JPH10250973A - 繊維スリング - Google Patents

繊維スリング

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Publication number
JPH10250973A
JPH10250973A JP5677397A JP5677397A JPH10250973A JP H10250973 A JPH10250973 A JP H10250973A JP 5677397 A JP5677397 A JP 5677397A JP 5677397 A JP5677397 A JP 5677397A JP H10250973 A JPH10250973 A JP H10250973A
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JP
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fiber
film
core material
sling
fiber sling
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Application number
JP5677397A
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English (en)
Inventor
Yasutake Sasa
健剛 佐々
Hideyuki Yoshida
秀之 吉田
Haruji Kasamori
春二 笠森
Takashi Horie
崇史 堀江
Kunio Akasaki
久仁夫 赤崎
Shuhei Kurata
修平 倉田
Koji Kajiwara
幸治 梶原
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
TAMURA SOGYO KK
Nippon Steel Corp
Unitika Ltd
Original Assignee
TAMURA SOGYO KK
Nippon Steel Corp
Unitika Ltd
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【課題】繊維スリングの芯材の状態を直接目視で確認で
き、かつ、芯材の紫外線の劣化進行度合いを適確に把握
することができ、繊維スリングの廃棄交換時期を容易に
判定することができる安全性に優れた繊維スリングを提
供する。 【解決手段】繊維を綛状に束ねた環状の芯材1を、透視
可能な透明度を有するフィルム2で被覆してなる繊維ス
リングであって、前記フィルム2の内側で、紫外線暴露
時間の程度により変退色または発色する標識部材7を外
部から識別可能なように設けた。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、鋼材などの重量物
を吊り下げて移動運搬する作業を行なう際に使用される
繊維スリングに関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来から、鋼材製造工程で鋼材を吊り下
げて移動運搬する作業を行なうに際し使用される繊維ス
リングとして、繊維を綛状に巻き回して束ねた環状の芯
材を袋状の繊維保護カバーで被覆したものが知られてい
る。
【0003】しかし、この従来使用の繊維スリングは、
芯材の劣化が発生した場合、芯材が繊維保護カバーで完
全に被覆されているため、直接目視で劣化度合いを確認
することは構造上不可能であり、芯材の劣化の度合いを
繊維保護カバーの上からの硬さ、太さの不均一さといっ
た手触りによる触感などの検査で判断しなければなら
ず、繊維スリングの廃棄交換時期を容易かつ適確に判定
することは難しく、判定には熟練を要した。さらに、判
定を過った場合、劣化した繊維スリングを使用し続ける
ことにもなり、安全性維持の面でも問題があった。
【0004】そこで、この問題点を解決すべく繊維スリ
ングとして、繊維を綛状に束ねた環状の芯材を、透視可
能な透明度を有するフィルムで被覆し、そのフィルムの
外側を着脱自在または一部開閉自在な構造を有する繊維
