JPH10244412A - 穴明け工具 - Google Patents

穴明け工具

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Publication number
JPH10244412A
JPH10244412A JP4642197A JP4642197A JPH10244412A JP H10244412 A JPH10244412 A JP H10244412A JP 4642197 A JP4642197 A JP 4642197A JP 4642197 A JP4642197 A JP 4642197A JP H10244412 A JPH10244412 A JP H10244412A
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JP
Japan
Prior art keywords
tool
tip
rear end
end side
chip discharge
Prior art date
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Withdrawn
Application number
JP4642197A
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English (en)
Inventor
Koyo Saeki
幸洋 佐伯
Masaharu Takiguchi
正治 滝口
Yasuhiko Kawade
保彦 川出
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Mitsubishi Materials Corp
Original Assignee
Mitsubishi Materials Corp
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Publication date
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Publication of JPH10244412A publication Critical patent/JPH10244412A/ja
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 たとえスローアウェイチップが工具本体の内
周側と外周側とに偏って配置された穴明け工具などにお
いても、穴明け加工時の工具本体の振れを抑えることが
可能な穴明け工具を提供する。 【解決手段】 略円柱状の工具本体11先端部のドリル
部12の外周に、この工具本体11の先端から後端側に
向けて延びる切屑排出溝18,19が形成され、この切
屑排出溝18,19の先端にスローアウェイチップ2
2,22が取り付けられて切刃24,24が設けられて
なる穴明け工具であって、ドリル部12の少なくとも切
刃24,24の周辺よりも後端側の部分においては、先
端側における工具本体11の軸線Oから切屑排出溝1
8,19の溝底面までのウェブ25の厚さW18,W19
後端側よりも大きくして、先端側における工具本体11
の断面積を後端側よりも大きくする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、工具本体の外周に
形成された切屑排出溝の先端に切刃が設けられたドリル
等の穴明け工具に関するものである。
【0002】
【従来の技術】この種の穴明け工具においては、例えば
図5ないし図7に示すように、工具本体1先端部のドリ
ル部2に、該工具本体1の回転軸線Oを挟んで一対の切
屑排出溝3,4が形成されるとともに、これらの切屑排
出溝3,4のそれぞれ先端にスローアウェイチップ(以
下、チップと称する。)5,5が着脱自在に装着され、
このチップ5に切刃6が形成された、いわゆる2枚刃の
スローアウェイ式ドリルが知られている。そして、特に
このようなスローアウェイ式ドリルにおいては、図示の
通り一方の切屑排出溝3の先端に装着されるチップ5を
