JPH10250711A - 液化ガス流下用ノズル - Google Patents

液化ガス流下用ノズル

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JPH10250711A
JPH10250711A JP7074197A JP7074197A JPH10250711A JP H10250711 A JPH10250711 A JP H10250711A JP 7074197 A JP7074197 A JP 7074197A JP 7074197 A JP7074197 A JP 7074197A JP H10250711 A JPH10250711 A JP H10250711A
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正見 松長
Tetsuya Takatomi
哲也 高富
Norihiko Osaku
則彦 尾作
Shigeki Matsuura
茂樹 松浦
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 液化ガス流下用ノズルを、簡単な構造によ
り、缶詰製造ラインの無段階的な速度変化に追従して、
液化ガスの単位時間当たりの流下量を連続的且つに無段
階的に変化させることができるようなものとする。 【解決手段】 軸線が上下方向のシリンダー11と、該
シリンダー11に上方から挿入されるプラグ12とから
なり、該プラグ12の外周面と摺接するシリンダー11
の内周面に、該シリンダー11の上端部から下端部に渡
って、液化ガスを通すための溝部11bを、シリンダー
11の軸線方向に平行して複数本形成し、該複数本の溝
部11bのうちの少なくとも一本以上を、その上端から
下端に向けて、幅が略一定で、溝底の深さが徐々に浅く
なるように傾斜させて、該シリンダー11に対して相対
的に上下動可能なプラグ12がその最下端位置に達する
と、該シリンダー11の各溝部11bがプラグ12によ
って塞がれるように、液化ガス流下用ノズル3を構成す
る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、飲料缶詰の製造に
際して、飲料充填済みの缶をコンベアー上に一列に並べ
て搬送する間に、各缶内のヘッドスペースに不活性の低
温液化ガスを所定量ずつ流下させるために使用される、
液化ガス流下用ノズルに関する。
【0002】
【従来の技術】コーヒー,紅茶,緑茶,ウーロン茶,ス
ポーツ飲料,および果汁等の非炭酸飲料を、DI(絞り
しごき)缶のような薄肉の胴壁を持つ缶体に充填して缶
詰にする際に、飲料を充填した缶内の液面上に、液化窒
素や液化アルゴンのような低温不活性な液化ガスを少量
添加してから、缶の開口部に缶蓋を巻締めして密封する
ということが従来から行われている。
【0003】缶を密封する前に液化ガスを添加する理由
については、缶内の飲料液面上に添加された液化ガス
が、短時間に気化してその体積が数百倍となることで、
缶蓋で密封された缶のヘッドスペース(缶内上部の飲料
がない空間部分)の内圧が大気圧よりもかなり高くな
り、缶胴壁を内側から外側に向かって押し続けるため
に、缶胴壁に少しばかりの外圧が加わっても変形しなく
なるからである。
【0004】また、そのような液化ガスの添加により、
飲料上に添加された液化ガスの一部が瞬時に気化して体
積を増加させ、ヘッドスペースの空気を缶外へ追い出す
作用をするので、ヘッドスペースの残存酸素量を減少さ
せる(飲料の酸化による劣化を減少させる)という利点
も生じる。
【0005】上記のように缶のヘッドスペースに不活性
な低温液化ガスを少量添加するための液化ガス流下装置
において使用される液化ガス流下用ノズルについては、
ノズル孔が一個だけ設けられている場合、コンベアーで
搬送される飲料充填済みの缶が液化ガス流下装置の下を
通過する間に、所定量の液化ガスを缶内に流下させるに
は、該ノズル孔を大きくする必要がある。
【0006】その結果、大きなノズル孔から勢いよく流
下した液化ガスが、缶内の飲料液面と激しく衝突して、
その衝撃で液化ガスの一部が缶外に飛散し、缶内に残る
液化ガスの量が不安定になるというような問題を生じ
る。
【0007】そのような問題に対して、液化ガス流下装
置から流下させた液化ガスを、漏斗と方向変換ノズルを