保護カバーで被覆した繊維スリングを、本発明者らは提
案した。この改良された繊維スリングは、透視可能なフ
ィルムで被覆され、かつ繊維保護カバーを着脱したり、
開閉することができるため、芯材の状態を直接目視で確
認でき、例えば変形や切断などといった芯材に発生した
異常を速やかに感知することができるものとなってい
る。しかし、外観の変化を伴わないで進行する劣化、特
に紫外線による劣化に対しては、その進行度合いを確認
する手段が全く無かった。芯材をフィルムで被覆された
繊維スリングの場合、芯材に悪影響を与える微細な粉塵
や液体などが芯材内部へ侵入することを抑制できるた
め、繊維スリングを劣化させる主要因は、紫外線である
ということができる。このため、繊維スリングの芯材の
紫外線による劣化度合いを適確に把握でき、廃棄交換時
期を容易に判定できる安全性に優れた繊維スリングが待
ち望まれていた。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、このような
現状に鑑みて行なわれたもので、繊維スリングの芯材の
状態を直接目視で確認でき、かつ、芯材の紫外線の劣化
進行度合いを適確に把握することができ、繊維スリング
の廃棄交換時期を容易に判定することができる安全性に
優れた繊維スリングを提供することを目的とするもので
ある。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明は上記の課題を解
決するもので、次の構成を有するものである。すなわち
本発明は、繊維を綛状に束ねた環状の芯材を、透視可能
な透明度を有するフィルムで被覆してなる繊維スリング
であって、前記フィルムの内側で、紫外線暴露時間の程
度により変退色または発色する標識部材を外部から識別
可能なように設けたことを要旨とするものである。また
本発明は、フィルムの外側を、着脱自在または一部開閉
自在な構成を有する繊維布帛で被覆してなることを要旨
とするものである。また本発明は、フィルムの内側に紫
外線暴露時間の程度により変退色の度合い、および/ま
たは発色性ないし色相が異なる複数個の標識部材を設け
たことを要旨とするものである。また本発明は、標識部
材は繊維構造体であることを要旨とするものである。さ
らに本発明は、標識部材は面状体であることを要旨とす
るものである。
【0007】
【発明の実施の形態】以下、本発明を詳細に説明する。
本発明の繊維スリングは、繊維を綛状に束ねた環状の芯
材を備えている。繊維を綛状に束ねた環状の芯材とは図
1および図2に示すような構成のものをいい、所謂エン
ドレス型の繊維スリングを指す。なお、繊維を綛状に束
ねた環状の芯材を両端に環状部が形成されたアイ型とし
ても良い。
【0008】前記芯材の繊維とは、ポリエステル系合成
繊維、ポリアミド系合成繊維、ポリプロピレン系合成繊
維、ポリビニルアルコール系合成繊維などの合成繊維フ
ィラメントをいい、取り扱いの便宜を図るため、必要に
応じて数十本引き揃えた上で300T/M程度までの撚
が施されていても良いし、さらにそれ以上の撚が施され
ていても良い。
【0009】芯材として綛状に束ねる回数は特に限定さ
れるものではなく、必要とされる繊維スリングの強度に
応じて調整すれば良く、例えば高荷重対応の繊維スリン
グを得るには綛状に束ねる回数を増やすことにより繊維
スリングの強度を向上させることができる。
【0010】本発明の繊維スリングは図2に示すごと
く、上述の芯材1と標識部材7が、フィルム2で被覆さ
れている構造を有する。そこで、本発明に使用されるフ
ィルム2は、フィルム形成性が良好なものであれば特に
限定されるものではないが、フィルムを適当に選定する
ことにより、繊維スリングに耐酸、耐アルカリ、耐金属
塩、耐溶剤、耐油剤などの化学的特性や機械的特性をさ
らに追加することができ、用途により要求される特性に
対応したフィルムを選定すれば良い。
【0011】具体的には、例えば繊維スリングに耐酸性
を必要とする場合は、ポリエステル系フィルム、ポリエ
チレン系フィルム、ポリプロピレン系フィルム、ポリ塩
化ビニル系フィルム、ポリ塩化ビニリデン系フィルムな
どを使用すれば良く、また耐アルカリ性を必要とする場
合は、ポリアミド系フィルム、ポリエチレン系フィル
ム、ポリプロピレン系フィルム、ポリ塩化ビニル系フィ