工具本体1の内周側に配置するとともに、他方の切屑排
出溝4の先端に装着されるチップ5を外周側に配置し、
かつ互いのチップ5,5の切刃6,6の上記軸線O回り
の回転軌跡が交差するようにして、一つのチップ5の切
刃6の長さよりも大きな切刃外径が得られるようにされ
たものが種々提案されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】ところで、通常このよ
うな穴明け工具は、その工具本体1の後端部に設けられ
たシャンク部7が工作機械の主軸端に取り付けられて上
記軸線O回りに回転されつつ軸線O方向に送り出され、
工具本体1先端の上記チップ5の切刃6によって加工物
を切削することにより、穴明け加工に供されるものであ
る。ここで、一般的なツイストドリルのように、一対の
切刃が工具本体の軸線に対して対称に設けられた穴明け
工具などにおいては、切削の際に切刃に作用する負荷の
軸線Oに対する径方向の分力は、両切刃同士で大きさが
等しくかつ互いに反対方向に作用して相殺されるため、
工具本体にこれを径方向に撓ませる力が作用することは
少ない。ところが、上述のようにチップ5,5が工具本
体1の内周側と外周側とに偏って配置された穴明け工具
では、両チップ5,5の切刃6,6に作用する負荷の大
きさも異なったものとなるため、その径方向の分力も完
全には相殺されず、これにより穴明け加工時に工具本体
1を径方向に撓ませる力が作用して工具本体1に振れが
生じ、加工精度を劣化させたり、切削負荷や工具回転駆
動力の増大を招いたり、あるいは振動によって大きな切
削音を発生したりする。
【0004】また、特に上述のような穴明け工具では、
上記一方の切屑排出溝3の先端に装着されるチップ5が
工具本体1の内周側に配置されるのに伴い、該チップ5
が装着される工具本体1の最先端部においては、この一
方の切屑排出溝3を他方の切屑排出溝4よりも内周側に
深く形成しなければならない。従って、図6に示すよう
にこの工具本体1の最先端部では、両切屑排出溝3,4
の溝底面の間に形成される工具本体1のウェブ8の厚さ
のうち、軸線Oから一方の切屑排出溝3の溝底面までの
ウェブ8の厚さW3が、他方の切屑排出溝4のウェブ8
の厚さW4よりも小さくなり、すなわちこれら一対の切
屑排出溝3,4の上記軸線Oに直交する断面の形状がこ
の軸線Oに対して非対称となることが避けられない。そ
して、従来の上記2枚刃スローアウェイ式ドリルでは、
工具本体1が、図7に示すように上記ウェブ8の厚さW
3,W4が異なったまま、すなわち非対称の断面のまま、
一定形状で後端側に延びるように形成されており、この
ため両切屑排出溝3,4の溝底面同士の間のウェブ8の
中心が上記軸線Oからずれてしまって、特に工具本体1
を高速で回転させて穴明け加工を行う場合などに、工具
本体1の振れが一層助長されてしまうという問題があっ
た。ただし、図7は切屑排出溝3,4の溝底面に沿った
断面図を示している。
【0005】本発明は、このような背景の下になされた
もので、たとえ上述のようなチップが工具本体の内周側
と外周側とに偏って配置された穴明け工具などにおいて
も、穴明け加工時の工具本体の振れを抑えて、加工精度
の劣化を防止するとともに、切削負荷や工具回転駆動力
の軽減を図り、また大きな切削音の発生を防止すること
が可能な穴明け工具を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決して、こ
のような目的を達成するために、本発明は、略円柱状の
工具本体先端部の外周に、この工具本体の先端から後端
側に向けて延びる切屑排出溝が形成され、この切屑排出
溝の先端に切刃が設けられてなる穴明け工具であって、
上記工具本体先端部の少なくとも上記切刃の周辺よりも
後端側の部分においては、先端側における当該工具本体
の断面積を後端側よりも大きくしたことを特徴とする。
すなわち、このような穴明け工具においては、上述のよ
うにその工具本体の後端側のシャンク部が工作機械の主
軸端に保持されるとともに、先端の切刃に切削負荷が作
用することから、いわゆる片持ち梁の先端に負荷が作用
