JPH10244638A - 包装用ポリオレフィン系樹脂多層ストレッチフィルム - Google Patents

包装用ポリオレフィン系樹脂多層ストレッチフィルム

Info

Publication number
JPH10244638A
JPH10244638A JP9047778A JP4777897A JPH10244638A JP H10244638 A JPH10244638 A JP H10244638A JP 9047778 A JP9047778 A JP 9047778A JP 4777897 A JP4777897 A JP 4777897A JP H10244638 A JPH10244638 A JP H10244638A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
film
layer
experiment
packaging
adhesion
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP9047778A
Other languages
English (en)
Inventor
Toshiaki Ono
俊明 大野
Hideki Ogiue
英樹 荻上
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Asahi Chemical Industry Co Ltd
Original Assignee
Asahi Chemical Industry Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Asahi Chemical Industry Co Ltd filed Critical Asahi Chemical Industry Co Ltd
Priority to JP9047778A priority Critical patent/JPH10244638A/ja
Publication of JPH10244638A publication Critical patent/JPH10244638A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Packages (AREA)
  • Wrappers (AREA)
  • Laminated Bodies (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 フィルム表面の汚れを発生させることなく自
己密着性及びセロテープ接着性を満足し、更には「温度
変化」を伴う場合でも防曇性に優れるフィルムの提供。 【解決手段】 両表面層と延伸補助層及びコア層の少な
くとも4層からなり、80℃における収縮率が20〜5
0%の包装用ポリオレフィン系樹脂多層ストレッチフィ
ルムにおいて、上記多層フィルムにおけるZ層が、10
0℃における動粘度が10〜700CS(センチストー
クス)の水添液状ポリオレフィンを0.5〜1.0重量
%、及び非イオン系界面活性剤を0.5〜2.0重量%
含む。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、包装材料、特にハ
ンド包装用途に好適な包装用ポリオレフィン系樹脂多層
ストレッチフィルムに関する。
【0002】
【従来の技術】従来、両表面層(Z層)と延伸補助層
(X層)及びコア層(Y層)よりなる少なくとも4層
(例=Z/X/Y/Z)構成からなる、80℃における
収縮率が20〜50%のポリオレフィン系樹脂多層スト
レッチフィルム(以下、従来フィルム1と呼ぶ)は、特
公平2−52624号公報に開示されていて公知であ
る。この公報の記載によれば、表面層(Z層)は多層フ
ィルムの表層に、例えばヒートシール性、防曇性、表面
光沢性、柔軟性等の表面特性を具備させるもので、例え
ば、EVA(エチレン−酢酸ビニル共重合体)やEMA
A(エチレン−メタクリル酸共重合体)等の合成樹脂が
採用されている。特に表面層は、防曇剤を練り込み易く
且つ練り込んだ防曇剤がブリードアウトし易い樹脂を選
択することを推奨している。コア層(Y層)は主に、多
層フィルム全体に耐熱性や機械強度等を具備させるもの
で、例えば結晶性のポリプロピレン(IPP)やポリブ
テン−1(PB−1)等の樹脂が採用されている。また
延伸補助層(X層)は、単独層では例えば30〜80℃
の低い温度下で延伸することが困難である上記Y層の延
伸を容易にする役割の層で、例えばEVAとPPと軟質
ポリマーとの混合樹脂層である。そしてこのX層は、上
記Y層に近接して配置することによって、多層フィルム
の全体を30〜80℃の低い温度下で、面積倍率で9〜
30倍に延伸すること(冷間延伸と言う)を可能にし、
その結果として多層フィルムに包装用フィルムとしての
品質特性、即ち『特定の伸びにおける適度な伸び荷重と
高い破断伸び=ストレッチ性』、『優れた変形回復性と
適度な弾性率=張りや腰があり、押し込み変形跡の回
復』、『透明性(ASTM−D1003準拠したHAZ
Eで示せば2.0%以下)及び光沢性』等を兼備させる
ことに成功している。尚上記冷間延伸が施された特質と
して、この種の多層フィルムは80℃という低温におい
て20〜50%の熱収縮値を示す特質がある。
【0003】従ってこの多層フィルムは、合成樹脂やそ
の樹脂の発泡体を成形したトレー容器に、例えば、肉、
魚、野菜、惣菜等を入れて、その全体をフィルムの持つ
『特定の伸びにおける適度な伸び荷重と高い破断伸び』
を活用してストレッチ包装することが出来るのである。
