JPH10245403A - 抗菌性ヨウ素複合体及びその用途 - Google Patents

抗菌性ヨウ素複合体及びその用途

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JPH10245403A
JPH10245403A JP6557997A JP6557997A JPH10245403A JP H10245403 A JPH10245403 A JP H10245403A JP 6557997 A JP6557997 A JP 6557997A JP 6557997 A JP6557997 A JP 6557997A JP H10245403 A JPH10245403 A JP H10245403A
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JP
Japan
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iodine
cyclodextrin
antibacterial
povidone
inorganic compound
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Application number
JP6557997A
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English (en)
Inventor
Katsuo Takashi
勝男 高師
Akio Maeda
暁男 前田
Itsuki Fujita
逸樹 藤田
Shigeru Hagiwara
滋 萩原
Yasoji Sasaki
八十治 佐々木
Manabu Nakahara
学 中原
Masanori Tanaka
正範 田中
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YAMASAN KK
Nippoh Chemicals Co Ltd
Mizusawa Industrial Chemicals Ltd
Original Assignee
YAMASAN KK
Nippoh Chemicals Co Ltd
Mizusawa Industrial Chemicals Ltd
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 抗菌活性が長期にわたって持続され、且つ耐
熱性及び熱安定性の優れた抗菌性熱可塑性樹脂組成物を
提供するにある。 【解決手段】 シクロデキストリンをホスト分子として
ヨードホールをゲスト分子包接乳化液としてから微粉末
の多孔質無機化合物に担持させたヨウ素複合体として熱
可塑性樹脂に混練配合した抗菌性熱可塑性樹脂組成物。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、抗菌性ヨウ素複合体及
びその用途に関するもので、より詳細には、ヨードホー
ルをシクロデキストリン中に組み込んでなる包接体を多
孔質無機化合物に担持させてなり、ヨウ素化合物が持つ
抗菌作用を保持し、且つその耐熱性を向上させた抗菌性
ヨウ素複合体に関する。本発明は更に、この抗菌性ヨウ
素複合体を含有する樹脂組成物及びその成形体、並びに
それら抗菌性物質を用いた水処理剤にも関する。
【0002】
【従来の技術】ヨウ素は、ハロゲン系の次亜塩素酸に匹
敵する優れた抗菌性を有し、人体に対して比較的安全で
あり、従来より消毒剤として、広く使用されている。例
えば、理容、美容業界のハサミ、カミソリ、バリカン等
の金属器具の消毒等の用途に、布、紙、合成樹脂シ−ト
等の柔軟性材料にヨウ素を含浸、内填させたものが消毒
防錆布として使用され、ペ−スト中にヨウ素を含有させ
たものは塗布可能な創傷治療剤として使用され、更に活
性炭、ゼオライト、ケイ藻土、ケイ酸カルシウム等の担
体にヨウ素を担持、吸蔵させたものは空気浄化、脱臭、
防菌、殺ウイルス等の用途に使用されている。
【0003】特開平5−237171号公報には、アル
コ−ル、エ−テル等の媒体中にヨウ素、ヨウ化物イオン
及び非イオン性界面活性剤を含む殺菌剤組成物を含浸さ
せたポリウレタン発泡体が記載され、このものは外科手
術用洗浄具として有用であることが示されている。特開
平4−174632号公報には、ヨウ素、アルコ−ル、
ポリオ−ル、ポリビニルピロリドン等を含有するヨウ素
系殺菌剤組成物を含浸させたウエットテイツシュが記載
されている。更に、特開昭60−40048号公報に
は、ポビドンヨ−ド(ポリビニルピロリドン−ヨウ素錯
体)を殺菌剤として、吸収性部材に含浸させた衛生ナプ
キン等が記載されている。
【0004】最近、シクロデキストリン(CyD)に防
虫剤、防黴剤、芳香剤等を包接させ、これを熱可塑性重
合体等に配合して、上記各薬剤の作用とその持続性とを
成形品に付与することが行われている(特開昭61−2
7010号公報、特開昭61−65805号公報、特開
昭61−152765号公報、特開平6−248194
号公報)。
【0005】更に、シクロデキストリンを用いたヨウ素
の包接体も既に知られており、香粧会誌第8巻第2号
(1984)には、β−シクロデキストリン・ヨウ素
(CDI)を含む含嗽(うがい)剤の殺菌効果が記載さ
れている。
【0006】また、熱可塑性樹脂に抗菌性を付与する方
法としては銀、銅、亜鉛、金、白金などの金属イオンを
無機珪素化合物等に担持させた抗菌剤、例えば抗菌性ゼ
オライトのような無機物質を熱可塑性樹脂に添加、混練
する方法が知られている。
【0007】一方、ヒノキチオールまたはカラシオイル
のシクロデキストリン包接化合物を熱可塑性樹脂に添
加、混練して抗菌性等を付与する方法として、特開平4
−359028号、特開平4−325069号、特開平
3−16726号等の明細書に提案されているものがあ
る。
【0008】本発明者が特願平8−206359(特許
出願中)で開示した如く、ヨードホールをシクロデキス
トリンで包接体とすることによりヨードホールの前記問
題点、特に有効ヨウ素量の長期安定性、即ち抗菌作用の
持続性と熱安定性等が著しく改善されることを見い出
し、このヨードホール−シクロデキストリン包接体を熱
可塑性樹脂に配合した抗菌性に優れた樹脂組成物を提案
している。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】ヨウ素は、抗菌性も強
く、広範囲の抗菌スペクトルを有し、しかも安全性に優
れているという利点があるが、特有の臭いと色とを有す
ると共に昇華性があり、水に殆ど溶けず、取り扱いに難
点があることが問題であり、一方ヨードホールは、ヨウ
素と同様な抗菌性及び抗菌スペクトルを有しながら、ヨ
ウ素に特有の臭いが抑制され、取り扱いも容易であると
いう利点を有するが、比較的短時間の内に効果が失われ
る傾向があり、抗菌作用の持続性に関して未だ十分満足
しうるものではなく、更に熱安定性も未だ十分であると
はいえず、種々の樹脂中に配合した場合には、十分な抗
菌性を保持させることが概して困難である。
【0010】また、ヨードホールを種々の担体に担持さ