した状態となる。しかるに、このような片持ち梁におい
ては、上記主軸端等に保持される後端側の保持部分の断
面積が同じならば、先端からの任意の距離における断面
積が大きいほど撓み量が小さくなることが知られてお
り、従って上述のように先端側における工具本体の断面
積を後端側よりも大きくすることにより、穴明け加工時
に作用する切削負荷に対して工具本体の撓みを抑え、振
れを軽減することが可能となるのである。
【0007】ところで、この工具本体の先端部は、穴明
け加工の進行に従って順次加工穴の中に挿入されてゆく
ことから、上述のように先端側における断面積を後端側
よりも大きくするといっても、その外径を、切刃の外
径、すなわち加工穴の径よりも大きくすることはできな
い。また、後端側の外径を小さくすることにより先端側
の断面積を大きくしたのでは、外径が一定の場合に比べ
て、後端側の上記保持部分の断面積が小さくなって却っ
て撓み量が大きくなるおそれがある。そこで、工具本体
先端部の外径を一定としたまま、その先端側における断
面積を後端側よりも大きくするには、上記工具本体先端
部の少なくとも切刃の周辺よりも後端側の部分におい
て、先端側における工具本体の軸線から切屑排出溝の溝
底面までのウェブの厚さを後端側よりも大きくすればよ
い。
【0008】ただし、このように工具本体先端部のウェ
ブの厚さを後端側よりも先端側が大きくなるようにした
場合、先端側におけるウェブの厚さの最大値が大きすぎ
るとこの部分で切屑排出溝が浅くなって切屑の排出が阻
害されるおそれがあり、逆にこの最大値が小さすぎる
と、後端側におけるウェブの厚さはさらに小さくなるた
め、工具本体先端部自体の剛性が損なわれて却って加工
時の振れの発生を促す結果となる。また、後端側におけ
るウェブの厚さについても、その最小値が大きすぎると
先端側におけるウェブの厚さが大きくなって切屑排出性
が損なわれるおそれがあり、逆に最小値が小さすぎると
剛性不足が生じるおそれがある。従って、上記工具本体
先端部の少なくとも切刃の周辺よりも後端側の部分にお
いては、上記軸線から切屑排出溝の溝底面までのウェブ
の厚さの最大値は、上記切刃の外径Dに対して0.09
〜0.20×Dの範囲に設定するのが望ましく、また最
小値は、上記切刃の外径Dに対して0.075〜0.1
5×Dの範囲に設定するのが望ましい。
【0009】さらに、上記工具本体先端部に複数条の切
屑排出溝が形成される場合には、この工具本体先端部の
少なくとも切刃の周辺よりも後端側の部分において、軸
線から各切屑排出溝の溝底面までのウェブの厚さを互い
に等しくすれば、この工具本体先端部における重心を工
具本体の回転軸線に一致させることができるため、高速
回転時等においても一層確実に工具本体の振れを抑える
ことが可能となる。さらにまた、本発明は、種々の穴明
け工具に適用可能ではあるが、上記従来の技術およびそ
の課題を鑑みると、特に上述したような2枚刃のスロー
アウェイ式ドリルに適用して好適であり、すなわち、工
具本体先端部に一対の切屑排出溝が形成され、これらの
切屑排出溝のそれぞれ先端に、切刃が形成されたチップ
が着脱自在に装着されており、これらのチップが工具本
体の内周側と外周側とに互いに偏って配置され穴明け工
具に適用して、効果的に上述の作用を奏しうる。
【0010】なお、このような2枚刃スローアウェイ式
ドリルを初め一般的なドリルにおいても、切刃は工具本
体先端の回転中心近傍にまで延びていることが多く、ま
た上述したツイストドリル等においては、この回転中心
近傍における工具本体の先端面を切り欠いて、いわゆる
シンニングを施すこともあるため、この切刃の周辺では
工具本体の断面積が制約されて所定の断面積よりも大き
くすることができないことがある。従って、本発明で
は、このような工具最先端の切刃の周辺を除いた工具本
体先端部の後端側の部分において、断面積が上述のよう
に設定されていればよい。
【0011】
【発明の実施の形態】図1ないし図4は、本発明の一実
施形態を示すものであって、本発明を上述のような2枚
刃のスローアウェイ式ドリルに適用したものである。本