一方店舗のバックヤードでは、従来から野菜、鮮魚、精
肉等の生鮮食品を合成樹脂製のトレーに載せてそれを塩
ビストレッチフィルムやポリオレフィン系樹脂ストレッ
チフィルムを用いてハンドで包装している。又野菜の包
装ではトレーを使用せずに包装する場合もある。野菜包
装の場合にはトレーの使用・未使用に係わらずセロテー
プでフィルム端部を止めることが一般に行われている。
【0004】ハンド包装用のストレッチフィルムに対す
る要求特性としては、ストレッチ包装用フィルム一般に
要求される上記特性の他に、「イ)自己密着性があ
る」、「ロ)セロテープとの接着性が良く、水濡れして
も剥がれない(セロテープ接着性)」、「ハ)防曇性に
優れる」ことが挙げられる。この要求特性に対して、ダ
イレクトインフレーション法で製膜された延伸配向の掛
かかっていない、換言すれば80℃での収縮率が20%
未満(通常は5%未満)のポリオレフィン系樹脂フィル
ムでは、自己密着性と5℃程度の温度の「恒温槽」に放
置した場合の防曇性を付与する為に、水添石油樹脂や液
状ポリオレフィン等の粘着付与剤を1〜40重量%(具
体例としては3〜10重量%)とグリセリン脂肪酸エス
テル等の非イオン系界面活性剤を0.2〜5重量%とを
併用したフィルム(以下、従来フィルム2と呼ぶ)は既
に公知である(例えば、特開昭50−34048号公
報、特公昭58−7445号公報、特公平2−1677
2号公報、特開昭58−101133号公報、等)。
【0005】ところで、生協や量販店等の店舗のバック
ヤードでは、精肉、鮮魚、野菜等の生鮮食品を先ず0℃
前後の温度に管理された冷蔵室に一度貯蔵しこれを25
℃前後の温度の部屋で一部加工を行いフィルムで包装す
る。包装された商品は再び前述の冷蔵室に一度保存され
るかそのまま店頭のオープンショーケース(以下OSC
と記す)に陳列される。この様に商品が包装されて店頭
に並ぶまでに25℃前後の温度と0℃前後の温度変化を
経るのが一般的である。又、OSCにおいても雰囲気温
度は「恒温状態」ではなく、約10分程度のサイクルで
変化するのが一般的である。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】しかし従来フィルム2
は、「温度変化を伴う場合」の防曇性は満足できるレベ
ルにはなかった。ここで、防曇性の「温度変化を伴う場
合」と「恒温状態」との違いについて説明する。「温度
変化を伴う場合」と「恒温状態」との大きな違いは、フ
ィルム表面で凝縮する水分量の違いによるもので、凝縮
水分は「温度変化を伴う場合」の方が「恒温状態」より
も遙に多い。測定の一例としては、豚スライス肉200
gを長さ194mm×幅155mm×高さ30mmのト
レーに載せて従来フィルム1で包装後、設定1℃、−
5℃〜5℃を約10分の周期で温度変化するOSCに陳
列した場合と1±0.1℃の恒温槽に放置した場合と
で豚スライス肉から蒸散した水分量を陳列又は放置後1
日で比較すると、OSCでは水分量が1.8gに対して
恒温槽では0.6gとOSCの方が恒温槽に比べ約3倍
多い結果となった。ところで、フィルム表面に均一な水
膜が出来た場合に、その水膜の量を測定してみるとフィ
ルムの種類によらず約10g/m2 以下で、この量を越
えると膜が不均一になり水滴が発生するか、過剰水分が
トレーの壁面を伝ってトレー底部に流れて行く。ここ
で、前述の豚スライス肉から蒸散した水分量がトレー開
口部のフィルム表面で全て凝縮したとすると、OSCで
は60g/m2 、恒温槽では20g/m2 となる。つま
りOSCに陳列した方が恒温槽に放置した場合に比べフ
ィルム表面で凝縮して、フィルム表面を伝って流れ落ち
る水分が多いことを意味している。
【0007】換言すれば、「温度変化を伴う場合」の方
が「恒温状態」に比べ、「フィルム表面への水滴の付着
→防曇剤の水滴への溶出→水滴の流出→同一箇所への新
たな水滴の付着」といった一連の現象が激しくなり、恒
温槽の場合には殆ど問題にならなかった防曇剤の水滴へ
の溶出量が遙に多いことを意味している。また、従来フ
ィルム2は粘着付与剤がフィルム表面にオーバーブリー
ドしてフィルム表面の汚れの原因になったり、防曇性に
劣る場合があった。そこで本発明は、従来フィルム1の
特性を維持した状態で、フィルム表面の汚れを発生させ
ることなく自己密着性及びセロテープ接着性を満足し、
更には「温度変化」を伴う場合でも防曇性に優れるフィ
ルムを提供することを課題とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明者らは上記目的を
達成するために鋭意検討した結果、本発明をなすに至っ
た。即ち本発明は、表面層(Z層)と延伸補助層(X
層)及びコア層(Y層)の少なくとも4層からなり、8
0℃における収縮率が20〜50%の包装用ポリオレフ
ィン系樹脂多層ストレッチフィルムにおいて、上記多層
フィルムにおけるZ層が、100℃における動粘度が1
0〜700CSの液状ポリオレフィンを0.5〜1.0
重量%、及び非イオン系界面活性剤を0.1〜2.0重
量%含み、好ましくは非イオン界面活性剤が、モノグリ
セリンオレート(F1)とジグリセリンオレート(F
2)を含有し、その重量比(F1/F2)が0.1〜9
である包装用ポリオレフィン系樹脂多層ストレッチフィ
ルムである。
【0009】以下、本発明の内容を詳述する。本発明が
従来技術と異なる点は、「多層フィルム」の表面層が、
「100℃における動粘度が10〜700CSの水添液
状ポリオレフィンを0.5〜1.0重量%と非イオン系
界面活性剤を0.5〜2.0重量%」を含んでいる点に