せた場合には、担体とヨウ素との相互作用が生じ、有効
ヨウ素量が減少することも問題である。ポビドンヨード
は粉末固体であり、そのままでは多孔質無機化合物担体
への担持性が悪く、製品化が困難であった。また、ポビ
ドンヨードを水に溶解し、水溶液としてから多孔質無機
化合物での担持性について検討を行った結果、水溶液単
独では無機化合物の微細孔部への吸着が悪く、ヨウ素濃
度の高い複合体を得るのが困難であり、また、抗菌作用
の持続性面でも十分満足するものは得られなかった。
【0011】従って、本発明の目的は、ヨウ素特有の臭
気が抑制されていると共に、有効ヨウ素量が長期にわた
って安定に維持され、しかも抗菌作用の持続性と熱安定
性、並びに耐熱性に優れた抗菌性ヨウ素複合体及びそれ
を用いた抗菌剤を提供するにある。
【0012】更にまた、抗菌性ゼオライトのような無機
物質を熱可塑性樹脂に添加すると熱可塑性樹脂の有する
特性が損なわれることがある。また、金属イオン化合物
は毒性が強く、安全衛生上問題等がある。
【0013】ヒノキチオール、カラシオイルのシクロデ
キストリン包接化合物を熱可塑性樹脂に添加、混練した
抗菌樹脂組成物の抗菌効果は優れているが、シクロデキ
ストリン包接化合物の耐熱性が悪く、樹脂に配合し、加
工する場合問題となってくる。
【0014】ヨードホール−シクロデキストリン包接体
を配合した熱可塑性樹脂組成物は広範囲の抗菌スペクト
ルを有しており、しかも抗菌作用の持続性及び熱安定性
が優れているので、抗菌性が優れた成形品を作ることが
可能となった。しかし、ヨードホール−シクロデキスト
リン包接体、単体では耐熱性に限界があり、ヨードホー
ル−シクロデキストリン包接体を配合した熱可塑性樹脂
組成物を180℃以上の高温で成形加工すると、シクロ
デキストリン自体が熱劣化し、包接効果を失うため耐熱
性に要求される用途への応用が困難であるという問題が
ある。
【0015】従って本発明の他の目的は、種々の熱可塑
性重合体に配合して成形することが可能であり、これに
より抗菌性に優れた樹脂成形体及び積層樹脂とすること
が可能な樹脂組成物を提供するにある。更に、粒子の大
きさが1.0μm乃至15mm程度で、且つ細孔径及び細
孔容積の大きい多孔質無機化合物に保持させることによ
り、殺菌性水処理剤を提供するにある。
【0016】
【課題を解決するための手段】上記の如く、従来技術の
諸々の欠点に鑑み、本発明者はポビドンヨードが持つ特
性、すなわち、人や動物、植物に感染する病原菌に対
し、強い抗菌性を有しており、バクテリア、ウィルス、
カビ、胞子菌、プロトゾア、イースト菌等あらゆる種類
の微生物を速やかに殺菌するのみならず、ある種の昆虫
類、寄生虫類、線虫類に対しても殺虫効果があり、なお
かつ、毒性が極めて弱く、安全衛生、環境汚染等の問題
もなく、比較的安価で手軽に使用できることに着目、特
願平8−206259(特許出願中)で開示したポビド
ンヨード−シクロデキストリン包接体を配合してなる熱
可塑性樹脂組成物より利用範囲の広い樹脂組成物を開発
すべく、ポビドンヨード−シクロデキストリンと多孔質
無機化合物担体とを複合化させ、耐熱性及び抗菌作用の
持続性の向上について誠意研究を行った。そして、ポビ
ドンヨード水溶液に少量のシクロデキストリンを添加、
撹拌し包接乳化液として多孔質無機化合物担体に担持さ
せると微細孔部への吸着性、即ち担持性が著しく改善さ
れ高濃度の抗菌性ヨウ素複合体が得られた。このポビド
ンヨード−シクロデキストリン包接乳化液としてから多
孔質無機化合物に担持させた抗菌性ヨウ素複合体として
熱可塑性樹脂に配合すると耐熱性が優れ、且つポビドン
ヨードの持つ特性を長期間持続させることが可能である
ことを確認し、本発明を完成するに至った。
【0017】更に、ポビドンヨード−シクロデキストリ
ン包接体を保持した多孔質無機化合物又はポビドンヨー
ド−シクロデキストリン包接体を保持した多孔質無機化
合物を含む樹脂成形体は、ポビドンヨードを長期間保持
し、水中においても徐々に放出することから、殺菌性水
処理剤としても使用可能であることも判明した。
【0018】本発明によれば、シクロデキストリンをホ
スト分子としてヨードホールをゲスト分子として含んで
成る包接体を多孔質無機化合物に担持させてなる抗菌性
ヨウ素複合体が提供される。
【0019】本発明によれば、 1.シクロデキストリンとヨードホールが0.5:9
9.5乃至40.0:60.0特に1.0:99.0乃
至20:80の重量比で存在すること、 2.ヨードホールが5乃至20%の有効ヨウ素量を有す
るものであること、 3.シクロデキストリンがα型、β型或いはγ型のシク
ロデキストリンまたはマルトシルシクロデキストリンで
あること、 4.多孔質無機化合物が平均粒径1.0〜50μm、細
孔容積0.1〜2.0ml/gpH9(5%スラリー)以下で
あること、が好ましい。
【0020】本発明によれば、熱可塑性重合体にシクロ
デキストリンをホスト分子としてヨードホールをゲスト
分子として含んで成る包接体を担持した多孔質無機化合
物を配合して成り、且つ少なくとも0.005%の有効
ヨウ素量を有する抗菌性ヨウ素複合体剤とから成る抗菌
性樹脂組成物が提供される。
【0021】本発明の樹脂組成物において、熱可塑性樹
脂100重量部当たり前記抗菌剤を0.1乃至50重量
部の量で含有させるた樹脂成形体がよく。更に、この樹
脂組成物を20〜80重量%の割合で配合した樹脂成形
体にすることもできる。更に、本発明の樹脂組成物は、
成形体の少なくとも表面に存在するように任意の成形方
法で樹脂成形体に成形でき、これにより成形体に抗菌性
を付与することができる。
【0022】本発明によれば、本発明の抗菌性ヨウ素複
合体及び該複合体を含んだ樹脂組成物を配合してなる樹
脂成形体からなる殺菌性水処理剤が提供される。
【0023】
【発明の実施形態】一般に、ある分子Aが他の分子Bを
内部に取り込み、包接体を形成するとき、分子Aをホス
ト分子、分子Bをゲスト分子と呼ぶ。本発明では、ホス
ト分子としてシクロデキストリンを選択し、ゲスト分子
としてヨードホールを選択し、これらを組み合わせて包
接体とし、該包接体を多孔質無機化合物に担持する。こ
れにより、ヨードホールの抗菌性を保持させながら、1
80℃以上での耐熱性を向上させ、且つ抗菌性の持続性
をも向上させることができる。また、本発明の包接体に
おける有効ヨウ素の放出は、包接体からのヨードホール
の解包接と、解包接されたヨードホールからの有効ヨウ
素の放出との2種のプロセスを通して行われる。このた
め、本発明の包接体は、有効ヨウ素の徐放性に優れてお
り、抗菌作用の持続性に極めて優れているものである。
【0024】シクロデキストリンは、グルコースがα−
1,4結合で環状に結合した分子式が(C6H10O5)n
で表される非還元性のオリゴ糖であり、グルコースが環
状に結合したドーナツ状の分子となっており、その中心
孔の中に種々の分子が入り得るようになっている。
【0025】グルコースの結合数nが6、7及び8のも
のがそれぞれ、α−、β−及びγ−シクロデキストリン
として知られており、空孔の直径はこの順序に大きくな