介し、流下方向や流下速度を変えることで消勢して、流
下衝突時の衝撃を緩和するようにしたものが、特公平6
−59888号公報により従来公知となっており、ま
た、複数のノズル孔を設けることによって液化ガスを複
数条の流れに分けて流下させることにより、一条当たり
の流下衝突時の衝撃を緩和するようにしたものが、特公
昭63−44609号公報により従来公知となってい
る。
【0008】上記のような従来公知の液化ガス流下装置
の単位時間当たりの液化ガス流下量の制御については、
前者では、液化ガスの液面をほぼ一定の高さに制御する
と共に、この液化ガス液面上にかかる圧力を一定に維持
しつつ、液化ガス流下装置の流下バルブの上下動により
単位時間当たりの液化ガス流下量を制御している。
【0009】一方、後者において、液化ガスの液面をほ
ぼ一定の高さに制御すると共に、この液化ガス液面上に
かかる圧力を一定に維持しつつ、製造する缶詰の缶の内
容量が大きく変わったことに伴って単位時間当たりの液
化ガスの流下量を変える必要がある場合には、ノズル孔
の開口数や大きさの異なるノズルと取り替えることによ
って、液化ガスの流下量を変えている。
【0010】また、後者において、缶詰製造中の缶詰製
造ラインの速度変化に伴って単位時間当たりの液化ガス
の流下量を変える必要がある場合には、液化ガス流下装
置に予めノズル孔の開口数および大きさが同じ2個のノ
ズルを設けておき、缶詰製造ラインの低速運転時には1
個のノズルからだけ液化ガスを流下させ、缶詰製造ライ
ンの高速運転時(低速運転時の2倍の速度の時)には2
個のノズルから液化ガスを流下させることによって、液
化ガスの流下量を変えている。
【0011】さらに、流下衝突時の衝撃を緩和するため
に複数のノズル孔を設けた液化ガス流下用ノズルにおい
て、複数のノズル孔を形成したノズルプレートに対し
て、該ノズル孔を開放するための長孔と該ノズル孔を閉
塞するための閉塞面を形成したノズル開閉プレートを相
対変位可能に重ねることにより、両プレートを相対変位
させてノズルプレートのノズル孔の開度を変えること
で、液化ガスの単位時間当たりの流下量を制御するよう
にしたものが、特開平2−57521号公報により従来
公知となっている。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】ところで、上記のよう
な従来公知の液化ガス流下用ノズルについては、液化ガ
スの流下時における飲料液面との衝突の衝撃を緩和し
て、液化ガスの缶外への飛散を防ぐことは可能である
が、その何れにおいても、缶詰製造ラインの速度が無段
階的(曲線的またはスロープ的)に変化するのに対応し
て液化ガスの流下量を無段階的または連続的に微調整す
ることが困難なものとなっている。
【0013】すなわち、特公昭63−44609号公報
に記載の発明時点では、缶詰製造に使用する缶蓋巻締装
置は低速運転時と高速運転時(低速運転時の2倍の速
度)の2速タイプのものが殆どであり、飲料充填装置は
動力を缶蓋巻締装置から取っていてこれと同期運転する
ので、缶詰製造ラインの速度は2速のみであり、2個の
ノズルを装備した液化ガス流下装置で充分に対応するこ
とができていた。
【0014】しかしながら、最近では、低速運転から高
速運転までの間の速度が無段階的に変化する缶蓋巻締装
置が出現し始め、これを装備した缶詰製造ラインに使用
できる液化ガス流下装置が求められるようになってきた
のに対して、特公昭63−44609号公報に開示され
た技術思想ではこれに対応することができない。
【0015】一方、特開平2−57521号公報に開示
された技術思想は、いわば特公昭63−44609号公
報に記載の2個のノズルの代わりに多数のノズルを使用
し、缶詰製造ラインの速度の変化に対応して液化ガスを
流下させるノズルの数を変化させるという考えのもので
あって、一応ライン速度に対応して液化ガスの流下量を
変化させられるものの、単位時間当たりの液化ガスの流
下量の変化量が、ノズル1個の流下量(ノズル孔1個の
流下量)分ずつ増減するものである。
【0016】そのようなものでは、液化ガスの流下量の
変化は段階的(又は階段的)な変化でしかなく、流下量
を無段階的(曲線的またはスロープ的)には変化させら
れないため、無段階に製造ラインの速度が変化する缶詰
製造ラインにおいてこの液化ガス流下装置を使用すれ