実施形態において工具本体11は、軸線Oを中心とする
外観略多段円柱状をなし、その先端から後端側に向け
て、外形略円柱状のドリル部12と、このドリル部12
から一段拡径した略円錐台状のフランジ部13と、外径
がこのフランジ部13より小さくドリル部12よりも大
きい略円柱状のシャンク部14とから構成されている。
また、このシャンク部14の外周面には、後端側に向か
うに従い外周側に切れ上がる取付面14Aが形成されて
おり、さらにこのシャンク部14の後端面14Bから工
具本体11の先端側に向けては軸線Oに沿って切削油剤
の供給孔15が形成されていて、この供給孔15は、上
記フランジ部13において、その外周側から穿設された
副供給孔16に連通されているとともに、2つに分岐し
て工具本体11の先端側に延び、ドリル部12の先端面
12A、すなわち工具本体11の先端面に開口せしめら
れている。なお、この副供給孔16には、その未使用時
に該副供給孔16を封止するプラグ17が螺着される。
【0012】また、工具本体11の外周には、上記ドリ
ル部12の先端面12Aからフランジ部13にかけて、
軸線Oを間に挟んで互いに反対側に位置するように一対
の切屑排出溝18,19が形成されている。さらに、こ
れらの切屑排出溝18,19の工具回転方向T側を向く
壁面18A,19Aの先端にはチップ取付座20,21
が形成されており、これらのチップ取付座20,21に
それぞれチップ22がクランプネジ23によって着脱自
在に装着されていて、これにより本実施形態における切
刃24が提供されている。ここで、これらのチップ取付
座20,21は、一方の切屑排出溝18の先端に形成さ
れるチップ取付座20が、他方の切屑排出溝19の先端
に形成されるチップ取付座21に対して工具本体11の
内周側に偏って配置されており、これに伴い本実施形態
では、上記チップ22,22も工具本体11の内周側と
外周側に偏った位置に装着されている。
【0013】また、これらのチップ22,22は、本実
施形態では超硬合金等の硬質材料から形成された互いに
同形同大の略菱形平板状をなすものであり、その一方の
菱形面をすくい面として工具回転方向T側に向けるとと
もに、このすくい面の辺稜部に形成された上記切刃24
…の一つを工具本体11の先端に突出させて、上記チッ
プ取付座20,21に取り付けられている。そして、こ
の取付状態においてこれらのチップ22,22は、工具
内周側に位置するチップ22の切刃24の内周端が軸線
Oを越えてオーバーセンターとなるとともに、工具外周
側のチップ22の切刃24の外周端がドリル部12の外
周面よりも僅かに外周側に突出し、かつこれらの切刃2
4,24の軸線O回りの回転軌跡が互いにオーバーラッ
プするように配設されている。
【0014】一方、上記切屑排出溝18,19は、図2
に示すように上記チップ取付座20,21が形成される
ドリル部12の最先端部においては、上記壁面18A,
19Aが軸線Oに平行な方向に形成される一方、これよ
りも後端側においては軸線O方向に工具本体11の後端
側に向かうに従い工具回転方向Tの後方側に向かって捩
れる捩れ溝に形成されている。また、これらの切屑排出
溝18,19は、上記ドリル部2の最先端部において
は、上記壁面18A,19Aと工具回転方向Tの後方側
を向く壁面18B,19Bとにより図3に示すように略
V字型に画成される一方、これよりも後端側では、上記
壁面18A,19Aと壁面18B,19Bとの間に、壁
面18A,19Aに対して軸線O側に凹み、かつ壁面1
8B,19Bに滑らかに連なる円弧状の凹曲面18C,
19Cが形成されている。
【0015】さらに、上述のようにチップ22,22が
工具本体1の内周側と外周側とに偏って配置されるのに
伴い、ドリル部12の最先端部において上記切屑排出溝
18,19は、一方の切屑排出溝18の方が他方の切屑
排出溝19よりも工具内周側に深く切り欠かれるように
形成され、逆に両切屑排出溝18,19の間に形成され
る工具本体11のウェブ25については、軸線Oから一
方の切屑排出溝18の溝底面までのウェブ25の厚さW
18が、他方の切屑排出溝19のウェブ25の厚さW19