ある。先ず本発明が従来技術と最も異なる点について、
表1を用いて説明する。
【0010】表1は、本発明のフィルム(実施例1の実
験No.1に対応)、従来フィルム1(比較例1の実験
No.2 に対応)及び従来フィルム2(比較例2の実
験No.3に対応)について、フィルムの構成、フィル
ムの物性及び後述する方法によって評価した結果を比較
した表である。ここで、従来フィルム2は本発明のフィ
ルムと同等の密着性及びセロテープ接着性が得られる様
に水添ポリブテンの添加量を調整したフィルムである。
【0011】先ず本発明のフィルムと従来フィルム1を
比較すると、本発明のフィルムは密着性及びセロテープ
接着性に優れることが分かる。次に本発明のフィルムと
従来フィルム2を比較すると、本発明のフィルムは防曇
性及びフィルム表面の汚れに優れることが分かる。この
原因は、従来のフィルム2は本発明のフィルムと同等の
密着性及びセロテープ接着性を得る為には水添ポリブテ
ンの添加量を増量しなければならない点にあり、この違
いはフィルムの平滑性の違いによると考えられる。
【0012】本発明のフィルムのごとく、多層構成で8
0℃における収縮率が20〜50%になる様に延伸配向
を掛けると、フィルム表面の平均粗さ(Ra:JIS−
B0601に準拠。明伸工機社製表面形状解析装置・S
AS2010で非接触法で測定)は、従来フィルム2が
0.12μm程度と表面が粗れているのに対して0.0
3μm程度と低いレベルに留まる。
【0013】このことによって、本発明のフィルムは粘
着付与剤である液状ポリブテンの量が従来フィルム2で
は1%以上、通常は3%以上必要であるのに比べ0.5
〜1%程度と少量で自己密着性及びセロテープ接着性を
付与できる結果となり、逆に従来フィルム2はフィルム
表面の凹凸の影響を排除出来るだけの添加量が必要な
為、粘着付与剤のオーバーブリードによるフィルム表面
の汚れの原因となっていると考えられる。
【0014】また、防曇性も従来フィルム2は本発明の
フィルムに比べて劣っていた。防曇性評価において、従
来フィルム2を観察してみると、OSCに陳列した直後
は水滴もなくフィルム表面はクリアであるが、時間が経
つにつれてフィルム表面に小さなブツブツが目立ち始め
た。よく観察してみるとその箇所は水がはじかれてい
た。ブツブツを核として次第に水滴が出来はじめ、1日
後には水滴がフィルム表面一杯に生じてた。この原因
は、液状ポリオレフィンと非イオン系界面活性剤とは相
溶性に乏しいことによると考えられる。即ち、OSCに
陳列された直後はフィルム表面に非イオン系界面活性剤
が均一な「膜」を形成するに足る量が表面に存在する
が、凝縮水分によって洗い流される。
【0015】本発明のフィルムであればフィルム内部か
ら表面に非イオン系界面活性剤がブリードしてフィルム
表面に「均一」に補充されていくが、液状ポリブテンの
添加量が多い従来フィルム2は液状ポリブテンに妨害さ
れて非イオン系界面活性剤は「均一に」ブリード出来ず
に、「膜」に欠陥が発生していると考えられる。以上の
ことから、本発明によって初めて、フィルム表面の汚れ
を発生させることなく自己密着性及びセロテープ接着性
を満足し、更には「温度変化」を伴う場合でも防曇性に
優れるフィルムを提供できることが分かる。
【0016】そこで、先ず要件「多層フィルム」の役
割は、冷間延伸が可能で80℃における収縮率が20〜
50%であるという低温収縮性を本発明の多層フィルム
に付与させる為のものである。この多層フィルムは、3
0〜80℃の低い温度下で面積倍率で6〜30倍に延伸
(冷間延伸)すること等により得られる。この冷間延伸
によって本発明のフィルムのごとく80℃における収縮
率が20〜50%のフィルムでは表面平均粗さが0.0
3μm程度と小い平滑なフィルムとなるが、ダイレクト
インフレーション法や押出キャスト法によって製膜され
た80℃における収縮率が20%未満のフィルムではフ
ィルム表面の平均粗さが0.1μmを越える様な表面が
粗いフィルムとなってしまう。
【0017】次に要件「100℃における動粘度が1
0〜700CSの水添液状ポリオレフィンを0.5〜
1.0重量%と非イオン系界面活性剤を0.5〜2.0
重量%」の役割は、防曇性を阻害せずに自己密着性及び
セロテープ接着性を満足させる為のものである。液状ポ
リオレフィンを添加するのは本発明のフィルムに自己密
着性及びセロテープ接着性を付与するためである。ここ
で、液状ポリオレフィンとは、分子量が数百から数千の
低重合ポリオレフィンで、常温で液状であるものをい
い、例えば液状ポリブテン、液状ポリブタジエン等があ
る。これらのうち、食品包装用途の場合には衛生上の点
から特に水添液状ポリブテンが好ましい。
【0018】水添液状ポリオレフィンの100℃におけ
る動粘度は(JIS−K2283準拠)10〜700C
S(センチストークス)である必要がある。10CS未
満では自己密着性及びセロテープ接着性を満足出来ず、
700CSを越える場合には非イオン界面活性剤との相
溶性が極度に悪くなる傾向にあり、フィルム化した場合
に防曇剤がフィルム表面内で不均一となり、水滴があば
た状になり、防曇性が劣るので好ましくない。該動粘度
は、自己密着性の観点から好ましくは35CS以上、更
には100CS以上が好ましく、また防曇性の観点から
は300CS以下が好ましい。
【0019】水添液状ポリオレフィンの量は0.5〜
1.0重量%である必要がある。0.5重量%未満では
自己密着性及びセロテープ接着性を満足出来ず、1.0
重量%を越える場合には防曇性が劣る。また、本発明の
多層フィルムは、非イオン系界面活性剤を0.5〜2.