っており、これを示すと次の通りとなる。 種類 グルコース単位の数 空孔径(オングストローム) α 6 4.5 β 7 6.0 γ 8 8.5
【0026】シクロデキストリンは、円錐台形の形状を
有しており、狭い方の口にグルコース単位の1級水酸基
が位置しており、広い方の口に2級水酸基が位置してい
て、水になじみやすい構造となっていると共に、両方の
水酸基で挟まれているシクロデキストリンの壁が水をは
じく疎水性の壁となっている。
【0027】ヨードホール(Iodophor)とは、界面活性
剤や重合体を担体としたヨウ素の複合体であり、ヨウ素
に固有の不快臭は取り除かれているが、強い抗菌作用及
び広い抗菌スペクトルを有することが特徴である。
【0028】即ち、ヨードホールは、分子ヨウ素と同様
に、バクテリア、ウィルス、カビ、胞子菌、プロトゾ
ア、イースト菌等の微生物を殺菌するのみならず、ある
種の寄生虫類、線虫類等に対しても駆除能力を有するこ
とが知られており、微生物の耐性が形成されないという
利点をも有している。また、このヨードホールは、古典
的なハロゲン系抗菌剤に比して、安全性が高く、取り扱
いも容易であり、人や動物に対する刺激も少ないという
利点を与える。
【0029】本発明においては、シクロデキストリンを
ホスト分子とし、ヨードホールをゲスト分子として、包
接体を形成させることにより、ヨードホールの熱安定性
が向上し、更に180℃以上での耐熱性を保つために、
多孔質無機化合物に担持させるものである。
【0030】本発明の包接体の熱安定性が向上する理由
としては、シクロデキストリンの空孔内にヨードホール
のヨウ素コンプレックス部分が少なくとも部分的に収納
されており、シクロデキストリンの疎水的な壁が、ヨウ
素コンプレックス部分を保護し、耐熱性を向上させるも
のと思われる。また、シクロデキストリンの口に位置す
る水酸基は、ヨードホールのヨウ素コンプレックス部分
の空孔内への導入を容易にすると共に、ヨウ素コンプレ
ックス部分と更に複合化することにより一層安定した構
造としている可能性もある。
【0031】[シクロデキストリン]本発明において、
シクロデキストリンとしては、前に述べたものが何れも
使用され、α型、β型或いはγ型のシクロデキストリン
が、単独で或いは2種以上の組み合わせで使用される。
これらのシクロデキストリンは、デンプンに耐アルカリ
性菌の1種であるバチルスの酵素を作用させることによ
り、一般に製造されるものである。
【0032】シクロデキストリンの誘導体も各種知られ
ており、これらの誘導体も勿論本発明の目的に使用でき
る。これらの誘導体としては、分岐シクロデキストリン
や修飾シクロデキストリン、更にはシクロデキストリン
ポリマー等が挙げられる。
【0033】分岐シクロデキストリンとしては、シクロ
デキストリンを構成するグルコース単位の1個に、グル
コース或いはマルトースをα−1,6で分岐させたもの
で、グルコシルシクロデキストリン或いはマルトシルシ
クロデキストリンと呼ばれているものが使用される。分
岐シクロデキストリンは、通常のシクロデキストリンに
比して水或いは有機溶媒に対する溶解性に優れており、
本発明の用途に使用した場合には、有効ヨウ素の安定性
にも優れているという利点をも与えるものである。
【0034】修飾シクロデキストリンとは、シクロデキ
ストリンの水酸基の位置に化学修飾基を導入したもので
あり、修飾基には、(−COCH3)等のアシル基、
(−NHCOR基)[Rはアルキル基]等のアシルアミ
ノ基、(−CONHR)等のアミド基、(−OCH
3)、(−OC2H5)等のアルコキシル基、(−NH
2)、(−NHCH3)等のアミノ基、F、Cl、Br等
のハロゲン原子、(−OCH2−CH2−COOH)等の
カルボキシルエーテル基、ニコチンアミド基、イミダゾ
リル基、(−OCH2−CH2−SO3−Na基)、(−
OSO3−Na基)等が挙げられる。シクロデキストリ
ンの水酸基には、1級水酸基と2級水酸基との2種類が
あることは既に述べたとおりであるが、一般に1級水酸
基の位置に修飾基を導入しやすく、1級水酸基の位置に
修飾基を導入したものが好適に使用される。しかしなが
ら、最近では、2級水酸基の位置に修飾基を導入したも
のも既に知られており、このものも本発明の目的に使用
することができる。修飾シクロデキストリンは、溶解性
の向上、界面活性的特性の向上、ゲスト分子の選択性、
抗菌性の向上等の一般的作用を有しており、これらの作
用は、本発明の用途の場合にも同様に達成される。
【0035】シクロデキストリンポリマーとしては、シ
クロデキストリンに架橋剤、例えばアルデヒド、エピク
ロールヒドリン、イソシアネート等を作用させ、分子間
架橋を生じさせたものが使用される。
【0036】[ヨードホール]本発明において、ヨード
ホールとしては、それ自体公知の任意のヨードホール製
剤が使用され、このヨードホールは殺菌作用を有するが
ヨウ素に固有の不快臭を有しない複合体から成ってい
る。この複合体では、重合体や界面活性剤から成る担体
にヨウ素がコンプレックスの形で組み込まれている。
【0037】ヨードホールの担体重合体としては、ポリ
ビニルピロリドンの他に、ポリエーテルグリコール、ポ
リビニルアルコール、ポリアクリル酸、ポリアミド、ポ
リオキシアルキレン等があげれる。また、界面活性剤担
体としては、陰イオン性、陽イオン性、両性、非イオン
性のものが使用される。これらは単独でも或いは2種以
上の組み合わせでも使用でき、例えば、重合体と界面活
性剤との組み合わせも使用できる。
【0038】ヨードホール製剤の具体的なものとして、
ポビドンヨード(ポリビニルピロリドン・ヨウ素錯
体)、ヨウ素・アルキルポリエーテルアルコール錯体
(G.S.I.)、ポリエトキシポリプロポキシポリエ
トキシエタノール・ヨウ素錯体(Iocline)、ノ
ニルフェノキシポリエトキシエタノール・ヨウ素錯体、
ポリオキシエチレン付加植物油・ヨウ素錯体、ポリオキ
シエチレン付加脂肪酸・ヨウ素錯体、ポリオキシエチレ
ン付加脂肪アルコール・ヨウ素錯体、脂肪酸アミド・ヨ
ウ素錯体、第4級有機アンモニウム・ヨウ素錯体等が挙
げられるが、ポビドンヨードが好適である。
【0039】ヨードホールが5乃至20%、の有効ヨウ
素量を有するものが、抗菌性やその持続性の点で有利で
あり、有効ヨウ素量が上記範囲よりも少ないものでは、
抗菌性が不十分であり、一方上記範囲よりも多いもので
は安定性が低かったり、臭いの点で不満足である。
【0040】ヨードホールとしては、液体で入手しうる
ものと、粉末で入手しうるものとがあるが、本発明では
どちらも使用可能であるが、粉末のものが水分量を調節
しうる点で有利である。
【0041】ポビドンヨードで代表されるヨードホール
は、概ね次の利点を有する。 (1) 冷水、エチルアルコ−ルに容易に溶解し、通常
使用濃度でのポビドンヨ−ド水溶液は、室温下で1年間
変化せず安定である。 (2) 細菌、真菌(カビ、酵母)、ウイルスに抗菌活
性を有し、抗菌力が強く、多くの微生物が数秒から数分
で死滅する。なお真菌に対しては優れた抗菌剤は多くは
ない。また、原虫、寄生虫等にも駆除能力がある。 (3) また微生物がヨ−ドホールに耐性とならないた