ば、それによって製造される缶詰は各缶毎の缶内圧のバ
ラツキが大きいものとなってしまう。
【0017】本発明は、上記のような複数のノズル孔を
形成することにより、液化ガスを複数条の流れに分けて
流下させることで、流下された液化ガスと飲料液面との
衝突の衝撃を緩和するようにした低温液化ガス流下装置
に用いられる液化ガス流下用ノズルにおいて、簡単な構
造により、缶詰製造ラインの無段階的な速度変化に追従
して、液化ガスの単位時間当たりの流下量を連続的且つ
に無段階的に変化させることができるような液化ガス流
下用ノズルを提供することを課題とするものである。
【0018】
【課題を解決するための手段】本発明は、上記のような
課題を解決するために、上記の請求項1に記載したよう
に、液化ガス流下用ノズルが、軸線が上下方向のシリン
ダーと、該シリンダーに上方から挿入されるプラグとか
らなり、該プラグの外周面と摺接するシリンダーの内周
面に、該シリンダーの上端部から下端部にわたって、液
化ガスを通すための溝部が、シリンダーの軸線方向に平
行して複数本形成されており、該複数本の溝部のうちの
少なくとも一本以上は、その上端から下端に向けて、幅
が略一定で、溝底の深さが徐々に浅くなるように傾斜し
ていて、該シリンダーに対して相対的に上下動可能なプ
ラグがその最下端位置に達すると、該シリンダーの各溝
部がプラグによって塞がれるように構成されていること
を特徴とするものである。
【0019】また、上記の請求項1に記載した液化ガス
流下用ノズルにおいて、上記の請求項2に記載したよう
に、シリンダーに形成されている複数本の溝部の各々
が、何れも、その上端から下端に向けて、幅が略一定
で、溝底の深さが徐々に浅くなるように傾斜しているこ
とを特徴とするものである。
【0020】また、上記の請求項1又は2に記載した液
化ガス流下用ノズルにおいて、上記の請求項3に記載し
たように、プラグがその最下端位置に達した状態で、プ
ラグの外周面から外方に突出して形成されたフランジ部
により、シリンダーの各溝部の上端開放部が塞がれるよ
うに構成されていることを特徴とするものである。
【0021】また、上記の請求項1乃至3に記載した液
化ガス流下用ノズルにおいて、上記の請求項4に記載し
たように、シリンダーの内周面が円筒状であり、シリン
ダーの内周面に形成されている複数の溝部が、シリンダ
ーの軸心に対して放射状に配置されていることを特徴と
するものである。
【0022】また、上記の請求項1乃至3に記載した液
化ガス流下用ノズルにおいて、上記の請求項5に記載し
たように、シリンダーの内周面が、平面壁を有するもの
であり、シリンダーの内周面に形成されている複数の溝
部が、該平面壁に並列的に配置されていることを特徴と
するものである。
【0023】
【発明の実施の形態】以下、本発明の液化ガス流下用ノ
ズルの実施形態について、図面に基づいて詳細に説明す
る。
【0024】図1は、本発明の一実施形態に係る液化ガ
ス流下用ノズルを備えた液化ガス流下装置の概略を示す
もので、液化ガス流下装置1は、窒素ガスやアルゴンガ
ス等の不活性ガスの低温液化ガスを、搬送されて来る飲
料充填済みの缶の飲料液面上に上方から流下させて供給
するために、液化ガスの液面が大気に開放されて(従っ
て、液面上は大気圧とほぼ同じである)且つその液面が
一定の高さを保った状態で貯留槽2に貯留されている液
化ガスを、それ自体の重量により、常に一定の圧力がか
かっている状態で液化ガス流下用ノズル3を通して流下
させるものである。(なお、図1は、液化ガスの流下を
停止している状態を示している。)
【0025】すなわち、液化ガス流下装置1には、貯留
槽2内と連通する閉鎖空間の液化ガス通路4が、上下方
向に延びる内筒部5によって画成されており、該液化ガ
ス通路4の下端は、シリンダー11とプラグ12とから
なる本実施形態の液化ガス流下用ノズル3により閉鎖さ
れていて、該ノズル3のプラグ12を下端部に固定した
ロッド6が、ベローズ7を介して液化ガス通路4の閉鎖
状態を維持しつつ、上方から液化ガス通路4中に上下動
可能に挿入されている。
【0026】それにより、ロッド6を上下動させてプラ
グ12の位置を変えることで、後で詳しく述べるような
構造によって、ノズル3の開度が制御されて、貯留槽2
内に貯留されている液化ガスが、液化ガス通路4を通し