0重量%含有する必要がある。0.5重量%未満では防
曇性に劣り、2.0重量%を越えると自己密着性及びセ
ロテープ接着性に劣る。
【0020】ここで、本発明に用いられる非イオン系界
面活性剤としては、グリセリン脂肪酸エステル及びポリ
グリセリン脂肪酸エステル及びこれらのエチレンオキサ
イド(EO)付加物、ポリオキシエチレンアルキルエス
テル、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ソルビタ
ン脂肪酸エステル及びそのEO付加物等が例示出来る。
これらのものは単独で用いても良いが、好ましくは2種
以上を混合して用いる方が良い。
【0021】特にポリオレフィン系樹脂フィルムに用い
る場合には、HLBが4程度で分子量の小さな非イオン
系界面活性剤、例えばグリセリンモノ脂肪酸エステル
(特に鎖長の短い脂肪酸が好ましい)とHLBが5程度
で−OH基の多いもの、例えばポリグリセリン脂肪酸エ
ステルが好ましい。前者と後者とを比較すると、前者の
方が後者に比べ分子量が小さく且つ分子内の−OH基の
数が少ない。このことは、分子量の小さい前者の方が
後者に比べフィルム表面へのブリード速度は速い、−
OH基の数が少ない(従ってHLBが小さい)前者は防
曇性の点では後者に比べ劣る、しかし、−OH基の数
が少ない前者は後者に比べ凝縮水分による洗い流しを受
け難い、点が挙げられる。従って、OSCでの防曇性の
様な洗い流しを受ける場合でも、防曇性を発揮するのは
後者、防曇剤が洗い流されても直ぐにブリードして来て
防曇剤の膜に欠陥が出来るのを防止するのは前者と、前
者と後者をうまく組み合わせる事によって所望の特性を
発現させる事が出来る。
【0022】またハンド包装用途であれば、不飽和脂肪
酸、例えばオレイン酸のエステルが自己密着性が向上す
るので好ましい。従って、本発明においては、HLBが
4程度で分子量の低いモノグリセリンオレート(F1)
とHLBは5程度で−OH基が多いジグリセリンオレー
ト(F2)との組合わせが好ましく、F1とF2の重量
比(F1/F2)は0.1〜9が好ましい。本発明にお
いて、非イオン系界面活性剤は後述する延伸補助層やコ
ア層に添加しても良い。その量は、液状ポリオレフィン
の効果である自己密着性及びセロテープ接着性を妨害し
ない程度で、例えば0.5重量%〜2重量%程度が好ま
しい。
【0023】次に、多層フィルムを構成する表面層(Z
層)、延伸補助層(X層)及びコア層(Y層)について
説明する。
【0024】先ず表面層(Z層)は、ヒートシール性、
防曇性、表面光沢性、柔軟性等の表面特性を具備させる
もので、例えば密度が0.890〜0.910g/cm
3 のエチレン−α・オレフィン共重合体(好ましくは、
メタロセン系触媒等のシングルサイト触媒で重合され、
分子量分布の狭いもの)、酢酸ビニル含量が10〜15
重量%のエチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−ア
クリル酸エステル等が挙げられる。
【0025】次に延伸補助層であるX層は冷間延伸を行
う場合には必須の層である。この層としては、主に以下
に示す重合体(A)、重合体(B)、重合体(C)の3
種の重合体のブレンド組成物からなる層が使われる。重
合体(A)としては、Vicat軟化点が60℃以下の
軟質エラストマーで、その具体例としては、エチレン又
はプロピレンと炭素数2〜20のα・オレフィンとの主
としてランダム共重合体である。ここで、α・オレフィ
ンの他にシクロペンタジエン系単量体、ノルボルネン系
単量体(例えば、エチリデンノルボルネン)等が共重合
されても良い。
【0026】重合体(B)としては、伸び易さや透明性
及び防曇性等を付与する為に、例えばエチレン−酢酸ビ
ニル、エチレン−アクリル酸エチル等のエチレンとエス
テル単量体、脂肪族不飽和モノカルボン酸、該モノカル
ボン酸アルキルエステルより選ばれる単量体との共重合
体、又は上記単量体とエチレンとの共重合体の一部分以
上をケン化した重合体の少なくとも一部を、例えばN
a、Zn、Mg、等の金属のイオンによりイオン結合さ
れた重合体等である。
【0027】重合体(C)としては、フィルムの強度
(腰)や低温収縮性や耐熱性等を付与する為に、例えば
イソタクチックポリプロピレンやシンジオタクチックポ
リプロピレン及びプロピレンにエチレンやブテン−1等
共重合したプロピレン系重合体、又はポリブテン−1系
重合体等である。上記組成物に1,2−ポリブタジエ
ン、水添ジシクロペンタジエン、水添テルペン等の石油
樹脂、水添スチレン−ブタジエンコポリマー(ブロッ
ク、ランダム)等をブレンドしても良い。
【0028】また耐熱性や強度を保持させる為のY層
は、例えばイソタクチックポリプロピレンやシンジオタ
クチックポリプロピレン及びプロピレンにエチレンやブ
テン−1等共重合したプロピレン系重合体及びポリブテ
ン−1系重合体等よりなる。これ等の樹脂の他に混合す
る樹脂としては、1,2−ポリブタジエン、水添ポリジ
シクロペンタジエン、水添ポリテルペン等の石油樹脂、
水添スチレン−ブタジエンコポリマー(ブロック、ラン
ダム)等が挙げられる。更に、Y層には上記重合体
(A)及び重合体(B)をブレンドしても良く、その場
合には耐熱性の観点からプロピレン系重合体とポリブテ
ン−1系重合体の合計が50重量%以上である必要が有
る。
【0029】これ等の各層の組合せとしては、4層では
Z/Y/X/Z、5層ではZ/X/Y/X/Z,Z/Y
/X/Y/Z、7層ではZ/X/Y/X/Y/X/Z,
Z/Y/X/Y/X/Y/Z,Z/Y/X/…/Z,Z
/X/Y/…/Y/Z等が挙げられる。Y層を2層以上
有する組合せがフィルムの強度の点で好ましい。尚上記
フィルムは、回収して再ペレット化して、X層中にブレ
ンドする事が可能である。各層の厚み比率は、多層フィ
ルムとしての強度や光学特性やヒートシール性から、通
常X層が10〜70%、Y層が5〜40%、Z層が5〜
40%の範囲で選ばれる。又多層フィルムのトータル厚
みは、包装性、ストレッチ性、取扱い性から、好ましく
は5〜20μmである。又、上記のX層、Z層には,防