ルム、ポリ塩化ビニリデン系フィルムなどを使用すれば
良く、また耐有機溶剤性および耐油性を必要とする場合
は、ポリエステル系フィルム、ポリアミド系フィルム、
ポリビニルアルコール系フィルム、ポリフルオロエチレ
ン系フィルムなどを使用すれば良く、さらに繊維スリン
グの過酷な使用に伴う耐摩耗性およびフィルムの耐ピン
ホール性を必要とする場合は、ポリアミド系フィルムな
どを使用すれば良い。そしてこれらフィルムは複合して
使用し、本発明の目的を達成することもできる。
【0012】フィルム2の厚みは特に限定されるもので
はないが、厚すぎると得られる繊維スリングの柔軟性や
フレキシビリティが損なわれることを考慮し、5μm以
上、300μm以下であることが好ましい。
【0013】本発明に使用されるフィルム2で重要なの
は、フィルム2が透明もしくは半透明など、内部が透視
できる程度に透明度を有することである。すなわち、フ
ィルム2の上から透かして芯材1の状態や標識部材7が
容易に確認できるものでないと本発明の目的を達成する
ことができない。
【0014】本発明では上述のフィルムを成形加工し、
芯材がフィルムで被覆される構造にする。被覆される構
造とは、芯材に悪影響を与えるゴミ、石、砂、鉄スケー
ルなどの微細な粉塵や雨水、海水、油、薬液といった液
体、紫外線などの芯材内部への侵入をフィルムが抑制す
る構造をいい、芯材をフィルムが保護する形態であれ
ば、その構造は特に限定されるものでなく、具体的には
例えば、扁平なフィルムを筒状に折り曲げ、フィルムの
長手方向に沿う両端を完全に融着接合し、芯材をフィル
ム内部に密封するとともに、筒状に成形されたフィルム
の長手方向両端の末端部をオーバーラップさせること、
あるいはその部分を溶融接合することにより本発明の目
的を達成する繊維スリングが得られる。図2において、
3はフィルム2の長手方向に沿う両端の溶融接合部、4
は筒状に成形されたフィルム2の長手方向両端の末端部
のオーバーラップ部分の溶融接合部である。
【0015】さらに、繊維スリングの使用時に予想され
るフィルムの切り傷、すり傷、引っ掛け傷などといった
フィルムの損傷を防止する目的で、フィルムの外側を織
物、編物、不織布などの布帛で被覆し、フィルムを保護
するようにしても良い。その例を図3に示しており、芯
材1をフィルム2で覆ってなる繊維スリングの外側を着
脱自在または一部開閉自在な構成を有する繊維布帛5で
被覆している。
【0016】ここでいう着脱自在な構成とは、繊維布帛
5を面ファスナー、ファスナー、釦などで開閉着脱でき
て繊維スリングから取り外すことができる構成をいう。
図3において、6は面ファスナーである。
【0017】また、一部開閉自在な構成とは、繊維布帛
5を繊維スリングから完全に取り外すことはできない
が、繊維布帛5の一部を面ファスナー、ファスナー、釦
などで開閉できる構成をいう。この場合、開閉部の大き
さや開閉箇所は、その開閉部から内部の芯材の状態を目
視で確認できるように設定される必要がある。
【0018】なお、本発明でいう繊維布帛とは、ポリア
ミド系合成繊維、ポリエステル系合成繊維、ポリプロピ
レン系合成繊維、ポリビニルアルコール系合成繊維など
の合成繊維を主体として構成された織物、編物、不織布
などをいう。
【0019】本発明の繊維スリングでは図2に示すごと
く、フィルム2の内側に、紫外線暴露時間の程度により
変退色または発色する標識部材7を外部から識別可能な
ように配置する。繊維スリングの強力は、芯材1の劣化
度合いに大きく依存しており、標識部材7の変退色また
は発色の程度により芯材1の紫外線劣化の度合いを類推
し、繊維スリングの廃棄交換時期を簡易的に判定しよう
とするものである。
【0020】標識部材7は、紫外線暴露時間の程度によ
り、変退色および発色するものであれば、特に限定され
るものではない。ただし、標識部材7は、芯材1の紫外
線劣化の程度と相関して変退色および発色しないと本発
明の目的を達成できるものではなく、芯材1が紫外線劣
化を起し、劣化度合いの許容範囲の限界、すなわち強度
低下の許容範囲の下限に達したときに、変退色および発
色するような標識部材を選定する必要がある。
【0021】本発明者らは、芯材1の紫外線劣化挙動を