め、抗生物質が効かない耐性菌に対しても有効な抗菌活
性を有する。ちなみにMRSAは、ほとんどの抗生物質
に対して耐性を持っている。 (4) 哺乳類の組織に対する刺激性はほとんど無く、
傷口や粘膜に作用しても、無刺激で痛みを伴わないの
で、取扱いのうえでも安心である。 (5) グラム陽性、グラム陰性の別なく強力な殺菌効
果を示し、更に塩素と同様に、界面活性剤、ビグアナド
誘導体、フェノ−ル系殺菌剤とは異なり、真菌に対して
も強い殺菌力を示す。 (6) 細菌芽胞に対しては100〜500ppmの高
濃度で長時間の接触が必要であるが、塩素やアルデヒド
系以外の殺菌剤では常温では死滅作用は示さない。なお
ヨ−ドホール以外で常温で殺芽胞作用を示すのは塩素や
アルデヒドのみである。
【0042】ヨードホールは毒性が少なく、人や動物に
対する刺激も少ないという点で優れたものである。ヨー
ドホールの内、代表的なポビドンヨードについて、その
毒性を示すと次の通りである。
【0043】1)急性経口毒性 一群10頭、12群のラットを用い、ポビドンヨードの
水溶液(有効ヨウ素濃度2.5%)の急性経口毒性を評
価したところ、LD50(2週間後)は有効ヨウ素量とし
て1.300mg/Kgであった。(Journal of The I
nternational College of Surgeons 25,727(1956))
【0044】2)健康皮膚に及ぼす影響 200人の皮膚に対し、パッチテスト法により、ポビド
ンヨード液(10%)を96時間適用したところ、異常
は認められなかった。(Journal of The International
College of Surgeons 25,727(1956))
【0045】3)損傷皮膚に及ぼす影響 人もしくはウサギの皮膚を荒いサンドペーパーで擦りむ
き、パッチテスト法により、ポビドンヨード液(10
%)を適用したところ、健康皮膚と同様に異常は認めら
れなかった。また、その部位では感染は起こらずに、擦
りむきは治癒した。(Journal of The International C
ollege of Surgeons 25,727(1956))
【0046】4)眼に及ぼす影響 10%ポビドンヨード液0.5ccを25羽のウサギの
眼に点眼し、2週間観察したところ、わずかに結膜が赤
くなったが、それは2、3日以内に消失した。25羽の
ウサギならびに25頭のモルモットの眼に10%ポビド
ンヨード液0.1ccを15日間、毎日点眼したとこ
ろ、一時的な紅斑が出現するが、数時間後には消失し
て、15日の試験期間中とくに異常は認められなかっ
た。(Journalof The International College of Surge
ons 25,727(1956))
【0047】5)喉への影響 25人のボランティアに対して、喉にポビドンヨード液
(10%)を塗布したところ、6割の人がピリッとする
刺激を10〜20分間感じ、喉の粘膜がわずかに赤くな
ったが、それも2時間前後で消失した。4割の人には特
に異常は認められなかった。10人に15日間、喉にポ
ビドンヨード液を塗布したところ、5人は異常は認めら
れなかった。他の5人は最初わずかに赤くなったが、悪
化することはなかった。2週間後、同じ人に同じ試験を
行ったところ、全く同じ結果であった。(Journal of T
he International College of Surgeons 25,727(195
6))
【0048】6)特異体質の人への影響 3人のヨードアレルギーを持つ人の皮膚に、ポビドンヨ
ードと、ルゴール液を適用したところ、ルゴール液を塗
布した皮膚は特有の過敏症状が出現したが、ポビドンヨ
ードではいずれの人も特に異常は認められなかった。
(Journal of TheInternational College of Surgeons
25,727(1956))ポビドンヨードを外用殺菌剤として、3
年間に5900人に使用したところ、本剤に対する特異
体質がみられたのは2名であった。この2名とも、全身
的な毒性症状やヨード過敏症状はみられなかった。(Th
e Bulletin American Societyof Hospital Pharmecists
13,226(1956))
【0049】[多孔質無機化合物]本発明のヨードホー
ル−シクロデキストリン包接体を担持させる多孔質な無
機化合物は該包接体の担持性が良く、高濃度で且つ抗菌
性の長持続性並びに熱可塑性樹脂への添加、混練が容易
で成形加工品の物性に影響しないものが望ましい。具体
的な多孔質無機化合物としては、本発明に好適な多孔質
無機化合物は平均粒径1.0〜50μm、望ましくは
1.5〜30μm、細孔容積0.1〜2.0ml/g、望まし
くは1.0〜2.0ml/g、pH9.0(5%スラリー)以
下のものである。平均粒径が50μm以上では熱可塑性
樹脂への分散性が悪く、また、成形加工品の物性を低下
するので不適当である。また、pHが9.0以上すなわち
アルカリ性となると、ヨウ素がイオン化し抗菌性が低下
するので望ましくない。また、本発明では、ヨードホー
ル−シクロデキストリン包接体を担持させる無機多孔質
粉粒体として、80乃至800m2/gのBET比表面
積と、0.1乃至2.0ml/gの細孔容積を有するものを
使用する。
【0050】具体的な多孔質無機化合物としては、上記
のBET比表面積と細孔容積とを有するものであれば、
全て使用することができ、必ずしもこれに限定されるも
のではないが、非晶質シリカ、活性アルミナ、シリカア
ルミナ、各種ケイ酸塩、フィロケイ酸塩、アルミノケイ
酸塩、フィロアルミノケイ酸塩、テクトアルミノケイ酸
塩等を挙げることができる。
【0051】多孔質無機化合物は、熱可塑性重合体に配
合する場合や、粉剤としての用途には粒径1.0乃至5
0μmの粉体で用いられ、粉体の成形品として使用する
こともできる。一般に、取り扱い性や粉立ち防止の点で
は、粒状物であることが好ましく、一般に1乃至10m
m、特に2乃至5mmの粒径を有することが好ましい。粒
子形状は、球状、立方体状、円柱状、角柱状、顆粒状、
タブレット状、不定形状等の任意の形状であってよい。
成形品は、殺菌性水処理剤の用途に好ましい。
【0052】ヨードホール−シクロデキストリン包接体
担持用無機多孔質担体の好適な例として、ゼオライト、
ケイ藻土、ケイ酸カルシウム、クリストバライト、非晶
質シリカとその粒状物がある。粒状非晶質シリカは、ゲ
ルタイプのものでも、沈降法タイプの非晶質シリカの何
れであってもよい。
【0053】A)フィロアルミノケイ酸塩:上記フィロ
アルミノケイ酸塩としては、各種の天然或いは合成の粘
土鉱物或いはその化学変性物が使用される。例えば、モ
ンモリロナイト、ベントナイト、バイデライト、ノント
ロナイト、サポナイト、ヘクトライト、ソーコナイト、
スチーブンサイト等のスメクタイト族粘土鉱物、メタカ
オリン、ハロイサイト、メタハロイサイト、アンチゴラ
イト等のカオリン族粘土鉱物、セピオライト、パリゴル
スカイト、バーミキュライト等が挙げられる。化学変性
物としては、酸性白土等のモンモリロナイトを、酸処理
により活性化した活性白土や、酸性白土等のモンモリロ