曇剤、防菌剤、防霜剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤等を
添加しても良い。
【0030】次に、本発明のフィルムを得る好ましい方
法とその冷間延伸法を示す。先ず各層の樹脂組成物を別
々の押出機で溶融押出し、多層ダイ(好ましくはサーキ
ュラーダイ)で合流積層化する。この積層体を冷媒によ
り急冷固化しチューブ状原反とする。これにより、各樹
脂層の結晶化度が低く抑えられ、冷間延伸が容易とな
る。この際、チューブ内に防曇性、滑り性等の特性を改
良する目的で、界面活性剤、シリコーンオイル等を充填
する。次に30〜80℃(通常35〜65℃)の温度に
加熱し、面積倍率9〜30倍に延伸する。延伸後フィル
ムを引取り、必要に応じて熱処理を行う。この場合の温
度は表層の重合体のVicat軟化点以下で行い(通常
40〜70℃)、熱処理の際にはフィルムが緊張状態で
行うよりも、縦、横共に5%以上、弛緩させて行うのが
好ましい。又熱処理の後にコロナ放電処理等を行っても
良い。
【0031】
【発明の実施の形態】以下、実施例を用いて本発明を具
体的に説明する。まず、以下に本発明におけるフィルム
の評価方法を示す。 (1)収縮率(%) フィルムサンプルをフィルムの縦方向・横方向それぞれ
に直行する様に50mm×50mmに切り出し、80±
1℃の熱風循環恒温槽に自由に収縮出来る状態に入れ、
30分放置した後取り出して寸法収縮率を求めた。数値
は縦方向と横方向との平均値で表す。 (2)自己密着性 ・方法 中央化学社製発砲ポリスチレントレー(PSPトレー)
FS−B5に100gの粘土を入れて、ハンドラッパー
を用いてサンプルフィルムで包装した。この時、ヒート
シール用の熱板のヒーターは入れず自己密着でのみシー
ルし、その時の密着性を評価した。
【0032】また、セロテープでバックアップした幅1
0mm×長さ100mmのサンプルフィルム2枚を、バ
ックアップしていない面を長さ方向に30mm重ね合わ
せて2枚のフィルム間に空気層が無い状態になったら、
チャック間50mmの引張試験機にセットして200m
m/分で引張り、重ね合わせた面がずれ始める最大荷重
S(kg/cm2 )を読み取った。 ・評価基準 基準 記号 備考 S≧0.7 ◎ 折り込んだフィルムが綺麗に密着している。 放置しても剥がれてこない。 0.6≦S<0.7 ○ 折り込んだフィルムは多少浮いているが、放 置しても剥がれてこない。 0.5≦S<0.6 △ 折り込んだフィルムは、包装直後では密着し ているが10分後には剥がれている(実用は 困難)。 S<0.5 × 密着性は殆ど無く、包装直後から捲れてしま うもの。
【0033】(3)セロテープ接着性 水で濡れた食品を包装する場合や冷蔵庫から出したばか
りの食品を包装した時の結露によって、フィルムをセロ
テープ止めする時にセロテープがフィルムに付かない場
合がある。又一度セロテープ止め出来ても店頭に陳列さ
れている間にセロテープが剥がれて食品が露出してしま
うといった問題が発生する。本発明者らの実験では、
「結露によって濡れたフィルムにセロテープを貼った場
合」の方が「結露前のフィルムにセロテープを貼った後
フィルムに結露させた場合」よりもフィルムとセロテー
プとの接着強度は小さな値となった。そこで前者の場合
を想定して、以下に示す様な方法でセロテープ接着性を
評価した。 ・方法 中央化学社製PSPトレーSK−20Fに水を200g
入れ、それを冷凍庫中に放置して水を凍らせて、これを
フィルムサンプルで包装する。直ちにトレーをひっくり
返して、氷をフィルム面に3分間接触させて結露させる
(室温:23℃、湿度:65%RH)。3分後トレーを
元の状態に戻し、フィルム面に18mm幅長さ150m
mののセロテープを張りつけ、引張試験機を用いて、セ
ロテープの端面の一部を200mm/分の速度でフィル
ム面に対して垂直方向へ引っ張って、その時の荷重を1
cm幅に換算してセロテープ接着強度L(g/cm幅)
とした。
【0034】 ・評価基準 基準 記号 備考 L≧25 ◎ セロテープをフィルムから剥がそうとすと、フィ ルムが伸びてしまうくらい、接着している。 15≦L<25 ○ セロテープをフィルムから剥がそうとすと、バリ バリ音をたてながら剥がれる(実用レベル)。 10≦L<15 △ セロテープとフィルムとは簡単に剥がせる。 (実用には不向き) L<10 × セロテープとフィルムとは殆ど接着していない。 (4)防曇性 ・方法 豚ロースのスライス200gを中央化学社製PSPトレ
ーFS−B5に載せ、フィルムで包んで、5℃に設定
(−5〜10℃の温度を約10分の周期で変化)したオ
ープンショーケースに1日間陳列し、その後観察した。 ・評価基準 基準 記号 備考 水膜が均一で内容物が綺麗に見えるもの ◎ 水膜の厚みが不均一の部分はあるが水滴にはなっていない ○ 合格レベル 大きな水滴が幾つか発生している △ 水滴で内容物が見え難い × フィルムが曇って内容物が見えない。 ××
【0035】(5)フィルム表面の汚れ ・方法 フィルム表面にブリードしてきた粘着付与剤や防曇剤に
よってフィルム表面が汚れて見えたり、フィルムを繰り
出す時にフィルムが点で密着していてこれが剥離時のマ
ークとなって汚く見えるものを、光線透過度(HAZ
E:ASTM−D1003準拠)を測定することによっ
て評価した。 ・評価基準 基準 記号 備考 HAZE≦1.0 ◎ クリア 1.0≦HAZE<2.0 ○ 多少気になるが、実用可能レベル 2.0≦HAZE<3.0 △ 実用には不向き HAZE>3.0 × (6)総合評価 ・方法 上記の自己密着性、セロテープ接着性、防曇性及びフィ
ルム表面の汚れの評価結果から、以下の基準で総合評価
を決定した。 ・評価基準 基準 記号 備考 4項目全て「◎」のもの ◎ 4項目全て「◎」または「○」のもの ○ 実用レベル 1項目でも「△」があったもの △ 実用不可 1項目でも「×」があったもの ×
【0036】
【実施例】先ず、本実施例で用いた重合体を以下に示
す。 ・EVA:エチレン−酢酸ビニル共重合体〔酢酸ビニル
基含量=14重量%、MI=1.0g/10分、融点=
90℃〕 ・IPP:イソタクチックポリプロピレン〔密度=0.