詳細に研究した結果、サンシャインウェザーメーターを
用いて繊維スリングに紫外線照射を行なった場合、芯材
1の強度が、未照射品に比し75%に低下した時点が、
繊維スリングの実屋外使用における、紫外線劣化廃棄交
換時期に相当することを見い出した。
【0022】よって、本発明の標識部材7の選定は、サ
ンシャインウェザーメーターを用いて芯材1と同条件に
て紫外線照射を行ない、芯材1の強度が、未照射品に比
し75%に低下した照射時間で、変退色および発色する
ものを選定することによって、容易に達成することがで
きる。このとき、判定を容易、かつ明瞭なものにするた
め変退色の度合いが大きいものを選定するのが好まし
い。
【0023】標識部材の判定の簡易性および精度をさら
に向上させる目的で、紫外線暴露の程度により変退色の
度合い、および/または発色性ないし色相が異なる複数
個の標識部材をフィルムの内側に設けても良い。この場
合、複数個の標識部材を芯材1の紫外線劣化の進行に伴
って順次、変退色および発色していくように設置する。
なお、本発明でいう“および/または”なる語句は、両
者の一方のいずれか、または双方を意味するものであ
る。
【0024】本発明の標識部材としては、繊維状のもの
を用いることができるが、この繊維状の標識部材を撚
糸、製紐などの繊維構造体として用いても良い。具体的
には、耐光堅牢度が悪く、大きく変退色する顔料、例え
ば、アゾ系顔料、ペリノン、ペリレン系顔料、ジオキサ
ジン系顔料、アンスラキノン系顔料、塩基性染料からの
顔料、塩基型の酸性染料からの顔料などや、染料、例え
ば、アゾ系染料、アントラキノン系染料、キノンイミン
系染料、ペリノン系染料などを含有した繊維や、紫外線
で感光して発色する化合物、例えば、感光性ジアゾ化合
物や銀系化合物などを含有する繊維などを、そのまま芯
材の一部に加えて用いたり、これらの繊維を複数本引き
揃えて撚糸したり、複数本打ちの製紐とし芯材の一部に
加えて用いることができる。なお、この場合、標識部材
は芯材の外側から見えるように設けられることが必要で
ある。
【0025】また、標識部材を面状体として用いること
ができる。面状体とすることで標識部材の視認性を向上
することができ、図4に示すごとく面状の標識部材7で
芯材1を完全に被覆することで、部分的に発生する芯材
1の紫外線劣化を洩らすことなく感知することができ
る。本発明の面状体とは、具体的に、前述の繊維を用い
た織物、編物、不織布などの繊維布帛、前述の耐光堅牢
度が悪く大きく変退色する顔料や染料、また、前述の紫
外線で感光して発色する化合物などを含有する紙やフィ
ルムなどが挙げられる。
【0026】
【作用】以上のように本発明の繊維スリングは、繊維を
綛状に束ねた環状の芯材を、フィルムで被覆してなるこ
とにより、芯材に悪影響を与える微細な粉塵や液体など
の芯材内部への侵入を抑え、これらの侵入の要因で発生
する繊維スリングの経時的な強力低下を解消することが
できる。
【0027】また、本発明の繊維スリングは、フィルム
が透視可能な透明度を有するため、内部の芯材の状態を
直接目視で確認でき、変形や切断などといった芯材に発
生した異常を速やかに感知できると同時に、フィルムの
内側に設けた標識部材の変退色または発色の程度により
芯材の紫外線劣化の度合いも類推、判定することがき
る。
【0028】また、ここで複数個の標識部材を芯材の紫
外線劣化の進行に伴って順次、変退色および発色するよ
うに設置することで、標識部材の判定の簡易性および精
度向上させることができ、標識部材を面状物とすること
で標識部材の視認性を格段に向上させることができる。
【0029】さらに、繊維スリングの外側を着脱自在ま
たは一部開閉自在な構成を有する繊維布帛で被覆するこ
とにより、繊維スリングの使用時に予想されるフィルム
の切り傷、すり傷、引っ掛け傷などといったフィルムの
損傷や芯材の損傷を防止できると同時に、繊維布帛の脱
着や開閉が可能となり、繊維スリングが繊維布帛で被
服、保護されていても、内部の芯材の状態や標識部材の
変化を直接目視で確認でる機能を損なわず、芯材の劣化
度合いを容易に判断し、廃棄交換時期を適確に把握でき
るという安全性の高い繊維スリングが得られ、産業上非
常に有用である。
【0030】