ナイトをアルカリ処理に活性化した活性ベントナイト等
が使用される。更に、硫酸アルミニウムを含有する活性
ベントナイトや活性白土も好適に使用される。このタイ
プのフィロアルミノケイ酸塩乃至その変性物は、ヨード
ホール−シクロデキストリン包接体として優れているば
かりではなく、脱臭性、凝集性等をも兼ねており、消臭
性能が要求される環境用殺菌剤等の用途に有用である。
【0054】B)鎖状粘土鉱物 鎖状粘土鉱物に属するホルマイト系のセピオライト、パ
リゴスカイトは、その外観形状が繊維状またはその収束
体であり、その基本構造は八面体層の骨格を形成する主
成分がマグネシウムからなる3−八面体型ケイ酸マグネ
シウム粘土鉱物であり、このケイ酸マグネシウム粘土鉱
物は三次元の鎖状の結晶構造を有し、その外観形状の繊
維及びその収束体の間隙にできる空孔がBET法比表面
積で100乃至600m2/gの比表面積を有し、また
その収束体構造を有するが故に、吸着作用を有する多孔
質の鎖状粘土鉱物である。このため、この鉱物は、ヨー
ドホールの担持性に優れていると共に、脱臭作用をも有
しており、種々の繊維への配合も容易である。これらの
粘土鉱物を本発明の担体として使用する前に、ボールミ
ル、ハンマーミキサーでの解砕、スーパーミキサー、擂
解機等での練込み粉砕や、アトマイザー、ジェットミル
等での衝撃粉砕等の一次粉砕処理を施し、収束体として
の鎖状構造及び鱗片状としての積層構造を部分的に解繊
またはほぐしてから、ヨードホールの担持に使用するこ
とがより好ましい。
【0055】C)フィロケイ酸塩:また、微結晶で比表
面積の大きい合成のフィロケイ酸亜鉛、フィロケイ酸マ
グネシウム、含アルミニウムフィロケイ酸亜鉛、含アル
ミニウムフィロケイ酸マグネシウムを無機多孔質粉粒体
として使用できる。このフィロケイ酸塩は消臭作用に優
れているので、抗菌性と共に優れた消臭作用も同時に達
成されるという利点がある。特に好適なフィロケイ酸塩
として、(1)特開昭61−10021号公報に記載さ
れているフライポンタイト型のX線回析像と100m2
/gのBET比表面積を有するフィロケイ酸亜鉛や含ア
ルミニウムフィロケイ酸亜鉛或いは(2)特公平5−7
9602号公報に記載されている複合フィロケイ酸塩、
即ち非晶質で多孔質のシリカ或いはシリカアルミナと、
その一次粒子表面に形成されたフィロケイ酸亜鉛乃至マ
グネシウムや含アルミニウムフィロケイ酸亜鉛乃至マグ
ネシウムが挙げられる。
【0056】D)成形体:本発明では、上記多孔質粉粒
体を成形したものを、無機担体として使用することがで
きる。この態様では、非晶質シリカ、活性アルミナ、活
性シリカアルミナ、スメクタイト族粘土鉱物、フライポ
ンタイト、及びホルマイト系粘土鉱物から成る群より選
択された少なくとも1種から成る多孔質の成形体が好適
に使用され、成形法は、圧縮成形法、打錠成形法、転動
造粒法、噴霧造粒法、押し出し造粒法等のそれ自体公知
の造粒法が使用される。
【0057】抗菌性水処理剤として使用する場合の多孔
性無機化合物としては、細孔径、細孔容積が大きく、粒
子径が1.0μm乃至15mm程度のものが使用される。
例えば、天然ゼオライトの破砕品、軽石等、天然の鉱物
を粉砕したものなどが好ましい。更に、上記記載の平均
粒径1.0〜50μmの粒子にバインダを用いて柱状、
棒状、球状等に成形及び造粒したものを使用してもよ
い。
【0058】抗菌性水処理剤の具体的用途としては、工
業用循環水のリサイクル、水耕栽培、水循環浴槽、プー
ル、観賞用魚用水槽等に用いられる。
【0059】本発明ではホストであるシクロデキストリ
ンとゲストであるポビドンヨードとを包接乳化液として
から多孔質無機化合物に担持させたヨウ素複合体とし
て、熱可塑性樹脂に混練配合する。包接乳化液にするこ
とにより、ポビドンヨードの無機化合物の微細孔部への
侵入が容易となり高濃度のヨウ素複合体が得られる。更
に、シクロデキストリンの包接作用によりゲスト成分
(ポビドンヨード)が無機化合物に強固に担持され、耐
熱性及び抗菌効果の持続性が改善される。従って、ポビ
ドンヨード−シクロデキストリン包接多孔質無機化合物
からなる抗菌性ヨウ素複合体として熱可塑性樹脂に配合
することにより、抗菌効果及び耐熱性が優れ、且つ、応
用範囲の広い抗菌性熱可塑性樹脂組成物が得られる。
【0060】本発明におけるポビドンヨード−シクロデ
キストリン・多孔質無機化合物からなるヨウ素複合体の
調製は下記の方法で行う。先ずシクロデキストリンの
0.5〜40重量%の水溶液を調製する。ゲストである
ヨードホールが水溶液であるときは、その水溶性ゲスト
を直接に上記シクロデキストリン水溶液に添加する。そ
して、そのゲストのヨードホールが非水溶性であるなら
ば、水溶性の有機溶媒にゲストを溶解してから上記シク
ロデキストリン水溶液に添加、撹拌し包接乳化液とす
る。ヨードホール(ゲスト)/シクロデキストリン(ホ
スト)の混合比率は99.5:0.5〜60:40、シ
クロデキストリンの耐熱性を考慮し、混合比率を99.
0:1.0〜80:20とするのが望ましい。シクロデ
キストリン水溶液にゲスト(ポビドンヨード)を添加し
て得られる混合物をホモジナイザーを用い、室温で2〜
30分間、5000〜10000rpmの回転数で高速
撹拌し、包接乳化液とする。この包接乳化液を多孔質無
機化合物に流動層乾燥機を使用、60〜130℃の温度
下で担持させ、ヨウ素複合体を得る。
【0061】[抗菌剤]本発明の抗菌性ヨウ素複合体
は、有効ヨウ素の徐放性を有する抗菌剤乃至環境殺菌剤
(サニタイザー)としての用途に有用である。具体的に
は愛玩動物のトイレ砂、台所流し台や生け花、トイレタ
ンクのぬめり取り等に用いられる。
【0062】[熱可塑性重合体組成物]本発明の別の態
様によれば、熱可塑性重合体或いはエラストマーに、前
記包接体を配合して成る熱可塑性重合体組成物が提供さ
れ、これにより抗菌性の熱可塑性重合体成形品(積層成
形品も含む)が得られる。
【0063】本発明組成物において、ベースとして使用
される熱可塑性樹脂としては、特に限定はなく、例えば
建材、農業資材、包装材料等の製造に一般的に使用され
ているものであってよい。具体的な熱可塑性重合体とし
ては、メタロセン触媒を使用して合成した樹脂はもちろ
んのこと、例えば低密度ポリエチレン、中密度ポリエチ
レン、高密度ポリエチレン、線状低密度ポリエチレン、
ポリプロピレン、ポリ1−ブテン、ポリ4−メチル−1
−ペンテンあるいはエチレン、プロピレン、1−ブテ
ン、4−メチル−1−ペンテン等のα−オレフィン同志
のランダムあるいはブロック共重合体等のポリオレフィ
ン、エチレン・酢酸ビニル共重合体、エチレン・ビニル
アルコール共重合体、エチレン・塩化ビニル共重合体等
のエチレン・ビニル化合物共重合体、ポリスチレン、ア
クリロニトリル・スチレン共重合体、ABS、α−メチ
ルスチレン・スチレン共重合体等のスチレン系樹脂、ポ
リ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、塩化ビニル・塩化
ビニリデン共重合体、ポリアクリル酸メチル、ポリメタ