900g/cm3 、MI=2g/10分、融点=163
℃〕 ・PB−1:ブテン−1・プロピレン共重合体〔密度=
0.900g/cm3、MI=1.0g/10分〕 ・UL :エチレン−オクテン−1共重合体〔オクテン
−1含量:25重量%、密度=0.868g/cm3
MI=0.5g/10分、融点=56℃、(ダウケミカ
ル社製AFFINITY・EG8150相当品)〕
【0037】
【実施例1】 (ア)Z層としてEVAに粘着付与剤として100℃に
おける動粘度が270CSの水添液状ポリブテン(日本
油脂社製ニッサンポリブテン10SH)を0.7重量%
(以下ことわりがない限り、割合は重量%)、防曇剤と
してジグリセリンオレート(理研ビタミンビタミン社製
O−71D)とグリセリンオレート(理研ビタミンビタ
ミン社製OL−100)とが1:1の混合物(以下、防
曇剤1と記す)を1.0%添加した層を、(イ)X層と
してEVAを65%とIPPを5%とPB−1を5%と
ULを25%とをブレンドした組成物100重量部に、
防曇剤として防曇剤1を2.0重量部添加した層を、
(ウ)Y層としてIPPを25%とPB−1を45%と
EVAを25%とULを5%ブレンドした組成物層を用
いて、各層をZ/X/Y/X/Z(=10%/32.5
%/15%/32.5%/10%)の5層構造に210
℃に昇温されたサーキュラー多層ダイ(リップ径:20
0mm、リップの開度:1.1mm)より押出(全押出
量:15kg/時間)し、押出した積層体を15℃の冷
水で急冷して折り畳み、厚みが50μmの原反を得た。
ここで、原反チューブの内面にはオレイン酸ナトリウム
の8%水溶液を塗布した。折り畳んだ原反に空気を注入
してチューブ状にし、50℃に加熱して、15℃のエア
ーで冷却しながら縦方向(TUR)に2.7倍、横方向
(BUR)に4.5倍にチューブラー延伸し、開度が6
0°のロール式デフレーターで折り畳み、デフレーター
のメインピンチロールに対する速度比が0.90の引取
ロールで引き取った。次に、温度が60℃、弛緩率が縦
15%、横30%で熱処理して、フィルムの両端を切り
2枚のフィルムとして巻き取った。フィルムの最終倍率
は、縦が約2.0倍、横が約2.1倍であった。又最終
フィルムの厚みは11μmであった。得られたフィルム
の収縮率、自己密着性、セロテープ接着性及び防曇性を
評価した(実験No.1)。
【0038】
【比較例1】実施例1のZ層に水添液状ポリブテンを添
加しなかった他は、実施例1と同じ実験を繰り返した
(実験No.2)。
【0039】
【比較例2】実施例1のZ層に添加した水添液状ポリブ
テンの量を3%と増量し、Z層単独を210℃に昇温さ
れたサーキュラーダイ(リップ径:100mm、リップ
の開度:1.5mm)より押出(全押出量:15kg/
時間)し、これを空気を入れて横倍率(BUR)3.0
倍、引取速度15m/分で引取り、厚みが14μmのフ
ィルムを得た。得られたフィルムの収縮率、自己密着
性、セロテープ接着性及び防曇性を評価した(実験N
o.3)。尚、Z層に添加した液状ポリブテンの量は実
施例1のフィルムと自己密着性及びセロテープ接着強度
が同レベルになる様に調整した結果である。
【0040】ちなみに、Z層単独で実施例1と同様に5
0μmの厚みの原反を作製し、冷間延伸しようとした
が、延伸時にバブルは縦方向に裂けて延伸出来なかっ
た。以上、実験No.1〜実験No.3のフィルムの評
価結果を表1に示す。ここで、表1を用いて本発明が従
来技術と異なるポイントについて説明する。先ず、本発
明のフィルム(実験No.1)と従来フィルム1(実験
No.2)を比較すると、本発明のフィルム(実験N
o.1)は明らかに「自己密着性」及び「セロテープ接
着性」に優れている。
【0041】次に、本発明のフィルム(実験No.1)
と自己密着性及びセロテープ接着強度が本発明のフィル
ム(実験No.1)と同レベルになる様に調整した従来
フィルム2(実験No.3)を比較すると、本発明のフ
ィルム(実験No.1)は明らかに「防曇性」及び「フ
ィルム表面の汚れ」に優れている。又、実験No.3は
単層構成なので従来フィルム1の特性を維持出来ていな
いことが分かる。従って、従来フィルム1の特性を維持
した状態で、フィルム表面の汚れを発生させることなく
自己密着性及びセロテープ接着性を満足し、更には「温
度変化」を伴う場合でも防曇性に優れるフィルムは本発
明によって初めて達成出来ることが分かる。
【0042】
【実施例2及び比較例3】実施例1のZ層に用いた水添
液状ポリブテンを、100℃の粘度が4.5SCのもの
(日本油脂製ニッサンポリブテン0SH)(実験No.
