JPH10250280A - チップ構造 - Google Patents

チップ構造

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JPH10250280A
JPH10250280A JP9084328A JP8432897A JPH10250280A JP H10250280 A JPH10250280 A JP H10250280A JP 9084328 A JP9084328 A JP 9084328A JP 8432897 A JP8432897 A JP 8432897A JP H10250280 A JPH10250280 A JP H10250280A
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亮浩 塩原
Koichi Takayama
晃一 高山
Kahori Funabashi
かほり 船橋
Hajime Tomita
肇 富田
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Abstract

(57)【要約】 【課題】外径が1.2〜3.0mmのボールを有したチッ
プ構造において、ボールペンチップとした際の放置後の
書き出し性能が良いものを得る。 【解決手段】平均粗さ(Ra)が0.005〜0.01
5μmの表面粗度を有した、外径が1.2〜3.0mmの
ボールを用いる。このボールを、ボール径の25〜30
%未満の範囲でチップ先端縁部から外方へ突出するチッ
プ構造とする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、筆記具の筆記先端
部として、あるいは塗布具の塗布先端部として、ボール
径が1.2〜3.0mmの大玉のボールを配設したチップ
構造に関する。
【0002】
【従来の技術】従来より、ボールペンの筆記先端部や修
正ペンの塗布先端部として、チップ先端部にボールを回
転自在に抱持したチップ構造は知られている。このチッ
プ構造を有する筆記具または塗布具として、ボールペン
または修正ペンがある。従来、ボールペンにおいては、
漢字や小さな文字が書けるようにと、外径が1.0mm以
下のボールを有したものが殆どであった。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかし最近、ボール径
を大きくすると、ボール径が小さいものよりは滑らかな
筆感が得られるということで、外径が1.2mm以上のボ
ールを有したボールペンチップを備えたボールペンが見
直され始めた。そこで、外径が1.2mmのボールを、従
来の外径が0.7mmや0.5mmのボールの場合と同様に
してチップ先端に抱持し、ボールペンとして作製し、そ
の筆記性能について調べてみたところ、キャップオフ状
態で1週間室温で放置した後の書き出し時において、筆
跡の線かすれが発生してしまった。
【0004】本発明者達が検討したところによれば、放
置後の書き出し時の線かすれは、チップ先端より外方に
露出したボールの表面及びチップ先端開口部のインキが
乾燥し、次にチップ内のインキが徐々に乾燥し、この乾
燥したインキがボールの回転抵抗となり、線かすれが発
生すると推測される。従って、ボール径の増大に伴いボ
ールの突出面積が増大し、かつチップ先端開口部の面積
が増加し、チップ内のインキの溶剤の蒸発が促進されて
チップ先端が乾燥しやすくなり、乾燥したインキによる
回転抵抗力が大となるので、ボール径が1.2mm以上の
ものでは線かすれが著しく発生すると思われる。
【0005】本発明は、ボール径が大径でも、外方に露
出したボールの表面に付着するインキの量を抑え、乾燥
固化によるボールの回転抵抗が著しく増大しないように
することにより、上記問題を解決することができること
を知り、本発明に至った。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明は上記問題を解決
するために、チップ先端部に、ボールを回転可能に抱持
したチップ構造において、算術平均粗さ(Ra)が0.
005〜0.015μmの表面粗さで、外径が1.2〜
3.0mmのボールを、チップ先端縁部から外方にボール
径の25〜30%未満を突出させたものである。
【0007】一般的に、比較的にインキの粘度が高い油
性ボールペンは、チップ内でボールに供給されたインキ
がボールを介して紙に転写され筆跡が得られるという機
構を利用している。そのためボールにインキがぬれやす
くするように(乗り移りやすくするように)ボールの表
面を粗面にしているが、前記大玉の場合、ボールの表面
粗さを0.015μmより大きくすると、ボールへのイ
ンキのぬれ性が大き過ぎ、インキの付着量が多くなり、
乾燥時のボールの回転抵抗が大となり、線かすれが発生
してしまう。また、0.005μm以下では、ボールに
対するインキのぬれ性が不充分となり、筆記時に筆跡の
中抜け現象を引き起こしてしまう。そのために、算術平
均粗さ(Ra)は0.005〜0.015μmが好適で
ある。
【0008】算術平均粗さ(Ra)とは、触針式表面粗
さ測定器(Rank TaylorHobson社製の
機種名:Form−Talysurf−S1F−50)
により測定された粗さ曲線から、その平均線の方向に基
準長さLだけ抜き取り、この抜き取り部分の平均線から
測定曲線までの偏差の絶対値を合計し、平均した値であ
る。
【0009】
【式1】
【0010】本発明においては、ボール径の外径を3.
0mm以下に限定しているが、その理由は、それ以上の外
径になると、ボールへのインキの供給構造に左右され、
ボールへのインキののりという問題だけでなくなるから
である。
【0011】本発明では、チップ先端部からのボールの
突出量をボール径の25〜30%未満と規定している