クリル酸メチル等のポリビニル化合物、ナイロン6、ナ
イロン6−6、ナイロン6−10、ナイロン11、ナイ
ロン12等のポリアミド、ポリエチレンテレフタレー
ト、ポリブチレンテレフタレート等の熱可塑性ポリエス
テル、ポリカーボネート、ポリフエニレンオキサイド等
あるいはそれらの混合物のいずれかの樹脂でもよい。勿
論、生分解性樹脂を用いることにより、環境に優しい樹
脂成形品を提供することもできる。
【0064】エラストマー重合体としては、例えばニト
リル−ブタジエンゴム(NBR),スチレン−ブタジエ
ンゴム(SBR)、クロロプレンゴム(CR)、ポリブ
タジエン(BR)、ポリイソプレン(IIB)、ブチル
ゴム、天然ゴム、エチレン−プロピレンゴム(EP
R)、エチレン−プロピレン−ジエンゴム(EPD
M)、ポリウレタン、シリコーンゴム、アクリルゴム
等;熱可塑性エラストマー、例えばスチレン−ブタジエ
ン−スチレンブロック共重合体、スチレン−イソプレン
−スチレンブロック共重合体、水素化スチレン−ブタジ
エン−スチレンブロック共重合体、水素化スチレン−イ
ソプレン−スチレンブロック共重合体等が挙げられる。
これらの内でも、炭化水素系エラストマー、特にEPR
やEPDMは好適なものである。勿論、これらは2種以
上のブレンド物の形で使用することもできる。
【0065】熱可塑性樹脂エラストマーに添加するポビ
ドンヨードの濃度は重量基準で100ppm〜20000p
pm(有効ヨウ素量5ppm〜2000ppm)、好ましくは5
00ppm〜10000ppm(有効ヨウ素量50ppm〜10
00ppm)であり、このような濃度において極めて優れ
た抗菌、防カビ、鮮度保持効果等が発揮されることが判
明した。例えば、50重量%のポビドンヨードをシクロ
デキストリンを介して、50重量%の多孔質無機化合物
に担持させた微粉末固体のヨウ素複合体として熱可塑性
樹脂に添加するヨウ素複合体の割合は0.002〜4重
量%(ポビドンヨード換算で100〜20000pp
m)、好ましくは0.01〜2重量%(ポビドンヨード
換算で500〜10000ppm)である。熱可塑性樹脂
に対するポビドンヨードの添加割合が100ppm未満で
は満足すべき抗菌作用が得られず、そして20000pp
mを越えるときはそれらの効果のさらなる向上はあまり
認められず、効果の程度がほぼ平衡状態となってくる。
【0066】熱可塑性樹脂やエラストマーにポビドンヨ
ード−シクロデキストリン・多孔質無機化合物からなる
ヨウ素複合体を添加、混練する方法としては適宜な公知
方法、例えばバンバリーミキサー、ミキシング用押出
機、ロールミル等を用いる混練方法を挙げることができ
る。
【0067】かくして得られるポビドンヨード含有熱可
塑性樹脂組成物は、種々の公知成形法、例えば、圧縮、
トランスファ、射出、押出、吹込、積層、発泡、注型、
回転、ディップ成形法等により、各種の所望用途の成型
品(中間製品及び最終製品)とすることができる。
【0068】本発明の熱可塑性樹脂組成物やエラストマ
ー重合体組成物は、その抗菌、防カビ、鮮度保持等の諸
特性を有するため、シート、フィルム、袋、箱、板、
棒、繊維、ペレット、パイプ、中空体等の種々の適当な
形状に成形した農業用資材、建築用資材、家庭用品、フ
ィルター、家電用品、包装材料、健康用具、輸送貯蔵用
具等の広範囲な利用分野で使用される。
【0069】それらの製品等に強度あるいはその他の特
性が必要とされるときには、適当な裏打材(金属箱、ネ
ット、編織布等)あるいは剛体材(金属シート等)との
積層体あるいは複合体の形とすることもできる。また、
本発明の熱可塑性樹脂組成物が、例えばフィルムやシー
トの形で使用されるときには、パーホレーションにより
通気性を付与することができる。
【0070】本発明の抗菌性ヨウ素複合体を、それ自体
公知の塗料中に配合して、抗菌剤塗料乃至被覆組成物と
することもできる。塗料としては、樹脂の種類から、ニ
トロセルロース塗料、アルキッド樹脂塗料、アミノアル
キッド塗料、ビニル樹脂塗料、アクリル樹脂塗料、エポ
キシ樹脂塗料、ポリエステル樹脂塗料、塩化ゴム系塗料
の他に、フェノール系レジン、変性フェノール系レジ
ン、アルキド系レジン、ビニル系レジン、石油レジン、
エポキシ系レジン、ポリエステル系レジン、スチレン系
レジン、シリコーン系レジン、塩素化物系レジン、ウレ
タン系レジン、ポリアミド系レジン、ポリイミド系レジ
ン、フッ素系レジン等の1種或いは2種以上を含有する
塗料が挙げられる。
【0071】また、用いる塗料は、その用い方によっ
て、溶剤型塗料、水性塗料、紫外線硬化型塗料、粉体塗
料等の任意のものであってよい。塗料乃至被覆材中の包
接体の濃度は、重合体組成物のそれに準じてよい。
【0072】
【実施例】本発明は以下の例で詳細に説明する。
【0073】(有効ヨウ素量測定)含ヨウ素化合物成形
体の消毒、殺菌効果はヨウ素(I2)自体であり、従って
当該供試体の全ヨウ素量のうち、有効ヨウ素量(ヨウ素
分子自体)を下記の方法で評価する必要がある。有効ヨ
ウ素量は、1.0gの試料粉末を水30mlに懸濁さ
せ、0.005Nチオ硫酸ナトリウム液でのヨウ素−デ
ンプン反応滴定で試料粉末中の有効ヨウ素量(AI)%を定
量した。(日本薬局方に準拠)
【0074】(熱安定性測定)試料粉末を180℃に加
熱し、加熱時間15、30、45、60分での有効ヨウ
素の保持率を測定した。
【0075】(溶液安定性測定)各試料の有効ヨウ素量
が0.05%となるように水溶液とし、37℃にて2週
間放置し、有効ヨウ素保持率を比較する。有効ヨウ素量
の測定は、水溶液サンプル25mlに対して0.005
Nのチオ硫酸ナトリウムでのヨウ素−デンプン反応滴定
により行う。
【0076】(有効ヨウ素量を指標とした有機物質に対
する安定性測定)各試料を有効ヨウ素量0.1%となる
ように水に溶解し、ゼラチンを0.5%分加えて懸濁液
とし、室温にて1時間振とう又は2日間放置後、ゼラチ
ンを濾過し、有効ヨウ素保持率を測定した。有効ヨウ素
量の測定は、濾液25mlに対して0.005Nのチオ
硫酸ナトリウムでのヨウ素−デンプン反応滴定により行
う。
【0077】(フィルム抗菌活性測定)各フィルム試料
を約50×50mmの大きさに切り取ったものを、それ
ぞれシャーレに入れ、その試験面に大腸菌あるいはMR
SAを所定濃度PBS(pH=6.0、Na2HPO4 0.4
g/l、KH2PO4 3.26g/l、NaCl 5.1g/
l)に懸濁した菌液0.5mlを接種し、その上にポリ
エチレンフィルムを被せ菌液と被検体を密着させ蓋をし
た後、35℃で24時間放置した。放置終了後フィルム
に付着している菌をPBS10mlで洗い出し、液中の
生菌数を標準寒天培地を使用し、培養後生じたコロニー
数より算出した。
【0078】(分散性測定)低密度ポリエチレン樹脂に
試料2.0重量%を添加し、ブラベンダーを用いて15
0℃、5分間混練し、厚さ0.05mmのシートを得
る。各試料シート中に分散不良となっているスポットの
量を目視にて以下の様に評価した。
【0079】(カビ抵抗性測定)JIS Z2911に
準じ、下記寒天培地の上に30×30mmに切り取った
各試験フィルムを張り付け、下記4種の試験菌混合胞子