【実施例】次に、実施例によって本発明を具体的に説明
する。 実施例1 ポリエチレンテレフタレートのマルチフィラメント、銘
柄3000d/280fを10本引き揃え、25T/M
の撚を施したものを、綛状に80回巻き回して束ね、環
状の周長3Mの芯材を得た。この芯材をサンシャインウ
ェザーメーターを用い、63℃、雨有り条件下で紫外線
照射を行なった結果、強度が未照射品に比し75%まで
低下した照射時間は200時間であった。
【0031】この芯材に紫外線劣化の標識部材として、
サンシャインウェザーメーターを用いて芯材と同条件下
で紫外線照射を行ない、200時間で大きく退色するペ
リノンレッド顔料をポリエチレンテレフタレートのマル
チフィラメント中に0.36%含有する赤色の現着糸、
銘柄1000d/96fを10本引き揃え、25T/M
の撚を施し、綛状に3回巻き回したものを加えた。
【0032】これら芯材と標識部材を、厚さ270μm
の透明のナイロン6フィルムを筒状に折り曲げフィルム
の長手方向に沿う両端を完全に溶融結合し、筒状に成形
されたフィルムの長手方向両端の末端部をオーバーラッ
プさせて、その部分を溶融接合することにより被覆し、
紫外線劣化の標識部材を有する図2に示す繊維スリング
を得た。
【0033】本発明の繊維スリングは、使用時紫外線劣
化を起し、強度低下の許容範囲の下限に達した場合、標
識部材の退色により感知でき廃棄交換時期を的確に把握
できる安全性の高いものであった。
【0034】実施例2 ポリエチレンテレフタレートのマルチフィラメント、銘
柄3000d/384fを20本引き揃え、25T/M
の撚を施したものを、綛状に144回巻き回して束ね、
環状の周長2.5Mの芯材を得た。この芯材をサンシャ
インウェザーメーターを用い、63℃、雨有り条件下で
紫外線照射を行なった結果、強度が未照射品に比し75
%まで低下した照射時間は200時間であった。
【0035】この芯材に紫外線劣化の標識部材として、
サンシャインウェザーメーターを用いて芯材と同条件下
で紫外線照射を行ない、150時間で大きく変色するア
ンスラキノン蛍光顔料をポリエチレンテレフタレートの
マルチフィラメント中に0.4%含有する桃色の現着
糸、銘柄1000d/96fを8本打ちの製紐にしたも
の、同じくサンシャインウェザーメーターを用い紫外線
照射を行ない、180時間で大きく変色するジオキサジ
ン蛍光顔料をポリエチレンテレフタレートのマルチフィ
ラメント中に0.5%含有する紫色の現着糸、銘柄10
00d/96fを8本打ちの製紐にしたもの、同じくサ
ンシャインウェザーメーターを用い紫外線照射を行な
い、200時間で大きく退色するペリノンレッド顔料を
ポリエチレンテレフタレートのマルチフィラメント中に
0.36%含有する赤色の現着糸、銘柄1000d/9
6fを8本打ちの製紐にしたものを、各々綛状に3回巻
き回し加えた。
【0036】これら芯材と標識部材を厚さ80μmの透
明のポリエチレンテレフタレートフィルムを筒状に折り
曲げフィルムの長手方向に沿う両端を完全に溶融接合
し、筒状に成形されたフィルムの長手方向両端の末端部
をオーバーラップさせて、その部分を溶融接合すること
により被覆し、紫外線劣化の標識部材を有する繊維スリ
ングを得た。
【0037】引き続き、ナイロン6のマルチフィラメン
ト、銘柄1260d/210fを3本引き揃え、100
T/Mの撚を施したものを経糸、銘柄1260d/21
0fを緯糸に用い、経糸密度46本/吋、緯糸密度24
本/吋、幅210mmで2/2綾組織の織物を得た。こ
の織物を常法により染色、仕上げ加工を行なった後、織
物の両耳部に面ファスナーを配置し、縫製して開閉自在
な筒状とし、この織物で上記繊維スリングを着脱自在に
被覆し、図3に示す繊維スリングを得た。
【0038】本発明の繊維スリングは、使用時紫外線劣
化を起した場合、標識部材が桃、紫、赤の順に順次変退
色し、劣化度合いを容易に判定でき、廃棄交換時期を的
確に把握できる安全性の高いものであった。
【0039】実施例3 ポリエチレンテレフタレートのマルチフィラメント、銘
柄3000d/384fを10本引き揃え、25T/M
の撚を施したものを、綛状に80回巻き回して束ね、環
状の周長3Mの芯材を得た。この芯材をサンシャインウ