が、ボールの突出量をボール径の30%以上とすると、
極めて乾燥し易くなり、ボールの表面に付着したインキ
およびチップ先端開口部のインキとボール表面との接触
面積が大きく、乾燥時のボールの回転抵抗が大となり、
線かすれが発生しやすくなる。また、25%未満では、
筆記時に、ボールペンチップをねかして筆記するために
チップ先端部が紙面と当接し易くなり、実用上の問題が
発生する。
【0012】キャップオフ状態での放置後の書き出し時
において、筆跡の線かすれが発生しにくいチップ構造と
するには、ボールの表面粗さとボールのチップ先端から
の外方への突出量とを限定してはじめて相乗的な効果に
より、目的を達成することができる。
【0013】一般的なボールの材質としては、タングス
テンカーバイト系超硬材ボール、ステンレススチール、
シリカ、アルミナ、ジルコニア、炭化ケイ素等のセラミ
ックボール等がある。
【0014】
【発明の実施の形態】本発明の実施の形態を図面を用い
て説明する。ボールペンチップとして、先ず、ステンレ
スのチップ本体1を、ドリル加工によりボール抱持室2
と該ボール抱持室2の底壁3の中央にインキ通路孔4を
形成し、ハンマーリングにより前記インキ通路孔4から
放射状に延びた放射状溝5を設けて形成する。
【0015】次に、ボール抱持室2に、ボール径:Dが
1.2〜3.0mmで算術平均粗さ:Raが0.005〜
0.015μmの表面粗さのタングステンカーバイト系
超硬材のボール6を挿入し、前記底壁3に当接させて、
ボール2をハンマーリングして当接した部分をボール形
状としたボール座7を形成する。次に、ボール6のチッ
プ先端部からの突出量:Hがボール径の25〜30%未
満となるように、チップ先端縁部8を内方にかしめて、
ボール6を回転自在に抱持して、ボールペンチップ9を
作製する。
【0016】本実施の形態では、底壁3、インキ通路孔
4、放射状溝5を設けて、ボール座7を有した構造とな
っているが、図示はしないが、これらを有さない、ボー
ル6をスプリングで直接にまたは可動子を介してチップ
先端縁部8側に押圧した構造であっても良い。または、
チップ本体1をパイプで構成し、ボール6の後端を繊維
束等の棒状体や針体で保持した、あるいはパイプの壁面
を半径方向に凹ませて得られ突起部により保持したチッ
プ構造であっても良い。
【0017】
【実施例】前述した実施の形態と同様にして、ボール
径:D、ボールの平均粗さ:Ra、ボールのチップ先端
部からの突出量:Hを表1に示すような値のものを作製
し、本願発明の寸法関係に該当するものを実施例とし、
そうでないものを比較例として通し番号を付した。
【0018】
【表1】
【0019】各ボールペンチップを、当社で市販してい
る油性インキボールペンのレフィールに挿着し、油性イ
ンキボールペンとして作製し、この各油性インキボール
ペンを、走行試験機により、次の要領で試験及び評価を
おこなった。
【0020】試験方法:筆記角度70度、荷重200
g、筆記速度4m/min の諸条件下で、100mのらせ
ん書きを行ない、筆跡状態を目視観察した。 キャップオフ状態で室温で1週間放置した後、筆記角
度70度、荷重200g、筆記速度4m/min の諸条件
下で、直線書きを行ない、その時の線かすれが無く、正
常な筆跡で書き出せるまでの距離を測定した。
【0021】 評価:筆跡状態 筆跡の中ぬけ現象がなく、良好な筆跡がえられたもの・・・○ 筆跡の中ぬけ現象が見られたもの・・・・・・・・・・・・× 放置後の書き出し性能 5mm未満で、線かすれがなく書き出せたもの・・・・・・・○ 5〜100mm以内で、線かすれがなく書き出せたもの・・・△ 100mmを越えて、書き出せたもの・・・・・・・・・・・× その結果は、表1に示すとおりである。
【0022】比較例1は、ボールのチップ先端部からの
突出量をボール径の31.0%としたために、外方へ露
出するボールの表面積が増加し、ボールの回転がスムー
ズに行なわれなく、放置後の書き出し性能が悪かった。
【0023】比較例2は、ボールの表面粗さ(算術平均
粗さRa)が小さ過ぎるために、ボールの濡れ性が悪
く、ボールの表面に均一にインキが乗らなく、筆跡の中
ぬけ現象が発生してしまった。
【0024】比較例3は、ボールの表面粗さ(算術平均
粗さRa)が大き過ぎるために、放置後の書き出し性能
が悪かった。
【0025】
【発明の効果】本発明のチップ構造は前述したような構
成なので、ボール径が1.2mm〜3.0mmの大玉のボー
ルであっても、筆跡の中抜け現象が起こらず、放置後の
ボールの回転抵抗の増加による書き出し性能の悪化もな
い、従来の1.0mm以下のボール径を有したボールペン
チップのものと筆記性能において遜色のないボールペン
チップを提供することができた。
【図面の簡単な説明】
【図1】ボールペンチップの先端部分の縦断面図であ
る。
【符号の説明】
6 ボール 8 チップ先端縁部 9 ボールペンチップ D ボール径 Ra 平均粗さ H ボールのチップ先端からの突出量
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 富田 肇 群馬県伊勢崎市長沼町1744−2 株式会社 パイロット伊勢崎工場内

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】チップ先端部に、ボールを回転可能に抱持
    したチップ構造において、算術平均粗さ(Ra)が0.
    005〜0.015μmの表面粗さで、外径が1.2〜
    3.0mmのボールを、チップ先端縁部から外方にボール
    径の25〜30%未満を突出させたことを特徴とするチ
    ップ構造。
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