懸濁液を接種し培養後、試験フィルム表面のカビの発育
状況を観察し、カビ抵抗性を評価した。 混合胞子懸濁液: 0.005%スルホコハク酸ジオク
チルナトリウム水溶液 カビ抵抗性評価 : 0:張り付けた試験フィルム部分に菌糸の発育が認めら
れない。 1:張り付けた試験フィルム部分の菌糸の発育が全面積
の1/3未満。 2:張り付けた試験フィルム部分の菌糸の発育が全面積
の1/3以上。
【0080】(実施例1)下記の要領でヨードホール−
シクロデキストリン−多孔質無機化合物からなるヨウ素
複合体を調製した。ポビドンヨード(日宝化学株式会社
製、有効ヨウ素量11.4%のポリビニルピロリドン−
ヨウ素錯体)50gを450gの水に溶解し、ポビドン
ヨード濃度10%水溶液を得た。一方、水97.5g中
にシクロデキストリン(塩水港精糖株式会社製イソエリ
ートP)2.5gを入れ、ホモジナイザーで5000r
pmの高速撹拌を10分間行い、シクロデキストリン濃
度2.5%水溶液を得た。ポビドンヨード/シクロデキ
ストリン混合比率が95:5となるように、両液を室温
で回転数1000rpm、撹拌時間1分の条件下で混合
した。
【0081】その包接乳化液600gを500gの多孔
質無機化合物A(水澤化学工業株式会社製ミズカシル
〔超微粉含水ケイ酸〕P−740、平均粒径2.2μ
m、細孔容積1.68ml/g、pH7.0)にテスト用流動
層乾燥機を使用し、熱風温度85℃、噴霧乾燥時間60
分の条件下で担持させたポビドンヨード濃度10%のヨ
ウ素複合体(10%CDPVPI)を得た。このヨウ素
複合体の有効ヨウ素量、熱安定性、溶液安定性、有効ヨ
ウ素量を指標とした有機物質に対する安定性の各試験を
行い、その結果を表1に示す。
【0082】(実施例2)実施例1と同様にポビドンヨ
ード濃度50%水溶液とシクロデキストリン濃度2.5
%水溶液を混合比率が95:5となるように混合撹拌
し、その包接乳化液600gを500gの多孔質無機化
合物B(ミズカシルC−1 平均粒径6.5μm、細孔
容積1.7ml/g、pH7.0)にテスト用流動層乾燥機を
使用、熱風温度110℃、噴霧乾燥時間120分の条件
下で担持させたポビドンヨード濃度50%のヨウ素複合
体(50%CDPI)を得た。このヨウ素複合体の有効
ヨウ素量、熱安定性、溶液安定性、有効ヨウ素量を指標
とした有機物質に対する安定性の各試験を行い、その結
果を表1に示す。
【0083】(実施例3)実施例1と同様にポビドンヨ
ード濃度10%水溶液とシクロデキストリン濃度2.5
%水溶液を混合比率が95:5となるように混合撹拌し
た包接乳化液600gを500gの多孔質無機化合物C
(セピオライト:水澤化学工業製「エードプラスSP、
細孔容積0.78ml/g、pH8.5)にテスト用流動層乾
燥機を使用、熱風温度110℃、噴霧乾燥時間120分
の条件下で担持させたポビドンヨード濃度10%のヨウ
素複合体を得た。このヨウ素複合体の有効ヨウ素量、熱
安定性の各試験を行い、その結果を表1に示す。
【0084】(実施例4)実施例2と同様にポビドンヨ
ード濃度50%水溶液とシクロデキストリン濃度2.5
%水溶液を混合比率が95:5となるように混合撹拌
し、その包接乳化液600gを500gの多孔質無機化
合物C(天然ゼオライト:日東粉化工業製:平均粒径1
0μm)にテスト用流動層乾燥機を使用、熱風温度11
0℃、噴霧乾燥時間120分の条件下で担持させたポビ
ドンヨード濃度50%のヨウ素複合体を得た。このヨウ
素複合体の有効ヨウ素量、熱安定性の各試験を行い、そ
の結果を表1に示す。
【0085】(比較例1)ポビドンヨード(日宝化学株
式会社製、有効ヨウ素量11.4%のポリビニルピロリ
ドン−ヨウ素錯体)50gを450gの水に溶解したポ
ビドンヨード濃度10%水溶液を得た。これを500g
の多孔質無機化合物A(水澤化学工業株式会社製ミズカ
シル〔超微粉含水ケイ酸〕P−740、平均粒径2.2
μm、細孔容積1.68ml/g、pH7.0)にテスト用流
動層乾燥機を使用、熱風温度85℃、噴霧乾燥時間60
分の条件下で担持させポビドンヨード多孔質担持体を得
た。このポビドンヨード多孔質担持体の有効ヨウ素量、
熱安定性、溶液安定性、有効ヨウ素量を指標とした有機
物質に対する安定性の各試験を行い、その結果を表1に
示す。
【0086】(比較例2)ポビドンヨード(日宝化学株
式会社製、有効ヨウ素量11.4%のポリビニルプロリ
ドン−ヨウ素錯体)50gを450gの水に溶解し、ポ
ビドンヨード濃度10%水溶液を得た。一方、水97.
5g中にシクロデキストリン(塩水港精糖株式会社製イ
ソエリートP)2.5gを入れ、ホモジナイザーで50
00rpmの高速撹拌を10分間行い、シクロデキスト
リン濃度2.5%水溶液を得た。ポビドンヨード/シク
ロデキストリン混合比率が95:5となるように、両液
を室温で回転数1000rpm、撹拌時間1分の条件下
で混合した。その包接乳化液をテスト用流動層乾燥機を
使用し、熱風温度85℃、噴霧乾燥時間60分の条件下
でヨウ素複合物を得た。これらヨウ素複合物の有効ヨウ
素量、熱安定性、溶液安定性、有効ヨウ素量を指標とし
た有機物質に対する安定性の各試験を行い、その結果を
表1に示す。
【0087】
【表1】 有効ヨウ素量 熱 安 定 性 (分) (%) 0 15 30 45 60 実施例1 0.73 100 99.5 98.9 98.5 98.2 2 3.60 100 99.2 98.6 97.8 97.4 3 0.72 100 99.5 98.6 97.5 97.4 4 3.66 100 99.1 98.1 97.3 97.0 比較例1 0.72 100 91.0 86.5 84.1 82.5 2 0.64 100 ND ND ND ND *ND:測定不能(還元溶液が着色していたため) 溶 液 安 定 性 有機物質安定性 0 1w 2w 0 1h 2d 実施例1 100 94.2 92.6 100 89.8 88.2 2 100 94.6 92.7 100 88.3 89.1 比較例1 100 92.5 89.9 100 84.7 80.2 2 100 94.2 92.0 100 87.5 86.4 *1w,2w:1,2週間 1h:1時間振とう 2d:2日放置
【0088】(実施例5)実施例1で得られたポビドン
ヨード濃度10%のヨウ素複合体(10%CDPVP
I)2.5重量%をポリ塩化ビニル樹脂(重合度105
0)に配合した。150℃混練ロールを用いて7分間混
練し、厚さ0.05mmのフィルムを作成し、抗菌活性測
定、カビ抵抗性測定を行った、その結果を表2に示す。
【0089】(実施例6)実施例2で得られたポビドン
ヨード濃度50%のヨウ素複合体(50%CDPVP
I)3.5重量%をポリ塩化ビニル樹脂(重合度105
0)に配合した。150℃混練ロールを用いて7分間混
練し、厚さ0.05mmのフィルムを作成し、抗菌活性測
定、カビ抵抗性測定を行った、その結果を表2に示す。
【0090】(実施例7)実施例1で得られたポビドン
ヨード濃度10%のヨウ素複合体(10%CDPVI)
2.5重量%を低密度ポリエチレン(日本ユニカー株式
会社製「NUC−8160」:メトルインデックス2.