ェザーメーターを用い、63℃、雨有り条件下で紫外線
照射を行なった結果、強度が未照射品に比し75%まで
低下した照射時間は200時間であった。
【0040】引き続き、紫外線劣化の標識部材として、
サンシャインウェザーメーターを用いて芯材と同条件下
で紫外線照射を行ない、200時間で大きく退色するペ
リノンレッド顔料をポリエチレンテレフタレートのマル
チフィラメント中に0.36%含有する赤色の現着糸、
銘柄1000d/96fを用い、ウエール16本/吋、
コース20本/吋で編組織インターロックの編物を製編
し、芯材を被覆した。
【0041】これら芯材と標識部材を、耐酸性を付与す
る目的で厚さ30μmの透明のポリプロピレンフィルム
を筒状に折り曲げフィルムの長手方向に沿う両端を完全
に溶融接合し、筒状に成形されたフィルムの長手方向両
端の末端部をオーバーラップさせて、その部分を溶融接
合することにより被覆し、耐酸性と紫外線劣化の標識部
材を有する繊維スリングを得た。
【0042】引き続き、ポリプロピレンの現着マルチフ
ィラメント、銘柄680d/120fを5本引き揃え、
100T/Mの撚を施したものを経糸、銘柄680d/
120fを2本引き揃え、100T/Mの撚を施したも
のを緯糸に用い、経糸密度46本/吋、緯糸密度24本
/吋、幅210mmで2/2綾組織の織物を得た。この
織物を常法により仕上げ加工を行なった後、織物の両耳
部に面ファスナーを配置し、縫製して開閉自在な筒状と
し、この織物で上記繊維スリングを着脱自在に被覆し、
図3に示す繊維スリングを得た。
【0043】本発明の繊維スリングは、使用時紫外線劣
化を起し、強度低下の許容範囲の下限に達した場合、標
識部材の退色により感知でき廃棄交換時期を的確に把握
できる安全性の高いものであった。
【0044】実施例4 ポリエチレンテレフタレートのマルチフィラメント、銘
柄1500d/192fを20本引き揃え、25T/M
の撚を施したものを、綛状に72回巻き回して束ね、環
状の周長3Mの芯材を得た。この芯材をサンシャインウ
ェザーメーターを用い、63℃、雨有り条件下で紫外線
照射を行なった結果、強度が未照射品に比し75%まで
低下した照射時間は150時間であった。
【0045】引き続き、紫外線劣化の標識部材として、
サンシャインウェザーメーターを用いて芯材と同条件下
で紫外線照射を行ない、150時間で発色する銀ゼオラ
イト化合物を含有する厚さ80μmの紙を用い、芯材を
被覆した。
【0046】これら芯材と標識部材を、耐酸性を付与す
る目的で厚さ30μmの透明のポリプロピレンフィルム
を筒状に折り曲げフィルムの長手方向に沿う両端を完全
に溶融接合し、筒状に成形されたフィルムの長手方向両
端の末端部をオーバーラップさせて、その部分を溶融接
合することにより被覆し、耐酸性と紫外線劣化の標識部
材を有する繊維スリングを得た。
【0047】引き続き、ポリプロピレンの現着マルチフ
ィラメント、銘柄680d/120fを5本引き揃え、
100T/Mの撚を施したものを経糸、銘柄680d/
120fを2本引き揃え、100T/Mの撚を施したも
のを緯糸に用い、経糸密度46本/吋、緯糸密度24本
/吋、幅210mmで2/2綾組織の織物を得た。この
織物を常法により仕上げ加工を行なった後、織物の両耳
部に面ファスナーを配置し、縫製して開閉自在な筒状と
し、この織物で上記繊維スリングを着脱自在に被覆し、
図4に示す繊維スリングを得た。
【0048】本発明の繊維スリングは、使用時紫外線劣
化を起し、強度低下の許容範囲の下限に達した場合、標
識部材の発色により感知でき廃棄交換時期を的確に把握
できる安全性の高いものであった。
【0049】
【発明の効果】以上のように本発明によれば、繊維を綛
状に束ねた環状の芯材をフィルムで被覆しているので、
芯材に悪影響を与える微細な粉塵や液体などの芯材内部
への侵入を抑制でき、経時的な強力低下が極めて生じに
くい繊維スリングを提供することができる。また、前記
フィルムは透視可能な透明度を有しているので、内部の
芯材の状態を直接目視で確認でき、変形や切断などとい
った芯材に発生した異常を速やかに感知できると同時
に、標識部材の変退色または発色の程度により芯材の紫
外線劣化の度合いも類推、判定することがきる。また、