て、ノズル3の開度に応じた流量で下方に流下されるこ
ととなる。
【0027】なお、貯留槽2の外側には、貯留されてい
る低温の不活性液化ガスを外気温から断熱するために、
真空断熱室8が形成されていると共に、液化ガス通路4
の外側には、内筒部5と適当な間隔を置いて設けられた
外筒部9により、内筒部5と外筒部9の間に閉鎖空間の
真空断熱室10が形成されていて、貯留槽2側の真空断
熱室8と液化ガス通路4側の真空断熱室10とは互いに
連通されている。
【0028】また、液化ガス通路4の下端にある液化ガ
ス流下用ノズル3に対応して、低温の液化ガスの流下に
伴って大気中の水蒸気が該ノズル3の出口付近に氷結し
て付着するのを防止するために、電気の熱による防霜用
のヒーター13が、外筒部9の下端部外側に対して着脱
可能に取り付けられている。
【0029】図2および図3は、本実施形態の液化ガス
流下用ノズル3が使用されている液化ガス流下装置1の
下部を示すもので、図2は、液化ガス流下用ノズル3が
完全に閉じられている状態を示し、図3は、液化ガス流
下用ノズル3が所望の開度で開かれている状態を示して
いる。
【0030】また、図4および図5は、液化ガス流下装
置1に使用されている本実施形態の液化ガス流下用ノズ
ル3について、該ノズル3を構成する各部材を示すもの
で、図4はシリンダー11を示し、図5はプラグ12を
示している。
【0031】液化ガス流下用ノズル3は、本実施形態で
は、図4に示すような円筒状のシリンダー11と、図5
に示すような中空円柱状のプラグ12により構成されて
いて、図2および図3に示すように、シリンダー11
は、その下端近傍の外周面に形成されたフランジ部11
aで、外筒部6の外周面に螺合されるシリンダーキャッ
プ14により、パッキン15と共締めされた状態で液化
ガス通路4の底壁に固定されている。
【0032】一方、プラグ12は、図示していないが、
円筒状のロッド6の軸心中空部にその上端が嵌入される
ことで、該ロッド6の下端に固定されていて、上記のよ
うに液化ガス通路4の底壁に固定された円筒状のシリン
ダー11に対して、シリンダー11の内周面とプラグ1
2の外周面が摺接するように、上方から上下動可能に挿
入されている。
【0033】また、円筒状のシリンダー11には、その
上端面の外側に、リング状のパッキン16が一体的に付
設されており、これに対して、プラグ12には、図2に
示すような、プラグ12が最下端位置(プラグ12の下
端がシリンダー11の下端に達する)まで完全に挿入さ
れた状態で、上記のパッキン16と密着するように、そ
の外周面から外方に突出するフランジ部12aが一体的
に形成されている。
【0034】さらに、プラグ12のフランジ部12aよ
りも下方の外周面と摺接するシリンダー11の内周面に
は、図4(B)に示すように、シリンダー11の上端部
から下端部にわたって、幅が略一定で、上から下に向か
って溝底の深さが徐々に浅くなり、下端部付近では極め
て僅かな深さとなるような、溝底の傾斜した溝部11b
が、本実施形態では、図4(A)に示すように、シリン
ダー11の円筒状の内周面に、その軸心に対してそれぞ
れ放射状で等間隔に6〜12本程度(図示したものでは
12本)、それぞれシリンダー11の軸線方向に平行し
て形成されている。
【0035】上記のような構成を有する本実施形態の液
化ガス流下用ノズル3では、図2に示すように、プラグ
12がその最下端位置に達するまで完全に挿入された状
態では、シリンダー11の上端面に付設されたリング状
のパッキン16に、プラグ12のフランジ部12aの下
面が密着することで、シリンダー11の各溝部11bの
上端開放部は、全てプラグ12のフランジ部12aとパ
ッキン16により塞がれて、該ノズル3は完全に閉じら
れるため、液化ガス通路4内の液化ガスがノズル3を通
して流下することはない。
【0036】そのような状態からロッド6を適当に上昇
させることで、図3に示すように、プラグ12を上方に
移動させて停止すると、シリンダー11の上端面(パッ
キン16)からプラグ12のフランジ部12aが上方に
離れて、各溝部11bの上端開放部が液化ガス通路4に
連通すると共に、停止したプラグ12の下端位置におけ
るシリンダー11の各溝部11bの溝底の深さ応じて、
各溝部11bが下方に開放される。
【0037】そのため、液化ガス通路4内の液化ガス