4g/10分、密度0.923g/ml)に添加し、2リッ
トルのテスト用バンバリーミキサーで150℃、5分間
混練し、コンパウンドを作成した。次にこのコンパウン
ドから成形温度180℃で厚さ0.05mmのインフレー
ションフィルムを作成し、抗菌活性測定、カビ抵抗性測
定を行った。その結果を表2に示す。
【0091】(実施例8)実施例7におけるバンバリー
ミキサーの温度を200℃とした以外は同様にし、抗菌
活性測定、カビ抵抗性測定を行った。その結果を表2に
示す。
【0092】(実施例9)ポビドンヨード濃度50%の
ヨウ素複合体(50%CDPVPI)20重量%と低密
度ポリエチレン(日本ユニカー株式会社製「NUC−8
008」;メルトインデックス4.5g/10分、密度
0.918g/ml)80重量%とを混合、2リットルのテ
スト用バンバリーミキサーで、150℃、5分間混練
し、ポビドンヨード濃度10%(有効ヨウ素0.11
%)のマスターバッチを得た。このポビドンヨード濃度
10%のマスターバッチ2.5重量%(ポビドンヨード
換算2500ppm、有効ヨウ素量0.028%)を線状
低密度ポリエチレン(日本ユニカー株式会社製「NUC
G−5220」;メルトインデックス2.0g/10
分、密度0.919g/ml)に添加し、成形温度200℃
で厚さ0.05mmのインフレーションフィルムを作成
し、抗菌活性測定、カビ抵抗性測定を行った。その結果
を表2に示す。
【0093】(実施例10)実施例9における線状低密
度ポリエチレンの代わりにポリプロピレン(三菱油化株
式会社製「FL25」;MFR20g/10分、密度
0.90/ml)を用い、成形温度を250℃に上げたこ
とを除き実施例7の操作を繰り返した。その結果を表2
に示す。
【0094】(比較例3)比較例1で得られたポビドン
ヨード多孔質担持体20重量%と低密度ポリエチレン8
0重量%とを混合して得られたマスターバッチ2.5重
量%を線状低密度ポリエチレンに添加した以外は同様に
実施例7の操作を繰り返した。その結果を表2に示す。
【0095】(比較例4)比較例2で得られたヨウ素複
合物20重量%と低密度ポリプロピレン80重量%とを
混合して得られたマスターバッチ2.5重量%を線状低
密度ポリエチレンに添加した以外は同様に実施例8の操
作を繰り返した。その結果を表2に示す。
【0096】
【表2】 抗菌活性測定 大 腸 菌 M R S A カヒ゛抵抗性評価 (接種菌量2.9×106) (接種菌量5.8×106) 24時間後 24時間後 実施例5 ND ND 0 6 ND ND 0 7 ND ND 0 8 ND ND 0 9 8.1×102 2.1×102 0 10 3.2×104 1.3×104 1 比較例3 7.0×103 4.7×103 1 4 7.2×105 5.2×105 2 *ND:検出されず
【0097】(実施例11)実施例1で得られたポビド
ンヨード濃度10%のヨウ素複合体をバインダー(PV
A)10%を用いて直径1.5mmの球状に成形し、こ
れを1リットルのカラムに100g充填した、このカラ
ムにMRSAの生菌懸濁液(3.9×105個/ml)
1リットルを入れ、37℃で30分放置後、溶液に同量
のチオ硫酸ナトリウム溶液(1%)を加え、存在するヨ
ウ素の不活性化を行い、標準寒天培地を使用し、培養後
生じたコロニー数よりその生菌数測定を行った、その結
果を表3に示す。
【0098】(実施例12)実施例7で得られたヨウ素
複合体含有の樹脂コンパウンドを直径1.0mm長さ
2.0mmの円柱状に成形し、これを1リットルのカラ
ムに100g充填した、このカラムにMRSAの生菌懸
濁液(3.9×105個/ml)1リットルを入れ、3
7℃で30分放置後、溶液に同量のチオ硫酸ナトリウム
溶液(1%)を加え、存在するヨウ素の不活性化を行
い、標準寒天培地を使用し、培養後生じたコロニー数よ
りその生菌数測定を行った、その結果を表3に示す。
【0099】
【表3】 *ND:検出されず
【0100】
【発明の効果】本発明によれば、ホストであるシクロデ
キストリンとゲストであるポビドンヨードとを包接乳化
液としてから微粉末の多孔質無機化合物に担持させた抗
菌性ヨウ素複合体と、該ヨウ素複合体を熱可塑性樹脂に
混練配合してなる、抗菌性樹脂組成物等を提供する。ポ
ビドンヨードをシクロデキストリンで包接乳化液とする
ことにより、ポビドンヨードの無機化合物の微細孔部へ
の侵入が容易となり、高濃度のヨウ素複合体が得られ
る。更にシクロデキストリンの包接作用によりポビドン
ヨードが無機化合物に強固に担持される。このヨウ素複
合体として熱可塑性樹脂に混練配合すると、広範囲の強
力な抗菌スペクトルを有し、しかも抗菌作用の持続性及
び耐熱性の極めて優れた抗菌性熱可塑性樹脂組成物を安
価に製造でき、また、抗菌活性の優れた各種成形品を容
易に加工することができる。用途としては、抗菌性のフ
ィルム、食品容器、医療用具、フィルター、ホース、マ
ット、繊維その他樹脂成型品、及び殺菌性水処理剤に用
いることができる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 高師 勝男 東京都中央区日本橋室町3丁目3番3号 日宝化学株式会社内 (72)発明者 前田 暁男 東京都中央区日本橋室町3丁目3番3号 日宝化学株式会社内 (72)発明者 藤田 逸樹 東京都中央区日本橋室町3丁目3番3号 日宝化学株式会社内 (72)発明者 萩原 滋 東京都中央区日本橋室町3丁目3番3号 日宝化学株式会社内 (72)発明者 佐々木 八十治 神奈川県横浜市港南区東永谷1丁目8番12 号 (72)発明者 中原 学 東京都豊島区駒込1丁目42番5号 株式会 社ヤマサン内 (72)発明者 田中 正範 東京都中央区日本橋室町4丁目1番21号 水澤化学工業株式会社内

Claims (10)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】シクロデキストリンをホスト分子としてヨ
    ードホールをゲスト分子として含んで成る包接体を多孔
    質無機化合物に担持させてなる抗菌性ヨウ素複合体。
  2. 【請求項2】シクロデキストリンとヨードホールとが0.
    5:99.5乃至40.0:60.0の重量比で存在する請求項1記
    載の抗菌性ヨウ素複合体。
  3. 【請求項3】ヨードホールが5乃至20%の有効ヨウ素
    量を有するものである請求項1又は2記載の抗菌性ヨウ
    素複合体。
  4. 【請求項4】シクロデキストリンがα型、β型或いはγ
    型のシクロデキストリンまたはマルトシルシクロデキス
    トリンである請求項1乃至3記載の抗菌性ヨウ素複合
    体。
  5. 【請求項5】請求項1記載の多孔質無機化合物が平均粒
    径1.0〜50μm、細孔容積0.1〜2.0ml/g、pH9(5%スラ
    リー)以下である請求項1乃至4記載の抗菌性ヨウ素複
    合体。
  6. 【請求項6】熱可塑性樹脂に、シクロデキストリンをホ
    スト分子としてヨードホールをゲスト分子として含んで
    成る包接体を担持した多孔質無機化合物から成り、且つ
    少なくとも0.005%の有効ヨウ素量を有する抗菌性
    ヨウ素複合体を配合して成る抗菌性樹脂組成物。
  7. 【請求項7】熱可塑性樹脂100重量部当たり前記抗菌
    性ヨウ素複合体を0.1乃至50重量部含有する請求項
    6記載の樹脂組成物。
  8. 【請求項8】請求項7の樹脂組成物を成形してなる抗菌
    性樹脂成形体。
  9. 【請求項9】多層フィルムの表面、内層及び/又は外層
    の少なくとも一つが請求項7からなる抗菌性積層樹脂組
    成物。
  10. 【請求項10】請求項1乃至8からなる殺菌性水処理
    剤。
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Cited By (8)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
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