標識部材がフィルムで被覆されている構成を有するた
め、繊維スリングの使用により標識部材が汚れてしま
い、劣化の判定を妨げてしまうようなことはなく、芯材
を被覆するフィルムにピンホールなどの微細な損傷が生
じても、芯材や標識部材の部分的な汚れや変色により、
フィルムの損傷を即座に感知することができる。さら
に、繊維スリングの外側を着脱自在または一部開閉自在
な構成を有する繊維布帛で被覆することにより、繊維ス
リングの使用時に予想されるフィルムの切り傷、すり
傷、引っ掛け傷などといったフィルムの損傷や芯材の損
傷を防止できると同時に、繊維布帛の着脱や開閉が可能
となり、繊維スリングが繊維布帛で被覆、保護されてい
ても、内部の芯材の状態や標識部材の変化を直接目視で
確認できる機能を損なわず、芯材の劣化度合いを判断
し、廃棄交換時期を適確に把握できるという安全性の高
い繊維スリングが得られ、産業上非常に有用である。な
お、繊維スリングに対し繊維布帛を着脱自在とすること
で、繊維布帛が汚れたり破損した場合は繊維布帛を繊維
スリングから取り外し、洗浄、交換することにより、芯
材が劣化し強力低下が生ずるまで繰り返し使用が可能で
あり、経済性に優れている。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の繊維スリングの一例を示す概略斜視図
である。
【図2】図1のA部拡大斜視図である。
【図3】本発明の繊維スリングの他の例を示す要部拡大
斜視図である。
【図4】本発明の繊維スリングのさらに他の例を示す要
部拡大斜視図である。
【符号の説明】
1 芯材 2 フィルム 3 溶融接合部 4 溶融接合部 5 繊維布帛 6 面ファスナー 7 標識部材
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 吉田 秀之 千葉県君津市君津1番地 新日本製鐵株式 会社君津製鐵所内 (72)発明者 笠森 春二 石川県金沢市八日市1−283 田村総業株 式会社西金沢工場内 (72)発明者 堀江 崇史 石川県金沢市八日市1−283 田村総業株 式会社西金沢工場内 (72)発明者 赤崎 久仁夫 京都府宇治市宇治小桜23番地 ユニチカ株 式会社中央研究所内 (72)発明者 倉田 修平 京都府宇治市宇治小桜23番地 ユニチカ株 式会社中央研究所内 (72)発明者 梶原 幸治 大阪府大阪市中央区久太郎町4丁目1番3 号 ユニチカ株式会社大阪本社内

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 繊維を綛状に束ねた環状の芯材を、透視
    可能な透明度を有するフィルムで被覆してなる繊維スリ
    ングであって、前記フィルムの内側で、紫外線暴露時間
    の程度により変退色または発色する標識部材を外部から
    識別可能なように設けたことを特徴とする繊維スリン
    グ。
  2. 【請求項2】 フィルムの外側を、着脱自在または一部
    開閉自在な構成を有する繊維布帛で被覆してなることを
    特徴とする請求項1記載の繊維スリング。
  3. 【請求項3】 フィルムの内側に紫外線暴露時間の程度
    により変退色の度合い、および/または発色性ないし色
    相が異なる複数個の標識部材を設けたことを特徴とする
    請求項1または2記載の繊維スリング。
  4. 【請求項4】 標識部材は繊維構造体であることを特徴
    とする請求項1または2または3記載の繊維スリング。
  5. 【請求項5】 標識部材は面状体であることを特徴とす
    る請求項1または2または3記載の繊維スリング。
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Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2006049226A1 (en) * 2004-11-02 2006-05-11 Toray International, Inc. Fiber sling and method for evaluating its performance

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