25: 日本アエロジル社製、平均粒径21 n
m)を用い、表1に記載の種類および添加量のスルホン化
処理剤と疎水化処理剤を用いた以外は実施例1と同様の
操作を行った。
【0052】(実施例4)超微粒子金属酸化物粉体として
アルミナ粉 (日本アエロジル社製、平均粒径13nm)を用
い、表1に記載の種類および添加量のスルホン化処理剤
と疎水化処理剤を用いた以外は実施例1と同様の操作を
行った。
【0053】(実施例5)実施例1で使用したのと同じ加
熱乾燥したシリカ粉20gをステンレス製容器に仕込み、
窒素雰囲気下で攪拌しながら浮遊状態にし、表1に記載
のチオール基を有するシランカップリング剤からなるス
ルホン化処理剤 2.0gのヘキサン溶液を室温で上記粉体
に噴霧した。噴霧終了後、窒素気流中200 ℃で2時間加
熱した後、室温まで冷却し、オゾナイザーで発生させた
オゾン含有酸素ガスを室温で粉体に6時間吹き込んでチ
オール基を酸化させ、スルホン酸基を生成させた。
【0054】こうしてスルホン化したシリカ粉に、表1
に示したシリコーンオイル型の疎水化処理剤 2.0gのヘ
キサン溶液を上記と同様にして室温で噴霧し、さらに窒
素気流下150 ℃で2時間加熱して疎水化処理を行った。
得られた粉体の疎水化率と摩擦帯電量の測定結果を表1
に併せて示す。
【0055】(実施例6)表1に記載の種類および添加量
のスルホン化処理剤と疎水化処理剤を使用した以外は実
施例5と同様の操作を行った。
【0056】(比較例1〜3)実施例1、3、4で使用し
た超微粒子金属酸化物粉体の疎水化率と摩擦帯電量を、
未処理のままで測定した。
【0057】(比較例4〜6)実施例1、3、4で使用し
た超微粒子金属酸化物粉体に、その実施例と同様にして
表1に記載の疎水化処理剤を噴霧し、窒素気流下150 ℃
で2時間加熱して疎水化処理を行った。得られたスルホ
ン酸基を有していない粉体の疎水化率と摩擦帯電量を測
定した結果を表1に併せて示す。
【0058】(比較例7〜9)疎水化処理剤による処理を
実施しなかった以外は実施例1、3、4と同様の操作を
行った。得られた表面にスルホン酸基を有する粉体の疎
水化率と摩擦帯電量を測定した結果を表1に併せて示
す。
【0059】
【表1】
【0060】表1からわかるように、本発明によりスル
ホン化処理と疎水化処理の両方を行った超微粒子金属酸
化物粉体は、鉄に対する摩擦帯電量が−800 μC/g 以上
と高い負帯電性を示し、同時にトナーの流動性改善剤と
して十分な疎水化率40%以上の疎水性も兼ね備えてい
る。これに対し、一方の処理しか実施しなかった比較例
では、この両者の特性を兼ね備えることができない。
【0061】(実施例7)スチレン−ブタジエン樹脂中に
カーボンブラック20%を練り込んで均一に分散させた
後、粉砕し、7〜15μmに分級して得た黒色樹脂粉 100
g中に、実施例1で得られたシリカ粉体 1.0gを混合
し、トナーとした。このトナー30gを、キャリアとなる
酸化鉄粉1000gに加えて、電子写真用現像剤を調製し
た。この現像剤を市販の電子写真複写機に入れ、画像濃
度を確認した。1万枚までの複写で、初期画像濃度とほ
とんど変化は見られず、良好な画像濃度を示した。
【0062】(比較例10)比較例4で得られたシリカ粉体
を用いた以外は実施例7と同様の操作を行った。100 枚
から画像濃度の低下が見られ、1000枚以上ではさらに大
きな画像濃度の低下が確認された。
【0063】
【発明の効果】本発明の、表面にスルホン酸基を有する
疎水化処理した超微粒子金属酸化物粉体は、−800 μC/
g 以上の高い負帯電性と疎水化率40%以上の高い疎水性
を兼ね備えている。そのため、この粉体は、流動性改善
剤として負帯電性トナーに添加するのに適しており、負
帯電性トナーを使用する電子写真用現像剤にこの粉体を
添加することにより、高い画像濃度を得ることができ
る。
フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 G03G 9/08 G03G 9/08 371 374

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 表面にスルホン酸基を有する平均粒径10
    0 nm以下の超微粒子金属酸化物粉体であって、鉄に対す
    る摩擦帯電量が−800 μC/g 以上の負帯電性を有し、透
    過率法で測定した疎水化率が40%以上である、高負帯電
    性、疎水性の金属酸化物粉体。
  2. 【請求項2】 該超微粒子金属酸化物粉体が乾式法で合
    成されたシリカ、アルミナおよびチタニアから選ばれた
    粉体であり、その表面のスルホン酸基が乾式法で粉体表
    面に付与されたものであり、有機ケイ素化合物からなる
    疎水化処理剤を粉体の表面に含有する、請求項1記載の
    金属酸化物粉体。
  3. 【請求項3】 請求項1または2に記載の金属酸化物粉
    体を含有することを特徴とする電子写真用現像剤。
  4. 【請求項4】 乾式法で合成された平均粒径100 nm以下
    の超微粒子金属酸化物粉体を、スルホン酸エステル基を
    含有する加水分解性有機ケイ素化合物と、疎水化用の有
    機ケイ素化合物とで、同時または別々に乾式法で表面処
    理する工程、およびスルホン酸エステル基を含有する有
    機ケイ素化合物で表面処理した後に粉体を加熱してスル
    ホン酸エステル基を熱分解してスルホン酸基を生成させ
    る工程を含むことを特徴とする、高い負帯電性と高い疎
    水性とを備えた金属酸化物粉体の製造方法。
  5. 【請求項5】 乾式法で合成された平均粒径100 nm以下
    の超微粒子金属酸化物粉体を、チオール基もしくはスル
    フィド基を含有する有機ケイ素化合物と、疎水化用有機
    ケイ素化合物とで、同時または別々に乾式法で表面処理
    する工程、およびチオール基もしくはスルフィド基を含
    有する有機ケイ素化合物で表面処理した後、粉体を乾式
    法で酸化処理してチオール基もしくはスルフィド基をス
    ルホン酸基に変換させる工程を含むことを特徴とする、
    高い負帯電性と高い疎水性とを備えた金属酸化物粉体の
    製造方法。
JP17670496A 1996-07-05 1996-07-05 高負帯電性の金属酸化物粉体とこれを含む電子写真用現像剤 Withdrawn JPH1025106A (ja)

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Cited By (6)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2002348113A (ja) * 2001-05-25 2002-12-04 Mitsubishi Materials Corp シリカ粉末の製造方法及びこの方法で製造されたシリカ粉末
JP2008012925A (ja) * 2003-10-16 2008-01-24 Hewlett-Packard Development Co Lp 表面修飾無機粒子で被覆された媒体への染料の永久定着
JP5835587B2 (ja) * 2010-10-14 2015-12-24 日産化学工業株式会社 単分子層又は多分子層形成用組成物
JP2018045006A (ja) * 2016-09-13 2018-03-22 キヤノン株式会社 トナー
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