りも小さくなるように形成される。そして、このウェブ
25は、図4に示すようにその軸線Oから上記一方の切
屑排出溝18の溝底面までの厚さW18が、上記ドリル部
12の最先端から後端側に向かうに従い漸次増大して、
当該切屑排出溝18の上記凹曲面18Cの先端部分近傍
の位置P1において最大となり、さらにこれより後端側
に向かうに従い漸次減少して、ドリル部12後端側のフ
ランジ部13直前の位置P2において最小となるように
形成されている。ただし、図4は、ウェブ25の上記厚
さW18,W19を表すために、切屑排出溝18,19の溝
底面に沿った断面図を示している。
【0016】また、この図4に示すようにこのウェブ2
5は、軸線Oから上記他方の切屑排出溝19の溝底面ま
での厚さW19については、ドリル部12の最先端から後
端側に向かって略一定に延びた後、上記一方の切屑排出
溝18と同様に漸次増大して上記位置P1において最大
となり、この位置P1から後端側に向かうに従い漸次減
少して上記位置P2において最小となるように形成され
ている。さらに、本実施形態では、ドリル部12の上記
位置P1から位置P2に至る部分では、両切屑排出溝1
8,19側のウェブ25の厚さW18,W19は、軸線O方
向上の任意の位置において互いに等しくなるようにされ
ている。なお、本実施形態では、上記チップ22,22
が装着されるドリル部12の最先端部においては、切屑
排出溝18,19がそれぞれ壁面18A,18Bおよび
壁面19A,19Bによって画成されており、従って上
記ウェブ25の厚さW18,W19は、図3に示すように軸
線Oから壁面18A,19Aと壁面18B,19Bとの
交差部分までの距離であるのに対し、これよりも後端側
の上記位置P1から位置P2に至る部分では、壁面18
A,19Aと壁面18B,19Bとの間に凹曲面18
C,19Cが形成されることにより、軸線Oからこれら
凹曲面18C,19Cまでの距離がウェブ25の厚さW
18,W19とされる。
【0017】ここで、上記位置P1におけるウェブ25
の厚さW18,W19、すなわちドリル部12においてウェ
ブ25がなす厚さW18,W19の最大値は、ドリル部12
の外径Dに対して0.09〜0.20×Dの範囲に設定
されるのが望ましく、本実施形態ではそれぞれ0.20
×Dに設定されている。また、上記位置P2におけるウ
ェブ25の厚さW18,W19、すなわち上記位置P1から
後端側においてウェブ25がなす厚さW18,W19の最小
値は、同じくドリル部12の外径Dに対して0.075
〜0.15×Dの範囲に設定されるのが望ましく、本実
施形態ではそれぞれ0.075×Dに設定されている。
従って、上記位置P1から後端側においてウェブ25の
厚さW18,W19が等しくされた本実施形態では、両切屑
排出溝18,19の溝底面間におけるウェブ25の厚さ
Wは、ドリル部12の外径Dに対し、上記位置P1にお
いて0.40×Dとされるとともに、後端側に向かうに
従い漸次減少して上記位置P2において0.15×Dと
されている。
【0018】このように構成された穴明け工具は、その
工具本体11の上記フランジ部13が工作機械の主軸端
等の先端面に密着するようにして上記シャンク部14が
上記主軸端等に嵌挿された上で、上記取付面14Aが押
圧されることによってこの主軸端等に保持され、上記軸
線O回りに回転されつつ該軸線O方向先端側に送り出さ
れて、ドリル部12最先端の上記チップ22,22の切
刃24,24により加工物を切削して穴加工を行う。こ
こで、本実施形態の穴明け工具では、上記チップ22,
22が工具本体11の内周側と外周側とに偏って配置さ
れており、これにより両チップ22,22の切刃24,
24に作用する切削負荷はその大きさが異なるものとな
るため完全には相殺されず、これにより工具本体11に
は、これを上記軸線Oに対する径方向に撓ませる力が作
用することとなり、従ってこの工具本体11は、上記主
軸端等から突出したドリル部12が、片持ち梁の先端に
負荷が作用した状態となる。
【0019】しかるに、本実施形態の穴明け工具では、
このように片持ち梁の状態となる工具本体11の先端部