は、プラグ12の下端位置での各溝部11bの断面積に
応じた流量で、複数本(12本)の各溝部11bを通っ
て均一な糸状に分散された状態で下方に流下することと
なり、したがって、シリンダー11に対するプラグ12
の位置をロッド6により調整して、下方に開放される各
溝部11bの断面積を変えることにより、各溝部11b
を通して流下させる液化ガスの流下量を無段階的に連続
して変更することができる。
【0038】上記のような本実施形態の液化ガス流下用
ノズル3によれば、流下させる液化ガスを複数本の各溝
部11bにより確実に案内させて、均一な糸状に分散さ
せた状態で下方の缶内に流下させることができるため、
流下した液化ガスが缶内の飲料液面に衝突する際の衝撃
を緩和して、液化ガスの飛散を効果的に防止することが
できると共に、ロッド6を動かしてプラグ12の位置を
変えることで、各溝部11bを通してノズル3から流下
させる液化ガスの流下量を、例えば、缶詰製造ラインの
速度の無段階的な変化に対応させて無段階的に変化させ
ることができるように、連続的に微量ずつ変化させるこ
とができる。
【0039】実際の缶詰製造ラインに適用する場合の一
例について詳細に述べると、プラグ12の位置と単位時
間当たりの液化ガスの流下量との関係、および、缶詰製
造ラインの速度とその速度で缶詰を製造する場合に必要
な単位時間当たりの液化ガスの流下量(製造される缶詰
に必要な缶内圧が得られる量)との関係を予め調べてお
いて、それらをコンピューターに入力しておく一方、そ
の缶詰製造ラインの速度をモニタリングしてコンピュー
ターに送り、その速度に合ったプラグ12の位置を演算
して、プラグ12の位置移動を指示する信号を、ロッド
6の上端に取り付けたサーボモーター(図示せず)に送
り、そのラインの速度でその缶詰を製造する場合に必要
な液化ガスの単位時間当たりの流下量が得られる位置に
プラグ12を移動させることによって、ノズル3から流
下する液化ガスの流下量を、ライン速度の無段階的な変
化に対応させて無段階的に変化させることができる。
【0040】以上、本発明の液化ガス流下用ノズルの一
実施形態について説明したが、本発明は、上記の実施形
態で説明したような具体的な構造にのみ限定されるもの
ではなく、例えば、液化ガス流下用ノズルを構成するた
めの各部材(シリンダーおよびプラグ)を、上記の実施
形態に示したような形状とは異なるものとして実施する
ことも可能である。
【0041】すなわち、図6は、本発明の液化ガス流下
用ノズルの他の実施形態について、液化ガス流下用ノズ
ル3を構成するためのシリンダー11の部分を示すもの
で、この実施形態では、シリンダー11の内周面を、横
断面形状が長円形で、対向する一対の平面壁を有するも
のとして、該平面壁のそれぞれに対して、シリンダーの
上端部から下端部にわたって溝底が傾斜した溝部11b
を、複数本(図示したものでは各平面壁に5本ずつ)並
列的に形成したものである。
【0042】このようにシリンダー11の内周面に平面
壁を形成して、該平面壁に複数本の溝部11bを並列的
に形成したような実施形態によれば、該平面壁が缶の搬
送方向と平行になるように液化ガス流下用ノズル3を設
置することで、分散させて流下させる複数条の液化ガス
の流れを、幅の狭い範囲に集めることができるため、口
径の小さいような缶に対して液化ガスを流下するような
場合に好適である。
【0043】また、上記の各実施形態では、複数本の溝
部11bについて全て同じ大きさの溝(溝の幅×溝の深
さ)としているが、必ずしもそのようにする必要はな
く、また、上記の各実施形態では、全ての溝部11bに
おいてシリンダー11の上端部から下端部にわたって溝
底を傾斜させているが、複数本の溝部のうちの少なくと
も1本以上について溝底を傾斜させれば、残りの溝部を
シリンダーの上端部から下端部にわたって溝の深さが等
しいものとして実施することも可能である。
【0044】すなわち、傾斜した溝底を持つ溝部が1本
以上あれば、プラグの上下動により液化ガスの単位時間
当たりの流下量を無段階的に変化させることは可能であ
る。しかしながら、例えば、多くの溝部の中で、傾斜し
た溝底を持つ溝部の大きさ(溝の幅×溝の深さ)が他の
ものとあまり変わらず、傾斜した溝底を持つ溝部が1本
しかないような場合には、液化ガスの単位時間当たりの
流下量を大きく変化させることができないため、複数本