4)、同9.5SC(日本油脂製ニッサンポリブテン0
6SH)(実験No.5)、同35SC(日本油脂製ニ
ッサンポリブテン015SH)(実験No.6)、同8
2SC(日本油脂製ニッサンポリブテン3SH)(実験
No.7)、同115SC(日本油脂製ニッサンポリブ
テン5SH)(実験No.8)、同660SC(日本油
脂製ニッサンポリブテン30SH)(実験No.9)、
同9.5SC(日本油脂製ニッサンポリブテン200S
H)(実験No.10)に代えた他は、実施例1と同じ
実験を繰り返した。尚、80℃における収縮率は各フィ
ルムとも35%であった。
【0043】試みに、実施例1のZ層に用いた水添液状
ポリブテンを荒川化学社製ロジン系粘着付与剤スーパエ
ステルA75に代えた他は、実施例1と同じ実験を繰り
返したが、フィルム同士がブロッキングしてフィルムの
繰り出しが困難で、フィルムが痘痕状に汚れていて実用
に耐えないものであった。以上実験No.4〜実験N
o.10及び実験No.1のフィルムの評価結果を水添
液状ポリブテンの動粘度が低いものから順に表2に示
す。
【0044】表2において、本発明のフィルムは全て総
合評価が「○」以上であった。これに比べ、水添液状ポ
リブテンの動粘度が10CS未満の比較例3・実験N
o.5のフィルムでは自己密着性及びセロテープ接着性
に劣っていた。また、水添液状ポリブテンの動粘度が7
00CSを越える比較例3・実験No.10のフィルム
では防曇性及びフィルム表面の汚れに劣っていた。以上
より水添液状ポリブテンの100℃における動粘度が1
0〜700CSであることが必要であることがわかる。
更に、総合評価が「◎」である領域は水添液状ポリブテ
ンの動粘度が100〜300CSの領域であり、Tの動
粘度が100〜300CSであることが好ましい。
【0045】
【実施例3及び比較例4】実施例1のZ層に添加した水
添液状ポリブテンの量を0.4%(実験No.11)、
0.5%(実験No.12)、1.0%(実験No.1
3)、1.1%(実験No.14)に替えた他は、実施
例1と同じ実験を繰り返した。以上実験No.11〜実
験No.14及び実験No.1のフィルムの評価結果
を、水添液状ポリブテンの量が少ないものから順に表3
に示す。表3において、本発明のフィルムは全て総合評
価が「○」以上であった。
【0046】これに対し、水添液状ポリブテンの量が
0.5%未満である比較例4・実験No.10のフィル
ムは自己密着性及びセロテープ接着性に劣っていた。ま
た、水添液状ポリブテンの量が1.0%を越える比較例
4・実験No.14のフィルムは防曇性及びフィルム表
面の汚れに劣っていた。以上より水添液状ポリブテンの
量は0.5〜1.0重量%であることが必要であること
が分かる。
【0047】
【実施例4及び比較例5】実施例1のZ層に添加した防
曇剤1の量を0.4%(実験No.15)、0.5%
(実験No.16)、2.0%(実験No.17)、
2.1%(実験No.18)に替えた他は、実施例1と
同じ実験を繰り返した。以上実験No.15〜実験N
o.18及び実験No.1のフィルムの評価結果を、非
イオン系界面活性剤の量が少ないものから順に表4に示
す。
【0048】表4において、本発明のフィルムは全て総
合評価が「○」以上であった。これに対し、非イオン系
界面活性剤の量が0.5%未満である比較例5・実験N
o.15のフィルムは防曇性に劣っていた。また、非イ
オン系界面活性剤の量が2.0%を越える比較例5・実
験No.18のフィルムは自己密着性及びセロテープ接
着性に劣っていた。以上より非イオン系界面活性剤の量
は0.5〜2.0重量%であることが必要であることが
分かる。
【0049】
【実施例5】実施例1のZ層に添加した非イオン系界面
活性剤・防曇剤1のモノグリセリンオレート(F1)と
ジグリセリンオレート(F2)との重量比率(F1/F
2比)を、0(実験No19)、0.1(実験No.2
0)、9(実験No.20)、10(実験No.21)
に替えた他は、実施例1と同じ実験を繰り返した。以上
実験No.19〜実験No.22及び実験No.1のフ
ィルムの評価結果を、F1/F2比の小さいものから順
に表5に示す。表5において、F1/F2比が0.1〜
9の実験No.20、実験No.1及び実験No.21
のフィルムは総合評価が「◎」であった。特に防曇性
は、OSCに2日間陳列しても評価は「◎」であった。
【0050】これに比べて、F1/F2比が0(F2の
み)の実験No.19のフィルムは上記フィルムに比べ
若干防曇性が劣っていた。OSCに陳列した直後は防曇
性に優れていたが陳列後12時間程度で水膜が若干不均
一になり始め、24時間では水滴は見られなかったが3
0時間後では水滴が幾つか発生していた。また、F1/
F2比が10の実験No.19のフィルムは、防曇性は
48時間後でも優れていたが、自己密着性が実験No.
21のフィルムに比べて劣っていた。因みに、F1のみ
(F1/F2=∞)のフィルムでは48時間後でも水滴
は見られなかったが、水膜が不均一でいつ水滴が出来て
もおかしくないといった状態であった。以上のことか
ら、非イオン系界面活性剤(F)のモノグリセリンオレ
ート(F1)とジグリセリンオレート(F2)との比率
(F1/F2比)が0.1〜9であることが好ましいこ
とが分かる。
【0051】
【実施例6及び比較例6】実施例1の熱処理条件を、温
度が80℃で弛緩率が縦15%×横40%(実験No.