のドリル部12において、その最先端の切刃24,24
の周辺を除いた部分、すなわちチップ22,22の周辺
を除いた部分については、その先端側の位置P1におけ
るウェブ25の厚さW18,W19が後端側の位置P2にお
ける厚さW18,W19よりも大きくされており、これによ
り片持ち梁の先端側となるドリル部12の上記位置P1
の断面積が後端側となる上記位置P2よりも大きくされ
ている。このため、たとえ上述のように工具本体11の
内周側と外周側とに偏って配置されたチップ22,22
の切刃24,24に作用する切削負荷の相違によって、
工具本体11にこれを軸線Oに対する径方向に撓ませる
力が作用しても、上記ドリル部12における工具本体1
1の撓みを抑えて穴明け加工時の工具本体11の振れを
抑えることができ、かかる振れに起因する加工精度の劣
化や切削負荷および工具回転駆動力の増大、あるいは振
動による大きな切削音の発生を未然に防止することが可
能となる。
【0020】しかも、本実施形態では、ドリル部12の
上記位置P1から位置P2に至る部分においては、軸線O
から一方の切屑排出溝18の溝底面までのウェブ25の
厚さW18と他方の切屑排出溝19の溝底面までのウェブ
25の厚さW19とが互いに等しくされており、これによ
りこの部分においては工具本体11の重心の位置が回転
軸線Oに一致することとなる。従って、本実施形態の穴
明け工具によれば、この工具本体11の重心と軸線Oと
のずれによる工具本体11の振れをも抑えることが可能
であり、たとえ工具本体11を高速回転させて穴明け加
工を行う場合であっても、より確実に加工精度の劣化や
切削音の発生を防止できるとともに、切削負荷や工具回
転駆動力の低減を図ることができる。ただし、本実施形
態ではこのようにウェブ25の厚さW18,W19を位置P
1から後端側で互いに等しくしているが、両切屑排出溝
18,19間のウェブ25の厚さW、すなわち軸線Oか
らの上記ウェブ25の厚さW18,W19の和が、先端側の
方が後端側よりも大きくされていれば、ドリル部12の
先端側の断面積が後端側よりも大きくなって上記撓みの
抑制効果が作用するので、場合によっては上記軸線Oか
らのウェブ25の厚さW18,W19は不均等とすることも
できる。
【0021】ところで、本実施形態ではこのように軸線
Oから両切屑排出溝18,19の溝底面までのウェブ2
5の厚さW18,W19を等しくした上で、ドリル部12の
先端側の上記位置P1におけるウェブ25の上記厚さW
18,W19をドリル部12の外径Dに対して0.20×D
とし、また後端側の位置P2におけるウェブ25の厚さ
18,W19を0.075×Dとしているが、上記位置P
1における厚さW18,W19が大きすぎると、切屑排出溝
18,19の溝深さは浅くなってしまい、円滑な切屑の
排出が妨げられるおそれが生じる。これは、後端側の上
記位置P2における厚さW18,W19が大きすぎても、こ
れに合わせて先端側の位置P1の上記厚さW18,W19
大きくなるため、同様である。
【0022】一方、逆に両位置P1,P2のいずれか一方
における上記ウェブ25の厚さW18,W19が小さすぎた
場合には、後端側の位置P2における工具本体11の断
面積が小さくなりすぎ、ドリル部12の剛性不足を招く
おそれがある。このため、これらウェブ25の上記厚さ
18,W19は、ドリル部12の外径Dに対して、上述の
ようにドリル部12の先端側における最大値が0.09
〜0.20×Dの範囲となるように、またドリル部12
の後端側における最小値が0.075〜0.15×Dの
範囲となるように設定されるのが望ましく、両切屑排出
溝18,19間のウェブ25の厚さW、すなわち上記厚
さW18,W19の和については、先端側における最大値が
0.18〜0.40×Dの範囲に、また後端側における
最小値が0.15〜0.30×Dの範囲に設定されるの
が望ましい。
【0023】なお、上述した撓みの防止効果だけを考慮
すると、上記ウェブ25の厚さW18,W19をドリル部1
2の全長に渡って先端側が後端側よりも大きくなるよう
にして、ドリル部12の最先端、すなわち上記先端面1