の溝部の大部分を溝底が傾斜したものとする方が効果的
であることは言うまでもない。
【0045】
【発明の効果】以上説明したような本発明の液化ガス流
下用ノズルによれば、液化ガスを均一な糸状に分散させ
た状態で下方に流下させることができ、流下した液化ガ
スが缶内の飲料液面に衝突する際の衝撃を緩和して、該
液化ガスの飛散を防止することができると共に、分散さ
せて流下させる単位時間当たりの液化ガスの流下量を、
簡単な構造により無段階的に変化させることができるた
め、缶詰製造ラインの無段階的な速度変化に追従して、
液化ガスの単位時間当たりの流下量を増減させることが
できる。したがって、本発明の液化ガス流下用ノズルを
装備した低温液化ガス流下装置を使用すれば、速度変化
が無段階的である缶詰製造ラインであっても、製造され
る缶詰は、各缶毎にその缶内圧が大きくバラツクような
ことはない。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態に係る液化ガス流下用ノズ
ルを備えた液化ガス流下装置の全体についての概略を示
す説明図。
【図2】図1に示した液化ガス流下装置において、液化
ガス流下用ノズルが完全に閉じられている状態を示す断
面図。
【図3】図1に示した液化ガス流下装置において、液化
ガス流下用ノズルが小さな開度で開かれている状態を示
す断面図。
【図4】本発明の液化ガス流下用ノズルの一実施形態に
ついて、そのシリンダー部分を示す(A)上面図,およ
び(B)図AのB−B線に沿った縦断面図。
【図5】本発明の液化ガス流下用ノズルの一実施形態に
ついて、そのプラグ部分を示す(A)縦断面図,および
(B)図AのB−B線に沿った横断面図。
【図6】本発明の液化ガス流下用ノズルの他の実施形態
について、そのシリンダー部分を示す(A)上面図,お
よび(B)図AのB−B線に沿った縦断面図。
【符号の説明】
1 液化ガス流下装置 3 液化ガス流下用ノズル 11 (液化ガス流下用ノズルの)シリンダー 11b (シリンダーの)溝部 12 (液化ガス流下用ノズルの)プラグ 12a (プラグの)フランジ部

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 軸線が上下方向のシリンダーと、該シリ
    ンダーに上方から挿入されるプラグとからなり、該プラ
    グの外周面と摺接するシリンダーの内周面に、該シリン
    ダーの上端部から下端部にわたって、液化ガスを通すた
    めの溝部が、シリンダーの軸線方向に平行して複数本形
    成されており、該複数本の溝部のうちの少なくとも一本
    以上は、その上端から下端に向けて、幅が略一定で、溝
    底の深さが徐々に浅くなるように傾斜していて、該シリ
    ンダーに対して相対的に上下動可能なプラグがその最下
    端位置に達すると、該シリンダーの各溝部がプラグによ
    って塞がれるように構成されていることを特徴とする液
    化ガス流下用ノズル。
  2. 【請求項2】 シリンダーに形成されている複数本の溝
    部の各々が、何れも、その上端から下端に向けて、幅が
    略一定で、溝底の深さが徐々に浅くなるように傾斜して
    いることを特徴とする請求項1に記載の液化ガス流下用
    ノズル。
  3. 【請求項3】 プラグがその最下端位置に達した状態
    で、プラグの外周面から外方に突出して形成されたフラ
    ンジ部により、シリンダーの各溝部の上端開放部が塞が
    れるように構成されていることを特徴とする請求項1又
    は2に記載の液化ガス流下用ノズル。
  4. 【請求項4】 シリンダーの内周面が円筒状であり、シ
    リンダーの内周面に形成されている複数の溝部が、シリ
    ンダーの軸心に対して放射状に配置されていることを特
    徴とする請求項1乃至3に記載の液化ガス流下用ノズ
    ル。
  5. 【請求項5】 シリンダーの内周面が、平面壁を有する
    ものであり、シリンダーの内周面に形成されている複数
    の溝部が、該平面壁に並列的に配置されていることを特
    徴とする請求項1乃至3に記載の液化ガス流下用ノズ
    ル。
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