22)、温度が70℃で弛緩率が縦15%×横35%
(実験No.23)、熱処理を行わなかった(実験N
o.24)他は、実施例1と同じ実験を繰り返した。
【0052】収縮率は、順に15%、20%、80%で
あった。延伸条件を変更して80%を越える収縮率のフ
ィルムを製膜しようとしたが製膜出来なかった。各フィ
ルムの透明性(HAZE、従来のフィルム1では2.0
%以下)を測定したところ、順に2.5%、1.0%、
0.7%であり、実験No.22のフィルムはHAZE
が2.0%を越え透明性に劣っていた。従って、80℃
における収縮率が20〜80%であることが従来フィル
ム1の特性を維持する為に必要であることが分かる。
【0053】
【表1】
【0054】
【表2】
【0055】
【表3】
【0056】
【表4】
【0057】
【表5】
【0058】
【発明の効果】本発明によれば、ヒートシール性、表面
光沢性、柔軟性等の従来の冷間延伸多層ストレッチフィ
ルム(従来フィルム1)の利点を維持した状態で、フィ
ルム表面の汚れを発生させることなく自己密着性及びセ
ロテープ接着性を満足し、更には「温度変化」を伴う場
合でも防曇性に優れる多層ストレッチフィルムを提供す
ることできる。そして、かかるフィルムは包装材料、特
にハンド包装用途に好適である。

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 両表面層(Z層)と延伸補助層(X層)
    及びコア層(Y層)の少なくとも4層からなり、80℃
    における収縮率が20〜50%の包装用ポリオレフィン
    系樹脂多層ストレッチフィルムにおいて、上記多層フィ
    ルムにおけるZ層が、100℃における動粘度が10〜
    700CS(センチストークス)の液状ポリオレフィン
    を0.5〜1.0重量%、及び非イオン系界面活性剤を
    0.5〜2.0重量%含む包装用ポリオレフィン系樹脂
    多層ストレッチフィルム。
  2. 【請求項2】 前記非イオン系界面活性剤が、モノグリ
    セリンオレート(F1)とジグリセリンオレート(F
    2)を含有し、かつその重量比(F1/F2)が0.1
    〜9である請求項1記載の包装用ポリオレフィン系樹脂
    多層ストレッチフィルム。
JP9047778A 1997-03-03 1997-03-03 包装用ポリオレフィン系樹脂多層ストレッチフィルム Pending JPH10244638A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP9047778A JPH10244638A (ja) 1997-03-03 1997-03-03 包装用ポリオレフィン系樹脂多層ストレッチフィルム

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP9047778A JPH10244638A (ja) 1997-03-03 1997-03-03 包装用ポリオレフィン系樹脂多層ストレッチフィルム

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JPH10244638A true JPH10244638A (ja) 1998-09-14

Family

ID=12784841

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP9047778A Pending JPH10244638A (ja) 1997-03-03 1997-03-03 包装用ポリオレフィン系樹脂多層ストレッチフィルム

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JPH10244638A (ja)

Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2002036666A1 (fr) * 2000-11-01 2002-05-10 Asahi Kasei Kabushiki Kaisha Film thermoretractable
JP2009101606A (ja) * 2007-10-23 2009-05-14 Asahi Kasei Chemicals Corp 防曇性多層フィルム

Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2002036666A1 (fr) * 2000-11-01 2002-05-10 Asahi Kasei Kabushiki Kaisha Film thermoretractable
US7182998B2 (en) 2000-11-01 2007-02-27 Asahi Kasei Kabushiki Kaisha Heat-shrinkable film
JP2009101606A (ja) * 2007-10-23 2009-05-14 Asahi Kasei Chemicals Corp 防曇性多層フィルム

Similar Documents

Publication Publication Date Title
US4486552A (en) Fog-resistant olefin polymer films
US5443765A (en) Method for producing a highly stretched multi-layered film
US20120189862A1 (en) Stretch packaging film
US5759675A (en) Multi-layer stretchable, shrinkable polyethylene film and process for the preparation thereof
US7182998B2 (en) Heat-shrinkable film
KR100688674B1 (ko) 스트레치 포장용 적층 필름
JP4115846B2 (ja) ポリオレフィン系樹脂防曇・熱収縮性多層フィルム
US6858288B2 (en) Wrap film
EP2666631B1 (en) Stretch packaging film
JP2007045855A (ja) ポリオレフィン系樹脂組成物
JP2004209696A (ja) 食品包装用ストレッチフィルム
JPH10244638A (ja) 包装用ポリオレフィン系樹脂多層ストレッチフィルム
JP7251153B2 (ja) ストレッチ包装用フィルム
JP3497767B2 (ja) ポリオレフィン系ストレッチ包装用フィルム
JP2000094604A (ja) 包装用多層フイルム
JPH10101816A (ja) 包装用樹脂フィルム
JP3746166B2 (ja) ポリオレフィン系ストレッチ包装用フィルム
JP3403666B2 (ja) 軟質ポリオレフィン樹脂組成物
JP2022063198A (ja) ストレッチ包装用フィルム
JP3258849B2 (ja) 多層ポリエチレン系ストレッチシュリンクフィルム及びその製造方法
JP3497768B2 (ja) ポリオレフィン系ストレッチ包装用フィルム
EP1207120A2 (en) Wrap film
JP2000290403A (ja) 密着性耐熱ラップフィルム
JP3630485B2 (ja) ポリオレフィン系樹脂多層ストレッチ包装用フィルム
JP2002338704A (ja) 冷凍食品用ストレッチフィルム