2Aにおいてドリル部12の断面積が最大となるように
設定するのが望ましいのであるが、本実施形態のように
チップ22,22が工具本体11の内周側と外周側とに
偏って配置され、特に内周側のチップ22の切刃24が
軸線Oを越えてオーバーセンターとなるように配置され
ている場合には、これに合わせて上記内周側のチップ2
2が配置される一方の切屑排出溝18もより大きく内周
側に切り欠かれることになるため、このように設定する
のは事実上不可能である。また、上述したツイストドリ
ルのような一般的なドリルにおいても、切刃は工具本体
先端の工具回転中心近傍にまで延びていることが多く、
さらにはこの工具回転中心近傍がシンニングにより切り
欠かれることもある。
【0024】従って、このドリル部12における断面積
は、少なくとも上記切刃24,24の周辺よりも後端側
において、先端側が後端側よりも大きくされていればよ
く、具体的に、例えば本実施形態のようなスローアウェ
イ式ドリルの場合には、チップ22,22が装着される
チップ取付座20,21の後端位置、すなわち上記位置
1よりも後端側において、先端側におけるウェブ25
の厚さW18,W19が後端側よりも大きくされていればよ
い。また上記実施形態では、ドリル部12の上記先端側
の位置P1から後端側の位置P2に向けて、後端側に向か
うに従い上記ウェブ25の厚さW18,W19が漸次小さく
なるようにしているが、このドリル部12の先端側にお
ける断面積が後端側よりも大きくされるのであれば、上
記ウェブ25の厚さW18,W19を段階的に小さくするよ
うにしたり、あるいはこのウェブ25の厚さW18,W19
が小さくなる割合を、連続的もしくは断続的に、また増
加もしくは減少するように変化させるようにしたりして
もよい。
【0025】さらに、上記実施形態では本発明を2枚刃
のスローアウェイ式ドリルに適用した場合について説明
したが、本発明がこのようなもののみに限定されること
はなく、例えば工具本体先端部における切屑排出溝の先
端に形成された取付座に切刃チップがろう付けされたろ
う付けドリルや、あるいは工具本体先端部の切屑排出溝
の先端に直接切刃が形成されたソリッドドリルなど、他
の種の穴明け工具にも適用することが可能である。しか
し、これらのドリルでは、上述したように一般に切刃が
工具本体の軸線に対して対称に設けられていて、穴明け
加工時の切削負荷のバランスが保たれている場合が多
く、従って穴明け加工時に工具本体を撓ませるような力
が作用することが少ないことから、本発明は、このよう
な切削負荷のバランスを維持し難い上記2枚刃のスロー
アウェイ式ドリルに用いて特に好適であるということが
できる。
【0026】
【発明の効果】以上説明したように、本発明によれば、
たとえチップが工具本体の内周側と外周側とに偏って配
置されることにより穴明け加工時に工具本体を撓ませる
力が作用する2枚刃のスローアウェイ式ドリルなどにお
いても、かかる力による工具本体の撓みを抑えることが
でき、これにより、加工時の工具本体の振れを抑えて、
加工精度の劣化を防ぐとともに切削負荷や工具回転駆動
力を軽減し、また振動により大きな切削音が発生するの
を防止して、円滑かつ安定した穴明け加工を促すことが
可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の一実施形態を示す平面図である。
【図2】 図1に示す実施形態の側面図である。
【図3】 図1に示す実施形態の正面図である。
【図4】 図1に示す実施形態のウェブ25を示す切屑
排出溝18,19の溝底面に沿った断面図である。
【図5】 従来の穴明け工具を示す平面図である。
【図6】 図5に示す従来例の正面図である。
【図7】 図5に示す従来例のウェブ8を示す切屑排出
溝3,4の溝底面に沿った断面図である。
【符号の説明】
11 工具本体 12 ドリル部(工具本体11の先端部) 18,19 切屑排出溝 22 スローアウェイチップ 24 切刃 25 ウェブ O 工具本体11の軸線 T 工具回転方向 W 切屑排出溝18,19間のウェブ25の厚さ W18 軸線Oから切屑排出溝18の溝底面までのウェブ
25の厚さ W19 軸線Oから切屑排出溝19の溝底面までのウェブ
25の厚さ D ドリル部12の外径
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 川出 保彦 岐阜県安八郡神戸町大字横井字中新田1528 番地 三菱マテリアル株式会社岐阜製作所 内

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 略円柱状の工具本体先端部の外周に、こ
    の工具本体の先端から後端側に向けて延びる切屑排出溝
    が形成され、この切屑排出溝の先端に切刃が設けられて
    なる穴明け工具であって、上記工具本体先端部の少なく
    とも上記切刃の周辺よりも後端側の部分においては、先
    端側における当該工具本体の断面積が後端側よりも大き
    くされていることを特徴とする穴明け工具。
  2. 【請求項2】 上記工具本体先端部の少なくとも上記切
    刃の周辺よりも後端側の部分においては、先端側におけ
    る上記工具本体の軸線から上記切屑排出溝の溝底面まで
    のウェブの厚さが後端側よりも大きくされることによ
    り、先端側における当該工具本体の断面積が後端側より
    も大きくされていることを特徴とする請求項1に記載の
    穴明け工具。
  3. 【請求項3】 上記工具本体先端部の少なくとも上記切
    刃の周辺よりも後端側の部分において、上記軸線から上
    記切屑排出溝の溝底面までの上記ウェブの厚さの最大値
    が、上記切刃の外径Dに対して0.09〜0.20×D
    の範囲に設定されていることを特徴とする請求項2に記
    載の穴明け工具。
  4. 【請求項4】 上記工具本体先端部の少なくとも上記切
    刃の周辺よりも後端側の部分において、上記軸線から上
    記切屑排出溝の溝底面までの上記ウェブの厚さの最小値
    が、上記切刃の外径Dに対して0.075〜0.15×
    Dの範囲に設定されていることを特徴とする請求項2ま
    たは請求項3に記載の穴明け工具。
  5. 【請求項5】 上記工具本体先端部には複数条の上記切
    屑排出溝が形成されるとともに、この工具本体先端部の
    少なくとも上記切刃の周辺よりも後端側の部分において
    は、上記軸線から各切屑排出溝の溝底面までの上記ウェ
    ブの厚さが互いに等しくされていることを特徴とする請
    求項2ないし請求項4のいずれかに記載の穴明け工具。
  6. 【請求項6】 上記工具本体先端部には一対の上記切屑
    排出溝が形成され、これらの切屑排出溝のそれぞれ先端
    には、上記切刃が形成されたスローアウェイチップが着
    脱自在に装着されており、これらのスローアウェイチッ
    プは上記工具本体の内周側と外周側とに互いに偏って配
    置されていることを特徴とする請求項1ないし請求項5
    のいずれかに記載の穴明け工具。
JP4642197A 1997-02-28 1997-02-28 穴明け工具 Withdrawn JPH10244412A (ja)

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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
KR101329405B1 (ko) * 2010-12-30 2013-11-14 한국야금 주식회사 인서트 드릴
JP2020121372A (ja) * 2019-01-30 2020-08-13 三菱マテリアル株式会社 回転工具

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KR101329405B1 (ko) * 2010-12-30 2013-11-14 한국야금 주식회사 인서트 드릴
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Effective date: 20040511